潰瘍性大腸炎やクローン病は働き盛りに発症するケースが多く、仕事との両立が課題です。そこで、患者さんとそのご家族をサポートするGコミュニティ(IBD患者オンラインコミュニティ*1)が、2019年12月に患者さん同士や患者会、専門家などとリアルに触れ合ってもらうために開催した交流イベントから、患者さんが就職後の活躍を見据えた働き方のヒントを得ることを目的にしたセッションについて紹介します。 目次 20歳以降の働き盛りに多い病気なので就労サポートが重要 就職活動で病気のことをうまく伝えるコツとは? 企業の福利厚生などと自分の状況と照らしあわせて検討することも必要 自分の症状や体調の変化を理解したうえで会社の身近な人から伝えていくべき 20歳以降の働き盛りに多い病気なので就労サポートが重要 潰瘍性大腸炎やクローン病(以下、IBD:Inflammatory Bowel Disease)は、原因不明の腸の炎症を伴う病気で、生涯にわたり治療が必要なので国の難病に指定されています*2。 現状では、患者数は25万人以上と言われており、最近は右肩上がりで患者数が増加し続けています。20~30代の働き盛りの発症例が多いので、仕事と病気の両立が課題です。 そんな患者さんのサポートのために、同じ境遇にある患者さん、専門家(医師、栄養士、キャリアアドバイザーなど)、関連団体(患者会・関連企業など)が集まるGコミュニティ(IBD患者オンラインコミュニティ)があります(関連記事:働き盛りに多い潰瘍性大腸炎、クローン病、仕事と両立する鍵は?Gコミュニティ)。 Gコミュニティに参加している患者さんから、オンラインだけでなく、リアルに交流できる場が欲しいとの要望がありました。 そこで、同じ不安や悩みを持つ患者さん同士、専門家、患者団体、栄養士、キャリアアドバイザーなどがリアルに触れ合って気軽に交流を深められるイベント「IBDエキスポ*3」が2019年12月14日に開催されました。 イベントでは、患者さんが就職後の活躍を見据えた働き方のヒントを得ることを目的にしたセッションがありました。 潰瘍性大腸炎の20代の患者SOUさん(仮名)、埼玉のIBD患者会の代表の仲島雄大さん、キャリアドバイザーの加藤みつきさんが登壇し、就職活動や就業と体調を両立させるのかなどについて講演し、IBDエキスポに参加した患者さんたちとディスカッションしました。 就職活動で病気のことをうまく伝えるコツとは? キャリアアドバイザーの加藤さんの講演によると、あるアンケート結果では潰瘍性大腸炎患者さんの約3割が、病気のことを会社に開示しないで就業していました*4。 就職活動で「伝え方がわからない」、あるいは「伝えることが怖い」と考える患者さんが少なくないことが考えられます。 加藤さんからは、病気を伝えるときは、安心感を与えられる表現で、また具体的に職場がどのような配慮をしなければならないのかというイメージを企業の採用担当者に与えられることが大切とのアドバイスがありました。 就職面接のときに会社の人事担当が病気のことを詳しく知らない状況で、いきなり病名を伝えられると「このかたは、仕事は大丈夫なのか?長く続けられるのか?」といったことを疑問に思う可能性があるからです。 ストーマを装着した患者さんの転職事例も紹介されました。それによると、ストーマ装着前後の自分の状況など、次の内容を理解してもらえたことが成功の理由とのことです。 ストーマを装着する以前は体調が安定せず業務に影響しており、転職せざるを得ない状況になるケースがあった。 面接時はストーマを装着していることにより体調が安定しており、規則正しい生活ができている。 通院に関しては、仕事にはさほど影響せず、有給休暇の取得範囲内でおさまる。 企業の福利厚生などと自分の状況と照らしあわせて検討することも必要 潰瘍性大腸炎患者のSouさんは、大学生時代に就職活動をしていた経験から、当時の状況を紹介してくれました。 Souさんによると、面接時は病気のことを全面に押し出すのではなく、大学時代に取り組んできたことや志望動機を積極的に伝えたとのことです。 また、潰瘍性大腸炎に関しては詳しくは話しませんでした。