あなたは肥満が病気になる場合があることをご存知ですか?単に太っているだけではなく、肥満に起因する健康障害があったりする場合には肥満症と判断され、医学的な治療が必要なことも。簡単に自分のBMI(肥満度)の判定チェックができるツールもあるので、お試しあれ。 目次 太っているのは病気?肥満と肥満症どこが違うのか 日本肥満学会が定める肥満症の定義 肥満症の判断基準はBMIで。BMI25以上が一つの目安 内臓脂肪がたまっているかどうかの判定は? 太っているのは病気?肥満と肥満症どこが違うのか 「肥満」とは身長にくらべ、体重の割合が大きい状態のこと。「太っている」というだけでなく、高血圧や糖尿病など他の病気を合併している場合もあれば、そうでない場合もあります。問題は内臓に脂肪がたくさんついていないか、そして何か合併症をひきおこしてはいないかということにあります。 そこで、単に「太っている」だけの肥満とは別に、医学的に見て「治療が必要である」と判断される肥満を「肥満症」と定義しています。 日本肥満学会が定める肥満症の定義 肥満症とは肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う (日本肥満学会) 肥満症の判断基準はBMIで。BMI25以上が一つの目安 さて「肥満症」と言われるのは一体どんな人なのでしょうか。その判断基準は次の通りです。 肥満症かどうかの診断は、まず最初に肥満かどうかの判定を行います。そのとき、使われる指標が「BMI(=Body Mass Index)」と言われるもので、これは国際的にも広く通用する体格指数です。これがBMI≧25(25以上)のとき、「肥満」となります。 BMIの計算式 BMI=体重kg/(身長m)2=体重kg÷身長m÷身長m (例)身長170cm、体重75kgの場合、BMI=75÷1.7÷1.7≒26.0(肥満である) BMIが25以上だった場合、さらに、次の[A]または[B]のような状態であれば「肥満症」と診断されます。 A:肥満に関連する高血圧や高脂血症、糖尿病などの健康障害があるかどうかをチェックします。健康障害があれば「肥満症」です。 または B:内臓脂肪が蓄積しているかどうかをチェックします。内臓脂肪がたまっていれば「肥満症」です。 内臓脂肪がたまっているかどうかの判定は? ●スクリーニング検査 ウエスト周囲径を測り、男性で85cm以上、女性で90cm以上あれば「上半身肥満」 ●腹部CT検査 CTの断面像を撮影し、内臓脂肪面積が100cm2以上あれば「内臓脂肪型肥満」 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
「肥満は生活習慣病のはじまり」と言われる通り、肥満は多くの病気や健康障害の原因になります。なかでも合併症を引き起こしやすい「内臓脂肪」には要注意。現代の食生活、ストレスや遺伝と原因はさまざまですが、見た目では分からないのも肥満の難しいところです。 目次 肥満は生活習慣病のはじまり肥満が原因で発症する病気や健康障害 モデル体型なのに「肥満症」。見た目では分からない肥満の難しさ 高い確率で合併症を引き起こす「内臓脂肪症候群」とは? なぜ肥満になるの?肥満の原因 女性より男性が要注意。内臓脂肪はなぜたまる? 肥満は生活習慣病のはじまり肥満が原因で発症する病気や健康障害 ご存知、生活習慣が原因となっておこる生活習慣病。とくに、肥満によりさまざまな生活習慣病が発症することが知られており、「肥満は生活習慣病のはじまり」とも言えるほどです。なかでも「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」は、肥満が深く関係しており、さらに心筋梗塞や脳梗塞などの冠動脈疾患を発症する確率が高いようです。 肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害 ●2型糖尿病・耐糖能異常 ●脂質代謝異常 ●高血圧 ●高尿酸血症・痛風 ●冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症 ●脳梗塞:脳血栓症・一過性虚血発作 ●睡眠時無呼吸症候群・Pickwick症候群 ●脂肪肝 ●整形外科的疾患:変形性関節症・腰椎症 ●月経異常 ちなみに、肥満者が合併症を起こす確率は、正常体重者に比べて、糖尿病:約5倍、高血圧:約3.5倍 と報告されています(出典:肥満・肥満症の指導マニュアル 日本肥満学会編集委員会)。