冬の乾燥により、体内の水分が減って血液がドロドロになってしまうことが原因で脳梗塞・心筋梗塞が起きることも。湿度50~60%前後を保てるよう、室内の乾燥を防ぐための4ヵ条を紹介します。
肌を刺すような冷たい風を感じる季節。防寒もさることながら、乾燥対策に余念がない方も多いでしょう。カサつく肌が白い粉をふき、かゆみに悩まされないようにするための保湿クリーム。鼻やのどの粘膜を乾燥しにくくして、風邪・インフルエンザのウイルスに感染するのを防ぐためのマスク。これらで対策は万全かと思いきや、それだけではまだ十分とは言えません。
乾燥対策は、家の外側だけではなく家の内側、さらには体の内側にまで目を向ける必要があります。というのも、乾燥によって起きやすい病気として乾燥肌や風邪・インフルエンザのほかに、脳梗塞・心筋梗塞も挙げられるからです。脳梗塞・心筋梗塞が冬に起きやすいのは、寒さで血管が縮むことだけではなく、乾燥により体内の水分が減って血液がドロドロになることも、原因のひとつだと考えられています。
エアコンやストーブ、こたつなどの暖房器具が普及し、構造や内装の流行が変化した現代の日本の住居は、ひと昔前の一般的な住居よりも乾燥しやすい環境だと言えます。人間の体は皮膚や粘膜、吐いた息から水分が自然に失われますが、空気が乾燥しているとより多くの水分が失われます。血管内の水分が減ると血液中に含まれる成分の割合が高くなるため、血液はドロドロとした濃い状態になって血液がうまく流れなくなり、脳梗塞・心筋梗塞が起きやすくなります。
暖房器具の普及 | 外気よりも乾燥した空気になり体から失われる水分量が多くなります。 |
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気密性の向上 | 空気の出入りが少ないので入り込む外気による加湿がされにくくなります。 |
広々としたリビング・ダイニングの増加 | 水分を適度に出し入れする壁やふすまなどの仕切りが少なくなります。 |
天然のイグサが用いられた畳の減少 | 水分を適度に出し入れする天然イグサの働きを利用できなくなります。 |
脳梗塞・心筋梗塞の予防として室内の乾燥を防ぐには、まずは湿度計を設置して、現状を把握する必要があります。湿度50~60%前後を保てるように、状況に応じて以下の対策を実践しましょう。
加湿器を使うほかに、こまめに換気をする、洗濯物を部屋に干す、室内で植物を育てる、石油ストーブの上に水を入れたやかんを載せるといった方法でも、湿度を高められます。
冷たい水を飲むことによる体の冷えが気になる場合は、常温の水か、沸かしたお湯を冷ました白湯(さゆ)を飲むと良いでしょう。利尿作用のあるコーヒーや緑茶は、飲みすぎると水分が尿として排出されやすくなるので、飲みすぎないように注意が必要です。飲み物だけでなく、緑黄色野菜や果物などを食べることで、食事でも水分補給ができます。
口よりも鼻から息を吐いたほうが、失われる水分量が少なくなります。鼻で息を吸うと、空気は加湿されて体内に取り込まれます。また、鼻には風邪・インフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐフィルターとしての役割もあるので、意識して鼻呼吸をするようにしましょう。
肌の露出が減ると、皮膚や粘膜から失われる水分量を減らすことができます。暖房器具をきかせすぎるのを避けられるため、室内の乾燥防止にもつながります。