初期のキムチはただの塩漬けでしたが、16世紀に唐辛子と出会うことで今日の辛いキムチに変身したのだとか。キムチの歴史や食べごろの時期、保存法をご紹介します。 目次 キムチの歴史 キムチの食べ頃 キムチの上手な保存方法 キムチ作りに挑戦しよう! キムチの歴史 キムチがいつ頃から食べられるようになったのかは、実は定かではない。中国の文献「魏志」(3世紀頃)の中の「東夷伝」には"高句麗善醤醸"と記され、高句麗(古代朝鮮の国のひとつ)の人たちが醤のような食品(しょう油、塩辛、漬物などの発酵性の食品)を作っていることがわかる。 その後も長い間、キムチは大根などの食材を塩漬けしただけの単純な野菜の貯蔵品だったと考えられる。 このキムチが今日のように辛いキムチに大変革したのは16世紀初頭のこと。きっかけはとうがらしとの出会いだった。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、日本軍が朝鮮半島にとうがらしを持ち込んだとも言われている。とうがらしはそもそも中南米が原産。15世紀の大航海時代にヨーロッパに渡り、ポルトガル人やオランダ人らによって日本にもたらされ、それが朝鮮半島にもたらされたのだ。 キムチにとうがらしの辛味が加わることで、さらにほかの薬味類も使われるようになった。また塩辛が使われるようになったのもとうがらしの登場以降のこと。とうがらしの成分・カプサイシンの酸化防止作用によって塩辛の酸敗が抑制されるため、キムチに加えることができるようになった。 キムチの食べ頃 キムチの味と栄養は熟成温度や保管温度によって変わる。だいたい2~7℃の状態で2~3週間熟成させたキムチが最もおいしく、栄養価も一番高いと言われている。好みに合わせて好きなキムチを楽しもう! ■一般的な目安(市販のキムチの場合) 製造日~5日:酸味がなく素材の味を楽しむ期間 6日~15日:酸味が少なく素材によくなじむ期間 16日~25日:ほどよく発酵して多少の酸味のある期間 25日~45日:発酵が進んで酸味が徐々に強くなる期間 キムチの上手な保存方法 キムチを保存する上でポイントになるのは「温度を一定に保つこと」と「できるだけ空気に触れさせないこと」。かつての韓国では冬場キムチ瓶を地中に埋めていた。地中は温度の変化があまり厳しくないため、冬の間もキムチの鮮度をかなり維持することができるためだ。今日ではプラスチックなどの密閉容器に入れて冷蔵庫で保存するのが一般的。冷蔵に適当な温度は0℃前後で、3ヵ月ほどは貯蔵できる。韓国ではキムチ専用の冷蔵庫もあり、よく売れているとか。 キムチ作りに挑戦しよう! 今回は一番ポピュラーな白菜キムチの作り方をご紹介。 白菜キムチ ■材料 白菜2株、塩適量、りんご1/2個、しょうが20g、イカの塩辛150g、水1カップ、煮干し30g、調味料(おろしニンニク大さじ2、粉唐辛子大さじ2、中引唐辛子大さじ2、粗びき唐辛子大さじ2、砂糖大さじ1) ■作り方 白菜は半分または1/4に割り1日天日に干す。その後白菜の葉1枚ずつに塩を振り、1昼夜寝かす。 白菜がしんなりしたら水で2~3回洗い水気を絞る。 りんご、しょうがはすりおろし、イカの塩辛は細かく刻んでおく。 煮干の頭と腹わたは取る。1カップの水に20分ほど煮干しをつけた後、火にかけてだしをとる。これをこして煮干しは捨てる。 4のだし汁の中に調味料を加え、よく混ぜてキムチの具を作る。 2の白菜に5の具を一枚ずつ丁寧に塗る。白菜全体にまんべんなく塗りつけた後、ふたつきの容器に隙間なく詰める。1週間後くらいが食べ頃。 レシピ参考:「キムチと保存食」 全鎮植・鄭大聲編著 柴田書店 公開日:2002年11月18日
