水虫といえば、足の水虫が思い浮かばれますが、爪の水虫はちょっとやっかいです。市販の薬や民間療法では治すのは難しいのです。医師が参考にする皮膚真菌症診療ガイドライン最新版(2019年版)では、医療機関で治療しても外用薬では少なくとも1年は継続しないと治る可能性は低いとされています。2020年2月5日に開催されたNPO医師と団塊シニアの会主催のメディアセミナー*1から、埼玉医科大学の福田知雄先生の講演を紹介します。 目次 爪の水虫は市販薬や民間療法では完璧に直すのは難しい 病気の状態などによって外用薬と飲み薬を使い分ける治療法が有用です 爪の治療には1年以上かかることが多いので菌が弱る寒い時期も治療を続けよう 爪の水虫は市販薬や民間療法では完璧に直すのは難しい 福田先生の講演によると、水虫(医学用語で白癬といいます)は、白癬菌というカビ(真菌といいます)による皮膚の感染症(皮膚真菌症)で、足(爪を含む)の水虫は30歳以降から増加し、特に爪の水虫は高齢になるほど多くなります。 国内では水虫は5人に1人(約2500万人)、爪の水虫は10人に1人(約1100万人)と言われています。爪の水虫を放っておくと、爪が厚くなって変形し、痛みや不快感が生じ、他人に爪を見られたくないなどの理由で外出しなくなります。 足の水虫がよくなったといって爪の水虫を放置すると再発し、顔や頭にも感染が広がります。自分だけではなく、家族全員へ伝染することになるのも大きな問題です。 爪の水虫は、医療機関で適正な治療を受けるべきとガイドラインに示されています。民間療法は、以下のとおりで効果はありません。 爪の水虫に民間療法は効果があるのか? お酢に水虫の殺菌効果は認められていません。 効果はありません。 水虫菌は固い細胞壁で守られています。 足の裏の皮膚がただれて、すべて剥けるくらいの ダメージを与えないと、殺菌できません。 足の裏すべてやけどになるくらいロウソクを垂らさないと殺菌できません。 論外です。 出典:2020年2月5日のNPO医師と団塊シニアの会主催のセミナー「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~、福田知雄先生の講演資料 病気の状態などによって外用薬と飲み薬を使い分ける治療法が有用です 水虫の薬と言えば、爪に塗る外用薬が思い出されますが、基本は爪の表面から薬剤を浸透させるので、爪甲の下の隠れた部分で菌が増殖している場合は外用薬が効果を発揮しにくくなります。保険適用のない薬効の劣る市販の薬ではなおさらです。 外用薬で部分的に改善しても菌が残っていると再発しやすいので、より強力な治療としては飲み薬が有用です。口から服用して、血流から爪の水虫の病変部に薬効成分を到達させるので効果が期待できます(図1)。 図1:爪の水虫はどうやって治療する? 出典:2020年2月5日のNPO医師と団塊シニアの会主催のセミナー「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~、福田知雄先生の講演資料 皮膚科の専門医が在籍する医療機関を受診すると、患者さんの状態や爪水虫の病型などに応じて外用薬と飲み薬を選んで処方してくれます。飲み薬と外用薬をうまく使い分けることにより、完全治癒を達成できる可能性が高まります。 医師が参考にする皮膚真菌症診療ガイドライン2019年版では、以下を推奨しています。 ガイドラインが推奨*する爪白癬に対する治療法 CQ3 爪白癬にエフィナコナゾール爪外用液は有用か B CQ4 爪白癬にルリコナゾール爪外用液は有用か B CQ5 爪白癬にテルビナフィンの内服は有用か A CQ6 爪白癬にイトラコナゾールの内服は有用か A CQ7 爪白癬にホスラブコナゾールの内服は有用か A A:行うよう強く勧める B:行うよう勧めるC1:行ってもよい C2:行わないほうがよい D:行うべきではない *推奨度について:日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019年版では、爪白癬の治療に関する臨床上の課題〔クリニカルクエスチョン:clinical question(CQ)〕として質問を設定し、それに対するエビデンスレベルによる推奨度を示しています。医師が診療の参考にしています。 