「排尿障害」というと、なにか難しい病気のようですが、「夜何度もトイレに起きる」、「くしゃみなどでお腹に力が入ると尿がもれてしまう」といった症状を指し、身近なものです。排尿障害の特徴について解説します。
「排尿障害」というと、なにか難しい病気のようですが、「夜何度もトイレに起きる」、「くしゃみなどでお腹に力が入ると尿がもれてしまう」といった症状を指し、身近なものです。
「排尿が正常に行われるには、「尿をためる機能」と「尿を排出する機能」の両方が正常にはたらかなければなりません。この2つの機能は、特に高齢者の方が弱くなってくる傾向にあり、どちらかでもはたらきが弱くなると、排尿障害の症状が現れます。
では、どれくらいだと「正常」だと考えられるのか、具体的にみてみましょう。
以上の状態とかけ離れている場合には、排尿障害が疑われる可能性があります。
排尿障害の特徴について、「ためる」機能、「出す」機能のそれぞれに問題がある場合にわけて、ご紹介しましょう。
「トイレに行きたくて夜に何度も起きてしまう」、「少し前にトイレに行ったばかりなのにすぐにまた行きたくなる」。このような症状がある場合は、膀胱が尿をためる機能が低下している可能性があります。このような症状が現れる原因としては、前立腺肥大、過活動膀胱などが挙げられます。
前立腺肥大は、現在約100万人の患者さんが治療を受けていて、潜在患者はその4倍ともいわれ、多くの方が悩んでいる病気です。前立腺は膀胱や尿道のすぐ近くにあり、これが加齢や男性ホルモンの影響で大きくなると、頻尿の症状が現れます。
過活動膀胱は、「急に我慢できないような尿意が起こる」、「トイレが近い」といった症状を示す病気です。この病気が起こる原因としては、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経回路の障害、女性の場合には骨盤底筋のトラブルなどがあります。
尿の排出に関しては、排出しにくい、我慢できずにもれてしまう、といった症状があります。
尿を排出しにくいタイプには「溢流性尿失禁」というものがあり、排尿に勢いがない、残尿感がある、尿意がはっきりしない、といった症状がみられます。また、「神経因性膀胱」という神経の障害で尿が出にくい場合もあります。
我慢できずに尿がもれてしまう場合には、「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」などがあります。
「腹圧性尿失禁」は、咳やくしゃみ、スポーツなどでお腹に力が入ると失禁してしまうもので、特に女性の場合は、出産時に骨盤の底を支えている筋肉群がゆるんでしまうことなどが原因となっています。
「切迫性尿失禁」は、急にトイレに行きたくなり我慢ができずにもれてしまう、という症状で、脳からの排尿の指令によるコントロールが、脳血管障害などによりうまく行かなくなる、という原因も挙げられます。しかし、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまうという場合も多いようです。
「仕方のないこと」と諦めていたり、病院に行くのが恥ずかしかったり、といったことで仕方なくこの症状と付き合っている方も多いかもしれません。しかし、医師の診断と治療を受ければ、この症状が改善する場合もあります。排尿障害がなくなれば、生活もよりよいものになりますね。このような症状でお悩みの方は、一度診察を受けてみてはいかがでしょうか。