おしえて先生

ブリッジ以外の治療方法は?

あきうら(#)・30~39歳男性 2010/10/18 投稿

こんにちは。39歳、男、ケニアのナイロビ市在住にしております。こちらで治療中の歯について相談です。以下に、現在の歯の状況を示しています。
(前歯中央から左右に分け、前歯1~奥歯7としています。○は、異状なしの歯です。)
左上:1 差し歯、2 差し歯、3 ○、4 欠損、5 抜歯(9月7日)、6 クラウン、7 欠損。
右上:1 ○、2 ○、3 差し歯、4 銀歯、5 ○、6 銀歯、7 ○。
左下:1 ○、2 ○、3 ○、4 銀歯、5 欠損、6 欠損、7 欠損。
右下:1 ○、2 ○、3 ○、4 ○、5 欠損、6 欠損、7 ○。

※大きな治療部分
1)左上3~5:2003年にブリッジ治療。
2)左下5~7:20代前半頃、7と6欠損後、2001年に5も虫歯により抜歯した為、入れ歯治療。
3)右下3~7:1995年頃に4~7ブリッジをかけて、2008年10月頃、5の歯が割れ痛みが出てきたので4~7へブリッジの再治療を行った。(ケニアの現歯科医にて治療)

上記のような状況で、左上3~5ブリッジについての相談です。
3の歯が黒ずんでいたので、今年8月、日本へ一時帰国中に治療しました。3にコアを埋め込み、3~5にブリッジを新たに掛け直しました。ケニアに戻ってきた後、5の付け根周辺部が痛くなりケニアの歯科へ通院しました。日本での治療3週間後で、痛みと腫れが出て、痛み止めを処方されました。
レントゲンと診察の結果、何かの原因で歯の付け根部分に炎症が起きたようだとのことでした。39℃前後の発熱が2日続き、痛みが出て5日後に、5の上部の歯肉を切開し、膿を絞りとった後、抗生物質、痛み止めをもらい、腫れの症状は沈静してきました。
この間、先生のアドバイスにより、新陳代謝をよくするため患部のマッサージをするようにと促され、患部のマッサージを4日間続けましたが、5の歯の付け根の痛みはなくならなかったため、「炎症がひどくなり頭部に菌が感染しまう可能性がある」というので、先生の判断により、半分ほど歯が残っていた左上5を抜歯されました。そして、抜歯後の左上部のこれからの治療方法として、1~6までのブリッジ、又は、 2~6のブリッジを掛ける提案を受けています。材質はセラミックです。
私が現在通っている歯科は、在ケニアの日本人の多くが治療を受けている、まずます衛生面では信用できる歯医者です。(医師免許は、イギリスで取得と思われます。)
提案された治療について、噛む力も違う前歯から奥歯にかけてのブリッジの強度についてや、将来このような形のブリッジに不具合が出やすくないかなど不安があります。また、例えばコア+クラウンなど、その他の治療方法はないのかなとの疑問もあります。
私は、多くの歯を既に失くしており、特に左側は上下共に自分の歯が殆どありません。今後の治療は、なるべく歯を残しながらの治療を希望しています。このまま、ケニアでの治療を続けるか、あるいは今、日本へ帰国してより良い治療をするべきか、とても悩んでいます。
難しいケースと存じますが、ぜひ今後の治療方法を考える上でアドバイスをして頂けると幸いです。

帰国してじっくり治療を

歯の治療をする上では、残っている歯の状態だけでなく、噛み合わせの強さ、歯周組織の状態、習癖(歯軋りの有無や喫煙の有無等)など、いろいろな要因が関係してきます。
ですから一概に、この方法が良いのでは?というご提案が難しいので、ここでは、歯を失った場合に行われるいくつかの治療法の利点、欠点についてご説明させていただきます。

ご相談の部位は、左上の4と5が欠損になっていて、その両隣には、歯が残っているということですから、この場合は、一般に3通りの治療法が考えられます。
1つ目は、現在ご提案を受けておられるように、両隣の歯を利用してブリッジを装着する治療法です。
2つ目は、欠損部位に左下と同様に着脱式の入れ歯を入れるという方法です。
3つ目は欠損部位に、インプラントを埋入して歯を装着するという方法です。

1つ目のブリッジを装着する方法の利点は、入れ歯に比べて違和感が少なく、着脱などの面倒がないということです。
欠点としては、ブリッジを支える残存歯に欠損部位の負担がかかること、あきうらさんの場合は、支台になる両隣の歯が、すでに一度削って治療してある歯なので問題ありませんが、仮にここがまだ治療をしていない歯だったら、健康な歯を削らなければならないということも大きな欠点になります。
ブリッジを23456にするか、123456にするかということですが、支台になる236の歯の状態によって、1まで延ばしたほうがよいか判断することになると思います。

2つ目の着脱式の入れ歯を装着する場合の利点は、仮に両隣が治療していない歯の場合、歯を削らなくてよいということや、治療期間が短いなどの利点が考えられます。
欠点としては、ブリッジに比べて違和感が大きく、また、入れ歯の支えになるバネのようなもの(維持装置)をかける歯に負担がかかるということなどが考えられます。

3つ目のインプラント治療というのは、欠損部位にチタン製の人工歯根を埋入して、そこに人工の歯を取り付ける治療法ですが、この場合の利点は、治療後は、歯がもう一度生えてきたようなイメージですから、違和感が少なく、両隣の歯に負担がかからないということです。
欠点としては、治療が終わるまでにブリッジや入れ歯に比べると、長い治療期間が必要ということです。
また、インプラントを埋入出来るかどうかが、そこの骨の状態に左右されるので、仮に骨の量や密度などに不足がある場合は、事前に骨を作っておく手術が必要になる場合もあるため、そうなると、さらに長い治療期間が必要になります。
またインプラント治療は、ブリッジや入れ歯に比べると、より専門性の高い治療になりますから、それなりの専門医の治療を受ける必要があるなどの問題もあります。
海外から帰国して治療を受けられる場合は、一度の帰国で最終的に歯を装着するとしたら、場合によっては1年程度の治療期間が必要になる可能性もあります。

個人的には、ある程度の期間、もしくは複数回、帰国して治療を受けられるようなら、インプラント治療が、残存歯に負担をかけないという点では、最もすぐれた方法だと思いますが、インプラント治療の場合、治療費が、ブリッジや入れ歯に比べて一般的に高額になる場合が多いです。

ご回答いただいた

大竹美嶺子 先生

ドクター
ご活躍の場所 大竹歯科クリニック(東京都港区赤坂)院長
ご専門 歯科一般、矯正歯科
ご経歴 日本歯科大学卒業、東京医科歯科大学歯学部矯正学教室専攻科
関東逓信病院矯正歯科研究員、上杉歯科医院、(医)恒心会グリーン歯科勤務を経て現職
所属団体 日本矯正歯科学会、日本歯周病学会、日本ヘルスケア歯科研究会
先生からの一言 歯周病は万病の元です。自覚症状がなくても専門家による定期的なケアを心掛けましょう。