出典:日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン改訂委員会、日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019(日本皮膚科学会雑誌.2019;129:2639‐73) 爪の治療には1年以上かかることが多いので菌が弱る寒い時期も治療を続けよう 水虫は、冬の寒い時期でも油断禁物です。春や夏に症状がひどくなり、冬は菌の活きが悪くなって症状がおさまる傾向にありますが、菌自体は潜伏しています。冬は悪化しないといって、薬を中断して春から夏の暖かくなった時期から薬を再開するのは間違いです(図2)。 爪は1日に0.1㎜のびて、爪が生え変わるまで半年以上かかります。さらに、病気の爪の多くは伸びが遅くなるので、治療は1年以上かかるケースが多いのです(図3)。 図2:肌寒い季節でも水虫には油断禁物 図3:きれいな爪に生え変わるまでの期間 図2、3の出典:2020年2月5日のNPO医師と団塊シニアの会主催のセミナー「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~、福田知雄先生の講演資料 完治しないまま治療を中断すると、いままで継続してきたことが無駄になります。そうすると、春や夏に再発した時に、一から治療をやり直すことになります。 見方を変えると、白癬菌が弱っている寒い時期こそ治療を積極的に開始するほうが、1年以上にわたって継続しやすいかもしれません。 最後になりますが、水虫の蔵元は爪です。足の水虫が良くなっても爪の水虫を放置しないようにしましょう。再発の原因でもあり、自分のほかの体の部分にもうつります。家族に伝染することが一番の問題です。 皮膚科専門医のいる医療機関で受診して爪の水虫の状態を診てもらい、適正な治療を受けること、春や夏だけでなく寒い時期も含めてしっかりと治療を継続するようにしましょう。 *1:メディアセミナーは2020年2月5日に、NPO医師と団塊シニアの会の主催で、埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授の福田知雄先生が、「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~のテーマで講演しました。 NPO医師と団塊シニアの会(http://dankai-senior.tokyo/)は、超高齢社会のわが国において、団塊の世代が75歳を超える「2025年問題」を解決するために、患者と医師という立場を越え、明るく活力ある社会にしたいとの思いから設立されました。後世のためにシニア世代がQOLを保ったまま終末期を迎えられるよりよいモデルを提供できるよう活動しています。 ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫 公開日:2020/03/18 監修:埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授 福田知雄先生、NPO医師と団塊シニアの会
水虫といえば、足の水虫が思い浮かびますが、爪の水虫にも注意が必要です。靴を履く時間が長い働き盛りの30歳以降から水虫になる人が増えていくことや、足の水虫が良くなったといって爪の水虫を放置すると家族全員が水虫になるケースに要注意です。2020年2月5日に都内で開催されたNPO医師と団塊シニアの会主催のメディアセミナー*1から、埼玉医科大学の福田知雄先生の講演内容を紹介します。 目次 働き盛りの世代に水虫が多く高齢になるとますます増加 爪の水虫を放置すると生活が困難になり転倒リスクが高い 家族に水虫が伝播するので放置しないで! 靴や靴下、スリッパ、風呂上りのマットなどをこまめにセルフケアしよう 働き盛りの世代に水虫が多く高齢になるとますます増加 福田先生の講演によると、水虫は医学用語で白癬(はくせん)といわれ、水虫菌(白癬菌)という皮膚糸状菌(カビの1種で真菌といいます)による皮膚感染症(皮膚真菌症)です(図1)。 患者数については、1999~2000年に足の水虫(爪の水虫も含む)で医療機関に受診した患者さんの調査結果では、足の水虫は国内では5人に1人(人数は2,500万人)、爪の水虫は10人に1人、人数は1,100万人と推定されています*2(図2)。 図1:爪の水虫(爪白癬)とは? 図2:日本における水虫と爪水虫の罹患数は? 