コレステロールが高いと言われる卵だが、実は、卵にはレシチンというコレステロールを除去してくれる成分が含まれている。また、ビタミンやミネラルなどもバランスよく含まれた完全栄養食品なのだ。
コレステロールを高くすると思われている卵。しかし、実際にはコレステロールを除去するはたらきが注目されているのだ。
それは、卵に含まれる「レシチン」のはたらき。レシチンとは、ギリシャ語で卵黄を意味する「レシトース」から出た言葉で、「リン脂質」と呼ばれる脂質の一種だ。 レシチンは人間の細胞の細胞膜の主成分であり、特に脳や肝臓の細胞膜に大量に含まれ、細胞を若々しく保ったり、脳や神経系のはたらきを活発にするなどのはたらきがある。
また、細胞の中からコレステロールを取り除く時にはたらく酵素の作用を助け、血管壁にこびりついたコレステロールを除去して血管の若さを保つ。つまり、動脈硬化や狭心症、脳卒中などに対する予防効果があるのだ。 卵を食べてコレステロールが下がるなんて、ちょっと驚き!?
※ただし、コレステロール値が高めな人や高脂血症の人は体内でのコレステロール調整がうまく調節できないことも考えられるので、注意が必要。
卵はビタミンCと繊維以外の栄養素をバランスよく併せ持っている。
なかでも、良質なたんぱく質を持った食品であると言われる理由は、たんぱく質を構成しているアミノ酸(特に人間の体内で合成することができない8種類の必須アミノ酸)をバランスよく含んでいるため。 ちなみに、たんぱく質は漢字で「蛋白質」と書き、この「蛋」という字は中国では「卵」の意味だとか。
また、卵黄はビタミンAや鉄、カルシウムなどのミネラルも豊富。
卵は「完全栄養食品」なのである!
卵を割ると、卵白と卵黄の間に白いヒモのようなものがある。 これは「カラザ」と呼ばれるもので、よく見ると、卵黄をひっぱるように両側に2つ付いている。カラザの役割は、卵黄の位置をまんなかに固定することだ。
カラザを取り除いて食べる人もいるが、カラザの成分は主にたんぱく質。さらに、最近の研究でカラザにはシアル酸が含まれており、このシアル酸とは細胞を構成する成分のひとつで、細胞の一番外側にあって外敵から保護する役割があるので、そのまま食べたほうが栄養学的にはよい。
ただし、生で食べる時や茶碗蒸しなど料理によって舌触りが気になるようなら取り除いた方がよいだろう。
卵殻には、気孔と呼ばれる小さな穴が無数にあり、内部の水分や炭酸ガスを発散している。殻の厚さは鶏の種類によって異なるが、盛夏から秋にかけて薄くなる。
卵白は、外水様卵白、濃厚卵白、内水様卵白からなっている。
卵殻や卵白、卵黄膜によって守られた卵黄は、 新鮮なものほど割った時にこんもりと高く盛りあがる。卵黄の色は味や栄養成分とは直接関係無く、飼料に含まれる色素の影響である。
卵のとがっているほうからはねじれた2本、丸いほうからは1本のカラザがのびている。卵黄を中心に保つよう、ハンモックのような役目をしている。
スーパーなどで売られている卵は、殻の色の濃いものがある。どっちのほうが栄養価が高いの?と思うが、結論から言えば、殻の色が違っても栄養学的な違いはほとんどない。
一般的には、羽毛の白い鶏は白い卵を産み、羽毛の赤い鶏が赤玉(殻表面が赤褐色の卵)を産むと言われているが、現在は品種改良された鶏も多いため、必ずしも羽毛の色と卵の色が同一だとは限らない。
つまり、殻の色の違いは鶏の違いであり、栄養学的にはどちらもほとんど差はないのだ。
また、最近「ヨード卵」「ビタミン強化卵」「DHA卵」など、特別に栄養価を高めた特殊卵も売られている。例えばヨード卵は、飼料に海藻などのヨードを混ぜ、鶏の体を通して卵に移行させたもので、動脈硬化や糖尿病、アレルギーなどに有効な作用が報告されている。
また、ビタミン強化卵やDHA卵もそれぞれ普通の卵より栄養価が高いとして話題を集めている。残念ながら、その分価格も高め。
財布に余裕があるときなら、ちょっとリッチに食べてみてもよいかも。