これを放置し内臓脂肪が更に蓄積し、肥満症がすすむと、生活習慣病が進行し、やがて冠動脈疾患などにつながっていく可能性が高い。つまり、「肥満症はまさに、糖尿病、高血圧、高脂血症という滝から冠動脈疾患という滝壷へまっさかさまに落ちていくようなもの」(大阪大学大学院医学系研究科分子制御内科学(第二内科) 松澤佑次教授)なのです。 モデル体型なのに「肥満症」。見た目では分からない肥満の難しさ 見た目ですごく太った人がみんな治療が必要かというと、それは違います。おすもうさんを見てもわかるように、太っていても健康障害はなく、内臓脂肪もたまっていない人もいます。その場合は「肥満症」ではありません。また、逆に少ししか太っていなくても内臓脂肪が蓄積したり、合併症があったりすると「肥満症」であり、治療が必要となります。つまり見た目が大切なのではありません。 肥満(BMI≧25)に、血糖が高い、血圧が高い、あるいはコレステロールが高いといった状態をあわせもつことが肥満症であり、そこに内臓脂肪の蓄積が大きく関与しています。そのことが問題となります。 高い確率で合併症を引き起こす「内臓脂肪症候群」とは? 「肥満症」の診断基準に入っている内臓脂肪。なぜ内臓脂肪が重要なのか説明しましょう。 内臓脂肪の蓄積がある人は、高い確率でさまざまな危険因子が合併することがわかってきました。また、虚血性心疾患をすでにもつ人では、内臓脂肪が蓄積している人が多いこともわかってきました。このような人は「内臓脂肪症候群」と呼ばれており、内臓脂肪の蓄積をもとに耐糖能異常、高脂血症、高血圧をあわせもち、動脈硬化に進展する可能性がとくに高いのです。 欧米では、シンドロームXや死の四重奏とも呼ばれている「内臓脂肪症候群」は、特に積極的な治療が必要であるといわれています。BMI25程度で、見た目ではそんなに太っているようには見えなくても、血圧や血糖、コレステロール値などが少しずつ高い人などは要注意です。 内臓脂肪がついている人は、例えば、手足が細いのに、おなかだけがぽっこり出ている人。また、最近ベルトやズボンがきつくなってきた人。これらの人がおなかの皮をつまんでみて、薄いようならおなかについた脂肪は皮下脂肪ではなく内臓脂肪である可能性が高いようです。 なぜ肥満になるの?肥満の原因 肥満になるにはなんらかの原因があります。もちろん、これにはいくつかの要因が複雑に絡み合っているのだが、大雑把に言えば、「摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れている」ためである。 飽食がもたらす食べ過ぎ、便利な乗り物の発達による運動不足はもちろんのこと、朝食抜きだったり夜遅くに食べるなどの摂食障害パターン異常などの食生活や生活様式の変化は、肥満への階段を確実に昇っているようなものとなります。どこかで生活を改善しなければ、いつかは肥満症へと発展してしまう可能性が大きいようです。 女性より男性が要注意。内臓脂肪はなぜたまる? 女性より男性の方がたまりやすい内臓脂肪ですが、男性は年齢とともに増えていき、そして女性の場合は閉経後たまっていくことがわかっています。 砂糖(ショ糖)が、内臓脂肪をためる原因のひとつ。あとはストレス、遺伝も関係しています。特にカロリーが高い現代人の食生活と、運動不足が重なり、内臓脂肪を蓄積する人々が増えています。
本当の自分を知るのはちょっと怖いですね。でも、肥満は外見だけでは判断できないもの。放置すると肥満症やさまざまな合併症を引き起こす危険もあります。日々自分の体脂肪率を測定し認識することは簡単な肥満予防法です。4つのポイントに注意し、実践してみましょう。 目次 体脂肪計は、どうやって測っているの? 体脂肪率・測定方法のポイント 体脂肪率の測定結果を判定してみよう 体脂肪計は、どうやって測っているの? 体の中の脂肪は、ほとんど電気を通しません。一方、脂肪のぞいた筋肉や血液などは、電気を通す水分やたんぱく質を一定の割合で含んでいます。そこで、人体に影響のないわずかな電流を流し、脂肪が電気を通さないために起こる電気抵抗の強さを測り、体脂肪率を計算するのが体脂肪計です。体脂肪が多いと、当然、電気抵抗は大きくなります。 体脂肪率・測定方法のポイント 体脂肪計は、体重計とは違い高度な測定・計算をするもの。測り方がザツでは、せっかくの測定も台無しとなってしまいます。上手に測って、肥満の予防・改善に役立てましょう。 