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男女で違う!アルコールの影響

女性のアルコール性肝障害は男性よりも死亡率が高く注意が必要です。性別の違いが、なぜ肝障害のなりやすさにまで関係するのでしょうか。

女性はアルコール性肝障害になりやすい!

女性はアルコール性肝障害になりやすい!

かつての日本では、飲酒を習慣としているのは格段に男性のほうが多かったのですが、近年その差は縮まってきています。現代は、男女を問わずお酒を楽しむのが自然な時代といえるでしょう。

飲酒によって体内に取り入れられたアルコールは主に肝臓で分解されますが、この肝臓のはたらきが限界に達すると、肝硬変をはじめとするアルコール性肝障害が起きてしまいます。実はこの肝障害、男性と比べて女性のほうが起きやすいことがわかっています。その理由として、アルコールを摂取した際の肝臓にかかる負担が、女性のほうが大きいことが挙げられます。

飲んだお酒の量は同じでも…

同じ量のお酒を飲んでも、女性のほうが血液中のアルコール濃度は高くなる傾向にあります。前述の肝臓への負担を含め、体のつくりの違いにより、アルコールの分解に関して男女で違いがみられるようです。

アルコールの分解に関係する男女の体の違い

  • ●肝臓の大きさ
    肝臓の大きさは体格に比例するので、一般的に女性は男性より体格が小さい分だけ肝臓も小さくなります。そのため、男性と同じ量のアルコールを摂取した場合、肝臓が小さい女性のほうが分解できる量も少なくなり、肝臓にかかる負担も大きくなってしまいます。
  • ●筋肉の量
    アルコールは肝臓に続いて筋肉などでも分解されることになります。そのため、筋肉量が多い男性のほうが分解が速く、女性のほうが血液中のアルコール濃度が高くなります。
  • ●脂肪の量
    個人差はありますが、総じて女性のほうが男性より体脂肪率は高いもの。アルコールは脂肪には取り込まれにくいので、同じ量のアルコールを摂取すると、男性より女性のほうが、血液に溶け出すアルコールは多くなります。
  • ●体重
    男性のほうが女性よりも、一般的に体重が重いです。これは、男性のほうが女性より体内の血液の量が多いことを意味します。同じ量のアルコールを摂取しても、アルコールが溶け出る血液が少ない女性のほうが、血液が多い男性よりも、血液中のアルコール濃度が高くなります。

男性の乳房が女性化する!?

肝臓には、アルコールの分解のほかにもさまざまな役割があります。そのひとつとして、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンを分解する役割も担っています。そのため、大量の飲酒などによる肝障害が起きると、正常に分解されなかったエストロゲンが血液中の多く溶け出すことになります。この影響により、肝障害を起こした男性では、女性のように乳房が大きくなる「女性化乳房」がみられることがあります。

「酒は百薬の長」と呼べるのは、性別は関係なく、あくまでも適度な量を守ったうえでのこと。自分の肝臓を気づかいながら、飲みすぎに注意して楽しむようにしましょう。