図1、2の出典:2020年2月5日のNPO医師と団塊シニアの会主催のセミナー「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~、福田知雄先生の講演資料 では、水虫はどの年代に多いのでしょうか。1999~2000年に外来受診した患者さんの調査結果によりますと、30歳以降から発症頻度が高く、高齢になるほど爪の水虫になる人が増えていきます。70歳以降では爪の水虫のほうが多くなります*3。 30歳以降というのは、仕事関係で長時間にわたり靴を履いている世代です。働き盛りの世代に発症しやすく、高齢になっても引き続き悩まされるので早期発見と治療が重要です。 爪の水虫を放置すると生活が困難になり転倒リスクが高い 爪の水虫を放っておくと、どうなるのでしょうか。 水虫は日常生活やQOLによくない影響を及ぼします。QOLに関しては、爪の水虫の患者さん93人(平均年齢54歳、男性65人、女性23人)を対象にした調査結果は以下の通りです。 「爪が厚くなるなど変形するので(厚くなるのは肥厚といいます)、爪を切るのが難しい」 75% 「爪の水虫により活動性が低下している」 44% 「痛みや不快感」 41% 「爪を見せたくないので、ジムや温泉に行くのを避けたことがある」 18% 「特別な靴やパッドが必要」 10% 出典:Int J Dermatol.1997:36 754‐6(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9372349) 在宅医療の患者さんや高齢者施設の入居者を調査では、7割が何らかの皮膚の病気を持っており、湿疹や皮膚炎を上回って最も多いのが水虫などの皮膚真菌症という結果でした*4。 高齢者を対象に、足に問題を抱えていることと転倒経験との関係を検討した調査では、爪の肥厚(厚くなることです)や変形がある人では、ない人に比べて過去1年間の転倒経験が多く、転倒への不安が高まり、日常生活の活動性が低下する可能性が示唆されています*5。 また、他の病気を持つ人は要注意です。例えば、糖尿病性の神経/循環障害を基礎疾患に持つ人が爪の水虫を放置すると、そこから二次感染を起こし、一気に壊疽が進み、足の切断に至る可能性があります。 家族に水虫が伝播するので放置しないで! 家族に水虫が伝染することも大きな問題です。水虫の皮膚、爪はポロポロと剥がれ落ちやすく、皮膚や爪に潜伏する水虫菌(白癬菌、カビの1種)も一緒に散らばります。 家の中はもちろん、公衆浴場やサウナ、スポーツジムなども感染エリアになります。感染源になりやすいのは、バスマット、スリッパ、床です。室内に散らばった菌は、少なくとも月単位、場合によっては1年以上も生存して潜伏している場合もあります。 水虫菌はずっと居残っているうえ、最短24時間(付着部に傷があれば12時間)で感染が成立する可能性があるのです(図3)。 図3:爪の水虫をほっておくとどうなる? 図3の出典:2020年2月5日のNPO医師と団塊シニアの会主催のセミナー「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~、福田知雄先生の講演資料 前述の1999~2000年に足や爪の水虫で受診した患者さんの調査結果では、水虫になる危険度は水泳だと1.3倍、靴を履くのが8時間以上、ゴルフはそれぞれ1.4倍ほどです。 それに対して「家族に水虫がいる」は、なんと約22倍になり、危険度が高くなると指摘しています*2。 働き盛りの30歳以降、特に爪の水虫の罹患率は右肩上がりに増えていきます。もしお父さんやお母さんが感染源になると、子供も含めた家族みんなが水虫になる可能性があるわけです。 靴や靴下、スリッパ、風呂上りのマットなどをこまめにセルフケアしよう 家の中で家族全員が水虫にならないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか。自分でできるセルフケアとしては、おもに以下が挙げられます。 水虫に対するセルフケア 靴は週に3足以上を回して使うようにする:靴の中の湿度は100%になるので何日も同じ靴を履かない。 靴下は、右と左を区別する。洗うときはひっくり返す:右足が水虫の場合、左足に右足の靴下をはくと感染します。 屋内のスリッパは適宜、掃除機をかける。 風呂あがりのマットは適宜日干しし、掃除機をかける。 水虫は、再発やQOLの低下による日常生活への影響、家族への感染伝播といった問題がありますが、治療により問題は解決します。爪の水虫の治療は自力では改善しにくい場合が多いので、医療機関への受診をおすすめします。 