BMIチェック 数値に一喜一憂しない 体脂肪は、長い眼で経過を見ていくことが何より大切です。体重計のように「3kg減った!」と喜ぶようなものではありません。そもそも体脂肪率は正確な測定が難しいもので、数値は多少変動しやすく、従って数値が下がったからといって喜ぶのはまだ早いようです。たまたまそのとき正確に測れなかっただけで、実際、体の中の脂肪率は変わってなかったということも考えられるからです。だからこそ、毎日測って長い眼で見る必要があります。 「同じ計器」で! 市販されている体脂肪計については、いろいろな計測方法のものがあります。 これは、体脂肪の計測の難しさゆえですが、その多くはインピーダンス法(体内を電流が通る際の抵抗値を参考に算出する方法)を取り入れています。 しかしその中でも指で測るものから、手で測るもの、体重計の様に上に乗るもの、さらに手も使って計測するものがあり、それぞれ計測値には差が出ます。だから各機器によって、標準体脂肪率も違います。「会社の健康診断結果と家での計測値が違う!」なんて場合も驚かずに、それぞれの計器に示されている標準値を参考にしましょう。健康管理に利用するのであれば、一つの機種を特定し、継続的に使うようにしましょう! 「同じ時間・健康状態」で! 朝起きたとき「顔がむくんでいるなぁ」と思うことはありませんか?体の中の水分の分布は変化しやすいもの。また、胃の中に脂肪たっぷりの食事や飲み物が残っていては、正しく測定できません。さらに、血液の流れにも大きく左右されるため、激しい運動後も禁物です。毎日の変化を見るには、決まった時間、 同じ体の状態で計測を続けるようにしましょう。また、計測に適した時間帯は機種によって異なるのでよくチェックしましょう。 ■計測に適した時間帯の一例 「正しい姿勢」で! 体の中の電気抵抗を正しく測るためには「姿勢」も大切です。測り方が正しくないと、せっかくの測定も台無しになってしまいます。この「姿勢」についても測定機器よって異なりますが、以下に一例を挙げます。 姿勢の注意点 ●素手・素足で ●できるだけ薄着で ●立つ位置や握り部分は電極にきちんと触れること ●脚踏みしない 体脂肪率の測定結果を判定してみよう 肥満度 男性(%) 女性(%) やせ~ 9.9~ 19.9 標準10.0 ~ 19.920.0 ~ 29.9 軽肥満20.0 ~ 24.930.0 ~ 34.9 肥満25.0 ~ 35.0 ~ 出典:「ナショナル体脂肪体重計」取り扱い説明書 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
脂肪細胞であれ、血中脂肪であれ、体脂肪が増える原因は単純明解「摂取カロリーが消費カロリーをオーバーする」からです。誰もが分かっているのに脂肪がたまってしまうのは、なぜでしょうか?そこには、いくつかの理由があります。 目次 肥満は悪?栄養不足でも生きるために人間に備わった優秀な生存メカニズム 肥満になりやすい日本人?ストレスには要注意 肥満解消のカギは、よく噛んで食べること 肥満になりにくくするには、カロリーを朝や昼に摂ること 肥満は悪?栄養不足でも生きるために人間に備わった優秀な生存メカニズム 人間の誕生から現代までを1日の尺度に置き換えてみると、今のように食べ物のあふれる時代に入ったのは、たった3秒前と言われています。それまでの時間は、常に飢餓との戦いでした。現代の私たちは、丸1日何も食べられないとフラフラする気がします。しかし歴史を振り返ると、長い間、獲物が捕れないことや、悪天候による不作が何度もありましたが、それでも人類は生き延びてきました。そもそも人間は、現代の私たちが思っている以上に少ない食料でも大丈夫なようにつくられている生物なのです。そして、少しでも多く食べたときは飢餓に備えて、エネルギーを脂肪として蓄えるのです。 肥満になりやすい日本人?ストレスには要注意 日本人が「食べ過ぎ・飲み過ぎ」ている大きな原因のひとつが、ストレスです。 実際、肥満になった人の多くは、ストレス解消のために食べる・飲むなどしていると言われています。1日のしめくくりにお酒がやめられない…という人もいますが、アルコールは食欲を増進させるので、食べ過ぎにつながります。 困ったことに、ストレスの原因が何なのか、本人にも分からないケースが多くあります。「会社の上司が嫌なヤツだ」という精神的ストレス以外に、身体的ストレスによる自律神経の乱れも、肥満に大きく関わっています。