「塩分の摂りすぎは、血圧に注意」といわれますが、それだけではなく動脈硬化、糖尿病、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など、さまざまな病気に関わっています。そこで、簡単に塩分の摂取状況を把握できる塩分チェックシート(作成:製鉄記念八幡病院)をご紹介します。自分がどれくらいの食塩を摂取しているのかチェックしましょう。 目次 塩分チェック点数14点以上は要注意 病気を悪化させない1日の塩分摂取の目標は6g未満 塩分チェック点数14点以上は要注意 塩分の摂りすぎは高血圧の発症や悪化に関わりますが、高血圧により動脈硬化や糖尿病も悪化しますし、動脈硬化や糖尿病は脳梗塞、心筋梗塞などの原因になります。また、塩分の摂りすぎは胃がんや骨粗鬆症、尿路結石などのリスクになるとの指摘もあります。 そこで、福岡県北九州市の製鉄記念八幡病院では、「あなたの塩分チェックシート」(表1)を作成して、患者さんに塩分チェックをしてもらい、点数をもとに栄養指導をしています。 塩分チェックの結果、35点満点のうち合計点数が14点以上だと塩分の摂取量は多めと考えられますので、減塩の工夫が必要になります。 表1:あなたの塩分チェックシート 参考文献:血圧 2013;20:1239-1243 Hypertens Res 2016;39:879-885 出典:「あなたの塩分チェックシート」(社会医療法人 製鉄記念八幡病院提供) 病気を悪化させない1日の塩分摂取の目標は6g未満 生活習慣病を持っている人は病気を悪化させないために、1日の塩分は6g未満に抑えるようにと言われます。 食事には、どのくらい塩分が含まれているのでしょうか。「あなたの塩分チェックシート」には、ふだん食べているものに含まれている塩分量が紹介されています。 参考文献:血圧 2013;20:1239-1243 Hypertens Res 2016;39:879-885 出典:「あなたの塩分チェックシート」(社会医療法人 製鉄記念八幡病院提供) 塩分チェックシートは、簡単に評価できるものです。医療機関では、塩分が多い食品を控えることや食習慣の改善など栄養指導の参考に用いられています。 塩分チェック点数が高く、健康診断で生活習慣病に関わる血圧や脂質、血糖値、腎機能などが要注意の人は、食生活を見直して減塩を工夫することを考えましょう。 公開日:2019/04/3 監修:社会医療法人製鉄記念八幡病院
飲むと元気になる?勝負のときはエナジードリンク!?ブームとなったエナジードリンクですが、いったいどんな成分が入っているのでしょうか。飲み続けていても大丈夫なのでしょうか。いまさら聞けないエナジードリンクの秘密に迫ります。 目次 エナジードリンクの人気の秘密は、カフェインの目をさます作用や炭酸の爽快感など 栄養ドリンクは「指定医薬部外品」、エナジードリンクは「清涼飲料水」 カフェインの摂りすぎにくれぐれも注意!最悪の場合、命にかかわることも… エナジードリンクの人気の秘密は、カフェインの目をさます作用や炭酸の爽快感など 日々の暮らしでたびたびやって来る、くたくたに疲れる場面や、ここぞという踏ん張りどころ。そんなときに手を伸ばす定番の飲み物といえば、かつては栄養ドリンクでした。それに代わるものとして若い人を中心に人気なのが、エナジードリンクです。はっきりとした定義はありませんが、カフェイン、アルギニン、ビタミンなどの成分が入った炭酸飲料が、一般的にエナジードリンクと呼ばれています。 日本でエナジードリンクのブームに火がついたのは、海外の人気商品が販売され始めた2005年以降のこと。飲食店やコンビニなどでよくみかけるようになり、認知度とともに人気は右肩上がりになりました。ノンシュガータイプや女性向けのものなど、多様なニーズに合わせて商品のバリエーションは広がっています。目をさまし、集中力を高める作用のあるカフェインの量や、高麗人参、ガラナなど疲労回復が期待される独自の成分の有無で商品を選ぶ人も多いようです。 栄養ドリンクは「指定医薬部外品」、エナジードリンクは「清涼飲料水」 栄養ドリンクとエナジードリンクは似ているようで、実際には明確な違いがあります。それは、栄養ドリンクが「指定医薬部外品」に分類されるのに対して、エナジードリンクは「清涼飲料水」であるということ。この両者の違いが、含まれる成分や表示に影響を与えています。 栄養ドリンクとエナジードリンクの違い 栄養ドリンク エナジードリンク 分類 指定医薬部外品 人の体への作用が、医薬品よりもおだやかなのが医薬部外品です。その中でも特に、以前は医薬品として用いられていた成分を含むものが指定医薬部外品です。 清涼飲料水 いわゆるソフトドリンクのことで、ミネラルウォーター、お茶、コーヒー飲料、果汁入りジュース、炭酸飲料などがすべて該当します。 成分 指定医薬部外品である栄養ドリンクは、「タウリン」という成分を含有させることが法律で認められています。多くの栄養ドリンクには、このタウリンが含まれています。 海外のエナジードリンクにはタウリンが含まれているものがありますが、日本では海外と同一ブランドの商品であっても、清涼飲料水であるエナジードリンクに使用することが法律で認められていません。そのため、日本の多くの商品では、タウリンの代わりにアルギニンというアミノ酸の一種が用いられています。 表示 指定医薬部外品である栄養ドリンクは、「滋養強壮」「栄養補給」などの表示をすることが、法律で認められています。 清涼飲料水であるエナジードリンクのパッケージでは栄養ドリンクのように、「滋養強壮」「栄養補給」などの表示をすることが法律で認められていません。たとえエナジードリンクを飲んで「元気になった」と感じる人がいても、商品の表示として「疲れに効く」「効果・効能がある」とは言い表せません。 カフェインの摂りすぎにくれぐれも注意!最悪の場合、命にかかわることも… 清涼飲料水であるエナジードリンクに、医薬品のような副作用が現れる危険性はありません。ただし、飲みすぎてカフェインを過剰に摂取すると、次のような症状などが引き起こされることがあり、最悪の場合はカフェイン中毒となって命にかかわります。 カフェインの過剰摂取で起きる恐れのある症状 ・不眠 ・頭痛 ・イライラ感 ・脱水症状 ・緊張感 …など 健康に悪い影響を及ぼさない1日あたりのカフェイン許容量は、健康な成人で400mgまで(内閣府食品安全委員会のファクトシートより)。このカフェインの量を、全国展開しているカフェのコーヒーで表すと、もっとも量の少ないショートサイズ3杯分です(1杯237mlあたりカフェイン約135mg)。妊婦や子供のほか、健康な成人であってもカフェインに弱い体質の方は、これより少ない量でも影響が出る恐れがあります。商品によって異なりますが、主なエナジードリンクのカフェイン量は1本あたり50~150mgほど。コーヒーや緑茶などの飲み物やカフェイン錠なども利用する場合は特に、カフェインの過剰摂取にならないよう注意が必要です。 血糖値が高めの方やダイエット中の方は、ジュースなどと同様、エナジードリンクによる糖質の摂りすぎにも気をつけましょう。パッケージに表示されている炭水化物は糖質とみなせるので、「100mlあたりの炭水化物10g」と書かれた1本250mlのエナジードリンクを飲めば、25gの糖質を摂ることになります。これは、角砂糖を6個かじっているのと同じことなのです(角砂糖1個を4gと想定)。「糖質は気になるけれど、エナジードリンクは飲みたい」という方は、飲む量を少なくするか、糖質ゼロと書かれているタイプを選ぶと良いでしょう。 エナジードリンクは好きな人にとって、元気をチャージしてくれて、生活に刺激を与えてくれる頼もしい存在です。栄養ドリンクとの違いを理解したうえで適度な量を守り、上手にエナジードリンクと付き合っていきましょう。 公開日:2016/01/18
人気の糖質制限ダイエットは、何もストイックに糖質を制限する必要はありません。外食をしてもおやつを食べても大丈夫。最初は少しずつ減らしていき、足りない分を他の食材で補うのがベスト。焦らず無理せず頑張りすぎずを心がけ、長続きするコツを伝授します。 目次 糖質制限は、焦らず・無理せず・頑張りすぎず 外食は糖質を抑えるのが難しくて当然!できる範囲内の工夫でOK 糖質への欲求が、あわや爆発寸前!そんなときは低糖質食品を 糖質制限は、焦らず・無理せず・頑張りすぎず 長年の実績を誇り、厳密な計算で管理できるカロリー制限と並び、近年人気の糖質制限ダイエット。「炭水化物など糖質の多い食品を控え、足りないエネルギーや栄養は、代わりに肉・魚・野菜・大豆製品などで補う」というのが、その基本的な考え方です。厳密なカロリー計算を必要とせず、肉やバターなど高カロリー・高脂質な食品を我慢しなくて良いという点などが、人気の理由だと考えられます。 糖質制限ダイエットを始めると、三食すべてにおいて、ストイックに糖質を制限しようとする方がいますが、頑張りすぎると息切れして長続きしません。「今までよりもちょっと糖質を減らす」という程度の意識で、焦らずに長く続けることを目指しましょう。 外食は糖質を抑えるのが難しくて当然!できる範囲内の工夫でOK 外食の際に、糖質制限がうまくいかずに悩む方は多いでしょう。しかし、外食が糖質を抑えにくいのは、ごく当たり前のこと。糖質に配慮した専用のメニューを用意している飲食店もありますが、その数はまだ少なく、多くの方は頻繁には利用できません。以下にご紹介する注文方法のほかに、昼が外食なら朝晩でカバーするなど、できる範囲内の工夫で糖質を抑えましょう。 ●洋食 パンやパスタ、ピザなどの炭水化物さえ避ければ、洋食は糖質制限しやすいと言えます。ビュッフェ(バイキング)やファミリーレストランはメニューが豊富で、糖質の少ないものだけを選べるので、積極的に利用すると良いでしょう。付け合せのサラダに、糖質の多いニンジンやジャガイモ、トウモロコシなどが含まれていた場合は残します。 ●中華 炒め物は、野菜はもちろん牛肉・豚肉・鶏肉のどれを食べても問題ありません。マヨネーズは一般的に太るイメージがあるかもしれませんが、糖質は少ないので、エビのマヨネーズ炒めのようなメニューも食べられます。ご飯や麺類のほか、点心(ギョーザやシューマイなど)や甘酢あんかけなども、食べすぎないよう気をつけます。 ●ファストフード ハンバーガーなどパンがメインの店では、サイドメニューのサラダと、フライドチキンやチキンナゲットなどを組み合わせます。牛丼などご飯がメインの店では、サラダとともに、サイドメニューになっているご飯の上に載せる具(牛丼の牛肉、天丼の天ぷらなど)を注文します。卵や納豆、冷奴などを食べても問題ありません。 なお、ファストフード店の中には「パン抜き」「ご飯抜き」などの注文に応じてもらえるところもあります。サイドメニューだけで糖質を制限するのが難しいと感じた場合は、よく利用する店で可能かどうか、確認しましょう。ただし、パンやご飯を抜いても価格が変わらないこともあるので、あわせて確認が必要です。 必然的にご飯や麺類がメニューに含まれる定食屋やラーメン屋で、ほかに注文の選択肢がない場合は、ご飯や麺類に手をつけないか、食べる量を減らします。ただし、ご飯や麺類を食べないことで不足するエネルギーや栄養は、ほかの時間帯の食事で肉・魚・野菜・大豆製品などによって補う必要があります。糖質制限ダイエットは、炭水化物を抜くだけのダイエットではないことを忘れないようにしましょう。 糖質への欲求が、あわや爆発寸前!そんなときは低糖質食品を 食べたいものや飲みたいものがあるときは、低糖質食品の力を借りましょう。我慢も工夫もいらず、とても手軽なので、食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。 ●パン 小麦粉を材料として使わないことで、糖質を抑えたものが販売されています。小麦粉の代わりに使われているのは、小麦の皮部や胚芽(小麦粉にならない部分)を用いたブラン(ふすま)や、大豆粉などです。これらは糖質が少ないのに加えて、普通のものより食物繊維が豊富だというメリットもあります。 ●麺類 ラーメン、そば、うどん、パスタなどの麺類を食べたいときは、小麦粉の代わりに食物繊維や大豆粉で作られた、低糖質食品としての生麺や冷凍麺を利用して、自宅で調理しましょう。ラーメンなら醤油味やとんこつ味、パスタならカルボナーラやトマトソースなど、味の種類が選べるのもうれしいポイントです。これらの麺ほどではありませんが、全粒粉パスタも、通常の小麦粉のものと比べれば、糖質を抑えられます。 ●お酒 焼酎やウイスキーなどの蒸留酒では我慢できず、どうしてもビールなどの醸造酒や甘いお酒が飲みたい方は、「糖質ゼロ」「糖質オフ」「糖質カット」という表示がされたものを選びましょう。酒屋やコンビニ、スーパーマーケットには、発泡酒・ビール風アルコール飲料をはじめ、日本酒、果実酒、サワーなど、多くの種類が並んでいるので、お好みのものを選べます。なお、「糖質ゼロ」というのは表示上の表現であり、実際には微量の糖質が含まれていることがあります。 ●スイーツ・お菓子 糖質をカットしたアイスクリームやクッキー、ケーキなどを試してみましょう。砂糖の代わりに甘味料を使って味が調整されているので、おいしさと十分な甘みを感じられます。特に、糖質制限ダイエットでは制限されない脂質が豊富なアイスクリームなどは、普通のものと変わらない味わいだと感じやすいようです。チョコレートは、砂糖が少なくカカオの含有量が高いものを選ぶという手もありますが、甘みが満足できなければ、甘味料を使った低糖質チョコレートを選びましょう。 我慢しすぎる必要がないとはいえ、分量には注意が必要です。たとえば、糖質50%オフの発泡酒を2缶飲めば、それは普通のものを1缶飲んだときと糖質量は同じ。糖質制限に限らず、食べすぎ・飲みすぎが体に良いはずはないので、適量を心がけましょう。 糖質を抑えたお酒は店舗でよく見かけますが、そのほかの低糖質食品は手に入りにくいことがあります。その場合はインターネット販売を利用して、上手に糖質を制限した食生活を送りましょう。 公開日:2015/11/30
食生活の乱れが引き起こすさまざまな病気が問題となるなかで、食生活を見直して体の中から健康になりたいという人に注目されているのが「マクロビオティック」です。マクロビオティックでは、動物性の食材を使わない、玄米菜食が基本。マクロビオティックの基本と長続きのコツを紹介します。 目次 飽食が招く健康被害 マクロビオティックで食生活を変えよう ヘルシー&おいしいマクロビ実践法 飽食が招く健康被害 現代人の生活は、その中心が「仕事」になっている人が多く、朝晩逆転の生活を送る人もいます。 いつでも、どこかで、だれかが働いているという社会にすっかり慣れてしまいました。それを支えているもののひとつが、24時間営業のコンビニや居酒屋でしょう。今や食べたいものは、いつどこにいても手に入れることができます。 しかし、それに伴って食生活には大きな乱れが生じています。とくにコンビニのお弁当やお酒のつまみなどを食事代わりにしている人の場合、脂肪、糖分などの栄養素は過剰になり、ビタミンやミネラルなどは不足していると言われています。過不足の差がどんどん開いている「栄養過多、栄養失調」の状態にあるのです。 マクロビオティックで食生活を変えよう そんな食生活の乱れが引き起こすさまざまな病気が問題となるなかで、ここ数年注目を集めつづけているのが「マクロビオティック」です。これは穀物を中心に、旬の野菜や豆類、海藻などを食べる日本の伝統食のことで、その食材の持つパワーをまるごと摂り入れるという食養生の考え方のひとつです。しかしその昔、この食事法は、日本人にとってごく当たり前のものであり、生活の一部であったため、あえてブームとして取り上げられることはありませんでした。 マクロビオティックの語源とは? マクロビオティックはもともと日本語で「正食」と言われていた食事法です。 今のように「マクロビオティック」としてアメリカに広めたのは、桜沢如一氏と言われています。その言葉の意味は、古代ギリシャ語で、マクロビオス、「健康による長寿法」「偉大な生命」というところからきているのだとか。 またマクロは「長い」、ビオは「生命」、ティックは「術」という意味。つまり、「長く生きるための術」ということ。この食事法にぴったりの言葉だということで、今では「マクロビオティック」=「健康、自然食による食事法」という意味で広がっていますが、本来の意味は食事だけでなく、長寿法すべてを指している言葉です。 一方、がんや生活習慣病が急増したアメリカでは、1992年にアメリカ農務省がマクロビオティックをベースにした食事指標を発表(フードガイド・ピラミッド)しました。以降改定を続けながら、アメリカ全土で取り入れられるようになり、セレブの間で大流行となります。食の欧米化が進み、生活習慣病が深刻な問題となってきた日本に逆輸入される形で紹介され、人気を呼んでいます。 ヘルシー&おいしいマクロビ実践法 マクロビオティックの基本 ●主食(穀物)、汁物、副菜で構成された、昔ながらの日本の伝統食を食べる。なかでも主食の穀物は玄米が良いとされています。精製したものはなるべく使いません。 ●動物性の食材(肉など)を避け、有機農法や減農薬で栽培された穀物や野菜を中心とした献立にします。 ●調味料は、塩やしょうゆ、味噌なども熟成発酵のものを使います。砂糖を使うときは、黒砂糖を少々だけにします。 こうしたマクロビオティックの基本は、この考え方が確立された時代なら、だれにでも実践可能だったかもしれません。しかし、肉や魚を食べない、砂糖を使わないというのでは、現代人には困難なときもあります。そんなときには、厳密にやろうとし過ぎてストレスになるより、少し柔軟に考えてみます。 マクロビオティックでは、「動物性の食材を使わない」のが基本です。しかし、週に1度は魚を食べてもOKとか、「穀物は玄米」を、たまには雑穀米にするなど、そのときに食べたいものをチョイスするゆるさも必要です。そのときに気をつけたいのが、周りの人が食べているものを基準に自分の食事を選んだり、お腹がいっぱいなのに、それにつきあって食べてしまわないこと。そのとき自分の体が欲する「今、食べたいもの」の声に耳を傾けてみれば、そのときの自分に必要な栄養を体が教えてくれるでしょう。 公開日:2007/10/15
沖縄では昔、ご飯は薬同然だった 日本本土とは気候がまったく異なる沖縄。栽培される野菜には馴染みのないものが多かったり、海にめぐまれている割には魚料理がさほど発達していないなど、面白い特徴をもつ。 沖縄の食文化は、地理的に近い鹿児島県の薩摩料理や台湾料理の影響も強く、歴史上においてさまざまな国の統治下にあったことから多様化したと考えられている。 とくに琉球王国時代には、交易のあった中国や東南アジア、朝鮮などの影響を大きく受けた。なかでも中国からは「医食同源」の思想をとりいれ、沖縄の方言でも「クスイムシ」(薬になる健康のためのご飯)と呼び、長寿県としてのポジションを確立したと言われる。 魅力的な食材が豊富 ●色とりどりの魚 沖縄を訪れたことのある人は、まな板の上でさばかれる青・黄など色とりどりの魚を見て驚いたことがあるかもしれない。沖縄で有名な魚はグルクン(タカサゴ)、イラブチャー(ブダイ)、ミーバイ(ハタ)など。高温多湿な気候から保存に適さず、あまり調理法も発達していないのが現状だ。 ●臭さがやみつき?山羊料理 山羊は沖縄ではヒージャーと言い、昔から祝い事の際にふるまわれた特別料理だ。現在でも食堂のメニューにあり、比較的年輩の人は好んで食べるが、臭みが強烈でショウガやフーチバー(よもぎ)を入れないとかなり抵抗がある。体への刺激が強く、失神したり鼻血を出す人もいたりするので注意。 ●大人気!野菜料理 ゴーヤー、パパイヤ、ナーベーラー(へちま)など、ヘルシーで栄養価も高いことから人気が出ている。とくに代表格とも言うべきゴーヤーだが、その特徴でもある苦味は「モモルデシン」というアミノ酸成分で、ほかにもビタミンC、β-カロテン、ビタミンB1、カリウム、リン、鉄分などのミネラルも豊富。まさに夏バテ防止に最適。 ●豆腐料理 固い「島豆腐」や、大豆ではなく落花生を使った「じーまーみー豆腐」などのほか、豆腐を紅麹と泡盛に漬け込んだ「豆腐よう」が有名だ。 ひとくちメモ ・豆腐ようはすごい! 豆腐ようの赤い色の素は、麹菌の一種の紅麹。その紅麹には、ロバスタチン(高脂血症の薬の成分)や GABA が含まれており、その健康効果が注目を浴びている。 医食同源は昔の話? 長寿県として有名となった沖縄。しかしこれは現在の、おもに70歳以上の高齢者の話だ。戦後、アメリカの占領下に入ったと同時にアメリカ式の食生活がいっきに普及し、ファーストフードに見られるような高脂肪・高カロリーの食事が好まれるようになった。しかも蒸し暑い気候のせいで、日常的に散歩やジョギングを心がける人など多くはおらず、2000年には「26ショック」という事態に。これは、それまで全国で首位の常連だった沖縄県民の平均余命が、いっきに26位(男性)にダウンしたのだ。 医食同源はもう過去の栄光?沖縄の例を参考に、日本人みんなで栄養バランスや適切な食生活についていまいちど考えなおしてみよう。 ※「まーさん」とは、沖縄の方言で「おいしい」という意味。 公開日:2007年8月6日
こんなにある「クセになる」味 何度もくり返し食べるうちに、クセになる味があることは、誰でも覚えがあるはず。例えばラーメン。ファストフードのハンバーガーやフライドチキン。カレーライスや牛丼に寿司。マヨネーズが大好きでなんにでもマヨネーズをかけて食べる人は、マヨネーズがクセになっているからだ。 こうして並べると、高カロリー・高脂肪で濃い味付けがクセになる味という印象だが、実はヘルシーな食事のメニューにも、クセになる味がたくさんある。ご飯に味噌汁、漬物、佃煮、うどん。クセになる味だからこそ、多くの人に愛され、毎日食卓に並べられてきたのだ。 クセになる味にはワケがある。私たちの健康に大きな影響を与えるクセになる味。今回は味覚のメカニズムに迫ってみたい。 クセになる味、苦手な味 世の中にはたくさんの味があるけれど、基本の味は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5種類。私たちは、この5つの味の組み合わせや、さらに香りや食感、温度、色、形などから得られるさまざまな情報から、脳で総合的に、「おいしい」「まずい」と判断している。基本の5つの味は、舌や軟口蓋(上あごの奥の柔らかい部分)の表面近くにある味蕾の中の味細胞で受容され、その刺激が味覚神経によって脳に伝えられることで味を感じる。 ほかに、基本の味に入っていないものとして、「渋味」と「辛味」があるが、これは味覚神経を通じて感じるものではない。「渋味」は触覚で、「辛味」は痛覚の一種。トウガラシを体に塗ると「熱い」とか「痛い」と感じるのはそのためだ。 基本5種類の味には、一般的にクセになりやすい味と嫌われやすい味がある。その理由が「クセになる味」の秘密に迫る手がかりとなる。 クセになる味 ●甘味 甘味は味のなかでも最も強い快感を感じさせる。甘味の刺激によって脳内に至福感や陶酔感を引き起こすβ-エンドルフィンなどが出て、食欲を増進させるドーパミンが分泌される。だから「甘いものは別腹」などと言って、つい食べ過ぎてしまうので要注意。長期間にわたり糖分を摂り過ぎると、体の組織のたんぱく質と化学反応を起こし、やがて血管の壁が柔軟性を失ってぼろぼろになる動脈硬化を起こしてしまう。 しかし、甘い味のもととなるブドウ糖は、ご飯やパンなど炭水化物を構成する成分でもあり、体を動かすエネルギー源となる。ブドウ糖が不足すると、人間はホメオスタシス(体内恒常性)を保てなくなり死んでしまう。まったく摂らないのも問題なのだ。 ●うま味 カツオ節に含まれるイノシン酸、昆布のグルタミン酸といったうま味成分はアミノ酸である。アミノ酸は筋肉を作る。肉や魚、トマト、ジャガイモ、白菜、大豆、チーズ、お茶、ノリ、イカ、キノコ類などさまざまな食品に含まれる、体になくてはならない栄養素だ。和食の昆布や鰹節、アジアの魚醤、ヨーロッパの牛や鶏のガラなど、どの民族の料理でも、うま味は味のベース作りに用いられ、食べなれたものをおいしく感じることが確かめられている。味噌汁や魚にも、フライドチキンやポタージュにも含まれている。内臓脂肪が気になる人は、できるだけ和食を食べるように心がけよう。その味がクセになり、脂っこいものが苦手になればダイエットへの近道となる。 ●塩味 味を決めるのは塩加減といわれるが、塩は人間の体になくてはならないものである。塩味の元になる塩化ナトリウムは、私たちの体を構成する数十兆の細胞の周囲を取り囲む細胞外液の主成分。体のホメオスタシスを保つために、自然に欲するようにできている。塩分を摂らなければ人間は死んでしまうからだ。しかし、摂り過ぎると高血圧や、胃壁に損傷を与えて胃がんを誘発する危険がある。外食などの味の濃い料理に慣れていないか、自分の食生活を再点検してみよう。できれば手作りの薄味料理を食べる習慣をつけたい。 苦手な味 ●酸味・苦味 新生児は、酸味や苦味を嫌う。食中毒を起こす腐敗物は酢っぱく未熟な果物も酢っぱい。また、多くの毒物は苦い味をしているので、動物は苦味を避ける。しかし、酸そのものは体に悪くないし、苦いものがすべて毒とは限らない。人間は、長い間の経験で、酢の物や梅干のような酸っぱい料理や、コーヒー・ビールなどの嗜好品やサンマのワタなどといった苦い料理も好む習慣ができた。本能的に避ける味を「おいしい」と思うのは、学習したからだ。苦味や酸味のおいしさを知り、食生活を豊かにするには、家庭の味などを通して学ぶ必要がある。 健康な味覚を作るためのマメ知識 偏食は味覚障害のモト 味の感じ方が鈍くなったり、口の中に何もないのに苦味や渋味を感じるといった、味覚障害。原因はさまざまだが、多いのが亜鉛欠乏症だ。亜鉛は、味覚の受容器である味蕾の味細胞を作るのに必要な微量栄養素。牡蠣・小魚・イカ・タコ・カニ・ホタテ、レバー、ソラマメ、大豆、グリンピース、ナッツ類、パルメザンチーズなどに多く含まれている。 ハンバーガーや牛丼などの単品料理を食べ続けたり、特定の食品だけを摂るダイエットをしていると、栄養バランスを崩すだけでなく、味が分からなくなる危険も秘めているのだ。外食に頼らざるを得ないときでも、上にあげた食品を含むものを積極的に摂ろう。 意外に密接な味と香りの関係 食べ物のニオイは、口に入れる直前に鼻腔に入るものより、口の中に入れてから鼻腔に上がるもののほうがずっと多い。さらに鼻から息を吐き出すときに、再び口中のニオイが鼻腔に到達して感じる。食べ物の味に、ニオイの果たす役割はそれだけ大きい。そのため、風邪などで鼻がつまるとおいしく感じなくなったりするのだ。嗅覚には味覚よりさらに敏感に味を分析する力がある。腐ったものか判断するのも、まず嗅覚なのだ。 「甘味は舌の先端で感じる」は嘘 甘味は舌先で、苦味は舌の奥で感じる「味覚地図」の話を聞いたことがないだろうか。実はこれ、科学的にきちんと実証されたものではない。味蕾は、味を感じる味細胞と基底細胞から成り立っていて、神経につながって味の情報を脳へ伝える。つまり味を判断するのは脳なのだ。脳はまた、これまで食べたものの「おいしさ」「まずさ」の記憶も持っていて、その記憶をもとに今食べた味を判断している。結局のところ、料理を味わい、おいしくものを食べるためには、さまざまな料理を食べて味の経験を積むことも大事なのである。 公開日:2007年1月15日
