おしえて先生

紫外線を浴びすぎると癌に?

にしごはんだ(#)・40~49歳女性 2008/07/10 投稿

幼稚園に通う息子のことで相談です。
息子の通う幼稚園では、屋外でのお遊戯や散歩の時間にはまるで宇宙服のような上着の着用が義務付けられていいます。
私が子供の頃、紫外線は健康に良いとされ、夏にはみな真っ黒に日焼けしていたものでした。さすがにこの年になると、シワやシミが気になって紫外線は避けるのが常識になっていますが、育ちざかりの子供でもそこまでして紫外線を避ける必要があるのでしょうか?園長に聞くと「将来、癌になる危険性があるから」とのことでした。それよりも私は、骨の成長などに悪い影響がでないかと心配です。
アドバイス宜しくお願い致します。

できる限り紫外線を避けるように心がけてください

約20年前から、科学の進歩により太陽光線に含まれる紫外線が皮膚がんの一番の原因であること、さらには、紫外線により10日間は免疫機能が傷害されることが分かりました。また、日焼けを繰り返すことが、シミや、シワの原因であることもはっきりしてきました。現在、科学に基づいた根拠から、日焼けはできるだけ避けたほうが良いのです。また、1998年には母子健康手帳から、「日光浴」の勧めが削除されています。宇宙服を着ることまではしなくても、紫外線はしっかり止めてくれる日焼け止めを常に塗るのが一番いいでしょう。勿論、長袖、つばの長い帽子の着用はいいことです。建物などの陰を利用するのもいいのですが、紫外線は下からも横からも、反射や散乱で顔に皮膚に届いています。園長先生のお考えは間違っていません。正しい現在の知識を持っておられます。
なぜ紫外線が悪いのかを簡単に説明します。それは、皮膚の細胞の遺伝子に沢山の傷をつけるからです。たいていの傷は、細胞の持っている力で治しますが、沢山傷がつくと治している時間が足りないのです。子供の皮膚は、成長期ですから、細胞は活発に分裂を繰り返しています。遺伝子に傷がついたまま、細胞分裂の準備に入る時、つまり、遺伝子を合成して1個の細胞が2個になろうとする時に、遺伝子に間違いが起きやすいのです。子供のときにたっぷり紫外線を浴びたヒトが、大人になって皮膚がんになりやすいことを示す学術報告が、既にいくつも出されています。子供さんを紫外線から守ってあげましょう。

ご回答いただいた

市橋正光 先生

ドクター
ご活躍の場所 アーツ銀座クリニック 院長
ご専門 皮膚科学(光線過敏症、皮膚がん、色素異常症、美容)、再生医療
ご経歴 神戸医科大学 卒業
神戸大学大学院医学研究科 修了
ロンドン大学皮膚科学研究所 留学
神戸大学医学部 教授
サンクリニック・サンケア研究所
森之宮医療大学抗加齢研究所長
再生未来クリニック・神戸 院長を経て、現職
所属団体 日本皮膚科学会、日本研究皮膚科学会、日本色素細胞学会、日本光医学・光生物学会、日本再生医療学会、日本抗加齢医学会、日本レーザー治療学会、NPO幹細胞治療研究機構、見た目のアンチエイジング研究会、細胞再生医療研究会、糖化ストレス研究会、国際医科学研究会、生命機能研究会、白斑研究会、日本コエンザイムQ協会、カシス協会
先生からの一言 人生を心身ともに健康に生きるには顔の肌のシミやシワなど、見た目の若さが大切です。そのためには太陽紫外線の有害性を知り、皮膚細胞のはたらきを高めることです。アンチエイジングであなたも若返りましょう。