昔から嗜好品として人々に飲まれてきた紅茶。健康にもよいことをご存知だろうか?抗酸化作用や抗菌作用、虫歯予防まで、知っているようで知らない紅茶の魅力をご紹介。 目次 万能薬から生活必需品へ――イギリスの紅茶文化 抗酸化物質が豊富であることを発見! 抗酸化作用を発揮する紅茶の飲み方とは? ほかにもこんなに紅茶のいいところ 万能薬から生活必需品へ――イギリスの紅茶文化 アガサ・クリスティやジェーン・オースティンから「ハリー・ポッター」まで。イギリスの文学作品には、必ずといっていいほど、紅茶を飲むシーンが繰り返し登場する。イギリス人の生活には欠くことができない紅茶だが、初めて輸入されたのは17世紀のこと。当時は、健康長寿をもたらす薬として、頭痛や食欲不振、不眠から健忘症や肺炎、下痢、風邪などさまざまな病気に効くと「誇大広告」されていたのである。 その後、王侯貴族たちがティーポットなどを使ってお茶会を開く習慣がファッションとして広がり、やがて18世紀初めには、バターつきパンと一緒に朝食で摂る習慣が確立した。労働階級まで幅広く紅茶を飲む習慣が広まるのは、産業革命による所得増大があった後である。 抗酸化物質が豊富であることを発見! 基本的には嗜好品として飲まれる紅茶だが、実は、本当に健康によい物質が含まれていることがわかってきた。とくに最近注目を集めているのが抗酸化作用である。2001年に開かれた米国心臓学会議で、「紅茶は活性酸素を除去する抗酸化作用のあるフラボノイドが最も豊富な飲料のひとつであり、心筋梗塞の発症率を下げる」「血管を強くする」といった予防効果が相次いで発表された。また、研究によっては、1杯の紅茶が、特定の活性酸素に対してはにんにくやブロッコリー、にんじん、芽キャベツ1食分より高い抗酸化作用を発揮するとも言われている。 ちなみに、フラボノイドは、ポリフェノールの一種で、紅茶や緑茶のほか、りんごやたまねぎなどの食物中にある植物性成分。紅茶に含まれるのは、カテキン、テアルビジン、テアフラビンなどで、紅茶特有の色や風味の元にもなっている。 抗酸化作用を発揮する紅茶の飲み方とは? ストレス社会の現代、抗酸化作用を持つ紅茶は、ぜひ毎日飲み続けていきたい飲料といえる。目安としては1日2~3杯。ビタミンC、E、カロテン(ビタミンA)、主要ミネラルの一種であるセレンなども抗酸化物質であるが、これらを含む食品とともに摂取すると、より強い力を発揮するのだ。 野菜や果物、バターや牛乳、卵と一緒に紅茶を飲む習慣は、まさに健康を保つための、理にかなった食生活といえる。ただし、カロリーや糖分などが過剰摂取にならないように気をつけよう。 ほかにもこんなに紅茶のいいところ 抗酸化作用以外にも、紅茶にはさまざまな健康効果が認められる。以下、簡単に紹介しておこう。 抗菌作用・風邪予防 紅茶のフラボノイドは、食中毒菌の殺菌効果や、インフルエンザウイルスの感染力を失わせる作用といった、抗菌作用が強い。風邪の予防になるほか、喉が痛む風邪のときは紅茶でうがいをするという人もいる。 虫歯予防 お茶の葉には、ほかの植物と比べるとフッ素が多く含まれている。なかでも紅茶が最も多い。そのため、紅茶のフッ素が歯のエナメル質を強くし虫歯を予防するとも言われる。ただし、虫歯菌自体に対する殺菌作用はそれほど強くない。 ストレス解消 イギリス文学には、動揺した登場人物を落ち着かせるために紅茶を入れるという描写も目立つ。ショックを受けたとき、落ち込んでいる人を慰めるとき、イギリス人たちは、まずお茶を飲んで一息入れる。日本人でも、お茶を一杯飲んでほっとしたという経験のある人は多いのではないだろうか。これは、カフェインの覚醒作用や体内活動を活発にする作用、あるいは香りが持つアロマテラピー効果などによるものだ。 カフェインとタンニン 紅茶には、約5%とコーヒーの約2倍ものカフェインが含まれる。カフェインには、覚醒作用や疲労回復、ストレス解消、新陳代謝を活発にするなどの効果が認められる。ただし、紅茶においては、アミノ酸の一種テアニンがカフェインの作用を抑制するうえ、湯の中でタンニンと結合して体内に取り込まれるため、コーヒーに比べると穏やかに作用する。そのため、覚醒効果よりも鎮静作用のほうが強くはたらくのだ。 タンニンは、紅茶の水色、香り、味に関わりを持ち、抗がん作用や生活習慣病予防、ボケ防止、抗酸化作用、解毒作用などの効果があるといわれている。 こうやって紅茶の持つ成分を調べてみると、17世紀の誇大広告も、完全には外れてはいなかったのではないだろうかと思えてくる。とはいえ、健康のために義務として飲むよりは、雰囲気を楽しみながら紅茶を味わうことそのものが、心と体によいのではないだろうか。 公開日:2004年11月15日
ハーブって本当に体に効くの?ワインの健康効果って?カフェインは体にいいの?悪いの?気になる食材の健康パワーについてご紹介します。 目次 ハーブって本当に体に効くの? ワインの健康効果について教えて カフェインは体にいいの?悪いの? ハーブって本当に体に効くの? ハーブは広辞苑では「薬草・香味料とする草の総称」と定義されており、一般的には薬効のある植物のことを指します。ハーブと人類の関わりは古く、たくさんの神話や伝説に出てくるさまざまな薬草や、聖書の創世記にある青草もハーブと考えられています。古代エジプト王朝のミイラにも防腐剤としてハーブが使用されていたようです。また、ハーブの種類は数千とも言われます。もちろん、日本にも、日本独特のハーブが昔から存在しています。さんしょう、しそ、ねぎ、みょうが、わさびなどがそうです。 欧米ではハーブは医薬品や栄養補助食品として分類され、効能の強さ(大きさ)のレベル表示などがされていますが、日本の場合、ハーブサプリメントは「食品」として分類されています。正しい知識を持って使いたいものです。 ハーブの健康パワー リラックス効果、抗酸化作用、免疫力向上など ハーブにはたくさんの種類がありますが、ここではメディカルハーブとして特に有名なものだけを紹介しましょう。 さまざまな健康パワーをもつハーブですが、使用に当たっては注意も必要です。まず、過剰な摂取はやめること。なかには薬剤と併用すると、薬の作用を弱めてしまうものもあります。病気などで薬を服用中の人は、医師に相談することをおすすめします(購入の際には成分や注意表示があるかどうかチェックしましょう)。 ハーブの種類と効能 イチョウ葉 イチョウ科 抗酸化作用、血流改善、精神安定などの作用があります エキナセアキク科風邪やインフルエンザなどに対して免疫力向上や免疫機能を活発化させるはたらきがあります ノコギリヤシヤシ科前立腺の不調を緩和、抗炎症、利尿作用など ローズヒップバラ科ビタミンCを多く含み、肌を若々しく保ちます。ストレスを感じるときにも セントジョンズウォートオトギリソウ科ストレスを和らげ、気持ちをリラックスさせます リコリスマメ科咳やのどの痛みを和らげます キャッツクローアカネ科リウマチ改善、抗アレルギー、抗炎症、免疫力向上などの作用があります ハーブ=メディカルハーブ!?ハーブの薬効に注目 ワインの健康効果について教えて ワインとは、よく熟したぶどうから果汁を絞って発酵させたお酒のこと。