胃がんが進行していないほど生存確率は高く、病期(ステージ)Ⅰであれば、97.3%の確率で治ります。早期発見のために、50歳以上の人は、2年に1回胃がん検診を受けることが勧められます。胃がんの治療法には、手術、腹腔鏡下胃切除、内視鏡治療、化学療法などがあります。これらの中から、がんの進行の度合いを表す病期(ステージ)や患者さんの状態などに応じて、最適な治療法が選ばれます。 目次 病期(ステージ)Iなら、97.3%の確率で治せる! 胃がんの標準的な治療法は、外科手術による切除 手術よりも体にやさしい腹腔鏡下胃切除 初期の段階なら、内視鏡による切除が可能で手術いらず 化学療法で使われる抗がん剤は、種類も組み合わせもいろいろ 進行すると生存率が低い、早期発見のために検診が重要 胃がんは進行するにつれて生存率が段階的に下がっていきます。早期発見のために検診を受けることが重要です。 胃がんの病期別生存率【全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率 (2009-2011年診断症例)】 病期 症例数(件) 5年相対生存率(%) Ⅰ14,37097.2 Ⅱ1,64062.8 Ⅲ1,85849.0 Ⅳ3,9227.1 全症例22,41274.9 出典:全がん協生存率調査(2020年3月17日更新データ) 胃がんの標準的な治療法は、外科手術による切除 胃がんは、進行の度合いを表す病期(ステージ)や患者さんの状態などに応じて、治療法が選ばれます。 ごく初期の段階や、手術ができない状況を除き、標準的な治療法としてまず選択されるのが、外科手術によるがんの切除です。がん細胞が、リンパ液の流れに乗って転移していく可能性を考慮して、リンパ節の郭清(かくせい:がんの周辺にあるリンパ節を取り除くこと)も行われます。どれくらいの範囲を切除するかを決める手がかりとなるのは、がんのある場所や進行度などです。がんを切除するとともに、食べ物の通り道を作り直す、消化管の再建手術も行われます。 手術よりも体にやさしい腹腔鏡下胃切除 通常の胃がんの手術は、腹部を切開してがんの切除を行います。それに対して腹腔鏡手術は、腹部にいくつかの小さな穴を開け、そこに細長い専用の器具やカメラを差し入れて、モニタの映像を見ながら手術を行う方法です。腹部を切開する必要がないため、通常の手術よりも体への負担が少なく、手術後の回復が早いことが期待されています。 その反面、通常の手術よりリンパ節郭清が難しく、消化管をつなぎ直す技術が十分に確立されていないことなどから、通常の手術より合併症の発生率がやや高くなる可能性があると言われています。また、通常の手術と比べて新しい治療法であるため、長期的な視点でみた場合、がんがどれぐらい治るのかがまだはっきりしていません。 初期の段階なら、内視鏡による切除が可能で手術いらず がんが小さく、胃の粘膜だけにとどまりリンパ節への転移の可能性が低いときは、内視鏡による切除が可能です。手術よりも入院期間が短く、胃を大きく切除する必要がないため、体にかかる負担が比較的軽い治療法だと言えるでしょう。内視鏡治療の方法は、一つだけではありません。輪の形をしたワイヤーをがんにかけ、ワイヤーに高周波電流を流してがんを焼き切る内視鏡的粘膜切除術(EMR)や、電気メスでがんを徐々に剥ぎ取る内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などがあります。 化学療法で使われる抗がん剤は、種類も組み合わせもいろいろ いわゆる抗がん剤治療です。主な目的として、手術後にがん細胞を取りきることや、手術をするのが難しい場合の、延命や症状の軽減などが挙げられます。抗がん剤には複数の種類があり、単独でも使われますが、組み合わせて使用されます。その組み合わせにも、いくつかのバリエーションがあります。効果や副作用の現れ方には個人差があり、副作用が現れたときには主治医の判断で抗がん剤の量を減らすことや、治療を休止することがあります。 どんな治療法が選択されるにせよ、胃がんはできるだけ早く発見することが大切です。そのために、ぜひ胃がん検診を受けましょう。 ■関連記事 がん10年生存率は56.3%、80%以上は前立腺、甲状腺、乳房、子宮体など 国立がん研究センター/全国がんセンター協議会 がん告知で「びっくり退職」はちょっと待った!サバイバー伝授!がんとお金(2) 食道がん公開セカンドオピニオンで悩み解決、専門医・薬剤師・患者会がコラボライブ 胃の切除をした後に気をつけること 婦人科がん(子宮・卵巣のがん)の発症リスクと治療後のむくみ対策 キャンサーフィットネス・リンパ浮腫患者スクール 公開日:2016/10/24更新日:2020/09/25