自律神経は、一定のリズムで1日を送ってこそ正常にはたらくもの。過剰に都市化した環境で、昼も夜も関係なく生活している日本人は、自律神経が乱れ、常に「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」の原因となるストレスにさらされています。 肥満解消のカギは、よく噛んで食べること 肥満解消のために大切なのが、よく噛んで食べること。満腹を感じるには、食事中に消化吸収が始まる必要があります。噛む刺激も満腹感を呼びますが、20~30分かかります。早食いが太りやすいと言われるのは、よく噛まないので満腹感を得るまでに時間がかかり、食べ過ぎてしまうからです。ファーストフードなどは、すぐに食べられて便利な半面、よく噛まずに食べがちなので、注意しましょう。 満腹を感じるまで ▼よく噛んで食事 ▼腸で消化吸収が始まる ▼血中に血糖とインスリンが増加 ▼視床下部の満腹中枢が活発化 ▼満腹感 肥満になりにくくするには、カロリーを朝や昼に摂ること 以下の通り、体のためには朝や昼にカロリーを摂った方が良いと言えます。 昼 交感神経が優位 胃が活発に消化・吸収 エネルギーとして使われやすい 夜 副交感神経が優位 腸の方で消化・吸収 塩分としてたまりやすい 三食のうち、夕食が一番豪華でたくさん食べるのは、日本を含む多くの国で共通の食習慣です。朝や昼に魚・肉を食べなくても、夕食にはメインとして食卓に必ずのっているのでは?なかには1日1食で、夕食だけまとめ食いという人もいます。もしかすると、この食文化・食習慣が、一番改善しにくい壁かもしれません。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 公開日:2014年8月4日
太ってると一言でいっても、危険な太り方と危険ではない太り方があります。内臓の周りに脂肪が蓄積する内臓脂肪が増えている場合は危険な太り方。見た目にはリンゴ型とも言われますね。肥満は肥満症に繋がる危険な内臓脂肪の蓄積を調べる方法もまとめました。 目次 肥満につながる危険な脂肪のつき方 内臓脂肪のたまりやすいタイプは? 肥満症の疑いあり?内臓に脂肪がたまっているか調べる方法 肥満につながる危険な脂肪のつき方 細胞にたまる脂肪には、内臓の周りにつく内臓脂肪と、内臓と皮膚の間につく皮下脂肪があります。この2つは同じ「太った」状態でも、危険度が異なります。内臓脂肪は、内臓そのものへの負担が大きいだけでなく、血液の中に溶け出しやすいため、さまざまな生活習慣病の原因になりえます。 自分の肥満度を知ろう!(BMI編) 内臓脂肪のたまりやすいタイプは? 「体型」で見ると、肥満は大きく2つのタイプに分けられます。 ●リンゴ型 お腹が出っ張って、ウエスト周りが「立派」な太鼓腹。中年男性に多いタイプ。 ●洋ナシ型 お腹でも下っ腹や、腰周り、太ももなどの下半身が「立派」。女性に多いタイプ。 洋ナシ型は皮下脂肪が多いのに比べ、リンゴ型は内臓脂肪がたまっているキケン性が高いです。ベルトがきつくなってきたら、要注意! 肥満症の疑いあり?内臓に脂肪がたまっているか調べる方法 リンゴ型肥満体型で体脂肪率が高かったり、血液検査で脂質が多めと出たりする場合は、内臓脂肪がたまっている恐れがあります。実際に内臓に脂肪がたまっているかどうかは、病院のCTスキャンで腹部断面像を撮影し、調べることができます。CTスキャンと聞くと大袈裟に感じてしまうかもしれませんが、動脈硬化で倒れてからでは遅すぎるので、早めに診てもらいましょう。 公開日:2014年8月4日
一昔前より確実に肥満化している日本人。実は見た目は痩せているのに体の内部は中性脂肪やコレステロールが増加している「隠れ肥満」や「血液太り」が増加しています。症状がでにくく無自覚に進行するため、放っておくと動脈硬化につながってしまうことも。 目次 日本人は確実に「肥満」化してる? 中性脂肪がどこに溜まるか?2パターンの「かくれ肥満」 血液が「太って」いると、なぜだめなの? 無自覚に進行する「隠れ肥満」 血液太りをそのままにすると動脈硬化に 日本人は確実に「肥満」化してる? ひと昔前の日本人は、もっと「しまった」体をしていた人が多かったのですが、最近の日本人の体脂肪は増えてきています。「見た目」からして肥満の人と同時に、本人も気づかない「かくれ肥満」が増加しています。脂肪細胞の中だけでなく、血液中の脂肪が多くなっているようです。健康のことを考えると、こうした脂肪の増え方は、かなり危険。