ダイエット、生活習慣病予防と健康を気にするときに、何かと目の敵にされるのが「肉」。だが、肉は吸収のよい良質なアミノ酸やビタミン類を豊富に含む、栄養豊富な食品だ。そこで今回は肉の持つ栄養効果に大注目!最近、何かと話題になる羊肉、馬肉、鯨肉についても一挙ご紹介しよう。 アミノ酸は心と体のマルチサポート役だ! 肉の持つ栄養素、たんぱく質をギリシア語で言うと、「プロテイン」。「第一」という意味だ。このことからもわかるように、筋肉や内臓の構成要素となるたんぱく質は、生命を維持する上でなくてはならない栄養素である。それだけではない。たんぱく質を構成するアミノ酸には次のような効果がある。 アミノ酸の効果 ●集中力を高める ●精神を安定させる ●シミやシワを防ぐ ●風邪をひきにくくする ●体力を増強する ●二日酔いを防ぐ ●脳のはたらきを向上させる ●記憶力を保つ アミノ酸は神経伝達物質の材料になるばかりでなく、肌の組織を形成し、免疫細胞の材料にもなる。また、疲労物質の発生を抑え、肝機能をもサポートする。まさに心身のマルチサポート役というわけである。もうひとつ注目したいのが、「うつ予防効果」。必須アミノ酸のひとつ、フェニールアラニンは、抑うつ症状を解消し、気分を高揚させるはたらきを持つ。 アミノ酸をとくに多く含んでいるのは、なんといっても動物性たんぱく質だ。したがって、肉の摂取量が極端に少ないと、大切なアミノ酸を摂ることができず、体や心にいろいろな不調が現れる可能性がある。適切な分量を心がけさえすれば、肉は強力にあなたの健康をサポートしてくれるだろう。 3大ミートの栄養効果を知ろう 牛肉…たんぱく質と鉄分の王様 良質なたんぱく質と鉄分がいっぱい。必須アミノ酸も豊富に含まれている。とくに赤身の肉には、吸収されやすいヘム鉄やビタミンB12が多い。亜鉛も多く、貧血や風邪の予防、味覚障害の改善、成長促進が期待できる。 豚肉…ビタミン B を摂るならコレ! ビタミンB1の多さはダントツ。疲労回復、ストレスの緩和、風邪予防に効果がある。さらに悪玉コレステロールを下げるオレイン酸やステアリン酸も多い。体の皮膚や神経を健康に保つナイアシンも豊富だ。 鶏肉…ビタミンAとコラーゲンの宝庫 アミノ酸のバランスがよい。カルシウムの吸収や、皮膚の保水性をアップするコラーゲンもたくさん含まれている。このほか、肌荒れに効果のあるビタミンAも豊富なので、美肌づくりに最適な食品と言えるだろう。 お肉の脂肪が気になる場合は、煮たり蒸したりすれば、余分な脂肪も落とすことができ、ヘルシーに食べることができる。焼く場合には、フライパンや鉄板より、網焼きの方がおすすめだ。 知っておきたい 話題の肉の栄養効果 羊肉(ラム、マトン) ビタミンB12、胃腸病や皮膚炎を防ぐナイアシン、老化の予防やリスクを下げる可能性があるといわれるビタミンEがいっぱい!また、コラーゲンが多く、皮膚や骨、目の老化防止効果が期待できる。がん予防やアレルギー体質、関節痛の改善効果も。脂質の代謝を促進したり悪玉コレステロールの蓄積を防ぐカルニチンも豊富なので、ダイエットや生活習慣病予防にもよい。 馬肉 馬肉は牛肉や豚肉より低カロリーで、健康的な食品だ。また、エネルギー源となるグリコーゲンは牛肉の約3倍。カルシウムも牛肉や豚肉の3倍とされる。ビタミン(A・B12・E) 、ペプチド、リノレン酸も豊富。鉄分も豊富で、貧血予防に効果がある。 鯨肉 低脂肪、低コレステロール、低カロリーの三拍子が揃ったヘルシー食品。血管系の病気やがん予防によいとされるエイコサペンタエン酸(EPA)や、脳のはたらきを活発にするドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸が多いことでも知られ、生活習慣病の予防効果が期待できる。 公開日:2006年12月4日
食育とは? あちこちで目にする「食育」の文字。そもそも食育とはどういう意味なのだろう。さまざまな解釈がされているようだが、簡単に言えば、「食の教育」だ。食育基本法の前文を引用すると、「様々な経験を通じて『食』に関する知識と『食』を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる」こと。つまり、現代社会において、自分や家族の健康な体を作るためには、『食』も学ぶ必要があるということだ。 食育の背景とは? 社会的背景 1. 外食・中食産業の発達 都市はもちろん、たいていの町村では、チェーンから個人経営の店まで外食できる店があって、コンビニ・スーパー、惣菜店、百貨店と中食を扱う店も多い。外食・中食の発達により、好きな食物だけで簡単に食事が済ませられるようになり、栄養バランスの偏りを招く一因となった。 2. 健康ブーム 健康にいいとされる食品に関する情報はあふれている。しかし、栄養や食物に関する総合的な知識がなければ、何をどう摂ればいいのか適切な判断ができない。情報を正しく選択して健康に役立てるために、知識を身につける必要性が高くなっている。 3. 食の安全性 最近注目を浴びている食品添加物問題。BSEへの不安を背景にしたアメリカ産牛肉の輸入問題。そして農薬などによる食品汚染に対する不安。食の安全性を気にする人が増え、適切な判断基準を広く共有することが求められている。 健康面からみる背景 1. 朝食を抜く人の増加 厚生労働省の平成16年「国民健康・栄養調査」では、20代では男性で約3割、女性は約2割が朝食を抜いている。親が朝食を食べない影響か、子どもや幼児の朝食抜きも増え、朝食を出す小中学校も出てきているほどだ。 2. 肥満の増加 文部科学省の「学校保健統計調査」では、子どもの約10人に1人が肥満傾向にある。「国民健康・栄養調査」では、30~60代の男性の約3分の1が肥満だ。 3. メタボリックシンドロームの危険性が増加 「国民健康・栄養調査」では、脂肪からのエネルギー摂取が25%を超えている人が、成人男性の約4割、女性には約5割もいる。そして、日本病院会の予防医学委員会の全国調査では、人間ドック受診者のうち、なんと7割の人が生活習慣病の予備軍だった。子どもの糖尿病や動脈硬化も増加している。 食育が必要な理由 大人から子どもまで、健康状態に問題のある人が増加している。脂肪や炭水化物が多く、野菜の少ない食生活を続ける大人。牛丼やカレーなどの一品ものでランチを済ませたり、居酒屋で揚げ物ばかりを食べ続ければ、体にいいわけがない。野菜嫌いや食欲のない子ども。チョコレートにポテトチップスなどの脂肪や糖分の多いおやつを大量に食べれば、食事はおなかに入らない。どれも「おいしいもの」ばかり。 いまは、偏った食生活の誘惑が多い時代なのだ。外食では、脂肪分の多い食事が中心になりがちだし、おやつや清涼飲料水は脂肪や糖分が多い。おいしいもの、手早く食べられるもの、と流されてしまえば、やがては生活習慣病になってしまう。 誰もが栄養のバランスが取れた食事をすること。そして、町にあふれる食品について、的確に選ぶ知識を身につけること。そのためにも食育は必要なのだ。 食育基本法とは 「食育基本法」は、平成17年7月15日に施行された法律だ。前文に書かれている法律の目的を簡単に紹介しておこう。 一つ目は、子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につける基本として「食」を重視すること。食育そのものはあらゆる世代に必要であるが、子どもたちに対しては、心身の成長と人格の形成に大きな栄養を及ぼすものだからである。 二つ目は、日々の忙しさのなかで食の大切さを忘れがちな大人たちについて。食に関する情報が氾濫する中で、食生活改善、食の安全性の確保のために、自ら食のあり方を学ぶことが求められている。また、地域の食が失われる危機にある。 そういった背景を元に、国民一人ひとりが「食」に関する意識を高め、理解を深めて食に関する適切な判断を行う能力を身につけ、健全な食生活を実践するために、家庭、学校、保育所、地域などを中心に、食育を推進していくことが課題である。そのために食育の基本理念を明らかにして方向性を示し、国や地方公共団体、国民の食育推進に関する取り組みを総合的、計画的に推進するために制定された法律である。 公開日:2006年10月10日
冬の味覚、「牡蠣」。味はもちろんだが、魅力はなんといってもその栄養の豊富さ。別名、「海のミルク」と呼ばれるほどだ。食用としての歴史は古く、日本では多数の殻が貝塚で発見されている。また、「古事記」「延喜式」といった古文書にもたびたび登場。西洋では古代から精力増強効果が注目されており、シーザーがイギリス海峡に侵攻したのは、テムズ河口の良質の牡蠣が目当てだったとか。このように古今東西を問わず、圧倒的な人気を誇ってきた牡蠣。その秘密を一挙ご紹介しよう。 美味しさの秘密 ほおばると口いっぱいに広がる潮の香りと、奥深い旨味。この旨味の秘密は、牡蠣の持つ豊富なグリコーゲンにある。グリコーゲンは単独では無味無臭だが、ほかの味と一緒になるとコクと旨味が出るのだ。 貝類の旨味成分として知られるコハク酸もいっぱい。甘みのあるアミノ酸のグリシンも一役買っている。繊細にして奥深いあの味わいは、これら三つの成分が醸し出すハーモニーなのである。 栄養の秘密 生牡蠣100グラム中には、1日に必要なたんぱく質量の3分の2、カルシウムは3分の1、リンが全量、鉄分、ヨードはなんと4倍含まれる。このほかビタミンB2をはじめ各種ビタミンも豊富。まさに栄養の宝庫だが、実際、江戸時代の食の本「本朝食艦」には「心を涼しくし 肝を混し 脾臓のうつ熱を去り 汗を止め 渇きを止め 腹下しをととのえ 酒毒を欠し 婦人の血気を収める」とある。 カロリーは意外に少なく、1個あたり16kcalほど。5個で卵1個分に相当する。いいことづくめの牡蠣だが、具体的にはどんな健康効果があるのだろうか? 1.お酒を飲む季節に…肝臓を強化する効果 牡蠣には、肝機能を強化するグリコーゲンやタウリン、ビタミンB12がいっぱい。寒い季節には体を温めようとついお酒がすすみがちだが、疲れた肝臓をバックアップするには、まさにもってこいだ。 2.食生活の偏りからくる貧血に…造血作用 女性に多い貧血。食生活の偏りから、慢性的な症状に悩む人も少なくない。牡蠣に含まれる鉄、ビタミンB12、銅、葉酸は、造血に必要な成分として知られている。鉄不足による疲労感にも、効果はおおいに期待できる! 3.風邪をひかない体に…免疫力強化 牡蠣に多い亜鉛は、風邪の予防にはまさに不可欠といえる栄養素。免疫細胞のはたらきを活性化させるばかりではない。粘膜の健康を保つビタミンAを体内にとどめ、喉の痛み・鼻水・鼻づまりなど風邪の症状を緩和する。このほか、男性女性を問わず、生殖機能をアップさせるはたらきもある。 4.多忙からくるイライラに…精神安定効果 カルシウムが不足すると、イライラしやすくなる――こんな話を聞いたことはないだろうか?カルシウムはイライラを抑え神経安定を促す栄養素。 逆にストレスが増えると、体内のカルシウムはどんどん減ってしまう。牡蠣にはきわめて良質なカルシウムが含まれており、ストレス予防にはぴったりの食材といえるだろう。また、牡蠣に多いマグネシウムはカルシウムのはたらきを調整する作用がある。「この頃、気が短くなった」と思ったら、牡蠣を食べてみてはいかがだろうか? 栄養効果を高める食べ合わせ ●レモンと… レモンをかけて生で食べると、香りや有効成分が失われない。ビタミンCを加えれば鉄の吸収率はさらにアップ!ただし、冷え性の人は、生牡蠣を食べるとますます体が冷えてしまうので、食べ過ぎには注意。スープを飲むなど最後に体を温める工夫をしよう。 ●トマトと… 「とにかく疲れやすくて…」という虚弱体質には、トマトと一緒に食べることをおすすめ!活性酸素を取り除くトマトを加えれば、さらなる疲労回復効果が期待できる。 ●ホウレン草と… 牡蠣の貧血防止効果を高めるには、鉄分、葉酸、マンガンなど、造血作用のあるホウレン草と一緒に食べること。 ●ブロッコリーと… アレルギーのある虚弱体質の人は、アルファリノレン酸の多いブロッコリーと食べてみよう。アレルギー症状を抑える効果が期待できる。 新鮮でもあたる可能性がある? 牡蠣の内臓には食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着していることがある。これを十分に加熱しないで食べると感染する危険があるので、注意が必要だ!昔から「花見過ぎたら牡蠣食うな」「Rのついた月には食べるな」などとされるが、危険なのはじつは春から夏にかけてだけではない。冬は牡蠣の活動が鈍るため、海水の排出力が落ち、牡蠣の中にウイルスの粒子が滞る可能性が高くなる。 したがって生で食べてよいのは、きちんと浄化工程を通っている牡蠣のみ。どんなに新鮮でも未処理の加熱用牡蠣は食べないこと。加熱する場合は、85℃の湯で1分間以上がめやすだ。 牡蠣こぼれ話 ●養殖でも遜色なし! 養殖牡蠣は6、7月頃に産卵して浮遊する幼生(牡蠣のこども)を採苗。帆立貝の殻に付着させてワイヤーにつなぎ、養殖いかだに吊り下げる。肥料もエサもやらないので、天然ものとほとんど変わりがない。安心して食べよう。 ●メスは貴重? 日本にはマガキ、ケガキ、イタボガキ、イワガキなど20種類が生息。卵生のものと胎生のものとがある。雌雄同体で、環境や栄養状態が悪いと、メスからオスになってしまう。昔は「オスのみ」と思われていたため「牡蠣」という字があてはめられた。 公開日:2016年10月3日
「胃に悪い」「お肌に悪い」などと、なにかと健康面でネガティブなイメージがつきまとうコーヒー。だが、これらはまったくの誤解!最近の研究で、意外な健康効果が次々に立証されているのだ。ひょっとしてあなたもこんな思い違いをしているのでは? 目次 コーヒーは胃に悪い? コーヒーは便秘になる? コーヒーはお肌が荒れる? コーヒーは肝臓に負担がかかる? コーヒーは子どもに飲ませてはいけない? コーヒーは妊娠中タブー? コーヒーは飲み過ぎるとがんになる? 誤解こぼれ話:アメリカンはお湯で薄めたコーヒー?など コーヒーは胃に悪い? コーヒーに含まれるカフェインは、胃にとって両刃の剣。というのも、カフェインには胃液の分泌を活発にする効果があるから。つまり、健康な人が食後に飲むと、胃のはたらきが促進されて消化が進む。しかしその一方で、胃酸過多や胃潰瘍の人が大量にコーヒーを飲むと、胃液によって胃壁が荒れがちとなる。空腹時も避けたほうがよいだろう。そういったわけで、いちがいに「コーヒーは胃に悪い」とはいえないのである。 ただし、コーヒーとたばこの組み合わせはタブー。たばこは胃粘膜の血流を阻害し、粘膜が持つ防御機能を弱めてしまう。そこへコーヒーによって胃液が大量に分泌されれば、胃壁はひとたまりもない。 コーヒーは便秘になる? この誤解を生んだ犯人はタンニンという成分。収斂(しゅうれん)作用を持っており、大量に摂取すると便秘を起こすとされる。その証拠に、下痢止めとして古くから用いられてきた植物「ゲンノショウコ」の葉には、タンニンが20%と豊富に含まれている。 だが、コーヒーに含まれているのは、じつはタンニンそのものではなく、クロロゲン酸という成分。ポリフェノールの一種で、たしかにタンニンとよく似たはたらきをするが、コーヒーには4~5%と少ししか含まれていない。しかも焙煎すると、その多くが分解されてしまう。したがって、よほどがぶ飲みでもしない限り、便秘の心配はない。 コーヒーはお肌が荒れる? 「コーヒーこそはお肌の大敵!」と敬遠してきた女性は少なくないのでは?だが、アメリカの研究によれば、コーヒーにはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸類を始め、豊富な抗酸化物質が含まれており、肌の張りや老化防止にはむしろうってつけなのだとか。このほか、カフェインが持つ利尿作用や新陳代謝の促進作用も、美肌づくりには欠かせない要素だ。ヨーロッパには昔から「コーヒーは肌を美しくする飲み物」という言い伝えがあり、女性たちはおおいにコーヒーを愛飲してきたとか。 コーヒーは肝臓に負担がかかる? むしろ、二日酔い防止には効果てきめん!コーヒー中のカフェインが、肝臓や腎臓のはたらきを活発にし、アセトアルデヒドの分解を助けてくれる。さらに利尿作用があるため、体内のアルコール排出も促進される。お酒のあとでゆっくりとコーヒーを飲めば、次の日すっきり目覚められるのでは? だが、「コーヒーを飲めば大丈夫」とばかりに、あまりいい気になってお酒を飲むと、翌日の体調は保証できないので、ご用心を! コーヒーは子どもに飲ませてはいけない? カフェインには、中枢神経を穏やかに刺激し、心と体をリフレッシュするはたらきがある。大人がほっと一息つきたいときは、じつにありがたい飲み物だ。だが、乳幼児などにはこのはたらきが強すぎることもあるので、あまり小さな子どもには与えないほうがよいかも…。とはいえ、小学生に牛乳入りのカフェ・オ・レなどを飲ませるのはまったく問題ない。 コーヒーは妊娠中タブー? 現在のところ、コーヒーによる流産や早産、未熟児、奇形児の出産などは認められていない。むしろお母さんがコーヒー好きな場合、飲まないことでストレスが溜まるほうが問題だ。ただし、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。飲み過ぎには注意しよう。 コーヒーは飲み過ぎるとがんになる? これはまったくの誤解。それどころか、コーヒーに含まれるクロロゲン酸や、クロロゲン酸が分解してできるカフェ酸は、がんの発生や増殖、転移を抑えるとされ、最近ではがん予防効果について研究が進んでいる。例えば1日1杯以上飲む人は、肝臓がんによる死亡リスクがまったく飲まない人の半分に、3杯以上なら胃がん発生率が半分になるという結果も。ただし、ほんとうにがん予防効果があるかどうかはまだ検証中だ。 「アメリカンはお湯で薄めたコーヒー」…は誤解 正式なアメリカンコーヒーとは、浅煎りした豆をドリップ式で薄めに淹れたもの。お湯で薄めたものではない。単なる薄めのコーヒーが、わが国でアメリカンと呼ばれるようになったのは、当時の時代背景によるところが大きい。70年代半ば、コーヒーの生産国として有名なブラジルでは大霜害が起こった。このため、コーヒー豆の価格は大暴騰。しかたなく一部の喫茶店がお湯で薄めたコーヒーをアメリカンと名づけたのだ。 「ブルーマウンテンはコーヒーの王様」…は誤解 ブルーマウンテンはそもそもジャマイカ産のコーヒー豆。そのほとんどは日本に、残りは英国に輸出されている。つまり、世界的にはあまり一般的なコーヒーではないのだ。ブルーマウンテンが日本に上陸したのは昭和12年頃。売り出しの折に業者がつけたキャッチフレーズ「英国王室御用達」が、見事日本人の心をとらえてしまった。以来、ブルーマウンテンは「コーヒーの王様」とされてきたのである。 「インスタントコーヒーはアメリカ人が生み出した」…は誤解 たしかにインスタントコーヒーはアメリカ生まれ。しかし、そもそもの生みの親は、なんと日本人だ。発明者はシカゴ在住の日本人科学者・加藤サトリ。1899年、彼はコーヒーを真空乾燥させ、粉状にする方法を考案した。 この発明は1901年の全米博覧会でいっきに広がることに。第2次世界大戦では軍用飲料として飲まれるようになった。 公開日:2005年9月12日
医学が発達していなかった昔、薬や滋養の高い食品として愛されてきた発酵食品。その独特のにおい(香り)、風味を作り出すのはたくさん微生物たち。数々の健康効果をもたらすエライ微生物たちをご紹介する。 目次 世界中で愛されている「くさい」発酵食品 「くさい」を作り出すエライ微生物たち 「くさい食べ物」日本代表の実力 世界中で愛されている「くさい」発酵食品 納豆や味噌、酒、チーズなど、その土地土地で愛されてきた発酵食品は、慣れ親しんだ人以外にとっては、くさくて近寄りがたいものがある。しかし、そういったくさい発酵食品こそ、医学が発達していなかった昔、薬や滋養の高い食品として愛されてきたのである。冷蔵庫も便利な抗生物質もなかった時代、人々の健康を守ってきたくさい発酵食品を見直してみよう。 「くさい」を作り出すエライ微生物たち 世界中で生まれ発達した発酵食品。その高い栄養価や健康効果も、慣れ親しんだ人にはたまらない味やニオイも、微生物の活躍なしにはありえない。 微生物は太古の昔から自然界のさまざまな場所で生息してきた。食品に深く関わるのは、バクテリア、酵母、カビなどが中心である。アルコール、有機酸、芳香成分を代謝し、独特のにおい(香り)、風味を作り出す。たんぱく質を養分として、アミノ酸や単糖類などの低分子に分解し、おいしく吸収しやすい栄養にする。また、微生物自体の芳香やうま味もおいしさの元となる。 発酵の過程で、他の微生物を排除したり、栄養素を分解して増やすなど、人間にとって好都合なはたらきもしている。良薬でかつクセになるおいしさ。健康を気にする人には、積極的におすすめしたい食品なのである。 では、どんな微生物がどんな食品ではたらいているのだろうか。 乳酸菌 特徴 発酵に関わる代表選手。何百種類も存在し、その種類によって、漬物や乳製品など繁殖する食品が異なる。他の微生物の侵入や繁殖を許さないので、腐敗を防ぐ役割を果たしている。乳酸や芳香性のアルコールやエステルなどを作り、食べ物の香りや風味をよくする。 食品 味噌、しょうゆ、キムチ、チーズ(乳製品)、テンペ、ザーサイ、ザワークラフト、シュールストレミング、キビヤックなど 麹菌 特徴 煮たり蒸したりした穀物に繁殖する菌。日本の発酵食品の多くで活躍し、日本の食文化を特徴づけている。血圧を正常に保つアンジオテンシン変換阻害酵素を含む。ビタミン類を大量に作る。アミラーゼやプロテアーゼなどの消化酵素を持ち、薬にも利用されている。 食品 味噌、しょうゆ、米酢、豆腐ようなど 酵母菌 特徴 糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する細菌。アルコール発酵が進めば炭酸ガスが増えて酸欠状態になるので、カビや多くのバクテリアは生存できない(酵母は酸素を必要としない)。 食品 ぬか漬け、パン、クサヤ、魚醤(しょっつる・いしる、ニョクマム、ナンプラー、パオゴン・パティス)、キビヤックなど 酢酸菌 特徴 アルコールを酸化する能力に優れたアセトバクターと、糖を酸化して酸にする能力に優れたグルコノバクターの2種類がある。グルコノバクターは、グルコン酸をたくさん作り、酢の風味をよくしたり、腸内細菌のビフィズス菌の増殖を促す。 食品 酢 納豆菌 特徴 枯草菌の仲間で、ビオチンというビタミンがないと生育できないもの。腸内で有毒菌の繁殖を防ぐ。納豆菌のナットウキナーゼという酵素には血栓を溶かす作用が、アンジオテンシン変換阻害酵素には血圧を正常化する作用がある。 食品 納豆、臭豆腐 「くさい食べ物」日本代表の実力 納豆 煮た大豆と比べ、糸引き納豆には、ビタミンB2が10倍もある。脚気、しびれや筋肉痛、心臓肥大、食欲減退、神経症の防止に役立つビタミンB1、体内でアミノ酸の代謝や成長に関与し、皮膚炎を防ぐビタミンB6などが豊富。たんぱく質は特に豊富で、発酵前と比べ遊離アミノ酸も大幅に増加している。 クサヤ 塩が貴重品だった時代、伊豆七島の新島で干物を作るのに同じ海水でたくさんの魚を浸すうちに、漬け汁の海水が発酵して生まれた。独特のにおいはクサヤ菌などが作る酪酸、吉草酸、乳酸菌カプロン酸などの有機酸とエステル類。島の人たちが長年、便秘や下痢、風邪、疲労などの際、薬代わりにしていた漬け汁には、ビタミン、必須アミノ酸が豊富で、天然の抗生物質が含まれる。 熟鮓(なれずし) 魚介類とご飯を一緒に漬け込んで自然発酵させたもの。すしというより魚介類の漬物。東南アジアや中国から日本に入り、琵琶湖の鮒鮓(ふなずし)、石川県の蕪鮓(かぶらずし)など主に日本海沿岸で発達した。微生物や発酵食品に詳しい小泉武夫氏が所長を務める財団法人日本発酵機構余呉研究所が、滋賀県で行った調査では、下痢、便秘、胃の調子を整える、疲労回復、風邪、また母乳の出がよくなるなどの効果を実感している人が大勢いることが分かった。ビタミン類などが豊富。 公開日:2005年3月14日