胃の切除をすることで起こる疾患は、代表的なものであっても知らなければ何の症状なのかわからない人もいるかと思います。胃を切除するということは、体の大きな変化です。胃を切除してしまった場合、どのようなことに気をつけるといいのでしょうか。 目次 胃の役割と、胃を削除した後に気をつけることを知る 日常的な胃のはたらき 胃の切除後に起こる胃切除後症候群 知らないとわからない症状が多い 胃の役割と、胃を削除した後に気をつけることを知りましょう 昨今の胃がんの手術においては、手術で胃を切除するのが一般的とされています。胃を切除する範囲は、進行具合によっても変わってきます。胃がん以外にも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の手術で胃の切除が行われることがあります。特に胃がんで行われる手術ですが、いつ自分がその状況になるかも分からないので、普段の胃の役割と術後の気をつけることを事前に知っておきましょう。 日常的な胃のはたらき 胃は、食べたものを腸へ送るまでの一時的な保管や、タンパク質や脂肪の分解の一部に関与していたりと、消化吸収の過程で活躍している臓器です。 胃を切除してしまった場合、今まで行われていた消化吸収の機能が失われてしまいます。そのため、普段の食事方法に注意する必要があります。 胃の切除後に起こる胃切除後症候群 胃を切除したことで起こる後遺症のことを「胃切除後症候群」と言います。胃切除後症候群は、胃のどの部分を切除したのか、どのぐらいの範囲を切除したのかによってそれぞれ症状が異なってきます。 胃切除後症候群の中には、胃の切除手術の後すぐに症状が現れるものと、何年も経ってから起こるものがあります。このなかでもすぐに起こるものとして「ダンピング症候群」、何年も経ってから起こるものとして「胃切除後胆石」というものが代表的です。 聞き慣れない疾患、ダンピング症候群 幽門部と呼ばれる胃の下側の方を切除した場合、ダンピング症候群と呼ばれる症状が起こることがあります。これは、食事をした際に胃に食べたものをためておけないため、食べたものが一度に小腸に流れ込んで起こる全身症状のことです。 食事をした後すぐに現れる早期ダンピング症候群や、食後2~3時間後に現れる晩期ダンピング症候群がありますが、どちらも冷や汗や発汗、めまいや体のだるさが症状として現れます。 ダンピング症候群を防ぐためには、食事をゆっくりよくかんで食べることが大切です。また、お腹いっぱいにするのではなく、腹八分目ほどで食事はやめるようにしましょう。症状が起こる可能性があると感じた場合には、アメなどを食べることでダンピング症候群の低血糖症状の予防に繋がります。 数年後にやってくる胃切除後胆石 胃の切除手術をして数年経つと、胃切除後胆石がみられる場合があります。手術の際、胆嚢の神経が切れてしまうことで胆嚢の動きが悪くなり、胆石ができやすくなってしまうことが原因です。対処法としては、胆嚢の摘出をすることで防ぐことができます。場合によっては、胃の切除を行う際に、同時に胆嚢を取ってしまうこともあります。 知らないとわからない症状が多い 胃の切除をすることで起こる疾患は、代表的なものであっても知らなければ何の症状なのかわからない人もいるかと思います。胃を切除するということは、体の大きな変化です。胃の切除をした際には、どのようなことに注意するべきかを知識としてあらかじめ知っておくことで不安は少なくなるでしょう。 ■関連記事 がん10年生存率は56.3%、80%以上は前立腺、甲状腺、乳房、子宮体など 国立がん研究センター/全国がんセンター協議会 がん告知で「びっくり退職」はちょっと待った!サバイバー伝授!がんとお金(2) 食道がん公開セカンドオピニオンで悩み解決、専門医・薬剤師・患者会がコラボライブ 婦人科がん(子宮・卵巣のがん)の発症リスクと治療後のむくみ対策 キャンサーフィットネス・リンパ浮腫患者スクール 公開日:2016/08/29更新日:2020/09/25