焼肉と並んで韓国料理の代表・キムチ。乳酸菌や豊富なビタミン類が含まれた優れた食材でもあります。キムチの種類や栄養価などをご紹介します。 目次 キムチとは? ご存知ですか?キムチの種類 見逃せない!キムチの栄養素 キムチとは? 毎日の食卓でおなじみの「キムチ」。もはや韓国料理という枠を超え、すっかり日本人にも浸透している。日本国内でキムチが焼肉と共にメジャーになったのは戦後のこと。昭和30年頃を境に商品化が始まり、40年代に入って一般的に普及していったと言われる。 キムチとは朝鮮語で「漬物」の意味。なんともシンプルだが、もちろん、ほかの漬物とキムチにはれっきとした違いがある。さらにキムチを定義すれば、「韓国の漬物の総称。白菜、大根などを塩漬けにし、さらに魚介の干物、とうがらし、ニンニクなどを混ぜて漬け込んだ、発酵食品」ということになる。つまり塩漬けした白菜や大根などの原料に、様々な薬味(粉とうがらし、ニンニク、ショウガ、ねぎなど)を混ぜ合わせ、低温で熟成させた発酵食品がキムチなのだ。 日常の食生活で思うように栄養素が摂れなかった昔、冬場はキムチがカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなど各種ミネラルの供給源となり、体にとって必要な栄養分の補給源だったと考えられる。 ご存知ですか?キムチの種類 キムチの作り方は大きく3つに分けられる。 白菜・葉菜漬物型 野菜を長期の塩蔵後、塩抜きしたものに漬床の具を加えて作る方法。 カットウギ・オイ型 塩蔵期を短縮し、塩抜き後漬床の具や薬味を加えて作る方法。 トンチミ・ムル型 漬け汁を飲むために、漬け汁を多めに作る方法。 多種多様なキムチ、ここでは代表的なものを紹介しよう。 ペチュキムチ やっぱりキムチの主流といえばこれ!しかし意外にも新しく、せいぜい一世紀半ほどの歴史しかない。 カットウギ 大根を四角に切って作るキムチ。大根は白菜に次いでキムチの基本要素になる野菜。 オイキムチ きゅうりには発酵・熟成が行われやすいという特徴があり、西洋でもきゅうりを主材料としたピクルスという漬物がある。 プッナムルキムチ 山東菜、小松菜、大根や白菜の間引き菜、山菜などの青菜を用いる。白菜品種が出回るまではこちらが主流だった。 ムルキムチ 主材料:水気の多いキムチ 粉とうがらし、塩辛などの薬味をほとんど加えないで作る漬け汁の多いキムチ。大根や白菜などの材料に塩をし、多量の水分を加えて発酵させる。できあがりの汁も食べる。ちなみに大根の水キムチのことを「トンチミ」という。 見逃せない!キムチの栄養素 韓国のスポーツ選手が遠征する際にはキムチが欠かせないという。実際にキムチは栄養価が高く、優れた食材なのだ。 乳酸菌 キムチ発酵の主役、乳酸菌。キムチに特に多く含まれるというラクトバジルスは代表的な善玉菌で整腸作用があり、腸をきれいにしてくれる。焼肉などは悪玉菌のえさになるので、一緒にキムチを食べることはまさに理にかなっている。 豊富なビタミン類 加熱せずに作るため、主材料の白菜や大根、きゅうりといった淡色野菜に含まれるビタミンCを壊さずに摂ることができる。また新鮮な野菜の液汁が発酵する過程でビタミンB1、B2、B12、ニコチン酸なども作られることがわかっている。 カプサイシン 薬味である粉とうがらしに含まれるカプサイシンという成分には、体の抵抗力を高め、風邪などから体を守る効果が期待できる。また代謝を高め、内臓脂肪を燃やしたり、血流をよくして体温を高める効果もある。 タウリン アミノ酸の一種で、キムチの材料となる塩辛などの魚介類に多く含まれている。血液中のコレステロールを減少させたり、肝臓の解毒能力を強化したり、視力を回復させたりといった体を正常にするはたらきをもっている。 ほかにも、薬味に欠かせない「ニンニク」には中性脂肪を減らしたり、動脈硬化予防やスタミナアップの効果があることがわかっている。また、「ショウガ」の香りには脳を活性化させるはたらきがあることが知られている。 公開日:2002年11月18日