韓国・朝鮮料理はヘルシーで美容によいと言われるけれど、いったい何が健康によいのだろうか?今回は韓国の「食」の知恵についてご紹介。隣国の食文化には、こんな健康のヒミツがあったのだ! 目次 知恵1:常備菜のストックで栄養バランスのよい食卓が完成 知恵2:野菜中心の食で食物繊維たっぷり! 知恵3:混ぜて、混ぜて、味のハーモニーを楽しむ! 知恵4:薬食同源!食べ合わせに隠された漢方との結びつき 知恵1:常備菜のストックで栄養バランスのよい食卓が完成 ソウルのデパートの食料品売り場には、日本と違いお惣菜売り場がほとんどないそうだ。定番のキムチ、野菜料理ナムルなど、常備菜のストックがあるから、忙しい平日でも皿がいくつも並ぶ食卓を整えるのが簡単らしい。韓国は日本とくらべると、今日は洋食、明日は和食と、毎日食卓に並ぶ品を変えなければ、なんて感覚は薄いのかもしれない。 ストックの知恵、代表選手 ●ナムル 食べられる植物の新芽、葉、茎、根などの部分。また、これを材料とする和え物としての料理の名称。生の野菜を使ったものや、野菜をゆでてゴマ油や塩で味付けしたおひたし感覚のもの、ゴマ油で炒めたものなどがある。日本では、大豆もやしやぜんまいなど、単品で調理したもののイメージが強いが、肉などほかの食材を組み合わせたナムルもある。韓国では、これらのナムルを一度にたくさん作り、密閉容器に保存しておく。 ●乾物 韓国の人たちにとって、乾物を家庭で作るのは当たり前らしい。韓国文化について書かれた書籍のなかには、マンションの踊り場に、ほうれん草、ニンニク、カブの葉、大根の葉など多種多様な野菜が所狭しと干してある描写もある。買い物に行き損ねたときは、自家製乾物を戻してスープや煮込みに入れれば、野菜もしっかり摂れる。しかも、乾物には生野菜より豊富な栄養が含まれている。切干大根なら、生と比べてカルシウムが15倍以上、鉄分は約10倍にもなる。 知恵2:野菜中心の食で食物繊維たっぷり! 日本で韓国・朝鮮料理といえば、焼肉のイメージが強いが、実は日常生活では野菜料理が中心で、肉はそんなに大量に食べないという。その焼肉でも、肉ばかりで野菜が少しだけなのは日本だけ。本場では生野菜も一緒にたっぷり食べる。肉も、サンチュ(サニーレタス)やエゴマの葉にのせ、さらにその上にニンニク、とうがらし、キムチ、コチュジャンなど、薬味をたっぷり載せて食べる。野菜の葉でご飯や肉を包んで食べるサム(包む)は、定番の食べ方である。 使用する素材と調理法のバリエーションも実も豊富な、スープでも、家庭では野菜が活躍する。家庭料理の定番、じゃこだし汁スープは、野菜との相性が抜群。しかも、具材を炒めてじゃこを加え、煮込むだけなので出汁をとる手間もかからない。二日酔いの朝など、胃の調子が悪いときは、繊維が柔らかくなって消化しやすいスープがありがたい。そして、もちろん定番のナムルにキムチ。ビタミンや食物繊維が豊富な野菜をたっぷり摂れる食習慣がしっかり根づいているのだ。 知恵3:混ぜて、混ぜて、味のハーモニーを楽しむ! 韓国・朝鮮の食文化の特徴は、ご飯の上に何種類ものナムル、コチュジャンなどをのせ、力いっぱい混ぜてから食べるビビンバによく現れている。食材や調味料をよく混ぜ、複雑な味のハーモニーを楽しむ。野菜にさまざまな材料を加えて漬けるキムチも同じ。調味料や香辛料を何種類も組み合わせるので、栄養素をバランスよく摂れる工夫がなされている。 そんな食文化を反映し、韓国語の味覚の表現は多様だ。例えば甘さの表現にしても、適度な甘みを表す言葉だけで甘みの強さによって4つの形容詞があり、低い程度の甘みを表す語としても8種類もある。 知恵4:薬食同源!食べ合わせに隠された漢方との結びつき 韓国語に現れた食文化の特徴といえば、薬念(薬味)、薬菓、薬食、薬酒など、「薬」という字を用いた食べ物の名前が多いことだろう。食べ物が薬であると考える漢方医学の思想、「薬食同源」が息づいていることが反映されている。 冒頭で紹介した、ナムルと乾物は、いずれも野菜が持つ水分が抜けている。これは、さまざまな病気を引き起こす「冷え」につながる水分の摂り過ぎを防ぐことにつながる。スープには、心臓を強化する朝鮮人参、疲労回復を助けるナツメといった漢方素材が入っている。薬味の定番、ニンニクにはアリシン、とうがらしはカプサイシンなど、健康成分が豊富なことはご存知のとおりだ。 さらに、陰陽五行の思想も料理に反映されている。赤、緑、黄、白、黒の5色の食材は、自然のそれぞれの食物を代表するもので、この5色を組み合わせたものが、バランスの取れた食事と考える。 陰陽五行の考えに基づいた相性占い「宮合(クンハ)」を、食べ物に当てはめた考え方も一般的だ。日本でいう「食べ合わせ」だが、韓国・朝鮮では、単なる相性以上のニュアンスを含んだ言葉だ。 日本でもなじみやすい例を挙げてみよう。焼肉とエゴマの組み合わせは宮合がよい。エゴマは、牛肉に少ないカルシウム、ビタミンA、Cが豊富。葉緑素は食欲不振、下痢や便秘に効果がある。逆に、ワカメスープとネギは宮合が悪いことが韓国では知られている。ワカメもネギもぬるぬるした粘質物を含む。この二つが一緒になると、粘質物が舌の味蕾細胞の表面を覆うので、味を感じにくくする。さらに、ネギに多いリンと硫化アリルなどの硫黄成分が、ワカメのカルシウム吸収を阻害するためだ。 長い歴史の中で培ってきた食の知恵が今に生きる韓国・朝鮮料理。次回は、この薬食同源の考えが生かされた薬念やキムチなど、韓国・朝鮮料理の特徴的な味を作る食品の栄養効果について紹介しよう。 公開日:2005年4月4日
韓国・朝鮮料理がヘルシーで美容によいと言われるけれど、いったい何が健康によいのだろうか?隣国の食文化における健康のヒミツをご紹介! 目次 秘密1:ゴマ油&とうがらしの食文化はこうやってできた 秘密2:薬念でおいしくヘルシーに 秘密3:韓国・朝鮮といえばコレ!さまざまな発酵保存食 秘密1:ゴマ油&とうがらしの食文化はこうやってできた 健康によい知恵が詰まった韓国・朝鮮の食文化。どのようにして形成されたか歴史を辿ってみたい。 韓国・朝鮮料理といえば、ゴマ油ととうがらしをたっぷり使うのはご存知のとおり。古代、朝鮮半島では馬、牛、猪、犬など肉食も盛んだった。仏教が広まった4世紀以降は、日本と同様、肉食は表向きなくなる。北部では粟、キビなどの雑穀、南部では米、麦を中心に、野菜や山菜を組み合わせる食生活となった。栄養のバランスをとるために、ゴマ油などの植物性油が盛んに使われるようになった。野菜の和え物、ナムルにゴマ油をふんだんに使うのは、この時代の名残りといわれる。 13世紀に、狩猟民族の蒙古の支配下に入ったことが、肉食禁止のタブーがなくなる大きなきっかけとなる。李朝時代には、公式に肉食が認められ、宮廷料理にも牛、豚、鹿、羊、鶏、雉などが入る。肉料理には臭みを消す香辛料がつきものである。最初は日本から輸入したコショウが使われたが、豊臣秀吉の朝鮮出兵により輸入が中断されてしまう。代わりに使われるようになったのが、自国で栽培できるとうがらしというわけだ。 秘密2:薬念でおいしくヘルシーに 韓国・朝鮮料理の特徴は、さまざまな食材・調味料・香辛料が作り出す、複雑な味のハーモニーにある。その要が、料理に用いる薬念(ヤンニョム)にある。薬念とは、食塩、砂糖、しょうゆ、味噌、塩辛、ゴマ、ゴマ油、唐辛子、コショウ、ニンニク、ショウガ、ネギ、香菜、食酢など、調味料・香辛料の総称である。日本の薬味に近い。 薬念の薬という文字には、薬のように少量で効果を出すという意味と、使う薬念そのものが漢方材料となるという意味が含まれている。例示した食材は、いずれもさまざまな健康効果が認められているものばかり。不足しがちなビタミン・ミネラルが豊富なゴマや、脂肪を燃焼させ肥満を防ぐとうがらしは、生活習慣病予防にもよいといわれる。さらに、ニンニクは疲労回復、しょうがは風邪の予防になる。また、これらの薬念を組み合わせることで、高血圧などの原因になる塩分の摂り過ぎを防ぐこともできる。韓国・朝鮮料理のヘルシーさは、味付けにまで行き渡った漢方の概念にも現れている。 秘密3:韓国・朝鮮といえばコレ!さまざまな発酵保存食 韓国・朝鮮料理の味には、食材でもあり、味付け材料ともなる発酵食品も重要な役割を果たしている。発酵という過程をたどることで、食品の栄養分は何倍にも増える。微生物がたんぱく質をアミノ酸に、炭水化物を単糖類にするなど吸収しやすい低分子に分解する。また、微生物自身が持つ栄養やミネラルも加わる。日本にも、味噌やしょうゆ、酒など、発酵を利用した食品が豊富にあることはご存知のとおり。韓国・朝鮮料理の特徴を決める代表的な発酵保存食について、その特徴と健康効果を紹介しよう。 キムチ 韓国・朝鮮の味の代表的存在であり、世界でも独特な発酵食品である。日本の漬物、西洋のピクルス、中国の搾菜(ザーサイ)など。漬物類は世界各地で発達しているが、キムチのように動物性食品のほか多様な材料を利用したものはあまり例がない。 ●キムチの材料と作り方 代表的な白菜キムチ(ペチュキムチ)の場合。ごく簡単に言えば、まず白菜に塩を振ってしんなりさせる。大根、ニンジン、ニラ、ネギなどの野菜、果物、穀類に、塩辛、ニンニク、ショウガ、唐辛子などの材料を下ごしらえしてよくもみ混ぜ、白菜にはさみこんで漬ける。 ●キムチの種類 ほかにも、きゅうりキムチ(オイキムチ)、大根キムチ(カットゥギ)、漬け汁の水も味わう伝統的な水キムチ(トンチミ)、何種類もの塩辛に山菜、10種類以上の野菜が加わるキムチの王様ポッサムキムチなど、200種類はあるといわれる。 ●キムチの健康効果 野菜の栄養分に加え、発酵の過程でビタミンB1、B2、B12 などが作られるキムチは、野菜の少ない冬場、貴重なビタミン源となる。低カロリーで繊維質が豊富。胃腸のはたらきをよくし、体内の糖類やコレステロールを分解する。ニンニクには、スタミナ増進作用、ショウガには食欲増進・血液の循環をよくする作用がある。塩辛類にはアミノ酸が豊富。そして、唐辛子は日本のものと比べ、ビタミンA、Eが豊富に含まれている。唐辛子のビタミンCは、乾燥しても壊れにくい性質を持っている。 塩辛 ●塩辛の材料と作り方 日本で塩辛といえばイカのイメージが強いが、あちらでは、アミやいわし、いしもち、タラ、明太子、ハマグリなどの貝類などさまざまな魚介類を塩辛(チョッカル)にする。その数、約140種類。内臓や卵巣まで利用し、塩を加えて、長期間熟成、発酵させてある。とうがらしが薄味に調味されているものは副食用、唐辛子を使わないものは調味用で、主にキムチに利用される。 ●塩辛の健康効果 熟成期間中に、たんぱく質が分解されてアミノ酸となり、骨などのミネラルも吸収しやすくなる。キムチの栄養バランスが優れているのは、この塩辛の役割も大きい。動物性食品の塩辛がキムチに加わることで、微生物の活動がより活発となるからだ。 コチュジャン 日本では、刺身にはわさび醤油が定番だが、韓国では、コチュジャンを酢で溶いたものをつけて食べるのが定番。チゲに入れたり、和え物、焼肉、混ぜご飯の味付けと、さまざまな料理の調味料として活躍する薬念のひとつ。 ●コチュジャンの材料と作り方 もち米でもちを作り、麹と麦芽を加えて糖化する。柔らかくなったらとうがらし粉を加えてこね、塩で味付けをし、熟成発酵させる。味噌やしょうゆより作り方が難しいとされる。 ●コチュジャンの健康効果 コチュジャンはとうがらし味噌とも訳され、日本の味噌に対応する食品だが、栄養価だけでみると、はるかに優れた食品といえる。というのは、日本の味噌は単一の菌を使い発酵させるのに対し、コチュジャンは複合菌、カビ、酵素などが作用するためだ。日本の味噌より、血栓溶解能力、抗がん作用などがあるといわれる。 公開日:2005年4月11日
バラエティ豊富になった植物油。定番のものから普段見慣れないものまで、どう使ってよいかわからない人もいるのでは?植物油は、体内では作ることができない必須脂肪酸を含み、使いこなせば健康効果も期待できる。今回は、そんな植物油の種類と効用をご紹介。 目次 バラエティ豊富になった植物油 上手に使えばヘルシーな植物油 植物油の健康効果と使い方 バラエティ豊富になった植物油 最近、スーパーの食用油コーナーのバラエティが豊富になってきた。定番のサラダ油、ごま油、オリーブ油だけではない。米油や椿油などの日本で古くから使われてきた油、ピーナッツ油、グレープシード油などヨーロッパから輸入されたおしゃれなボトル入りの油、ココナッツ油、パーム油など南国の油が仲間入りしている店もある。でも、どう使ったらいいかわからなくて、買ったことがないという人は多いのでは? でも、意外にクセがなく栄養面で優れた油が多い。使いこなせば、食卓を豊かにするだけでなく健康効果も期待できる。今回は、そんな植物油の効用を紹介したい。 上手に使えばヘルシーな植物油 生活習慣病対策などで悪者扱いされがちな油だが、体に悪いのは摂り過ぎた場合。油が不足すれば、肌にシミができたり全身の血管や細胞膜がもろくなり内出血を起こしやすくなる。油には女性ホルモンなどが含まれているので、女性だと冷え性で生理痛などの不調を招く場合も。 油は、3大栄養素といわれる脂肪、たんぱく質、炭水化物の中で最も効率よく、効果的にエネルギーを供給できる。中でも植物油は、体内で作ることができない必須脂肪酸など体によい脂肪酸を豊富に含んでいる。 代表的な脂肪酸 ●オレイン酸 悪玉コレステロールだけを低下させる。胃液の分泌を調整し腸のはたらきを活発にする。消化吸収がよい。酸化しにくく熱に強い。 ●リノール酸 必須脂肪酸。不足すると成長が阻害されたり、皮膚や腎臓障害を起こす。加工食品、ファストフードに多いので摂り過ぎに注意。 ●リノレン酸 必須脂肪酸。不足すると脳や血液の流れに支障をきたす。a-リノレン酸は、アトピー性皮膚炎の改善に役立つ。 また、油は素材に含まれるビタミンA、D、E、Kなど脂溶性ビタミンの吸収率をアップさせる。植物油には若さのビタミンと言われるビタミンEも豊富なので、ビタミン不足が気になる人にはぜひおすすめ。理想的な脂肪の摂取量は、動物、魚、植物合計で1日約40~60g。植物油大さじ1杯が約12gなので、これを目安に摂る量を加減しよう。 油の酸化に注意! 注意したいのは、油の酸化。空気に触れたり光に当たって古くなった油は、体によくない過酸化脂質が生じてしまうからだ。光が当たりにくい場所に保存する、あまり使わない油は少量ずつ買うなどの工夫を。また、揚げ物で使った油は、料理に再使用しないようにしよう。 植物油の健康効果と使い方 定番のオリーブ油やごま油が健康によいことはよく知られている。今回は、それ以外で最近よく見かけるようになった植物油の健康効果や使い方を紹介したい。 グレープシード油 原料:ぶどうの種、ワイン作りの副産物 効用:コレステロールがない油。リノール酸が脂肪酸のうち70%と多いもののビタミンEがオリーブ油の2倍含まれるため、酸化はしにくい。高脂血症、心筋梗塞、動脈硬化の予防に。血圧降下作用も。 料理法:味にくせがなくさっぱりしているので、ドレッシング、マリネはもちろん、揚げ物や炒め物にもおすすめ。 ピーナッツ油 原料:ピーナッツの実 効用:レシチンや、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミンEが豊富。オレイン酸、リノール酸も豊富。高脂血症、動脈硬化、胃潰瘍の予防、便秘、血圧降下、皮膚の老化予防にもよい。 料理法:消化によく、くせのない軽い油。かすかにピーナッツの香りがある。香りのない食材を香ばしく仕上げる。中国やインドで頻繁に使われる。てんぷらなどの揚げ物、炒め物はもちろん、ドレッシングやマリネにも使える。 しそ(エゴマ)油 原料:しそまたはエゴマの種 効用:α-リノレン酸が脂肪酸の55%と油の中で最も多い。アトピー性皮膚炎によいと注目されている。そのほか脳梗塞、心筋梗塞の予防、血圧降下によい。 料理法:ドレッシングなど生食向き。 亜麻仁油 原料:亜麻(フラックス)の種 効用:脂肪酸のバランスを整えると注目を浴びたα-リノレン酸が豊富。血圧降下、糖尿病、動脈硬化、がんの予防、アトピー性皮膚炎の改善が期待できる。 料理法:ドレッシングなどにおすすめ。 米(ぬか)油 原料:米ぬか、精米の副産物 効用:ビタミンE、オレイン酸が豊富。悪玉コレステロールを低下させる不けん化物が多い。胃もたれしないヘルシーな油。 料理法:あっさりした食感で、マヨネーズ、揚げ物、生食まで何にでも使える。和食向き。 椿油 原料:椿の種 効用:オレイン酸が脂肪酸全体の中で80%も含まれる。消化によく胃に負担がかからないうえ、酸化しにくい安定した油。動脈硬化、心筋梗塞、胃潰瘍の予防に。便秘、皮膚の老化予防にもよい。 料理法:日本では昔から黒髪のつやを出すといった化粧用、薬用、灯用などのほか、食用にも使われてきた。揚げ物に使うと、驚くほどからっと揚がる。もちろん手足や髪のお手入れにもおすすめ。 公開日:2005年5月16日
日本人にはおなじみのしじみ。必須アミノ酸が理想的なバランスで含まれているほか、ビタミン、ミネラルも豊富です。昔から肝臓によいとされるしじみパワーの秘密に加え、しじみをもっとおいしくするコツをご紹介します! 目次 「しじみ」の旬は夏と冬の2回 アミノ酸、ビタミン、ミネラル…しじみは栄養の宝庫 しじみが飲み過ぎによい理由とは? さまざまな病気予防に役立つしじみパワー もっと!おいしさUPテクニック 「しじみ」の旬は夏と冬の2回 縄文時代の昔から、日本人の食生活に馴染んできた「しじみ」。江戸の町には、早朝、しじみ売りが行商に訪れる光景が見られたそうです。「黄疸に効く」「母乳の出をよくする」「寝汗によい」など、各地で経験に基づいたさまざまな健康にまつわる言い伝えがあり、庶民の生活にも馴染んできた貝です。そして、「二日酔いにはしじみ汁」とは、今も言われる健康法です。 しじみは、利根川河口や宍道湖(しんじこ)をはじめ、北海道から九州まで各地の汽水湖(きすいこ/淡水と海水が混じり合った湖)の河口域に生息しています。ヤマトシジミ、セタシジミ、マシジミなどいくつかの種類がいますが、私たちが食べているのは、大半が淡水と海水が混合する汽水域に棲むヤマトシジミです。ヤマトシジミは、塩分濃度が薄めの5%前後で、水の動きがよく、酸素がたくさんある砂底質(粘土分が少ない湖底や川底)を好みます。ところが、最近は、河川や湖沼の汚染や乱獲などによりしじみが減ってきています。昭和40年代には年間5万トン前後もあったしじみの漁獲量が、いまや2万トン弱。消費の半分を中国などからの輸入品に依存する状態です。 ところで、このしじみには「土用しじみ」「寒しじみ」の2つの呼び名があることからわかるように、旬は夏と冬の2回あります。暑さからついビールを飲み過ぎる人には、今が旬の土用しじみがおすすめです。貝類でも最も味がよく、栄養価も高いしじみの健康効果は、あながち昔の言い伝えだけでもないからです。 アミノ酸、ビタミン、ミネラル…しじみは栄養の宝庫 しじみにはさまざまな栄養素が豊富です。その筆頭が、アミノ酸。とくに必須アミノ酸が理想的なバランスで含まれています。また、カルシウムや鉄分、ビタミンB12などのビタミンB群も豊富です。とくにミネラルについては、ほかの代表的な貝類と比べてしじみが最も多いようです。 可食部100gあたりの栄養成分比較 しじみ あさり はまぐり カルシウム130mg66mg130mg 鉄5.3mg3.8mg2.1mg ビタミンA(カロテン)120μg22μg25μg ビタミンB20.25mg0.16mg0.16mg ビタミンB1262.4μg52.4μg28.4μg 出典:五訂食品成分表 しじみが飲み過ぎによい理由とは? では、「二日酔いにはしじみ汁」と言われるのはなぜでしょうか。最大の理由は、しじみにバランスよく含まれる必須アミノ酸にあります。アルコールを飲み過ぎると、アルコールの解毒をうけ負っている肝臓の肝細胞が損傷を受けます。そこで、必須アミノ酸を補給すると、肝細胞の主成分であるたんぱく質が合成され、修復してくれるのです。このとき、ひとつでも含有量が不足するアミノ酸があると、ほかのアミノ酸がたっぷりあっても、利用効率が落ちてしまいますが、しじみはその点で優秀です。そのうえ、しじみは低脂肪で消化・吸収がよいため、肝臓への負担も小さくなります。 しじみに豊富なミネラルも、たんぱく質の合成を助けます。また、さまざまな研究結果から、アミノ酸のうちタウリンが、肝細胞の再生をうながしたり、肝臓の解毒作用を活発化させることもわかってきました。さらに、しじみの糖質は即効性の高いエネルギー源であるグリコーゲンが主体なので、肝臓の疲労回復を早めます。肝臓によいさまざまな栄養成分が豊富に、そしてバランスよく含まれているのがしじみというわけです。お酒を飲み過ぎたなと思った翌朝は、ぜひしじみ汁を飲んで、弱った肝臓を助けてあげましょう。 さまざまな病気予防に役立つしじみパワー しじみが健康によいのは、二日酔い対策だけではありません。昔からしじみは重要な漢方薬としても使われてきました。しじみが肝臓によいことは、上記の通りですが、漢方医学では肝臓によいものは目にもよいとされます。肝臓の疲労のために目が弱っている場合は、肝臓の修復とともに目も自然によくなります。 鉄分は、貧血予防や造血に役立ちます。ミネラルが豊富なことは、風邪や感染症の予防に役立ち、がん細胞の撃退にもつながります。また、タウリンは、血中コレステロール値を低下させたり、食塩が原因となる高血圧を改善するため、脳卒中や心臓病の予防にも役立ちます。つまり、しじみは生活習慣病対策にも欠かせない食品なのです。 もっと!おいしさUPテクニック しじみは貝類の中でもとくに味がよいです。それは、味噌、しょうゆなどの調味料としても使われ、うま味の元となるコハク酸が豊富なため。ちなみに、しじみを塩水で砂出しをした後、一晩冷凍庫に置いておくと、さらにおいしくなるそうです。細胞組織の中に閉じ込められたコハク酸が、冷凍によって水分が膨張し、細胞組織が壊れてより出やすくなるためです。一度試してみるのもよいでしょう。 しじみといえば味噌汁が定番ですが、そのほかにあさりなど魚介類の料理法をアレンジして、さまざまな楽しみ方ができます。次のイラストを参考に、自分なりに身もまるごと食べて栄養を逃さない食べ方を工夫してみてはいかがでしょうか? 公開日:2005年6月27日