次回は、市販薬がなぜ難しいのか、民間療法の真贋もふまえて紹介します。 *1:メディアセミナーは2020年2月5日に、NPO医師と団塊シニアの会の主催で、埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授の福田知雄先生が、「肌寒い季節でも油断禁物、身近な感染症‘’爪水虫‘’」~皮膚真菌症診療ガイドライン解説~のテーマで講演しました。 NPO医師と団塊シニアの会(http://dankai-senior.tokyo/)は、超高齢社会のわが国において、団塊の世代が75歳を超える「2025年問題」を解決するために、患者と医師という立場を越え、明るく活力ある社会にしたいとの思いから設立されました。後世のためにシニア世代がQOLを保ったまま終末期を迎えられるよりよいモデルを提供できるよう活動しています。 *2:日本皮膚科学会雑誌2001;111:2101‐2112 *3:J Dermatol 2010;37:397‐406 *4:J COCD.2007;24:245-2 *5:日本公衆衛生雑誌.2010;57:612‐3 ■関連記事 水虫 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続 公開日:2020/03/11 監修:埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授 福田知雄先生、NPO医師と団塊シニアの会
爪が厚くなりすぎて靴が履きづらい、歩行時に痛みを感じる、といった症状は爪白癬かもしれません。水虫などと同じ白癬菌が原因で起こる病気です。予防法や爪白癬に似た病気をチェックしましょう。 目次 爪白癬や水虫を引き起こす「白癬菌」 家庭内で白癬菌の感染を防ぐには…? 爪白癬のほかにも!爪が変色したり、厚くなったりする病気 爪白癬(つめはくせん)や水虫を引き起こす「白癬菌」(はくせんきん) 自分の足の爪を見てみると、変色していたり、厚くなったりしていないでしょうか。それは、水虫などと同じように白癬菌(はくせんきん)が原因で起きる爪白癬(つめはくせん)かもしれません。痛みやかゆみといった症状はありませんが、重度の場合、爪が厚くなりすぎて靴が履きづらくなることや、歩行の際に痛みを感じることもあります。 爪白癬であることを確かめるために行われるのが、医療機関で爪を採取し、顕微鏡で白癬菌を確認する検査です。白癬菌が見つかり、爪白癬と診断されると、医師から飲み薬や塗り薬が処方されます。治療にかかる期間は、白癬菌を死滅させ、新しい爪が生え変わるまでの1年から1年半です。痛みやかゆみなどの症状がないからといって、自己判断で治療を中断すると、せっかく治りかけていたのが再発してしまう恐れがあります。医師から治療の完了を告げられるまでは、根気よく続けましょう。 なお、水虫にもなっている場合は、爪白癬と一緒に治療する必要があります。 家庭内で白癬菌の感染を防ぐには…? 白癬菌は、家庭内で感染が広がりやすいと言われています。爪白癬や水虫になった人は、家族にうつさないために、次のことに気を付けましょう。 白癬菌の感染予防チェックリスト 足は毎日洗い、しっかりと乾燥させる 靴や靴下は通気性のよいものを選ぶ 靴は何足かを毎日履き替え、同じ靴を続けて履くのは避ける 爪切りの際は切った爪がまわりに飛び散らないようにする 切った爪は床に落ちたままにしない 浴室の足ふきマットやスリッパ、サンダルなどは、家族どうしで共用しない …など 爪白癬のほかにも!爪が変色したり、厚くなったりする病気 爪白癬のほかにも、足の爪が変色したり、厚くなったりする病気はあります。また、爪を強くぶつけた外傷により、爪の色が濁ったり、変色したりすることもあります。見た目ではどの病気なのか分からないので、医療機関で検査を受けて原因を確かめ、原因に応じた適切な治療を行いましょう。 爪白癬と似た症状が現れる病気 ●カンジダ性爪真菌症 カンジダというカビが原因で、爪の周りが赤くなったり厚くなったりします。 ●爪乾癬(つめかんせん) 乾癬という皮膚の病気が爪の症状として現れ、爪が厚くなったり色が濁ったりします。乾癬のはっきりした原因は不明ですが、遺伝が関係すると考えられています。 ●爪甲鉤彎症(そうこうこうわんしょう) 爪が厚くなったり、カーブを描くように曲がって生えたりします。 足に合わない靴を履くことによる圧迫や、外傷が原因です。 ●爪異栄養症 爪の発育不全で、爪に溝ができたり、裂け目ができたりする病気です。 …など ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続 公開日:2015/11/02