そのほかの原料はもとより、水すら必要としません。赤、白、ロゼがあり、赤は酸味や渋味が強く、白やロゼは適度な酸味や甘味があります。 ワインの作り方 赤はぶどうの果皮が黒・赤色のぶどうを果汁、果皮、種子を使って発酵させたものです。白は果皮が白(緑)色のぶどうの果汁だけを使って発酵させたものです。ロゼは赤ワインを作る途中で果皮と種子を取り除いたものです。 ワインの健康パワー 抗酸化力、抗菌力 ワインの健康パワーのカギは何と言っても「ポリフェノール」です。ポリフェノールとは植物が作る天然物質で、全部で10種類以上もあります。ワインの原料・ぶどうの場合、その皮に赤い色素のアントシアニン類、リスベラトロール、種子にカテキン類やタンニンなどが含まれています。赤ワインはぶどうの皮や種子も一緒に醸造するため、大量のポリフェノールを含んでいるのです。 ポリフェノールは抗酸化力が強く、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールの酸化を抑え、心臓病を防ぐと言われています。 ポリフェノール効果で赤ワインばかりがクローズアップされていますが、白ワインには健康パワーは期待できないのでしょうか?確かに白ワインは赤ワインに比べてポリフェノール類は少ないのですが、実は大腸菌やサルモネラ菌に対する抗菌力が強く、殺菌効果という赤ワインにはない健康パワーを持っています。また有機酸の含有量も赤ワインより多く、大腸の腸内細菌のバランスを整えるのに役立っているのでし。赤でも白でも!お好きな方を、「ほどほどに」お召し上がりください。 カフェインは体にいいの?悪いの? カフェインとは、植物の葉、幹、種などに含まれる成分のこと。無色の針状結晶で熱湯に溶けやすく、苦味があります。私たちの身近な飲み物では、コーヒー、紅茶、緑茶、ココア、栄養ドリンクなどに含まれていますが、実は風邪薬をはじめいろいろな薬にも配合されているれっきとした医薬品でもあります。 カフェインの健康パワー 脳への覚醒作用、利尿作用 カフェインは大脳皮質を刺激して感覚や思考を高め、眠気を覚ます効果があることが知られています。また、摂取後数時間は、腎臓を刺激し尿の排泄を促す作用も。よく「食後の1杯」としてコーヒーが出されるのは、コーヒーに含まれるカフェインが胃酸の分泌を促し、胃内での食物の消化を助けるためです。 ただしカフェインを過剰に摂ると健康に害を及ぼしかねず、急性中毒症(神経過敏、興奮、睡眠障害、顔面紅潮、嘔吐などの胃腸症状など)を指摘する声もあります。また、カフェインによる胃酸の分泌促進作用のため、胃酸過多の人が空腹時に摂取すると胃を荒らすこともあります。 とはいえ、1日数杯程度ならもちろん大丈夫です。上手に摂ってリフレッシュに役立てましょう。 胃に悪い?お肌に悪い?コーヒー7つの誤解を解く 身近な飲み物のカフェイン含有量(可食部100g当たり) 玉露(抽出液) 0.16g 煎茶(抽出液)0.02g 番茶(抽出液)0.01g ウーロン茶(抽出液)0.02g 紅茶(抽出液)0.03g コーヒー(抽出液)0.06g 出典:「2002新食品成分表FOODS」一橋出版 公開日:2002年12月2日
麦茶はさっぱりしていて、夏にはもってこいの飲み物です。熱中症などで体温が高くなったり、夏バテなどで水分が不足したときにもおすすめ。麦茶とブレンドされる健康茶や、麦茶をおいしく飲む方法をご紹介します。 目次 人気は「ブレンド茶」 麦茶とブレンドされる健康茶たち 麦茶をおいしく飲む方法 人気は「ブレンド茶」 たしかに麦茶は後味もさっぱりしていて、夏にはもってこいの飲み物なのだが、最近ではブレンド茶の人気が高く、その生産量も増加してきている。ブレンド茶というと、麦茶にハトムギ、プーアール、どくだみなどの葉を加えたもの。そのままではちょっとクセのある味でも、麦茶とブレンドすることで、すっきりとした味わいになっているのが特徴だ。 茶系飲料の生産量 資料:(社)全国清涼飲料工業会調べ 注1:麦茶飲料は4年から、その他茶系飲料は6年から調査が行われた。 注2:その他茶系飲料には、7年まで野草茶、玄米茶、杜仲茶、高麗人参茶、ブレンド茶等が含まれたが、8年からはブレンド茶が独立項目となった。 麦茶とブレンドされる健康茶たち ●ウーロン茶 「消化吸収」の調整。肝臓の機能を回復させて「血液循環」をよくするはたらきがあるといわれている。 科学的にはまだ解明されていないが、「血中の脂肪値」が減ったなどの体験談も多い。煎茶や番茶よりは少ないものの、コレステロールバランスをよくするカテキンや、覚醒作用のあるカフェインなども含まれている。 ●プーアール茶 脂肪の分解を促進して「消化」を助け、「便秘」に効果があるといわれている。 ●ドクダミ茶 「解毒」「利尿」「動脈硬化予防」「抗菌」「便秘解消」、ニキビなどの「肌トラブル」など、何にでも効くといわれる。このため、「十薬」という別名もあるくらい。 ●ハトムギ茶 「利尿」「消炎」「排膿」作用があるため、浮腫、シミなどに効き、肌をきれいにするはたらきがある。 ●柿の葉茶 ビタミンCが豊富なため、「老化防止」「美肌」や「風邪予防」として飲まれている。 ●アマチャヅル茶 鎮静作用があり、「ストレス解消」や「安眠効果」がある。また、「高血圧や低血圧の改善」にも効果がある成分が含まれているとして、最近注目を浴びている。 ●杜仲茶 「血圧降下」「利尿作用」があり、腎臓病に対する治療効果が注目されている。また、「リウマチ」や「神経痛」などの関節痛や老化防止の効果があるといわれている。 ●クコ茶 「滋養強壮」「利尿」「整腸」「新陳代謝促進」「沈静作用」がある。 麦茶をおいしく飲む方法 麦茶には、体の熱を下げる効果があり、熱中症などで体温が高くなったり、夏バテなどで水分が不足したときには効果的な飲み物だ。 麦茶はペットボトルでも各社から販売されており、手軽に買うことができるが、もちろん家庭で麦茶をつくってもおいしい麦茶ができる。そのポイントを挙げてみよう。 ●沸騰したお湯に麦茶の葉を入れ、10分程度煮ること 水に葉を入れて煮出すと、麦を長時間煮詰めることになり、麦茶の味が変わってしまう。味や色の好みもあるだろうが、沸騰したお湯に入れてからも、あまり煮過ぎない方がいい。 ●麦茶の葉は、1リットルあたり40g前後 好みの量だけ入れてもいいのだが、おいしく飲むためには1リットル40g程度をおすすめ。麦茶の味がスッキリと味わえる。 公開日:2001年8月6日