良質なたんぱく質が豊富でローカロリーな麩。地域によっては伝統的な食品である麩は、健康を気遣う人はもちろん、体重計が気になる人にもおすすめのヘルシー食材だ。ご当地ものも合わせるとなんと100種類以上。ぜひ今日から食卓に取り入れよう。 目次 精進料理で活躍した麩 ご当地ものも合わせると100種類以上! 軽くてふわふわの麩にはこんなメリットが 麩を使った料理あれこれ 精進料理で活躍した麩 京都など一部地域ではおなじみの麩。しかし、全国を見渡してみると、あまり食べないという人も多いのでは?実は、たんぱく質が豊富でローカロリーな麩は、健康を気遣う人はもちろん、体重計が気になる人にもおすすめのヘルシー食材なのだ。 麩が誕生したのは中国。日本に入ってきたのは、室町時代という説と奈良時代という説がある。最初は仏教と結びつき、肉食を禁じられていた修行僧たちの貴重なたんぱく源として、精進料理で盛んに用いられていたが、その後一般の人にも広まった。京都の麩といえば、柔らかい団子のような生麩が有名だが、全国どこでも見かけるのは、乾燥したものを戻して使う、保存性のよい焼き麩だろう。焼き麩は、千利休が茶会の茶菓子として出したものが発達した。 ご当地ものも合わせると100種類以上! 小麦粉に水を加えてよく練り、水洗いを繰り返しながらたんぱく質のグルテンだけを取り出す。これに小麦粉やもち粉を加えて加工すると、麩ができる。形を整えオーブンなどに入れて焼いた焼き麩、蒸すかゆでるかした生麩の2種類がある。しかし、全国各地には、その2種類だけでは当てはまらない独特の品種、形態の麩が100種類以上あるという。主なものを紹介しよう。 京都の代表的な麩 もち麩グルテンにもち粉を加えて作る。雑煮やぜんざいのもち代わりに入れる 紅葉麩生麩を紅葉の形に作り、着色したもの。煮物や吸い物に使う よもぎ麩生麩によもぎを加えたもの 手まり麩五色や紅染めにした生麩を丸め、手まりの形にしたもの。正月やひな祭りの重詰や吸い物に使われる 利休麩生麩を濃い口しょうゆで煮しめて油で揚げたもの。京都の大徳寺で作られたものは大徳寺麩という ほか全国各地の名産の麩 車麩新潟、山形、石川 麩の生地を棒に巻きつけて焼いた焼き麩。越後地方では、行事の際の煮しめに使う 庄内麩東北(岩手、宮城、山形、秋田) バーナーで焼いて板状にした焼き麩。湿らせながら切ったものを、汁の実にしたり、魚のすり身を包んだり、けんちん種をまいて蒸したり揚げたりする まつたけ麩西日本 マツタケの形に作り、傘の部分を着色してマツタケの香りをつけた焼き麩。吸い物、茶碗蒸しに使う あぶら麩(仙台麩)宮城 油で揚げてあるのが特徴。煮て卵とじや丼に、戻してきゅうりやワカメと酢のものに、炒めたり鍋の具に使う すだれ麩石川 すだれに挟んで形を整え、乾燥させた麩。歯ごたえがあり金沢の郷土料理「治部煮」やすき焼き、酢の物などに使う 丁字(ちょうじ)麩滋賀、京都 長方形の焼き麩。コシが強く口当たりが滑らか。軽く作られたものは汁物に、きめが細かいものは煮物に使う 安平(あんぺい)麩山口 丸餅のように大きくふっくら作り焼いた焼き麩 軽くてふわふわの麩にはこんなメリットが 麩の主な栄養素はたんぱく質。その他、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラルが豊富だ。脂肪が少なく消化がよい麩は高齢者、幼児、病人の食事にもおすすめ。 肌や髪、筋肉を作るたんぱく質は、健康を維持するうえで欠かせない栄養素だ。しかし、良質なたんぱく源である肉は脂肪も多いのが難点。麩なら、ダイエット中でも心配せず食べられる。しかも、麩に含まれる植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質よりローカロリーで吸収しやすい。麩が、精進料理で肉の代わりに活躍したのもうなずける。さらに、麩は保水性にも優れ、満腹感を得やすいので、これまで食べ過ぎていた人が、食事の量を減らせるメリットもある。 グルテンの健康効果 麩の主原料、グルテンにも優れた健康効果がある。グルテンは、水の中で小麦粉をもみほぐすうちに、でんぷんが洗い流され、最後に残るチューインガムのようなものだ。このグルテンを加水分解させたグルテンペプチドは、痛みを和らげたり、血圧を低下させる、胃液の分泌を抑制する、食後に血中インスリンを増加させるなどの作用があるといわれている。ただし、食品として摂取した場合の効果は、まだ未知数。今後の検証が期待される。 グルテンに含まれるグルタミン酸は、知能を高めたり、アルコール依存症を改善する、潰瘍の治癒を早めるなどの作用がある。ただし、摂り過ぎると、神経が高ぶって眠れなくなるなどの過剰症になる恐れがある。何事もほどほどに、ということだ。 麩を使った料理あれこれ 体によい麩を積極的に使うにはどうすればよいか。定番は、焼き麩を味噌汁の実にする、生麩を鍋物の具にするといったところ。麩自体にはあまり味がないので、和洋中、お菓子など何でも使える。チャンプルー料理で知られる沖縄では、車麩を炒めものに使ったりもしている。インターネットで検索すれば、麩の上にピザソースや野菜を載せたり、味噌を載せて田楽風にするといった、さまざまなアイデア料理が登場する。 肉や油脂の摂取を減らす目的だけでなく、毎日の料理に変化をつける材料として、料理を簡単にする助っ人として、ちょっとしたもてなし料理として、さまざまな使い方ができる麩。あなたの家庭でも取り入れてみては? 公開日:2005年4月18日
干しいたけに切干大根、高野豆腐、干し柿…。古来より日本に伝わる「乾物」は、保存性もさることながら、栄養面でもバッチリの優れた食品だ。天日で乾かすことで、殺菌・消毒効果が高まるばかりでなく、香りや旨みも増す。それだけではない。ビタミンや、カルシウム、鉄といったミネラル、食物繊維などの栄養素が濃縮され、栄養価も高くなることが知られている。今回は、太陽の恵みが詰まった、乾物の魅力に迫ってみよう! 目次 干しいたけ 切干大根 高野豆腐 干し柿 干しいたけ しいたけには、もともとビタミンDのもとになるエルゴスチンがたっぷり。このエルゴスチンは、日光や紫外線に当たるとビタミンDに変わる作用がある。したがって、干しいたけのビタミンD含有量は、生のものの10倍。干しいたけ2枚中に含まれるビタミンD量は、なんと1日に必要な量のほぼ3分の1だ。ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を助ける役目もあるので、これらのミネラルを、積極的に一緒に摂るようにするとよいだろう。 ただし、日光で干したものでなければ効果はない。市販の干しいたけの中には、熱乾燥で作られているものもあるので注意しよう。こうしたしいたけを買ってしまった場合は、調理の前に1時間ほど天日干しするのがおすすめ。このとき、雨などにあたるとカサの裏が黒く変色してしまう。天気のよい日、軒下などに吊るすとよいだろう。 切干大根 かつて切干大根は、日本の冬の食卓になくてはならない食品だった。なにせ、生の大根は1本500~600グラムだが、天日で干したものはわずか50グラム。それだけ切干大根には栄養がギュッと凝縮されている、ということだ。うま味成分のグルタミン酸やブドウ糖ばかりでなく、カルシウムやビタミンB1・B2、鉄分、食物繊維も豊富。新鮮な野菜が出回らず、とかく栄養不良に陥りがちな寒い時期には、実にありがたい食べ物だったといえる。 外食の多い現代人の私たちにしても、事情は同じ。とくに便秘や体調不良に悩む人は積極的に食べるようにしたいもの。ぜひ台所に常備しておこう。ちなみに、しばらく置いておくと黄色く変色しやすいが、水洗いすればもとの真っ白な色に戻るのでご安心を。 高野豆腐 高野豆腐のルーツ説はいろいろあるが、そのひとつは高野山の宿坊だ。その昔、寒い晩に豆腐を保存していたら凍ってしまい、さらにそのまま放っておいたところ、すっかり乾燥してしまったという。これを水に漬けてみると、ちゃんとふやけて食べられるようになったため、わざとこうして保存するようになった。したがって、またの名は「凍み豆腐」。とくに長野県や関東以北では、この名称で呼ぶ人が多い。ちなみに、「ちはや豆腐」「連豆腐」「一夜凍り」などの名もある。 高野豆腐は保存性が高く、消化のよさもバツグン。たんぱく質や脂肪も豊富に含まれている。また、ビタミンEやビタミンK、カルシウム、亜鉛、食物繊維などもたっぷりだ。骨粗しょう症を防ぐイソフラボンや貧血に効く鉄分の含有量も高いので、女性はおおいに食べたいところ。ダイオキシンの排出効果や、肝臓への蓄積抑制効果もある。コレステロール抑制作用も注目されており、生活習慣病予防にもよい。 干し柿 「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるように、柿は栄養価の高い果物として日本人に愛されている。とくに干し柿は、太古の昔から祭礼用の菓子として、または飢饉のときの非常食としておおいに口にされてきた。 天日に干すことで、渋みのもとタンニン細胞の内容物が凝固し、甘く美味しくなるのは知っての通り。もちろん、栄養的にもアップする。ビタミンA含有量はなんと生の2倍。食物繊維も豊富だ。表面の白い粉は、果肉から染み出た果糖とブドウ糖が乾いたものなので、安心して丸ごと食べよう。 その他おもな乾物の栄養成分 ●昆布…カリウム・アルギン酸・ヨード・カルシウム ●ヒジキ…食物繊維・たんぱく質・カリウム・鉄・ビタミンA、B1、B2、E ●海苔…食物繊維・たんぱく質・カリウム・鉄・ビタミンA、B1、B2、C、E ●煮干し…カルシウム・ビタミンD ●スルメ…タウリン・EPA・DHA・ナイアシン 公開日:2004年11月22日
やわらかい食べ物が増え、そしゃく力が衰えつつあるといわれる現代人。一説によれば、弥生時代と比べると、一食当たりのそしゃく回数は6分の1に減っているとか。また、戦前、通常の和食を食べていた際と比較しても、半分以下に落ちているという。そしゃく回数が減ると、わたしたちの体にはどんな影響が起こるのだろう?そしゃくがもつ、不思議な力に迫ってみよう! 目次 噛むことがサルをヒトに変えた? そしゃくに秘められた7つの効果 そしゃく力を鍛えるポイント 噛むことがサルをヒトに変えた? 実はそしゃくのはたらきは、ヒトの誕生と密接なつながりをもっている。人類の祖先である猿人が、火を使うようになったのがおよそ100万年前。このことによって、猿人たちは、食べ物をよく噛んで味わうようになった。 そしゃくするときは、ほほのやや後ろにある「咬筋」(こうきん)という筋肉を使う。このとき、咬筋から感覚信号が送られ、大脳が刺激を受ける。そのため脳循環が活性化し、長い間をかけて脳が大きく発達する結果となったのだ。 そしゃくに秘められた7つの効果 そしゃくがもつ心身への健康効果は、はかり知れないものがある。そのパワーをここで一挙ご紹介! 効果1:痴呆を防ぎ、知能を高める アルツハイマー病を引き起こすとされる、たんぱく質「ベータアミロイド」。脳の神経細胞を壊す、有害な物質だ。最近の研究によれば、このベータアミロイドは、口のそしゃく運動が少ないほど多くなるという。つまり、よく噛む人ほど痴呆になりにくいというわけだ。さらに脳が活発に機能し、反射神経や記憶力、認識力、判断力、集中力なども高まる。 効果2:丈夫な歯を作る そしゃくは歯根に刺激を与えるため、歯を支える骨の細胞の新陳代謝をよくするといわれている。また、唾液中には抗菌作用のある酵素や、カルシウムと結合して歯を強化するたんぱく質など、虫歯を寄せつけない成分が含まれている。しっかり噛めば噛むほど唾液はたくさん分泌されるため、虫歯や歯周病の予防効果は高まるといえる。 効果3:胃腸を健康に 食べ物をよく噛むと表面積が大きくなり、消化酵素による分解効率がよりアップする。また、アミラーゼなど、唾液に含まれる酵素は、食べ物の消化を助ける大切な成分。よく噛んで食べるほど、胃腸の負担は軽くなる。 効果4:がんや生活習慣病を防ぐ 唾液に含まれるペルオキシダーゼには、がんの引き金となる活性酸素を抑制する効果があるとされる。がんだけでなく、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病にも有効だ。 効果5:アレルギー性の病気予防に そもそもアレルギー性の病気は、違う生体を体内に入れることによって起こるもの。食べ物をよく噛み、消化吸収を促すことで、抗原抗体反応によって起こる食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、小児ぜんそく、花粉症などはある程度、予防することができる。 効果6:ダイエットや美容効果も 食べ物をよく噛むと、エネルギーの生産能力は急上昇する。また、そしゃくするうちに、唾液が多量に分泌され、血糖値が高まるため満腹中枢が刺激される。そのため、食べ過ぎを防ぎ、効果的にダイエットができるというわけ。さらに、顔の筋肉と骨が鍛えられ、しわを予防。若々しい表情をつくることも可能だ。 効果7:ここ一番の勝負にも? 力を入れるときに食いしばるのが奥歯。よく噛んで食べていれば、歯やあごが鍛えられ、ぐっと噛みしめて力を発揮することができる。運動でも仕事でも、ここ一番の勝負では、日ごろのそしゃく力がモノをいう! そしゃく力を鍛えるポイント ※咀嚼・嚥下に問題のある人は例外 ●歯ごたえのある材料を使って料理をしよう ●素材はやや大きめに切るのがコツ ●食事にはゆっくり時間をかけよう ●食べ物を水や飲み物で流し込む癖はタブー ●ガムを噛むのも効果的 忙しいからといって、やわらかいものばかりを早食いしていると、意外なしっぺ返しを食らうことになりかねない。食事は舌で味わい、目で楽しみ、匂いをかぎ、かつ歯ごたえを感じながら食べるもの。ゆっくりと豊かな食生活を満喫し、そしゃく力を鍛えよう。 公開日:2004年8月30日
砂糖をたっぷり使ったお菓子は体に良くないというイメージがないだろうか?しかし、和菓子は目に楽しいばかりか、材料もヘルシーな食品ばかり。とくに小豆の健康パワーには注目。 目次 柏餅のルーツは武家社会にあり!? 「お菓子=健康の敵」は大きな誤解 あなどれない、小豆の健康パワー 季節の和菓子でほっと一息 柏餅のルーツは武家社会にあり!? 5月5日は言わずと知れた子どもの日。「端午の節句」ともいい、この日を間近に控えた今の時期は、スーパーにも柏餅やちまきが並ぶ。ちまきのルーツは、紀元前3世紀の中国にまでさかのぼり、日本には平安時代に伝わったといわれている。 一方、柏餅のルーツはいくつか説があるが、江戸時代の中期に誕生したという説が有力だ。柏の葉は新芽が出るまで落ちないことから、男子の成長と子孫繁栄を願って、武家の間で縁起を担いで珍重されたという。この頃は、家で作った柏餅を近所や親戚に配っていたらしい。ちなみに、柏餅の「もち」部分はうるち米で作っているので、本来は「だんご」と呼ぶのが正しい。「もち」と呼ぶのは、武士の見栄という説もあるそうだ。 「お菓子=健康の敵」は大きな誤解 若い女性ならスタイル重視、中高年男性は生活習慣病が気になるという点から、砂糖をたっぷり使ったお菓子は体に良くないというイメージが強くなってしまった今日この頃。でも実は、糖分は体を動かすうえで重要なエネルギー源。 とくに脳は糖分(ブドウ糖)しかエネルギー源として使うことができないため、1日中デスクワークに追われるなど脳がフル回転をした後は、ぜひ摂りたい栄養分である。ほどほどに食べるなら決して健康を害するものではないのだ。 なかでも和菓子は、ケーキやクッキーなどの洋菓子に比べると、油を使わない分ローカロリーで食物繊維も豊富。結構ヘルシーなのである。 お菓子のエネルギー比較(100g当たり) ■和菓子 柏餅…206kcal 大福餅…235kcal 串団子(しょうゆ)…197kcal 蒸しまんじゅう…261kcal 水ようかん…171kcal ■洋菓子 ショートケーキ…344kcal シュークリーム…245kcal ハードビスケット…432kcal 成形ポテトチップス…540kcal ミルクチョコレート…557kcal 出典:五訂食品成分表 あなどれない、小豆の健康パワー 和菓子がヘルシーなのは、その材料にも秘密がある。だんごやういろうによく使われる上新粉は、うるち米を製粉したもの。白玉だんごやぎゅうひの材料となる白玉粉は、もち米を製粉したものだ。また、かるかんには上新粉と大和芋が使われている。 このように、砂糖のほかに和菓子でよく使われるのは、もち粉や米粉、小麦粉、豆類などの穀物、イモ類やゴマ、寒天など、健康的な食品ばかり。 米は完全栄養食品といわれるほど栄養バランスが優れているし、きな粉の材料である大豆は、最近女性ホルモンとはたらきが似ていることで注目を集めるイソフラボンが含まれる。ゴマは美容によいといわれるビタミンEやミネラルが、寒天は生活習慣病予防にぴったりの食物繊維が豊富なことで知られる。 そして、なんといっても注目すべきは、和菓子の主材料でありかつ栄養バランスに優れた小豆だろう。 小豆の栄養成分 ●糖質…小豆の半分以上はエネルギー源となる糖質が占めている。 ●食物繊維…食物繊維も豊富。脂肪などのほか、発がん物質である胆汁酸を吸着して体外に排出する。 ●ポリフェノール…老化や生活習慣病などの原因といわれる活性酸素から体をガードするポリフェノールが、赤ワインより豊富。 ●サポニン…コレステロールや中性脂肪をたまりにくくし、血液をさらさらに。 ●鉄分…めまいや貧血の予防に。特に女性は必須の栄養素。 ●ビタミン…酵素のはたらきを助けるビタミンB1や、皮膚や髪、細胞などの再生を助けるB2が豊富。 季節の和菓子でほっと一息 ほどよい量の和菓子は、ヘルシーというだけではない。和菓子の魅力はなんといっても、季節感を味わえることだ。 冒頭に挙げた端午の節句の柏餅はもちろん、花見の季節の桜餅や花見団子、6月くらいになればくずもちや水ようかんが並ぶ。春分、秋分はぼたもちにおはぎ。「菜の花」や「紫陽花」など花をかたどったお菓子もあれば、鮮やかな紅葉をイメージした「もみじきんとん」など、シンプルながら自然をイメージさせるデザイン性に優れた和菓子もある。 日ごろビル街で忙しさに追われている人も、たまには、和菓子をお皿にのせて目で楽しみながら、お茶の時間を過ごしてみてはどうだろう。気持ちがほっとほぐれてリラックスできるかもしれない。 公開日:2004年4月26日
セリ、ナズナ、スズナ、スズシロ、ホトケノザ、ゴギョウ、ハコベラ。1月7日、7つの野草を摘んでおかゆに入れる「七草粥」。いかにも風流な慣わしだが、なんと鎌倉時代から今に伝えられているというほど由緒正しいもの。魔よけ、豊作祈願、無病息災祈願…。さまざまな願いがこめられた七草粥は、同時に「医食同源」の知恵を生かした究極の健康食でもある。医食同源とは、中国で生まれた思想で「食こそ健康の源である」という考え方だ。 目次 七草粥考~中国から伝わった「人の日」の儀式 七草粥の調理は6日の夜に 七草の効用7つ 七草のレシピ 七草粥考~中国から伝わった「人の日」の儀式 もともと1月7日は、3月3日の「桃の節句」などと並ぶ「五節句」のひとつ、「人の日」の節句だ。古来、中国では吉凶を占い、1年間の無病息災を祈る日だったという。そのための特別な椀――野草を入れた吸い物をこしらえる風習があった。これが日本に伝わったのが、平安時代初期。ただし、当時は野草ではなく、米、アワ、キビ、ヒエ、ミノ、ゴマ、アズキの「七穀」を入れるのが通常のパターンだった。 穀物が野草へと姿を変えたのは、鎌倉時代。普段から、庶民に親しまれている「セリ、ナズナ、スズナ、スズシロ、ホトケノザ、ゴギョウ、ハコベラ」が登場したのである。それぞれ名や形から縁起物とされ、尊ばれていた。 セリ …競り勝つ ナズナ …なでて汚れをはらう ゴギョウ…仏体 ハコベラ…繁栄がはびこる ホトケノザ…仏の安座 スズナ …神様を呼ぶ鈴 スズシロ…汚れのない純白さ 七草粥の調理は6日の夜に 調理はあらかじめ、6日の晩におこなうのが慣わしだった。その際、すりこぎ、おろし金、火ばし、杓子などの調理器具をまな板の上に揃える。そして野草を49回刻みながら、「七草なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬ先にストトントン」などと歌うのである。 なんとも不可思議な風習だが、これは邪気をはらうためのいわば、おまじないのようなもの。「唐土の鳥」とは怪物のことで、その血が着物にかかると疫病になるという言い伝えがあった。当時、流行り病は中国からもたらされるとされていたのだ。 「邪な鳥を追いはらって、家族みんな無事で暮らしたい」。一家の主婦は、そんな願いをこめながら粥を作ったに違いない。出来上がると一晩、神棚に供えるのが決まり。 七草の効用7つ このようにさまざまな願いがこめられた「七草粥」だが、現代人にとってもありがたい慣わしといえる。なにせ、カロリーは1杯で約140kcalと低い。お正月のご馳走でオーバーした体重をもとに戻すには、まさにもってこいのダイエット食だ。しかし、それだけではない。じつは「七草粥」には、意外な薬膳効果も秘められているのである。 効果1:胃袋すっきり 健胃効果、食欲増進…セリ・ナズナ・スズナ・スズシロ・ホトケノザ 効果2:むくみ解消 利尿作用…セリ・ナズナ・ハコベラ 効果3:リラクセーション効果 心の安定効果…スズナ 解熱…セリ・ナズナ・ホトケノザ 効果4:風邪の諸症状に 去痰…セリ せき止め・気管支炎予防・扁桃腺炎予防…ゴギョウ・スズシロ 効果5:二日酔い解消 肝臓回復効果…セリ・ナズナ 効果6:ビタミン・ミネラル補給 ビタミンA…セリ・ナズナ ビタミンB…セリ ビタミンC…セリ・スズナ・スズシロ ビタミンK…スズナ カルシウム…セリ・スズナ・スズシロ カロチン…スズシロ 鉄分…スズナ 効果7:美容効果 そばかす予防…スズナ ひび、あかぎれ予防…スズシロ 七草のレシピ ■材料(2~3人分) 七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ) 米 1カップ 、水 5~6カップ、塩 少々 ■作り方 1. 米をとぎ水気を切っておく 2. 七草はさっと塩ゆでしたあと、冷水にさらす。さらに、水気をしぼり細かく刻む 3. 鍋に米を入れ、水を加えて30分ぐらい煮る 4. 炊き上がる直前に、塩をふり、用意した七草を入れる。胡麻などを加えてもよい 公開日:2004年1月5日
とくに子供の肥満の原因となるのが、食生活です。食生活のポイントは、洋食中心のメニューを和食に代えることです。そして、間食の取りかたに注意しましょう。 目次 子供の肥満を予防するための食生活は? おやつにも気配りを 食事はだれとしていますか? 子供の肥満を予防するための食生活は? 子供がいる家庭でよく作られるメニューは「オカアサンハヤスメ」だといわれている。これを、「おかあさんだいすき」のメニューに代えてみよう。「おかあさんだいすき」のメニューは和食中心。洋食メニューには魚がまったくなく、食物繊維も少なめだ。和食のよさを見なおして、食事に取り入れよう! オカアサンハヤスメ オ…オムライス カ…カレーライス ア…アイスクリーム サン…サンドイッチ ハ…ハンバーグ ヤ…ヤキソバ ス…スパゲッティー メ…メダマヤキ おかあさんだいすき お…おから煮 か…かば焼き(イワシやウナギなど) あ…あずきご飯 さん…さんま塩焼き だ…だて巻きたまご い…いも料理 す…すし き…きんぴらごぼう おやつにも気配りを 子供は必要とするエネルギーの量が多く、エネルギー補給のためには、三度の食事以外におやつが必要である。でも、スナック類やインスタント食品は、糖分や脂肪分が多く、避けたほうがいいおやつだ。 カルシウムやビタミン類が補えるようなもので、低カロリーのものを与えたい。 おやつは子供にとって楽しい時間。しかし、食べ方を間違えれば肥満のもとなので、ご注意を! 間食の目安 1日に必要なエネルギーの10~15%程度にすること。 1日に必要なエネルギーは?(kcal/1日) 年齢(歳) 男 女 6~81,9001,700 9~112,2502,050 12~142,5502,300 15~172,7502,200 ※生活活動強度がIII(適度)の場合(厚生労働省の発表より) 食事はだれとしていますか? だれと一緒に食べましたか? NHKの調査によれば、1人、または子供だけで朝食を食べているケースは、約38%、夕食は約16%。朝食も夕食も1人または子供だけという場合は、約10%だという。 また、肥満大学生を対象に行った調査でも、太っている人ほどひとりで食べている割合が多い。 大人の事情もいろいろあるが、情操教育の場でもある食事を、もう一度みなおしてみては? 公開日:2001年8月20日
子供が肥満になる大きな原因には、過食や運動不足などが挙げられます。今回は特に乱れつつある「食生活」について、取り上げます。改めて食生活を見直しましょう。 目次 こんな食生活をさせていませんか? 野菜嫌いはおとなの責任 朝食を抜いてはダメ こんな食生活をさせていませんか? 大人でも子供でも、食べた分だけ消費できなければ、太る。今の子供たちは、テレビやゲームの普及や、学習塾や習い事などで時間が取られ、運動不足になっていると言われているが、実は食生活にも大きな問題がある。あなたの家庭では、こんな食生活をしていないだろうか? ここが問題! ●インスタント食品が多い ●スナック菓子などのおやつが多い ●濃い味、脂っこいものが多い ●肉料理が多い ●ファーストフードが多い ●ジュースをよく飲む ●アメやガムなど、いつも何か口に入れている 野菜嫌いはおとなの責任 子供の嫌いな食品といえば野菜。特にピーマンやナス、ニンジンなどは上位に挙げられる。野菜には、ビタミンやミネラルが豊富で、子供の成長に欠かせない栄養が詰まっている。それだけでなく、野菜には繊維質が多く、肥満防止や、子供の咀嚼力を高めるためにも必要なのだ。 子供の好きなメニューには野菜が少ない。でも、野菜を取り入れたメニューをできるだけ子供たちに食べさせたい。 子供の嫌いなメニュー サラダ類 野菜炒め ナス料理(焼きナスなど) 酢のもの 焼き魚 漬物 煮魚、サバミソ煮など みそ汁 煮物 酢豚 出典:日本体育学校健康センター、1996 子供の嫌いな食品 ピーマン ナス ニンジン レバー類 セロリ 出典:日本体育学校健康センター 朝食を抜いてはダメ 「昨日は飲みすぎちゃって、今朝は食欲がないなあ」なんて理由で大人なら朝食抜きにすることもあるだろう。でも、子供が朝食抜きなんていうのはもってのほか。食べない理由は、「朝起きられない」「食欲がない」など。夜更かしする子供が増えていて、夜食を食べているのも原因のひとつだ。 朝食をしっかりとることは、学校で授業を受けるうえでもとても大切なこと。もう一度、朝食を見なおしてみよう。 朝食をときどきまたは食べない方が多い者 資料:「児童生徒健康状況調査報告書」より(日本学校保健会) 公開日:2001年8月20日
