「まだそんな年じゃないのに…」。白髪が目立ち始めるのは男性で30代前半、女性で30代後半頃といわれている。だからこそ、まだ若い10代、20代のうちに生えてくる白髪は気になるもの。突然、増えた場合はなおさらだ。老化のせい?それとも病気?謎多き若白髪の実態に迫ってみよう!
髪は頭皮の下に埋まった「毛球部」という、いわば球根のような場所で生まれる。内部を見てみると、芯に「毛乳頭組織」があり、それを包むように髪の素となる「毛母細胞」が取り囲んでいるのがわかる。毛母細胞はケラチンというたんぱく質成分を内部にためこんで分裂を繰り返し、しだいに上へ上へと伸びていく。
髪に色をつけているのは、「毛母細胞」の間に割り込むようにして存在している「メラノサイト」だ。ここでつくられる色素が毛母細胞に取り込まれ、髪の毛になっていく過程で色が定着する。ところで、メラノサイトが色素をつくりだすときに、欠かせないのが「チロシナーゼ」。これは動植物や微生物など、自然界に広く分布している酸化酵素だ。
とはいえ、チロシナーゼは老化すると減少しやすい酵素。このため、年齢を重ねるにつれ、作り出される色素が減って髪の毛に色が定着しにくくなり、白髪が生まれてしまうというわけだ。だが、若くして白髪ができてしまうのは、いったいなぜなのだろう?考えられる理由はさまざまだ。
突然、若白髪が増えた場合、ときには深刻な自己免疫疾患などが背後に隠れていることがある。気になる場合は、すぐ専門医へ。
最近は新たな研究により、若白髪も黒く生まれ変わる可能性が出てきた。例えば京都大学では、髪を発色させる「色素幹細胞」が、毛根部の「バルジ」と呼ばれる場所に存在することを発見。「バルジ部分の機能を解明すれば、白髪も黒髪に戻せるのでは」としている。
ただし、現時点では残念ながら、一度、白くなった髪は染めるしかない。抜くと、頭皮を痛める可能性があるのでやめておこう。また、あとから生えてきた白髪がピンと立って、かえって目立ちやすくなることも。
若白髪を予防するには、なんといっても規則正しい生活を送り、ストレス解消をこころがけることが大切。積極的に摂取したい食品は、亜鉛や銅といったミネラルを含む、牡蠣やアーモンドなど。このほか、たんぱく質やビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEなど、美しい髪をつくる栄養素をまんべんなく摂るようにしよう。
牡蠣、牛肉、鶏肉、豚肉、卵、穀物
アーモンド、牡蠣、納豆、エビ、ズワイガニ