
大食いは本当に大丈夫?
最近よくTV番組などで、大食いの女性が登場するのを見かけます。ステーキ30皿やお寿司100貫など平気で食べている姿にはびっくりです。多少はTV局の演出もあって無理をして食べているのかもしれませんが、医療機関で画像検査をしても「驚異的な消化機能のもち主」ということで、健康にはまったく問題ないように解説されています。
たとえ人並み外れた胃と消化能力を持っているとしても、肝臓や膵臓など、ほかの内臓には影響はないのでしょうか?

現時点で明確なデータはありませんが、体によくない影響があると考えられます。
まず、大食い、つまり沢山の量を食べることのできるメカニズムは、次のような原因があるのではないかと考えられます。
A)胃や腸の弁が緩くなっていて、食べたものが未消化な状態でもどんどん押し流されてしまう。このような体質の人は、摂取した食物をうまく消化吸収できないままになり、沢山食べても基本的には太りません。
B)胃に食べ物が入り過ぎたために、門脈が圧迫され狭くなっている。食べたものは胃から腸に送られ、腸で吸収されたものが門脈を通って肝臓に送られますが、門脈が狭くなり過ぎているために、栄養分が吸収されないのではないかという説です。このタイプの人も結果的に太りません。
C)体温が高い体質で、その高い体温を維持するのために脂肪の代謝が高くなっていて、よりたくさんのエネルギーと熱を放出している。このタイプの人が食べている最中の様子をサーモグラフィで見ると、褐色細胞でエネルギーを燃焼している様子がうかがえます。
D)空腹を感じる事の出来る脳の満腹中枢に異常が起きていて、いくら食べても満腹を感じない。
そして、ご質問の体への影響ですが、大食いの体質の人が居ることが知られるようになってから、日が浅く、まだはっきりとしたデータが得られていないので、どのような害があるのかは現時点では不明です。しかし、食物を消化吸収するために大量の活性酸素が発生することから、糖尿病等の生活習慣病や、細胞が傷つくことでガン細胞が発生しやすくなることなどが予想されます。

白鳥 早奈英 先生
ドクターご活躍の場所 | 中部学院大学講師 教育庁・農林水産省・文部科学省各省及び全農等による「食育」指導 都道府県及び市町村主催の健康講座講師 企業における健康講座講師 美容学校講師 雑誌連載、テレビの健康番組(コメント、監修) |
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ご専門 | 栄養関係全般(とくに食べ合わせ、ダイエット指導) 生活習慣病予防の運動及びリハビリ運動、心療カウンセリング、美容食 |
ご経歴 | 青葉学園短期大学食物栄養科卒業、日本女子大学家政学部栄養科卒業 東京農業大学栄養科及びアメリカジョージア州立大学栄養科に学ぶ アメリカンワールドユニバーシティにて博士号取得 重野診療所にて栄養指導 ジョージア州エモリー大学講師 |
所属団体 | 日本栄養士会及び栄養改善学会、アメリカ栄養士会、日本ビタミン学会、日本肥満学会、アーユルベーダー学会、日本健康運動指導士会、日本代替医療学会 |
先生からの一言 | 美容や医療の指導に携わる人々は、第一に指導者本人が心身ともに健康でなければ説得力がない、できれば実年齢より5~10歳位若い肉体であるのが望ましいとの考えのもと、日々努力をしています。 |
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