食べ合わせには、組み合わせることで吸収率がアップするものや、体に害を与える効果を打ち消す組み合わせもある。さらに、栄養素の効果的な組み合わせも知っておこう! 目次 カロチンは油と一緒に たんぱく質はたんぱく質分解酵素と ビタミンB1は硫化アリルと カルシウム吸収にはビタミンD2と太陽光線 ナトリウムの害を防ぐカリウム カロチンは油と一緒に カロチンを多く含む野菜 参考資料:食品成分早見表 カロチンは、体内に入るとビタミンAに変化するが、それだけでは吸収率が悪い。しかし、油(脂肪)と一緒にとると吸収率がアップする。例えば、にんじん、ほうれん草の場合、煮たときには吸収率は20~30%だったのが、油で炒めたときには60~70%と倍以上に増える。にんじんのグラッセやほうれん草のいためものなど、緑黄色野菜を油と一緒にとれるよう料理法を工夫しよう。 たんぱく質はたんぱく質分解酵素と たんぱく質は、体内で有害物質への抵抗体質をつくるのに必要。たんぱく質をたんぱく質分解酵素と一緒に食べると、ムダなく消化・吸収される。ハンバーグに乗っているパイナップルや酢豚に入っているパイナップルはこのためだ。 たんぱく質分解酵素とは ●プロメリン(パイナップル) ●パパイン(パパイヤ) ビタミンB1は硫化アリルと ビタミンB1は糖分をエネルギーに変える時に必要なビタミンだが、硫化アリルと一緒にとるとその効果が高まる。ビタミンB1は豚肉やレバー、大豆、うなぎ、玄米などに含まれ、タマネギなどと一緒に食べると肥満防止につながる。 硫化アリルとは タマネギ、ネギ、ニンニクに含まれる臭み成分 カルシウム吸収にはビタミンD2と太陽光線 カルシウムは骨の形成やイライラをおさえるのに必要なもの。これは、ビタミンD2(活性ビタミンD)の助けを借りて運搬され吸収されやすくなる。ビタミンD2を含むのは天日に干した、干ししいたけ。ビタミンDを含む食べ物はかつお、いわし、ぶり、レバーなどいろいろあるが、カルシウムの吸収を助けるビタミンD2にするにはこれらを食べた後に太陽によくあたること。 ナトリウムの害を防ぐカリウム ナトリウム、いわゆる塩分はとりすぎると高血圧を引き起こす。でも、カリウムをとればナトリウムが排出されるため、高血圧防止になるというわけだ。 カリウムは、ワカメ、昆布などの海草類に豊富。ワカメの味噌汁は味噌の塩分をワカメがセーブするすぐれた組み合わせだ。 参考文献:「効き目が2倍、3倍になる食べ合わせ事典」田村哲彦著 ブックマン社 「医者から見た 健康食べ合わせ」谷津 三雄著 三天書房 「食べあわせ健康法」増尾清著 農山漁村分化協会 公開日:2001年3月19日
食べ物は、組み合わせることによってそれぞれが持つ力以上に効果を発揮することがある。でも、それぞれの食品には、得意、不得意がある。上手に生かせるよう、あなたの食生活を変えてみよう。 目次 「ワカメの酢の物」は科学的な食べ物!? 食べ合わせのいろんなタイプ 食は薬の代わりになる!? 食の基本をおさらい!食べ物の得意・不得意 「ワカメの酢の物」は科学的な食べ物!? 食べ合わせと聞くと「天ぷらとスイカ」や「うなぎと梅干」のように、組み合わせるとよくないものが頭に浮かぶかもしれない。でも、食べ物には一緒に食べたほうがいいものもある。 例えば、さっぱりとして口当たりのよい「ワカメの酢の物」。ワカメは栄養価の高い食品だが、じつはそれだけでは消化があまりよくない。ところが、酢をかけて食べると吸収率がアップする。このように、食べ物を組み合わせることによってそれぞれが持つ力以上に効果を発揮することがあるのだ! これを上手に生かせば、あなたの食生活もぐんと変わる!? 食べ合わせのいろんなタイプ たし算タイプ 食べ物の性質や作用が似かよったものの組み合わせ。効果がたし算的に現れる。 例:レモンとグレープフルーツ(疲労・美肌効果)、大根とかぶ(胃腸活性効果) かけ算タイプ 効果は同じでも、作用の違う成分を含む食品の組み合わせ。相乗的に効果が現れる。 例:煮魚としょうが(酸化防止作用)、ごぼうとたまねぎ(高コレステロール血症の改善) ひき算タイプ 片方の食品の有害な部分や体にかかる負担を減少するはたらきがある組み合わせ。 例:冷奴とネギ(体を冷ますものと温めるもの) 食は薬の代わりになる!? 人は食べることなしでは生きられない。その食をおろそかにすると、生活習慣病をはじめとするさまざまな病気にかかってしまう。が、糖尿病や高コレステロールで困っていたとしても、食生活を見なおせば、薬に頼らなくてもかなり改善されるのだ。 ところで、天然の食物は、ビタミンやアミノ酸、必須脂肪酸など体のなかでつくることができない栄養を含んでいる。これらの栄養素は人体のさまざまな機能を調節するはたらきがあるため、かかせないものだ。サプリメント類でこれらの栄養を補給することもできるが、やはり食べ物そのものから吸収したほうが有効性が高いという事例も発表されている。 正しく食べれば薬にもなり、健康な体がつくられるというわけ。食生活を見直すチャンスかも!? 食の基本をおさらい!食べ物の得意・不得意 それぞれの食品には、得意、不得意がある。これらを上手に組み合わせることで、それぞれがもつ良さがさらにパワーアップするのだ。基本的なことではあるが、一度おさらいしてみよう。 食べ物の得意・不得意 種類 得意 不得意 野菜類 野菜によって差こそあるものの、ビタミン類や食物繊維が豊富。カルシウム、カリウムなどのミネラル類も含まれており、低カロリー。 ビタミン、ミネラルを摂取するには、かなりの種類・量を食べなければならないこと。また、野菜によってビタミン・ミネラルの差が大きいため、きちんと摂取するには、かなりの知識が必要。 肉類 高たんぱく質、高エネルギー。必須アミノ酸が多く、鉄分・ビタミンB群も含まれる。特にレバーはビタミン・ミネラルが豊富。 とり過ぎると高コレステロールになる。ビタミンCや食物繊維はほとんど含まれていない。 魚介類 青魚の脂肪にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの不飽和脂肪酸が多く含まれている。 ビタミンCはほとんどない。一部の魚を除き、ビタミンAもほとんどない。貝類はコレステロールが高い。 海草類 食物繊維が豊富。カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅などのミネラルも豊富。 エネルギー源にはなりにくい。のり以外はビタミンCはほとんどない。 参考文献:「食べあわせ健康法」増尾清著 農山漁村分化協会 公開日:2001年3月12日
食べ合わせとは、本来その食材が持つ効力を他の食材と合わせることによって2倍以上の相乗効果が得られるもののことだ。例えば、ワカメの酢のものはワカメだけでは消化があまりよくないのに、酢とあわせることで吸収率がぐんとアップする。今回は、男性・女性それぞれの悩みに効く食べ合わせをいくつか紹介しよう。 目次 冷え性には… 貧血には… 肌荒れには… 便秘には… インポテンツには… 強壮効果には… 冷え性には… タイのかぶら蒸し 白身魚のタイには、疲労回復作用のあるタウリンが含まれており、おなかを温めて胃腸を整えるはたらきがある。かぶの根にも胃腸を温めて腹痛を和らげるはたらきがあるため、一緒にとると効果的。 しょうがと鶏肉のお粥 しょうがは漢方でも体を温める作用があるとして重宝されている。鶏肉とともにお粥にすれば体を温めて冷え性にバッチリ効く。 貧血には… ほうれん草とレバーの炒め物 貧血は鉄分不足により起こるが、ほうれん草やレバーには鉄分や葉酸、マンガンなどの増血作用のある成分もたっぷり含まれており、貧血予防効果が最大にはたらく。 アサリのレモン蒸し アサリは鉄分やカルシウム、ビタミンB2・B12が豊富。ビタミンB12には増血作用があり、鉄分の吸収を促進するクエン酸が含まれているレモンと一緒にとると効果的。鉄分豊富なパセリを加えるとさらにいい。 肌荒れには… きゅうりとのりの酢のもの ビタミンAやCには活性酸素を除去する作用があり、肌にハリや潤いを与え、メラニン色素が沈着するのを防ぐ。のりのメラニン色素を還元する作用、酢の代謝促進作用などがシミ・ソバカスに有効。 さやいんげんとイカの炒め物 えんどう豆を若いうちに摘み取ったものがさやえんどう。成長途中で摘み取るため、ビタミンCが多いのが特徴。ビタミンCは皮膚や骨などをつくるたんぱく質であるコラーゲンの合成を促すはたらきがある。 便秘には… さつまいもとにんじんのゴマサラダ さつまいもは食物繊維が豊富で腸内で吸収されず、吸水性が高いため、便のかさを増やして便秘解消に効果的。ニンジンのカロチンと繊維によってさらにパワーアップ。 バナナヨーグルト ヨーグルトは腸内の掃除屋としてあまりにも有名。それにバナナの排便を容易にする効果と合わせれば便秘解消の強力な味方。 インポテンツには… 肉料理とゴマだれ ゴマに含まれるカルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが肉のアミノ酸と結びついて体内の恒常性をアップ。 牡蠣とワカメの蒸し物 牡蠣(かき)に含まれる亜鉛・カルシウムは「セックス・ミネラル」ともいわれるほど性機能に効果大。海草類にも亜鉛やカルシウムなどのミネラルが豊富なので、合わせて食べればインポテンツ知らずになるかも。 強壮効果には… ネギ納豆 納豆のネバネバはアミノ酸がつながったもの。この中に含まれるナットウキナーゼには強壮効果がある。その効果は朝鮮人参に匹敵するほどとか。また、ネギに含まれる硫化アリルは疲労回復・食欲増進効果があるため、強壮効果がアップ。 牛肉のニンニク焼き 想像するだけで精力がつきそうな一品。ニンニクにはホルモンを刺激して精子の増殖を促す作用がある。牛肉と一緒に調理すると、肉が柔らかくなり消化を促進するので効果的。 参考文献:「効き目が2倍、3倍になる食べ合わせ事典」田村哲彦著 ブックマン社 「医者から見た 健康食べ合わせ」谷津 三雄著 三天書房 公開日:2001年3月19日
食欲がないとき、胃腸が弱っているとき、風邪をひいたとき…。いずれも、食べ物が薬になることもある。それぞれの場合の食べ合わせを紹介する。 目次 食欲不振には… 胃腸が弱っているときには… 下痢には… 疲労回復には… 風邪をひいたときには… 二日酔いには… イライラ解消には… 食欲不振には… やまいもと春菊のスープ やまいもは、春菊と食べ合わせると胃腸の消化機能を高め、胃のもたれや食欲不振をとり除く効果がある。やまいもは滋養強壮に効く食べ物とされ、精がつくことから「山のうなぎ」とも言われるほど。 胃腸が弱っているときには… そばと梅干 梅干に含まれるクエン酸は、胃腸のはたらきをよくして食欲を増進させる。そばにも胃腸のはたらきを整える作用がある。また、そば湯にはルチンという脳卒中に効く成分が溶け出しているので、必ずそば湯は飲もう。 下痢には… りんごヨーグルト ヨーグルトの乳酸菌は腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内の病原微生物の増殖をおさえて下痢を改善する効果がある。また、りんごのペクチンにも善玉菌を繁殖させ有害菌をおさえるはたらきがあるため、下痢止めに効果的。 疲労回復には… 梅粥 梅に含まれるクエン酸は、脂肪酸の代謝を促して血液中にたまった乳酸(疲労物質)を分解してくれる。これを身体を温める効果のあるおかゆと食べれば元気もりもり。 風邪をひいたときには… 梅干しょうが汁 しょうがは漢方でもよく使われるように保温性、発汗作用に優れており、梅干の疲労回復効果とあわせれば、風邪の引き始めにはもってこい。これを飲んだらぐっすり眠ること。 はちみつ大根 大根にはのどの炎症をおさえ、せきや痰をとり除く効果があり、はちみつものどを潤し呼吸を整えるはたらきがある。 二日酔いには… シジミのみそ汁 シジミはタウリンやオチアミン、コハク酸などを豊富に含み、これらが胆汁の分泌を促して肝臓の解毒作用を活発にし、ビタミンB12と協力して肝臓の機能を高めてくれる。すまし汁よりはみそ汁の方が二日酔い解消には効く。 イライラ解消には… イワシのシソ巻き焼 イライラを鎮めるにはカルシウムをとること。イワシやアジなどの青魚を食べるのがいいが、丸ごと骨まで食べられる調理法にしよう。シソのシソアルデヒドには嗅覚神経を刺激し、イライラを鎮める作用がある。魚の生臭さもとれて、さらに効果的。 参考文献:「効き目が2倍、3倍になる食べ合わせ事典」田村哲彦著 ブックマン社 「医者から見た 健康食べ合わせ」谷津 三雄著 三天書房 公開日:2001年3月19日
人気のココナッツオイルにも多く含まれる「中鎖脂肪酸」とは? 料理でよく使われる油といえば、サラダ油やオリーブオイル、ラードなどが一般的。そんな中、ヘルシー志向の女性を中心に近年人気が高まっているのが、ココナッツオイルです。一般的な油との違いで特徴的な点として、ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が多く含まれることが挙げられます。 中鎖脂肪酸は、ココナッツやパームフルーツに含まれる天然の成分で、母乳や牛乳にも含まれており、私たちも普段から摂取しています。中鎖脂肪酸の分子の長さは、オリーブオイルやラードなどに含まれる長鎖脂肪酸の約半分。肝臓で素早く分解されるため、体脂肪がつきにくく、エネルギーになりやすいことが知られています。 医療の現場で40年以上!意外なところで利用されている中鎖脂肪酸 中鎖脂肪酸は、健康オイルに使われたり、ココナッツオイルに含まれていたりすることから、一般的には料理に使われる食用油のイメージをもたれています。しかし、すぐにエネルギーになりやすいという特長から、エネルギーを積極的に必要とする医療現場でも、40年にわたって使われ続けてきました。このことからも、中鎖脂肪酸は安心して利用できる成分であることが分かります。さらに現在は医療現場だけにとどまらず、高齢者の低栄養状態(PEM:たんぱく質・エネルギー欠乏症)を改善するために、介護の現場でも利用されています。 医療現場での中鎖脂肪酸の利用者 ●未熟児 ●腎臓病の患者 ●高脂肪食が有効な一部のてんかん患者 ●長鎖脂肪酸を利用しづらい消化器系の手術を行った患者 …など アルツハイマー病に関する研究報告も!脳の栄養不足を改善 中鎖脂肪酸には、ケトン体という物質を体内に多く作り出す働きもあります。ケトン体は、脳でブドウ糖が不足したときの、第二のエネルギー源。中鎖脂肪酸のこの働きに注目しているのが、アルツハイマー病をはじめとする、脳機能に関わる医療現場です。アルツハイマー病患者の脳では、ブドウ糖利用が著しく低下してエネルギー不足に陥り、脳が正常に機能しなくなっています。このことから、脳のエネルギー源となるケトン体を作る中鎖脂肪酸が、アルツハイマー病の予防に役立つのではないかという研究が進められています。実際に、中鎖脂肪酸の摂取が記憶力低下を抑制するという研究成果が、アメリカで既に報告されています。 「あぶら」をすべてひとくくりにして、「悪者だから、できるだけ控えよう」と認識されていたのは、ひと昔前までの話。現在では、それぞれの油ごとに、健康に良い機能があることが知られています。中鎖脂肪酸が含まれた健康オイルや、中鎖脂肪酸100%のオイルが、店頭や通販などで手に入ります。毎日の食生活に、うまく取り入れてはいかがでしょうか。 公開日:2015年2月16日
必要な量と摂ってる量のバランスはOK? 第1部でメタボリック・シンドロームを正しく理解したところで、第2部はメタボ予防の実践編。 メタボの改善&予防策として、一番よく行われる食事療法にフォーカスして実践のポイントとアンチメタボレシピを紹介した。 アンチメタボな食生活のポイント1つ目は、自分の適正エネルギーと標準体重を知ること。メタボになったり、メタボ予備群の人は1日の摂取エネルギーが必要以上にオーバーしている。 そこで、参加者に実際に自分にとっての1日の適正なエネルギー量を計算してもらった。 もし、減量が必要な場合も、急激にカロリー制限するのではなく、適正エネルギーからマイナス200~300キロカロリーを目安に。体重も1ヶ月1~2キロ程度にゆっくり落としていくのがポイントだという。 食べたい!を叶える魔法のテク“change” カロリーは制限されている。それでも、食べたい。そんな要望に応えるために、ご家庭実践編では、5つのレシピを紹介。 酢豚、パスタ、カレー、ステーキ丼、クレープと、食事制限とは一見かけはなれた人気メニューを実現した工夫とは――。 キーワードは“change” 酢豚 → お肉の種類、部位を変える パスタ → パスタの形状を変える カレー → 盛り付けを変える ステーキ丼 → お肉の種類を変える。具材を変える クレープ → ソースやクリームを変える 食事は毎日のことなので、面倒と感じてしまいがちだが、こうしたちょっとした工夫で簡単&たのしい食生活にしていくことができる、と鶴田管理栄養士。 素材と発想を変えることで、カロリーカットを実現したレシピは女性の参加者から「今晩から早速やってみたい」と好評だった。 どうしても、揚げ物が食べたい時はどうしたらいい? ただ、どうしても好物のから揚げが食べたい。そんな日もある。そんな時は?の質問に「高カロリーの揚げ物は、なるべく避けていただきたいものですが、どうしても食べたいときもありますよね。そんなときはカロリーを抑えるのには、使うパン粉を細かいものにする、などの工夫が考えられます」と鶴田管理栄養士。 会場の熱気ある雰囲気から、健康に関心のある人が多いことをあらためて実感。ヘルスクリックとして今後も情報提供していくことの意義を感じとった。
メタボの本当の意味と怖さって? 講師:板倉弘重先生 メタボリック・シンドローム――。 その言葉はよく耳にするし、実際、気にもなっている。でも、そもそもどんな病気なの? そんな方のために、第1部ではまず、易しくメタボを解説することからスタート。 テレビでもおなじみ、栄養・代謝がご専門の板倉弘重先生が、メタボリック・シンドロームの本当の意味、恐ろしさを教えてくれた。 皆さんは、「メタボリック症候群」イコール「太っている人」「ウエストが太い人」「ビール腹の人」と思っていないだろうか? 残念。実はそれはどれも正しくない。 そもそも、メタボリックとは日本語で「代謝」、シンドロームとは「症候群」。「メタボリック・シンドロームとは、内臓脂肪が増えることで血液中の糖や脂肪を分解するはたらきが正常に行われず、肥満、高血圧、高脂血症、高血糖といった様々な症状が重なって出現する病気なのです」と板倉先生。 内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が分泌する悪玉ホルモンが、血圧を上げる、血糖値を上げる、血液をドロドロにするなど、全身で様々な悪さをはたらき、それによって様々な症状が引き起こされるという。 メタボリック・シンドロームの診断基準はこの通り。 よく、メタボ=おなかがポッコリのイメージをもたれるが、単純にウエストが太いかどうかが大事なのではなく、そこから内臓脂肪の蓄積量をチェックすることができるためにウエストが重視されている。 どうしてメタボは危険性と言われるのだろう。 それは、1つ1つの症状が軽くても重なって起こることで、脳血管障害や心疾患など命に関わる大きな病気の発生率が格段に高くなるといわれているから。 「肥満、高血圧、高血糖、高中性脂肪のうち危険因子が3つ以上重なると、心筋梗塞の発症危険度が36倍以上になることが分かっています」(板倉先生) 打つ手はあるの? メタボリック・シンドロームに該当する人は約960万人。 予備群をあわせると、約1940万人にのぼると推定されている。 「男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック・シンドロームを強く疑われる、または予備群と考えられています」と板倉先生。 防ぐ手立てはまず、日々の生活習慣を見直すこと。特に、運動と食事の2点が大事であると強調された。 ただし、やせすぎの妊婦や妊娠中のダイエットなどにより胎児への栄養が不十分だと、生まれた子どもはメタボになりやすいといわれている。 メタボは遺伝する!? 講演後の板倉先生への質問タイムでは、こんな気になる質問が寄せられた。 「確かに、メタボリック・シンドロームになりやすい体質というのはありますし、以前は遺伝が大きくかかわっているといわれていました。ただ、最近の研究では、遺伝的要素以上に環境的な要因のほうが大きいといわれています」と板倉先生。 例えば同じ遺伝子を持つ双子でも、どういう生活を送るかで、糖尿病になる、ならないに差が現れる場合もあるという。 「過剰に塩分を摂取しない、適度な運動をするなど、自分で守れることをやっていくことで『なりやすい体質』という負の遺産もカバーできると言えます」
危険ゾーンを乗り切って、ハッピー年末年始! なにかとせわしない年末年始。「仕事は片付かないし、付き合いは多いし」などとイライラしている人もいるのでは?ライフスタイルが乱れがちなこの時期だからこそ、眠る前のひとときや昼休みなど、自分だけの時間を持とう。アロマテラピーを楽しんだり、好きな音楽を聴いたりしてくつろぐことが大切。軽くストレッチをするのもよい。そのほか、年末年始をゆったりと過ごすための知恵を紹介しよう。 ダイエット危険ゾーン「宴会のおつまみって、おいしーい!」 宴会でだらだらとおつまみを食べていると太りがち。なぜなら、食事が夜遅くなればなるほど、代謝量が落ち、食べたものが脂肪に変わりやすくなるからだ。ある程度食べたら箸は置いておこう。なるべく野菜でお腹をいっぱいにするよう努めたり、時間のあるときには、毎日の体重や食事内容、ダイエットのために飲んだサプリメント、運動ができたかどうかなどを日記につけて、振り返ってみるのもいいだろう。 禁煙危険ゾーン「雰囲気につられて、吸っちゃった!」 禁煙している人によくある失敗が、せっかく禁煙していたのに、宴会の場の雰囲気につられて「つい一本だけ…」と吸ってしまうこと。こういうときには、席順にもひと工夫を。あらかじめたばこを吸わない人と隣に座れば、誘惑も減り、あえてその場で吸う気にもならなくなるはず。またそれに、吸ってしまっても落ち込むことはない。翌日からまたしきり直せばOK! 寝不足危険ゾーン「宴会が盛り上がって午前様…眠いなぁ」 睡眠のサイクルが乱れると、睡眠障害を招くことにもなりかねない。宴会で盛り上がるのはほどほどに。遅くまで残業するよりも、仕事は早朝にこなすことをすすめる。静かな朝は意外に作業がはかどるもの。資料を読んだり、プランを練ったりするにはもってこいだ。朝食にパンやご飯などの炭水化物をしっかり摂れば、頭が冴え仕事のスピードもアップ! どうしても眠いときは移動中やお昼休みに20分くらい昼寝をしてもOK。短時間ならかえってリラックス度が高まり、夜の睡眠に悪い影響を及ぼすことがない。 イライラ危険ゾーン「なんでこんなに忙しいの!イライラ…」 血液中のカルシウム濃度が減少すると神経がうまくはたらかなくなり、神経や感情のコントロールがみだれてしまう。ホットミルクなどを飲んで、心をおだやかにするよう心がけてみよう。サプリメントを活用すれば、必要なカルシウムを手軽に摂取することが可能だ。 また、リラックスには「ゆず湯」もおすすめ。そもそも古来より、日本人には冬至に「ゆず湯」に入る習慣があった。もともとゆずは邪気を払う果物とされているが、実際、血行を促進して免疫力を高め、風邪をひきにくくする効果がある。またゆずの皮には、お肌をすべすべにしてくれる天然精油が含まれている。ゆったりといい香りに包まれてお風呂を楽しめば、リラクセーション効果もばっちり。温度をぬるめに設定すれば、血液中の疲労物質が減少し、ストレスも解消できる。 宴会シーズンのストレス発散テクニック カラオケ カラオケで思い切り歌うと心が晴れ晴れするのはどうして?――そんな疑問を感じたことはないだろうか?じつはカラオケには、ジョギングや水泳などの有酸素運動と同じリラクセーション効果がある。歌を歌うとき深く長く呼吸するので、体内に酸素がたくさんとりこまれるからだ。酸素は脳にも行き渡り、そのためセロトニンなど心を穏やかにする脳内ホルモンが活性化するのである。日ごろ、「人前で歌うのはちょっと…」と敬遠している人も、今年はぜひ積極的にマイクを持ってみよう。仲間とわきあいあいと楽しめば、さらにストレスが軽減されること間違いなしだ!
