ピロリ菌の感染経路のひとつに「経口感染」が考えられています。「口から口へ」唾液や食べ物が移動することにより、ピロリ菌が「人から人へ」移動していきます。それでは、ピロリ菌はキスでもうつるのでしょうか。 目次 ピロリ菌の感染経路は? ピロリ菌はキスでもうつる? どうしたら感染は防げるの? ピロリ菌の感染経路は? 「ピロリ菌」とは、胃の粘膜に生息している菌で、これが生息していると胃や十二指腸などが病気にかかりやすくなります。 実はこのピロリ菌、現在3500万人の日本人が感染しているといわれています。さらに1940年代以前の生まれになると、その割合は約7~8割にもなります。上下水道が整備される以前の日本で育った世代は、それだけ感染率も高くなります。 このことからも分かるように、ピロリ菌の主な感染経路は「水道」です。しかし、現在の日本のように水道設備が整備されている国では、この経路で感染することはまずありません。 では、どのような経路で感染しているのかというと、感染経路のひとつに「経口感染」が考えられています。「口から口へ」唾液や食べ物が移動することにより、ピロリ菌が「人から人へ」移動していきます。 ピロリ菌はキスでもうつる? 「ピロリ菌はキスでもうつる?」 結論から言うと「ノー」です。日常生活で行われる夫婦・恋人間でのキスで、ピロリ菌に感染することは、まずありません。これは、キスが習慣になっている欧米が、日本より感染率が低いというデータが証明しています。 親が赤ちゃんにするキスでピロリ菌が感染する可能性も、限りなく低いと言われています。しかし、親が咀嚼したものを赤ちゃんに食べさせる場合の感染は否定できないそうです。ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染すると言われているので、免疫力の低い赤ちゃんに食べ物を口移しする場合は注意が必要です。 ですから、「大人と大人のキスで感染することはまずない」「大人と子供のキスで感染することは、可能性がないとも言えない」くらいに思っておくのがよいでしょう。 どうしたら感染は防げるの? 衛生状態が良くなってからの日本で生まれ育った若者のピロリ菌感染率は低くなってきました。今の日本で、ピロリ菌の予防にそれほど神経質になる必要もないでしょう。 ピロリ菌に感染したくないからという理由で、キスをしないということは絶対にしなくてよいです。日本にいて注意するときは、赤ちゃんに食べ物を口移しするときくらいです。 ですから、予防を意識するとしたら、海外の発展途上国へ行ったとき、「生水は飲まない」「子供に不衛生なものを飲食させない」などに注意して行動するとよいでしょう。 公開日:2016/10/31更新日:2018/05/21
胃や十二指腸の病気にピロリ菌が関わっていることはよく知られるようになりましたが、そのような上部消化管の病気以外にも、鉄欠之性貧血や難病とされる特発性血小板減少性紫斑病など、ピロリ菌除菌によって改善する可能性のある病気も存在します。 目次 50代では6割の人が感染しているピロリ菌 胃や十二指腸以外にも関係しているピロリ菌 ピロリ菌の除菌で治る難病も 検査・除菌は消化器内科などで 50代では6割の人が感染しているピロリ菌 胃や十二指腸の不調に関係している細菌がヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌です。胃の中に潜むピロリ菌は、なんとなく胃がもたれるといった軽い症状から、胃炎や十二指腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、十二指腸がんまで、命に関わるような病気の原因になることがあります。 日本では4人に1人がピロリ菌の感染者だとされ、日本消化器学会によれば、幼少期に衛生環境の整っていなかった60代以上の場合、6~7割の人が感染しているとされ、その頃と比べて衛生環境が改善された現在、新しく感染する人は少ないはずですが、今も多くの日本人の胃の中にピロリ菌がいると考えられます。 胃や十二指腸以外にも関係しているピロリ菌 最近では、このピロリ菌も広く認識されるようになり、胃や十二指腸の病気にこの菌が関わっていることはよく知られるようになりました。しかし、ピロリ菌が関わっているとされる病気は胃や十二指腸のような上部消化管に限ったものではないということはあまり知られていません。 たとえば、鉄欠之性貧血。全身に酸素を届ける赤血球のヘモグロビンを作るために必要な鉄分が不足することで起きる鉄欠乏性貧血は、このピロリ菌の除菌治療を行うと改善されることがあり、特に子供が鉄欠乏性貧血の場合はピロリ菌感染の可能性を考えてみる必要があります。 そして、慢性じんま疹でもピロリ菌の除菌でその症状が改善されるという報告があるので、原因を特定しづらい慢性じんま疹ではあるものの、治療法としてピロリ菌の検査と除菌を考えるべきかもしれません。 ピロリ菌の除菌で治る難病も ピロリ菌が関わっているとされる病気には難病もあります。特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura;ITP)は、国が指定した難病医療費等助成対象疾病で特定疾患。ITPはほかの病気や薬剤の影響がないのに血液中の血小板が減ってしまい、血が止まりにくくなる病気です。 原因がよくわかっていないITPは、自分自身の免疫システムが自分の血小板を破壊、その数を減らしてしまうことで起きますが、ITP患者でピロリ菌の感染が確認された場合、除菌を行うと血小板の増加が見られたという報告が多数あり、国立病院機構金沢医療センターによると、改善の割合は5~6割になるとしています。 従来のITPの治療では、長期的な副腎皮質ステロイドの服用と脾臓の摘出が行われてきました。それぞれ副作用の心配や身体的負担が大きいものでしたが、近年は比較的副作用の可能性が低いピロリ菌の除菌が行われることが増えています。 検査・除菌は消化器内科などで 胃や十二指腸だけでなく、ほかのさまざまな病気に関わっているとされているピロリ菌の対策には、まず自分が感染しているかどうかの検査が必要になります。 そして、結果が陽性であれば、除菌を考えることになります。ピロリ菌の検査や除菌は消化器内科などで行われていますが、まずはかかりつけの医師に相談してみるのもよいかもしれません。 公開日:2016/05/30
ピロリ菌は、胃の中の環境を好んで生息するため、ピロリ菌が働き出すと、胃もたれや吐き気など、胃に関わる症状に現れます。放っておくと病気を引き起こす可能性のあるピロリ菌。それでは、具体的にどのような病気を引き起こすのでしょうか? 目次 ピロリ菌に感染したらどんな症状が起きるの? ピロリ菌が引き起こす主な病気について ピロリ菌への感染が心配だなと思ったら ピロリ菌に感染したらどんな症状が起きるの? ピロリ菌は認知度の高い菌ですが、菌が引き起こす症状まで詳しく知っていますか?ピロリ菌に感染すると、一体どのような病気を引き起こすのでしょうか。 ピロリ菌は、胃の中の環境を好んで生息します。そのため、ピロリ菌がはたらき出すと、胃もたれや吐き気、空腹時の胃の痛みや食後の腹痛、食欲不振など胃に関わる症状に現れます。 胃がムカムカするなあ、食欲がないなあ…なんて軽く流してしまいそうになりがちですが、放っておくと病気を引き起こす可能性もあります。では、ピロリ菌は具体的にどのような病気を引き起こすのでしょうか? ピロリ菌が引き起こす主な病気について 胃潰瘍、十二指腸潰瘍 ピロリ菌は、べん毛を高速で回転させ、その回転力で胃の中をまるでドリルのようにつき進んで移動します。 その際に、胃の粘膜や壁を傷つけ、胃壁が酸の影響を受けてしまうことによって、胃や十二指腸の粘膜や組織の一部がなくなります。このことが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こす原因となります。 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の感染患者の90%が、ピロリ菌に感染しているといわれています。 慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎) 慢性胃炎は、胃の粘膜が慢性的に炎症が起こす病気です。慢性胃炎の原因も、80%がピロリ菌の感染といわれています。 胃に繰り返し刺激が加わることによって、炎症が慢性的になっています。慢性胃炎が長い期間に亘ると、胃の粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少し、胃酸を出す胃腺と胃の粘膜が収縮して、うすくぺらぺらになってしまう萎縮性胃炎が起きる場合があります。 また、胃がんを引き起こしやすくなる原因にもなります。 胃がん 正常細胞に刺激を与え続けることで、遺伝子が傷つきがんになる確率が高まります。胃がんは日本では肺がんの次に多いがんの症状といわれています。ピロリ菌の感染が長期間に亘り持続した場合、胃の粘膜がうすくやせてしまう萎縮が進行しすることで、胃がんを引き起こしやすい状態になります。 ピロリ菌への感染が心配だなと思ったら これまで見てきたように、ピロリ菌は放っておくとさまざまな病気を引き起こす可能性があります。ちなみに現在、日本では1940年代以前の生まれの約7~8割がピロリ菌に感染しているともいわれています。 今回ご紹介したような症状がみられる場合は、そのままにせずに専門の医療機関に相談しましょう。自宅でも手軽にピロリ菌の有無を調べることのできる検査キットを使用して検査することもできますので、「心配だな…」と思われる方は、まずは一度調べてみることをおすすめします。 公開日:2016/05/23
胃の調子が悪く、それが慢性的な不調である場合、ピロリ菌の感染を考えるべきかもしれません。ヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌は人間などの胃の中に潜み、胃炎などの原因になることがあります。日本人の場合、ピロリ菌がいる確率は約50%(日本ヘリコバクター学会誌2009)。2人に1人の胃の中にピロリ菌がいるのです。 目次 2人に1人はピロリ菌保菌者 無症状の人が多いピロリ菌 ピロリ菌感染のサイン 一部健康保険が適用されるピロリ菌の検査 慢性胃炎患者も除菌は保険適用 2人に1人はピロリ菌保菌者 日本人は胃が弱いと言われます。それは、動物性食品の消化のために進化した胃酸分泌と丈夫な胃を備えた欧米人とは違い、比較的消化のよい米などを食べてきた日本人では、胃酸の分泌量も、胃の頑丈さも違っているからと考えられます。 しかし、胃の調子が悪く、それが慢性的な不調である場合、ピロリ菌の感染を考えるべきかもしれません。ヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌は人間などの胃の中に潜み、胃炎などの原因になることがあります。日本人の場合、ピロリ菌がいる確率は約50%(日本ヘリコバクター学会誌2009)。2人に1人の胃の中にピロリ菌がいるのです。 無症状の人が多いピロリ菌 ピロリ菌に感染することが多いのは5歳以下です。経口感染ですが、大人になってからは免疫機能が完成されているため、その可能性は低くなります。 ピロリ菌が体内に入ると、胃炎や下痢を起こすことがあるものの、はっきりとした症状が出ない場合が多く、症状が出る人は保菌者の30%程度に過ぎません。大半の人はピロリ菌に感染していても、無症状です。 ピロリ菌感染のサイン 症状が出る場合は、胃もたれ、胸やけ、胃痛となって現れます。これらは胃炎などの症状です。ピロリ菌の症状は胃炎や胃潰瘍になって現れることとなります。胃炎の症状としては、ほかに吐き気、上腹部の張り、げっぷなどがあります。こういった症状が、体内でピロリ菌が悪さをしているサインなのかもしれません。 そのほか、健康診断などで、胃の状態がよくないと判断された場合、ピロリ菌の検査を勧められることもあります。そういった場合、自分が保菌者かどうかを調べるべきかもしれません。 一部健康保険が適用されるピロリ菌の検査 慢性胃炎・十二指腸潰瘍などの病気が認められた場合には、健康保険が適用されます。検査方法の中には、内視鏡で胃の粘膜を採取し、顕微鏡で確認する方法、そして、ピロリ菌を培養する方法、内視鏡を使わず、その日に結果が分かる尿素呼気試験という方法などもありますので、自分の症状に健康保険が適用されるのか、どんな検査方法が合うのか、など医療機関に相談をすると良いでしょう。 慢性胃炎患者も除菌は保険適用 もしも、検査結果でピロリ菌陽性となった場合、除菌を考えることになります。以前は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のような場合にのみ、健康保険が適用されましたが、2013年からは慢性胃炎でも、健康保険が使用できるようになりました。 実際の治療では、胃酸の分泌を抑制する薬と、抗生物質を1週間ほど飲み続けることになります。ピロリ菌は胃炎だけでなく、胃潰瘍、そして、胃がんに至る可能性もあるだけに、心当たりのある人は一度、検査を検討してみてください。 公開日:2016/04/18