グラフのように、すべての年代で増えているが、特に若い層が心配されます。 中性脂肪がどこにたまるか?2パターンの「かくれ肥満」 脂肪細胞では…皮下脂肪より内臓脂肪として中性脂肪がたまってしまっている 血液の中では…血中脂肪として中性脂肪・コレステロールが多く溶けてたまっている 血液が「太って」いると、なぜだめなの? パンツやスカートがきつくなったり、顔がふっくらしてこないと、人はなかなか「やせなくちゃ!」と思いません。しかし、血中脂肪は単なるスタイルの問題ではありません。命にかかわり、生活の質も下げてしまいます。若くして糖尿病や高血圧などの生活習慣病におちいるのも、こうした「かくれ肥満」などが原因となっているようです。 無自覚に進行する「隠れ肥満」 血液の中に脂肪が増えていても、「かくれ肥満」の場合、なかなか自分では気がつけません。自覚症状がないからです。また、検査などで分かった場合でも、見かけからして肥満でない場合は、特に対策をとらないでいることも多いようです。 血液太りをそのままにすると動脈硬化に 無自覚に進んだ血液太りが続くと、たまった脂肪は血管を狭くして、動脈硬化を引き起こします。そのため、心筋梗塞、心不全、狭心症、不整脈、脳血管疾患、クモ膜下出血、高脂血症、高血圧におちいりやすくなります。 また糖尿病、腎臓病、肝臓病、胆症、痛風などの生活習慣病の発病にもつながります。がんなどとの関係も考えられています。
余分な体脂肪を減らすのに、一番大切なことは何か?食事?運動?確かに大きな決め手は、その2つだが、ただそれをやれば良いなんて単純なものではない。もっと根深いものなので、みんななかなか成功しないのだ。 目次 「肥満」は最も治療が難しい病気と心得よう! 食事の心得 体脂肪を減らすことは食の「意識改革」! 運動の心得 基礎代謝を作り変えよう! 体脂肪減らし大作戦! 「肥満」は最も治療が難しい病気と心得よう! 食事の心得 体脂肪を減らすことは食の「意識改革」! 食事は、一番基本で、だからこそ無意識の生活習慣である。さらに言ってしまえば「文化」である。なぜ「太る」?で述べた通り、これを変えるのは至難の技。しかし逆に成功した人というのは、今までその人が背負ってきた 食習慣・食文化 を、意識して変えてみせた偉大な改革者なのだ。 体脂肪を減らすために食習慣を変えるのは、とても難しい。だから、多少の失敗は当たり前。そのつもりで、あきらめずに何度でもチャレンジしよう! 運動の心得 基礎代謝を作り変えよう! 体脂肪を減らすための運動というとすぐに「何分走ると、何カロリー消費する」という話になってしまう。しかし残念ながら、かなり激しい・長時間の運動でもない限り、運動しても大したエネルギー消費にはならない。毎日の生活で、私たちが一番エネルギーを使っているのは、むしろ「何もしていない」ときの状態。運動していないときにも体は、呼吸したり、体温を保ったり、心臓を動かしたりなどの 基礎代謝 をしている。これに使われるエネルギー量が増えないと、体脂肪はなかなか減らない。運動で、深く呼吸することや、血の流れが良い状態を体に何度も体験させ、覚えさせる。そうすることで、体の中の基礎代謝が活発になるのだ。 また筋肉がつくようになると、基礎代謝量はさらに増えていく。体脂肪減らしにおすすめの有酸素運動は、ただ脂肪を減らすことを考えるのではなく、自分の体を改造するつもりで、気長に取り組もう! 体脂肪減らし大作戦! まずは動機を確認しよう! 上にも書いたように、食事、運動を変えるのはなかなか難しい。しかも、それを続けていかないといけないのだからなおさらだ。特にストレスからくる肥満の場合、食事を解消していたストレスを、別の方法で処理しなくてはならないので、かなりキツイはず。そこで継続させるコツとして、「頑張ってみよう」と思ったとき、 自分なりの目的を「頭の中」でハッキリ明確にしておくことをおすすめする。メモなどにしておいても良い。すると、頑張りが続きやすい。また仮に失敗しても、早く次のチャレンジへと立ち直りやすい。 その先にどんな良いことがあるのか、不明確と感じるなら以下を参考にしてみよう。 身体活動を活発にして健康づくり やることを選んで決めよう! 食事・運動ともに変えていくのが理想だが、体脂肪を減らすのは一大事業!始めから無理をすると、挫折が近くなる。まず小さなことから始め、それが1週間、2週間と続いたら、自分を最大限にほめよう!なんなら人にも自慢しちゃおう!1~2週間程度では、基礎代謝と食習慣の変化を望むのはまだ難しい。