麦茶はさっぱりしていて、夏にはもってこいの飲み物です。あなたはどれだけ「麦茶」のこと知っていますか? Q1 緑茶、ウーロン茶、紅茶、麦茶はすべて同じお茶の木の葉を原料としている。 ホント ウソ Q2 麦茶の主な原料は、小麦ではなく大麦である。 ホント ウソ Q3 麦茶は緑茶と同じ、カテキン(タンニン)が豊富である。 ホント ウソ Q4 麦茶には便秘解消の効果がある。 ホント ウソ Q5 麦茶には血液をサラサラにする効果がある。 ホント ウソ Q1 緑茶、ウーロン茶、紅茶、麦茶はすべて同じお茶の木の葉を原料としている。 緑茶、ウーロン茶、紅茶は、いずれも同じツバキ科の茶木(学名:カメリア・シネンシス)の葉から作られます。このお茶の葉を発酵させるかどうかで緑茶かウーロン茶か紅茶か、に分かれます。また、煎茶、番茶、玄米茶、ほうじ茶、玉露、抹茶などはすべて緑茶の種類です。 ところが、「茶」という文字がついていても、麦茶、はとむぎ茶、どくだみ茶、プーアール茶などは茶木ではなく、ほかのものを原料としています。麦茶の原料については、Q2の解説をご覧ください。 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 麦茶の主な原料は、小麦ではなく大麦である。 麦茶という名前からもわかるとおり、麦が原料です。そのなかでも、麦茶に使われるのは主に大麦です。麦の種類とその用途は、以下のとおりです。 大麦:大麦には、二条大麦、六条大麦、はだか麦などがある。ビールなどの醸造用に使われるのは二条大麦、麦茶には六条大麦が使われる。 小麦:主に、パンやうどん、パスタ、小麦粉に使われる。 ライ麦:主に、黒パンに使われる。 燕麦:主に、オートミールや鳥の餌などに使われる。 というわけで、正解は「ホント」 Q3 麦茶は緑茶と同じ、カテキン(タンニン)が豊富である。 緑茶には、カテキンが含まれており、抗がん作用や動脈硬化の予防作用があります。このカテキンは、あのお茶独特のにがみ成分であり、お茶には欠かせません。 でも、麦茶にはこのカテキンが含まれていません。なぜなら、Q1でもお伝えしたとおり、緑茶と麦茶は原料がまったく違うため、含まれる成分も違います。 だからといって、体にいいことがなにもないわけではありません。苦味が苦手な人や小さな子供などには、麦茶はもってこいの飲み物です。苦味がない分、くせがなく誰でも飲めるのです。 というわけで、正解は「ウソ」 Q4 麦茶には便秘解消の効果がある。 麦茶の原料、麦は食物繊維が豊富で、消化器系の機能を高め、消化吸収を助ける作用があります。そのため、便秘や食欲不振の人にも麦茶はおすすめです。さらに、体内の熱を鎮め、口の渇きを止めるはたらきもあるため、夏の暑い日にはうってつけの飲み物なのです。 というわけで、正解は「ホント」 Q5 麦茶には血液をサラサラにする効果がある。 麦茶に血液をサラサラにする効果があると発表されたのは、ごく最近のことで、詳しいことは研究中ですが、麦茶にはあの香りのもとになっているピラジンと呼ばれる成分が含まれており、これが血小板の凝集をおさえ、血栓をできにくくする、すなわち血液を流れやすくするために作用しているようです。 特に汗を大量にかく夏には、水分が不足し、血液が濃縮されてドロドロになりがちです。麦茶は夏バテしそうな時の水分補給にはもってこいの飲み物です。 というわけで、正解は「ホント」
おいしい緑茶を飲むには水も大切なポイントです。また、その茶葉にあった入れ方をして、おいしい緑茶を飲みながら健康に役立てましょう。 目次 水もお茶の味を左右する 「お茶」にもいろいろある おいしいお茶の決め手はお湯の温度、茶葉の量、浸出時間 水もお茶の味を左右する おいしい緑茶を飲むには水選びがカギを握ります。水道の水がおいしくない地域では、浄水器を取りつけるといいでしょう。浄水器がなければ、水道水を一晩汲み置きするとカルキ臭さがかなり少なくなります。また、いったん沸騰させた湯を少し冷まして使うのもおすすめです。おいしいお茶はおいしい水で飲みましょう。 「お茶」にもいろいろある お茶の値段は100g当たり200円程度の番茶から3000円以上する玉露まで幅広いです。各種類の成分を分析してみると、うまみと関係の深いテアニン、全窒素、水溶性窒素、遊離アミノ酸などやカフェインなどは値段が高くなるほど含有率も多くなりますが、カテキンは値段とは比例しないようです。 緑茶を買うときには、まとめてたくさん買うのは避けましょう。なぜなら、酸素に触れると味も成分も変化するからです。同じ理由で店頭で購入するときにも緑茶を籠などに広げて売っていると、いかにもおいしそうではありますが、水分やにおいをどんどん吸収してしまうため、避けたほうがよいようです。2週間くらいで飲み終わる程度の分量を買うようにし、開封後は光の入らない密閉容器に入れ、涼しい場所で保管するようにしましょう。 おいしいお茶の決め手はお湯の温度、茶葉の量、浸出時間 おいしくお茶を飲むには、その茶葉にあった入れ方をしなければなりません。それをまとめたのが次の表です。一般的にはお湯の温度が高いほどカテキンが多く溶け出し、有効成分と苦味は濃くなり、逆に温度が低いとうまみであるアミノ酸がよく溶け出します。したがって、高級なお茶ほど低温でじっくりと入れるのがコツです。 仕事の合間に飲むなら、カフェインの多い上級の(値段が高い)緑茶がおすすめです。眠気を覚ましたい時や頭痛を解消したい、二日酔いを治したいときにも効果的です。反対に、夜寝る前や幼児にはカフェインの少ない番茶などがいいでしょう。 おいしくお茶を入れるには? お茶の種類 人数/茶量※ 湯量/湯温 浸出時間 玉露(上) 3人10g60ml50℃150秒 玉露(並) 3人10g60ml60℃120秒 煎茶(上) 3人6g170ml70℃120秒 煎茶(並) 5人10g450ml90℃60秒 番茶 5人15g650ml100℃30秒 ほうじ茶 5人15g650ml100℃30秒 紅茶 5人15g650ml100℃120秒 ※標準のティースプーン山盛り1杯で約3g 健康情報シリーズ「茶を考える」(小冊子)より
お茶を飲むのはとても体にいいこと。でも実は「飲む」だけではなく、「食べる」ことで、お茶が持つ薬効を活用できるのです。 目次 「飲む」だけでなく「食べる」緑茶 1日どのくらい食べるの? お茶の「食べ方」レシピ 捨てるの待った!茶がらのこんな活用法 「飲む」だけでなく「食べる」緑茶 お茶を飲むのはとても体にいいことです。でも、実は「飲む」だけでは摂取できない栄養があります。 お茶の葉に含まれる栄養には水溶性と脂溶性(水にとけずに油に残る)の部分があり、後者はお湯をそそいでいくらお茶を飲んでも茶がらに栄養が残ったままになります。 お茶に含まれる栄養素は? 水溶性 カテキン、ビタミンC、カフェイン、アミノ酸、糖質 脂溶性 ビタミンE、ベータカロチン、食物繊維、ミネラル、葉緑素、カテキン(一部) そこで登場するのが「食茶」。「飲む」お茶だけでなく、「食べる」お茶として摂取すればお茶が持つ薬効を最大限活用できます。 1日どのくらい食べるの? お茶を湯のみに1杯飲むときには、約1~1.5gの茶葉を使います。これを1日6杯飲むとして茶葉では6~9g。10杯飲めば、10~15g。これをそのまま食べるとすると、6gの茶葉は大さじ1杯くらいとなります。この6gに含まれる有効成分はカテキン類で約0.8gです。カテキンの有効摂取量は1日約1gと言われるので、6gのお茶の葉を食べ、さらに緑茶を1~2杯飲めば、ほぼ有効摂取量のカテキンを摂ることができます。 ただ、「食茶」はお茶に含まれる栄養を無駄なく摂取することが目的であり、必ずしもその栄養はお茶からのみ取り入れるとは限りません。そこで、毎日食べることを考えるなら1日6g(大さじ1杯)の半分、約3g食べることを考えてみるとよいでしょう。 お茶の「食べ方」レシピ さすがにそのままのお茶の葉を食べるのはちょっと口当たりも悪く、味も食べづらいものです。 