おしえて先生

聴覚過敏かミソフォニアか

はこ(4b63cf7039)・16~19歳女性 2023/07/10 投稿

4月に高校2年生になります。
私は咀嚼音や鼻息、貧乏ゆすりの音など些細な音が気になって授業に集中できなくなるときがあります。
席替えをして隣の人の鼻息が荒いことに気づき、授業中脂汗がでたり、シャープペン投げてやろうかってくらいすごく不快な気持ちです。
父がぺちゃくちゃ食べるいわゆるクチャラーで、咀嚼音が過激な場合は何度も直ぐに注意するくらい嫌いです。
赤ちゃんや小さい子の声を聞くのも嫌いです。
音を避けようとイヤホンをしていても聞こえてしまいます。
また、学年集会で大きなBGMが流れる時やタイマーがなる音、車がブレーキするときのキキーっと高い音だったり、スライドタイプのドアに汚れがたまって開閉時に高い音が鳴ったりすると耳に違和感を抱くくらいジリジリと響くように感じてしまって耳を必ずさわったり、痒かったり頭痛がするときがあります。
幼少期、初めて映画を見に行った頃音が大きくてずっと耳を塞いで聞いてたりしていました。
今では映画を観る時、大きな音でない限り耳を塞ぐことはありません。
外でAさんと私が話している時、Bさんが5メートルくらい離れた場所から話しかけると、Aさんは聞こえてるのに、私は言葉が途切れ途切れで聞こえないときがあります。
風の音のほうが大きかったと思います。
最近、聴覚過敏や音嫌悪症(ミソフォニア)というものを知ったのですが、それらに該当しますか?2つの違いもよくわかりません。
ネットである程度の診断をしてみたのですが、可能性はある、とのことです。
また関係あるかはわかりませんがADHDの可能性もあるとネットの診断結果ではでていました。
音に長いこと悩まされてきたので病院に行きたいのですが、何科が1番いいですか?もし精神科や心療内科が1番なら親に言い難いのですが、どうしたら親は本気になってくれたり、私は言いづらさを解消できるでしょうか…?友達に難聴の子がいて変に怪しまれてしまうのではと心配です。
回答お願いします。

苦手じゃない(気にならない)音もあります。
手と手を叩く音とか他の人が動画やテレビを視聴している音など。
また遠い場所なら大丈夫ですが花火やバイク、シンバルやピッコロの高くて響く楽器、野球の試合開始のブザー?は近くにいると恐怖を感じたり耳障りです。
これは生理現象ですかね?普通に聞こえるのは何が基準なのか難しいです。

聴覚過敏は何気ない音が大きく響くことが特徴です

聴覚過敏は、普段は何気ない音が大きく響くことが特徴です。
ミソフォニアは音が大きく聴こえるというよりも特定の音(鼻をすする音や、咀嚼音)がとても気になってしまう状態です。
ご相談者は、何気ない音が大きく聴こえてつらいというより咀嚼音や貧乏ゆすりが気になっているようですので聴覚過敏よりはミソフォニア状態の可能性が高いように思われます。
ただし、頭痛も伴う場合もあるようですので、まずは聴覚過敏と頭痛を伴うこともあるとの相談を脳外科もしくは脳神経内科を受診し脳腫瘍などの大きな病気を除外することが第一であると思います。
単なる聴覚過敏とミソフォニアの鑑別診断をお求めであれば耳鼻咽喉科を受診されるとよいと思います。

ミソフォニアは、ベースにメンタルヘルス関連の疾患(うつ病、パニック障害、摂食障害、発達障害、統合失調症など)があり、これらの主疾患の随伴症状として出現することも多々あります。
ネット診断はあまりあてになりませんが、ADHDの可能性もあるとの結果ですので、ADHDの随伴症状の可能性もあります。
メンタルヘルスの疾患の随伴症状としてのミソフォニアはメンタル疾患の治療で軽快することも多いです。

以上より今後ご相談者の取るべき行動は以下になると判断いたします。

1.脳神経外科、脳神経内科を受診し、器質的な脳腫瘍などの有無を確認する。

2.1で異常がなければ精神科を受診し、精神科系の基礎となる疾患の有無を調べていただく。
もし基礎的なメンタル疾患があればその治療をする。

最後に、ミソフォニアは、突然出現し、いつの間にか消失していたという例もあります。
ご参考になれば幸いです。


追記:
精神科や心療内科の受診は親に言い難いのでどうすればよいか?⇒今までつらかったことが解決できる可能性が高いので、ご両親に今までつらかった体験をお話しし、専門家のアドバイスをもらったところ精神科受診を勧められたとお伝えください。
現代は精神科や心療内科を受診する方が増えています。
偏見やバイアスを持たないことも治療には重要です。

ご回答いただいた

牧野真理子 先生

ドクター
ご活躍の場所 牧野クリニック(東京都中野区東中野) 診療部長
東邦大学医学部客員講師
JICA(国際協力機構)顧問医
優秀臨床専門医
アサヒビール産業医
オレンジページ産業医
日本心身医学会代議員
日本女性心身医学会理事
国際摂食障害学会会員
ご専門 心身医学(心療内科)
女性の心身症(摂食障害など)
職場のメンタルヘルス
異文化間メンタルヘルス
ご経歴 国公立大学卒業後、北里大学医学部卒業
メルボルン大学医学部大学院卒業
著書 『誰も私をわかってくれない:摂食障害・心の迷路』(悠飛社:1999)
『異文化ストレスと心身医療』(新興医学出版社:2002)
『もういいや!!と叫んで心の毒出しができるメンタルデトックス』(祥伝社:2005)
『うつにもいろいろあるんです。』<漫画 細川貂々> (オレンジページ:2011)

【共著】
『医療看護学』(中山書店)
『職場のメンタルヘルス』(南山堂)など多数

【連載】
『からだの本』(オレンジページ)「女性とうつ」連載中
所属団体 日本心身医学会代議員
日本女性心身医学会理事
国際摂食障害学会会員
先生からの一言 メンタルヘルスの疾患も早期発見が早期回復につながります。
小さなことと思ってももし悩んでいるようでしたらお気軽にご相談ください。