中高年のひざの痛みとして知られる「変形性膝関節症」は、関節軟骨や関節液中に含まれるヒアルロン酸が減少することで引き起こされると言われます。
年齢を重ねて中高年になると、階段の上り下りなどでひざの痛みを感じる人が増えます。この多くが「変形性膝関節症」といい、立ったり座ったりという日常動作でひざに痛みを感じ、そのまま放置すると膝関節が変形して、歩きにくくなる病気です。
ひざは、長い期間負担をかけられることで、関節軟骨や関節液中に含まれるヒアルロン酸が減少し、軟骨の弾力性がなくなったり、膝関節内のうるおいが少なくなったりしてしまいます。その結果、軟骨がすり減って変形し、関節部分に炎症が起こって痛みを感じると考えられています。
この病気は中高年、なかでも女性に起こりやすく、またO脚の人、足の筋力が低下している人、太っている人、スポーツやけがでひざに負担をかけた人にも起こりやすい傾向があります。心当たりのある人は、症状をチェックしてみましょう。
症状に心当たりがあれば、早めに整形外科を受診して検査を受けることが大事です。病気の進行は、エックス線検査によって、次の4段階に分けられています。
段階 | 状態 | 症状 |
---|---|---|
1度:ほぼ健康 | 上下の関節軟骨が少しすり減っているものの、表面はまだなめらかな状態 | 自覚症状は、ほとんどない |
2度:軽度 | 関節軟骨のすり減りや、けば立ちが目立ち、骨の間のすきまが狭くなる | 動き始めるときに、痛みを感じる |
3度:中等度 | 関節軟骨のすり減りが激しく、骨の一部がむき出しになっている | ひざを完全に曲げられない |
4度:重度 | 関節軟骨はほとんどなくなり、上下の骨がぶつかり合う | 動かなくても痛みを感じる 歩きにくくなる |
治療では、主に生活指導、理学療法、薬物療法という3つの「保存療法」が行われます。
まず、生活指導では、減量の指導や杖の使用によって、ひざに負担をかけない生活を促します。
また、理学療法では、ひざを伸ばす筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」の筋力を鍛える体操を指導します。たとえば、下のような体操です。
そして、薬物療法ですが、鎮痛・抗炎症薬の内服薬や外用薬の使用のほか、「ヒアルロン酸製剤」の注射があります。先に述べたように、変形性膝関節症は関節軟骨や関節液中に含まれるヒアルロン酸が減少することによって起こりますが、この物質を膝関節内に注入することによってひざの痛みや動きを改善させ、病気の進行を抑制することができます。この療法は、病気があまり進行していない中等度までの人に行うと、効果が期待できます。
こうした保存療法で改善されない場合には、手術療法が検討されます。内視鏡を使ってすり減った軟骨などを切除する「関節鏡視下手術」、O脚になった膝関節を矯正する「高位脛骨骨切り術」、人工の膝関節に置き換える「人工膝関節置換術」が代表的な方法です。
この病気の改善には、日常でもひざに負担をかけない生活を工夫することが大事になります。特に、次のようなポイントが有効になりますので、ぜひ検討してみましょう。
ひざの痛みを主訴とする病気には、次のようなものがあります。変形性膝関節症との違いをチェックしてみましょう。