おそらく、体脂肪計には、数値としてはまだあらわれないだろう。しかし、サナギはいつか必ず蝶になる!以下に挙げたページを参考に、まず自分にできそうな方法を選んで、実行してみよう! 食事コースはこちら! コレステロールが高い人はたんぱく質をとらない方がいい? 高脂血症を防ぐ簡単メニュー作り ちょっと待て、その食べ方が「デブ」の素! 中性脂肪を増やす食べ物・減らす食べ物 中性脂肪を減らす食生活 【基礎知識編】 中性脂肪を減らす食生活 【実践献立編】 1日2000kcalのメニュー 運動編コースはこちら! 食生活だけで脂肪は減らない 脂肪を落とすための速歩の仕方 中性脂肪をきれいに落とす運動のコツ 記録をつけよう! 体脂肪を減らすのは長期戦。そのために以下の記録のどれかを、最低ひとつはつけてみよう!自分が毎日無意識にしていることも、実際に「記録」にしてみると、客観視しやすい。一見面倒だが、これをつけているのといないのとでは、成果が確実に違う。 ●その1:1日に食べた物すべての記録 いつ、何を、どのくらい、どこで、何をしながら、どんな気分で食べたのか、記録をつける。 ●その2:1日に運動した記録 手軽なのが歩数計。歩く以外に運動した日は、そのこともメモ書きしておく。 ●その3:体重・体脂肪率の記録 必ず、毎日同じ時間に体脂肪率を記録。日によって計測値が違うこともあるので一喜一憂しないように。ただし「おっ!?今日はちょっと減ってるぞ」と思えた日は、何か思いあたること(食事・運動など)があればメモしておき、それも長い目で見てみる。 同士・協力者をつのろう! 肥満は理解されにくい病気だ。痛くも苦しくもないため、同情もされないし、動脈硬化や糖尿病でも併発してない限り、逆に「健康的で良いじゃない」などと無神経なことを言われたりもする。しかし特にストレスなどで体脂肪が増えている場合、そうした周りの理解がない状態で孤独に戦おうと思っても、さらにストレスがたまり、食べ過ぎる・飲み過ぎる可能性が高い。できるだけ身近な人に、体脂肪を減らすことの大変さ、大切さを理解してもらう努力をする。まずはそこから始めてみよう!協力者がいてこそ、食習慣も基礎代謝も変えられるというものだ。
本当の自分を知るのはちょっと怖いですね。でも、肥満は外見だけでは判断できないもの。放置すると肥満症やさまざまな合併症を引き起こす危険もあります。自分のBMIを判定したり、キャリパー法、水中体重法、インピーダンス法などで体脂肪率を測定してみることも重要です。 目次 ちょっとコワイけど…肥満度を測ってみよう! BMI(ボディ・マス・インデックス)って? 体脂肪率って? 体脂肪率の測定法 ちょっとコワイけど…肥満度を測ってみよう! 自分が肥満かどうかは気になるところですよね。自分の肥満度を知るために、まずは現在、肥満度を測るのによく使われる「BMI」と「体脂肪率」の違いと測り方を見てみましょう。 BMIチェック BMI(ボディ・マス・インデックス)って? BMIとは、標準の体格指数のことです。1980年代以降、肥満度の指標として国際的に用いられてきました。身長に対して、どのくらいの体重ならば標準なのか?を知る目安でもあります。 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI (例)60(kg)÷1.65(m)÷1.65(m)=約22 日本肥満学会では、標準のBMIを22としています。 逆に、身長から標準の体重を求めたい場合は… 身長(m)×身長(m)×22=平均の標準体重(kg) (例)1.65(m)×1.65(m)×22=約60(kg) しかしこれは手軽ではありますが、あくまで「見かけ」しか分かりません。問題は「中身」です。同じ身長・体重でも、脂肪が多いのか、筋肉が多いのかで「中身」はぜんぜん違ってきます。仮にBMIで問題なくても、自分の普段の生活を振り返って、食べ過ぎや運動不足が思い当たる人は、体脂肪率もチェックすることが大切です。 体脂肪率って? BMIが体重と身長の比率・指標になるのに対し、体脂肪率は、体の何%が脂肪なのかという「中身」を知るもの。「見た目」で分かる皮下脂肪だけでなく、内臓についた脂肪や、血中の脂肪をトータルして知るためのものです。つまり「かくれ肥満」も見つけることができます。そもそも「肥満」とは、体の中の脂肪の割合が、健康に心配が出るほどに増えた状態のことなので、体重よりも、こうした体脂肪率の方がより正確な判断の基準となるのです。 