厚生労働省「平成15年人口動態統計」より
「がん」が日本における死亡原因のトップに躍り出て約20年、今なお全体の約30%の人が「がん」によって亡くなっている。これは100秒に1人という驚異的な数字だ。しかも世界的にみてもアジア圏での「がん」発症率が高まるなど、さらに増加の傾向にあるというのだから、その脅威は計り知れない。
だが、だからといって怖がってばかりいては仕方がない。「がん」について知り、前向きに対処していく方法を考えてみよう。
世界的に増える傾向にある「がん」だが、部位別に見ると、すべての「がん」が増えているわけではない。日本で圧倒的に多い「胃がん」の死亡率は、依然と部位別のトップではあるものの、大きく減少し、この約30年でおよそ半分にまで減ってきている。
これは、食生活への意識の高まりとともに定期検診が定着し、早期発見が可能になったこと、医学の進歩によって早期ならカラダに負担の少ない方法で「胃がん」の芽を摘み取ることが可能になったことなど、私たちと医学の努力が実を結んだ証拠だろう。
しかしその一方で、増えている「がん」もある。その代表といえるのが「肺がん」と「大腸がん」だ。なかでも「大腸がん」は今後ますます増え、2015年には「胃がん」「肺がん」を抜き、部位別「がん」死亡率の首位になるのではないかと懸念されているのだ。
厚生労働省「平成15年人口動態統計」より
「胃がん」や「肺がん」、「大腸がん」などの恐いところは、初期の段階では自覚症状がほとんどないことだ。“ちょっと調子が悪いかな”くらいに思っていた症状が、実は「がん」の初期症状だったということもあり得るのだ。代表的な「がん」の症状を見てほしい。これでも、他の病気や不調と「がん」が区別できにくいことが実感できるだろう。
がん | 初期の自覚症状 | 進行すると… |
---|---|---|
胃がん | ほとんどない | 食欲がない、胃がもたれる、吐き気がする、食べ物の好みが変わる、などの症状が出る |
肺がん | ほとんどない | 胸が痛む、息切れがする、顔や首がむくむなどの症状が出る |
大腸がん | ほとんどない | 便秘または下痢が続く、便に血液が混じる、おなかが張る、腹痛が起こるなどの症状が出る |