おしえて先生

自宅に戻りたいという父…どうすれば?

りす(#)・40~49歳女性 2007/01/11 投稿

肝臓がんと診断された父は、5年もの間、エタノール注入や肝動脈塞栓術などの治療を受けてきました。しかしこれ以上の治療は難しいと言われ、現在は積極的な治療をせず、モルヒネを使いながら、痛みを取っています。現在父は、病院の緩和ケア病棟に入院していますが、できれば自宅に戻りたいと言っています。
私には子どももおり、24時間ずっと父のそばについているわけにもいきません。今は病院にいるので、痛みが強いといっても、たまにお見舞いに行く程度の私にはそれがどれほどのものかわかりませんし、医療に関する知識もないので、もし自宅で何かあったらと思うと、不安でたまりません。ただ自宅に戻りたい父の思いもわかります。父の願いをかなえてあげたいと思うのですが、家族はどうすればよいのでしょうか?

環境を整えて、お父さんの希望をかなえてあげてください

りすさんをはじめ、ご家族にとっても不安は多いと思いますが、最期を自宅で過ごしたいというお父さんの希望を、ぜひかなえてあげてください。そのためにはまず、環境を整える必要があります。定期的に自宅へ診察に来てくださる医師・看護師が必要になりますので、主治医にお父さんの希望を話し、相談して下さい。
お父さんの知り合いの先生がいれば、その先生が良いと思いますが、心当たりがなければ、主治医から近くの往診可能な開業医、あるいは病院の医師を紹介してもらいましょう。往診をお願いする先生には、病状やお父さんの希望、家庭・家族の状況も含めて事情を説明します。そのうえで引き受けていただいたら、次に定期的に訪問看護をしてくださる訪問看護ステーションを紹介してもらいましょう。病院や診療所には、訪問看護ステーションを併設しているところもあります。
これで定期的な診察による病状の把握と、家族にはできない点滴注射の交換や痛みを取る注射などが自宅でも受けられます。次いでお父さんの療養する部屋を用意するなど、自宅での体制を整えましょう。つき添いは、1人の方が24時間行うというのは不可能ですから、ご主人、兄弟(姉妹)、事情を知っている友人などの協力を得て、少なくとも2~3人のチームをつくり、交代でつき添ってあげてください。
家族に見守られて自宅で最期を過ごすというのは、もっとも幸せな環境と言えます。困難も多いと思いますが、ぜひお父さんの希望をかなえるため、がんばってあげてください。

ご回答いただいた

小川 一誠 先生

ドクター
ご活躍の場所 愛知県がんセンター名誉総長
ご専門 臨床腫瘍学(癌の化学療法)
ご経歴 名古屋大学医学部卒業
愛知県がんセンター内科医員
メモリアル・スローン・ケッタリング癌センター(米国ニューヨーク市)留学
愛知県がんセンター内科医長
癌研究会癌化学療法センター臨床部部長
癌研究会付属病院化学療法科部長
癌研究会付属病院副院長
愛知県がんセンター病院長
愛知県がんセンター総長
愛知県がんセンター名誉総長
著書 がんの早期発見と治療の手引き(小学館)、抗癌剤の選び方と使い方(南江堂)ほか
所属団体 日本癌学会、日本癌治療学会、日本乳癌学会、日本血液学会、米国癌学会、米国臨床腫瘍学会、欧州臨床腫瘍学会
先生からの一言 癌の一次予防は、禁煙、バランスのとれた食生活、適度の運動などの生活習慣です。二次予防は、定期的に癌の検診を受けることです。癌は予防可能な病気であり、早期診断・早期治療で治癒します。