水虫といえば中年男性の悩みというイメージがあるが、実は女性にも水虫に悩む人は多い。女性が水虫で悩む原因はストッキングを履く習慣や、パンプスやブーツなど通気性の悪い靴を長時間履くことで、水虫が住み着き増殖する環境を作ってしまいます。 目次 男性だけの悩みではない!実は女性にも多い水虫 水虫にも種類がある 水虫予防はこまめなケアと日常生活での感染に注意 男性だけの悩みではない!実は女性にも多い水虫 水虫といえば中年男性の悩みというイメージがありますが、実は女性にも水虫に悩む人は多くいます。特に近年では若い女性の水虫が増加しているということで、薬局でも女性が水虫薬を手に取りやすいよう工夫している店舗が多いほどです。 若い女性が水虫で悩む原因の多くはそのファッションにあります。まずはストッキングを履く習慣。吸水効果のないストッキングを常に履いていることで、足は常に蒸れている状態になります。そのうえ、パンプスやブーツなど通気性の悪い靴を長時間履いたままの状態でいることは水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)が住み着き増殖する環境を作ってしまうのです。 水虫にも種類がある 一言で水虫といっても症状は一つではありません。水虫には足の指の間の皮膚がむけて赤くなる「趾間型」、透明な液体が入った小さな水泡が足の裏などにできる「小水泡型」、爪に菌が入り込み爪が黄白色になり欠けやすくなる「爪白癬」などがありますが、一般的に多いのは「趾間型」や「小水泡型」のようにジュクジュクしてかゆいというイメージのある水虫です。しかし、かゆみなどの自覚症状がないまま、足裏の角質が厚く硬くなる「角質増殖型水虫」という症状もあります。特に女性は冬場に角質増殖型水虫が増える傾向にあるので、保湿剤やクリームを塗ってもかかとのかさかさ、ごわごわ、ひび割れなどが改善されない時は、足が乾燥しているだけと安易に考えず、角質増殖型水虫の可能性も疑ってみる必要もありそうです。 水虫予防はこまめなケアと日常生活での感染に注意 水虫は感染します。自分が水虫でなくても一緒に生活する家族が水虫の場合、お風呂場やバスマット、スリッパ、じゅうたんや床などを感染経路として白癬菌が足に繁殖してしまう可能性が高く、さらに、温泉や公衆浴場、スポーツジムのロッカールームなど多くの人が利用する場所で湿り気のある場所も要注意です。 しかし、白癬菌の感染力はそれほど強くないため、付着後すぐに水虫になってしまうわけではありません。感染の可能性がある場所を歩いた後は、帰宅後にしっかりと石鹸で足を洗い、きちんと乾かすといったこまめなケアを行うことが感染予防の第一歩となるため、毎日のケアを心がけると感染の可能性は低くなります。 また、水虫の治療は、皮膚科専門医を受診するか、ドラッグストアで販売される治療薬を使用するのが一般的です。殺真菌薬と呼ばれる治療薬を塗ることで水虫の基となる水虫菌を死滅させることが治療の基本となります。温度が低くなると休眠状態になるといわれる水虫菌は、自然に治ったかに見えても活動に適した温度や湿度になると活動がはじまるため、症状が治まったからと自己判断で治療を中止することは危険です。 公開日:2009/01/05
水虫と爪白癬(つめはくせん)はどう違う? 人には、他人にはなかなか言いにくい体の悩みがあるもの。なかでも水虫と言えば、その代表格ではないでしょうか。冬のブーツの流行などで、若い女性にも水虫の人が増えていると言われています。蒸し暑い季節になると、症状が悪化する危険性がある上に、慢性化するとやっかいな爪白癬(つめはくせん)になってしまうケースもあります。 爪白癬という病名は知っていても、水虫との違いは分かりにくいかもしれません。そもそも水虫とは、皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)というカビ(真菌)の一種である白癬菌(はくせんきん)が、皮膚につくことで起こる病気です。足にできる水虫がいつまでも治らずに慢性化すると、白癬菌が爪の中にまで繁殖し、いっそう治りにくくなります。これを爪白癬と呼びます。 爪白癬の何がいけないの? 「爪が厚くなった」「色が濁っている…」これは、爪白癬のサイン。