罹患者数・死亡者数ともに上位の胃がんのリスク要因は、塩分の摂りすぎ、喫煙、過度な飲酒、ヘリコバクターピロリ菌など。自覚症状があまり現れないため、発見時には治る見込みがないほど進行していることも。50歳以上の人は、2年に1回胃がん検診を受けることが推奨され、検査の結果、胃がんの可能性が認められた場合は、精密検査を受けることが勧められます。胃がんと診断されたら無理はせず、泣きたいときは泣き、つらいときは相談しましょう。 目次 胃がんの要因とは 胃がんの症状とは 50歳以上の人は、2年に1回胃がん検診を受けましょう 胃がんの可能性が認められたら、精密検査を受けましょう 胃がんと診断されたら無理はしないで 胃がんの要因とは 数あるがんの中で胃がんは、かかる人の数と死亡する人の数の両方において、男女ともに上位に位置します。男性では約9人に1人、女性では約18人に1人が、生涯のうちに一度は胃がんにかかると言われています。 胃がんにかかりやすくなる要因だと考えられているのは、塩分の摂りすぎ、喫煙、過度な飲酒、胃にヘリコバクターピロリ菌という細菌がすみついて感染していることなどです。50歳以上の人の約70%は、ヘリコバクターピロリ菌に感染していると言われています。ただし、これらの要因が当てはまるからといって、必ずしも胃がんにかかるわけではありません。 胃がんの症状とは 胃がんは自覚症状があまり現れない病気です。まだ病状が進行していない初期のうちだけでなく進行してからも、体の不調を特に感じないことが珍しくありません。そのため胃がんが発見された頃には、治る見込みがないほど進行していることもあります。あまり多くはありませんが、胃がんの症状として現れることがある症状は、胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、食欲低下などです。しかし、これらは胃炎や胃潰瘍でも起こるので、検査を受けるまで胃がんによる症状だとは分からないでしょう。そのほかに現れることがある胃がんの症状として、貧血、黒色便、食事のつかえ、体重減少などがあります。 50歳以上の人は、2年に1回胃がん検診を受けましょう 胃がんを早期のうちに発見するには、胃がん検診を受けることが有効です。胃がん検診で行われるのは、問診とX線検査または内視鏡検査で、50歳以上の人が2年に1回受けることが推奨されています。検査の結果は多くの場合、検査当日の10日から1ヵ月ほど後に、主に文書で通知されます。胃がん検診の受診を希望しているものの、どこで受ければよいのか分からないというときは、お住まいの自治体のがん検診窓口や、保健所に問い合わせてみましょう。 胃がんの可能性が認められたら、精密検査を受けましょう 胃がん検診の結果、胃がんの可能性が認められた場合は、より詳しく調べるための精密検査を受けることが勧められます。胃がん検診の結果は、あくまでも「胃がんの可能性がある」という状態でしかありません。精密検査の結果によって、本当に胃がんなのか、それとも胃がんではないのかがはっきりと分かるのが、精密検査です。 精密検査では、血液検査、内視鏡検査、超音波検査(エコー検査)、注腸検査(胃がんが大腸にまで広がっていないかを調べるX線検査)などが行われます。内視鏡検査の際に胃の組織の一部を採取して、生検(組織の一部を顕微鏡で詳しく調べる検査)が行われることもあります。 精密検査の結果、胃がんであると診断された場合は、進行の度合いや転移の有無などから総合的に判定される病気(ステージ)に応じて、治療が開始されます。 胃がんと診断されたら無理はしないで 胃がんであると診断された場合、ご本人だけでなくそのご家族も、ショックを受けるのは当然であり、ごく自然な感情です。悲しさ、つらさ、不安、自分を責める気持ちなどから、涙を流す方は多いでしょう。また、不眠や食欲不振、うつ状態になってしまう方も少なくないでしょう。そのような状態のときは、無理をして頑張ったり、平気なふりをしたりする必要はありません。泣きたいときは泣き、つらいときは身近な人などに相談をして、十分な休養をとりながら、前向きに治療に取り組むことが大切です。身近な人に相談しづらいときは、お住まいの地域のがん相談支援センターに頼るとよいでしょう。面談だけでなく、電話や電子メールなどで相談することもできるので、ご自分に合った手段を選びましょう。 お住まいの地域のがん相談支援センターは、以下から調べることができます。 がん病院検索 公開日:2016/09/12