もともと腸が悪く、入院歴があったことを人事担当者の面接官に伝えました。 質問に答えるだけでなく、就職先候補企業の有給休暇など、福利厚生のことを人事担当者から聞き出したとのことです。 就職活動をこれから行う患者さんに対しては、自分の状況と照らしあわせて、就職先としてマッチするのかどうかを検討することが重要とのアドバイスをいただきました。 自分の症状や体調の変化を理解したうえで会社の身近な人から伝えていくべき 長年にわたりIBD患者さんの就労支援に関わってきた患者会・埼玉IBDの代表・仲島さんは、就業と体調を両立するために、自分の病気の状態を長い時間をかけて観察し、症状が悪化する時の特徴や再発時の体調の変化を理解することが重要との話がありました。 そのうえで、就職や転職の際は自分の病気のことを隠さずに開示するほうがいいと考えているとのことでした。 というのは、就職した後に病気と付き合っていかなければならないためで、定期的な通院やトイレの回数が多いが、業務には支障がないと伝えることで、会社が配慮しなければならないことを伝えることが大事との話でした。 また、会社の全ての人に病気の理解を求めても難しいので、人事や近くで働く同僚から、少しずつ自分の病気のことを伝え、徐々に理解してもらうこともアドバイスされました。 例えば、トイレに行く際にも逆に心配してもらえるような関係性を築いていけるようにすることなどを挙げていました(詳細は、動画「IBD患者の就業に関する実態と課題」:https://gcareglobal.com/ibd-expo/を参照)。 IBDは腹痛、下痢、血便などの症状が悪化する活動期と、症状が落ち着く寛解期を繰り返えすので入退院を繰り返し、高額な薬剤や外科手術が必要なこともあり、日常生活、仕事、そして結婚・出産などのライフイベントにも大きく影響します。 生涯にわたり病気と付き合い、多くの不安を抱えている患者さんのことを理解してもらえる社会になることが求められているのではないでしょうか。 *1:株式会社ジーケアがオンラインコミュニティプラットフォーム「G コミュニティ」を運営しています〔登録数:736人 (2020年5月14日時点)〕。 *2:潰瘍性大腸炎とクローン病との違いは体内で発症するところです。潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起こり、肛門側から連続性に口側へ広がります。 クローン病は,全ての消化管に炎症が起こる疾患で、特に小腸,大腸,肛門に起こりやすく、食道や胃に起こることもあります。病変と病変の間に正常な組織が存在(スキップ)することも特徴です。 *3:IBDエキスポは、Gコミュニティに参加する患者さんからリアルに交流できる場が欲しいとの要望を受け、患者さん同士、医療者、栄養士、キャリアアドバイザーなどと直接かつ気軽に交流できるイベントとして2019年12月14日に開催されました。患者会のTokyo IBD(http://www5a.biglobe.ne.jp/~IBD/)や埼玉IBD(http://saitama-ibd.org/)、企業も参加しました。 *4:ヤンセンファーマ株式会社「IBD患者の就労に関するインターネット定量調査」2018 公開日:2020/05/27 監修:Gコミュニティ(IBD患者さんのオンラインコミュニティ)
潰瘍性大腸炎やクローン病は、20~30代で発症することが多く、患者さんの多くが仕事と病気と両立させることに課題を抱えています。そこで、患者さんとそのご家族が、他の患者さんや専門家(医師、栄養士、キャリアアドバイザーなど)、関連団体(患者会・関連企業など)とつながることができるGコミュニティ(オンラインコミュニティ)*1に寄せられた就業に関する悩みや解決の糸口になるアドバイス内容を紹介します。 目次 患者数は推定25万人以上、10~20歳から発症する人が多くなる病気 「IBDだから、この仕事はできない」はありません 働き方にはさまざまな工夫・アイデアを考えよう 患者数は推定25万人以上、10~20歳から発症する人が多くなる病気 潰瘍性大腸炎やクローン病は、原因不明の腸の炎症を伴う疾患です(Inflammatory Bowel Disease:IBDと総称されます)。