胃や十二指腸などの病気や胃がんの原因ともなるピロリ菌。さまざまな感染経路がありますが、水道水は塩素で消毒されているため、ピロリ菌も殺菌されています。 目次 ピロリ菌への感染を防ぐには? ピロリ菌が原因となる病気は? ピロリ菌への感染が疑われる場合の対処法 ピロリ菌への感染を防ぐには? 胃の粘膜に生息し、胃や十二指腸などの病気や胃がんの原因ともなるピロリ菌。一度感染すると、多くの場合除菌をしない限りは胃の中に住み続ける厄介な菌です。 では、このピロリ菌に感染しないためにはどのような方法が有効なのでしょうか? ピロリ菌の大部分は、飲み水や食べ物を通じて人の口から体内に入ると考えられています。ということは、飲み水や食べ物自体にピロリ菌が含まれないように注意することが大切になります。 現代の日本の環境では、水道水からピロリ菌に感染することはほとんどありません。なぜなら、水道水は塩素による消毒が施されていて、ピロリ菌が殺菌されているからです。 塩素が体に悪いということで、浄水器やミネラルウォーターを利用する人も多くなっていますが、塩素も健康を守るためには必要不可欠なものであることがわかります。 水道水からの感染はほぼないと考えられても、人から人への感染はあります。ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染するといわれていて、母から子などの家庭内感染も原因のひとつと考えられます。 それでは、このピロリ菌に感染するとどのような病気になる可能性があるのか、感染が疑われる場合の対処方法について、ご紹介しましょう。 ピロリ菌が原因となる病気は? ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症がおこり、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。 ピロリ菌の感染が長引いた場合、胃粘膜の感染している部位が広がり、最終的には胃粘膜全体に広がり、慢性胃炎を引き起こします。また、この慢性胃炎が長期間続くと、萎縮性胃炎となり、食欲不振や胃もたれの症状が現れることもあります。 また、ピロリ菌が原因になると考えられている病気に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍があり、患者さんの約90%がピロリ菌に感染しているという報告もあります。 ピロリ菌を除菌できた場合と、できなかった場合の1年間の再発率を比べると、NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)の論文(2001年)によれば、胃潰瘍ではできた場合は11.4%であるのに対して、できなかった場合は64.5%、十二指腸潰瘍にいたっては、できた場合が6.8%に対して、できなかった場合は85.3%という数字もあげられています。 そのほか、ピロリ菌が原因となる病気としては、胃MALTリンパ腫、突発性血小板減少性紫斑病、機能性胃腸症、胃がんなどがあります。 ピロリ菌への感染が疑われる場合の対処法 このように、さまざまな病気の原因となるピロリ菌は、薬で除菌することができるのをご存知でしょうか? ピロリ菌の除菌療法を始めるには、その対象となる病気(胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)があるかどうかを確かめる必要があります。 検査方法には内視鏡を使うものや、血液や尿を採取し抗体の有無を調べる、吐き出された息を調べる、便を採取して調べる、といった方法があります。 このようにして調べた結果、ピロリ菌がいるとわかった場合は、除菌療法を行います。この療法では抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を服用しますが、正しく薬を服用すれば約75%の確率で除菌は成功します。 公開日:2016/04/04
ピロリ菌とは胃に生息する胃の壁を傷つける悪い細菌で、胃や十二指腸の病気をもたらす原因になります。このピロリ菌を見つけて除菌することで、胃や十二指腸の病気になる確率が下がります。このピロリ菌を検査する方法を紹介します。 目次 胃や十二指腸の病気の原因のひとつ、ピロリ菌 ピロリ菌の検査方法 自宅で手軽に診断できる検査キット 胃や十二指腸の病気の原因のひとつ、ピロリ菌 ピロリ菌とは胃に生息しているらせん形の細菌で、胃の壁を傷つける悪い細菌です。胃の粘膜が減り、毒素によって胃壁が傷つくことで、胃や十二指腸の病気をもたらす原因になります。 このピロリ菌を見つけて除菌することで、胃や十二指腸の病気になる確率が大幅に下がります。では、ピロリ菌を検査するにはどのような方法があるのでしょうか。 ピロリ菌の検査方法 ピロリ菌の検査方法は、大きく分けて、内視鏡を使わない方法と使う方法の二種類があります。 内視鏡を使わない検査方法 (1)尿素呼気試験法 検査薬を用いて、服用前後の呼気を採取し二酸化炭素の量を数値で比べて診断する方法です。この検査医方法は、最も精度の高い診断方法といわれています。 尿素呼気試験法は、検査の時間も30分程度と短い時間で検査ができます。 (2)抗体測定 血液や尿などを採取して、ピロリ菌に対する抗体を測定する方法です。 (3)糞便中抗原測定 糞便を採取して、糞便中にみられるピロリ菌の抗原有無を調べる方法です。 内視鏡を使う検査方法 (1)培養法 胃の粘膜を採取後に、それをピロリ菌の発育環境下で培養し、ピロリ菌が増えるかどうかを調べる方法です。 (2)迅速ウレアーゼ試験 ピロリ菌が持つ、尿素を分解するウレアーゼという酵素の活性を利用してアンモニアの量を調べる方法です。 特殊な反応液を使用し、色の変化でピロリ菌の有無を判定します。 (3)鏡検法 組織を採取し、胃の粘膜の標本に特殊な染色をして顕微鏡で観察しピロリ菌を探す方法です。 自宅で手軽に診断できる検査キット ピロリ菌の検査は、病院に行かずに自宅で手軽に診断できる、検査キットを使用することが可能です。インターネットの通信販売などでも見つけることが可能なため、購入が比較的簡単です。忙しく病院へ行く時間がなかなかとれない方でも、この検査方法であれば空いた時間に自分でできるので早期発見にもつながりやすいです。 また、検査キットで診断後の結果をみて、結果が陰性でも陽性でもこの結果は本当なんだろうか?と思ってしまうこともあるでしょう。 そういった検査の精度を心配される方は、複数の検査キットを使用することが望ましいです。検査キットでの検査方法も、便中抗原検査や血液や尿の抗体検査など種類がありますので、複数使用される場合は違う検査方法のものを選ぶとよいでしょう。複数の検査キットを使用することで、結果の信憑性が高まります。 そのほか、検査キットを使用しても気になる場合は、医療機関での検査をおすすめします。ピロリ菌の検査は手軽に行える検査ですので、気になる方は早めに受診されることをおすすめします。 公開日:2016/03/07
ヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌は私たちの胃の中に住んでいます。胃の中は強い酸性の胃液で覆われていますので、微生物が生きていけるはずはないのですが、ピロリ菌はそれを中和する酵素を作り出すことができ、強酸性の環境下でも生きていくことができます。そして、鞭毛により自ら移動することも可能です。 目次 強酸性の胃の中でも生きられるピロリ菌 口から感染するピロリ菌 キスでは感染しない 胃炎・胃潰瘍から胃がんの原因にもなる 効果が期待されている食品も 強酸性の胃の中でも生きられるピロリ菌 ヘリコバクター・ピロリ、通称ピロリ菌は私たちの胃の中に住んでいます。胃の中は強い酸性の胃液で覆われていますので、微生物が生きていけるはずはないのですが、ピロリ菌はそれを中和する酵素を作り出すことができ、強酸性の環境下でも生きていくことができます。そして、鞭毛により自ら移動することも可能です。 口から感染するピロリ菌 現在、ピロリ菌の感染経路は特定されていません。しかし、上下水道の不備などで、衛生状態のよくない国や地域の人たちの多くがピロリ菌に感染していて、定着するのが胃の中であることから、その感染は口からと考えられています。 日本では戦後、上下水道が整備され、衛生状態が改善することで、その感染率は下がりました。かつての日本では、不完全に処理された生活用水が主な感染源であったと考えられています。現在の水道水ではそのような心配はありませんが、それ以外のピロリ菌に汚染されたものを飲んだり食べたりすれば感染するでしょう。 キスでは感染しない 口からの感染ということで、キスはどうでしょうか。一般に、大人は免疫機能が高いため、夫婦や恋人の一方が感染者だったとしても、キスが原因で感染することはないとされています。子供においても、軽いキス程度では感染しないと考えられていますが、特に子供に対する口移しは感染の原因となる可能性があります。 ピロリ菌の感染の多くは、5歳以下の時だとされています。それは、これぐらいの年齢ですと、まだ免疫機能が不完全で、胃の中の酸性度も大人よりは低いため、ピロリ菌が生き続けやすいからだと考えられています。したがって、幼児期には特に、感染者からの口移しには注意が必要です。 胃炎・胃潰瘍から胃がんの原因にもなる 胃がもたれたり、吐き気がしたり、空腹時や食後の胃痛、腹痛、食欲不振などの症状はこのピロリ菌が原因かもしれません。ピロリ菌に感染すると、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍になってしまうことがあります。 そして、ここから胃がんや十二指腸がんになってしまう場合もあるため、これらの症状をいつものことだと、軽く考えるべきではないでしょう。気になる場合は、医療機関で感染の有無を調べることができます。そして、必要であれば除菌も可能ですので、検討してみてください。 効果が期待されている食品も 感染している場合、除菌がベストですが、食品にもピロリ菌を減らしたり、増殖を抑制したりする効果が期待されているものもあります。ブロッコリースプラウト(新芽)や緑茶、ヨーグルトとその乳酸菌のLG21を継続して摂取すると、胃の中のピロリ菌を減らすことができるという報告もあります。 ピロリ菌は感染経路が未確定であることから、その予防も確実な方法はないようですが、口に入れるものに対する衛生状態に注意し、これらをいつもの食事に取り入れるという方法は有効であるようです。 公開日:2016/02/15