食べるなら、こんな工夫をしてみてはどうでしょうか? 食べるなら荒挽きがいい 1~2ミリの荒挽きがいちばん口当たりがいいようです。あまり細かくしすぎるとかえって苦味が強くなり、調理にも色がつきすぎることがあります。 すり鉢やすりこぎ、ミキサーなどを使って挽くのがおすすめですが、面倒な人は市販されている食茶専用のお茶を購入するのがいいでしょう。 あつあつご飯にふりかけて お茶の葉は煮たり焼いたりする料理にはあまり向きません。そこで、手軽にできるのがふりかけです。 食卓に荒挽きのお茶の葉を用意しておいて、好みに応じてパラパラとふりかけます。もちろん、おにぎりや漬物、焼き魚にふりかけてもおいしいです。 薬味として 切干大根やきんぴら、ひじきなどにふりかけたり、ヤキソバに青ノリのかわりにふりかけて薬味として使用します。てんぷらの衣に混ぜてもいいでしょう。 お菓子に混ぜて クッキーやケーキの生地に混ぜます。全体に緑色がついて見た目にもきれいなお菓子ができます。また、ホットケーキに混ぜても意外とおいしいですよ。 捨てるの待った!茶がらのこんな活用法 ●緑茶風呂 ガーゼなどでつくった袋に茶葉や茶がらなどをいれて湯船に入れます。乾燥茶がらでもOK。美肌効果や水虫、あせも、湿疹などの皮膚病を改善する効果があります。 ●茶がら洗顔 肌を白くするビタミンCが豊富なので、ニキビや日焼けした肌におすすめです。石鹸で洗顔した後よくすすいだら、水を張った洗面器に茶がらをいれ、両手で茶がらと水をすくって顔にあてます。出がらしといっても1煎めをだしたあとぐらいのもののほうが効果があります。 ●キッチン用品の殺菌 まな板、包丁などを緑茶の茶汁で洗うと臭いが取れます。また、殺菌効果もあるので、効果的です。 ●冷蔵庫の脱臭 カラカラに乾かした茶がらを小鉢などに入れてそのまま冷蔵庫に置きます。あまり長く置くと臭い移りがするので注意しましょう。 ●掃き掃除 畳の上に湿った茶がらをばら撒いて、ほうきではきます。茶がらがほこりを吸い寄せるので、掃いたほこりがたちにくく、拭き掃除と同じような効果があります。
日本人にとってお茶を飲む習慣は欠かせないもの。普段何気なく飲んでいる緑茶には、実にさまざまな栄養が含まれています。その代表が「カテキン」です。 目次 緑茶に含まれる成分の代表―カテキン こんなにある!カテキンの薬効 緑茶に含まれる成分の代表「カテキン」 日本人にとってお茶を飲む習慣は欠かせないものです。普段何気なく飲んでいる緑茶には実にさまざまな栄養が含まれています。 その代表が「カテキン」です。一般的にはタンニンとも総称され、あの緑茶独特の渋みのもとになっているものです。カテキンはお茶にしか含まれていない成分であるのと同時に、お茶に含まれている成分のなかではいちばん含有率が高く、緑茶の8~15%程度を占めています。 このカテキンこそが緑茶の薬効の大黒柱なのです。 こんなにある!カテキンの薬効 カテキンには驚くほどの薬効があります。そのいくつかを紹介します。 動脈硬化や心臓病を防ぐ 血中脂質(コレステロール、中性脂肪などの血液中の脂質)が異常に増えすぎた状態を脂質異常症(高脂血症)といいます。その結果、血管の内側にコレステロールが溜まったり、血栓になって血液の流れが悪くなったりして動脈硬化や心臓病がおこります。 カテキンにはこれらの血中脂質を正常化し、血栓ができるのを防ぐ効果があるようです。 抗がん剤としてのはたらき がん発生のメカニズムには2つの段階があるといわれています。 ひとつはイニシエーションといい、正常な細胞の遺伝子が発がん物質などにより傷つき、突然変異を起こしてがんになりやすい状態になることです。 もうひとつはプロモーションといい、イニシエーション状態が修復されないまま、がん細胞に成長することです。お茶のカテキンにはこのイニシエーションとプロモーションの両方の作用を阻止する力があるといわれています。 実際、マウスを使った動物実験でも緑茶を食べたマウスのほうががん発生率が低かったという結果が得られています。 高血圧や糖尿病を防ぐ 生活習慣病のひとつである高血圧ですが、お茶には、動脈硬化の引き金ともいわれる高血圧や糖尿病を防ぐ効果もあります。高血圧は食塩の過剰摂取などが理由に挙げられますが、お茶には血圧降下作用があることが知られており、減塩プラス緑茶で血圧を下げられるというのです。 また、糖尿病はさまざまな理由からインシュリンの分泌が低下し、そのため血糖値が異常に高くなり、尿中へ排出してしまう病気ですが、このカテキンには血糖値の上昇をおさえる作用があるといわれています。 殺菌作用がある 食後に緑茶を飲むのはとてもいい習慣だといえます。なせなら、緑茶には殺菌作用があるからです。虫歯は歯の表面に付着した食べ物の残りカスが口内の細菌によって分解されて酸になり、その酸が歯の表面を覆うエナメル質を侵食することによって起こりますが、カテキンの殺菌作用によって口内の細菌を殺し、フッ素がエナメル質と結びついて酸の侵食を防ぐという、殺菌予防効果と酸化防止効果があるのです。 さらに、虫歯菌に対する殺菌だけでなく、インフルエンザや肝炎などのウイルス性の感染症を防ぐ抗ウイルス性効果もあります。 カテキンには口臭防止効果もあるので、お茶でうがいをするのはちょっとお行儀が悪そうですが、効果のあることだといえます。 ダイエット・美肌効果がある いつまでも若々しい肌でいたいのに、歳とともにシミ・シワが目立つようになります。老化はだれにでもおとずれ、避けることのできない現象ではありますが、そのおとずれ方には差があります。 老化は細胞の酸化であり、その酸化を進める犯人は活性酸素と呼ばれるものです。歳をとるとこの活性酸素をおさえこむ力が弱くなるのです。 だが、緑茶に含まれるカテキン、ビタミンA、C、Eには抗酸化作用があり、とくにエピガロカテキンガレートという種類のカテキンには、老化防止ビタミンといわれるビタミンEの20倍、ビタミンCの10倍の抗酸化力があるのです。 また、ウーロン茶がダイエットに効き目があるといわれていますが、その仕組みと同じように、緑茶には肥満や糖尿病のもととなる糖分や脂質の代謝をうながし、カロリー消化を助け、よけいなコレステロールを分解するなど無理なく総合的に肥満を抑制する効果があります。 二日酔いを解消する お茶は「酔いざめの薬」ともいわれますが、その効能はお茶に含まれるカテキンとカフェインです。カフェインは、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するとともに、その利尿効果によって体内の新陳代謝を早め、アルコールを体外に出すはたらきがあります。 また、血中にビタミンCが十分にあると肝臓のアセトアルデヒド分解能力が高まるため、お酒を飲む前に緑茶を飲んでおくと二日酔い防止にもなるのです。