生涯にわたって治療が必要なので、国の難病に指定されています。 患者数は、現在では推定25万人以上で、最近は患者数が右肩上がりに増加し続けています。このことから、潰瘍性大腸炎の軽症患者の一部は国の医療費助成制度(医療受給証)の対象から除外され始めています。 平成28年度衛生行政報告例によると、2016年度末時点で医療受給証の交付を受けている潰瘍性大腸炎の患者さんは16万7872人、クローン病の患者さんは4万2789人です。20歳以降の患者さんが多く、働き盛りの世代に多い病気といえます(図)。 図:年代別に見た潰瘍性大腸炎とクローン病の患者数 出典:平成28年度衛生行政報告例〔特定医療費(指定難病)受給者証所持者数,年齢階級・対象疾患別〕 IBDは腹痛、下痢、血便などの症状が悪化する活動期と、症状が落ち着く寛解期を繰り返すなど入退院を繰り返し*2、高額な薬剤や大腸の摘出などの外科手術が必要なこともあり、日常生活、仕事、そして結婚・出産などのライフイベントにも大きく影響します。 そこで、同じ境遇下にある患者さんや家族、専門家(医師、栄養士、キャリアアドバイザーなど)、関連団体(患者会・関連企業など)が集まる患者さんや家族同士が交流できるオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」があります。 Gコミュニティは、IBDの臨床経験豊富な消化器専門医や栄養士、キャリアコンサルタントなどから最新情報が提供され、患者さんの悩みに対してアドバイスがもらえる場です。 「IBDだから、この仕事はできない」はありません Gコミュニティ内のおしゃべり広場では、就職・就労に関して、活発なやりとりがオンラインで行われています。 例えば、「比較的、働きやすい職種、業種というのはありますでしょうか?」という患者さんから質問があり、キャリアアドバイザーから以下のようなコメントがありました。 「体力を酷使しないという点で、事務系職種として働いているかたが多いです」 「営業・技術系職種(自動車整備士)に関しては、事務業務にとどまらず体調とうまく両立させながら働いている人もいるので、自身のご体調を踏まえて働きやすい仕事内容・やりたいことを選んでいる印象があります」 別の患者さんからは、前向きになれるアドバイスが寄せられていました。 「IBDだから、この職種はできないというのはありません。できそうな仕事ではなく、やりたい仕事じゃないと、あとあと続かないと思うので、妥協しないほうがいいかなと個人的には思っています」 働き方にはさまざまな工夫・アイデアを考えよう また、「働き方に関して工夫していることは?」との質問が寄せられました。質問に対し、歯科に勤める患者さんから以下のような前向きになれるアドバイスがありました。 「トイレの時間を考慮して、余裕を持って臨めるように協力してもらっています」 「勤務先の近くに引っ越したことで、駅のトイレが混んでいて入れなかったりするストレスが軽減しました」 IBDは活動期と寛解期を繰り返す病気で、患者さんは病気と付き合いながら就職や就業をしなければならず、多くの不安を抱えています。生涯にわたって病気と付き合う患者さんに、Gコミュニティのようなサポートの取り組みが必要です。 次回は、Gコミュニティの活動の一環として、オンラインコミュニティ以外で開催されている直接交流のイベント*3から、若い患者さんの就職活動の実体験、キャリアアドバイザー、患者会からのアドバイスなどを紹介します。 *1:株式会社ジーケアがオンラインコミュニティプラットフォーム「G コミュニティ」を運営しています〔登録者数:736人 (2020年5月14日時点)〕。 *2:潰瘍性大腸炎とクローン病との違いは体内で発症するところです。潰瘍性大腸炎は大腸に炎症が起こり、肛門側から連続性に口側へ広がります。 クローン病は,全ての消化管に炎症が起こる疾患で、特に小腸,大腸,肛門に起こりやすく、食道や胃に起こることもあります。