胸やけ、呑酸(どんさん)、お腹の張り…。もしかして、逆流性食道炎!?あなたはこんな症状ありませんか?気になる方は、こちらでチェックしてみましょう。 目次 胸やけ、呑酸(どんさん)、お腹の張り…。もしかして、逆流性食道炎!? 逆流性食道炎セルフチェック 本来は閉まるはずの胃の入口が閉まらず、胃液が食道へ逆流することに 食事・姿勢・服装を見直して、逆流性食道炎を予防しよう! 胸やけ、呑酸(どんさん)、お腹の張り…。もしかして、逆流性食道炎!? 逆流性食道炎は、胃液などの胃の中身が食道まで逆流して、しばらくとどまることで起きる病気です。食道は、強い酸性の胃液への抵抗力を胃ほどはもたないため、炎症を起こし、さまざまな症状が現れます。以下の中に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。 逆流性食道炎セルフチェック 胸やけ 呑酸(どんさん:のどや口の中で酸っぱさを感じる) お腹の張り のどのヒリヒリとした違和感 咳 げっぷ 胃もたれ 胃の痛み 胸の痛み 吐き気 …など 本来は閉まるはずの胃の入口が閉まらず、胃液が食道へ逆流することに 逆流性食道炎は、下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という、食道と胃をつなぐ部分にある筋肉がゆるむことによって起こります。この部分は通常は閉まっていますが、食べたものが通るときに開き、通過すると再び閉まることで、逆流を防いでいます。この開閉をコントロールしている下部食道括約筋がゆるみ、正常に閉まらなくなると、胃の中身が逆流してしまいます。 そのほかに、胃液の量が増えることや、腹圧が高くなることなどでも、逆流は起こります。これらを引き起こす原因として、以下が挙げられます。 その習慣が逆食のもと! ●脂肪分の多い食事 ●タンパク質の多い食事 ●加齢 ●背中が曲がること ●肥満 ●ベルトをきつく締めすぎること ●他の病気の薬 ●ストレス …など 食事・姿勢・服装を見直して、逆流性食道炎を予防しよう! 逆流性食道炎は、主に内科や消化器内科で、問診や内視鏡検査などを受けて診断されます。一般的に、食生活や姿勢の改善、胃酸の分泌を抑える飲み薬などによる治療が行われます。ただし、ゆるんだ下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)を根本的に治せるわけではないので、症状が治まったからといって服薬をやめると、再発してしまうことがあります。そのため、症状が治まった後も維持療法として、服薬を続けるケースは少なくありません。 薬による治療では症状の改善がみられないときや、再発を繰り返すような重症のときは、手術が行われる場合もあります。 日常生活において逆流性食道炎を予防するには、以下の方法があります。症状が治まった後も服薬を続ける維持療法を行っている場合には、再発の防止法としても役立ちます。 ●食事 食べすぎに気を付けましょう。特に、脂肪分やタンパク質の多い料理には注意が必要です。洋菓子などの甘いものや、香辛料、柑橘類などは、胸やけを悪化させる恐れがあるので、控えましょう。飲み物は、胃酸を分泌させるとともに、下部食道括約筋をゆるめるアルコールや、胃酸を分泌させるコーヒー・緑茶、腹圧を高める炭酸飲料は控えましょう。 ●姿勢 背筋を伸ばし、前かがみにならないようにしましょう。寝るときは、上半身の腹部から上が、やや高い位置になるような姿勢をとると良いでしょう。なお、食後2~3時間以内に横になると逆流しやすいため、気を付ける必要があります。 ●服装 ベルトや着物の帯、コルセット、ガードルなどで、お腹を締め付けすぎないようにしましょう。 公開日:2015/08/17
せっかくの楽しい旅行にもかかわらず、ストレスや暴飲暴食でおなかをこわしてしまった…。そんな経験はありませんか?旅行中の胃腸の痛みの原因や対処法について解説します。 目次 旅先のご飯はおいしい!でも、食べすぎると… 楽しい出来事が、実はストレスの原因!? 旅も胃腸も、ひと休み 旅先のご飯はおいしい!でも、食べすぎると… せっかくの楽しい旅行にもかかわらず、旅先の水や食事が体に合わず、おなかをこわしてしまった…。そんな体験談を聞いたこと、あるいは実際に体験したことはないでしょうか。水道が日本ほど整備されていない地域では、細菌や寄生虫に感染して下痢や嘔吐が起きる「旅行者下痢症」になってしまうことも。「海外では生水や生野菜に気をつける必要がある」ということは、もはや常識とも言えるでしょう。 そこまでの症状が現れなくとも、国内外を問わず、旅行中に胃腸の痛みを感じる人は、少なくないようです。原因の一つとして考えられるのが、暴飲・暴食。ウキウキとした、開放的な気分になる旅先では、お目当ての名物料理がある場合などは特に、食が進みます。その結果、ついつい食べすぎ、あるいはお酒を飲みすぎてしまうことに。海外は特に、一人前の量が日本より多かったり、胃腸を刺激する香辛料がふんだんに使われたりすることもあり、胃腸に負担がかかりやすいと言えます。 楽しい出来事が、実はストレスの原因!? 旅行中の胃腸の痛みの原因が、ストレスである可能性も考えられます。ストレスは、不安感や辛いことなどから生まれると思われがちですが、楽しい出来事の刺激から生まれることも。旅行のリフレッシュ効果は、楽しい出来事が刺激となって得られますが、実はこの刺激は、ストレスの原因でもあります。ストレスが積み重なると、旅行中に胃腸の痛みが引き起こされるほか、なんとなく食欲がない、おなかの具合が悪い(便秘・下痢など)、といった状態になることがあります。 旅行中にかかるストレスの例 国内旅行 楽しい出来事を詰め込みがちな日帰りや1泊2日などの短い日程では、移動が旅行中の時間の多くを占めることがあります。長時間の移動は体に疲れが残りやすく、知らずしらずのうちにストレスがかかっていると考えられます。 海外旅行 複数の都市を短期間で巡るパッケージツアーなどは、楽しい出来事も多く刺激的ですが、移動も観光も過密スケジュールになりがち。国内よりも緊張感が高まることや、集団行動による気疲れを伴うことも、ストレスのもとになります。 旅も胃腸も、ひと休み 胃腸を健康に保つために、旅行中は胃腸に負担をかけすぎず、適度に休ませましょう。暴飲・暴食は控え、必要に応じて残すことも大切です。ストレスのかかりすぎを防ぐためには、旅行の日程をあまり詰め込みすぎず、余裕をもって行動しましょう。 もしもの場合に備えて、旅先には市販の胃腸薬を携帯すると安心です。カモミールやミントなど、胃腸に良いと言われているハーブのお茶を試しても良いかもしれません。ただし、旅行の後も胃腸の痛みが続くようであれば、症状が重いか、思いもよらない病気の可能性があります。そんなときは、病院で診てもらいましょう。 公開日:2014/06/23
飲み会が続く時期は、お酒の飲み過ぎ、揚げ物や脂肪分の多い料理の食べ過ぎなどが原因で、胃の不調を感じる人も多いでしょう。こんな時期こそ胃をケアしてあげることが重要です。飲み会が多い時期におすすめの食品、胃にやさしいメニューを紹介します。 目次 飲み会後は胃のケアが必要 飲み会が多い時期におすすめの食品は? 作ってみよう!胃にやさしいメニュー 飲み会後は胃のケアが必要 飲み会が続く時期は、胃の不調を感じる人も多いでしょう。原因として第一に考えられるのはアルコールですが、飲酒をしない人も胃の不調を訴えることがあります。これは、飲み会の場で出されることの多い唐揚げ・フライドポテトなどの揚げ物や、香辛料を多く使った料理、脂肪分の多い料理や、食べ過ぎによって、胃に負担がかかったと考えられます。これらの原因が重なることで、胃の粘膜が傷つき、もたれ感や痛みが引き起こされている可能性があります。このようなときは、胃のケアを意識することが大切です。 飲み会が多い時期におすすめの食品は? 飲み会で胃の具合が悪いときの食事は、胃の粘膜を回復させるはたらきや、消化を助けるはたらきのある栄養成分を意識的に摂るようにします。より消化されやすくするために、よく噛んで食べるようにしましょう。 飲み会が多い時期におすすめの栄養成分 栄養成分 はたらき 含まれる主な食品 ビタミンA(レチノール、β-カロテン) 粘膜を強化し、再生させる レバー、うなぎ、にんじん ビタミンE 粘膜の再生を促す アーモンド、落花生、かぼちゃ ビタミンU 粘膜の新陳代謝を促す キャベツ、セロリ、レタス ジアスターゼ 消化を促す 大根、ラディッシュ、もやし 作ってみよう!胃にやさしいメニュー 上述の食品を用いた胃にやさしいメニューの例として、次のようなものがあります。胃の粘膜の修復にはたんぱく質も欠かせませんので、脂肪が少なく胃に負担をかけない鶏むね肉や白身魚、豆腐なども、好みに合わせて食卓に加えましょう。 胃にやさしいメニューの例 ●大根サラダ サラダを食べる際は、ジアスターゼが豊富な大根を使ったものを選ぶのがおすすめです。ビタミンUを含むキャベツやレタスなども入れると、なお良いでしょう。 ●ポトフ にんじんやキャベツ、オクラなど、胃にやさしい栄養成分を含む野菜を多く食べられる。じっくりと煮込むことで、消化も良くなります。 公開日:2013/12/16
胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気の原因として多いのが胃にピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がすみつくこと。ピロリ菌に感染してしまった場合の除菌方法や除菌後の検査について、詳しく解説します。 目次 胃に異常を感じたらピロリ菌の検査を! 薬を1日2回、7日間服用する「除菌療法」 除菌後の検査で成功・失敗を判定 胃に異常を感じたらピロリ菌の検査を! 胃もたれや胃のあたりの痛み、吐き気、胸焼けなどの症状がある場合、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気にかかっている可能性があります。これらの病気の原因として多いのが、胃にピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がすみつくこと。胃に異常を感じた場合は、ピロリ菌の感染検査を実施している医療施設で検査しましょう。 薬を1日2回、7日間服用する「除菌療法」 ピロリ菌の感染を確かめる検査にはいくつかの種類があり、内視鏡を用いるものと用いないものに大きく分類されます。検査の結果、感染していることが確認されると、ピロリ菌を退治するための「除菌療法」が行われます。この治療では、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬の、合計3種類の薬を朝夕の1日2回、7日間毎日服用します。飲み忘れると、除菌が成功する確率が下がってしまうため、忘れずにきちんと服薬することが重要となります。除菌療法を始めてから体調に変化があったときは、医師や薬剤師に相談しましょう。 除菌後の検査で成功・失敗を判定 7日間の服薬を終えて4週間以上経った後には、除菌が成功したかを判定する検査を受ける必要があります。除菌に失敗していたときは、正しく服薬できなかった、あるいは服用した抗菌薬が効かない耐性菌が感染していたなどの理由が考えられます。この場合、抗菌薬の種類を変えて再び7日間服薬する二次除菌が行われます。 二次除菌が必要になるかどうかを確かめるために、7日間の服薬を終えた時点で終了だと思わず、4週間以上後の判定検査を必ず受けるようにしましょう。 ピロリ菌除菌療法の流れ 公開日:2013/05/20
