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005:医者もびっくり!衝撃的な高脂血症の基準値の激変!(望月吉彦先生) - ドクターズコラム

メディカルコラム

望月吉彦先生

更新日:2014/10/14

ご存知のごとく、コレステロール、特にLDL(悪玉)コレステロールは「動脈硬化を促進」します。
これまでもどの程度の(コレステロール)数値が良いか色々と議論をされてきました。
新聞などの報道で知っている方も多いとは思いますが、今年2014年4月4日に人間ドック学会が中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロールの正常値の変更を発表しました。
新たな基準値では、150mg/dl未満が良いとされてきた男性の中性脂肪は198mg/dl以下に変更されています(女性は134mg/dlです)。
120mg/dl未満が良いとされてきたLDL(悪玉)コレステロールですが、なんと、男性は178mg/dl以下、女性は年齢を3段階に分け、66歳以上では190mg/dlまでが正常値となっています。
このLDL基準ですと今まで人間ドックで要精査、要治療とされてきた方の殆どが正常となります。まさに衝撃的な基準値の激変!!!

高脂血症の患者さんが減る?

もっとも、この基準値をそのまま採用するかどうかは各施設の判断に委ねられています。健康な方 1万人の採血結果を分析した結果からこの値が得られています。
これまで高脂血症治療はLDLが140mg/dl以上を対象としてきました。食事指導でLDL値が140mg/dlに下がらない患者さんにはスタチン系の薬をメインに投与してきましたので、今回の基準値変更は衝撃的です。

男性でLDLコレステロール値が178mg/dl以上の方はあまりいらっしゃいませんので、この値が広く使われるようになると高脂血症の患者さんは激減します。
コレステロール、中性脂肪の基準値には日本動脈硬化学会、脂質栄養学会等で推奨値が違いますし、米国、英国と日本でも違います。何を正常値とするかとても難しい問題です。しかし、糖尿病の方、高血圧症の方、肥満がある方、虚血性心疾患、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症の既往のある方はLDLを下げた方が良いのはある程度コンセンサスが得られています。

健康診断でコレステロール値、中性脂肪値が高いと言われた方、高くはないけれど上述のような病気をお抱えの方は、どうぞ一度、クリニックなどへ相談にいらしてください。クリニックには動脈硬化度を測定する機器(脈波測定器:CAVI)や血管の動脈硬化を判定するエコー装置も備えているところもあります。
こうした検査機器で動脈硬化が疑われたら、是非、治療をおすすめします。

血圧脈波検査装置

望月吉彦先生

望月吉彦先生

所属学会
日本胸部外科学会
日本外科学会
日本循環器学会
日本心臓血管外科学会
出身大学
鳥取大学医学部
経歴
東京慈恵会医科大学・助手(心臓外科学)
獨協医科大学教授(外科学・胸部)
足利赤十字病院 心臓血管外科部長
エミリオ森口クリニック 診療部長
医療法人社団エミリオ森口 理事長
芝浦スリーワンクリニック 院長

医療法人社団エミリオ森口 芝浦スリーワンクリニック
東京都港区芝浦1-3-10 チサンホテル浜松町1階
TEL:03-6779-8181
URL:http://www.emilio-moriguchi.or.jp/

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