病変と病変の間に正常な組織が存在(スキップ)することも特徴です。 *3:Gコミュニティの活動の一環として、オンラインだけではなくリアルに触れ合って交流を深めるイベント「IBDエキスポ」も開催しています。Gコミュニティに参加する患者さんからリアルに交流できる場が欲しいとの要望を受けて、同じ不安や悩みを持つ患者さん同士、専門家、患者団体(Tokyo IBD:http://www5a.biglobe.ne.jp/~IBD/、埼玉IBD:http://saitama-ibd.org/などがIBDエキスポでブースを出展)、栄養士、キャリアアドバイザーと直接かつ気軽に交流できるイベントで、2019年12月14日に開催されました。 公開日:2020/05/20 監修:Gコミュニティ(IBD患者さんのオンラインコミュニティ)
「なんだかこの頃、お腹の調子が…」というあなた。ただの下痢とたかをくくらないでほしい。最近、増えている「潰瘍性大腸炎」の可能性もあるからだ。潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜がただれたり、潰瘍ができたりする病気。最悪の場合は死に至ることもあり、侮れない病気だ。とくに若年層に多いという、謎の現代病に迫ってみよう。 目次 潰瘍性大腸炎が現代病として、現在急増中! 発病しているのに気づかないケースも多い よく似た病気「クローン病」 潰瘍性大腸炎やクローン病にならないために 潰瘍性大腸炎が現代病として、現在急増中! 1970年代に特定疾患(難病)として指定された潰瘍性大腸炎は、かつてかなりめずらしい病気とされてきた。ところが最近、どういうわけか患者数は急増中。1985年には1万人超だったが、2002年には、なんと7万7000人以上(平成14年度 特定疾患医療受給者証交付件数より)となっている。特定疾患のうちでも、最も発病者が多い。しかも、発症しやすいのは若年層。男性では20代前半、女性は20代後半が目立つ。 厚生労働省医療受給者証交付件数より 厚生労働省特定疾患難治性炎症腸管障害調査研究班 平成4年度研究報告書より 詳しい原因は今もって不明だ。有力なのは「免疫異常説」。細菌などの外敵から細胞を守るはずの免疫機能が反乱を起こし、自ら腸を攻撃してしまうのである。おかげで粘膜に炎症が起こり、さらに白血球が異物を排除しようと、粘膜にはたらきかける。こうして、炎症がますますひどくなっていくのだ。 背景には、近頃多くなっている「肉食」傾向が影を落としている、との指摘も。脂肪の摂り過ぎが、腸の過敏な反応を招いている、というのだ。このほか、心身のストレスが一因になっているという説もある。 発病しているのに気づかないケースも多い この病気の怖いところは、発病を見過ごされがちな点。おもな症状が、下痢や血便、腹痛など、ありふれた胃腸病と似ているため、診断が遅れる可能性があるのだ。 見過ごされて重症化すると、発熱、貧血、急激な体重減少が起こるようになる。腎結石、膵炎、皮膚や目の異常などの合併症を繰り返し、やがては大腸がんを発症することも。もっと重症の場合は、手術で大腸をすべて切除してしまうケースも少なくない。以下のような初期症状が見られる場合は、早めに専門医を受診しよう。 こんな症状があれば専門医を受診しよう ●便がだんだんゆるくなってきた ●血便がある ●けいれん性の腹痛がある よく似た病気「クローン病」 同じく、厚労省の特定疾患に指定された病気に「クローン病」がある。この病気の症状も、潰瘍性大腸炎によく似ているが、潰瘍性大腸炎が大腸のみに起こるのに対し、クローン病は小腸にも発生する点で異なっている。 クローン病の おもな症状は、腹痛や発熱、体重の減少、貧血、皮膚や目の異常、痔など。悪化すると大出血につながりかねない。長期化するにつれ、腸壁が厚くなって柔軟性が失われ、10年で手術することもある。患者数は全国で2万人超。毎年、400人近く増えており、やはり20~30代で多い。 いずれにせよ、若者の腸に今、なんらかの異変が起きつつあるのだ。 