「納期までに間に合わなかったらどうしよう…」「上司に嫌われているのではないだろうか…」。仕事や人間関係で悩むと、きまって胃がキリキリ痛んだり、もたれたり、といった経験はないだろうか。胃は顔の次に感情が出やすい部分。緊張や不安、恐怖、イライラなどが胃の機能を阻害し、しまいには胃潰瘍など深刻な病気を招くこともある! ストレスと胃の深い関係 なんだか胃の調子がおかしい――そう思って消化器内科を受診し、内視鏡検査をしたところ、診断結果は「粘膜などは異常なし」。こんな症状を、「 NUD : Non-Ulcer Dyspepsia 」と呼ぶ。「潰瘍のない消化不良症」という意味だ。 ストレスがたまると、胃のぜん動運動が弱まったり、胃液や粘液の分泌量に異変があらわれたりすることがある。その結果、潰瘍もないのに胃もたれ、膨満感、むかつき、胸焼けといった症状があらわれるのだ。 そもそも胃は、自律神経の影響を大きく受けている。自律神経とは、内臓、血管、ホルモン、神経、免疫力などのはたらきをコントロールし、 体内の環境を整える神経。緊張するとはたらく交感神経と、リラックス時にはたらく副交感神経に分かれている。ちょうど、「オン」と「オフ」のスイッチのようなものだ。二つは交互にはたらき、バランスを保っている。 ところが、ストレス状態が続くと交感神経もしくは副交感神経のどちらか一方だけが過剰にはたらいている状態になるため、ついにはスイッチが壊れてしまう。その結果、胃にも深刻なダメージが与えられるのだ。ダメージのパターンには、おもに次の2つがある。 ダメージ1…胃もたれ型 ストレスにより、自律神経が必要以上に刺激されると、交感神経の機能が活発に動く。すると、血圧や心拍数が上昇。血行が促進される一方で、皮膚や内臓器官への血管が収縮する。その結果、胃のぜん動運動が鈍くなり、胃液の分泌も減少してしまう。さらに、胃壁の粘膜に血液が行き渡らず、粘膜そのものが弱くなる。 おかげで、食べたものを消化できないばかりか、胃壁も荒れ放題。胃もたれ、膨満感といった症状が出るようになる。 精神的なストレス→自律神経の交感神経が刺激を受ける→胃の粘膜に血液がいきわたらなくなる →血行が促進される一方で、皮膚や内臓器官への血管が収縮→胃のぜん動運動が鈍くなり、胃液の分泌が減少→胃壁の粘膜に血液が行き渡らず、弱くなる→胃もたれ、膨満感などの症状があらわれる。 ダメージ2…胸焼け型 副交感神経が刺激を受けると、胃酸の分泌が増加する。なにしろ胃酸のパワーは強力そのもの。分厚い肉片も溶かしてしまうほどだ。胃酸が出すぎた揚げ句、胃壁が荒らされ、胃の中の細い血管が傷つけられてしまう。その結果、胸焼けや胃痛に悩まされるようになる。 精神的なストレス→自律神経の副交感神経が刺激を受ける→胃酸の分泌を高めてしまう→胃壁を荒らす→胸焼け、胃痛などの症状があらわれる。 悪化すると粘膜がただれ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった深刻な病気に発展してしまう。 潰瘍性格ってどんな性格? 几帳面で頑固、勤勉な人は人一倍ストレスをためやすいもの。こうした性格を「潰瘍性格」という。次のような特徴に心当たりのある人は要注意だ。 無口ではにかみや・早合点の傾向がある・すぐ不機嫌になる・深く物事を考え込む 小さいことを気に病む・何かにつけて自信がない 「胃の調子が悪いな」と思ったら ●市販の胃薬には注意を 「胃もたれ型」と「胸焼け型」の薬では、効能・効果がまったく違う。間違えて飲むと、かえって症状が悪化することもある。薬を購入するときは、自己判断せず、薬剤師さんに相談を。また、症状が続くようなら専門医を受診しよう。 ●お酒は基本的にNG 強いお酒は胃壁を荒らす。とくに空腹時にいきなり飲むと、ダメージは大きい。アルコール度数の低いお酒も、大量に飲むのはNGだ。とはいえ禁酒がストレスになるようなら、適量を守ってほどほどに飲むのはよい。ただし、これは症状がごく軽い人の場合のみ。 ●コーヒーは薄めに カフェインは胃酸の分泌を促進する。したがって濃いコーヒーをがぶ飲みするのはご法度。胃の調子が悪いときは、薄めのもの、ミルクをたっぷり入れたものを飲もう。 ●たばこはダメ! 空腹時と就寝時はとくに胃を荒らす。喫煙者の消化性潰瘍にかかる率は、なんと吸わない人の約 2 倍とか。「ちょっと胃がおかしいな」と思ったら、まずは禁煙すべし! ●ストレス解消法を持とう ストレスをためこんでいる限り、胃のもたれや痛みは根治しない。趣味や気分転換でストレス発散を。ゆっくり入浴したり、音楽を聴いたりと、自分なりのストレス発散法を持とう。 公開日:2006年4月3日
「なんだかこの頃、お腹の調子が…」というあなた。ただの下痢とたかをくくらないでほしい。最近、増えている「潰瘍性大腸炎」の可能性もあるからだ。潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜がただれたり、潰瘍ができたりする病気。最悪の場合は死に至ることもあり、侮れない病気だ。とくに若年層に多いという、謎の現代病に迫ってみよう。 目次 潰瘍性大腸炎が現代病として、現在急増中! 発病しているのに気づかないケースも多い よく似た病気「クローン病」 潰瘍性大腸炎やクローン病にならないために 潰瘍性大腸炎が現代病として、現在急増中! 1970年代に特定疾患(難病)として指定された潰瘍性大腸炎は、かつてかなりめずらしい病気とされてきた。ところが最近、どういうわけか患者数は急増中。1985年には1万人超だったが、2002年には、なんと7万7000人以上(平成14年度 特定疾患医療受給者証交付件数より)となっている。特定疾患のうちでも、最も発病者が多い。しかも、発症しやすいのは若年層。男性では20代前半、女性は20代後半が目立つ。 厚生労働省医療受給者証交付件数より 厚生労働省特定疾患難治性炎症腸管障害調査研究班 平成4年度研究報告書より 詳しい原因は今もって不明だ。有力なのは「免疫異常説」。細菌などの外敵から細胞を守るはずの免疫機能が反乱を起こし、自ら腸を攻撃してしまうのである。おかげで粘膜に炎症が起こり、さらに白血球が異物を排除しようと、粘膜にはたらきかける。こうして、炎症がますますひどくなっていくのだ。 背景には、近頃多くなっている「肉食」傾向が影を落としている、との指摘も。脂肪の摂り過ぎが、腸の過敏な反応を招いている、というのだ。このほか、心身のストレスが一因になっているという説もある。 発病しているのに気づかないケースも多い この病気の怖いところは、発病を見過ごされがちな点。おもな症状が、下痢や血便、腹痛など、ありふれた胃腸病と似ているため、診断が遅れる可能性があるのだ。 見過ごされて重症化すると、発熱、貧血、急激な体重減少が起こるようになる。腎結石、膵炎、皮膚や目の異常などの合併症を繰り返し、やがては大腸がんを発症することも。もっと重症の場合は、手術で大腸をすべて切除してしまうケースも少なくない。以下のような初期症状が見られる場合は、早めに専門医を受診しよう。 こんな症状があれば専門医を受診しよう ●便がだんだんゆるくなってきた ●血便がある ●けいれん性の腹痛がある よく似た病気「クローン病」 同じく、厚労省の特定疾患に指定された病気に「クローン病」がある。この病気の症状も、潰瘍性大腸炎によく似ているが、潰瘍性大腸炎が大腸のみに起こるのに対し、クローン病は小腸にも発生する点で異なっている。 クローン病の おもな症状は、腹痛や発熱、体重の減少、貧血、皮膚や目の異常、痔など。悪化すると大出血につながりかねない。長期化するにつれ、腸壁が厚くなって柔軟性が失われ、10年で手術することもある。患者数は全国で2万人超。毎年、400人近く増えており、やはり20~30代で多い。 いずれにせよ、若者の腸に今、なんらかの異変が起きつつあるのだ。 潰瘍性大腸炎やクローン病にならないために いずれも「予防法の決定打はない」とされる病気だが、普段の心がけ次第でリスクは減らせる。生活習慣や食習慣のうえで、気をつけてほしいのは以下の2点だ。 その1:動物性たんぱく質や脂肪の摂り過ぎに注意! 肉や乳製品などを食べ過ぎないようにしよう。アルコールや刺激物はほどほどに。ファーストフードやスナックばかり食べず、魚や野菜を中心とした食生活に切り替えて。 その2:心身のストレスはためこまない 規則正しいライフスタイルを心がけ、習慣的にスポーツを。ムリを続けると、心身の疲労から免疫機能も狂いがちになる。 早めにきちんと治療を受ければ、手術をしなくても改善する可能性は高い。健康診断などでこまめに体調チェックを行い、早期発見をめざすようにしよう! ■関連記事 働き盛りに多い潰瘍性大腸炎・クローン病、仕事と両立する鍵は?Gコミュニティ 公開日:2005年3月22日
アルコールにストレス、バランスの偏った食生活…。このように乱れた生活習慣によって発症率が増えると考えられている病気が、「十二指腸潰瘍」と「大腸ポリープ」。現在のところ男性に多い病気ではあるが、ストレスや食生活のバランスの乱れなどは、もはや男性の専売特許とはいえない感がある。他人事とは思わず、女性もご用心! 目次 20~40代の男性に多い、十二指腸潰瘍 40歳くらいから気を付けたい、大腸ポリープ 20~40代の男性に多い、十二指腸潰瘍 十二指腸潰瘍は、どんな病気? 胃潰瘍とまとめて語られることの多い十二指腸潰瘍。どちらも男性に多い病気だが、胃潰瘍が40~50代の男性に多いのに対して、十二指腸潰瘍は20~40代の男性に多いのが特徴だ。 また自覚症状として出てくるものも、腹痛、胸焼け、嘔吐、ひどいときには吐血と、胃潰瘍とほぼ同じ。症状から見分けるポイントは、「いつ腹痛が起きるか」にある。食後に痛むなら胃潰瘍、空腹のときや夜中に痛むなら十二指腸潰瘍の疑いが強い。 痛みの程度は人によってさまざまで、ときに激痛を感じる人もいるが、痛みの強さと潰瘍の程度にはあまり関係がないようだ。治療も現在では大きな手術をすることは少なく、食事療法や投薬、内視鏡を使った治療ですますことができる。 ただ、潰瘍は再発しやすいという特徴を持つ。何度も繰り返さないためには、潰瘍になったら完治するまでキチンと治療を受け、生活習慣を見直していくことが肝心だ。 男性に多いのはなぜ? 胃の中にヘリコバクター・ピロリ菌、通称「ピロリ菌」が発見され、これが潰瘍などの原因ではないかと考えられている。しかしながら、ピロリ菌がいても潰瘍ができない人もおり、ピロリ菌と潰瘍との因果関係はまだ解明されきれていない。 ただ、潰瘍になった人は例外なくピロリ菌に感染していること、ピロリ菌に感染していない人は潰瘍になりにくいこと、さらに潰瘍の治癒後に除菌してピロリ菌を取り除くと再発率が大きく下がることはわかっている。医師との相談が大切だが、潰瘍ができたことがある人は除菌しておくと良いかもしれない。 さて、ピロリ菌以外の原因として考えられる危険因子には次のようなものがある。 ピロリ菌以外の原因として考えられる危険因子 ●精神的ストレス ●睡眠不足などの過労 ●大量のアルコール ●喫煙 ●不規則な生活 また、解熱剤などのクスリや他の病気による影響もある。男性が多い理由はハッキリわかっておらず、現在は、女性は出産などに備えてもともとストレスに強い体質になっているとか、男性のほうが社会的ストレスが多くなりやすいなどの仮説があるだけ。