水虫は、放っておいても命に関わる病気ではないため、つい軽視されがち。でも、放っておくと爪までも水虫になり、歩行困難になったり、治療にも長い時間がかかることになる。早めにしっかり水虫を治療しておこう。その治療と予防について解説する。
「今まで何年も(何十年も?)水虫を放っておいてもどうってことなかったから、今さら治療なんてしなくてもいいんじゃないの?」とのんきに構えているなら大間違い。確かに、水虫は命に関わる病気ではないが、長年放っておけばそのツケは回ってくる。
10代、20代のころに発生した水虫が30代を過ぎると趾間(しかん)びらん型や小水疱型足白癬へと移行し、再発を繰り返しているうちに角質増殖型足白癬へと進行してしまう。するとかかとや指のつけ根などが堅く厚くなり、白く乾燥した皮膚がぽろぽろむけるようになる。それが足全体に広がってしまったり、また非常に治りにくい爪白癬へと移行させてしまうのだ。ひどい場合には、歩行に支障をきたすこともある。こうなると、治療にもとても時間がかかってしまう。 たかが水虫、されど水虫。患部が小さいうちに根絶しておく治療が必要。
水虫の薬を自分で買ってきて塗ってみたが、なかなか治らない、というケースもある。これは、同じ水虫といってもタイプによって使用する薬が違うからだ。
また、水虫だと思い込んで薬を塗っていたが、実は水虫ではなくかえって症状を悪化させてしまうこともある。
素人判断をせずに、まずは皮膚科などの専門医にかかろう。水虫だって立派な皮膚病なのだ。
足に起こる皮膚病のなかでも水虫に似ているのがこれ。皮膚にごく小さな水疱ができたり、それがつぶれて輪のように薄く皮がむける。汗をかきやすい人に起こり、足だけでなく手にも発生する。
黄色の小さい膿をもったブツブツが急に土踏まずを中心に左右対症に出現し、患部に赤身を帯びることが多い。比較的年齢の高い人に起こりやすいのが特徴。見た目は小水疱型足白癬とそっくりだが、人にうつることもなくかゆみも水虫ほどではない。
皮膚がなんらかの刺激を受けてアレルギー反応を起こすもの。例えば、刺激の強い洗剤や薬品を使ったり、靴ずれによって水ぶくれができたり、豆がつぶれたりすると、足の皮が白くなってむけたりただれたりする。
白癬菌以外の真菌に感染しても、水虫のような症状になることがある。代表的な真菌は、カンジダと呼ばれるもの。カンジダは消化管や便、膣などに常在しているため、乳幼児のおむつの蒸れや長い間ばんそうこうを貼っているなどの部分にカンジダ症を発生させる。
老化や糖尿病など、代謝異常を伴う病気を原因として起こる皮膚の変化も水虫に似ている。特に糖尿病の場合には、症状が強く出ることも。高齢者は、老化現象なのか他の病気なのか、白癬菌なのか、きちんと調べることが必要だ。
「薬だって民間療法だっていろいろ試したけど、どうせ水虫なんて完治しないんだ」と諦めているなら、今度こそきちんと治療をしてみよう。正しい治療を行えば水虫は完治させることができるのだ。ただし、三日坊主の治療では治らない。焦らずじっくり治療することが必要だ。半年、1年かけて根治するつもりで取り組もう。そうすれば、毎年水虫に悩むことはなくなるし、人前で裸足になることだって堂々とできるのだ!
医師の診断と検査により、その人の水虫に合った治療方針や治療薬が決められる。主に、「抗真菌剤」と呼ばれるものが使用されるが、抗真菌剤には内服用と外用薬がある。いずれも、医師の処方に従って。また、成分を抑えた市販薬も薬局・薬店に多く出まわっているが、これも自己判断で使用せず、医師に相談しよう。
また、薬を使うとしばらくしてかゆみが治まったり、足がつるつるになることがある。しかし、ここで油断してはならない。このとき、白癬菌は皮膚の下でじっとして生き残っていることがあるからだ。完治して再発を防ぐためには、数ヵ月以上続けることが大切。
いくら薬を飲んでいても、相変わらず水虫が好む環境の中で生活していれば、症状は改善されにくい。家族にも協力してもらい、水虫を撃退しよう!