お酒を飲む機会が多くなる時期は、ぜひ肝臓をいたわりつつ、スマートにお酒を楽しみたいものです。適量を守って飲むための5ヵ条を紹介します。 目次 百薬の長「お酒」はスゴイ! もうお酒に飲まれない!飲み会を華麗に乗り切る5ヵ条 飲み過ぎちゃった、どうしよう!?お助け成分はコレ! 百薬の長「お酒」はスゴイ! 何かとお酒を口にすることが多くなる年末年始や春の歓送迎会のシーズン。この時期は、帰宅が午前様になったり、祝日だからと気が緩み、連日、昼酒を飲んでしまう…という人もいるのではないでしょうか。 「百薬の長」という言葉もある通り、お酒は健康にいいともされています。「まったく飲まない」よりも、「ほどほどに飲む」ほうがいいというデータもあり、1日に日本酒換算で1~2合程度の飲酒をする人が、心疾患や事件・事故などの死亡リスクが一番少ないというのです。グラフに表したときの形から、これを「Jカーブ」と呼んでいます。 お酒を飲む機会は多い季節も、ぜひ肝臓をいたわりつつ、スマートにお酒を楽しみたいものです。くれぐれも「百薬の長」という言葉に甘えず、適量を守って飲むようにしましょう。 お酒の適量はどのくらい?適正飲酒量を計算してみよう 「もうお酒に飲まれない!」飲み会を華麗に乗り切る5ヵ条 その一 腹ごしらをえしよう アルコール度数が10度以上のお酒を空き腹に飲むと、胃壁を傷つけてしまいます。食前酒にいきなり強いお酒を飲むのはタブー。できれば飲み会の前に、軽く何かお腹に入れておくとよいでしょう。おすすめは牛乳です。たんぱく質やミネラルは、アルコールの分解を助け、悪酔いを防止してくれます。事前に水分補給することによって、アルコールの濃度も薄まります。 その二 カクテルにご注意! 甘いカクテルは女性に人気があります。ですが、カクテルに含まれている糖分にはアルコールの吸収を早めるはたらきがあるのでご注意を。バーボン、ブランデー、ラム、スコッチをベースにしたものは悪酔いしやすいようです。どちらかといえば、ジンやウオッカベースのほうがおすすめです。 その三 おつまみをきちんと食べる アルコールの分解に必要なたんぱく質やビタミンB1、ビタミンCは必ず摂りたいものです。豆腐や納豆、焼き鳥、刺身などのおつまみがおすすめ。また寄せ鍋やおひたし、スティック野菜、酢の物などでビタミンやミネラルを積極的に摂りましょう。反対にチョコレートやレーズンバターなどの甘いものはアルコールの吸収を早めるので、軽めにしておきましょう。 その四 はしごはしない! 体内のアルコール処理には、時間がかかります。特に深夜まで深酒すると、翌日まで体内にアルコールが残りがちです。できればはしごはやめましょう。2軒目に付き合わざるを得ない場合は、お酒以外の水分を摂取し、アルコールを薄めるようにします。また周囲からアルコールを強要されたら、はっきりノーを言うことも大切です。 その五 昼酒はほどほどに お正月などは朝酒、昼酒の機会も多いものです。しかし、日中のお酒は酔いが早いようです。これは昼の方が体温が高く、血液循環がよいため。また、明るいうちからお酒を飲むという「ハレ」の雰囲気が興奮を呼ぶから、ともいわれています。日中のお酒はできれば控えましょう。 飲み過ぎちゃった、どうしよう!?お助け成分はコレ! 自宅で食事する日は、お酒で失われる栄養素の補給に努めましょう。良質のたんぱく質はとくにしっかり摂りたいものです。また外食ではなかなか摂れないビタミン、ミネラル、食物繊維もバランスよく食事に取り入れましょう。そのほか、アンモニアの解毒を促進し、脂肪肝や肥満を防止するアルギニン、疲労回復に効果的なアスパラギン酸、肝機能を改善するタウリンも体調を整えるのに有効です。サプリメントやドリンク剤などで摂るとよいでhそう。 二日酔いの翌朝はたっぷり水分補給し、アルコールを排出しましょう。肝臓のはたらきを高めるグレープフルーツジュースやしじみ汁がおすすめです。ウコン、マリアアザミ、アミノ酸などのサプリメントも利用してみてください。
冬の体はこうなっている! 寒くてカラッと乾燥した冬はウイルスの活動が活発になる季節だ。その一方、私たちの体は鼻や喉の粘膜からの分泌が抑えられ、ウイルスを通しやすくなるので、栄養をしっかり摂ってウイルスに立ち向かいたいところ。 だが、年末年始は忘年会や大晦日、新年会など、外食の機会が多くなるシーズン。漫然と食べてばかりでは、体にも負担がかかってしまう。せっかくのごちそうなのだから、逆に味方につけて美容と健康度をアップ!定番メニューの栄養効果や食べ方を知っておこう。 乱れがちな年末年始も食べ方次第! 忘年会:一年の苦労を忘れよう みんなで食べるバランス食!鍋料理 外食続きが多い年末にもってこいの鍋料理。体を温めるばかりでなく、野菜が豊富で栄養バランス満点のヘルシー料理ともいえる。この時期よく食べられる3つの鍋についてみてみよう。 ●寄せ鍋 魚介類・肉類・野菜類が豊富。しかし、肉や魚にばかり箸をのばしていると、カロリーの摂り過ぎになりかねない。ダイエットが気になる人は野菜を多めに! ●ちゃんこ鍋 「ちゃんこ」はチャンとコ(父と子)のこと。つまり親方と弟子が一緒に食べることに由来している。さまざまな素材が生かされたバランス食。動脈硬化に予防効果のあるDHAたっぷりのイワシのつみれがおすすめ。 ●石狩鍋 鮭や大根、白菜、ジャガイモなど冬の味覚が楽しめる。鮭に含まれるアスタキサンチンは抗酸化能力が高く、動脈硬化などの予防効果が高い。カロリーも低め。 大晦日:大晦日の定番!年越し蕎麦は蕎麦湯までしっかり飲む 蕎麦にはビタミンPの一種、ルチンが豊富。ルチンは心臓病や脳血管障害、動脈硬化や高血圧を予防する効果が。ただし、水溶性ビタミンのため、ゆで汁のなかに溶けてしまうので、蕎麦湯でルチンを摂るのがおすすめ。 お正月:おいしい新年を食べよう 栄養もばっちり!おせち料理 お正月料理を「おせち」というようになったのは江戸時代から。素材となる昆布巻、ごまめ、蓮根、こんにゃく、大根、黒豆、かずの子などには、たんぱく質、でんぷん、ミネラル、ビタミンなどがバランスよく含まれ、健胃効果や、疲労回復効果、美容効果が期待できる。 そんなおせちの中でも紅白なますは、酢を使用することによって、大根のビタミンCが破壊されるのを防ぎ、血液サラサラ効果も期待できる。にんじんのビタミンAもたっぷりでおすすめだ。 食べ過ぎちゃった、どうしよう!?お助け成分はコレ! 脂肪分の多い食事が気になるときは、キトサンがぴったり。カニやエビの殻、イカの骨格などに含まれるキトサンは、腸内でのコレステロール吸収を抑え、血清コレステロール濃度を低下させる。太りたくない人や動脈硬化・心臓病が心配な人にとってはもってこいだ。サプリなどで摂るのがおすすめ。 胃の不調によいのがアロエ。ただし、キダチアロエとアロエベラの2種類があり、それぞれ効能が違うので注意しよう。胃のもたれにはキダチアロエ、空腹時の胃の痛みにはアロエベラがよい。市販のサプリメントやドリンク剤なら手軽に摂れる。 外食が続くこのシーズン。栄養の偏りが気になる人も多いのでは?こんなときこそ、いつもの朝食メニューを見直そう。例えば、野菜たっぷりの味噌汁やスープ、ジュース、青汁などで手軽にビタミンやミネラルを補給してみて! またサプリメントを利用するのもひとつの手だ。
あなたは、日々の食事で使用する油を意識していますか?体内で分解されやすく、体脂肪を減らすと言われている中鎖脂肪酸。同じ料理でも普通の植物油ではなく、中鎖脂肪酸の多い油を使用した方が体脂肪が低下するという研究結果も。ぜひ生活に取り入れたいですね。 目次 Q. 中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)が「体にたまらない」と言われるのはなぜ? Q. 中鎖脂肪酸油で体脂肪(BMI)が減るって本当? Q. 毎日使う油。中鎖脂肪酸の安全性は大丈夫? Q. 中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)が「体にたまらない」と言われるのはなぜ? A. 普通の植物油に含まれる脂肪酸(長鎖脂肪酸)は、体内にゆっくり吸収された後、蓄積され、必要に応じて分解されエネルギーになります。それに比べ、中鎖脂肪酸は消化吸収が速く、また、直接肝臓に運ばれ素早く分解されてエネルギーとなってしまうので、体に蓄積しないというわけです。 ■中鎖脂肪酸の分解のされやすさ ヒトに中鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸を投与し分解した脂肪酸の量を測定 出典:Furman. R.H. Medium Chain Triglycerides, University Pa press(1968) ■中鎖脂肪酸のエネルギーになる流れ 出典:M. Kasai. et. al: Asia Pacific J. Clin. Nutr. (In Press) Q. 中鎖脂肪酸油で体脂肪が減るって本当? A. 健康な成人男女82名(BMI 24.6以上)を対象に、中鎖脂肪酸を含んだ油または調合サラダ油どちらか10gを含む食事を3ヵ月間、摂ってもらったところ、体脂肪率などで減少がみられました。ということは、普段使っている食用油に替えて、中鎖脂肪酸を含んだ油を使うなら、体脂肪の減少も夢じゃないかもしれません。生活水準が高まると、食生活での脂肪摂取量は、ある程度増えてしまうからこそ、脂肪を摂取するときには健康オイルを利用するなど気を付けるとよいでしょう。 ■中鎖脂肪酸を含んだ油を3ヵ月間摂った例 出典:M.Kasai,et.al.Asia Pac.J. Clin. Nutr.,12 (2003) ●健康な成人男女82名で平均BMI※が24.6kg/m2の方を対象に、「中鎖脂肪酸を含んだ油」または「調合サラダ油」何れか14g/日を含む食事を12週間連続摂取。 ※BMI値…体重(kg)÷身長(m)の二乗 BMIチェックはこちら Q. 毎日使う油。中鎖脂肪酸の安全性は大丈夫? A. 中鎖脂肪酸は母乳、牛乳、乳製品の脂肪分に3~5%、ヤシ油、パーム核油などには5~10%程度含まれる、天然の成分です。母乳にも含まれている成分なので、つまり、赤ちゃんが食べても安心。なんと、中鎖脂肪酸100%の油は、エネルギーになりやすいという特徴から手術後の流動食や未熟児の栄養補給など医療用にも、長年使い続けられています。
無意識のうちに太っちゃう!? 体脂肪とは、「体につく脂肪」のこと。見た目を気にして、この体脂肪の値に一喜一憂する人も多いだろう。しかし問題なのは、見た目ではなく「健康」。よほどの肥満でない限り、体は痛くも苦しくもないが、確実に動脈硬化などの生活習慣病につながっていくのだ。 では、どうやって肥満を防いだらよいだろう?ここで、気を付けたいのが食生活。現代人は食生活が大きく変化してきており、その影響のひとつに「脂質の摂り過ぎ」がある。「脂質の摂取状況」によると、植物油やバター、マヨネーズなどのように「見える油」より、肉類やお菓子のように「見えない油」の方が、圧倒的に摂取量が多い。 脂質は摂り方しだいで良くも悪くもはたらくもの。健康のためにも、脂質の量はもちろん、種類や質にも気を配るようにしたい。 「脂肪酸」は体に不可欠な栄養素 食用油のラベルやCMで、よく目や耳にする、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸…。実は、これらはみんな「脂肪酸」の仲間である。普段、私たちが毎日食べている大豆やなたねなどからつくられた一般的な食用油は、脂肪酸が3つ結合した形をしておりこれがトリアシルグリセロールと呼ばれる油本来の形。そして結合した脂肪酸の種類によって油の質が決まるのだ。 名前に「脂肪」とつくと悪者のイメージだけど、脂肪酸だって大切な栄養素。生きていくために必要なエネルギー源としてだけではなく、細胞膜やホルモン、血液などの構成成分としても不可欠である。 さらに、不足しがちなカロチンやビタミンA、D、E、Kなど脂溶性ビタミンの吸収を助けるというはたらきも見逃せない。ホウレンソウやニンジンなどの緑黄色野菜は特に、生や茹でるより油で炒めた方が栄養の吸収がよいのだ。 種類いろいろ「脂肪酸」 しかし、ひとくちに脂肪酸といっても、種類によって特徴もさまざまである。ここでちょっと、私たちの身の回りにある代表的な脂肪酸の種類と特徴を紹介しよう。 脂肪酸の構造 炭素数の長さによって脂肪酸を種類で分けると、一般的な油に含まれるのは長鎖脂肪酸で、炭素が18個くらいつながっている構造をしている。一方、中鎖脂肪酸は、その約半分くらいの長さ。炭素数が8~10個での短い脂肪酸だ。長鎖脂肪酸に比べて短い分、水になじみやすく、サラサラとしている。 代表的な脂肪酸と、多く含まれる食品 飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸 長鎖 パルミチン酸(牛脂、ラード)オレイン酸(オリーブオイル)リノール酸、リノレン酸、DHA(植物油、魚油) 中鎖 カプリル酸、カプリン酸(ココナッツオイル)-- 短鎖 酪酸、酢酸(バター、酢)-- -:天然には全く、またはほとんど存在しない
オリーブオイルが健康的だといわれる第一のポイントは「オレイン酸」にある。オレイン酸は、血液中の悪玉コレステロールを減らすほか、優れた抗酸化力を発揮。健康に役立つ成分が、毎日の食生活で手軽においしく摂れるのだから、オリーブオイルの魅力ははかりしれない。うまく利用しよう! 目次 オリーブオイルの健康の秘密は「オレイン酸」 ビタミンやミネラルが豊富なのも果実ジュース=オリーブオイルならでは +ビタミンEで美肌度アップ! オリーブオイルの健康の秘密は「オレイン酸」 オリーブオイルの脂肪酸比率 五訂日本食品標準成分表(可食部100g当たり) オリーブオイルが健康的だといわれる第一のポイントは、脂肪酸の構成にある。ほかの通常の植物オイルに比べて、圧倒的にオレイン酸が多いのだ(品種改良された紅花油やひまわり油の中にはオリーブオイルと同等、もしくはそれ以上のオレイン酸を含むものもある)。 オレイン酸は、血液中の悪玉コレステロールを減らすほか、老化の原因とされる活性酸素の活動を抑える優れた抗酸化力を発揮。さらに血糖値をコントロールするインスリンのはたらきを助け、体脂肪をためにくくすることで注目を集める脂肪酸だ。逆に、悪玉コレステロールを増やしがちな飽和脂肪酸が少ないのもオリーブオイルの特長なのだ。 ビタミンやミネラルが豊富なのも果実ジュース=オリーブオイルならでは オリーブオイルの中でも特にエクストラバージンオリーブオイルといったバージンオリーブオイル類は、精製などの手を加えていない、果実を搾っただけの自然の恵み。このため、ビタミンやミネラルがたっぷり含まれているのも特長だ。オリーブオイルに含まれるこうした微量成分は300種以上ともいわれる。代表的な成分をあげてみよう。 オリーブオイルに含まれる代表的な成分 ビタミンA目の機能を保ち、肌荒れや風邪の予防にも欠かせない成分 ベータカロチン体内でビタミンAに変化し、抗酸化物質として効果的 ビタミンE動脈硬化や老化を防ぐ「若返りのビタミン」 ポリフェノール活性酸素に力を発揮するので、シミやソバカス、老化予防に期待大 スクワラン皮脂とともに肌の表面に膜を作り、水分の蒸発を防ぎ保湿を いずれも健康促進や老化予防、美容への効果で注目される成分ばかりだというのにお気づきだろう。こうした健康に役立つ成分が、毎日の食生活で手軽においしく摂れるのだから、オリーブオイルの魅力ははかりしれない。 +ビタミンEで美肌度アップ! さらに、オリーブオイルに含まれるオレイン酸には、ビタミンEの吸収を促すはたらきもあるといわれている。ビタミンEといえば、体のサビを抑える抗酸化作用で「若返りのビタミン」と呼ばれるもの。ビタミンE不足が気になるなら、サプリメントで補うなどしながら、オリーブオイルとともに上手に摂取していきたい。 公開日:2004年9月27日
古代から美・医・食・住とさまざまな場面で愛用されてきたオリーブオイル。その健康への実力を実証したのがキーズ博士であり、提唱されたのが「地中海食」。その全容を解説する。 目次 ヒポクラテスもクレオパトラもオリーブオイルを愛用! 「地中海食」で科学的にも実証された実力 心臓疾患への不安は日本でも ヒポクラテスもクレオパトラもオリーブオイルを愛用! オリーブオイルの歴史は古く、ヨーロッパでは紀元前約5000年頃には、使われていたとされている。なかでも紀元前3世紀にイタリア全土を平定したローマ帝国では、飲む・食べる・調理するといった「食」はもとより、儀式に、灯火に、体をマッサージするオイルに、さらにはオリーブの果肉とともに傷の手当てに…と、生活のさまざまな場面にオリーブオイルをふんだんに利用していたという。また、オリーブオイルを胃腸のために飲む習慣は古代からあったとされ、特に胆石を予防する効果は広く認められていたようだ。 さらに古代の偉大な医師・ヒポクラテスは入浴できないときはワインかオリーブオイルで体をこすると良いと考えていたといわれ、絶世の美女・クレオパトラは美容オイルとしてオリーブオイルを愛用していたともいわれる。 まさに、古代の人々にとってオリーブオイルは毎日の生活に欠かせない万能オイルだったといえそうだ。 「地中海食」で科学的にも実証された実力 古代から効能の高さと幅広さで愛用されてきたオリーブオイルが、単なる民間療法ではないと実証されることとなったキッカケは、米国の生理学者アンセル・キーズ博士によるところが大きい。キーズ博士は、1950年代、7つの国(アメリカ、フィンランド、オランダ、イタリア、ユーゴスラビア、ギリシャ、日本)を対象に、食習慣と心臓・血管の疾患の発生率を調査。イタリア南部やギリシャといった地中海沿岸部の伝統的な食習慣を持つ人々の心臓病の発生率が、ほかの欧米諸国の約1/3ときわめて低いことを突きとめたのだ。 しかも日本では1日の摂取エネルギー量に占める脂肪の割合を25%以内におさめるのが理想とされているのに対して、地中海沿岸では約25~30%、ギリシャではなんと約40%も脂肪分を摂っていたのに!である。 この結果からキーズ博士は、たっぷりの野菜と魚介、少しの肉、そして大量のオリーブオイルを地中海沿岸の食事法として定義し、提唱。オリーブオイルの健康への効果が、科学的にも一躍脚光を浴びるキッカケをつくりだしたのである。 心臓疾患への不安は日本でも 出典:厚生労働省「患者調査の概況」 かつて日本では発生率の少なかった心臓疾患が、食の欧米化とともに、増加傾向にあることはご承知の方も多いだろう。この心疾患を予防する観点から、普段の食生活における油脂分の割合を抑えるよう呼びかけられて久しい。だが、問題は油脂の量ばかりではなく、その種類にもあることが、キーズ博士の研究で明らかになった。 また、日本人は、調理やドレッシングに使うなど意識して摂取する油脂分1に対して、お菓子などで無意識に摂る油脂が2.5倍もあるとされている。つまり、自分では摂り過ぎないように注意しているつもりでも、摂り過ぎていることが多いということだ。 この機会に、無意識に摂っている油脂分も考えて食生活のバランスをとるようにするとともに、意識的に摂る油脂分については、種類や質にこだわりたいものである。 公開日:2004年9月27日
日本でも数多いの植物性オイルが市販されているが、その材料となっているものをご存知だろうか?日本の植物オイル事情と、オリーブオイルの種類についてご紹介する。 目次 いくつ知ってる?植物オイルいろいろ いまやオリーブオイルの認知率は100%!だが… オリーブオイルの等級はワインのごとく いくつ知ってる?植物オイルいろいろ 毎日のように私たちの台所で活躍している植物オイル。あなたの家には、何種類くらいあるだろう?サラダ油にごま油、紅花油…。最近ではグレープシードオイルやパンプキンシードオイルといった新しいタイプのものも出回ってきている。このうち、サラダ油は2~3種類の植物オイルをブレンドしたもの。では、その他の植物オイルは、植物の何が材料になっているのか知っているだろうか?ここでちょっと、私たちの身の回りにある植物オイルの種類と、その材料を見ておこう。 植物オイルいろいろ 原料 利用法 大豆油大豆他の植物オイルとブレンドされてサラダ油や天ぷら油に利用されている。 菜種油菜種の種子日本で最も古い植物オイルといわれ、現在も大豆油と並んでよく使われている。また「キャノーラオイル」は、品種改良された菜種のオイルのこと。 コーン油とうもろこしの胚芽主にアメリカで生産され、サラダ油や天ぷら油、ドレッシングやマヨネーズなどに広く利用されている。 紅花油紅花の種子淡泊な風味で、ドレッシングやマリネなど生食用にも利用されることが多い。 ごま油ごまの種子ごま油には2種類ある。褐色をしたごま油は焙煎して搾ったもの。透明なごま油は焙煎しないで搾ったものだ。 米油米ぬか日本で製法が研究されたオイル。現在は、サラダ油などにブレンドされるほか、揚げあられなどの製菓用にも使われている。 綿実(めんじつ)油綿の種子綿花を取った後の種子から取れるオイル。風味と安定性がよく、サラダ油やドレッシングなどに利用されている。 ひまわり油ひまわりの種子クセのない淡泊な風味で生食からサラダ油などへのブレンドまで幅広く使われている。 オリーブオイルオリーブの果実ヨーロッパで古来から愛用されてきたオリーブの果実を搾っただけのオイル。食用はもとより、化粧品、医療品にも利用されている。 パーム油パームやしの果実アブラヤシの果実を搾ったオイル。常温で固体のため、マーガリンなどの材料に使われるほか、インスタントラーメンなどにも使われている。 やし油ココやしの果実別名「ココナッツオイル」。常温で固体のため、マーガリンや製菓用に使われるほか、シャンプーなどにも利用されている。 落花生油落花生の種子独特の風味と香りで、主に香辛料のように使われている。 いまやオリーブオイルの認知率は100%!だが… 上の表を見てもわかる通り、植物オイルの多くは種子から搾られたものだ。その中にあってオリーブオイルは果実から搾られる、つまりはオリーブの果実ジュースであり、液状でそのまま生食できる唯一の果実オイルなのだ。 日本でもイタリア料理の流行をキッカケに広く知られ、使われるようになってきている。 ただ、日本での利用法は、食用油の種類別消費量から見ると、まだまだパスタなどのイタリア料理に限られているのかもしれない。あなたはオリーブオイルを、「イタリアンのためのオイル」と考えていないだろうか!?実際、イタリアなどではさまざまな料理にオリーブオイルは活躍している。日本でいうサラダ油のようなものと考えればよいだろう。この機会に、今までとは違うメニューにも取り入れてみたいものだ。 オリーブオイルの等級はワインのごとく さらに、ひと口に「オリーブオイル」と言ってもかなり奥が深い。レッチーノ、ピクアル、ミッション…。意味不明の単語のようだが、実は、これがオリーブの品種なのだ。オリーブの品種は世界に500種以上あるといわれ、一例をあげればスペインではピアクル、オビランカといった品種が多く、イタリアではフラントイオ、モロイオロなどが主要品種、そして日本ではミッション、マンザニロといった品種が栽培されている。 オリーブオイルはこうしたオリーブの品種、産地、摘んだ時期、さらに搾り方によっても風味が異なり、その等級はワインのように、テイストによってもランク分けされているのだ。そのうち、日本に輸入されているオリーブオイルは3種類。さて、あなたの家のオリーブオイルの等級は?早速チェックしてみよう。 バージンオリーブオイル 等級 酸度官能値備考 エクストラバージンオリーブオイル 1.0%以下6.5以上味・香りとも申し分のない最高品質。日本で輸入・市販されている。 ファインバージンオリーブオイル 1.5%以下5.5以上味・香りとも良好。 オーディナリーバージンオリーブオイル 3.3%以下3.5以上 ランパンテバージンオリーブオイル 3.4%以上3.5未満精製しなければ食用には向かない。もともとの語源は、灯油用の意。 リファインド(精製)オリーブオイル 等級 酸度官能値備考 リファインドオリーブオイル 0.3%以下0ランバンテ等級のものを精製したもの。 リファインドオリーブポマースオイル 1.5%以下0バージンオリーブオイルを搾った後の油カスから溶剤抽出したもの。 オリーブオイル 等級 酸度官能値備考 ピュアオリーブオイル 1.5%以下0リファインドオリーブオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたもの。単に「オリーブオイル」とも呼ばれる。日本で輸入・市販されている。 オリーブポマースオイル 1.5%以下0リファインドオリーブポマースオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたもの。日本で輸入・市販されている。 ※酸度は遊離オレイン酸の割合のこと。低いほど酸化しにくく、安定した品質がある。 ※官能値は、五感で感じる味・香り・色などを、フルーティ、ビター、スパイシーといったプラスの要素と、ステール、ビネガリー、メタリックなどのマイナス要素で評価したもの。評価が高いほど高品質である。 公開日:2004年9月27日