社会的ストレスの多少なら、今後は女性の潰瘍も増えてくるかもしれない。女性もご用心! 十二指腸潰瘍は、こうして予防しよう! ●ストレスをためない工夫をする ●睡眠時間を確保する ●アルコールを控える ●たばこを控える ●バランスのとれた食事を摂る ●規則正しい生活を心がける また、潰瘍が気になる人は、次の食品も控えた方がよい。 ●ナッツ類などの固いもの ●香辛料や味の濃いもの ●イカやタコ、ゴボウなどの消化しにくいもの 40歳くらいから気を付けたい、大腸ポリープ 大腸ポリープは、どんな病気? 大腸ポリープとは、簡単にいうと大腸にできる吹き出物、イボ、コブのようなもの。40歳くらいから発症する人が増えはじめ、年齢があがるとともにできやすくなると言われている。男性のほうが約2倍も多いといわれ、さらに近年、患者数は増える傾向にある。 大腸ポリープは小さなものなら自覚症状はなく、健康診断などで見つかることがほとんど。この場合は特に治療せず、それ以上大きくなったり広がったりすることがないように定期的に経過観察をしていくだけで良いことも多い。また、大きさが5mm以上の場合は、内視鏡を使った簡単な方法で切り取ってしまう病院が多いようだ。 だが、ある程度に大きくなると、お腹が痛い、下痢をしやすい、お腹が張る、便が出にくい、便に血が混じるなどの症状が出る。しかも、これらの症状は大腸がんの場合にも見られるのだ。そう、怖いのはここ。一部の大腸ポリープは大腸がんへと進行する可能性を持っているのだ。特に、胃や小腸に100個以上もできたポリープは「消化管ポリボーシス」と呼ばれ、かなりの高率でがんへと進行することがわかっている。 一度でもできたことのある人は、体質や遺伝的にポリープができやすい可能性があるため、定期的に検査していくことが欠かせない。 男性に多いのはなぜ? 大腸ポリープの原因は、まだはっきりわかっていない。男性のほうが多い理由も明解ではない。ただ、動物性脂肪や砂糖の摂り過ぎ、食物繊維の不足といった食生活のアンバランスが大きく関与していることは、まず間違いないとされている。また、便秘で大腸に便がたまっていると、それが発酵・腐敗して腸管を刺激し、ポリープをできやすくするとも考えられている。 大腸ポリープは、こうして予防しよう! ●動物性たんぱく質や脂肪の多い食事を控える ●食物繊維の多い野菜やイモ類、海藻類などを積極的に摂る さらに便秘を解消するために。 ●ビフィズス菌やオリゴ糖を積極的に摂る ●適度な運動をする ●便意を感じたらガマンしない ●朝食後などにトイレタイムを十分に取る 公開日:2003年3月24日
お腹が痛い、といっても病気ではないものもあります。今回は特に膨満感と、ストレス性腹痛である過敏性腸症候群についてご紹介します。 目次 病気のチェックの後で お腹が張ったような感じ「膨満感」があるなら 腸は心の窓=ストレス性の腹痛があったら 病気のチェックの後で こんなにある腹痛を伴う病気で病気をチェックしてみただろうか?「どうも胃があやしい」など思い当たるものがあるなら、すぐにでも病院へ。また、「思い当たるものはないが、腹痛はたびたびある」という場合も病院へ。腹痛が何度も繰り返し起きる場合や、痛みが悪化していくような場合は、やはり何らかの病気が隠れている可能性が高い。受診して、検査してもらおう。 余談だが、信頼できる医師にめぐり合うのは、なかなか難しい。日頃から病院へ行く習慣を身につけて、信頼できる医師や相性の良い医者を探しておくことは、私たちの自己防衛手段のひとつなのかもしれない。特に、ストレス性の腹痛の場合は、もともと神経質な性格の人に多く見られるうえに、身体データ的には異常がなく、病名が特定されにくい。そのため、医師への不信感が芽をふきやすいのだとか。 これでは、治るものも治りにくい。日頃から信頼できる医師を探し、調子の悪いときはいつでも気軽に受診することを私たちも心がけたい。 お腹が張ったような感じ「膨満感」があるなら 膨満感…わかるようでわからないような不思議な言葉だが、症状としては、お腹が張ったような感じや、ガスがたまっているような感じを伴う腹部の不快感、ということができるだろう。 病気ではないとはいえ、気持ちのいい状態ではない。主な原因は、以下の「膨満感の主な原因」に示す通り。また、便秘などで膨満感を感じることもある。特に注意したいのが、胃腸の機能低下だ。疲れはたまっていないだろうか。不規則な生活や暴飲暴食で、胃腸を弱らせていないだろうか。 普段の生活を見直しつつ、「膨満感を抑えるポイント」を参考に、少しでも改善していこう。 膨満感の主な原因 ●でんぷん類の食べ過ぎ ●食事などのときに、空気を飲み込む量が多い ●疲れなどで胃腸の機能が一時的に低下している 膨満感を抑えるポイント ●でんぷん類を減らす ●ガスを発生させやすい炭酸飲料やビールを避ける ●栄養バランスの良い食事と、規則正しい生活で胃腸の機能が正常に戻るのを助ける ●胃腸のはたらきを助けるクスリを服用する ちなみに、膨満感そのものは病気ではないが、頻発する場合は、胃炎の可能性もあるので、気になるようなら受診することをオススメしたい。 腸は心の窓=ストレス性の腹痛があったら 幼い頃、「お腹が痛い」というと、お母さんが「時計と反対まわりに」お腹をさすってくれ、痛みがやわらいだ思い出はないだろうか。「腸は心の窓」ともいわれ、精神的な影響を受けやすい臓器なのだ。 特に胃は、神経性胃炎をはじめ、胃潰瘍なども「ストレスに対しての身体的反応の結果」とされ、病気の背景には生活環境や性格などが大きく関与しているといわれている。 また、こうした精神的な影響からくる腹痛に「過敏性腸症候群(IBS)」というものがある。簡単に説明すると、精神的な不安やストレスから自律神経が乱れ、腸の運動や分泌機能が過敏になって便通異常を起こすもの。主な症状としては、「過敏性腸症候群の診断基準」にあるように、腹痛とともに便通異常を伴う。また、おならが頻発するといったことも。ひどくなると、通勤途中、各駅ごとにトイレに駆け込むといったケースもあるほどに悪化する。 過敏性腸症候群の診断基準 以下のいずれかが3ヵ月以上繰り返す。 ●腹痛が、排便によって軽快する ●腹痛+排便頻度の変化を伴う(トイレへよく行く) ●腹痛+便性状の変化を伴う(便秘、下痢、もしくは便秘と下痢を繰り返す) 過敏性腸症候群で伴わない症状 ●体重はほぼ減少しない ●便に血は混じらない ●リラックスしているときや、就寝中は腹痛が起きない 胃腸の器官そのものの病気と違う点は、「過敏性腸症候群で伴わない症状」にある通り、体重の減少といった症状が出ないこと。一説には、消化器科を受診する患者のおよそ半数近くが過敏性腸症候群だというほど多い症状にも関わらず、身体データ的には異常がないため、医師による病名の特定がなかなか進まず、ひとりで悩むことが多いのが現状のよう。 また、病名が特定されても、敵はストレス。そう簡単にはおさまってはくれない。この点は、自覚しておく必要がある。つまり、ストレスと向き合い、生活を見直すなりして、ストレスと上手につきあっていくこと。また、症状も劇的におさまることはほとんどないため、少しずつ気長に治していくつもりでいることが大切なのだ。 「お腹が痛い」とひと口に言っても、程度によってはかなりの痛みや苦しみを伴うストレス性の腹痛。ぜひ、次のような点に注意しながら、少しずつ快方へ進んでいってもらいたい。 生活で気を付けたいこと ●食事 栄養バランスの良いものを。また、便秘のときは水分と食物繊維を積極的に摂り、下痢のときは水分を積極的に摂る。アルコールや香辛料は控える。おならが頻発する場合は、食物繊維を控える。 ●トイレ習慣 食後など、毎日一定の時間にトイレに行く習慣をつける。 ●ストレスとの付き合い まず、腹痛や便通の異常がストレスによるものだと自覚することから。そうして、ストレスを感じたときに、症状が悪化するかどうかチェックを。ストレスと症状の関係がわかったら、生活の見直しや自分なりのリラックス方法を。また、物事において完璧主義になり過ぎず、気楽さをもつ習慣を身につけていくのも効果的。 ストレス解消のためのリラックス法も参照しよう。 公開日:2002年10月15日
「お腹が痛い&苦しい」というとき、私たちは「お腹」とひとくくりにしていますが、腹部というのは案外広く、多くの臓器が密集しているところ。どの辺りが痛むとき、どんな病気が考えられるのでしょうか。まずは、それを図で見ていきましょう。 部位別に見る腹痛と病気の関係 「なんとなくお腹の調子が悪い」「お腹が苦しい」「お腹が痛い」…。これらの症状は、きっと誰でも一度ならず経験したことがあるはずです。こういったとき、私たちはつい、「お腹」とひとくくりにしがちですが、お腹という部分はかなり広く、さまざまな臓器が密集しています。 私たちが「お腹が痛い」というとき、実際は、どの辺りが痛んでいるのでしょうか。また、その部位が痛むとき、どんな病気が考えられるのでしょうか。まずは、そこから見ていきましょう。 健診での異常はないけれど…お腹が痛い&苦しい 公開日:2002年10月15日
外出先で急に下痢になったり、慢性的な便秘などでお腹が痛くなるのは、腸にトラブルがあるサインです。とくに、若年層に増えている潰瘍性大腸炎やクローン病を中心に、どんな病気なのか、症状などをご紹介します。 目次 腸の病気が増えている ところで、腸ってどんなはたらき? 潰瘍性大腸炎やクローン病って? 腸の病気が増えている 出典:「潰瘍性大腸炎」福島恒男著 保健同人社 食生活の欧米化に伴って、大腸がんの患者が増えている、と言われているが、増えているのは大腸がんだけではない。それと同時に腸疾患、例えば過敏性腸症候群や、潰瘍性大腸炎やクローン病などにかかる人も増えているのだ。 あまりなじみのない病名かもしれないが、潰瘍性大腸炎やクローン病は厚生労働省から難病指定を受けている病気で、しかも若い世代に増えているというからやっかいだ。 若者のおなかが大ピンチ!?潰瘍性大腸炎&クローン病 ところで、腸ってどんなはたらき? 口から入った食べ物は、胃や腸を通って肛門から便となって出る。その通り道は口から肛門まで約6mあり、消化管と呼ばれる。胃で消化された食べ物は、小腸へ送られ、その後大腸へ送られる。 小腸、大腸のはたらき ●小腸 長さ3~4mの臓器。前半を空腸、後半を回腸といい、食べ物を細かく攪拌して約90%の栄養分や水分を吸収する。 ●大腸 長さ1~1.5mの臓器。小腸から送られてきた残りかすは、回腸(上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸)から結腸、直腸へと送られる。小腸で吸収されなかった水分が吸収され、だんだん便になっていく。直腸に一時的にためられた後、肛門から便となって排出される。 潰瘍性大腸炎やクローン病って? 若者の間で流行りつつある、潰瘍性大腸炎やクローン病。日本ではなじみは薄いが、欧米ではかなり有名な病気だ。 さて、どんな病気だろう?この2つの病気は、突発性炎症性腸疾患(IBD)とも言われる。 潰瘍性大腸炎 ■どんな病気? 大腸粘膜にびらんや潰瘍ができる病気。進行する順序は、たいてい肛門からいちばん近い直腸から炎症が始まり、大腸をさかのぼるように広がっていく。原因は、はっきりしないが、自分の体の一部であるはずの大腸粘膜を自分の敵として攻撃してしまった結果、起こるとも言われている。専門的に言えば、「自己免疫の異常」ということ。大腸の粘膜や粘膜下層にのみ炎症が起こる。 ■症状 とくにこれと言った誘因もなく、下痢や血便が見られることがある。いったんよくなったりもするが、また再発する。症状が進むと、粘血便や下腹部痛を伴い、たびたび下痢に悩まされる。重症の場合は、嘔吐、頻脈、貧血、1日10回以上の下痢(血便)、脱水症状などが起こる。 ■どんな人に起こる? 2歳以下、または70歳以上の発症例もあるが、20歳代に高いピークがあり、患者全体の3分の1を20代が占めているとも言われている。 クローン病 ■どんな病気? 潰瘍性大腸炎と同様、腸に炎症が起こる病気。潰瘍性大腸炎が大腸にしか起こらず、直腸からさかのぼるようにして炎症が進むのに対し、クローン病は、大腸から小腸にかけて断続的に炎症が起こることがある。腸の壁をつらぬいてまわりの臓器に及ぶことも。炎症が起こると腸管が狭くなり、腸閉塞を起こしやすくなる。 ■症状 主症状は慢性の下痢。潰瘍性大腸炎が初期にはほとんど痛みがないのに対し、クローン病は最初から腹痛を伴う。また、血便もそれほど出ず、多くの場合、ドロっぽい便が出る。 公開日:2001年11月5日
