疾患・特集

ストレスを知ろう

あなたを守るホメオスタシスを知っていますか?

ストレスは、人間だけが感じているものではありません。およそ、この地上に生きている生命体はみな、ストレスと無関係では暮らせないのです。
生命は、刻々変化する外界の環境に対して生体を安定した状態に維持しようとする仕組みを持っています。これを、ホメオスタシス(恒常性)といいます。
このホメオスタシスは、ほ乳類のような高等動物では図のような神経-免疫-内分泌(ホルモン) の相互作用で維持されています。
例えば寒さを感じた時、交感神経が働いて末しょうの血管を収縮させ体外への熱の放散を防ぐ一方で、甲状せん刺激ホルモンの分泌が増えて代謝を促す甲状せんホルモンが産生され、体内では熱が産生されます。ちょうど防寒設備を整えたうえに、燃料を燃やしている居心地の良い部屋を作るわけです。このような反応は、体温低下を抑えて活動量や免疫力の低下を防ぐことにもつながります。

20世紀に生まれたストレス

このような外界の刺激に対する生体の反応を「ストレス」というのです。この言葉は、1935年にセリエ(Selye)という研究者が初めて使ったもので、もともとは物体に力を加えることで生じるゆがみを意味する言葉でした。また、このようなストレスを起こさせる刺激は「ストレッサー」と名付けられました。
現代社会で私たちが日常的にストレスと呼ぶもの、つまりノルマや疲労、人間関係、睡眠不足などなどは、正確にはストレッサーというのが正しいのです。