人は体の中の不用物や老廃物を便や尿などで体外に排出しています。尿は全身の不用物や老廃物を血液が運んできてくれた液にあたるため、体の調子が悪ければ、尿にもその異常が表れることに。なかなか人には相談しにくいかもしれませんが、体のSOSを見逃さないために、尿のことをよく知っておきましょう。 目次 尿は健康を表わす大切な指標 オシッコはどうやってつくられる? 尿は健康を表わす大切な指標 普段、何気なくしているオシッコは健康状態を確かめる大切な指標だ。1日に約1500ミリリットル前後の尿を排泄するが、体の調子が悪ければ、尿にもその異常が表れる。例えば、血が混じったり、ニオイがいつもと違ったり、オシッコをするときに痛みを伴うなど、さまざまな症状がある。そして、それを自覚できるところが尿のいいところだ。 尿に異常があっても、なかなか人には相談しにくいかもしれない。でも、体のSOSを見逃さないために、尿のことをよく知ってみよう! オシッコはどうやってつくられる? 人は体の中の不用物や老廃物を便や尿などとして体外に排出している。便が食べ物のカスなどであるのに対し、尿は全身の不用物や老廃物を血液が運んできてくれた液にあたる。つまり、体の汚れを落とした廃液というワケだ。 「血液が尿!?」とちょっと驚いたかもしれないが、血液から尿ができるまでのプロセスを取りまとめている器官が腎臓である。 腎臓にはネフロンと呼ばれる尿をつくるための基本単位がある。片方の腎臓には約100万個のネフロンがつまっている。血液がこのネフロンを通るとき、最初のステップでろ過されて原尿になる。その量は1日約150~180リットル。それがさらに尿細管などを流れる間に再吸収されて、最終的に原尿の約1%の1.5~1.8リットルが尿となって排泄されるのだ。 腎臓は1分間に平均1ccの尿をつくりだす。つくられた尿はいったん膀胱にためられる。膀胱は、伸び縮みする袋で、普通は300~500ccの尿がためられるが、150~200ccたまると「尿がたまったな」という感じがしはじめる。 個人差はあるものの、300ccくらいで「オシッコしよう!」と思い、400ccくらいで必死にトイレを探すようになるのだ。 腎臓から膀胱までの構造は、男女ともにほとんど同じであるが、尿道の構造は大きく違い、男性の尿道が20cm前後あるのに対し、女性は4cm程度。そのため、かかる病気は異なってくる。簡単に言えば、男性は尿道やそれを取り巻く前立腺などがあるため、閉塞性の疾患が多く、女性は尿道が短く汚染されやすいので、尿路感染症が多くなる。 公開日:2001年5月7日
トイレは便や尿を排泄するところ。トイレほどあなたの健康状態を教えてくれるところはありません。便や尿の状態からどんなことがわかるのでしょうか? 目次 便秘 下痢 血尿 細菌尿・膿尿 頻尿 多尿 便秘 48時間以上排便がなかったり、便意はあるのに排便できず苦しんだりする場合を便秘という。 普通は起き抜けに水を飲んだり運動を心がけることで解消されるが、慢性腸炎、腸閉塞、がんなどでも便秘になることがある。 下痢と交互に便秘になったり、激しい腹痛、嘔吐などがある場合は一度医師に相談を。 下痢 下痢には一時的な腸の機能の異常が原因のものと、腸の病気が原因のものがあり、前者はあまり心配がないが、後者は治療が必要となる。 その見分け方のポイントは、便の中に血液、粘液、膿が混じっていないか、便の色が灰色、赤色、黒色、緑色など普段と違っていないかなどである。 下痢以外に、発熱、腹痛、嘔吐などの症状がある場合は間違いなくなんらかの病気なので内科へ行くこと。 上記のような症状がない下痢なら、水分のとり過ぎや腸が疲れているだけなので様子を見ても良い。 血尿 尿が赤ワインのような色の時は、腎臓や膀胱の病気の可能性大。 排尿の最初の方で血尿が見られる時は膀胱、最後の方の時は腎臓に疾患があると考えられる。 血尿のほかにむくみや動悸、手足のしびれ、疲労感、残尿感などの症状がある場合は、一刻も早く泌尿器科か内科の病院に行くこと。 かぜ薬や下剤など薬を服用した時や、たくさん汗をかくなどして尿の量が少なくなった濃縮尿の時にも尿が赤く見えることがあるが、これは血尿ではない。 