足の裏や甲にはツボが集まっています。体の悪い部分に対応する反射区をよくもむとその痛みを和らげたり、楽になることがあります。自分がいちばん気持ちがいいと感じる方法でもんでみては?足もみテクニックをご紹介します。 目次 ツボってなに? 足裏の「反射区」にヒミツあり 足もみテクニック この症状ならここを押す!足もみポイント ツボってなに? ツボマッサージや足もみは、誰にでも大人気。東洋医学は、現代医学を追求している大学病院などでも、ツボ療法を科学的に解明しようとする動きがあるほどだ。 その東洋医学では、「気血」というエネルギーが足の先から頭のてっぺんまで人体を縦横に通っており、この道筋を「経絡(けいらく)」と呼んでいる。さらに、その経絡に点在している、エネルギーの流れが集まりやすいところを「ツボ」と呼んでいるのだ。 気血が体内をスムーズに循環していれば健康だが、この流れが滞ってバランスが崩れると病気になると考えられている。ちょうど足の先は気血の折り返し地点。流れがたまり、悪くなりやすい部分なのだ。 足裏の「反射区」にヒミツあり 足の裏をぎゅーっと押すと、「痛いけど、気持ちがいい」と感じることはないだろうか。 足の裏や甲にはツボが集まっている。ちょうど反射区(反射帯ともいう)と呼ばれる、人体と対応した部分があり、足裏や甲を押してみて痛いところは、対応する体の部分が悪いということなのだ。 逆に、肩がこる、お腹が痛い、などの体のトラブルがあるなら、それに対応するツボを押すことで、痛みを和らげて改善する、速効性がある。 足もみテクニック さて、足マッサージにはテクニックがある。いずれも、自分がいちばん気持ちがいい、と感じる方法で構わないのだが、ここではそのやり方を紹介しよう。 「もむ」「押す」に「ねじる」「たたく」「こする」なども 足マッサージといえば、足裏を押す、もむ、などが多いが、それに加えて足指を「ねじる」、足裏全体を「たたく」、「こする」、なども気持ちが良くて効果的。 ●「ねじる」場合は、足指をつまんで左右にねじってみる。あまり強くし過ぎると、爪や指の骨など傷めてしまうので、注意。ねじりついでに足指を「回す」のもいい。 ●「たたく」場合は、空手チョップのように手の側面を使ってたたく。または、手のひらをお碗をつくるように少し曲げ、空気を入れるようにしてポンポンと足裏をたたく方法もある。 ●「こする」場合は、足裏のかかとから足先に向けて手の親指で30回程度こすってみよう。 指の使い方 ●指圧のように、親指のはらでグーっと押す。皮膚が柔らかい部分に有効。もっと強く押したい場合には、両手の親指を重ねて押すといい。 ●こぶしを握り、人差し指か中指の第二関節を突き出して押す。ピンポイントで押せるので、皮膚が固い部分に有効。 ●親指の関節を90度にしっかり曲げて押す方法。強い刺激を加えたい時にいい。 足もみの注意点 ●手指の爪は短く切っておく。 ●足はきれいにし、できれば温めておくこと。 ●手指に力が入らず、押しにくい場合には、刺激棒を用意しておくと便利。刺激棒は、ボールペンなどで代用してもいい。 ●体調の悪い時にはやらない。 ●食後すぐは避ける。できれば、寝る1~2時間前のゆったりしたときが理想的。 この症状ならここを押す!足もみポイント 足裏にある反射区は、それぞれ人体と対応している。体の悪い部分に対応する反射区をよくもむとその痛みを和らげたり、楽になることがある。イラストを参考に、もんでみてはいかが? この症状ならここをもむ! 症状 もむ場所※イラストの部分を押してください 腰痛副腎、腎臓、尿管、膀胱 目の疲れ目、肩、腎臓、肝臓、膀胱 頭痛頭部、側頭、肩、目 イライラ脳下垂体、甲状腺 不眠症頭部、肝臓(右足のみ)、腎臓、生殖器 肉体疲労首、甲状腺、肝臓(右足のみ)、腎臓 めまい、たちくらみ副鼻腔、頭部、甲状腺、すい臓、副腎 胃痛頭部、側頭、肝臓、胃、十二指腸、腎臓、脾臓 便秘胃、直腸、下行結腸、横行結腸 生理不順首、生殖器、子宮、輪卵管 風邪副鼻腔、甲状腺、肺、副腎、気管 公開日:2001年10月29日
胃がもたれる、むかむかする、痛い、などの症状があっても、よほどひどくなければ市販の薬を飲んで済まそうという人も多いかもしれません。そんなときには、こんな市販薬を選びましょう。 目次 薬と上手に付き合う方法 ストレスをためない生活を 「過ぎ」に注意! アルコールは胃腸障害のもと 薬と上手に付き合う方法 ●胃もたれ・胸焼け・げっぷ・食欲不振などの症状が複合的に現れたとき →総合胃腸薬 胸焼け・げっぷをおさえたいときは、制酸剤(炭酸水素ナトリウムなど)配合のもの 二日酔いなどで、食欲がないときは、健胃剤(ゲンチアナ、塩化カルニチンなど)配合のもの 胃がもたれるときは、消化剤(リパーゼ、ビオジアスターゼなど)配合のもの 胃酸の過剰分泌による胃痛・胸焼け・胃もたれには、H2ブロッカー(シメチジン、ファモチジン、ラニチジン) いわゆるスイッチOTC薬で、効き目が強く、間違った使い方をすると危険なので、薬剤師に相談のうえ正しく使用し、2週間以上の長期の服用は厳禁。ニコチンに弱いので、たばこはひかえる。 ●胃や腸が痛むとき →鎮痛鎮痙剤 ストレスをためない生活を 体にストレスが生じると自律神経のバランスが崩れ、その結果、胃粘膜を攻撃する因子(酸とペプシン)の分泌が高まり、反対に粘膜を防御する因子が弱くなります。まじめで几帳面な人、ひとつのことをいつまでもくよくよ気にする人、心配性の人、協調性の弱い人などはストレスをためこみやすいタイプなので、ストレスをうまく発散するように心がけましょう。 「過ぎ」に注意! 不規則な食事や睡眠は自律神経のバランスを崩すもとです。「どうも胃腸が弱くて…」と思っている人は一度自分の生活を見直してみましょう。 食べ過ぎ、飲み過ぎ、働き過ぎは禁物。タバコは明らかに吸ってはいけません。 食事のときは熱すぎるもの、冷たすぎるもの、刺激の強いものなどはなるべく避けましょう。1日3食をゆっくりと楽しく食べ、消化をよくするために食後は休憩をすることです。 アルコールは胃腸障害のもと 「酒は百薬の長」とも言われますが、アルコールが急性の胃粘膜障害を起こすのも事実です。 お酒を飲んだあとに時々気分が悪くなったり、吐いたり、胃が痛くなったりすることがありますが、一般的には一過性のものであることが多く、その原因であるアルコールがなくなれば、速やかに回復するものです。 しかし、痛み止めや熱を下げるためなどに使われる非ステロイド性抗炎症剤という薬を飲んでいるときには、アルコールによって粘膜障害がさらに悪くなる危険があるため、注意しましょう。また、胃粘膜障害があると、胃で行われるはずのアルコール代謝がほとんど行われなくなります。肝臓に負担をかけることになるので、アルコール好きの人はほどほどにしましょう。
あなたはどれだけ「胃」のこと知っていますか? Q1 胃は空腹の時は50ml程度の容量だが、食物が入ると約10倍に膨らむ。 ホント ウソ Q2 胃の主なはたらきは送られてきた食物を一時貯留して消化し、小腸へ送り出すことである。 ホント ウソ Q3 胃液は塩酸を含んだ消化液なので、胃の中に細菌が棲みつくことはない。 ホント ウソ Q4「胃炎」とは、胃の粘膜に炎症の起こった状態をいう。 ホント ウソ Q5「胃潰瘍」とは強力な消化液である胃液によって胃壁が自己消化を起こしてしまう病気である。 ホント ウソ Q1 胃は空腹の時は50ml程度の容量だが、食物が入ると約10倍に膨らむ。 胃は空腹のときは50ml程度の容量ですが、食物が入ったときには、1500ml~1800mlまで膨らみます。つまり、約30倍~36倍まで膨らむのです。 胃の形はアルファベットのJの形に似ていて、入り口は食道、出口は十二指腸とつながっています。横隔膜の下(みぞおちのあたり)にありますが、体型の変化などによって位置は変わります。 また、胃を形づくっている壁を胃壁といいますが、厚さは数ミリで大きく3つの層に分かれ、内側から粘膜層、筋層、漿膜(しょうまく)といわれています。粘膜と筋層を結ぶ結合組織の層を粘膜下層(粘膜下組織)といい、ここに血管や神経などが分布しています。胃の粘膜には小さな穴が開いており、胃液や粘液を分泌しています。 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 胃の主なはたらきは送られてきた食物を一時貯留して消化し、小腸へ送り出すことである。 胃の役割は主に食物を貯蔵して攪拌することです。口の中でよく噛まれて、唾液と混ざった状態で胃の中に入ってきた食物はいったん胃に蓄えられ、強力な塩酸である胃液や、胃の収縮や弛緩などの規則的な運動によって、さらに消化・攪拌されるのです。消化とは、食物に含まれる栄養素を身体が吸収しやすくなるように分解することで、最終的には胃の中でお粥のようにどろどろになります。そして、すこしずつ小腸へと送り出して行くのです。 食物が胃から十二指腸に送られる速度はその食物の量や質、種類によって異なります。固形物だとだいたい1~4時間ほどかかりますが、同じ固形物でも炭水化物で2~3時間、たんぱく質で4~5時間、脂肪は7~8時間もかかります。また、空腹状態に戻るには、5~6時間を要します。 というわけで、正解は「ホント」 Q3 胃液は塩酸を含んだ消化液なので、胃の中に細菌が棲みつくことはない。 胃液の主成分は塩酸、ペプシン、粘液であり、ペプシンはたんぱく質を分解する消化酵素です。このペプシンが作用しやすいように、胃内はpH1.0~2.5という強い酸性を示し、酸に弱い細菌は殺菌され胃内の発酵を防いでいます。 ところが、強酸であっても胃の中に棲む細菌があることが最近発見されました。それが、「ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ菌)」です。このピロリ菌は胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍と密接な関係があり、特に日本人は約5000万人の人が感染していると推定されています。実際、炎症や潰瘍などの異常がないのに、むねやけや痛みなどの不快な症状だけはある、といったケースもあり、それらはピロリ菌が関係しているのではないかと言われています。 このピロリ菌の発見によって今までの治療法も根本から変わりつつあります。例えばピロリ菌発見前の胃潰瘍の治療には胃酸を弱める薬を服用したりしていましたが、発見後には感染源であるピロリ菌を「除菌する」という治療法が加えられています。 というわけで、正解は「ウソ」 Q4「胃炎」とは、胃の粘膜に炎症の起こった状態をいう。 胃炎は大きく急性胃炎と慢性胃炎に分けられますが、どちらも胃の粘膜に炎症が起こった状態をいいます。 