大人なのに片付けができない、忘れ物ばかりしてしまう…。もしかすると大人のADHDかもしれません。ADHDは子どもの病気ととらえがちですが、大人になってから診断されることも。大人のADHDでみられる主な症状を紹介します。
「そわそわしてイスに座っていられず、学校の授業に集中できない」「整理整頓ができなくて、机のまわりや引き出しの中が散らかっている」などの症状が現れる発達障害の一種、ADHD(注意欠如・多動性障害)。子どもの病気だととらえられることが多かったのですが、近年になり、大人でもみられる障害であると知られるようになってきました。自分がADHDであることを知らないまま育ち、大人になってから社会生活を円滑に営めず、悩んだ末に専門医を訪ねて診断されるケースも少なくありません。
子どもと比べて、大人のADHDでは一般的に、落ち着きなく動きまわる多動性よりも、注意欠如(不注意)の面のほうが目立ちやすいと言われています。家庭や職場でみられる主な症状として、次のものがあります。
…など
ADHDは、うつ病や不安障害などの精神疾患を合併することも多いようです。これらの発症は、周囲の理解を得られず、人間関係がうまくいかないことによるストレスや自尊心の低下などが関係すると考えられています。
大人のADHDでは、心理療法や、不注意によるミスを減らせる環境づくりによる治療が有効となります。具体的には「まわりの人もスケジュールを確認できるように、表にして壁に貼る」「よく使うものは置く場所を決めておき、なくしにくくする」といった工夫が挙げられます。
脳の病気と考えられているADHDの治療では、脳内のドパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を調節する向精神薬などが用いられる場合もあります。ADHDの疑いがある人は、専門医のいる精神科や心療内科、大人も診ている小児科などを受診することが勧められます。