韓国は、一人あたりのとうがらし消費量が世界で最も多い国です。日本人にもなじみやすい料理が多いので、キムチなど韓国の素材を使った簡単メニューをご紹介します。 目次 簡単に手に入る韓国料理の調味料 韓国の調味料を活用した簡単メニュー 簡単に手に入る韓国料理の調味料 韓国料理の基本調味料は、とうがらし、にんにく、ゴマ油。日本でも簡単に手に入る素材ばかりです。このほか、加工調味料として有名なのは、いわゆるキムチの素とコチジャンと呼ばれるもの。まずは、この調味料たちを簡単にご紹介します。 このほかにも、韓国なべ料理「チゲ」の素などが日本の食品会社から売り出されています。 ●にんにく にんにくに含まれる有効成分は2つあります。 1つは強力な殺菌力と抗菌力があり、かぜや気管支炎予防に有効といわれるアリシンです(にんにく臭のもとでもあります)。アリシンには、胃腸の粘膜を軽く刺激してはたらきをよくし、消化酵素の分泌を促すはたらきもあります。 それから、体内に取り入れられた栄養物を完全に燃焼させてエネルギーに変えるスコルジンです。にんにくパワーのもとです。 にんにくは、キムチを作るのにも利用されています。 ●ごま・ごま油 ごまは、脂肪、良質のたんぱく質、カルシウム、鉄、リン、ビタミン類などが含まれる健康食品です。ゴマ油だけでなく、すりごまとして利用することも多いです。 ●キムチ キムチは、野菜を、とうがらしやにんにくなどの香辛料やイカや小魚などの魚介類で漬け込んだ発酵食品です。スパイスの効用のほか、発酵で生じた乳酸菌が胃腸のはたらきをよくし、野菜もたくさん食べられるというすぐれものです。漬け物として食べるだけでなく、冷奴やサラダにのせたり、炒め物やスープの調味に使うなど幅広く利用されます。 最近は、日本でも即席キムチの素が売られています。手間をかけた本物には負けますが、簡単にキムチ風味が楽しめる便利商品です。 ●コチジャン 日本語に翻訳すると、とうがらし味噌です。日本にも、赤味噌にみりんや砂糖を加えたねり味噌(田楽味噌)がありますが、これにとうがらしが練り込まれたような感じです。そのまま生野菜につけても、味噌炒めに使ってもOK。日本料理にそのまま使えそうな調味料です。 技あり!ニンニクパワー大活用 酒飲み・女性に嬉しいゴマの威力! 知ってびっくり!キムチパワー 韓国の調味料を活用した簡単メニュー 作り方にある調味料の量は目安と考え、自分に合った味に整えましょう。 きゅうりとタコのキムチ風炒め ■材料(2人分) きゅうり2本、たこ150g 、キムチのもと大さじ1くらい ■作り方 きゅうりとタコ(ゆでたもの)は、ひとくち大に切ります。 フライパンで油を熱し、1を入れて炒めます。炒めながら、塩少々、酒少々を加えます。 キムチの素を全体がほんのり赤くなるくらい入れ、きゅうりに油がまわったくらいでできあがりです。 ※生でも食べられる素材なので、炒めすぎないのがポイントです。 ※豚肉ともやし、にんじん、にらなどの野菜炒めも同様に作るとおいしいです。 なすのしぎ焼き韓国風 ■材料(2人分) なす(小4個)、ピーマン2個、味噌(赤味噌)大さじ2、砂糖大さじ2、 コチジャン大さじ1/2~1、ごま油大さじ1.5 ■作り方 なすはひとくち大に切り、たっぷりの水に15分くらいつけます。ピーマンもひとくち大に切ります。 味噌と砂糖とコチジャンは混ぜておきます。 ごま油をフライパンに熱し、ナスを入れて強火で炒めます。なすに油がなじんだらピーマンを加えます。 ピーマンが熱くなったら2を入れて炒め合せます。なすがしんなりしてきたらできあがりです。 ※辛いのが好きなら、日本の味噌を減らしてコチジャンを増やしてもOKです。 ※ほかにも、レバーと野菜炒め、ひき肉の味噌そぼろなど、味噌風味が合う炒め物に使ってみるのもおすすめです。 大根と鶏肉の韓国風 ■材料(2人分) 大根 1/3本、鶏もも肉(ひとくち大)200g、にんじん1/2本、ねぎとにんにくのみじん切り少々、とうがらし(小口切りにしたもの)1/2~1本分、だし2~3カップ(材料がひたひたになるくらい) ■作り方 大根、にんじんはそぎ切りにします。 なべにだしを煮立てて鶏肉をいれ、あくをとりながら5分くらい煮ます。 2に大根とにんじんを入れ、ねぎ、にんにく、とうがらしを加えます。 砂糖、酒、各大さじ1、しょうゆ大さじ2、ごま油大さじ1/2を加え、煮汁が半分になるまで弱火で煮ます。