近頃は、ずっと机に向かって仕事をしている方も多いようです。そんな生活を続けると起こってしまうのが「腰痛」。腰痛は避けられないのでしょうか?諦めてしまう前に、腰痛体操で少しでも悩みの種を解消しましょう! 目次 まずは正しい姿勢から 腰痛体操で腰痛予防 まずは正しい姿勢から 腰痛を予防するには、正しい姿勢で生活することがまず必要。腰に負担がかかるような姿勢は禁物だ。 立つ時 あごを引き、背筋を伸ばして下腹に力を入れる。猫背やそらし過ぎ、また中高年にありがちなお腹を突き出した姿勢は腰に負担をかける。 歩く時 正しい姿勢から足を踏み出せばOK。ひざは伸ばし、かかとから地面につけること。腹筋が弱い人がヒールの高い靴をはくと腰への負担を大きくしてしまう。 座る時 腰、ひざがほぼ直角に曲がり、足の裏全体が床につく高さのイスに座る。高すぎても低すぎてもダメ。ときどき膝を組んだり、足の位置を変えて腰痛予防しよう。 物を持つ時 床に膝をつけるなど、できるだけ低い姿勢で腹筋に力を入れて持ち、物が体に密着するように腕を曲げて持ち上げる。膝を伸ばしたまま持ち上げるとぎっくり腰の原因になるので注意。 腰痛体操で腰痛予防 どうしても運動不足になりがちなアナタ。運動不足も立派な腰痛の原因だ。腰痛予防の体操をするだけでもずいぶん腰が軽くなるので、おすすめ。ただし、三日坊主では効果がないので、長く続けられるよう、無理をしないで行うのがポイント。 腰痛予防体操その1 あお向けに寝て、両膝を抱え込む 股を開いて膝小僧をわきの下に抱え込むようにして膝を引き寄せる これを20回繰り返す ※腹式呼吸(お腹でゆっくり息を吸って吐く呼吸法)で行うとより効果が高い 腰痛予防体操その2 あお向けに寝たまま、両膝を立てる ゆっくりと息を吐きながら、頭を持ち上げ5秒停止 ゆっくりもとに戻る ※最初は2~3回から、慣れたら10回まで増やす 腰痛予防体操その3 あお向けに寝て片膝を反対側の足に交差させるように下ろす おろした足の膝を床につけるように体をひねる 左右交互に10回ずつ ※上半身はなるべく床につけたままで、ひねった時に顔は足があったほうを見ると効果的 参考文献:「図解 腰痛を治す安心読本」伊藤晴夫著 主婦と生活社 「オモシロ健康ガイド 腰痛ギク!」石田肇著 保健同人社 公開日:2001年12月3日
ヒトはほかの動物に比べて、はるかに腰痛を起こしやすい動物です。なぜなら、二本足で歩くから。立っている時だけでなく、歩く時や、物を持つ時なども腰には大きな負担がかかっています。 目次 体を支える大切な脊柱(腰椎)の仕組み 腰痛が起こるのはなぜ? 腰痛を引き起こす主な病気 体を支える大切な脊柱(腰椎)の仕組み 腰の骨のことを腰椎(ようつい)といいます。腰椎は体を支える脊柱(いわゆる背骨)の一部です。この脊柱のおかげでヒトは二本足で歩くことができます。まさに体の要となっているのです。 脊柱は、体を横からみるとS字状に弯曲しており、これを前の腹筋と後ろの腰背筋と靭帯で支えています。 体を支持する脊椎は、上から7個の頚椎、12個の胸椎、5個の腰椎、その下に骨盤と連結する仙椎、さらに尾骨でできています。それぞれの腰椎の間にクッションの役割をする軟骨状の椎間板(ついかんばん)があります。 腰痛はこの腰椎のほかに椎間板、神経、靭帯、筋肉のいずれに故障が起こっても発生し、特に5個の腰椎のうち、下の二つに大きな力がかかり、痛みを発生することが多いようです。 脊柱(腰椎)の仕組み 腰痛が起こるのはなぜ? ヒトはほかの動物に比べて、はるかに腰痛を起こしやすい動物です。なぜなら、二本足で歩くから。立つことによって脊椎は重い上体を支えなければならず、とくに腰椎に大きく力がかかります。立っている時だけでなく、歩く時や、物を持つ時なども腰には大きな負担がかかっています。 ほかにも腰痛を起こす要因があります。 腰痛を引き起こす要因 ●骨や椎間板などの病気によるもの 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、骨折、椎間板ヘルニアなど骨や椎間板に起こる病気によって起こります。また、病気以外に腰を支える筋肉の衰えや使い過ぎ、内臓や神経のトラブル、ストレスなども重大な誘因になります。 ●姿勢、体型などによるもの 悪い姿勢を続けていると、椎間板や椎間関節、その周りの靭帯や筋肉に大きな負担をかけることになります。また、お腹を突き出した姿勢(体型)や猫背も腰痛の要因になります。 ●仕事によるもの 重い物を積み下ろす仕事、中腰での仕事などは腰痛持ちの人が多いようです。また、同じ姿勢を続ける(車の運転など)仕事や家事作業、育児も要因になります。 腰痛を引き起こす主な病気 腰痛を引き起こす病気はさまざまで、その痛み方や、痛みの部分、また年齢によってもその病気はいろいろあります。 いずれの場合も痛みを感じたらまずは安静にすることです。様子をみて、専門医にかかりましょう。 腰痛症 あらゆる検査をしてもこれといった異常が見られない、腰の痛みのことです。重い物を持って腰をひねったり、腰を打ったり、突然のくしゃみなどによって「魔女の一撃」と称されるほどの突然の激痛が起こったものはぎっくり腰ともいわれます。 安静にしていれば痛みそのものは治まりますが、再発しやすく、椎間板ヘルニアや変形性脊椎症に移行することもあるので要注意です。 魔女の一撃!?ぎっくり腰はこう対処しよう 椎間板ヘルニア 椎間板の中にある髄核が、それを取り巻く線維輪から飛び出して起こります。神経を圧迫するので、腰痛だけでなく、足にも痛みやしびれを感じます。 あらゆる世代でかかりやすい病気です。若い人はスポーツなど外部からの圧迫によって起こり、中高年では椎間板の老化によって起こりやすいようです。 腰椎分離症・腰椎分離すべり症 腰椎の上関節突起と下関節突起の間が分離した状態をいいます。ただし、分離しているからといって必ずしも腰痛を起こすとは限りません。分離した部分は、支持性が弱く腰椎にずれを生じることがあり、これがすべり症です。 腰椎のずれの程度が大きいと神経を締めつけるため、しびれや痛み、歩行障害を招くこともあります。激しいスポーツをした人に多くみられます。 変形性脊椎症(腰椎症) 加齢とともに椎間板がすりへり、これをカバーしようとして椎骨にトゲのような骨の出っぱりができ、この突起が神経を刺激して痛みやしびれを起こすものです。 年齢とともに骨が変形したからといって、必ず痛みがあるわけではなく、周りの靭帯や関節や椎間板を疲労させた場合に腰痛を起こします。 脊椎管狭窄症 腰椎の骨の中に脊柱管とよばれる、神経を保護する通り道があり、これが狭くなって脊髄や神経根が圧迫されて痛みが起こるものです。長時間歩いていると腰から足にかけて痛みやしびれが広がり、歩くことができなくなる場合もあります。 脊柱管が狭くなる原因は先天的なものと脊椎すべり症、変形性脊椎症など、ほかから移行する場合があります。 骨粗鬆症(こつそしょうしょう) 骨からカルシウムが失われ、骨質の目が粗くなり、スカスカになった状態です。骨がもろくなるので、ちょっと転んだだけでも骨折する場合があります。 老化や更年期のホルモンバランスの崩れから起こりやすいのですが、加齢とともに運動不足やカルシウムを吸収する力が弱くなることも原因のひとつです。 骨粗鬆症(骨粗しょう症)
背中や腰が痛い、だるい、肩がこりやすい、頭痛がするなど、日常生活の中で何となく感じる不調。これらの原因は、実はあなたの姿勢にあるのかもしれません。 目次 2本足で立てる歩ける、人間の「姿勢」の仕組み 直立姿勢を支える体の仕組み 現代生活が人の姿勢を退化させる!? 2本足で立てる歩ける、人間の「姿勢」の仕組み 人間の頭脳が、ほかの動物と比べ格段に進化をとげたのは、2本足で立ち上がる「姿勢」をまず手に入れたため、というのが定説です。この進化が脳の発達を促し、現在の生活を築くモトとなりました。 ところが、2本足で直立する姿勢は、地球の重力に対してかなり無理がある状態だといいます。それを何とか支えるために、背骨、骨盤、それを支える筋肉、足部の骨や筋肉などが発達してきました。 直立姿勢を支える体の仕組み 背骨 上半身を支える核となる部分です。専門用語では、「脊椎」または「脊柱」と呼びます。約26個の骨(堆骨:ついこつ)と椎間板という弾力性のある組織が交互に並んでいます。上半身を前後左右に曲げられるのは椎間板がゴムのようなはたらきをするためです。 