部位別の死亡者数・罹患者数で上位を占めている胃がんは、早期に発見されれば多くの人が治るとされています。早期発見のためには検診が重要です。ここでは、検診の実施間隔や検診方法などについて解説します。 目次 50歳以上の人は2年に1回、胃がん検診を! 厚生労働省が推奨する自治体の胃がん検診 胃がんが疑われる人を見つけ出す「胃がん検診」と、診療として詳しく調べる「精密検査」 胃がんは、早期に発見されれば90%以上の人が治る病気 50歳以上の人は2年に1回、胃がん検診を! 胃がんはかつて、日本人の部位別のがん死亡者数で、もっとも多いがんとして知られていました。近年は第1位でこそないものの、依然として男女ともに、部位別の死亡者数で肺がんや大腸がんとともに、上位を占めています。また、部位別の罹患者数(りかんしゃすう:がんにかかった人数)でも、胃がんは上位となっています。 自治体が行う胃がん検診として、厚生労働省から長年にわたり、バリウムを飲んで行うX線検査(レントゲン検査)が推奨されてきました。それが2016年4月以降より、X線検査とともに内視鏡検査(胃カメラ)も推奨されることになりました。さらに、対象年齢は「50歳以上」、実施間隔は「2年に1回」に変更されます。ただし、X線検査は当分の間、これまでどおり対象年齢は「40歳以上」、実施間隔は「1年に1回」としても、問題はないとされています。 厚生労働省が推奨する自治体の胃がん検診 変更前 変更後(2016年4月以降) 検診方法 X線検査 X線検査または内視鏡検査 対象年齢 40歳以上 50歳以上 実施間隔 1年に1回 2年に1回 推奨される胃がん検診を変更する根拠となったのは、韓国の大規模な調査の結果や、いち早く内視鏡検査を導入している新潟県・鳥取県での調査の結果です。これらによって、内視鏡検査で胃がんによる死亡率を下げられることや、「50歳以上・2年に1回」という対象年齢・実施間隔で問題ないことが確かめられました。 なお、胃がん検診の方法として、ほかにも血液検査(ペプシノゲン検査、ヘリコバクターピロリ抗体検査など)がありますが、厚生労働省が推奨する検診方法には含まれていません。 胃がんが疑われる人を見つけ出す「胃がん検診」と、診療として詳しく調べる「精密検査」 胃がん検診の結果が陽性(胃がんの疑いあり)だった場合は、精密検査を受けることが勧められます。精密検査で行われるのは内視鏡検査ですが、胃がん検診の内視鏡検査とは、異なる点があります。 胃がん検診の内視鏡検査は、胃がんの疑いのある人を発見することを目的として行われます。一方、「診療」と位置づけられる精密検査の場合は、色素の散布や細胞の採取など、体にはたらきかける処置が行われるという違いがあります。そのため、胃がん検診としての内視鏡検査よりは時間がかかり、体にかかる負担もそれだけ大きくなりますが、がんがある場合は進行度なども含め、より詳しく調べることができます。 胃がんは、早期に発見されれば90%以上の人が治る病気 胃がん検診の内視鏡検診を普及させるには、課題もあります。その一つが費用で、内視鏡検査は、X線検査よりも多くの費用がかかります。また、検査を実施する医師・医療施設の確保や、検診を行う体制の整備も必要であるため、すぐには導入できない自治体もあると考えられます。なお、自治体の胃がん検診でX線検査を受ける人が負担する費用は、自治体によっても異なりますが、安ければ無料で、高くても3,000円程度です。 胃がんは、早期に発見されれば90%以上の人が治ると言われています。発見が遅れれば、がんが進行して治る可能性も下がってしまうので、対象年齢に該当する方は、胃がん検診を受けることが勧められます。受けられる胃がん検診の内容や費用、実施している施設など、詳しくはお住まいの自治体のがん検診担当窓口に問い合わせましょう。 公開日:2015/11/16
スプラウトが発見された歴史や、ブロッコリー以外のスプラウトについて紹介する。がん予防に効果が期待できるスルフォラファンだが、がん予防以外の効果も研究されつつある。 目次 スプラウトの歴史 ブロッコリー以外のスプラウトは? 「生」で食べられるからオススメ! スルフォラファンのさらなるパワー スプラウトの歴史 アメリカで有数の医科大学であるジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士が、がんの研究を進める中で、がんになってから治療をするより、がんにならないように予防することのほうが重要だという結論に至り、がんを予防することができる食品に目を向けた。