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更年期障害をできるだけラクにスムーズに乗り切るために~男性の場合

男性の更年期障害、その原因と、男性ならではの症状の傾向、対処法をご紹介します。できるだけラクにスムーズに乗り切る秘訣とはどのようなことでしょうか。

まず認めること。理解し、理解してもらうこと

男性の更年期障害は、やっと認める方向に進んでいるというのが現状で、なかなか思うように治療方法が確立されないのが難しいところです。
これは、男性の更年期障害が精神的な面に多く出がちなことにも関わるのかもしれませんが、中高年男性の自殺の増加と考え合わせると、なんとも残酷な皮肉です。

男女ともに更年期障害がある」と認知しましょう。そして男性は、更年期の年齢になり、「疲れが取れない」といった症状が出たら、更年期障害の可能性も考えていきましょう。女性は、男性の更年期障害を知り、男性への理解を深めていきましょう。まずは、そこからです。

次に挙げるのは、「更年期の男性のための心得10ヵ条」です。ちなみに、加齢を肯定的に捉える人は、否定的に捉える人より長生きする、という研究結果もあるようです。人生を楽しむ視点が、何よりの薬なのかもしれません。

更年期に心がけたい10ヵ条

  • 体調の変化や衰えを受け入れる
  • がんばらない。無理をしない
  • 生活をできるだけ規則正しく
  • ストレスを減らす工夫をする
  • 生きがいや趣味を持つ
  • むやみに不安感を抱かず、人生を楽しむ気持ちを持つ
  • 健康診断を定期的に受ける
  • 適度な運動をする
  • 加齢を肯定的に見る
  • 何かあったら、すぐ病院を受診する

生活を見直そう

ある調査によると、40~50代の男性にどんなときに加齢を意識するかという質問をしたところ、眼精疲労や睡眠の減少、物忘れなどがあげられたそうです。また、それを意識した年齢では、不規則な食生活をしている人や悩みのある人、健康維持の努力をしていない人は、そうでない人に比べて3~6年早く、身体的な加齢を感じているとの結果となりました。

次の表を見てみましょう。これは、上記のような男性陣の中から、早めに加齢を感じた人を対象に検査した血液データです。大差はありませんが、加齢を早く感じる人は血中のビタミン濃度が低い傾向があることがわかります。

更年期男性の「節目」の意識と血液ビタミン濃度(平均±標準偏差)

  早期群(46人) 通常群(42人)
B1(ng/ml)56±1766±27
B2(ng/ml)76±1376±16
B6(ng/ml)11±514±7
C(mg/dl)1.02±0.371.19±0.33
A(ug/dl)62±1865±13
E(ug/ml)11.2±3.212.5±3.3

出典:「更年期の保健学」細谷憲政監修/杉山みちこ 第一出版

これにはストレスや喫煙などの原因もありそう。更年期にかかる前でも、積極的にビタミン補給を心がけたほうが良いようです。もちろん、女性の場合で紹介した症状を軽減する食事のコツや、適度な運動は、男性にも有効です。併せて取り組んでいきましょう。

相性の良い病院との二人三脚を

女性もそうですが、男性の場合は特に、性欲の減退やEDといったデリケートな性の問題が関係するため、どうしても病院へ行くことを躊躇しがちのようです。でも、そうして躊躇している間にもストレスはどんどんたまり、それらは精神的な落ち込みなどとなって自分自身へ跳ね返ってきます。

定期的な健康診断は、会社で受けていることも多いでしょう。そうした上で、先に見たような症状がある場合は、ぜひ神経精神科もしくは心療内科へ。性欲減退の場合は、バイアグラの処方で自信を取り戻し、精神的にも立ち直った例も少なくありません。でも、このバイアグラにしても心臓疾患のある人には決して処方できない禁忌治療です。自己診断・自己治療はあまりにも危険です。

普段から、相談しやすいホームドクターを探し、何でも話せる土壌を作っておくのがおすすめです。

参考文献:「明るく乗りきる男と女の更年期」赤塚祝子 講談社現代新書