体脂肪率は、かなり一般的に知られる基準となってきましたが、具体的にはどうやって測るものなのでしょうか。実は測るのが、かなり難しいもので、今までに水中体重法、空気置換法、ガス希釈法、アイソトープ希釈法、二重X線法(DEXA法)、カリウム法、インピーダンス法、TOBEC法、キャリパー法、超音波法、近赤外線分光法、CT法、MRI法など、いろいろな方法が開発されています。その中の代表的なものは次の通りです。 体脂肪率の測定法 皮脂厚計(キャリパー)法 キャリパーという機器で、二の腕の後ろ側や、肩甲骨の下あたりの皮膚をつまみ、その部分の皮下脂肪の厚さを測定します。その部分は、全身の体脂肪との関係が深いと言われていますので、そこから体脂肪率を算出します。この方法は簡単な上、安価ですが、正しく測定するのはかなり難しいため、技術が必要で、測る人によって値が異なりやすいようです。 水中体重法 油は水に浮きます。その原理を利用したのが、「水中体重計」です。つまり体脂肪の少ない人の方が浮きにくく、体脂肪の多い人は浮きやすい性質を応用するものです。測定する人を水槽に沈めて測るこの方法は、より正確な測定法として、大学や研究機関などで使われています。しかしやはり、これは専門家向けの方法で、誰もが日常的に測れるというものではありません。 インピーダンス法 現在、家庭用として広く使われているのが、この「インピーダンス法」を用いた体脂肪計です。体の中の電気抵抗を利用した方法です。 完璧ではありませんが、測り方をキチンとすれば、かなり正確な数値を求めることができるといわれています。何より良いのは、家庭で毎日、手軽に測れるということ。というのも、体脂肪率は1回測ったらおしまいというものではなく、長い目でその増減を見ていくことが肝心だからです。ただし、メーカーによって測定方法が異なるほか、同じ計器を用いても計測する時間、飲食の前後、健康状態などによっても大きく変化する場合がありますので注意が必要です。 体脂肪計が身近にない場合、まず下にあげたページで、自分の生活の「脂肪がたまりそう度」をチェックしてみましょう。このチェックで、かなり心配される場合は、定期的に体脂肪率を測りながら改善するようにしていくとよいでしょう。 あなたも本当は肥満かも?自分の肥満度を知ろう!(体脂肪計編) ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
太っている、やせている、その目安として考える最もポピュラーな数値は「体重」。しかし本当の肥満度は、体重に占める脂肪の割合、つまり体脂肪率で決まるのである。その微妙な関係を探ってみよう。 目次 体重と体脂肪、どこが違うの? 体脂肪はどうやって計る? 体脂肪は何のためにつく? 体脂肪がつきやすい体質は? 体重と体脂肪、どこが違うの? 体重が純粋な体の「重さ」であるのに対し、体脂肪率とは体重に占める「脂肪の割合」のこと。 人間の体は主に水分と筋肉と脂肪でできており、脂肪は生きていくためにある程度は必要。しかし、増え過ぎると美容と健康の大敵に。体重は標準でも体脂肪が高ければ「隠れ肥満」になってしまうのだ。 また「BMI」(ボディ・マス・インデックス)という数値もある。これは体重と身長がどのような関係にあるかを示す数値で、 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m) という公式で求められる。BMI値は、心臓病、高血圧、糖尿病といった生活習慣病やある種のガンなどに対するその人の危険率(リスク)を決定するかなり正確な指標であることがわかっている。理想的なBMIは19.8~24.2の間。興味のある人はチェックしてみよう。 BMIチェックはこちら 体脂肪はどうやって計る? 自分で簡単に測定するには市販の体脂肪計を利用するのが一番。たいていの商品は体に軽い電流を流して体内水分量により体脂肪率を計るもの。測定する時間は、水分量が安定している、夜の入浴後しばらくたった、寝る前がベストだ。 体脂肪は何のためにつく? 体のために蓄えられた、エネルギーの源となるのが体脂肪。生活のための活力源、体の保温、内臓を保護して正常な位置に保つなど、大切な役割がある。健康を維持するためにはある程度は必要なものなのである。 体脂肪がつきやすい体質は? 体脂肪を蓄える「脂肪細胞」の数が急増する時期、つまり胎児の時期、1歳頃、思春期の初期に太っていた人は太りやすい体質といえるかも。脂肪細胞は、その後の体重の減少にかかわらずほとんどなくならないので、この時期に太っていた人は脂肪細胞の数が多く、いつでも体脂肪を蓄えられる状況にあるというわけ。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
