
自我障害について
お世話になります。
現在私は解離性同一性障害、不安障害などで精神科にかかっています。
ですが私は別人格がいるとは思っておりません。
確かに自分ではない自分になることはあります。
しかし、すべては私の意識の上でのことです。
その場を自分自身ではどうしたらいいかわからない、などという時に私は演じるように他の人格になります。
自分で作り上げた人格になることで「自分」ではできないこともできました。
やがてそれが当たり前になり、自分が自分を操っているのか、何者かに操られているのかよくわからなくなってしまいました。
でもきっと自分は解離性同一性障害ではない。
そう思い、今日の診察で精神科の先生にすべてを話したところ、先生が解離にはかわりない、その上で「自我障害」って言うんだよと話してくれました。
この「自我障害」について詳しく聞かせていただけないでしょうか?ネットで調べたところ、統合失調症の症状とありました。
自我障害とは病名ではなく、症状のことを言うのでしょうか?どのような状態を言うのか教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。

心の状態を示す用語と考えてよいと思います
自我障害は、病名としてはほとんど使われない精神医学用語で、ご相談者がご指摘のように心の状態を示す用語と考えてよいと思います。
ネットなどでは統合失調症の症状などと出ています。
具体的には自分で考えるという認識が欠如し、自分の考えが周囲に知られるように感じたり、他人の考えが自分の中に入ってくるように感じることです。
さらにわかりやすく言えば、いつもの自分とは違う自分になった感じともいえます。
自分と他人の境界があいまいになっている状態ともいわれます。
統合失調症の症状の特徴ともいわれていますが、極度のストレスが負荷されたときにも自我障害が生じて、自分が誰かに操作されているように感じたり、いつも監視されているように感じることがあり、必ずしも統合失調症だけに生じるものではありません。
解離性障害も自分の感覚や考えが連続しておらず、いわゆるこれが私であるという自己同一性が保たれない状態です。
ご相談者は自分で作り上げた人格になることで「自分」でできないこともできたそうですが、やはりこれは自己同一性の破綻ともいえるので、広義の解釈としては自我障害(いつもの自分ではない自分で考えたり行動する)と言えます。
解離などは、心の防衛で発現することも多々あり、悪いものと決めつけない方が良いと思います。
ご参考になれば幸いです。

カズさんからコメントをお寄せいただきました。
お世話になっております。
回答を読ませていただきました。
とてもわかりやすく、かつ悪いものと決めつけない方が良いとのお言葉に少し気持ちが楽になった気がします。
ありがとうございました。

牧野真理子 先生
ドクターご活躍の場所 | 牧野クリニック(東京都中野区東中野) 診療部長 東邦大学医学部客員講師 JICA(国際協力機構)顧問医 優秀臨床専門医 アサヒビール産業医 オレンジページ産業医 日本心身医学会代議員 日本女性心身医学会理事 国際摂食障害学会会員 |
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ご専門 | 心身医学(心療内科) 女性の心身症(摂食障害など) 職場のメンタルヘルス 異文化間メンタルヘルス |
ご経歴 | 国公立大学卒業後、北里大学医学部卒業 メルボルン大学医学部大学院卒業 |
著書 | 『誰も私をわかってくれない:摂食障害・心の迷路』(悠飛社:1999) 『異文化ストレスと心身医療』(新興医学出版社:2002) 『もういいや!!と叫んで心の毒出しができるメンタルデトックス』(祥伝社:2005) 『うつにもいろいろあるんです。』<漫画 細川貂々> (オレンジページ:2011) 【共著】 『医療看護学』(中山書店) 『職場のメンタルヘルス』(南山堂)など多数 【連載】 『からだの本』(オレンジページ)「女性とうつ」連載中 |
所属団体 | 日本心身医学会代議員 日本女性心身医学会理事 国際摂食障害学会会員 |
先生からの一言 | メンタルヘルスの疾患も早期発見が早期回復につながります。 小さなことと思ってももし悩んでいるようでしたらお気軽にご相談ください。 |
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