そして、1992年にブロッコリーの中にがん予防効果の高いスルフォラファンが含まれていることを発見した。 さらに研究を重ねて1997年に、とくに発芽3日目の新芽には、成長したブロッコリーの20~50倍ものスルフォラファンが含まれていることを解明したのだ。アメリカでは、以来、大ブームを起こし、日本でもかなり注目されるようになったようだ。 ブロッコリー以外のスプラウトは? スプラウトといえば、ブロッコリーの新芽だけではない。最近、スーパーでは、レッドキャベツ、クレス、マスタードなどのスプラウトも売られている。また、以前からあるものでは、アルファルファやかいわれ大根などもスプラウトだ。さらに、もやしや豆苗などもスプラウト。主に豆類の新芽だ。 かいわれ大根は、日本オリジナルのスプラウトで平安貴族も食していたというほど歴史は古い。もやしもかなり古くから食べられており、「新芽を食べる」ことはなにも今ブームになったわけではないのだ。 さまざまなスプラウト ●ブロッコリー ●クレス ●アルファルファ ●もやし ●レッドキャベツ ●マスタード ●かいわれ大根 ●豆苗 「生」で食べられるからオススメ! スプラウトの特徴は調理が簡単なこと。しかも、洗ってそのまま「生」で食べられるため、どんな場面でも登場することができる。例えば、サラダに乗せてもよし、お味噌汁の具として入れてもよし。ちなみに、スルフォラファンは熱にも強いので、油で炒めたりしてもよい。 購入するときには、葉の緑色が濃く、大きさがそろっているもの、茎の太さや背丈が均一なものを選ぶようにするといい。スプラウトは鮮度が命なのだ。がん予防のためにブロッコリーを食べるなら1kg必要だとも言われているが、スプラウトなら50gでOK。今のところ、スーパーでは1パック100円前後で売られている。これなら毎日続けられそう! スルフォラファンのさらなるパワー がん予防に効果が期待できるスルフォラファン。さらに最近の研究で、スルフォラファンには胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因のひとつである「ピロリ菌」を殺すことで、潰瘍をできにくくする作用があることも分かってきている。がんだけでなく、ピロリ菌にも効果ありとなると、「スルフォラファン」パワーのあるスプラウトからはますます目がはなせない。 公開日:2003年4月7日
これまでの研究により、多くの場合、がんは日常の生活習慣が原因となって発生することが明らかにされています。なかでも、喫煙や肥満、飲酒などは、確実に関連していることがわかっています。がんの原因となる、周辺環境や生活習慣をまとめました。 目次 がんの発生と生活習慣の関連をチェック! がんを予防する食事とは? がんの発生と生活習慣の関連をチェック! 国立がん研究センターは、WHO(世界保健機関)による食事関連要因に関する評価に、IARC(国際がん研究機構)によるたばこに関する評価の結果を加えた概要として、予防効果の確実性についてランク分けされた下記の表を公表しています。これをもとにして生活習慣を見直し、がんを予防しましょう。 リスクを下げるもの 関連の強さ 要因 関連するがんの種類 確実 身体活動結腸がん 可能性大 野菜・果物口腔がん、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん 身体活動乳がん 可能性あり / データ不十分 食物繊維、大豆、魚、N-3 系脂肪酸、カロテノイド ビタミンB2、B6、葉酸、B12、C、D、E カルシウム、亜鉛、セレン非栄養性植物機能成分(例:アリウム化合物、フラボノイド、イソフラボン、リグナン) リスクを上げるもの 関連の強さ 要因 関連するがんの種類 確実 喫煙口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がん、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、尿路がん、膀胱がん、子宮頸部がん、骨髄性白血病 他人のたばこの煙肺がん 過体重と肥満食道(腺がん)、結腸がん、直腸がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん、腎臓がん 飲酒口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がん