女性のアルコール性肝障害は男性よりも死亡率が高く注意が必要です。性別の違いが、なぜ肝障害のなりやすさにまで関係するのでしょうか。
かつての日本では、飲酒を習慣としているのは格段に男性のほうが多かったのですが、近年その差は縮まってきています。現代は、男女を問わずお酒を楽しむのが自然な時代といえるでしょう。
飲酒によって体内に取り入れられたアルコールは主に肝臓で分解されますが、この肝臓のはたらきが限界に達すると、肝硬変をはじめとするアルコール性肝障害が起きてしまいます。実はこの肝障害、男性と比べて女性のほうが起きやすいことがわかっています。その理由として、アルコールを摂取した際の肝臓にかかる負担が、女性のほうが大きいことが挙げられます。
同じ量のお酒を飲んでも、女性のほうが血液中のアルコール濃度は高くなる傾向にあります。前述の肝臓への負担を含め、体のつくりの違いにより、アルコールの分解に関して男女で違いがみられるようです。
肝臓には、アルコールの分解のほかにもさまざまな役割があります。そのひとつとして、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンを分解する役割も担っています。そのため、大量の飲酒などによる肝障害が起きると、正常に分解されなかったエストロゲンが血液中の多く溶け出すことになります。この影響により、肝障害を起こした男性では、女性のように乳房が大きくなる「女性化乳房」がみられることがあります。
「酒は百薬の長」と呼べるのは、性別は関係なく、あくまでも適度な量を守ったうえでのこと。自分の肝臓を気づかいながら、飲みすぎに注意して楽しむようにしましょう。