細菌尿・膿尿 尿が白く濁ったり、濁ってどろどろしている場合、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など腎臓や尿路系が細菌に感染したと考えられる。 この場合、排尿時の痛みや発熱、背中の痛みなどを伴うことが多く、放っておくと腎不全になる可能性もあるので必ず医師の診断を受けることが必要。 頻尿 排尿回数が異常に多い場合を頻尿という。 たびたび尿意をもよおしトイレに行くが排尿量は少ないのが特徴。 尿道炎、膀胱炎など尿路が細菌に感染し、その炎症が刺激となって尿意をもよおす。 多尿 排尿回数、排尿量とも多いのが多尿。 水分などを再吸収する腎臓の機能が低下するために尿量が増える。 多尿は、腎臓病でも長いこと腎不全が続いている人や糖尿病の人に多いが、多尿になるまでには、ほかの症状により分かっている場合が多い。 公開日:2001年7月16日
尿に異常があった場合には、腎臓・膀胱・前立腺などの病気の疑いが考えられます。とくに、尿は自分の目で見て分かることが多いため、毎日チェックしましょう。自分でチェックする方法をご紹介します。 目次 尿のチェックポイント 家庭で尿検査をするには? 尿のチェックポイント ■尿の色は? 健康な人の尿は淡黄色で透明。黄色の程度は、水分を多くとれば薄くなり、汗をかいたり水分が不足すれば濃くなる。血液、膿、塩類、細菌、精液、便などが混じった場合には、赤くなったりにごったりするので要注意。 ■尿のニオイは? 健康な人はわずかにアンモニア臭がする。ただ、食事の内容によっても変化する 。また、糖尿病を患っている場合、尿が果実のような甘酸っぱいニオイになる。 ■尿の量は? 1日1500cc前後の尿量がある。水分を多くとれば多くなり、汗をかいたり下痢をすれば少なくなる。ただし、1日の量が100cc以下だと無尿、100~400ccの場合は乏尿といって腎臓になんらかの異常が起こっている場合がある。また、2500cc以上の場合は多尿といってやはり腎不全などの疑いがある。 ■尿の回数は? 健康な人は日中に4~5回、夜間に0~1回排尿する。この回数が異常に多くなったものが頻尿、少ないものが稀尿という。頻尿は膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、尿路結石などの疑いがある。 家庭で尿検査をするには? 尿の異常は意外と重要な病気が隠れていることがある。でも、病院へ行くのは恥ずかしいし、自分の尿が他人と比べて異常なのかどうか…なんて、悩んでしまい、なかなか病院へ行けない人もいるかもしれない。 そんな人は、最近は家庭用の尿検査試験紙が普及しており、自分でチェックすることもできる。でも、その結果、異常が見られたら自分で勝手に診断せず、すぐにかかりつけの医師に相談しよう。 検査方法 試験紙をコップなどに採取した尿に浸して、その色の変化を色調表と比べて最も近い色を結果とする方法。尿の採取には、使い捨てのコップ(紙コップなど)などを使うのがいい。 公開日:2001年7月16日
1回の血液検査で数十項目の測定が可能 「検査機器の進歩」というと高度ME機器に目が向きがちですが、一般的な臨床検査に使われる機器も日々向上しています。 最も基本となる血液検査は、たった1回の採血から数十項目にわたる測定が可能です。その中には血沈(赤沈)のように採取した血液をそのまま検査する方法と、血球、血しょうなどの各成分に分離して検査する方法があります。 例えば「生化学自動分析装置」は、血液中に含まれるコレステロール、血糖、中性脂肪などの量を自動的に測定する装置です。多数の項目を同時に測定できる便利な機器です。「全自動免疫測定装置」は、免疫反応で生じた血液中の抗原や抗体の量を測定します。がん発生により血液中に現れる、腫瘍マーカーの量も測定できます。 基本的な尿検査 尿検査も基本的な検査です。こちらも、色や量、比重など尿をそのまま調べる方法と、尿中の成分を調べる方法があります。「尿沈査の顕微鏡検査」では尿を遠心分離器にかけて採取した沈殿物を顕微鏡で観察します。pH、タンパク、糖、ウロビリノーゲン、潜血、ケトン体、比重、亜硝酸塩などの成分検査を一度に行う「尿自動分析装置」も有用です。これは糖尿病や腎臓病の診断にも使われます。