日本茶などに対して、コーラやジュースなどのペットボトル飲料は驚くほど砂糖が入っています。知らず知らずのうちにかなりのエネルギー摂取になるため、気を付けましょう。 目次 ダイエットを考えるだけでも、やっぱりお茶を選びたい! ダイエットを考えるだけでも、やっぱりお茶を選びたい! 最近、小学生の子どもに肥満や生活習慣病が増えています。 その原因のひとつがペットボトル飲料!この中には、かなりの糖分が含まれていますが、冷たい液体なので、知らず知らずのうちにかなりのエネルギー摂取になってしまっています。 意外に多いのが、飲み物の砂糖!お菓子と比べても遜色がないほどです。角砂糖は1個で3.6g、14kcalです。 飲み物に含まれる砂糖は? 飲み物 角砂糖 缶コーヒー(250ml) 角砂糖 6.5個 コーラ(250ml) 角砂糖 7.5個 ポカリスエット(250ml) 角砂糖 5個 サイダー(250ml) 角砂糖 6.5個 お菓子に含まれる砂糖は? 飲み物 角砂糖 ショートケーキ(1切) 角砂糖 8個 アンパン(1個) 角砂糖 6.5個 大福(1個) 角砂糖 3個 シュークリーム(1個) 角砂糖 2.3個 公開日:2001年3月26日
お茶はいつごろから飲まれるようになったのでしょうか?古代中国では、お茶は「薬」として用いられていました。 目次 お茶のルーツは、やっぱり中国! 日本茶・中国茶・紅茶はどう違う? お茶のルーツは、やっぱり中国! 古来中国では、お茶は「薬」として用いられた お茶はいつごろから飲まれるようになったのでしょうか? お茶について最も古い記述は、今からおよそ2000年あまり前に書かれた「神農本草経」という本になります。神農とは今日の漢方薬の基礎を築いたと言われる人で、その時代はこの本よりさらに2700年前、今から4700年前に溯ります。 神農は、野山に生える野草や樹木を実際に口に入れて、薬として役立つかテストしていたのですが、何と1日72回も毒にあたったそうです。その度にお茶の葉を噛んで解毒したというストーリーです。 この真偽はともかく、8世紀に陸羽という人が書いた「茶経」という書物を見ても、遠い昔2500年以上の間、お茶は「薬」として用いられていたことがうかがえます。 随~唐時代、初めて日本に伝わった 紀元前1世紀ごろ(前漢)から、飲み物として珍重されはじめたお茶ですが、まだ栽培法が確立せず、福建省や四川省に自生しているものから取っていたため、お茶の楽しみを知っているのは限られた特権階級だけでした。 これが全国規模に広がったのは、7~10世紀の唐時代。街には茶店なども登場しました。日本に初めてお茶が伝わったのもこの前後、遣随使か遣唐使が持ち帰ったと言われています。日本の記録に登場するのは、724年聖武天皇の時代になります。朝廷が読経の後に僧侶にお茶を賜ったというもので、日本ではまだまだ特権階級の飲み物だったようです。 日本で茶の栽培が始まったのは、日本の茶祖・栄西禅師が、中国からお茶の種を持ち帰ったのが始まりです。最初は禅寺で栽培され、中国宋朝の抹茶法が上流階級に広まりました。そして、室町時代、千利休が日本独自の茶道を確立し、江戸中期になって一般庶民に急速に広がっていきました。 紅茶のルーツも中国だった 紅茶と聞いて思い浮かぶのはインドやスリランカだが、これも元は中国です。 ヨーロッパに初めてお茶が紹介されたのは16世紀初め、その後は中国の主力輸出品となりました。19世紀半ばに、イギリスがインドに近代的茶園を造るようになるまでは、中国の独占市場でした。 1840年に勃発したアヘン戦争も、中国茶人気が招いた悲劇なのです。 日本茶・中国茶・紅茶はどう違う? 不発酵茶 蒸し製 煎茶玉露てん茶玉緑茶番茶 釜いり製玉緑茶中国緑茶 発酵茶 半発酵茶ウーロン茶、包種茶 強発酵茶紅茶 後発酵茶碁石茶、阿波番茶、黒茶
緑茶以外のお茶について、その健康パワーをまとめました。 目次 いろんなお茶を味わおう! 緑茶以外の健康茶リスト いろんなお茶を味わおう! 世界には、健康に着目したお茶が数多くあります。そして、日本にも緑茶以外の健康茶がいっぱいです。 それぞれの作用や効果を、しっかりチェックしましょう。 緑茶以外の健康茶リスト ●ウーロン茶 「消化吸収」の調整。肝臓の機能を回復させて「血液循環」をよくするはたらきがあるといわれています。 科学的にはまだ解明されていませんが、「血中の脂肪値」が減ったなどの体験談も多いようです。煎茶や番茶よりは少ないものの、コレステロールバランスをよくするカテキンや、覚醒作用のあるカフェインなども含まれています。 ●プーアール茶 脂肪の分解を促進して「消化」を助け、「便秘」に効果があるといわれています。 ●ドクダミ茶 「解毒」「利尿」「動脈硬化予防」「抗菌」「便秘解消」、ニキビなどの「肌トラブル」など、何にでも効くといわれます。このため、「十薬」という別名もあるくらいです。 ●ハトムギ茶 「利尿」「消炎」「排膿」作用があるため、浮腫、シミなどに効き、肌をきれいにするはたらきがあります。 ●柿の葉茶 ビタミンCが豊富なため、「老化防止」「美肌」や「風邪予防」として飲まれています。 ●アマチャヅル茶 鎮静作用があり、「ストレス解消」や「安眠効果」があります。また、「高血圧や低血圧の改善」にも効果がある成分が含まれているとして、注目されています。 ●杜仲茶 「血圧降下」「利尿作用」があり、腎臓病に対する治療効果が注目されています。また、「リウマチ」や「神経痛」などの関節痛や老化防止の効果があるといわれています。 ●クコ茶 「滋養強壮」「利尿」「整腸」「新陳代謝促進」「沈静作用」があります。 ●朝鮮人参茶 「滋養強壮」「新陳代謝」「疲労回復」の効果があります。また、消化不良、食欲不振など「胃腸トラブル」にも効きます。 ●ハブ茶 「かすみ目、疲れ目」に。また、「利尿」「整腸作用」もあります。
毎日、何気なく飲んでいるお茶。あなたの入れ方は、お茶のおいしさをしっかり引き出しているでしょうか。お茶の入れ方の基本を知っておきましょう。また、タイプ別に飲みたいお茶の種類、お茶で炊いたごはんやお粥のレシピもご紹介します。 目次 おいしいお茶はこうして入れる タイプ別「お茶」の種類と入れ方 お料理でも使いたい「お茶」の栄養 いつもの味付けのアクセントに「お茶」 おいしいお茶はこうして入れる せっかく薬効の高い日本茶も、いい加減に入れては台無しです。おいしく健康効果を引き出すなら、お茶の正しい入れ方の基本を知っておきましょう。 やかんでお湯を沸騰させます。 急須や茶わんに、熱湯を入れて温めます。 熱湯を戻した後、急須にお茶の葉を(2~3g・小さじ1杯程度)入れます。 そっとお湯を注ぎます。 ★熱湯でいいもの:番茶、ほうじ茶、玄米茶、釜入り茶、茎茶、粉茶 ★冷ました湯がいいもの:玉露(50度くらい) ・上級煎茶、芽茶(70度くらい) ・普通煎茶、深蒸し茶(90度くらい) お茶が浸出するのを待ってから、そっと茶わんに注ぎます。 ★約3分:玉露・番茶・ほうじ茶・玄米茶・茎茶 ★約2分:上級煎茶・芽茶・粉茶 ★約1分:普通煎茶・深蒸し茶・釜入り茶 二煎めは、一煎めより熱いお湯(それぞれ10~20度くらい)を注ぎ、30~40秒ほど待ちます。 タイプ別「お茶」の種類と入れ方 「生活習慣病」を予防したい ■選びたいお茶 煎茶と番茶 動脈硬化(高脂血症)、糖尿病、がんなどを防ぐはたらきがあると言われるカテキンを最も多く含みます。 ギャバロン茶 高血圧予防に、血圧降下作用があるγ-アミノ酪酸が多くなるように加工してあります。 ■お茶の入れ方 上級煎茶の本来の旨みを味わうなら、一煎めは60度くらいのお湯で2分ほど待つのが理想です。 ただ、この入れ方で浸出するカテキンの量は12.2%。二煎めは90度くらいの熱湯で入れることが多いのですが、これで41.6%のカテキンが浸出します。つまり、健康を考えて煎茶を飲むなら二煎めまでしっかり飲むことをおすすめします。 番茶の場合は、一煎めから熱湯で2分間くらいがおいしい入れ方と言われますが、このとき浸出するカテキンは一煎めで41.6%、二煎め38.7%。てっとり早くカテキンを得るためには、番茶のような入れ方をするといいようです。 夏場にちょうどいい冷水で入れる方法では、30分浸出でカテキン18.9%、一晩では36.7%となり、長時間浸出するほうが良いようです。ただし、どの季節でも冷水で入れるのであれば、「衛生的でよく冷えた水を使う」「冷蔵庫での保冷」が原則です。 「酔い」の改善、「ビタミンC補給」をしたい ■選びたいお茶 玉露や煎茶 酔い防止に効く「カフェイン」、喫煙者に必要不可欠な「ビタミンC」を多く含むのが、こうした高級茶です。 ■お茶の入れ方 カフェインもカテキンと同様、90度くらいのお湯で入れた方がよく浸出します。 ただし、一煎めでほとんど出てしまうようです。ビタミンCも一煎めでほとんど出てしまいます。 なお一晩、水で出した煎茶はカフェインも40%くらい浸出しているため、二日酔いには最適かもしれません。 「虫歯」を予防したい ■選びたいお茶 番茶 虫歯予防に効く「フッ素」は、遅い季節(8月ごろ)に摘まれた番茶に多く含まれています。 ■お茶の入れ方 番茶は一煎めから90度くらいの熱湯で入れるとおいしいです。 お料理でも使いたい「お茶」の栄養 お米とお茶は、味も栄養も仲良しです!でも、お茶漬けだけではワンパターンですよね。簡単にできて家族にちょっと驚かれる、お茶で炊いたごはんやお粥はいかがでしょうか? ちょっと変わった風味が欲しいときに、ぜひお試しください。 ※分量は4人分です。 茶飯 季節を感じる茶飯は、新茶が出る時期にぜひどうぞ!梅干しや佃煮などにもよく合います。 ■作り方 米2合をといで、いったんザルに上げて水気を切ります。 煎茶大さじ1杯にお湯300mlで煎茶液をとります。 炊飯器に米と、水210ml、煎茶液210mlを加え、塩小さじ1弱を加えて普通に炊きます。 煎茶の葉、少量を細かくすっておきます。 米が炊き上がったら、茶わんに盛って4のすった茶葉を散らして食卓に出します。 茶粥 ■作り方 米1合をといで、ザルに上げて水気を切った後、水に1時間くらい浸けておきます。 米と水8カップを鍋に入れ、布袋に入れた番茶大さじ2を加えて火にかけます。 沸騰したら弱火にし、10分後に茶の入った布袋を取り出します。 40分くらい吹きこぼれないように静かに炊きます。 塩小さじ1/2で味付けして火を止めます。 玄米茶の炊き込みごはん ■作り方 米2合をといで、ザルに上げて水気を切ります。 玄米茶液を2カップ作り、冷ましておきます。 米に冷めた玄米茶液を加えておきます。 小鍋に鶏ひき肉と塩小さじ1/2、みりん大さじ1/2、酒大さじ2を入れ、炒りつけます。 3と4を混ぜて普通に炊きます。 最後に三つ葉やあさつきなどを少量飾って、彩りをよくします。 いつもの味付けのアクセントに「お茶」 煎茶をよくすって粉末状にしたものを、スパイスのように使うと、食べ慣れた料理も風味が変わって新鮮な味になります。最近では茶葉を粉末にする器具も売っているので、ぜひ活用して、色々なものにかけたり・加えたりすると、味と栄養バリエーションがぐっと豊かになります。 ●オムレツに たまご4個に牛乳50ml、粉末状の煎茶1g(小さじ1/2)、塩・こしょうを混ぜます。好みで玉ねぎとひき肉を炒めたもの、ゆでたほうれん草とハム(小さく切ったもの)、チーズとトマトなどの具を混ぜ、ふっくらと焼き上げます。 ●ふろふき大根などにかける練り味噌に 赤みそ80g、砂糖40g、みりんと酒大さじ1を合わせてだし汁大さじ4でのばし、中火にかけて練り上げます。煎茶粉末1g(小さじ1/2)をでき上がった練り味噌に加えて混ぜます。
玉露に抹茶、煎茶に番茶…、この違いは主に栽培法や摘み取り時期、製造法の違いによるものになります。それぞれ、どのように作られ、どんな違いがあるのかをまとめました。 目次 日本茶の違いは製造法にあり 日本茶リスト 日本茶の違いは製造法にあり お茶の木はツバキ科の永年性常緑樹。お茶の葉が採れるまでには5年くらいかかるそうです。 葉は摘み取られた後、蒸し、乾燥させながら揉み込んで、店頭で見られるような小さな丸や、細長い形に整えられていきます。中国のウーロン茶や紅茶などは蒸した後、発酵させますが、日本茶は発酵させないものが多いようです。 さて、玉露に抹茶、煎茶に番茶…、この違いは主に栽培法や摘み取り時期、製造法の違いによるものになります。それぞれ、どのように作られ、どんな違いがあるのかをまとめました。 日本茶リスト ●煎茶 緑茶の代表。蒸した後、乾燥させながら撚(よ)って細長い形にしたお茶。生産地や品種によって「ヤブキタ」「大河内」などのブランドがあります。 一番茶(新茶) 5月の八十八夜前後に摘まれたもので「上級煎茶」とされています。 二番茶(一般的な煎茶) 6月ごろ摘まれたものです。 三番茶 8月ごろに摘まれたものです(二番茶の晩摘みのもの、三番茶は「番茶」に分類されることもあります)。 ●番茶 煎茶の加工過程で取り除かれる不揃いの葉、茎、粉や、夏に摘む三番茶などを材料に作られたお茶です。 ●玉露 上質の葉を作る木だけを集めて栽培します。摘み取りの2週間前に葉に菰(こも)をかけ、直射日光にあてないようにするため、鮮やかな緑色の芽が出ます。精製も丁寧に行われ、丸い感じに揉み込まれます。 茶摘みは煎茶より遅く、市場に出るのは6月ごろになります。 ●抹茶 抹茶も葉を直射日光にあてない覆下栽培で作られます。 葉を蒸した後、乾燥させて石うすで粉にしています。 ●ほうじ茶 番茶などを強火で炒って、香ばしい臭いをつけたお茶です。 色はウーロン茶や紅茶に近いが、煎茶よりカフェインやタンニンが少ないため、病人や子ども用のお茶として人気があります。 ●玄米茶 一度炊いてから炒った玄米に、煎茶(下級煎茶が多い)を同量混ぜています。 玄米の香りが、独特の香ばしさを出してくれます。 ●茎茶 煎茶や玉露の製造工程で除かれるもののうち、茎だけを集めて作られています。といっても、本茶が上級品であれば、茎茶も上級品。玉露の茎茶は特に珍重されています。 ●芽茶 春先に伸びる芽と、若葉だけを集めて作られたものです。一番茶と二番茶にしかありません。 高級煎茶の芽茶は、味が濃く芽の独特の味わいが楽しめます。 ●粉茶 煎茶や玉露の製造工程で除かれるものをふるいがけし、粉だけを集めたもの。煎茶粉末、玉露粉末があります。 お寿司屋さんなどで出るのは上級煎茶の粉茶であることが多いようです。
