花粉症は「アレルギー」の一種で、健康な体を保つために欠かせない「免疫」と体内でのしくみは同じシステムです。花粉に対抗して体内でIgE抗体が増えすぎることで起こります。花粉症の症状があらわれるまでを見てみましょう。
花粉症がアレルギー反応のひとつであることは、ご存じのとおりです。実はこの「アレルギー」、意外なことに健康な体を保つために欠かせない「免疫」と体内でのしくみは同じです。
人体には体の外から侵入してくる異物に対して、その物質を排除するはたらきがあります。外部から侵入してきた物質(抗原)に、対抗する物質(抗体)を作って体を守ろうとするのですが、抗体が一定量になったとき、同じ抗原が進入してくると、その抗原が抗体と結びつき、それまでと違った反応を示すようになります。
■免疫とアレルギー
この反応が体にとって都合よくはたらく場合を「免疫」といい、人間が病気から体を守るために活躍するシステムです。例えばはしかやおたふく風邪に2度かからないのは、この免疫のはたらきによるもの。
しかし、免疫は時と場合によっては人体に不快な症状を招き、さまざまな病気の原因ともなることがあります。これが「アレルギー」で、I・II・III・IV型の4つに分類されます。アレルギー性鼻炎や花粉症は典型的なI型アレルギーにあたります。
人体は外から侵入してきた抗原に対し抗体を作って自分を守ろうとしますが、花粉症の場合、花粉という抗原に対し、体は「IgE抗体」と呼ばれる抗体を作って反応します。IgE抗体はすべての人に同じように作られるわけではなく、作られやすい体質が生まれつき決まっています。この体質をアレルギー体質といい、IgE抗体は花粉症のほかにもアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などと深く関わっています。
IgE抗体は、原因となる花粉との接触を何度か繰り返すうちに体内に蓄積されていきます。この蓄積が一定の水準に達したとき、発病する条件が整った状態になります。この状態で再度花粉に接触すると抗原(花粉)とIgE抗体が結びついて花粉症の症状が現れます。
IgE抗体が蓄積されつつある人でも、一定の水準に達していなければ症状は出ません。いわば花粉症予備軍で、このまま花粉との接触を続けていれば、いつかは発病してしまいます。
このIgE抗体、もともとは寄生虫に対する抗体だったとも言われ、闘うべき相手がいなくなってしまったので、はたらきが少し変化したのではないかと考えられています。
肥満細胞から放出されたヒスタミンなどのアレルギー症状をおこす化学物質は、神経や血管を刺激します。知覚神経が刺激されると「目や鼻のかゆみ」や「くしゃみ」「鼻水」「涙」といった症状を示します。血管が刺激されるとうっ血やむくみが生じ、「鼻づまり」「目の充血」といった症状に現れます。