潰瘍性大腸炎やクローン病にならないために いずれも「予防法の決定打はない」とされる病気だが、普段の心がけ次第でリスクは減らせる。生活習慣や食習慣のうえで、気をつけてほしいのは以下の2点だ。 その1:動物性たんぱく質や脂肪の摂り過ぎに注意! 肉や乳製品などを食べ過ぎないようにしよう。アルコールや刺激物はほどほどに。ファーストフードやスナックばかり食べず、魚や野菜を中心とした食生活に切り替えて。 その2:心身のストレスはためこまない 規則正しいライフスタイルを心がけ、習慣的にスポーツを。ムリを続けると、心身の疲労から免疫機能も狂いがちになる。 早めにきちんと治療を受ければ、手術をしなくても改善する可能性は高い。健康診断などでこまめに体調チェックを行い、早期発見をめざすようにしよう! ■関連記事 働き盛りに多い潰瘍性大腸炎・クローン病、仕事と両立する鍵は?Gコミュニティ 公開日:2005年3月22日
通勤の途中で急にお腹が痛くなって、途中下車してトイレにかけ込んだり、下痢や便秘を繰り返したり…。「過敏性腸症候群」とは、主にストレスが原因となって起こる、腸が正常に機能しない疾患です。若い世代にも増えてきています。 目次 過敏性腸症候群ってどんな病気? ストレスは悪循環を生む!? 過敏性腸症候群の治療はどうするの? 過敏性腸症候群ってどんな病気? 通勤の途中で急にお腹が痛くなって、途中下車してトイレにかけ込んだ経験はないだろうか。 かといって血便が出るわけではなく、下痢や便秘を繰り返したり、またはどちらかが頻繁に起こる、という経験はないだろうか。 これは、「過敏性腸症候群」と言われる病気で、若い世代にも増えてきている症状だ。レントゲンや内視鏡などの検査で見つかる器質的疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)とは違い、主にストレスが原因となって起こる、腸が正常に機能しない疾患なのだ。 主な症状 便意はあるのに、排便がないか、ゆるい便が少量しか出ない 腹痛を伴い、下痢や便秘が起こる 深夜には下痢がない 下痢が続いても栄養障害や体重減少を見ない 血便などはあまりない おならがよく出る ストレスは悪循環を生む!? ストレスはかなりの曲者である。まったく必要ないものか、というとそういうわけではないが、必要以上のストレスは、体に悪影響を与えているのだ。 胃腸と脳は自律神経でつながっており、脳が不安や精神的圧力などのストレスを受けると、自律神経を通してストレスが胃や腸に伝達され、胃腸の機能異常を引き起こしていると考えられている。 ストレスによって一度腹痛を起こして下痢をすると、その次から「ストレスがあったらお腹が痛くなるんじゃないか」と不安になる。気にすればするほどさらにストレスとなり、下痢や便秘を悪化させる、という悪循環に陥ってしまうのだ! 過敏性腸症候群の治療はどうするの? この病気に必要なのは、ストレスの悪循環を断ち切ること。 確かに、この病気に悩まされている人にとっては簡単にストレスを解消できるとは限らない。 この病気を患っていると、電車などに乗ることや外で食事をすることが苦痛になるかもしれないが、手術が必要、という病気ではないし、大腸がんに発展するわけでもない。 だから、まず電車に乗るなどの社会生活を自信を持って送ろう。 それでも、「出先でお腹が痛くなったら、どうしよう?」と不安に思うのなら、薬による治療もある。 症状が軽い場合には、下痢止めや便秘解消の薬など、腸のはたらきを整えるものが主になる。頻繁に下痢や便秘が起こり、外出するのがおっくうになっているのなら、一度専門医に相談してみよう。 薬を持っている、という安心感だけでも、ストレス解消になるかも!? 公開日:2001年11月5日