アフラトキシン肝臓がん 中国式塩蔵魚鼻咽頭がん 可能性大 加工肉腸がん、直腸がん 塩蔵品および食塩胃がん 熱い飲食物口腔がん、咽頭がん、食道がん 可能性あり / データ不十分 動物性脂肪 ヘテロサイクリックアミン 多環芳香族炭化水素 ニトロソ化合物 WHO technical report series 916. Diet, nutrition and the prevention of chronic diseases (2003), IARC monograph on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Volume83, Tobacco Smoke and Involuntary Smoking (2004) 出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がんを予防する食事とは? WCRF(世界がん研究基金)とAICR(米国がん研究協会)による評価報告書「食物・栄養・身体活動とがん予防」では、食品や栄養素のがん発生リスクがまとめられています。このなかで、赤肉(牛、豚、羊などの肉)や加工肉(ソーセージ、サラミ、ベーコン、ハムなど)は、大腸がんの発生リスクを上げることが「確実」と判定されています。それらの摂取を控えることが、大腸がんの予防になると言えます。 食物関連要因とがんとの関連(まとめ)WCRF/AICR 2007 リスクを下げるもの 関連の強さ 食物関連要因 関連するがんの種類 確実 運動結腸がん 授乳乳がん 可能性大 肥満乳がん(閉経前) 運動乳がん(閉経後)、子宮体部がん 果物口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がん 非でんぷん野菜口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がん アリウム野菜(にんにく、玉ねぎなど)胃がん にんにく、食物繊維、牛乳、カルシウムのサプリメント大腸がん 食物に含まれる葉酸膵臓がん 食物に含まれるカロテノイド口腔・咽頭・喉頭がん、肺がん 食物に含まれるβ-カロテン、食物に含まれるビタミンC食道がん 食物に含まれるリコピン、食物に含まれるセレン、セレニウムのサプリメント前立腺がん リスクを上げるもの 関連の強さ 食物関連要因 関連するがんの種類 確実 肥満食道がん(腺癌)、大腸がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん、腎臓がん、膵臓がん 内臓脂肪大腸がん 高身長大腸がん、乳がん(閉経後) 赤肉・加工肉大腸がん アルコール口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん アフラトキシン肝臓がん 飲料水中の砒素肺がん β-カロテンのサプリメント肺がん 可能性大 肥満胆嚢がん 内臓脂肪膵臓がん、乳がん(閉経後)、子宮体部がん 成人期の体重増加乳がん(閉経後) 出生時過体重乳がん(閉経前) 高身長膵臓がん、乳がん(閉経前)、卵巣がん アルコール肝臓がん、大腸がん(女性) 塩蔵食品・塩分胃がん 中国式塩蔵魚鼻咽頭がん 飲料水中の砒素皮膚がん マテ茶食道がん 食事からのカルシウム前立腺がん World Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Research. Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: a Global Perspective. AICR, Washington DC (2007) 出典:独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター このほかに、特定のがんの原因となるウイルスや細菌もあります。例として、C型肝炎ウイルスが肝臓がんを、ヒトパピローマウイルスが子宮頸がんを引き起こすことがあります。 また、ダイオキシンやアスベストなどの環境汚染物質や、環境ホルモンと呼ばれる物質にも発がん性があると言われています。