加齢によって爪の色が変わることはあっても、健康な爪であれば、このような変化をきたすことはありません。 爪白癬になっても、痛みやかゆみを感じることもなければ、出血をすることもありません。そのため多くの人は気にとめることもなく、放置してしまいます。その間にも白癬菌は活発に繁殖を続け、気がついたときには爪が変形し、厚くなった爪に押されて指が痛くなったり、歩行に支障をきたしたりします。 白癬菌は、股部や頭など体の他の部位にうつり、インキンタムシやシラクモになるほか、タオルやバスマット、スリッパなどを通じて周囲の人まで感染させてしまうことがあります。一家そろって水虫、という状態も引き起こしかねません。 1年から1年半、飲み薬や塗り薬を続けよう 市販されている水虫の塗り薬やスプレータイプの薬では、爪白癬に対する十分な治療効果が得られません。爪白癬を治すには、医師から処方される塗り薬や飲み薬が用いられます。 飲み薬は血流にのった有効成分が体内をめぐって爪まで運ばれ、塗り薬は直接作用します。どちらの薬も、爪の内側や、爪の内側の皮膚にまで運ばれて白癬菌を死滅させます。薬は、新しい爪に生え替わるまでの1年から1年半の間、使用を続けます。 爪白癬は、すぐに治る病気ではありません。まだ治りかけの段階で「もう大丈夫だろう」と自分で判断して治療を中断すると、再発する恐れがあります。完治のためにも医師に診てもらい、適切な治療を根気よく続けましょう。 ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続 公開日:2015年11月2日
水虫は、春から夏にかけて徐々にその患者が増えてくる。その水虫の正体は実は「カビ」。白癬菌と呼ばれるカビは、足だけでなく体や手にも発生するのだ。そのカビの正体を解説する。 目次 4人に1人は水虫? 水虫の原因は…「カビ」だ! 足の裏だけじゃない、水虫の種類 水虫はどこからうつる? 4人に1人は水虫? 梅雨どきから夏にかけて足の裏や指の間がかゆくなったりじくじくしてくると、「あ~、また水虫の時期になった~」と憂うつになってしまう。でも、「水虫ぐらいじゃなあ」とめんどくさがって病院にも行かず、自分で薬を買って塗っている。だけど、なかなか治らない…。そんな繰り返しを毎年送ってはいないだろうか。 現在、水虫患者は全国で1,500万人いるとも推測されている。さらに、治療に通っていない潜在的な水虫患者まで入れると、その数は3,000万人以上にものぼると言われている。なんと、4人に1人が水虫に悩んでいる計算になる。 水虫患者は高齢者になるほど増える。その理由は歳をとるほど皮膚が角化(硬く厚くなる)し、水虫の原因である白癬菌(はくせんきん)というカビが住みやすくなることや、長年水虫を放置し、慢性化させてしまうことなどが挙げられる。 また、最近では若い女性の水虫患者が増えている。これは、ハイヒールやストッキングなど、風通しの悪いものを長時間身につけて働く女性が増えていることや、裸足で利用する公共の場が増え、水虫に接する機会が増えていることなどが原因だ。特に女性は、「水虫なんて恥ずかしくて病院に行けない」と思っている人も多く、実は慢性化してしまっているケースも少なくない。 水虫の原因は…「カビ」だ! 一般的に足がかゆい、皮膚がただれているなど足に起こる不快症状を総称して「水虫」と呼んでいるが、医学的には「虫」ではなく「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビが水虫の正体である。白癬菌は人間を宿主として、皮膚の表面に寄生するもの。その結果として、かゆみやただれなどの皮膚病が起こるのだ。 皮膚と白癬菌はどんな関係? 皮膚の構造 人の皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」という三層構造になっている。その表皮の中で最も深部にある基底層では絶えず細胞分裂を繰り返しており、古くなった細胞は上へ押し上げられ、垢となって剥がれ落ちる。これは表皮のターンオーバー(新陳代謝)と呼ばれる仕組みであり、ひとつの細胞が垢となって剥がれ落ちるまでには約1ヵ月間かかる。しかし、白癬菌はこのサイクルと同じ速さ、またはそれ以上の速さで増殖する力があるのだ。 足の裏など、皮膚がちょっと硬くなっている箇所だと、ワンサイクルで約3ヵ月かかることもある。このため、一度水虫になると、皮膚を新しいものに総とっかえするまでには最低でも半年、長ければ1年ほどかかる。