刺身のツマや漬物、てんぷらに活躍するシソは、いわば日本のハーブ。赤ジソと青ジソの違いから、その高い健康効果、実生活に役立つ選び方や食べ方まで、シソをあらゆる角度からご紹介。
刺身のツマや漬物、てんぷらに活躍するシソはおなじみの香味野菜だ。今は、年間を通して手に入るのが当たり前のように感じている人は多いと思うが、1975年までは、6~7月にしか出回らない季節野菜だったのだ。それが、ハウス栽培が行われるようになり、食の多様化もあって食べ方のバリエーションも広がったというわけだ。
古い歴史を持つシソは、7つの顔を持つといわれ、さまざまな薬効が認められてきた。「紫蘇」という文字の「蘇」は死者をよみがえらせるという意味があり、魚などの毒消しとして重宝されていたという。原産地はヒマラヤやミャンマー、中国。東洋の温帯地帯に広く分布しているもので、日本にも縄文時代にはすでに伝わっていたらしい。いわば、日本のハーブの代表選手なのだ。
シソには2種類あり、大葉とも呼ばれ年間を通して出回っているのが青ジソ、梅干に入っているのが赤ジソだ。では、この2つは何が違うのだろう?
青ジソ、赤ジソの成分は、先ほど挙げたカロチン、シソニン以外は、実はほぼ同じ。ビタミン類やミネラルが豊富だが、1枚はたった1g。下記の表は100gあたりの栄養成分を示すが、実際のところ一度にたくさん食べるものではない、という点にご注意!
可食部100gあたり。五訂食品成分表より
シソで注目すべきは、ハーブとしての高い薬効。発汗、解熱、鎮痛、鎮静、解毒剤として使われてきた。爽快な香りのもとであるペリルアルデヒドは、胃液の分泌をうながし、食欲を増進させたり胃を丈夫にする作用があるといわれている。
また、この成分は強い防腐作用を持ち、食中毒の予防にも役立つ。昔からシソが刺身のツマや薬味として使われてきたのもうなづけるだろう。それだけでなく、現代特有の病気対策にも有効だと、注目度は高い。
栄養たっぷり、病気予防や緩和にもつながると、よいことづくめに思えるシソ。難点は量を取れないことだ。こんなシソを上手に食べる方法をご紹介しよう。
色鮮やかで葉先までピンとしたものがよい。大きくなりすぎたもの、傷があるもの、表面が乾燥しているもの、変色しているものは避けよう。
農薬が残留しやすいが、水にしばらくつけた後、両面をこすりながら数回洗えば大丈夫。余ったものは、水で湿らせたキッチンペーパーに1枚ずつ挟んで、密閉容器に入れて冷蔵庫に保存すると1週間ぐらいもつ。
シソはまだまだ利用価値がある。使いこなしてうっとおしい梅雨、暑い夏を乗り切ろう!