できあいのものより、手作りの料理のほうが塩分の調節がしやすいことは、誰もが理解できるでしょう。しかし、いくら頭ではわかっていても、なかなか理想どおりにはいかないのが現実。家事に追われる人や、1日のほとんどを会社で過ごす人の中には、3食のいずれか、場合によっては3食すべてを外食や市販の弁当ですませている人もいます。このような食習慣は、味つけなどを自分で調節するのが難しく、1日6g 未満という、日本高血圧学会が勧める1日の塩分摂取目標量を超えやすいようです。
会社には手作りの弁当を持っていくなどして、できるだけ外食や市販の弁当を食べる機会を減らすことが望ましいです。また、みそ汁の具は食べても汁は残すことや、塩分を排出させるはたらきがある、カリウムが豊富な野菜の多いメニューを選ぶことなども、有効な手段だと言えます。
カリウムが豊富な野菜として、ほうれん草や里芋、枝豆、竹の子などがあります。果物ではバナナやキウイなどが豊富で、干しあんずや干しブドウなどのドライフルーツには特に多く含まれています。ただし、腎臓の病気の治療を受けている人の中には、主治医の先生からカリウム量を制限されている人がいます。そのような方は、これらの食品を食べすぎないようご注意ください。
コンビニの弁当やスーパーマーケットの惣菜を買うときに活用してほしいのが、パッケージに書かれている栄養成分表示です。その中でも、減塩を心がける人にはナトリウムに注目しましょう。ナトリウムが多ければ、それは塩分が多いことを意味します。栄養成分表示を見てみると、それほどボリュームがないサンドイッチであっても、意外にも多くのナトリウムが含まれていることに気づかされるでしょう。どれを食べるか悩んだときは、ナトリウムができるだけ少ないものを選ぶことを心がけることが大切です。
なお、厳密に塩分量を知りたい場合は、以下の計算式を用いれば導き出すことができます。
ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1,000 = 塩分(g)
添加物や原材料に配慮した食品をそろえるコンビニのナチュラルローソンでは、塩分やカロリーを低く抑えた弁当や惣菜が発売されています。だしやハーブをうまく使って作られているため、減塩ができるだけでなく、味わいの面でも満足できる仕上がりとなっています。
コンビニのレジの横で売られているおでんは、寒い時期はどのお店でも大人気のようですが、注意が必要です。ちくわやはんぺんなどのねりものは、意外にも多くの塩分が含まれているのです。さらに、しょう油などの汁で煮込む分、塩分もプラスされます。食べすぎに注意して、煮汁は飲まずに残しましょう。
お腹はすいているけれど、時間があまりないのでどんぶりものですませたい…。そう思ったときに、迷わず牛丼を選んでしまう人は、塩分を摂りすぎている危険度が高いかもしれません。どんぶりものの具はご飯のおかずにするために、ほとんどの場合は濃く味つけがされており、なかでも牛丼は塩分が高めです。同じどんぶりものなら、親子丼や天丼を選ぶほうが、塩分は少なくてすみます。牛丼を食べる場合は、「つゆだく」と呼ばれる汁の増量や大盛りは避け、付けあわせの定番となっている紅しょうがは食べないようにしましょう。可能であれば、栄養バランスの面からも、どんぶりものより定食を選びたいものです。
日本高血圧学会は、1日の塩分摂取目標量を6g 未満にすることを勧めていますが、ラーメンのスープを飲み干すと、1杯で6g を軽く超えてしまいます。ラーメンに限ったことではなく、うどんやかけそばも、汁には塩分がいっぱい。もりそばのつゆも、そば湯を加えれば薄まるものの、飲み干してしまえば結局はすべての塩分を摂取することになります。麺類の汁はすべて飲まず、残すようにしてください。
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