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熱中症は真夏だけでなく初夏や9月、朝と夜にも注意しよう

熱中症は高温多湿な環境にさらされて、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れることや調整機能が破綻すると発症するので、夏の暑い時期や日中だけでなく、初夏(5月~6月)や9月、朝の9時以前や18時以降の夜も油断禁物です。総務省・消防庁、厚生労働省、環境省からの情報をまとめて紹介します。

2019年の熱中症・救急搬送は約7万人

総務省・消防庁によると、2019年5~9月の熱中症による救急搬送は7万1317人でした。7~8月はもちろん、初夏の5月や6月、残暑が厳しい9月も少なくありません(表)。

表:熱中症による救急搬送数・死亡者数(2013~2019年の年別推移) 表:熱中症による救急搬送数・死亡者数(2013~2019年の年別推移)

出典:総務省・消防庁:2019年(5~9月)の熱中症による救急搬送状況

夜間や朝の時間帯に起こるケースは少なくない

厚生労働省は、職場の対策を啓発する令和2年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています(参考記事:職場の熱中症に注意、建設以外の製造業などでも多く発生)。そのなかで、2015年以降に職場で発生した熱中症の事例を公表しています。
時間帯別に検証した結果を見ると、日中だけではなく9時以前、11時台、さらに18時以降の救急搬送が少なくありません。

図:2015~19年に職場で発生した熱中症の死傷者数(時間帯別) 図:2015~19年に職場で発生した熱中症の死傷者数(時間帯別)

出典:厚生労働省・2019年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(2020年1月15日時点速報値)
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000612135.pdf

暑さ指数(WBGT)と予防行動をセットに「警戒アラート」発信を提案

環境省熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/)で、全国6都市における最高暑さ指数(WBGT)と救急搬送数との関係について随時公表しています。
また、「暑さ指数(WBGT)メール配信サービス」、「暑さ指数(WBGT)電子情報提供サービス」に関する情報もあります。
さらに、2020年4月22日の専門家会議では暑さ指数(WBGT)と予防行動をセットにした「熱中症警戒アラート(仮称)」を発信するとの提案がありました。
参考として、2019年5~9月の熱中症による救急搬送の事例を集計した結果は以下です。

環境省をはじめとした情報提供は、自治体や報道機関への伝達経路が確立されています。しかし、高温注意情報は発表回数が多いこともあり、情報の重要性への意識が薄れています。また、最高気温35度以上の状況は必ずしも救急搬送数と相関していません。

エリアごとに高温多湿な環境と本人の体調をリアルタイムに把握することが重要

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響でマスクや防護シールドを着用する機会が増えたので、5月時点から「マスク熱中症」などが報道されています。
ゴールデンウィーク明けから報道されたので、熱中症の危険性は認識されつつあります。
しかし、2018年と19年は熱中症の発生件数が以前に比べて増加傾向にあるのです。
熱中症は、個人の体調が関わるものです。高温多湿な環境だけではなく、ひとりひとりの健康状態をリアルタイムで察知してリスクを早く見つける対策が必要とされています。

■参考

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公開日:2020/06/10