これが、水虫の治療に時間がかかるワケなのだ。 この表皮にある垢となって剥がれ落ちる前の核のない細胞群(角質層)は「ケラチン」と呼ばれる。ケラチンは、異物の体内への侵入や暑さ、寒さなどから内臓を守る役目があるのだが、困ったことに白癬菌はケラチンが大好きなのである。ケラチンを栄養にして繁殖するため、ケラチンがあって高温多湿な場所ならどこにでも寄生する。つまり、水虫は足の裏だけでなく、どこにでもできるものなのだ。 ターンオーバーについて:健康な肌は28日周期で新しく生まれ変わる 足の裏だけじゃない、水虫の種類 高温多湿な場所を好む白癬菌。特に好きなのは足の裏や指の間だが、そのほかの場所にも寄生する。 水虫の種類 ●足白癬(俗称:水虫) 最も白癬菌が寄生しやすいのは、やはり足。土踏まずや足の縁にできるものを「小水疱型」、足の裏全体やかかとにできるものを「角質増殖型」、足の指の間にできるものを「趾間(しかん)型」という。 ●頭部白癬(俗称:しらくも) 白癬菌は頭に寄生し、白い雲がかかったようになることから「しらくも」とも呼ばれる。思春期以前の髪の短い男子に発生しやすいが、最近では髪を短くする子が減ったことや衛生環境が整っていることなどから、激減している。が、ペットからうつされることもあるので要注意。 ●体部白癬(俗称:たむし) 体にできる水虫は、「小水疱性斑状白癬」ともいい、初めはぽつんと湿疹状の隆起がかゆくなり、徐々に10円玉くらいの大きさに広がっていき、健康な部分との境界がはっきりした斑状になる。症状が進むと中心部は自然に炎症が治まるのが特徴。また、股にできるものは「股部白癬」で、俗称「いんきんたむし」である。非常にかゆくなって寝ている間に無意識に掻いてしまい症状が悪化することも少なくない。 いずれも、自分の水虫が感染源になる場合と、飼っているペットから感染する場合がある。 ●手白癬(俗称:手の水虫) 手にできる水虫で、「脂掌白癬」とも呼ばれる。症状は、足白癬と同じ。 ●爪白癬(俗称:爪の水虫) 水虫は爪にもできる。爪白癬にかかると、爪の先端や両側から白くなったり、爪の中に白い筋が現れたりする。初期段階ではかゆみなどの自覚症状がないため、爪白癬だと気づかずに放置し、爪がボロボロになってしまうこともある。治療にはかなりの時間と根気が必要だが、治療効果は他の水虫に比べるといまひとつ。 水虫はどこからうつる? 「お父さんが私のスリッパを履いたから、私に水虫がうつったじゃない!」と娘に怒られている中高年のお父さん、「そんなくらいで水虫がうつるワケないじゃないか!!」なんて言っては娘に嫌われてしまうこと、間違いナシ。 水虫は空気感染するほどの感染力はないものの、水虫の人が使ったバスマットやスリッパを共用すれば、水虫がうつる可能性は高い。例えば銭湯やプール、フィットネスクラブなど、裸足で歩く所や大勢が使用するスリッパを利用する場所などは、感染する危険性が高いのである。もちろん、家族に1人でも水虫患者がいるなら、裸足で歩いた床にも白癬菌はうようよしている。そこを歩けば、やはり白癬菌に寄生されてしまうのだ。 また、動物も白癬菌をもっていることがあり、可愛いペットからうつされることもある。可愛くても水虫には要注意だ。 ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続 公開日:2003年5月26日
水虫は、放っておいても命に関わる病気ではないため、つい軽視されがち。でも、放っておくと爪までも水虫になり、歩行困難になったり、治療にも長い時間がかかることになる。早めにしっかり水虫を治療しておこう。その治療と予防について解説する。 目次 もし、水虫を放っておいたら…? 実は水虫ではなく症状を悪化させてしまうことも… 水虫治療&予防に必要なのは「気長に続ける根気」 もし、水虫を放っておいたら…? 「今まで何年も(何十年も?)水虫を放っておいてもどうってことなかったから、今さら治療なんてしなくてもいいんじゃないの?」とのんきに構えているなら大間違い。確かに、水虫は命に関わる病気ではないが、長年放っておけばそのツケは回ってくる。 10代、20代のころに発生した水虫が30代を過ぎると趾間(しかん)びらん型や小水疱型足白癬へと移行し、再発を繰り返しているうちに角質増殖型足白癬へと進行してしまう。するとかかとや指のつけ根などが堅く厚くなり、白く乾燥した皮膚がぽろぽろむけるようになる。