堆骨や椎間板は中が空洞になっていて、このトンネル中に脳からの指令を体に伝える中枢神経(脊髄)が走っています。 脊椎は、首から胸のあたり(頚椎:けいつい)が前に出っ張り(前彎:ぜんわん)、胸のあたり(胸椎:きょうつい) が後ろに出っ張り(後彎:こうわん)、腰のあたり(腰椎:ようつい)が再び前に出っ張っています(前彎)。横から見るとゆるやかなS字型のカーブを描いているのが自然な姿です。 靭帯、腹筋、背筋など 背骨の堆骨と椎間板は、それ自体は積み木のように重なっているだけなので、そのままでは簡単にバラバラになってしまいます。これをしっかりと留めるテープのはたらきをしているのが、靭帯(じんたい)や腹筋、背筋などの組織です。 腰 一般的に「腰」と呼んでいる部分は、脊椎の下部から骨盤にかけての部分です。上半身にかかる力を骨盤を介して両足に伝えています。また、歩行を始め、立ったり座ったり、物を持ち上げたりなどの運動の要となります。腰の部分も骨を支える臀部(でんぶ)や大腿部の筋肉などが体のバランスを安定させるために重要な役割を果たしています。 足部 言わずと知れた、2足歩行の要。大腿骨と脛(けい)の骨(頚骨)は、新生児のときは膝が外を向くO脚ですが、成長するにつれ、真っ直ぐな形になります。また、足の裏(底)の部分はゆるやかなアーチ状になっていて、歩くときの衝撃を吸収する役割をしています。 現代生活が人の姿勢を退化させる!? 2足歩行の姿勢が人間の頭脳を進化させ、その頭脳が現代の便利な生活をうみました。しかし、この生活はいまや人間の姿勢を支えるシステムに危機的な影響を与えようとしています。生活の便利さゆえに骨や筋肉が衰え、重力に対して無理のない直立姿勢(良い姿勢)がとれない人が増えてきたこと。デスクワークなど、不自然な姿勢を長時間とることによって起こる体のゆがみ…。 悪い姿勢が我々の体にどのような影響を与えるのか例をあげてみましょう。 悪い姿勢の例その1 字を書くとき、食事をするときなど背中を丸めた姿勢をとる、いわゆる猫背です。姿勢の悪い子の多くがこのタイプ。高さが合わないキッチンで仕事をする主婦にも多くみられます。 体が受ける影響(ゆがみ) 胸椎の後彎が極端になったり、本来前彎している腰椎が後彎気味になるなどのゆがみが生じます。また、資料を見ながら文字を書くなどの作業で、常に資料を体の同じ側に置いていると、胸椎や腰椎に横方向のゆがみも生じます。 ゆがみによる体の不調 腰痛や背中の痛み、肩こりのほか、脊髄に負担がかかると、心筋、肺、消化器官のトラブルをもたらすこともあります。歯の噛み合わせが悪くなったり、呼吸が胸式呼吸になり血流量が減少します。 悪い姿勢の例その2 パソコンに文字を打ち込むとき、顔を斜め下の方に向けている人が多いのですが、横からみると背中から腰にかけては真っ直ぐですが、首から上が下を向いている姿勢となります。 体が受ける影響(ゆがみ) 本来後彎している頚椎に前方への力がかかり、頚椎が平らな状態になってしまいます。 ゆがみによる体の不調 真上を見づらくなります。歯が浮くような感じになり、いつもポカンと口をあけています。脳の血管障害や、目の障害などをもたらす恐れもあります。
多くの人を苦しめる「腰痛」、その原因は何でしょうか?「骨格」「筋肉」「血行」の3つの点から、腰痛が起こるメカニズムを探りました。 目次 腰痛の三大原因「骨格」「筋肉」「血行」 まずは、腰と背骨、神経の関係を知る 「骨格」が悪ければ、神経に触る!? 「筋肉」の弱さが、腰痛の原因に!? 血液の流れが悪くなるのも腰痛の原因に!? 腰痛の三大原因「骨格」「筋肉」「血行」 腰痛は人類が2本足で立ったときから抱え込んでしまったものです。でもその腰痛の種を発芽させてしまうかは、個人の生活習慣や体の使い方に大きく作用されています。 特に忙しく便利になった現代社会では確実に腰痛持ちが増えています。 そこで、3つの原因「骨格」「筋肉」「血行」から腰痛のメカニズムを探ってみましょう。 まずは、腰と背骨、神経の関係を知る 背骨(=背柱)はご存知の通り1本が体の真ん中を通っているわけではなく、短い骨(=椎)が並んでいます。各椎の間には椎間板と呼ばれるクッションがあります。