お茶に消臭作用があることをご存知でしょうか。口臭対策に、食後にぜひお茶を飲みましょう。また足の臭いの対策にもお茶は役立ちます。 目次 気になる「臭い」は、お茶で消す お酒もたばこもお茶でスッキリ! お茶で民間療法!? 気になる「臭い」は、お茶で消す 最近は「体臭」を気にする人が多いようです。多くは本人の意識過剰とも言われますが、やはりそれでも気になるものではないでしょうか。そんなときにも「お茶」がおすすめです。 ●口臭対策 お茶を飲んでいる食後のお茶は、臭いの元になる食べ物の残りカスを洗い流します。 お茶に含まれる「カテキン」や「フラボノール」の殺菌作用や消臭作用によって臭いを遮断します。 お茶の葉には虫歯を防ぐフッ素も含まれています。 以上のことから、食後にはぜひお茶を飲みましょう。 ●「足の臭い」対策 茶殻の水気をきって、新聞紙などに広げてしっかり天日干ししたものを、不用な古い靴下などに入れて靴の消臭剤として活用します。 お酒もたばこもお茶でスッキリ! お酒に効くお茶パワー! 酔って醜態をさらさないためには、お茶のカフェインが効くようです。カフェインは、酔ってマヒした大脳のはたらきを復活させます。また、カフェインには「利尿作用」もあり、悪酔いの原因となる物質(アセトアルデヒド)を体外に排出してくれます。 二日酔いでツラいときも、熱いお茶でスッキリしましょう。 ●特に効果を期待するなら カフェインは一煎めでほとんど出てしまうので、一煎めを飲みましょう。おすすめは、カフェインを多く含んでいるヤブキタなどの「上級煎茶」です。 たばこに効くお茶パワー! たばこの害のひとつが、体内の「ビタミンC」を破壊してしまうことにあります。1日に必要なビタミンC(50mg)は、たばこを2本吸うだけで破壊されてしまいますが、それをおぎなうのがお茶に含まれるビタミンCです。 ●特に効果を期待するなら カフェイン同様、「上級煎茶」の「第一煎め」がおすすめです。しかしそれでも完全には補いきれないので、やはり禁煙するのが一番です。無理ならば、一服のおともはコーヒーよりも、ぜひお茶を飲みましょう。 その他の効果 ビタミンCは、肌や血管の老化を防ぐほか、抗がん作用もあると言われています。 お茶で民間療法!? お茶の「殺菌作用」を利用した民間療法が、以下の2つです。誰にでも即効があるというものではありませんが、あながち信じられない話でもないようです。 古いお茶の葉があるようなら、どちらも一度試してみてはいかがでしょうか? ●水虫に効く?お茶パワー! お茶で脚を洗っている熱湯で濃く出した茶汁をバケツなどに足がつかるぐらいに入れ、10分ほどその中に足をつけると水虫によく効くそうです。 ●お肌に効く?お茶パワー! お茶の葉を、布袋に20~30gくらい詰めて、入浴剤代わりにお風呂に浮かべるとあせもなどに効果があるという話もあります。
日ごろ何気なく飲んでいるお茶。現在はコーヒーなどと同様、嗜好品として考えられているようですが、もともとは薬として飲まれていました。お茶の健康パワーをまとめました。 目次 健康長寿を願うなら、まず「お茶」! お茶の薬効成分 健康長寿を願うなら、まず「お茶」! あなた自身も知らないうちに、毎日ちょっとした食習慣や運動不足が原因で、ある日突然やってくるのが「生活習慣病」(がん、心疾患、脳血管疾患など)です。いまや、日本人の死因の多くを占めています。 その予防に役立ってくれるのがお茶です。 動脈硬化 動脈硬化とは、動脈の血管の壁に、コレステロールや老廃物が入り込んで、血管が狭く・かたくなってしまう状態のことです。 悪化すると、心臓への血流(冠動脈)がつまる=「心筋梗塞」「狭心症」など、脳内の動脈がつまる=「脳卒中」「脳血管疾患」などになります。 原因としては、血液中の中性脂肪やコレステロールなどの量が多くなるためなどが挙げられます。 ●お茶パワー! お茶の渋味のもととなる「カテキン」には、このコレステロールや中性脂肪を減らすはたらきがあると言われています。 また、このほかの成分にも血栓形成抑制作用(フラボノール)、血圧降下作用(γ-アミノ酪酸)、 強心作用(カフェイン)など、血管を強く保つはたらきがあります。 高血圧予防 ●お茶パワー! お茶に含まれる「γ-アミノ酪酸」は、脳内の神経化学伝達物質のひとつですが、このアミノ酸には血圧降下作用もあるという研究が発表され、注目されるようになりました。 ●特に予防したい人には… 現在では、γ-アミノ酪酸を多く含むお茶、「ギャバロン茶」も販売されています。 糖尿病 ●お茶パワー! お茶に含まれる「ポリサッカライド」という成分には、血糖値を下げるはたらきがあると言われています。 ●特に予防したい人には… この成分が最も多く含まれているのは、秋摘みの「番茶」だそうです。 お茶の薬効成分 現代は嗜好品となっているお茶は、もともと「薬」として飲まれていました。 そんなお茶には、上記のような成分とはたらきのほかにも、次のような成分が含まれています。 日本茶の機能性成分一覧 物質名 含量(乾物中) 効能 カテキン 15~20% 抗酸化性、抗がん性、抗菌性、コレステロールのバランス調整、動脈硬化抑制、脂肪吸収抑制など フラボノール 600~700mg/100g 血栓形成抑制、白内障抑制、がん細胞増殖抑制、消臭作用 カフェイン 2~4% 覚醒作用、大脳刺激作用、利尿作用 サポニン 0.1~0.5% 去痰作用、消炎作用 γアミノ酪酸 100~200mg/100g 血圧降下作用、脳代謝促進作用 ビタミンC 250~600mg/100g 抗壊血病性 ビタミンE 25~70mg/100g 抗酸化作用、コレステロールバランス調整、動脈硬化抑制 フッ素 1000~1800ppm(古葉) 虫歯予防 亜鉛 30~75ppm 幼児の発育促進、味覚機能向上 出典:農林水産省野菜・茶業試験場茶利用加工部の資料
フリーラジカルの害を防ぐビタミン、カロチン、カテキン たばこの吸い過ぎやお酒の飲み過ぎ、強いストレスを受けることにより、人間の体内には、活性酸素などの不安定で攻撃的なフリーラジカルが生成されます。また、排気ガスなどに含まれる環境汚染物質や日光の強い紫外線も、フリーラジカルの害を促進します。 このフリーラジカルが体内で適切に処理されないと、それが引き金となって、心筋梗塞や脳卒中、がんなどの生活習慣病を引き起こします。 フリーラジカルの害を防ぐには、抗酸化活性作用のあるビタミン類、なかでもビタミンAやビタミンC、それにビタミンEが有効であることが、すでに動物実験により明らかにされています。 また、これらのビタミンに加え、カロチンやカテキンという成分がフリーラジカルの害を防ぐ役割を担っていると考えられています。 緑茶に多く含まれているカロチン、カテキン 緑茶には、カロチンやカテキン、ビタミンが豊富に含まれているので、生活習慣病の予防に効果があると考えられています。例えば抹茶のカロチン含有量は、カロチンが多いといわれているニンジンやホウレン草などの緑黄色野菜の3、4倍もあります。 ただし、カロチンやカテキンはほとんどがお湯に溶け出ないので、お湯で溶出したものを飲んでも摂取できません。抹茶として、あるいは茶葉を食べることなどにより、はじめて摂取できるのです。