外出先で急に下痢になったり、慢性的な便秘などでお腹が痛くなるのは、腸にトラブルがあるサインです。とくに、若年層に増えている潰瘍性大腸炎やクローン病を中心に、どんな病気なのか、症状などをご紹介します。 目次 腸の病気が増えている ところで、腸ってどんなはたらき? 潰瘍性大腸炎やクローン病って? 腸の病気が増えている 出典:「潰瘍性大腸炎」福島恒男著 保健同人社 食生活の欧米化に伴って、大腸がんの患者が増えている、と言われているが、増えているのは大腸がんだけではない。それと同時に腸疾患、例えば過敏性腸症候群や、潰瘍性大腸炎やクローン病などにかかる人も増えているのだ。 あまりなじみのない病名かもしれないが、潰瘍性大腸炎やクローン病は厚生労働省から難病指定を受けている病気で、しかも若い世代に増えているというからやっかいだ。 若者のおなかが大ピンチ!?潰瘍性大腸炎&クローン病 ところで、腸ってどんなはたらき? 口から入った食べ物は、胃や腸を通って肛門から便となって出る。その通り道は口から肛門まで約6mあり、消化管と呼ばれる。胃で消化された食べ物は、小腸へ送られ、その後大腸へ送られる。 小腸、大腸のはたらき ●小腸 長さ3~4mの臓器。前半を空腸、後半を回腸といい、食べ物を細かく攪拌して約90%の栄養分や水分を吸収する。 ●大腸 長さ1~1.5mの臓器。小腸から送られてきた残りかすは、回腸(上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸)から結腸、直腸へと送られる。小腸で吸収されなかった水分が吸収され、だんだん便になっていく。直腸に一時的にためられた後、肛門から便となって排出される。 潰瘍性大腸炎やクローン病って? 若者の間で流行りつつある、潰瘍性大腸炎やクローン病。日本ではなじみは薄いが、欧米ではかなり有名な病気だ。 さて、どんな病気だろう?この2つの病気は、突発性炎症性腸疾患(IBD)とも言われる。 潰瘍性大腸炎 ■どんな病気? 大腸粘膜にびらんや潰瘍ができる病気。進行する順序は、たいてい肛門からいちばん近い直腸から炎症が始まり、大腸をさかのぼるように広がっていく。原因は、はっきりしないが、自分の体の一部であるはずの大腸粘膜を自分の敵として攻撃してしまった結果、起こるとも言われている。専門的に言えば、「自己免疫の異常」ということ。大腸の粘膜や粘膜下層にのみ炎症が起こる。 ■症状 とくにこれと言った誘因もなく、下痢や血便が見られることがある。いったんよくなったりもするが、また再発する。症状が進むと、粘血便や下腹部痛を伴い、たびたび下痢に悩まされる。重症の場合は、嘔吐、頻脈、貧血、1日10回以上の下痢(血便)、脱水症状などが起こる。 ■どんな人に起こる? 2歳以下、または70歳以上の発症例もあるが、20歳代に高いピークがあり、患者全体の3分の1を20代が占めているとも言われている。 クローン病 ■どんな病気? 潰瘍性大腸炎と同様、腸に炎症が起こる病気。潰瘍性大腸炎が大腸にしか起こらず、直腸からさかのぼるようにして炎症が進むのに対し、クローン病は、大腸から小腸にかけて断続的に炎症が起こることがある。腸の壁をつらぬいてまわりの臓器に及ぶことも。炎症が起こると腸管が狭くなり、腸閉塞を起こしやすくなる。 ■症状 主症状は慢性の下痢。潰瘍性大腸炎が初期にはほとんど痛みがないのに対し、クローン病は最初から腹痛を伴う。また、血便もそれほど出ず、多くの場合、ドロっぽい便が出る。 公開日:2001年11月5日
あなたの腸、お元気ですか!? healthクリックが行った「お通じの悩みに関する意識調査」には、調査開始2週間で合計875件もの回答が寄せられた。まずはその結果をご紹介しよう。 Q1. お通じについて、具体的にどんなことが気になりますか?(複数選択) その他自由回答 便秘のあと、腹痛がひどく、硬い便が出た後、下痢になる 薬を使用しないと便が出ない 旅行に出るとお通じがない 妊娠中なので、お通じがなかなかないです 過敏性腸症候群 最近仕事のストレスでお腹がゆるい 軟便、便秘を繰り返す 残留感がある 私は問題ないが、主人が安定せずに、困っています 緩かったり硬かったりでガスが多い 下剤を飲んでいる Q2. Q1で便秘気味とお答えの方に質問します。最長何日間お通じのないことがありましたか? 1~2日くらい141人 3~4日くらい233人 5~6日くらい114人 1週間60人 それ以上47人 合計595人 Q3. Q1で便秘気味とお答えの方に質問します。