急性胃炎はなんらかの原因により急激にみぞおちあたりに強い痛みや吐き気、嘔吐などの症状があり、胃の粘膜がただれたり、ひどいときには出血することもあるものです。ただ、原因さえ取り除けば一般的には数日で症状が消えます。具体的には、アルコールや薬剤(アスピリンやインドメタシンなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤が多い)、精神的ストレスなどが原因で起こります。 一方、慢性胃炎は胃が悪くて病院に通っている人に多く付けられる病名であり、その状態によって表層性胃炎と萎縮性胃炎に分けられます。表層性胃炎は表層粘膜の炎症であるが、粘膜細胞自体には潰瘍ができるなどの大きな変化は見られません。萎縮性胃炎は胃の粘膜細胞が全体的に萎縮していて胃がすっきりしない、もたれる、などの症状が多いようです。萎縮が進むと胃酸の分泌が低下し、胃の運動が落ちてくるので、食事をするときには、柔らかいものや、消化のよいものを食べたり、ゆっくりよく噛んで食べたり、1回の食事量を減らして回数を増やす、などの注意が必要です。 というわけで、正解は「ホント」 Q5「胃潰瘍」とは強力な消化液である胃液によって胃壁が自己消化を起こしてしまう病気である。 人の体には空気に触れる部分とそうでない部分があり、見えてはいないけど空気に触れる部分というのが、口から始まってお尻に終わる消化管などです。この空気に触れる部分は1枚の膜で覆われており、この膜を「上皮」といい、この上皮の一部が欠損した状態が「潰瘍」です。つまり、胃の粘膜も空気が触れる部分であり、その胃の上皮粘膜が炎症を起こした状態が「胃潰瘍」なのです。 胃の粘膜細胞はたんぱく質でできています。胃液が強酸を示し、たんぱく質を消化する役割があるにも関わらず、胃液によって胃壁が溶け出さないのは、粘膜細胞自身が粘液などを分泌して膜をつくって覆っているからです。しかし、この粘膜がなんらかの原因で正常に作られなかったり、胃酸の分泌が多すぎたりすると胃壁など粘膜細胞を攻撃し、潰瘍ができてしまいます。 潰瘍にかかりやすい年代は40歳~50歳代と言われています。潰瘍は治療しても再発することも多く、この再発にはピロリ菌が大きく関係していると言われています。 というわけで、正解は「ホント」 参考文献:「胃のことがよく分かる本」山下克子著 小学館「胃の話」宮田道夫著 悠飛社
胃痛・胃もたれに効くツボ、漢方薬を紹介します。 目次 胃痛・胃もたれに効く!ツボ指圧 胃痛・胃もたれに効く!漢方薬 胃痛・胃もたれに効く!ツボ指圧 ■足三里(あしさんり) 向こうずねの外側で、ひざ下へ指4本分下がったところです。押すとビーンとした痛みがあります。ここを親指で強めにしっかりと、3~5秒ぐらいずつ10回指圧します。 ■巨闕(こけつ) みぞおちの中央で胸骨の下端から指3本分下のところにあります。あおむけに寝てひざを立て、息を吐きながらこのツボを4本の指でやさしくじんわり押します。だんだん胃のあたりがすっと気持ちよくなっていくはずです。 胃痛・胃もたれに効く!漢方薬 タイプ 漢方薬 ストレス性の胃痛や胸やけ、急・慢性の腹痛 安中散(あんちゅうさん) みぞおちが張る感じがして吐き気がある、便秘と下痢を繰り返す 半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう) 胃が重く、めまいや頭痛、目の奥の痛みを伴う 苓桂ジュツ甘湯 (りょうけいじゅつかんとう) ワンポイントアドバイス 胃炎がある場合は、食べ過ぎず(過食は炎症をひどくする)、睡眠をよくとり、ストレスをためないよう注意します。大根や麦をよく食べるとよいでしょう。 胃下垂の場合は、消化のよいものを食べ、冷たいものは避けます。朝鮮人参入りの薬用酒を飲むのもよいでしょう。
強酸性の胃の中に住むピロリ菌。治療法としては、ピロリ菌を除菌する方法がとられていますが、現在は、胃炎というだけでは検査も除菌も保険が適用されません。では、どうすればピロリ菌を除菌できるのでしょうか? 目次 ピロリ菌を殺菌する効果が! ほかの嗜好飲料にもピロリ菌殺菌効果はある? ピロリ菌を殺菌する効果が! 胃炎の原因であるピロリ菌。これを殺菌する効果がココアにはあるという。 それは、ココアに含まれる「カカオFFA(Free Fatty Acid)」という成分で、カカオバターに含まれている遊離脂肪酸である。これは、カカオ豆を発酵したり、ココアの製造過程でつくられるもの。 とくに、ピロリ菌の殺菌効果があると認められたのは、「カカオFFA」の中でもオレイン酸とリノール酸である。 カカオFFAのピロリ菌殺菌メカニズム 1.ココアを飲むと、ココアに含まれる「カカオFFA」が、胃の中のピロリ菌に直接接触する 2.「カカオFFA」はピロリ菌の細胞膜に侵入し、ダメージを与える 3.ダメージを受けたピロリ菌は、形を変えて徐々に死んでいく。死んでしまったピロリ菌は、塊になって腸のぜん動運動によって胃から排出される ほかの嗜好飲料にもピロリ菌殺菌効果はある? なにかと健康効果が報告されている緑茶や紅茶などの嗜好飲料にも、ココアと同様のピロリ菌殺菌効果はあるのだろうか。 グラフは、それを調査したもの。緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ココアの殺菌効果を調べたところ、最も効果が高かったのはやはりココア。とくに濃いココアでなくても、普通の濃度で飲めばその殺菌効果は得られる、という結果が報告されている。 やっぱりココアはすごい! 公開日:2002年5月20日
仕事が忙しい、悩み事がある時など「胃が痛~い」という経験、ありませんか?「最近、ストレスが溜まっているから、胃も痛くなるんだな」と安易に片付けてしまいがちですが、実はその胃炎の原因は、「ピロリ菌」にあるかもしれないのです! 目次 胃炎の原因は「ストレス」じゃないかも? ピロリ菌って? そもそも胃炎って? 胃炎の原因は「ストレス」じゃないかも? 少し前までの医学書には、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの一因はストレスにもあると書かれていた。つまり、はっきりとした原因がわからない場合、ストレスを解消することが治療法とも思われていたほど。 ところが、「ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)」の発見により、その見解は大きく変わったのだ! これまで、強酸の胃の中に生息できる細菌はいない、と思われていたが、実は住むことができる細菌があることが最近発見された。それが、「ピロリ菌」なのである。このピロリ菌は胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍と密接な関係があり、特に日本人は40代以上の7割、30代の4割以上が感染しているとも言われている。 ピロリ菌って? 胃の中はものすごい強酸性である。そんな中でも生息できるように、ピロリ菌はまわりをアルカリ性にして、酸を中和して生き続けている細菌なのである。もちろん、ほかのほとんどの細菌は胃酸によって死滅してしまう。 このピロリ菌が出す毒素によって、胃の粘膜が刺激され、炎症を起こして潰瘍をつくると言われているのだ。 そもそも胃炎って? ストレスやお酒の飲み過ぎ、刺激物の食べ過ぎなどで胃が痛いのは、急性胃炎。これは、数日で治る。でも、慢性胃炎はとくにそういった原因がなくても、長年に渡って症状が進行し、持病のようになってしまうもの。 その場合は、ピロリ菌が原因になっていることが多い。 ピロリ菌が慢性胃炎を起こすと粘膜が弱くなり胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしやすくなる。これがさらに進行すると、胃がんになる恐れがあるからあなどれない。 現在の治療法は? これまで、慢性胃炎の治療は制酸剤や消化剤などを使った対症療法が主だった。しかし、ピロリ菌が発見されてからは、そのピロリ菌を除去する治療が行われるようになったのだ。 まず、ピロリ菌が胃にいるのかどうかを調べ、陽性反応ならばピロリ菌に殺菌作用のある抗生物質を飲むことで慢性胃炎の原因を絶つ方法が主流になっている。 公開日:2002年5月20日
忘年会に新年会、ごちそう続きな毎日を送っていませんか?そろそろ胃も悲鳴をあげてくるころ。そんなときに食べるといい野菜やレシピを紹介します。体重増加が気になるあなたにもおすすめの低カロリーレシピです。 目次 だいこんやかぶの「ジアスターゼ」が効く! 「七草がゆ」は体に優しいメニュー 胃に優しく低カロリー!おすすめレシピ だいこんやかぶの「ジアスターゼ」が効く! 年末のクリスマスから、年末忘年会、お正月、新年会…とつい暴飲暴食をしてしまい、なんとなく胃がもたれたまま過ごしている人はいない?胃や体が悲鳴をあげている時、おすすめするのが冬野菜の代表、だいこんやかぶを使った料理だ。 体に優しい!冬の野菜 ●だいこん 根の白い部分には、でんぷん分解酵素のジアスターゼが多く、胃粘膜の修復、消化促進に効果があると言われている。胃炎や胃潰瘍を予防し、胃もたれを防ぐ効果あり。だいこんおろしは天然の胃薬だ。ただし、酵素は加熱や酸化に弱く、時間が経つほど減ってしまうので、食べる直前にだいこんはおろそう。 ●かぶ 根の部分はだいこんと同様にでんぷん消化酵素のジアスターゼを含み、胸やけや食べ過ぎの不快感を取る、整腸効果がある。また、胃腸を温め、冷えが原因の腹痛を和らげる効果もあって、古来から腹痛薬としても使われている。 七草がゆ、食べた? 中国から伝わり、平安時代から食べられていたと言われる「七草がゆ」。昔から、お正月の7日に七草がゆを食べると、邪気が払われ万病を防ぐと伝えられ、貴重な米がとれることへの感謝の気持ちをこめて行われてきた行事だ。また、お正月のごちそうにそろそろ疲れてきた胃を休め、ビタミンやカロチンなどの栄養がとれる、体に優しいメニューなのである。 七草がゆとは? せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな(かぶ)、すずしろ(だいこん)の七草を入れたおかゆ。今はスーパーで七草セットになったものが売られていたりする。 この七草をおかゆに入れてサッと炊き、好みで塩を足して召し上がれ! 胃に優しく低カロリー!おすすめレシピ 暴飲暴食で疲れた胃に優しく、しかも体重増加が気になるあなたに低カロリーのおすすめレシピを紹介。しばらくはヘルシー料理で体調も体重も整えよう! たらとだいこんのあっさり煮 ■材料(4人分) だいこん1/2本、たら(甘塩)5~6切れ、長ねぎ2本、にんじん1/2本、春菊1/2束、こんぶ20cm、ポン酢 ■作り方 鍋に8カップの水を入れ、こんぶを半日ほどつけておく。だいこんは、長さ5cmの千切り、にんじんは5mmの輪切り、長ねぎは斜め切り、春菊は5cm程度に切る。 鍋を火にかけて沸騰したらこんぶを取りだし、だいこん、にんじんを入れて火が通るまで煮る。 たらを加え、火が通ったらねぎ、春菊を加えて煮る。できたら、ポン酢で食べる。お好みで、あさつきの小口切りやとうがらしをつけて。 かぶと油揚げの煮物 ■材料(4人分) かぶ4個、油揚げ1枚、だし汁2カップ、酒大さじ2、薄口しょうゆ大さじ1と1/2、みりん小さじ1 ■作り方 かぶは茎を少し残して葉を落とし、葉のつけ根を竹串でそうじしながらよく洗う。皮をむいたら、6~8等分のくし型に切る。油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、千切りにする。 鍋にだし汁とかぶを入れひと煮立ちさせたら、酒、薄口しょうゆ、みりんを入れ、中火で10分ほど煮る。かぶに火が通ったら、油揚げも加えて3分ほど煮てできあがり。 公開日:2002年1月15日