緑茶を多く飲む人ほど、がんになりにくい 緑茶には素晴らしい薬効があることが、さまざまな研究で判明しています。 そのなかでも「緑茶を多く飲む人ほど、がんになりにくい」という埼玉県立がんセンターによる疫学調査の結果は、特に話題になりました。 埼玉県立がんセンター研究所は、地域住民の健康に影響を及ぼす生活要因を探るために、約8500人の住民を対象に、8年間にわたって生活習慣と健康状態を調査しました。そして、お茶を毎日10杯以上飲む人(Aグループ)、毎日4~9杯飲む人(Bグループ)、毎日3杯以下の(Cグループ)に分けて、各グループのがんによる平均死亡年齢を比較しました。 その結果、男性では、Aグループが70.3歳、Bグループが68.4歳、Cグループが65.8歳、女性では、Aグループが74.1歳、Bグループが70.9歳、Cグループが67.6歳と、驚くほど明確に「がんによる死亡はお茶を飲まない人ほど早く、お茶を飲む人ほど遅い」という結果が出たのです。 活性酵素などのフリーラジカルの害を防ぐ 緑茶には、カテキンやカロチン、ビタミンCが多く含まれています。これらの成分は、人間の体内でできる活性酸素などのフリーラジカルの害を防ぐといわれています。この作用から、がんの発生を抑制すると考えられています。
健康飲料として愛用される多彩な中国茶 最近、中国茶が注目されています。中国茶の代表であるウーロン茶は、生葉を少し発酵させてから、かまいりして作る半発酵のお茶です。この他、独特の香りを楽しむジャスミン茶、ダイエット効果が高いといわれるプーアール茶、長い歴史をもつ紅茶、日本とは少し違う緑茶など、多様な種類のお茶があります。 中国茶はし好品というより、健康飲料として飲まれるのが特長です。 脂肪を分解する作用 成分はカフェインとカテキン(タイニン)、過酸化脂質です。日本の緑茶に豊富なビタミンCは含まれていません。 しかし中国茶には脂肪を分解する作用があり、脂っこい料理と一緒に飲むと、肥満の防止や解消に役立ちます。カテキンの作用は、胃腸を刺激して胃液の分泌を促し食を進めます。アルコール代謝作用もあり、二日酔いの防止、疲労回復にも有効です。
日本のお茶の普及は鎌倉時代の栄西から 日本で日常的にお茶が飲まれるようになるのは、鎌倉時代、日本の仏教の中興の祖である栄西が、当時の宋における新しい茶種と新しい飲み方である抹茶法を持ち帰ってからです。彼は、禅宗だけでなく、喫茶の風習も広めたのです。 栄西は、お茶の栽培普及につとめながら、「茶は養生の仙茶なり、延命の妙術なり」という有名な言葉で始まる「喫茶養生記」を著し、喫茶を長寿の薬として推奨しました。日本におけるお茶の歴史は「喫茶養生記」をもってスタートをきったといわれるほど、本書はわが国における喫茶文化を語るうえで欠かせない著書です。 古くから伝わるお茶の効能 お茶の効能について栄西は、酒酔いが去り、のどの渇き、病を払い、消化を助け、利尿に効果がある、と述べています。お茶の製法や飲み方についても書かれており、お茶は次第に各地に普及していきました。
脂肪の代謝を促進する お茶に含まれるカテキンは、コレステロールの上昇を抑制する作用を持っています。1日10杯のお茶を飲めば、毎日450gのステーキを食べた場合のコレステロールに対抗できるほどの作用を持っているといわれています。 この作用をキャッチコピーにした商品が、「減肥茶」といわれるダイエット用のお茶です。より肥満解消に効果的な、脂肪の代謝を促進する作用の強い種類のお茶をブレンドしたものなどが多いようです。脂っこい食事をしたときに脂肪を溶かすという「烏龍茶」「杜仲葉」「燕龍茶」(薬日本堂)、「ほうじはとむぎ」(漢方平和堂)などがあります。
64%の人がアトピー炎症反応が軽減 アトピー性皮膚炎の炎症反応が、ウーロン茶によって抑えられるといわれています。 滋賀医科大学皮膚科教室の上原正巳氏らは、外来治療を6ヵ月以上続けている成人アトピー性皮膚炎患者121人に、市販の2.5倍の濃度のウーロン茶を1日400ml、4週間服用させるという調査を行いました。 その結果、皮膚症状が「著しく改善」した人は22人で全体の18%、「かなり改善」した56人と合わせると78人(64%)にも達しました。改善した大多数が服用4~5日目からかゆみが軽減し、紅斑が減少したということです。 抗アレルギー剤と同じくらいの効果 この報告は、アトピー性皮膚炎の治療に使われている抗アレルギー剤の4週投与による症状改善率が50~70%であることを考えると、「ウーロン茶はアトピー性皮膚炎の症状を軽減する効果がある」といえるのではないでしょうか。
紅茶でうがいをすると… インフルエンザのウイルスが、紅茶などのお茶に弱いことを、昭和大学医学部細菌学の島村忠勝氏が報告しています。紅茶でうがいをした人は、しなかった人よりインフルエンザにかかりにくいという研究結果が得られたのです。 調査は、1992年(平成4年)の冬から翌年にかけて、約260人を対象に行われました。紅茶でうがいを「する群」と「しない群」に分け、その後のインフルエンザ感染率を比較したところ、「する群」は35.1%、「しない群」は48.8%と、統計学的に有意差がついたということです。 カテキンがウイルスのトゲを包む? 紅茶の濃度は、ふだん飲む濃度の4~5倍の薄さでも十分な効果があるということです。温度は体温と同じくらいがベストですが、「ちょっとぬるめ」を目安にすれば良いとのこと。そして朝夕2回、頭を後ろにそらせるような格好でうがいすると、普通は飲み物が入らない鼻腔まで紅茶が流れていき、きれいに洗浄できるということです。 紅茶に含まれるカテキンがインフルエンザウイルスのトゲを包み込み、感染性を消すといわれています。
緑茶は生活習慣病などを防ぐ栄養素が多い 緑茶の葉には、がんなどの生活習慣病や老化を防ぐカロチン類やビタミンC、カテキン類が多く含まれています。 ただし、カロチンはふつうお湯や水に溶け出さないので、お湯で溶出したものを飲んでも摂取できません。 ビタミンCは壊れやすいので、これも取ることはできません。 カテキンはお湯に溶け出るので通常の溶出茶にも含まれますが、溶出茶の99%は水分ですからカテキンの量はごくわずかしかありません。 食べる方が効果的 つまり、緑茶の栄養素のほとんどは捨てられてしまう茶がらのほうに含まれているので、従来の飲み方ではわずかしか摂取することができないのです。 従って、カロチン、ビタミンCやカテキンを大量に取るには、抹茶として、あるいは茶葉をそのまま食べる方が効果的です。 日本ではお茶の発がん予防効果に関する臨床試験が進められていますが、これに用いられているお茶の錠剤も、粉末にして固められたものです。
小学校で茶食給食 東京都のある小学校では、月に3、4回の割合で「茶食給食」を行っていたこともあります。 始めたきっかけは、緑茶を飲んだことがないという子供が多かったことにショックを受けたことと、お茶は食べた方がビタミンやミネラルをより多く取れ、食物繊維も摂取できるということからでした。 茶食のメニューは、お茶づけ、磯ご飯、チャーハン、蒸しパンなど。緑茶は主材料として利用するのではなく、料理に変化をつけるという狙いで使っているので、1回の給食で使用するお茶は1人当たり0.6~1.2mgと少なめです。 子供たちには評判が良い 子供たちにも「最初は苦いかなと思ったけど、意外とおいしい」などと、なかなか評判が良く、親からも調理方法などの問い合わせがきていたそうです。