そのほかのトラブルはありますか?(複数選択) その他自由回答 下腹だけが出ている ニキビができる、体重が増える 腹痛になる 痔 残便感、おなら おならが臭い 体が重い 太りやすい 食べ物がおいしく食べられない 下剤か下痢による大腸の荒れ ガスがたまる Q4. Q1で便秘気味とお答えの方に質問します。改善のために何か対策を立てていますか?(複数選択) その他自由回答 腸内洗浄 処方してもらったおならを抑える薬と腸の環境を整える薬 にがり水 お腹をマッサージする 朝起きたら炭酸水を飲む 規則正しい食事をする サプリメントを飲む 隣の彼女も悩んでる?…こっそり便秘エピソード 毎日乳酸菌のサプリを飲み、普段は毎日お通じがありますが、外食が続くととたんに出ません。 お通じが滞り気味のときは、オナラのニオイも。恥ずかしい話です。 いつも便秘でお腹が出ています。お腹だけ異常にぽっこりしているために「おめでた?」と何度も聞かれて困っています。 「切れ痔」に悩んでいます。「痔」を甘くみてはいけないということを最近テレビなどで知り、怖くなりました。 便秘薬を5年近く飲んでいて、薬も変えているので、今後が心配(出産など)。飲むのをやめたいけど、くせになってしまっています。 トイレにこもること20~30分。朝昼と繰り返し繰り返して、そのうちトイレでエコノミークラス症候群になるんじゃないかと不安です。 がんこな便秘なのに急激に下痢になったりすることもあるので怖くて薬をのめないし、いつも体全体が不調になり頭痛もおこる。そのうち便秘と過敏性腸症候群のような症状をくりかえしコンサートや映画も楽しめない。
食生活や普段の生活を変えてもなかなか治らない便秘もあります。そんなときは、なにか別な病気が隠れていることも…。どんな便秘のとき、病院へ行った方がいいのでしょうか?考えられる病気などをまとめました。 目次 便秘のタイプをチェック! 便秘になってしまう病気の例 生活習慣の改善を続けよう 便秘のタイプをチェック! 便秘になりやすい人は、排便できない日が続いても「よくあること」と、つい軽く考えてしまいます。しかし実際には、腸などの病気が原因で便秘になっている可能性もあります。普段の便秘と様子が異なる場合、病院で検査を受けてみましょう。 生活習慣を変えても改善しない 思い当たることがないのに、急に便秘になった 強い腹痛や吐き気、発熱などの症状もある お腹がポコリと膨れた感じがする お腹の中がいつも張っているような感じがする 便に粘液や血液が混じっている 便が白っぽい 便がねっとりしていて真っ黒 排便時に強い痛みをともなう 幼児期のころから便秘が続いている 便秘になってしまう病気の例 腸閉塞、腸捻転 腸がつまったり、ねじれたりする。激しい腹痛が起きることもある。 大腸がん・ポリープ 大腸の内壁に腫瘍ができることで、便の通りが悪くなる。便に粘液や血液がついたり、細い便が出たりすることもある。 その痔、大腸がんの疑いも!? 潰瘍性大腸炎 大腸の粘膜で炎症が繰り返し起きると、炎症の跡がコブのようになることがある。それによって腸の内側が狭くなり、便の通りが悪くなる。 若者のおなかが大ピンチ!?潰瘍性大腸炎&クローン病 S状結腸過長症 直腸へ続くS字状の部分が生まれつき長いため、便秘になりやすい。 生活習慣の改善を続けよう 検査の結果、特に異常がなければ、やはり生活習慣の改善が便秘の解消には欠かせない。適度な運動と、水分と食物繊維の摂取を心がけたい。 便秘薬を使う場合も、生活習慣の改善は並行して続けよう。 ■関連記事 がん10年生存率は56.3%、80%以上は前立腺、甲状腺、乳房、子宮体など 国立がん研究センター/全国がんセンター協議会 その痔、大腸がんの疑いも!?痔と大腸がんのよく似た症状 食道がん公開セカンドオピニオンで悩み解決、専門医・薬剤師・患者会がコラボライブ 働き盛りに多い潰瘍性大腸炎・クローン病、仕事と両立する鍵は?Gコミュニティ 婦人科がん(子宮・卵巣のがん)の発症リスクと治療後のむくみ対策 キャンサーフィットネス・リンパ浮腫患者スクール 公開日:2001年7月16日更新日:2020/09/25