あなたの体脂肪率の危険度はどのくらい?危険度の高かったあなたには、体脂肪を減らすために「食事・運動・生活」におけるポイントを紹介。 目次 体脂肪 危険度チェック! 体脂肪はどうやって減らす? 体脂肪 危険度チェック! 次の20項目のうち10項目以上あてはまる人は、体脂肪率が標準より高い可能性アリ。生活を見直して、気を付けよう! 振り返ってみると、最近ほとんど運動らしい運動をしていない 食べるのが早く、あまりよく噛んでいない 脂っぽい食事や、濃い目の味付けのものが好きである そんなに食べていないつもりなのに、太りがち 軽くジャンプすると、あごや二の腕、お腹の肉がプルプル揺れる 運動した後はお腹が空いて、つい食べ過ぎてしまう 1日でトータルしても、多分1時間も歩いていないと思う 横向きに寝ると、お腹や胸の肉が床の方に垂れ下がる 食事制限だけのダイエットをして挫折したことがある 疲れやすく、階段の昇り降りでもかなり息が切れてしまう スナック菓子が好きで、口寂しい時にはつい食べてしまう 一度にたくさん食べる時と、少ししか食べない時がある 体重は変わらないが、ズボン・スカートのウエストがきつくなってきた 湯ぶねに浸からず、入浴はシャワーで済ませてしまうことが多い 一度やせたのに、リバウンドでまた太ってしまった経験がある 空腹でなくても、目の前に食べ物かあるとつい口に入れてしまう 夕食は酒を飲みながらつまみを食べて終わり、ということが多い 食事と食事の間隔が開いてしまいがち、または食事時間が不規則 お腹が空いていると眠れないので、ついつまみ食いをしてしまう 両足を伸ばして座り、ひざの上の脂肪をつまむと2cm以上ある 体脂肪はどうやって減らす? 食事 食事の量を極端に減らすと、体は入ってきた栄養をできるだけ蓄えようとするので、体脂肪は逆に増えてしまうことに。食事の間隔が開き過ぎるのも同じこと。量を減らすことよりも、質の高いものを1日3食、少量でも決まった時間に食べることが重要。なかでもビタミンやミネラル、たんぱく質は、体調を整えて体脂肪を燃やすためにも必要な栄養素。十分に摂るようにしよう。 運動 体脂肪を燃やすためには、酸素を体に取り込みながら行う有酸素運動が効果的。つまり、水泳、ウォーキング、エアロビクスなどが二重丸。有酸素運動は、ある程度まとまった時間続けて行うことが重要ポイントだ。また、筋肉は体脂肪を燃やす最大の組織。筋肉をつけることで基礎代謝量を上げ、運動をしなくても食べたものを消費しやすくなる。筋肉のある体作りを目指すことも大切なのだ。 生活 有酸素運動は、一度に20分以上、毎日続けて行うのが理想的。ただ、毎日の生活の中でも工夫次第でカロリー消費量は増やせるもの。エレベーターを使わずに階段、帰り道は一駅分歩くなどの工夫はもちろんだが、日常生活をキビキビと行うだけでも消費カロリーは増えて効果はある。身近なところから見直してみよう。 ■関連記事 体重2~3kg減で生活習慣病のリスクが改善!知っておきたい「肥満症」とは? 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう!
体脂肪って、何? 肥満についての誤解で一番多いのが「体重が多い」ということです。しかし、肥満は、正確には「体重に占める脂肪の割合が多い」ことを指します。 ですから、ボディビルダーのように体重が多くても筋肉で重い場合は、必ずしも肥満とは言えません。 体重を構成するものは、体脂肪と、筋肉・骨・内臓の重量の総和である除脂肪に分けられます。減量とは、除脂肪の中の殊に筋肉量を落とすことなく体脂肪を落とすことなのです。 それでは、体脂肪はどうやったら落とせるでしょうか? 望ましい減量は運動と食事で 食事制限だけによる減量では、体脂肪は落ちるのですが同時に筋肉量も減少してしまいます。しかも、体脂肪の減少は、体重の減少に比して少ないのです。 これに対して、食事制限に運動を加えた減量では、筋肉の減少を防いだり、逆に筋肉量を増やすことができます。ですから運動を加えた減量は、体重の減り方は少ないのですが、体脂肪が落ちているため、わずかな体重減でも引き締まった体になります。