食生活に気をつければがんの予防もできるといわれています。がんを防ぐ食生活の工夫をまとめました。 目次 まずは、栄養バランスを心がけて ビタミン、食物繊維はがん予防にもいい 熱いもの、焦げたものは避けるようにしよう まずは、栄養バランスを心がけて 最近、日本人に増えている大腸がん、乳がん。この原因は肉中心の食生活や 食物繊維不足など、日本人の食生活の変化にあるといわれています。がんを防ぐためにはまず、栄養バランスのとれた規則正しい食事を心がけましょう。具体的に注意したいポイントをご紹介します。 ■食べ過ぎない カロリーの摂りすぎ+運動不足は肥満のもとです。肥満は、がんを始め動脈硬化や糖尿病などの発生率を高めてしまいます。1日のカロリー摂取量は成人男性で2500kcalといわれるが、特に体を動かすような仕事をしていない人なら2,200kcal、現在肥満気味の人は1,800~2,000kcalくらいを目安にしましょう。 ■栄養バランスのとれた変化のある食事 一般的に、がんの原因は高脂肪摂取、がんを防ぐのは野菜類といわれています。多くのサラリーマンの食生活の現状と理想とはまったく逆のパターンとなります。 事務職の男性の場合、1日のたんぱく質摂取の目安は、乳製品250g、たまご1個、肉や魚が120g、豆製品80gとなります。一方、野菜類は1日最低、淡色野菜200g、緑黄色野菜100g、芋類100g、果物200gは摂るようにしましょう。 また、毎日肉類ではなく、週3~4回は魚のメニューにするなど献立に変化をつけることも大切です。 ■塩分の摂りすぎに注意 胃がんの原因のひとつが塩分の取りすぎといわれています。1日6gくらいが限度だと考えましょう。食卓で塩やしょうゆを使用しない、香辛料を利用して香りを楽しむなど減塩の工夫をするようにしましょう。 毎日の食事で減塩ひと工夫!料理編 毎日の食事で減塩ひと工夫!外食編 ■1日3食・規則正しく 不規則な食生活は胃がんの原因のひとつとなります。夕食が深夜になったり、朝食を抜いたりといった食生活はがんだけでなく、ほかの生活習慣病のもとにもなります。また、朝は軽く夜は重くといったカロリーバランスも考えものです。忙しくて夕食時間が遅くなる人は、こういった3食のバランスも見直してみましょう。 ビタミン、食物繊維はがん予防にもいい 野菜や海藻、果物に含まれるビタミン類や食物繊維は、がんの予防にも活躍する栄養素です。最近は錠剤や飲み物なども出回っていますが、例えばビタミンAなどは、摂りすぎると髪の毛が抜けたり食欲不振になったりなど、過剰症を起こすこともあります。なるべく普段の食生活で摂るようにしましょう。 がんの予防にいい食品の例 種類 多く含む食品 ビタミンA(カロテン) のり類、わかめ、しその葉、パセリ、にんじん、小松菜やほうれん草など青菜類、かぼちゃ ビタミンC えだまめ、さやえんどう、青菜類、ししとうがらし、カリフラワー、パセリ、キャベツ、 トマト、にがうり、ピーマン、ブロッコリー、キーウイフルーツ、かんきつ類 ビタミンE 小麦胚芽、植物油(ひまわり油、サフラワー油、綿実油、やし油など)、種実類(アーモンドなど) 食物繊維 ひじき、干しがき、いんげん豆、大豆(納豆)、おから、切り干し大根、ごぼう、おくら、干ししいたけ、ポップコーン 熱いもの、焦げたものは避けるようにしよう 食物を調理したときの焦げには、がんの原因になる物質が含まれています。また、熱過ぎるものは、食道がんや胃がんの原因のひとつと考えられています。 このほか、トウモロコシやナッツ類に生えるカビなど発がん性の高いケースもあります。古くなった食品は避けるようにしましょう。
1983年に発見されたピロリ菌 慢性胃炎などの胃の病気は、ストレスや暴飲暴食、その外ライフスタイルが原因といわれます。しかし近年、その定説が覆されようとしています。これらの病気は、胃内に存在する細菌ヘリコバクター・ピロリの仕業ではないかといわれているのです。 1983年にヒト胃粘膜からこの菌が初めて分離培養され、胃疾患との関連で世界中から注目されました。ピロリというのは、最初の発見場所である胃幽門のことです。 胃がんの原因の一つもピロリ菌 さらに興味深いことに、国際がん研究機関(IARC)は、胃がんの原因の一つがピロリ菌であるという結論を出しました。日本を含む13カ国の疫学調査で、ピロリ菌の感染者は胃がんになる確率が6倍高かったという結果が出たのです。 日本人のピロリ菌の感染率は、50代では70%前後と高率です。ピロリ菌感染に対する予防・治療が、胃がん発生の抑制につながると考えられています。現在、胃かいようや胃炎に対するピロリの除菌治療が行われ、再発予防効果が注目されています。