ナチュラル・クリーニングは、石けんや重曹、クエン酸やお酢などのナチュラルな素材を利用するクリーニング法だ。「エコ掃除」と言うこともある。洗い物などが多く手あれで悩む人や、家族にアトピー性皮膚炎など肌のトラブルがあるという人には、オススメ。
ナチュラル・クリーニングは、欧米などで受け継がれてきた昔ながらのクリーニング法。石けん(できれば純石けん)や重曹、クエン酸またはお酢などのナチュラルな素材を利用するクリーニング法だ。「エコ掃除」という呼び方をする場合もある。洗い物などが多く手あれで悩む人や、家族にアトピー性皮膚炎など肌のトラブルがあるという人には、オススメ。
イギリスでは、3月はスプリング・クリーニングの季節だとか。日本でも、春といえば進学、就職、転勤、引越しの多い季節。あなたも新しい季節の始まりに、今までのクリーニング法を見直してはいかが?
石けんはともかく、「重曹で掃除?」と違和感を抱く人もいるはず。何しろ、重曹は食品。黒豆を煮るときやケーキの膨らし粉として活躍するものだ。また、クエン酸はペットボトルのお茶やジャムによく使われているもの。お酢は調味料で、どちらも食品保存に役立つ。食べられるものだから、無害であることは分かるにしても、なぜ掃除に役立つのだろう?
実はナチュラル・クリーニングは、昔は日本でも行われていたもの。そして、科学的な根拠もきちんとある。ナチュラル・クリーニングは、酸性の汚れはアルカリ性の材料で、アルカリ性の汚れは酸性で落とす、つまり汚れを中和するというわけだ。
重曹は炭酸水素ナトリウムとも呼ばれる天然のミネラルだ。水に溶かすと分解されて水と二酸化炭素の泡が出てくる。例えば鍋のこげつきに重曹をふりかけ、水をためておくと、この二酸化炭素の泡がコゲを浮かせて、汚れを落としやすくするのである。
また、酸性の汚れである油汚れやワインのシミ、あか汚れを中和して落とす。粒子が細かく、ソフトな研磨作用があるのでクレンザーとしても使える。腐敗臭などの脱臭効果も。
クエン酸はレモンや梅干のすっぱさの素。食中毒の原因となるサルモネラ菌の繁殖を抑える作用がある。この性質を利用して、雑菌が繁殖しやすいまな板など台所の周りに使うとよい。
酸性なので、水あかや石けんカスといったアルカリ性の汚れを中和する。アルカリ性のたばこのヤニ、魚の臭い、雑菌の繁殖による臭いの脱臭には、クエン酸を溶かした水をスプレーするとよい。レモンなどかんきつ類やお酢を使ってもOK。
浴槽は、重曹を振りかけ、石けん水を数滴つけたスポンジで汚れをこすり落とすのが基本。
佐光紀子さん
著書に『ナチュラル・クリーニング』(ブロンズ新社)、『ナチュラルに暮らす70の方法』(ブロンズ新社)などがある。
今回、お話をうかがったナチュラル・クリーニングにくわしい佐光紀子さんは、翻訳の仕事を通してナチュラル・クリーニングを知り、自ら実践しつつ著書やホームページを通して広めている。
というのも、佐光さん自身がゴム手袋に負けて湿疹ができてしまうなどの肌のトラブルから解放されたからだとか。自分が何を使っているのか分かる点も安心、ストレスも大幅に減って気持ちよい生活を送れているという。佐光さんの元には、ナチュラル・クリーニングに変えてよかったという喜びの声もたくさん届いている。
例えば、ペットが、洗剤を使って掃除をした床をなめたりすることが気になっていたという人が、ナチュラル・クリーニングで、意外に簡単に汚れが落ちるのでよかったといった話は多い。材料が分かっている安心感は大きいようだ。
とくに多いのは、手あれに悩まされていた人が、ナチュラル・クリーニングに変えてみたら、ひどかった手あれが軽減されたという話。石けんを使うなら、純石けんが望ましいが、とりあえず、家にある化粧石けんをスポンジにつけて使うなど、できるところから始めてみてはいかが?