集中力を発揮するためには、脳のベストコンディションをキープすることが第一。そこで近ごろ話題のブレインフードに注目。脳を活性化する成分をご紹介。 目次 脳を活性化させる3大要素は「酸素」「栄養」「刺激」 こんな栄養素に注目 目のトラブルにはコレ 脳を活性化させる3大要素は「酸素」「栄養」「刺激」 どんなに集中力を発揮しようとしても、疲れ過ぎていたり、徹夜あけで睡眠不足、過度なストレス…といった状態では無理というもの。また、 意外に見落としがちなのが目のトラブル 。視力が落ちて見えにくくなっていたり、コンタクトレンズが合わなくなっていたりすると、集中しにくくなる。まずは健康チェックをして、脳が活発に活動できるベストコンディションを整えよう! 脳の活動を支えるベースは、十分な栄養と酸素。なかでも最近、酸素の補給は作業ミスを減らし、集中力を保ちやすくするともいわれ、注目されている。そして、脳の活性化には、ちょっとした刺激も必要といわれている。本を読んで新しい知識を仕入れる、旅行や散歩で新鮮な体験をする…音楽を聴くだけでも脳を刺激することになる。これらはぜひ毎日に取り入れていきたい。 こんな栄養素に注目 近年、脳の活性化に役立つとされる栄養素たちが「ブレインフード」と総称され、注目を集めている。こうした栄養素を普段から積極的に摂っていくことも、いざ集中力を発揮しよう!というときのパワーになってくれるかも。 DHA(ドコサヘキサエン酸) 不飽和脂肪酸の一種。脳の中にも存在し、特に脳内の海馬に多く存在している成分。主に、中性脂肪を低下させ、血栓を予防するとされているが、脳内ではさらに、神経伝達をスムーズにし、記憶学習能力を向上させるはたらきがあるといわれている。 ●多く含む食品:マグロ(とくに中トロ、目の裏側の脂肪分)、ブリ、サンマ、マイワシ、ウナギ ほかにも以下のような成分が脳によいといわれているようだ。 ホスファチジルセリン リン脂質の一種。脳の神経細胞に多くあり、脳細胞の新陳代謝を活発にするはたらきがあるとして話題を集めている。また、この成分は体内でつくることができないため、食べ物から摂取する必要がある。 ●多く含む食品:大豆 ギャバ 発芽玄米に多く含まれていることで脚光をあびたアミノ酸の一種。酸素の供給を増やし、血流を高めるほか、脳細胞の代謝を促し、老化を予防するはたらきがあるとされる。 ●多く含む食品:発芽玄米 コエンザイムQ10 別名「ビタミンQ」とも呼ばれる、体内でのエネルギー産生に必要な補酵素。細胞レベルで元気を育むので、脳細胞を活性化するはたらきがあるとされる。 ●多く含む食品:ブロッコリー、青背魚、レバー 目のトラブルにはコレ 長時間パソコンに向かったり、細かい作業などで目を使い過ぎる場合には、ビタミンAやブルーベリーを。ブルーベリーは、あの青紫色のアントシアニン色素という成分に、目の疲労感やかすみ、ちらつきなどの症状を改善させる作用がある。また、 ルテインも目の健康によいとされている。ルテインは、ブロッコリーやほうれん草、ケールなどの緑色野菜に多く含まれるカロチノイドの一種で、目を紫外線と酸化ダメージから守っていると考えられている。 公開日:2004年4月26日
生活習慣病を引き起こさないためには、毎日の生活習慣を改善することが、まずは一次予防策なのです。くどいようですが、見なおすべき生活習慣はまず食事と運動。これらは急に改善したからといって、効果が出るわけではありません。毎日の積み重ねが肝心です。 目次 予防の基本は「食事」「運動」「禁煙」 こうやって予防しよう~食事のポイント こうやって予防しよう~運動のポイント 予防の基本は「食事」「運動」「禁煙」 「生活習慣病」というからには生活習慣の乱れが病気に影響するというもの。特に、食事と運動が大きく関与している。軽度の肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの場合、治療として「食事療法」「運動療法」が取り入れられており、それらの療法は普段から行っていれば、生活習慣病の予防になります。 もちろん、そのどちらかだけを実行していてもダメ。食事も運動もセットで行うことが肝心です。 また、死の四重奏に喫煙を加えると「死の五重奏」とも言われるほど、喫煙は悪影響を与えています。生活習慣病を予防するためには、禁煙も欠かせないひとつなのです。 こうやって予防しよう~食事のポイント 食事で気をつけることは、「回数」「時間」「内容」。 基本は、「1日三度、決まった時間にバランスのとれた食事をすること」です。ちなみに、「今日は朝食を摂らなかったから、夕食はたくさん食べても過食にはならないだろう」という考えは間違いです。なぜなら、いくら1日の摂取量をオーバーしなくても、間隔を空けるほど飢餓状態が長くなり、一度にたくさん食べるまとめ食いの傾向が強くなるから。まとめ食いは食事量が多い分だけブドウ糖もたくさん作られ、それに伴いインスリンも多量に分泌され、皮下脂肪がつきやすくなる、という悪循環に陥ってしまいます。このような食生活の乱れは、生活習慣病への第一歩。とはいえ、仕事が忙しいビジネスマンは、なかなか決まった時間に野菜たっぷりのバランスのとれた食事が摂れない、というケースも多いでしょう。 そこで、「最低限、これだけは守って!」というポイントを初級・上級別にまとめました。現在、食生活が乱れている人はまず初級から始めてみましょう。 食事ポイント~初級編 ■外食では単品より定食メニューを選んで ラーメンやチャーハン、カツ丼といった単品メニューは高カロリー。しかも、使われている食材の数が少ないため、食べるならできるだけ定食メニューを選びましょう。特に、野菜が1~2品ついているものがおすすめです。 ■ファーストフードやコンビニ弁当には必ず野菜をプラス ファーストフードやコンビニ弁当には脂質や炭水化物が多く、栄養面から見るとバランスが悪い食事です。その分、野菜か豆製品を追加するように心がけましょう。ほうれん草のおひたしやきんぴらごぼう、ひじきや五目豆などがおすすめです。 食事ポイント~上級編 ■1日30品目を目標に バランスのとれた食事を、と言われても、どうすればいいか分からない時には、「1日30品目」食べるようにしましょう。マヨネーズやからしなどの調味料は除き、食材で30品目食べるようにすれば、おのずとバランスのとれた食事になります。 ■毎食の量を決めよう 食事の量が多いとどうしても肥満を招きやすくなります。1日の摂取量は1,800kcal程度がベスト。とはいえ、毎回カロリー計算をするのは大変なので、だいたい毎食の量を決めておくと分かりやすくなります。 ■週に3~4回は魚メニューを 肉ばかり食べているのはダメ。魚、特に青魚は血液をサラサラにしてくれる作用があります。サバ、イワシ、アジ、サンマなどの背の青い魚を積極的に食べましょう。 ■食物繊維の多い野菜を食べよう 野菜にはビタミンやミネラルがいっぱいです。これらの栄養素は血管の老化を防ぎ、動脈硬化の予防にもつながります。また、食物繊維は腸のお掃除屋さんとも言われるほど、腸内の余分な中性脂肪や糖質を吸着して一緒に排泄してくれます。1日に約300gの野菜(緑黄色野菜、淡色野菜、食物繊維が多い野菜など)を摂るようにしましょう。 こうやって予防しよう~運動のポイント 食事だけでは予防不足。運動も併せて行う必要がある。「日頃から運動不足で、何かやったほうがいいことは分かっているんだけど…、忙しくてなかなかできない」という方、ぜひ運動することをおすすめします。なぜなら、継続してやらなければ効果はないからです。 そのためには、ハードな運動プログラムを組むより、無理なく続けられる運動を見つけるのが得策です。 何といってもウォーキング!1日30分を目標に 手軽にできる有酸素運動といえば、やっぱりウォーキング。1日30分のウォーキングが生活習慣病予防には効果的。通勤の時、買物の時などに意識的に「はや歩き」を心がけましょう。いつもより歩幅を広く、腕を振って歩くと効果大です。早歩きを30分行うと、約100kcal消費されます。 公開日:2003年2月3日
忙しさにまぎれて、好きなものを好きなだけ食べてしまうのが現代人の食生活。ほんのちょっと気を使うだけで、ヘルシーな食生活に変換するコツを紹介します。 目次 肥満を予防する食生活に改善 毎食の目安量を決めてしまおう コンビニメニューでバランスをとる 肥満を予防する食生活に改善 生活習慣病予防の第1は、食生活を改善して肥満解消すること。しかし、食生活に気を配らなくちゃいけないとは思っていても、忙しくてなかなか思い通りにいかないビジネスマン。毎食きちんとカロリー計算なんてことは到底不可能だ。 そこで提案。朝、昼、夕食の献立パターンを大体決めて頭に入れてしまうこと。具体的にどんなメニューにするかはパターンにそってその都度考えればOKだ。「絶対に守らなきゃ」なんて固いことは考えず、気楽に気長に取り組もう。 また気軽なコンビニメニューでバランスのとれた食生活に改善することも可能だ。 高カロリー食品はなるべく避ける 摂取カロリー(エネルギー)を減らすためにまず見直さなくてはならないのは、肉類、油脂類、糖類(ご飯などの穀類やお菓子ジュースなど)のとり過ぎ。食べる量を少なくし、赤身の部分中心に食べるなど、質の改善も必要だ。 野菜、特に食物繊維の多い食品をたくさんとる 野菜に含まれるビタミンやミネラルは、血管の老化を防ぐなど動脈硬化の予防につながる栄養素だ。海藻類やきのこ、乾物などに多く含まれる食物繊維は、腸内で中性脂肪や糖質を吸着して一緒に排せつするはたらきがある。1日に食べたい野菜の量は300g。淡色野菜・緑黄色野菜・食物繊維が多い野菜…とバランスよく食べよう。 1週に3~4回は魚類のメニューにする 同じ脂肪でも、魚類に含まれる脂肪は善玉(HDL)コレステロールを多く含んでいる。このコレステロールが血液中に増えると、中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールのたまり過ぎが招く動脈硬化を防いでくれるのだ。 毎食の目安量を決めてしまおう 1日の摂取量1,800kcal~1,900kcalと考えた、毎食ごとの献立パターンを紹介しよう。ただし、これはあくまでも、ひとつの例。この献立パターンを参考に、自分に合ったパターンを作ってみて欲しい。 朝食(約500kcal) メニュー例: オニオンオムレツ・ブロッコリー添え・トマトときゅうりのサラダ・トースト・牛乳 献立のコツ: 卵は1日1個を目安に。とり過ぎも控え過ぎもダメ 朝の野菜は「1種類2口程度を4種類」を目標に 昼食を外食にする場合、朝食で120gくらい野菜をとりたい。それぞれ2口くらいで食べられる量の野菜を4種類が目安。そのうち1種類以上は緑黄色野菜を。忙しい朝は生食か、レンジですぐに調理できる野菜をお勧め。 朝の主食はトースト1枚、飲み物は牛乳1杯 ご飯の場合はお茶わんに軽く1杯(約110g) マーガリン・ドレッシングは全部で大さじ半分程度 昼食(約800kcal) 外食も、毎日低カロリーでは気がめいる。そこで、週3回は好きな食事、4回は低カロリーと決めてはいかが?ただ、好きな食事でも、野菜の煮物やおひたしなどがプラスアルファでついてくる定食類をおすすめ。 チキンカレー カロリー:814kcal かつカレーだと約1,200kcalになる。セットでサラダがつく時はノンドレッシングにしてもらい、自分で塩をふるほうが無難。 チャーハン カロリー:490kcal 意外とカロリーが低いチャーハン。ラーメン類なら五目麺(680kcal)がおすすめ。 ちゃんこうどん カロリー:652kcal 天ぷらうどんなど揚げ物がつくと約900kcalに。 ハンバーグ定食 カロリー:850kcal ひれかつ定食(785kcal)の方がカロリーが低いのは驚き。 夕食(500kcal~600kcal) メニュー例: 焼き魚・根菜類の煮物・ほうれん草のおひたしと冷やっこ・ご飯・みそ汁 献立のコツ: 夕食は1汁3菜を目安にする (1)焼き物、炒め物 (2)煮物(3)おひたし、酢の物、サラダなど、献立の構成を決めておこう。 肉類、魚類など動物性たんぱく質は50g~60g 1日にとる動物性たんぱく質食品の目安は、男性120g、女性100g。肉類は野菜と一緒に炒めたり煮たりして、見た目ボリュームが出る工夫を。 野菜は、120g~150g。根菜類など食物繊維の多いものも多くとる 野菜は、朝食の4種類より少し多めに。きんぴらごぼう、切り干し大根、ヒジキの煮物、筑前煮など、昔ながらのお惣菜は食物繊維がたくさんとれるお勧めメニュー。 調理油やドレッシングなどは、ひとり大さじ半分~1杯以内で 豆製品や芋類も上手にとろう 豆腐や油揚げなどの大豆製品は良質なたんぱく質食品。おみそを使ったり、納豆をプラスすればボリューム感もアップ。芋類もビタミン類、食物繊維などを含んでいる。レンジでチンすればすぐに食べられる手軽さも魅力。 コンビニメニューでバランスをとる コンビニ弁当でも栄養バランスのとれたメニューにすることは可能。上手な選び方を紹介しよう。 肉メイン弁当は2人で分ける 「ハンバーグ弁当」「かつ弁当」などの肉の量。測ってみると120g~130gある。 成人男性の1日に必要な肉や魚の摂取量と同じだ。1食分と考えれば、半分くらいに抑えたほうがベター。ご飯は、男性にちょうどいいくらいの量だから、2人で食べるならば、もうひとり分は、おにぎりか白飯をプラス。 豆製品メニューを追加 肉を控えた分、豆腐、納豆などの豆製品をプラス。朝、昼に豆製品を食べていなくても、納豆なら40g(1パック弱)、豆腐なら140g弱(2分の1丁弱)とれば十分。 野菜の1品メニューを追加 定食弁当だけでは、野菜不足はまぬがれない。「ホウレンソウのおひたし」「ヒジキの煮物」「きんぴらごぼう」「サラダ」などお惣菜のうち、大人ひとり当たり1品程度選びたい。夕食でとりたい野菜の量は120g~150g(1日に必要な量の4~5割で計算)。ちなみに、コンビニのお惣菜1パックは大体130g前後だ。 公開日:2002年1月28日
おせち料理は保存がきくだけでなく栄養バランスもばっちり。今年1年の食生活もこんな風にいきたいものです。昔の人の知恵にはホントに脱帽してしまいます。 目次 おせち料理の由来 おせち料理は健康料理 三つ肴/おせちの代表格 そのほかの代表的なおせち料理 おせち料理の由来 「おせち」という言葉のルーツは、平安時代の朝廷行事にさかのぼる。年の始め(当時は1月7日)のほか、3月3日、5月5日などの五節句に、神前に食物を供え悪魔払いを祈願したことから始まった節句の料理、「節会(せちえ)料理」をさす言葉。 「おせち料理」の原形が作られたのは江戸時代後半。料理の文化が発達したこともあり、野菜や山海の幸を利用して、豪華な正月料理が生まれたらしい。 このお正月料理を「おせち料理」と呼ぶようになったのは明治以降。平安時代の風習と江戸時代の料理を組み合せて呼ばれるようになったようだ。 おせち料理は健康料理 おせち料理は、正月元旦の朝に出す。年神さまを迎えて健やかな新年をお祝いし、1年の幸福を祈りながら食する料理。1年最初の料理にふさわしく、野菜、たまご、肉、魚と満艦飾のごちそうだ。ここでは、栄養学的な面からもおせち料理を見てみよう。 野菜、海草、豆、芋…、1日に摂取したい食品がすべて登場。ここまで豪華でなくても、1年間、おせち料理と同じようなバランスの食生活を送れば、健康に過ごせること間違いない。 三つ肴/おせちの代表格 黒豆 1年を「まめ」に暮らせるようにと願うもの 黒豆は大豆の一種。肌を美しくする良質なたんぱく質を含む。また、コレステロールや脂肪酸の増加を抑えるリノール酸、リレイン酸を含む(大豆も同様)。さらに、ビタミンBを多く含むため、疲労回復に効果的。ただし、市販の煮黒豆は、砂糖を多く含むので、たくさん食べると逆効果。できれば手作り、砂糖ひかえめにしたいもの。 かずのこ たまごの数にあやかり、子孫繁栄を願う かずのこはにしんの卵。コレステロールを多く含む。血中のコレステロール値が高い人は、縁起をかつぐ程度に抑えたほうがいい。 ごまめ(田作り) カタクチイワシの稚魚を塩水で洗って干した物。田の肥料にしたことから「田作り」とも呼ばれる。ごまめは「五万米」とも書き、五穀豊穣を祝う食べ物 小魚だけあって、カルシウムやミネラルが豊富。15g程度で1日の必要量600mgの3分の1を摂取することができる。 そのほかの代表的なおせち料理 きんとん きれいな黄色は金貨の色。財産が貯まるようにとの願いがこもる きんとんはマッシュしたサツマイモにクリを合せたもの。さつまいもは食物繊維の量が芋類の中では最も多い。また、便秘に効くヤラピンという物質も含まれている。ビタミンCも豊富。クリの甘露煮を使う場合は、さつまいもの砂糖をひかえ目にしても大丈夫。 たたきごぼう 黒いごぼうは、豊作のときに飛んでくるといわれる黒い瑞鳥をさす。豊作と1年の息災を願う。また、細長い形から、細く長くつつましくという祈りもこもる 食物繊維を多く含む。また、タンニンや鉄を含み、血の巡りをよくする。貧血などにも効果がありそう。 かまぼこ 半円形の形が初日ノ出を連想させ、縁起がいいと考えられている かまぼこの材料は魚のすり身。魚のたんぱく質が手軽にとれる。 伊達巻 江戸料理としては目新しく、形もきれいだったことから「伊達巻」と名付けられたよう。「伊達(粋で目立つこと)」という言葉から、教養や文化が身につくことを願う 卵と白身魚のすり身で作っているので、たんぱく質は豊富。しかし、食べ過ぎるとコレステロールのとり過ぎに。糖分も多いので注意。 八つ頭 親芋が大きく、外側はでこぼこがあって、八方に頭があるように見える。人の上に立てるようにという願いをこめて 食物繊維はさつま芋に次いで多い。カルシウムやミネラル分も芋類の中では豊富。 レンコン レンコンの穴を通して未来の見通しがきくという縁起をかついだもの レンコンを空気にさらしておくと黒くなるのは、タンニンや鉄を多く含むから。このほかビタミンCや食物繊維も豊富。 昆布巻 昆布は昔「広布(ひろめ)」と言った。ひろめは「広がる」に、こぶは「喜ぶ」にかけて、福が授かるとして、祝いの席に欠かせない食物となった 昆布に多く含まれるヨードは、体内の代謝を活発にする。また、利尿作用を促して塩分を排泄するカリウムの含有量は食物中最高。食物繊維はごぼうの2倍以上だ。 紅白なます 紅白の彩りがおめでたさを演出し、平安、平和を祈る縁起もの にんじんはビタミンA、B、Cを多く含む野菜の優等生。特にカロチン(体内でビタミンAに変わる)を多く含んでいる。大根はでんぷん消化酵素のジアスターゼなどが多く含まれている。 海老 腰を曲げて進む海老の姿を老人にたとえ、長寿の願いを表わす。紅白の彩りもおめでたい 高たんぱく低脂肪でダイエットに適している。カルシウム、ヨード、ミネラルなども豊富。コレステロール値を下げるタウリン(アミノ酸の一種)も多い。 参考文献:「華やかな初春 祝・美・膳」白井操 ひかりのくに社 「四訂 食品成分表 こんなときこの食べ物が効く」木下 勤 ブックマン社 「続 こんなときこの食べ物が効く」木下 勤 ブックマン社 公開日:2000年12月25日
どれだけ気をつけても、100%ダイオキシンを避けることは難しいようです。しかし、食生活を工夫することで、これらの害を少なくすることもできます。 目次 食物繊維を多くとる 緑黄色野菜などを多くとる 食物繊維を多くとる 食物繊維を含む食品は、大腸がんや動脈硬化の予防につながると言われていますが、ダイオキシンなどを体外に排出するはたらきもあると注目を浴びています。 体内に蓄積されているダイオキシン類は、少量ずつだが肝臓で代謝されて腸に排出されています。しかし再び、小腸から吸収されて体内に戻っていってしまうという繰り返しが行われているのです。 ところが、小腸で食物繊維と出会うと、ダイオキシンは食物繊維に吸着され、便として体外に排出されるといいます。食物繊維の多い食品は次の通りです。 ダイオキシンをよく吸着する食物繊維(数値は吸着率) 米ぬか繊維…86.6% はくさい繊維…51.6% そば繊維…71.9% 大豆繊維…49.1% ほうれん草繊維…71.6% 大麦繊維…47.8% 大根の葉繊維…70.2% 大根の根繊維…44.8% ごぼう繊維…53.8% コーン繊維…42.2% キャベツ繊維…52.5% にんじん繊維…38.7% ただし、野菜などには残留農薬やダイオキシンそのものが付着している可能性があります。よく洗って皮をむき、念を入れるならさっと下ゆでするなど、 下ごしらえにも工夫が必要です。 また、多種類の食品を上手く組み合わせて摂るようにすると良いでしょう。 緑黄色野菜などを多くとる 体内には、口から入った食品添加物などの化学物質を「解毒・排出」するはたらきがあります。そのはたらきを助ける重要な栄養素がビタミンやミネラルです。これらが多く含まれている食品は、穀物や緑黄色野菜、海草類、種実、豆類となります。 特に緑黄色野菜や海草類などに含まれる葉緑素は、それ自体に体内の掃除をする効果(スカベンジャー効果)があり、ダイオキシンなどの有害物質を体内から排出する効果は、食物繊維より強いと言われています。 ビタミンや葉緑素というと、ビタミン剤や葉緑素入りの錠剤などに頼ってしまいがちですが、1種類だけを過剰に摂りすぎる可能性が高くおすすめできません。 ごぼうやにんじんなど根菜類の煮物に、小松菜のおひたし、豆腐とワカメのみそ汁に納豆ご飯…。メインの魚や肉に汚染の不安があるというものの、結局は、日本の伝統的な料理たちがダイオキシンからも身を守ってくれるのです。
大人も子供も、生活習慣病の予防には食生活の改善から。ここで紹介するメニューはみんな簡単なものばかりです。休日は、コンビニも使った健康メニューで家族を驚かせてみてはいかがでしょうか? 目次 コンビニ弁当でバランスをとる 簡単、手作りの野菜料理をプラス コンビニ弁当でバランスをとる 肉メイン弁当は2人で分ける 「ハンバーグ弁当」「カツ弁当」などの肉の量は測ってみると120g~130gあります。成人男性の1日に必要な肉や魚の摂取量と同じです。1食分と考えれば、半分ぐらいに押さえたほうがよいでしょう。 ごはんは、男性にちょうどいいぐらいの量ですので、もう1人分はおにぎりか白飯をプラス。3人以上の家族なら、肉メイン弁当1品、「幕の内弁当」など魚メイン弁当1品といった選び方をするとよいでしょう。 豆製品メニューを追加 肉を控えた分、豆腐、納豆などの豆製品をプラス。朝、昼に豆製品を食べていなくても、納豆なら40g(1パック弱)、豆腐なら140g弱(2分の1丁弱)をとれば十分です。 市販の五目豆や枝豆などを選んでもいいですが、糖分や塩分量が多いので注意しましょう。 野菜の1品メニューを追加 定食弁当だけでは、野菜不足はまぬがれません。「ホウレンソウのおひし」「ヒジキの煮物」「きんぴらごぼう」「サラダ」などお惣菜のうち、大人1人あたり1品程度選ぶようにしましょう。 夕食で摂りたい野菜の量は120g~150g(1日に必要な量の4~5割で計算)です。コンビニのお惣菜1パックは大体130g前後となります。 2人で選ぶなら、野菜サラダ+ホウレンソウなど緑黄色野菜がおすすめです。ただし、マカロニサラダやポテトサラダなどは、油脂分が多い割に野菜は少ないので避けた方がよいでしょう。サラダのドレッシングも半分くらいに押さえておきましょう。 デザートに果物かヨーグルト デザートもプラスするなら、カルシウムが摂れる無糖のヨーグルトがイチオシです。果物などが入っているのもおいしいですが、買うときに糖分のチェックをお忘れなく。 みかんやりんごなどの果物が売っているのなら、それを選ぶようにしましょう。 簡単、手作りの野菜料理をプラス 上で紹介したように、コツさえ押さえればコンビニ弁当でもバランスは十分とれます。ただ、心配なのが塩分と糖分です。 そこで、お惣菜などの代わりに手作りの1品を加えてみましょう。料理の経験ゼロでも大丈夫!簡単メニューです。 かぼちゃとミニトマトのさっとサラダ かぼちゃ8分の1切れ(150g程度)をひとくち大(2cm×1cmぐらい)に切り、水をさっとかけた後、耐熱容器に入れてふたをする(ラップをかけてもよい)。これを、3分間レンジで加熱。 やわらかくなったら、マヨネーズ大さじ半分くらいとヨーグルト大さじ1杯ぐらいかけて混ぜる(ヨーグルトはなくてもよい)。塩味が足りないときは、ほんのちょっと塩を加えてもよい。 ミニトマト4~5個(50g)程度を添えてできあがり。 (1cm角ぐらいに切ったチーズ゛や、はんぺんなどを一緒にまぜてもおいしい) 大根のふりかけ漬け 大根100g(3cmぐらい)を5mmぐらいの厚さに切って、4つ割する(いちょう切り)。 これに、ふりかけをご飯1膳分ぐらいかけて混ぜる。 10分ぐらいおいたらできあがり(きゅうりなどでも同じようにできる)。 さつま芋のオレンジジュース煮 さつま芋半分ぐらいを1cmの厚さに切る(太いときはさらに2分の1ぐらいに切る)。 10分ぐらい水に浸けた後、芋をなべに入れて、芋の頭がちょっと見えるくらいまで、オレンジジュースを入れて煮る。 芋がやわらかくなったらできあがり。
