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007:足が冷たく、痛く重い。冷え性治療と足にまつわる病気(望月吉彦先生) - ドクターズコラム

メディカルコラム

望月吉彦先生

更新日:2014/11/17

欧米には「冷え性」と言う病名がない!?

今回は「冷え性治療と足にまつわる病気」のお話です。
段々と朝晩、冷えてまいりました。すでに暖房を使っていらっしゃる方も 多いかもしれません。「冷え性」の方はこれから辛い思いをされるとおもいます。通勤、通学時やデスクワークをしていると足先や手先がしびれるように冷える方がいらっしゃいます。「冷え性」と呼ばれていますが、欧米には「冷え性」と言う病名がありません。日本に特有な病気、病状です。
冷え性は血管の痙攣(けいれん)とか自律神経失調症が原因と言われていますが、正確な原因は不明です。様々な研究がなされています。色々な治療法があります。軽症から重症、症状の出方は千差万別です。治療はそれぞれに応じて行います。冷え性でQOLが低下していると感じる方は是非、一度ご相談下さい。簡単な治療で軽快する場合も多いのです。なお、喫煙していて冷え性がある方は、絶対に禁煙が必要です。

足が冷たく、痛く重く感じるなら…

冷え性とは別に足の動脈が細くなる「閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)」という病気があります。

閉塞性動脈硬化症の血管造影写真

閉塞性動脈硬化症の方の足の血管造影写真です。左足の血管が細くなっているのがわかりますでしょうか?こういう病気は糖尿病の方、喫煙している方、高血圧の方に多い病気です。こちらは「冷え性」と違い、血管が器質的に細くなる病気ですので簡単には治りません。
ひどくなると下肢の壊死を生じて足を切断することもあります。
私は、この病気の外科的治療を沢山行ってきました。108歳の方の手術を行ったこともあります。

この病気は「冷え性」と違い、血管が硬く、ボロボロになっているので手術は簡単ではありません。
「閉塞性動脈硬化症」は症状が出てからの5年生存率は大腸がん全体の5年生存率と変わりありません。どんな病気でもそうですが、特に「閉塞性動脈硬化症」は、予防が一番大事です。糖尿病の方は血糖値をきちんとコントロールする事が大切ですし、スモーカーの方は禁煙が必要です。血圧管理も大切です。
「閉塞性動脈硬化症」は歩いた後に足が痛くなったりして気付きます。以前はどんなに歩いても足が冷たくなったりしなかったのに最近は少し歩いても足が「冷たく、痛く重く感じる、しびれることもある」、そういう症状がある方は是非、ご相談ください。

「冷え性」か「閉塞性動脈硬化症」かは、簡単な診察、検査で鑑別が可能です。

少し別な症状の話です。
「足がつって」困っている方はいらっしゃいませんか?
足がつるのには色々な原因がありますが、ある漢方薬(芍薬甘草湯)が著効します。マラソンで足がつった時もこのお薬が効きます。
ただし、“足がつる”裏には重い病気が隠れていることもあります。是非一度ご相談ください。

以上、今回は足にまつわる病気についてのお話でした。

望月吉彦先生

望月吉彦先生

所属学会
日本胸部外科学会
日本外科学会
日本循環器学会
日本心臓血管外科学会
出身大学
鳥取大学医学部
経歴
東京慈恵会医科大学・助手(心臓外科学)
獨協医科大学教授(外科学・胸部)
足利赤十字病院 心臓血管外科部長
エミリオ森口クリニック 診療部長
医療法人社団エミリオ森口 理事長
芝浦スリーワンクリニック 院長

医療法人社団エミリオ森口 芝浦スリーワンクリニック
東京都港区芝浦1-3-10 チサンホテル浜松町1階
TEL:03-6779-8181
URL:http://www.emilio-moriguchi.or.jp/

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