自分の顔をチェック! 体のどこかに「痛み」がある場合、私たちはそれを病気のサインとして受け止め、健康状態をチェックしようという気になるものだ。 しかし、痛みがなくても病気は忍び寄っている場合もある。 「顔」は、体についてのさまざまな情報を分かりやすく送ってくれる場所。 一日一回は、自分の顔をじっくりと眺め、いつもと違うところはないかチェックしてみよう! ●むくみ 起床時に目や顔がむくんでいるのはそんなに気にしなくてもいいし、前の晩に飲み過ぎた場合などは自然なこと。 しかし、夕方になっても消えないむくみには要注意。 足首やすねなどにもむくみが見られたら、腎臓、肝臓、心臓に何らかの異常があると考えた方がいいかも。 ●鼻 鼻の頭だけが赤く、血管が浮き出て見えるような人は、肝臓や脾臓にトラブルがあったり、高血圧になっている場合が多い。倦怠感を伴うならば医師のチェックを。小鼻の回りがカサカサしているときは、胃機能が低下している証拠。 ●唇 インスタント食品に頼り過ぎて、野菜や果物、穀類の摂取が不十分な場合、ビタミンB群の不足から唇がカサカサに。脾臓機能が低下していることもある。唇のはしが切れやすいのは、胃機能の低下。 ●口内・舌 口内炎がよくできる人は胃腸障害の場合が多いので、生活の不摂生、飲み過ぎ、睡眠不足などに心当たりがないかチェック。 女性の中には、月経周期に合わせて繰り返しできるような、ホルモン分泌の障害による場合もある。 また、舌に白い苔のようなものができるのは、「舌苔」(ぜったい)といっても健康な人にも見られるもの。 しかし、舌苔が奥ではなく前の方に見られ、しかも黒褐色に見える場合は要注意。 消化器系のトラブル、胃炎や胃潰瘍を起こしている可能性が。 舌がいつもザラザラする人も、胃炎や潰瘍を起こしていることがある。 顔色でチェックしてみよう! ●赤顔 肥満タイプで顔色が赤い場合は、心臓病や脳血栓に注意。 頬全体の赤味ではなく細い血管がクモの巣のように張っている場合は、クモ状血管腫といって肝硬変のサイン。 胸のあたりにもこの症状が見られたら肝機能検査を。 蝶の羽のような形に赤くなり(蝶型紅斑)発熱を伴う場合、膠原病の検査を。 ●青顔 貧血気味の人はおおむね顔が青白いが、以前はそんなことはなかったのに急激に顔色が青白くなり、外傷による出血もない場合、胃や十二指腸潰瘍など内臓のどこかから出血していることも。 顔色に加え、アッカンベーをして下まぶたも白くなっていたら注意。 ●黄顔 黄疸が出ているという警告。 しかし普段から黄身がかった顔色の人も多いので見極めは重要。 風邪をひいて肝臓の機能が弱まった場合も黄色っぽくなるが、急性肝炎、肝硬変、悪ければ肝臓ガンの場合も。 白目の部分も濁ってかなり黄色くなっていたら、かなり急を要する。
1983年に発見されたピロリ菌 慢性胃炎などの胃の病気は、ストレスや暴飲暴食、その外ライフスタイルが原因といわれます。しかし近年、その定説が覆されようとしています。これらの病気は、胃内に存在する細菌ヘリコバクター・ピロリの仕業ではないかといわれているのです。 1983年にヒト胃粘膜からこの菌が初めて分離培養され、胃疾患との関連で世界中から注目されました。ピロリというのは、最初の発見場所である胃幽門のことです。 胃がんの原因の一つもピロリ菌 さらに興味深いことに、国際がん研究機関(IARC)は、胃がんの原因の一つがピロリ菌であるという結論を出しました。日本を含む13カ国の疫学調査で、ピロリ菌の感染者は胃がんになる確率が6倍高かったという結果が出たのです。 日本人のピロリ菌の感染率は、50代では70%前後と高率です。ピロリ菌感染に対する予防・治療が、胃がん発生の抑制につながると考えられています。現在、胃かいようや胃炎に対するピロリの除菌治療が行われ、再発予防効果が注目されています。
有害なバクテリアを殺すはたらき 胃液は塩酸を含んだ消化液です。胃壁にある消化せん(胃せん)から分泌されます。1日の分泌量は1500~2500mlです。 この胃液に含まれる塩酸によって、まず食物の中の有害なバクテリアが殺されます。 同時に、塩酸は胃液に含まれるペプシノーゲンという酵素を活性化して、消化酵素ペプシンに変えます。ペプシンは胃に入ったたんぱく質を分解するはたらきをします。 胃かいようや十二指腸かいようの原因 この塩酸はpH1.0~2.5という強い酸性を示します。ところが、同じたんぱく質でできている胃の壁が分解して溶けてしまわないのはなぜでしょう。それは、胃が自分自身を守るために粘液の膜をつくり、内表面を覆っているからです。 この粘膜がなんらかの原因で正常に作られなかったり、塩酸の分泌が多過ぎたりすることがあります。その結果、胃壁や胃につながる十二指腸が消化され、穴が開いてしまいます。これが胃かいようや十二指腸かいようです。
大腸は消化管の最後の部分 大腸は、直径が小腸に比べて2~3倍(最も太いところで5~7cm)、全長約1.5mの消化管です。 形は小腸のようにのっぺりとした管ではありません。縦走筋でできた幅8mmほどの縦のすじ(結腸ひも)が3本、ほぼ等間隔で付いていて、それにたぐられて縦の方向にゆるやかな蛇腹状になっています。 盲腸・結腸・直腸に分かれ、結腸はさらに口側から上行・横行・下行・S状結腸に分けられます。大腸壁は小腸より薄く、輪状ヒダやじゅう毛はありません。大腸の末端である直腸は骨盤内臓で、外界への開口部が肛門です。 大腸ではほとんど消化は行われない 栄養素は小腸で吸収されて、その残りかすが大腸へ入ってきます。大腸では消化はほとんど行われません。その役割は内容物が約4分の1の容量になるまで水分を吸収することです。また、再利用できるナトリウム、塩分を調節的に吸収し、カリウムを排出します。 消化物は少しずつ固くなり、それが直腸にたまってくると直腸粘膜が刺激されて便意が起こり、大便として肛門から排せつされます。
内壁は栄養素の吸収効率を高める構造 小腸の内側の壁は吸収作業を行いやすい仕組みになっています。 まず、内側の粘膜の表面には、高さmmほどの輪状ヒダがあります。これは小腸の走行と直角に走っています。このヒダのおかげで、腸内容物がいっぱいになっても消失することはありません。 ヒダの表面には、じゅう毛という長さ1mm前後の小さな指状の突起が無数に生えています(1mm2あたり約40個)。さらに、粘膜の表面の細胞の一つひとつにも1個当たり平均600~1000本の微じゅう毛が密生しているのです。 複雑な伸縮運動で栄養を吸い込むじゅう毛 こうした何段階ものヒダの構造により粘膜の表面積は大幅に増えます。輪状ヒダで約3倍に、じゅう毛で約30倍に、微じゅう毛で約600倍です。その結果、小腸内腔の表面積は約200mにもなっています。これが吸収効率を高めるのにとても都合がよいのです。 また、じゅう毛は複雑な伸縮運動を行っており、小腸を通過するペースト状の食物から栄養を吸い込みます。1本1本のじゅう毛の内部には毛細血管や毛細リンパ管が網の目のように張りめぐらされ、吸収物質の輸送を促進しています。
小腸は十二指腸、空腸、回腸の順に分かれる 小腸は500円硬貨ほどの直径の柔らかい管で、消化管のうちで最も長い器官です。平均的な大人で全長約5~6mもあります。これが巻いて折りたたまれ、大腸が囲む腹腔内に小さく収まっています。 小腸にははっきりした境界はありませんが、胃の出口(幽門)に続く部分でアルファベットの「C」の形をしたところを十二指腸(指を横に12本分並べた長さ、約25cm)、中間の部分を空腸、最後の部分を回腸といいます。 食物を分解し、栄養素を吸収する 小腸は消化・吸収の90%を行う消化器系の主役です。胃液と一緒にかき混ぜられてどろどろになった食物をほぼ最終段階まで分解し、栄養素を吸収します。 粘膜にある腸腺から分泌される腸液は弱アルカリ性で、1日に約2000ml分泌されます。これは三大栄養素の消化を受け持つ消化酵素を含んでいます。さらに、すい臓と肝臓から分泌された消化液の作用を補って消化を完成させます。 こうして、たんぱく質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、炭水化物はぶどう糖や果糖などの単糖類にまで分解され、血液中に吸収されます。
胃は消化作業の第1段階を行う場所 胃は一般にアルファベットの「J」のような形をした伸縮性のある袋状の器官です。 空腹時は約50mlほどの容積しかありませんが、食物が入ってくると1200~1600ml(満腹時)にまで広がります。 胃は消化作業の第1段階を行う場所です。食道から入ってくる食物を一時ためて十二指腸に送り出すための倉庫の役割を持っています。 空腹に戻るには5~6時間が必要 食物の移送時間は液体は固形物より速く、炭水化物で2~3時間、たんぱく質で4~5時間、脂肪は7~8時間もかかります。また、空腹状態に戻るには5~6時間を要します。 胃は収縮したり弛緩したりする規則的な分節運動、振り子運動、ぜん動運動によって、内容物の混合と運搬を行います。この胃筋運動と胃腺から分泌された胃液によって、食物の固まりはかゆ状になります。 たんぱく質は消化酵素(ペプシン)により消化・分解されます。また、胃酸は口から入った細菌などを殺菌したり、鉄分やカルシウム、ビタミンB12などの小腸での吸収を助けます。胃には吸収作用はほとんどありません。水、アルコール、ブドウ糖などがわずかに吸収されます。
輪状の筋と縦方向の筋のぜん動運動で食物を押し下げる 食道は長さ約25cm、左右径約2cmの丈夫な筋肉の管です。口から入った食物や液体を胃に送り届ける運搬路の役割を持っています。食物が通過している時は膨らみますが、空っぽの時は閉鎖されて平たくなっています。 食道の壁には、胃や腸などの消化管と同じように食物を圧縮する筋肉の層があります。このうち輪状になった層(輪状筋)が収縮すると食道が狭くなり、縦方向の層(縦走筋)が収縮すると壁の一部が短くなります。 これが、ぜん動運動です。ぜん動運動は自律神経系によりコントロールされており、その速度は2~3cm/秒です。 液体は約1~6秒、固形物は約30~60秒で食道を通過する 食物が食道入口部に入ると輪状筋がぜん動運動を始め、その波動が胃の方向に寄せていって食物を押し下げます。食道の下部は、食物が通過した後胃から逆流しないような仕組みになっています。 食道を通過するのに要する時間は液体で約1~6秒、唾液とよく混ぜ合わされた固形物で約30~60秒です。
攻守のバランスが崩れやすい胃 胃がストレスに反応しやすいのは「胃がキリキリ痛む」「腹が立つ」といった感覚で多くの人が経験していることです。これは交感神経と迷走神経の支配を受けているための反応です。 ストレスを受けた時、交感神経の興奮によって胃の粘膜は血流が低下して虚血状態になります。その一方でストレスは延ずい-迷走神経という神経ルートをも刺激して胃酸分泌を盛んにし、また副腎皮質から分泌されるコルチゾールが胃の粘膜を保護する粘液分泌を抑制します。 こうして、胃の粘膜は防御能が低下した状態で胃酸の攻撃を受けることになり、それが胃の痛みなどにつながるのです。 ヘリコバクターピロリ+ストレスが胃かいようへのだめ押し 実は、これだけの刺激なら、軽いただれや出血程度の急性胃粘膜病変になるくらいで、ストレスが解消されればすぐに治ります。 ところがそこに胃かいようの原因といわれるヘリコバクターピロリ菌がいると、胃かいよう発症の可能性が一気に高まってしまうのです。 50歳以上の日本人の10人に6人は保菌者といわれますが、このようなストレスの刺激が、最後の胃かいようへのだめ押しになるのです。