4群分類法に基づいたメニュー例 バランスのよい食事にするためには4群分類法が便利です。 第1~3群は体を作ったり機能を潤滑にするための栄養素で、第4群は主にエネルギーとして使われる食品です。 ここでは、1日2000kcalのメニュー例を上げておきます。 〔4群分類法〕 第1群=カルシウムやたんぱく質が豊富な乳製品と卵 第2群=たんぱく質とビタミンの多い魚介類、肉類、豆製品 第3群=ビタミンやミネラルたっぷりの野菜、芋類、果物 第4群=穀物、油脂、砂糖 朝食 ぶどうパン かまぼことワカメのごま和え(かまぼこ、ワカメ、キュウリ、すりごま、しょうゆ、みりん) コンソメスープ(タマネギ、ニンジン、パセリ、しょうゆ、ブイヨン、塩) 昼食 ごはん 信田煮(油揚げ、卵、ニンジン、すり身魚、ひじき、ホウレン草、春雨、しょうゆ、みりん) しいたけの含め煮(しいたけ、ニンジン、しょうゆ、砂糖) ナスのそぼろあんかけ(ナス、油、豚ひき肉、根しょうが、しょうゆ、砂糖、片栗粉) 夕食 ごはん 鶏手羽肉の長ネギ煮込み(手羽肉、長ねぎ、根しょうが、しょうゆ、砂糖、片栗粉) 豆腐のかき油炒め(豆腐、万能ねぎ、かき油、酒、しょうゆ、片栗粉) 豚肉細切りスープ(豚もも肉、酒、塩、ブイヨン) フルーツみつ豆(モモ、ミカン、リンゴ、チェリー、エンドウ豆、寒天、砂糖) エネルギー:2000kcal 脂質:58.1g たんぱく質:68.2g 塩分:8.0g
調理法の工夫 同じ素材を使っても、調理法を工夫すればカロリーを抑えることができます。 また、食事の取り方次第で食べ過ぎを防げます。 ここでは、さまざまなアイデアをまとめてみました。 魚介類や肉類は網焼きにすると油を使わなくてすみます。 煮込み料理は前日に素材を煮込んで冷蔵庫で冷やし、次の日に表面に固まっている肉の脂肪を取り除きます。 鶏肉は皮の部分を取り除きます。 マヨネーズなどの高カロリー・高脂肪の素材はなるべく控えて、ネギやニンニク、ショウガ、ゴマなどの薬味や、ポン酢やレモンなどの酸味、トウガラシやトウバンジャンなどの香辛料を使います。 食べ方の工夫 小さな器に小分けにすると、量は少なくてもたくさん並んで満足感が得られます。 ごはん茶わんは小ぶりのものを選びます。 就寝前の食事をやめます。 果物は取り過ぎないように気をつけます。
まとめ食いは太りやすい 1日の摂食回数と肥満の頻度との関係をみた調査では、回数が多いほど肥満が少なく、回数が少ないほど肥満が多いという結果が出ています。 つまり、まとめ食いをすればするほど太りやすいというわけです。 夕食にウエイトがかかると太る 朝食を抜いてしまうと、1日の食事の回数が減り、まとめ食いの状態に陥りやすくなって危険です。 さらに、食生活パターンからいっても、その比重は昼食より夕食に高くなりがちで、これも肥満を誘発してしまいます。 なぜなら夜間は消費エネルギーが少ないうえに、インシュリンの分泌量が多いので、食品から摂取した糖は、体内で脂肪に変換されて蓄積される率も高いからです。
たんぱく質は体内で作れない たんぱく質は皮膚や筋肉、内臓などを作るのに不可欠で重要な栄養素です。細胞やホルモン、酵素、免疫を担う抗体もたんぱく質から作られています。十分なたんぱく質を取ることによって抵抗力をつけ、病気を予防することができます。 体に不可欠なたんぱく質は、20種類ほどのアミノ酸の組み合わせでできています。このうち体の中で作ることができず、食物から取らなくてはならない8種に、ビスチジンを加えた9種類が必須アミノ酸と呼ばれています。 男性で70g、女性で60g 食品に含まれるたんぱく質は、食べたらそのまま人間のたんぱく質になるわけではありません。たんぱく質は消化されてアミノ酸に分解され、その形で腸管から吸収され、人間の体たんぱくに組み直されるのです。 必須アミノ酸をバランス良く含んでいるたんぱく質が、良質なたんぱく質です。肉や魚、牛乳などの動物性食品のたんぱく質の方が、穀類や芋などの植物性たんぱく質より良質です。 たんぱく質の1日の摂取量は、男性で70g、女性で60gが目安です。 糖質や脂質は余った分を体に蓄えておくことができますが、たんぱく質はできません。つまり、たんぱく質は食べだめができないので、毎日しっかり取る必要があります。
始めに食欲が増すものを 食事というのは、栄養のバランスだけを考えればいいということではありません。おいしい食事であることが大切であり、そのためには食べる順序があります。 まず最初は、食欲を増すものを食べることです。色付きの良いもの、見た目においしそうで食べたい気持ちを起こさせるものです。少量ずつ何種類かを取り合わせたオードブルがその好例です。食前酒も良いでしょう。 胃壁を守ってからたんぱく質や脂肪を 食欲が出たところで、次は、胃の壁を守ることです。いきなりステーキなどたくさんのたんぱく質を取ると、胃酸が多量に分泌され、胃壁を傷めてしまいます。ですから、野菜などを食べたり、牛乳を飲んで、胃壁を守ることが必要です。 そして胃壁をガードしたら、たんぱく質や脂肪も大丈夫です。ただし、食べ過ぎは胃腸に負担を掛けるし、肥満につながるので注意が必要です。 最後は、ビタミンやミネラルを多く含む果物類をデザートとして食べると消化が促進されます。パイナップルやマンゴー、アボガドがおすすめですが、果物には果糖があることを忘れてはなりません。
体内リズムはほぼ24時間周期 栄養のバランスの取れた食事を取ることは大切ですが、食事を取る回数とその時間も重要です。 体の中では、ほぼ24時間の周期でさまざまな生理現象が起きています。 このほぼ24時間の周期をサーカディアン・リズム(概日リズム)といいます。このサーカディアン・リズムを作るのに重要な役目をしているのが、食事を取る回数と時間間隔です。 1日3回、規則正しい食事 1日3回、規則正しく食事を取ることが重要なのです。食事を取ることによって、消化液が分泌され、消化酵素がはたらき、腸が動き、体のリズムが規則正しく整ってきます。 食事を取る時間が不規則だったり、取らなかったりすると、体のリズムも狂い、病気になりやすくなります。 高血圧、動脈硬化、糖尿病、肥満など、生活習慣病は食生活と密接に関係しています。専門家が指摘するがん対策のほとんどが食生活に関する内容になっています。 生活習慣病を予防するには、栄養のバランスや摂取エネルギーの所要量を守るだけでは十分ではありません。1日3回、規則正しく食事を取ること、特に朝食をきちんと取ることです。それによって体のリズムを守り、良い生活習慣を作っていくことが、生活習慣病を予防することにもなるのです。
健康を維持するためには「1日30品目」の食品を取ることが基本といわれています。できるだけ数多くの食品をバランス良く取ることが生活習慣病の予防対策になるからです。 6つの食品群から選ぶ もっとも、1日に30種類の食品を食べるのは、そう簡単ではありません。種類が多ければそれで良いということでもありません。主食と副食の割合、さらには副食の内容についても吟味が必要です。おおよその目安として、次の6つの食品群から意識的に食材を選ぶようにします。 1群…魚、肉、大豆製品[主として、良質のたんぱく質の供給源] 2群…牛乳、乳製品、骨ごと食べられる魚[カルシウムの供給源] 3群…緑黄色野菜[カロチンの供給源] 4群…その他の野菜、果物など[ビタミンCとミネラルの供給源] 5群…米、パン、めん、芋[糖質系エネルギーの供給源] 6群…油脂など[脂肪系エネルギーの供給源] 主食のご飯(パン)と副食の割合には色々な考え方がありますが、半々が妥当です。副食5の内容は、動物性食品1、豆類・種子類1、野菜・海草・芋類3の配分になるよう心掛けます。
だ液の効能 噛むとだ液が出てきます。だ液の中には、でんぷんを分解するアミラーゼという強力な酵素が含まれています。ご飯に含まれるでんぷんが、だ液と混ざると、アミラーゼによって非常に早いスピードで多量の糖分ができます。口の中で早くも消化・分解が始まっているのです。 胃の中に入った糖分を多く含むご飯は、速やかに血液中に吸収されます。血液中の糖分の濃度が一定になると満腹感が出てきます。つまり、よく噛むことによって、食べ過ぎないようにブレーキがかかります。 脳を刺激する 最近では、よく噛むことが脳に良い刺激を与えるといわれています。よく噛むと、2時間後に消化のはたらきをよくするコレシストキニンというホルモンが十二指腸から分泌されます。 また脳の中でもコレシストキニンが産出され大脳の海馬にはたらきかけます。ここは、記憶や学習に関係するところです。食後、血中のグルコース濃度が上がると、記憶力を高めたり、脳のはたらきを活性化します。 あごを動かすことは、脳へ血液を大量に送り込んで、脳全体の血液の循環を良くするはたらきもあります。さらに、脳の老化防止や低下した脳の機能を回復する効果もあるらしいといわれています。 柔らかいものばかり食べるのでなく、かみごたえのあるものを、よくかんで、食事にゆっくり時間をかけることが脳の活性化にもつながるのです。
朝食抜きが増加 国民栄養調査によると、朝の欠食率は、1975年(昭和50年)には6.3%だったのが、95年には8.0%になりました。男女とも20代が一番多く、男性は3人に1人、女性は5人に1人の割合です。 サラリーマンの3人に1人は朝食を抜いているという調査結果もあります。受験勉強で夜更かしする子供の多くが、朝食を抜くか、牛乳とトースト1枚というのが大半というデータもあります。 朝食抜きの弊害 忙しいとついついおろそかにしてしまいがちな朝食ですが、きちんと取らないとさまざまな弊害があります。 自治医大が行った朝食と学業成績の関係調査によると、朝食を取った学生の方が取らなかった学生より、成績が良いという結果が出ています。 朝食抜きの生活を長く続けた人には、肝機能障害、胃かいよう、貧血、痛風、糖尿病などが多いという調査結果もあるほどです。 小学校や中学校で脳貧血を起こして倒れる子供が少なくありません。朝食抜きという不規則な食生活が原因で、たんぱく質が不足しがちになりやすいのです。 ダイエットのために朝食を抜くと、かえって昼食でまとめ食いになり、逆効果です。 朝食最適メニューは…? 朝食には、体の熱を多く出す食品で、温かい料理が向いています。たんぱく質も欠かせません。メニューとしては、ご飯にみそ汁、卵料理、食物繊維とカロチンも含むのりなどがおすすめです。
夜食はなぜいけないか 寝る前に食べると太りやすいことは誰でも知っています。 食事をすると血液中のブドウ糖が上昇します。昼間なら体を動かすのでエネルギーとして消費されやすいのですが、食事をして2時間も経たないうちに寝てしまうと、血液中の余分なブドウ糖は脂肪として蓄積されることになり、これが肥満の原因となるのです。 夜食がいけないもう一つの理由は、たっぷり食べてすぐ寝てしまうと、消化・吸収が遅れ、翌朝まで食べたものが胃の中に残ってしまうことがあります。このため胃もたれが起きたり、空腹感が出ないため朝食を抜くようになります。それに、寝る前に食べると熟睡の妨げにもなります。 どうしてもの時はカロリー少なめに ただ、胃の中のものは通常4~5時間で消化されますから、夜遅くまで起きているとどうしてもお腹が空きます。こんな時は、できるだけカロリーの少ない食事にしましょう。 牛乳や果物がベターです。油脂の多いものは胃の中の滞留時間が長いため、避けた方が賢明です。 夕飯を食べ損なったような時は、牛乳やバナナ1本というわけにはいきませんが、もし即席めんなどを食べるなら、野菜や卵などを入れるようにします。
間食はカロリーが高い おやつや夜食などの取り過ぎは健康に良くないと分かっているのに、ついつい目の前のお菓子に手を出してしまうものです。 間食の最大の欠点は、肥満の原因になりやすい点です。 間食はお菓子や砂糖入りのコーヒー、スナック類などが多いようですが、食事時以外のパンやおにぎりなども入ります。 例えば、ショートケーキと砂糖・生クリーム入りのコーヒーを取ると、それだけで400kcalを超えてしまいます。ポテトチップス1袋(100g)をペロリと食べてしまうと、これで570kcalです。子供が1日に必要とするエネルギーはせいぜい1500~1700kcalですから、いかに間食のカロリーが高いかわかります。 子供も、大人も要注意 子供に生活習慣病が増えたのも、間食による肥満が原因といってもオーバーではありません。間食の弊害は、子供だけでなく、大人でも同じことがいえます。 間食のもう一つの難点は、お菓子や清涼飲料水など、たんぱく質もビタミンもミネラルもほとんど含まれていないものがあることです。間食でお腹がいっぱいになれば、夕食を取らなかったり、残したりします。栄養のバランスが大きく崩れることは当然です。
どんぶり物よりも定食を 外食で気を付けなければいけないのは、ビタミンやミネラル不足です。 天どん、かつどん、親子どんなどのどんぶり物は、エネルギーが高く、炭水化物やたんぱく質が多いので、腹持ちはいいのですが、塩分も多く、野菜や海藻類が不足します。 できるだけ、定食物を選ぶようにし、やむをえない時には、サラダなどで不足分を補いましょう。 塩分が多い昼食メニュー 昼食人気メニューであるうどんやそばは、塩分が多いことが問題です。汁を残すと、塩分の取り過ぎが少しは抑えられます。 最近、はやりの持ち帰り弁当は、高血圧や肥満の心配がある人は要注意です。一般的に味付けを濃くしてあるからです。1日の塩分の摂取量は10g以下です。持ち帰り弁当に含まれる塩分は4~6gです。弁当に即席のみそ汁を付ければ、それだけで10gをオーバーしてしまいます。 焼き肉弁当は、牛肉の外、タマネギ、レタス、キャベツ、キュウリなども入って、糖質、たんぱく質、脂肪もまずまずですが、塩分が多く(4~5g)、緑黄色野菜が欠けています。 パン食については、動物性たんぱく質や野菜類が少ないことが欠点です。
理想的食品・大豆 大豆は昔から「畑の肉」といわれてきました。良質のたんぱく質と共に、カルシウム、ビタミンB1、食物繊維などを豊富に含んだ食品です。また、こうした栄養価の高さだけでなく、大豆製品はさまざまなはたらきを持っています。 大豆の成分であるサポニンは、肥満防止、肝機能障害、がん、エイズなどに対しての効用が分かってきました。 さらに大豆に含まれるレシチンは動脈硬化や痴ほうの予防にも役立つことが確かめられています。レシチンだけを抽出して健康食品として商品化されているほどです。 魚の脂肪酸、カルシウム、DHAの効果 一方、魚に含まれる脂肪酸は、血栓を防止する作用のあることが分かっています。 魚はカルシウム供給源でもあります。骨ごと魚を食べるにはシラス干しや煮干しが最適です。ただ、魚のカルシウムはそのままでは消化吸収率が低いという難点があります。 頭が良くなるとして一時期話題となったDHA(ドコサヘキサエン酸)は、老化を抑制する作用もあります。DHAを多く含むサバ、イワシ、サンマといった背の青い魚を食べることをおすすめします。 大豆製品と魚は、健康体を維持するには不可欠の食品です。
カロチンやビタミンAを多く含む 緑黄色野菜とは、可食部(食べられる部分)100g当たりカロチンが600μg以上入っている野菜をいいます。ホウレンソウ、パセリ、シュンギク、シソ、コマツナ、大根の葉、ニンジンなどの有色野菜です。 緑黄色野菜はがんの予防になると注目を集めていますが、これはカロチンやビタミンAががん細胞の増殖を抑えるはたらきを持っているためです。 ビタミンAは、動物の肝臓やバター、卵黄などに含まれていますが、緑黄色野菜の中に含まれているカロチンが人間の体内に入るとビタミンAに変わります。日本人の場合、緑黄色野菜から取るビタミンAが圧倒的に多いのです。 緑黄色野菜はカロチンだけでなく、ビタミン、ミネラルもたくさん含まれています。ビタミンB1、B2、C、カルシウム、鉄、カリウム等も、ハクサイやキュウリなどの淡色野菜と比較すると2~3倍多く含まれています。 適量を毎日続けて取ることが大切 緑黄色野菜はがんだけでなく、高コレステロール血症、高血圧の予防や治療にも効果があることが分かっています。 健康に良いとか、がんに効くとなると、いきなりホウレンソウを生で食べたり、ニンジンジュースを飲んだりする人もいますが、適量を長く続けることが大切です。野菜でお腹がいっぱいになり、ご飯や肉を食べないというのではかえって健康を害してしまいます。
魚のたんぱく質、肉の脂肪 同じ動物性食品でも肉と魚では、大きな違いがあります。100gのカツオと豚肉(肩肉)を比べると、カツオは豚肉の2倍近くのたんぱく質を含み、逆に豚肉にはカツオの10倍以上もの脂肪が含まれています。 しかも、肉に含まれる脂肪はコレステロールを作りやすい脂肪ですが、魚の脂肪は逆にコレステロールを下げることから、動脈硬化の予防に役立ちます。 ビタミンB1の多い豚肉 一見、肉は健康の大敵のようですが、それは誤解です。 肉は良質のたんぱく質が豊富で、同時に鉄分、ビタミンB2なども含まれています。スタミナ源として肉は最適です。 特に豚肉は肉類(赤身)の中でコレステロールや脂肪も少なく、ビタミンB1が非常に多く含まれているのが特徴です。ビタミンB1は疲労回復に効果があるビタミンです。 そうはいっても、もちろん食べ過ぎは禁物。 いくら肉がおいしくて、料理が簡単といっても、脂肪の多い肉を毎日のように食べていれば、肥満だけでなく、コレステロールや高脂血症を起こしやすくなります。 動脈に脂肪がたまり、血管が詰まり、心筋梗塞になりやすいのです。 魚と肉をバランス良く食べることが大切です。
肉と野菜を交互に食べる和食 和食の平均的なメニューを見ると、肉類が多い欧米に比べ脂肪の摂取量が少なくてすみます。 主食はご飯、メインのおかずは、肉、魚、卵、大豆製品など、良質のたんぱく質が中心となっています。肉と魚を一緒に食べることはほとんどなく、交互に食べるというのが一般的で、肉と魚の割合はほぼ1対1です。さらに野菜や海藻、きのこなどが加わります。 脂肪少なく、食物繊維が豊富 和食の特色は脂肪が少ないものが多いということです。この脂肪が少ないということと、緑黄色野菜が比較的多く取られているということが、生活習慣病の予防に大きな役割を果たしていたのです。 もっとも、最近は、日本人の食生活が欧米化したことから、生活習慣病の元凶ともいえる肥満が大きな問題としてクローズアップされてきました。 もう一つ、和食で見逃せないのは、穀類をはじめ、食物繊維を含んだ食品が多いことです。食物繊維は大腸がんなどを予防します。 また、煮しめなど、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを多く含んだ野菜を、生で食べるよりずっと多く取ることができるのも和食の特長です。
昼の日替り定食 定食ものの良さは、どんぶり物に比べて比較的多くの種類の食品が食べられるという点にあります。 和食であれば、ご飯とみそ汁、魚や卵料理、そして野菜の煮物などが付くのが一般的なメニューです。 食品の種類や料理法によっても異なりますが、塩味が濃いものが多いので注意が必要です。 カレーライスは脂肪と塩分に注意 カレーライスも人気メニューの一つですが、できあいもののカレーの多くは、脂肪と食塩を多く使っています。たまに食べる程度なら問題ありませんが、しょっちゅう取るのは考えものです。 昼食でよく食されるそばの場合、ビタミンB1、B2の含有量は穀物のなかでも最高です。また、そば粉だけに含まれるルチンは動脈硬化の予防に効果があります。ほかにも、鉄、カリウム、マグネシウムなどのミネラルもたくさん含まれています。 ただし、100%そば粉で作られているそばはほとんどありません。つなぎに小麦粉を使用している場合が多く、そばに含まれるそば粉が30%ぐらいなら、当然、栄養価も3分の1程度です。
ビタミンEに注目 サツマイモには食物繊維が大量に含まれており、人気がありますが、実は、細胞のがん化や老化を防ぐといわれるビタミンEも含まれています。 ビタミンEにはいくつかの型があって、人体に有効なはたらきを持つ型はアルファ型といわれています。このアルファ型ビタミンE(α-トコフェロール)を多く含む食品がサツマイモやカボチャです。 海草や納豆に多い微量元素 牛や豚の脂は、コレステロールを増やし、動脈硬化の原因になりますが、魚の脂は逆にコレステロールを減らし、動脈硬化の予防になります。 魚の成分であるEPA、DHAといった脂肪酸は海の魚にしか含まれていません。サンマ、イワシ、アジ、サバ、ブリといった背の青い魚にたっぷり含まれています。 海草にはカルシウム、鉄、マグネシウムといった体の生理作用に欠かせない微量元素が豊富に含まれています。また、ビタミンAの前駆物質であるカロチンの含有量はホウレンソウに匹敵します。食物繊維も見逃せません。 納豆にはビタミンKが豊富に含まれています。ビタミンKは、血液の凝固に欠かせない成分であるほか、最近では骨を強くする効果があることも分かってきました。骨そしょう症の予防にも役立ちます。
日本食の食べ合わせは理想的 付け合わせの代表例は、ご飯とみそ汁です。栄養学的に見ても理想的な組み合わせです。 必須アミノ酸のうち、リジン以外はすべて含んでいるご飯。ご飯に含まれていないリジンを多く含むのがみそ汁。ご飯とみそ汁を一緒に食べることによって、8つのアミノ酸のすべてを取り入れることができるのです。 肉や魚の焦げが発がん物質であることはよく知られています。日本人は昔から焼き魚をよく食べていますが、大根おろしを添えると、発がん物質を分解します。日本人の食べ合わせの知恵には驚くばかりです。 肉とパイナップルの組み合わせも○ 肉を食べると胃がもたれるという人が多いようです。これは、肉が胃ではなく腸で消化されるために胃の滞在時間が長くなるのが原因です。 ところが、パイナップルを付け合わせとして食べると、消化のスピードが早くなり、胃もたれが起きにくくなります。パイナップルには、たんぱく質を分解する酵素がたっぷり含まれているためです。 パイナップルの入った肉料理は、先人の生活の知恵といえます。 また、色々な料理に添えられたパセリを残す人がいますが、こんなもったいない話はありません。パセリには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、パセリ3口で1日に必要なビタミンAの5分の1、ビタミンCの2分の1を取ることができます。カルシウムもホウレンソウの3倍以上あります。
イカのコレステロール 食に関する常識のなかには間違いが少なくありません。例えば、イカはコレステロールを増やすと信じ込んでいる人が多いようですが、これは間違いです。 確かにイカやタコにはコレステロールが多いのですが、タウリンというアミノ酸が含まれていて、血中のコレステロールを下げる作用をするからです。 有精卵の栄養価 有精卵は無精卵よりも栄養価が高いというのもウソです。栄養的には無精卵と大差ありません。 また、白い卵よりも赤玉の方が値段が高く、その分、栄養的に優れていると考えている人がいるかもしれませんが、単に鶏の羽の色が違うだけです。 ただヨード卵については、飼料にヨードが含まれているため、普通の卵よりはヨードが多いことは確かです。 糖尿病の日本酒 糖尿病の人は、ウイスキーは飲んでも良いが日本酒はいけないというのも間違いです。糖尿病というのは、インシュリンの作用が低下するために血液中の糖分が処理できずに起こる病気です。 体内にアルコールが入ると、インシュリンの作用が低下しますからアルコールはいけないとされているのです。蒸留酒であるウイスキーは良いが、日本酒やビールはいけないという問題ではなく、アルコールそれ自体がいけないのです。
良い習慣が2個以下の人は30歳を過ぎると平均以下の健康度 日常の生活習慣と健康に関する先駆的な研究に、カリフォルニア大学のブレスロー博士らが行ったものがあります。 1973年(昭和48年)、ブレスロー博士は、住民7000人を対象に様々な生活習慣と、主として身体的健康度(障害、疾病、症状やバイタリティーの有無など)とのかかわりを調査したところ、7つの健康習慣が健康度と有意に関連していることを発見しました。 適正な睡眠時間(7~8時間) 喫煙をしない 適正体重を維持する 過度の飲酒をしない 定期的にかなり激しい運動をする 朝食を毎日取る 間食をしない これら7つの健康習慣を守っている人は、約60歳くらいまで平均以上の健康度を保っていることに対し、良い習慣が2個以下の人では、30歳を過ぎると既に健康度は平均以下になっていました。
厚生省は「健康づくりのための食生活指針」を出しています。私たちの食生活で特に守りたい7つをあげてみます。 多様な食品で栄養バランスを取る 主食、主菜、副食をそろえ、目標は1日30食品。色々食べることが、生活習慣病を予防することになります。 日常の生活活動に見合ったエネルギーを取る 食事はいつも腹八分目。食べ過ぎに気をつけて、肥満を予防すること。よく体を動かし、食事内容にゆとりを。 脂肪は量と質を考える 脂肪を減らすことで心臓病が予防できます。動物性の脂肪より、植物性の油を多めにすることです。 食塩を取り過ぎないようにする 食塩は1日10g以下を目標にすることが、高血圧と胃がんの予防につながります。調理の工夫で無理なく減塩。 生野菜、緑黄色野菜を毎食取るようにして、がんを予防する 野菜、海藻をたっぷり取って、食物繊維で便秘や大腸がんを予防する カルシウムを十分取って丈夫な骨作り 牛乳、小魚、海藻を若いうちから欠かさず取ることで、骨そしょう症を予防します。