背骨を細かく見れば首に始まる頚椎7本、胸椎12本、腰椎5本、仙椎5本、尾椎3~5本からなっています。この背骨の回りには筋肉があり、骨を支え(もちろん他の骨の回りにもある)、その筋肉の運動によって体を曲げたり伸ばしたりできるのです。特に、腰付近の背骨からは、下半身の神経が多く集中しています。 「骨格」が悪ければ、神経に触る!? 変形性脊椎症 高齢になると長年の習慣で骨が変形してきます。例えば前屈みの姿勢の多い仕事の人や重い荷物をよく持つ人は背中が曲がったり、右手を使う仕事だと体全体が右曲がりになったりします。中高年の腰痛に多いのがこのタイプです。 腰椎分離症 骨がまだできあがっていない若い時期に、過激な運動が骨に影響を与えてしまうと、背骨の骨折である腰椎分離症が起こります。 また骨折までいかなくても、若年時代の過激な運動で痛めた腰の痛みは成長しても残ることが多いので注意が必要です。 椎間板ヘルニア 骨と骨の間にあり、クッションの役割をしている椎間板。重い荷物を持ったり、一定の姿勢を長時間とっていると、骨がゆがみ、次第に椎間板も圧迫され、ひしゃげたサンドイッチの中身のように飛び出してきます。それが神経に触れると、痛みはもちろん、足のしびれなども起こします。こうなったら、入院にまで発展するので、がまんばかりせずにこうなる前にきちんと治療を受けた方が良いでしょう。これは背骨の中でも首の頚椎と腰の腰椎で起こることが多いようです。それだけ腰や首が酷使されているということです。 髄核が飛び出す病気「ヘルニア」を予防しよう 「筋肉」の弱さが、腰痛の原因に!? 筋力が低下すると、例えば腰痛の場合もレントゲンなどでは特に異常が認められず、症状もだるい重いといったことになります。 簡単に言ってしまうと、筋肉が弱くて支えきれずにそれでも体を曲げたり伸ばしたりしないわけには行かず、筋肉が疲労してだるくなったり(筋肉を使いすぎると筋肉組織内にブラジキニンという発痛物質を作り出し、腰痛を引き起こします)、腰椎にやたらに負担をかけて、いずれ骨格(すなわち腰椎)にも負担がかかってくることになります。 血液の流れが悪くなるのも腰痛の原因に!? 血液の循環が良くなければ、体に凝りが生じ、筋力の低下を生じ、血管の回りに発痛物質のブラジキニンを発生させます。 血行が悪くなる大きな原因は、運動不足、きつい下着、そして太りすぎです。脂肪が血管を圧迫して収縮させてしまい、血のめぐりが悪くなります。 ブラジキニンという発痛物質 ブラジキニンという痛みの刺激をもった化学物質が発生するとそれが神経を刺激します。その結果、カルシウムイオン濃度が高くなり、 電位として脊髄から脳へ伝わり、痛いと感じる仕組みとなっています。ブラジキニンには、発痛作用のほか、血管拡張作用、血管透過性亢進作用があって、古典的な急性炎症症状すなわち、発赤、腫脹、発熱、疼痛を生じます。現在では、ブラジキニンが炎症による痛みの主要起因物質であると考えられています。
重い物を持ち上げたり、体をひねったりした時に起こる ぎっくり腰と呼ばれるものは、急激に起きる腰痛の総称です。なかでも多いのが腰ついのねんざです。腰の周りの筋肉や筋膜の一部が切れ、背骨の両脇あたりに痛みが走るものです。主な原因は、重い物を持ち上げたり、体をひねったりした時に起こるもので、腰を曲げられなくなります。 もうひとつがヘルニアです。せきついの骨と骨の間にあってクッションのはたらきをするつい間板の中の髄核(イカやタコの体のような柔らかい物質)が外に飛び出し、せきついを支えている部分を刺激するため痛みが走るものです。体をねじったりして起きたり、中腰の作業や運動を続けていると起こります。 デスクワークの人に多い ぎっくり腰やつい間板ヘルニアにかかる人は、重労働の人は意外と少なく、デスクワーカーや車好きの人に多いというデータがあります。 いすに座りっぱなしですと、体を支える体重が腰にかかります。そのままにしておくと、血液の循環が悪いつい間板に負担が掛かり、ヘルニアが出てしまい、神経が圧迫されて痛むのです。 座りっ放しに注意 長時間いすに座りっ放しは、いちばん腰に良くありません。時々いすから立ち上がり、軽く体を動かしましょう。そして、歩く時も背筋を伸ばして歩くと腰の負担が軽くなります。