それが足全体に広がってしまったり、また非常に治りにくい爪白癬へと移行させてしまうのだ。ひどい場合には、歩行に支障をきたすこともある。こうなると、治療にもとても時間がかかってしまう。 たかが水虫、されど水虫。患部が小さいうちに根絶しておく治療が必要。 実は水虫ではなく症状を悪化させてしまうことも… 水虫の薬を自分で買ってきて塗ってみたが、なかなか治らない、というケースもある。これは、同じ水虫といってもタイプによって使用する薬が違うからだ。 また、水虫だと思い込んで薬を塗っていたが、実は水虫ではなくかえって症状を悪化させてしまうこともある。 素人判断をせずに、まずは皮膚科などの専門医にかかろう。水虫だって立派な皮膚病なのだ。 水虫と間違われやすい病気 ●汗疱(かんぽう) 足に起こる皮膚病のなかでも水虫に似ているのがこれ。皮膚にごく小さな水疱ができたり、それがつぶれて輪のように薄く皮がむける。汗をかきやすい人に起こり、足だけでなく手にも発生する。 ●掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) 黄色の小さい膿をもったブツブツが急に土踏まずを中心に左右対症に出現し、患部に赤身を帯びることが多い。比較的年齢の高い人に起こりやすいのが特徴。見た目は小水疱型足白癬とそっくりだが、人にうつることもなくかゆみも水虫ほどではない。 ●接触性皮膚炎 皮膚がなんらかの刺激を受けてアレルギー反応を起こすもの。例えば、刺激の強い洗剤や薬品を使ったり、靴ずれによって水ぶくれができたり、豆がつぶれたりすると、足の皮が白くなってむけたりただれたりする。 ●真菌(カビ)の感染 白癬菌以外の真菌に感染しても、水虫のような症状になることがある。代表的な真菌は、カンジダと呼ばれるもの。カンジダは消化管や便、膣などに常在しているため、乳幼児のおむつの蒸れや長い間ばんそうこうを貼っているなどの部分にカンジダ症を発生させる。 ●加齢や他の病気 老化や糖尿病など、代謝異常を伴う病気を原因として起こる皮膚の変化も水虫に似ている。特に糖尿病の場合には、症状が強く出ることも。高齢者は、老化現象なのか他の病気なのか、白癬菌なのか、きちんと調べることが必要だ。 水虫治療&予防に必要なのは「気長に続ける根気」 「薬だって民間療法だっていろいろ試したけど、どうせ水虫なんて完治しないんだ」と諦めているなら、今度こそきちんと治療をしてみよう。正しい治療を行えば水虫は完治させることができるのだ。ただし、三日坊主の治療では治らない。焦らずじっくり治療することが必要だ。半年、1年かけて根治するつもりで取り組もう。そうすれば、毎年水虫に悩むことはなくなるし、人前で裸足になることだって堂々とできるのだ! 薬物による治療 医師の診断と検査により、その人の水虫に合った治療方針や治療薬が決められる。主に、「抗真菌剤」と呼ばれるものが使用されるが、抗真菌剤には内服用と外用薬がある。いずれも、医師の処方に従って。また、成分を抑えた市販薬も薬局・薬店に多く出まわっているが、これも自己判断で使用せず、医師に相談しよう。 また、薬を使うとしばらくしてかゆみが治まったり、足がつるつるになることがある。しかし、ここで油断してはならない。このとき、白癬菌は皮膚の下でじっとして生き残っていることがあるからだ。完治して再発を防ぐためには、数ヵ月以上続けることが大切。 生活による治療&予防 いくら薬を飲んでいても、相変わらず水虫が好む環境の中で生活していれば、症状は改善されにくい。家族にも協力してもらい、水虫を撃退しよう! ●毎日石鹸でよく洗い、患部を清潔にすること 足の指の間まで一本一本丁寧に洗おう。 ●洗った後は十分乾燥させること とくに足の指の間は乾きにくいため、広げて乾燥させよう。 ●水虫を防ぐ靴を選ぼう 1日中靴を履いていると、コップ1~2杯の汗をかくと言われている。通気性のよい靴を選び、履いた後は靴を十分乾燥させよう。一足の靴を毎日履くのではなく、できれば数足をローテーションさせて。長時間靴を履く時にはときどき脱いで足に風をあてよう。 ●スリッパの共用を避ける 自宅でスリッパを履く場合には、マイスリッパを用意しよう。特に家族に水虫患者がいる場合には、一緒のスリッパを履かないだけでなく、バスマットなどの共用も避けるほうがベター。 ●公共施設を利用したら、足をよく洗おう プールや銭湯など、裸足で歩き回る場所に行った場合には、後で足をよく洗うこと。また、ボウリングやスケートなどの貸し靴を利用する場合には、靴の中に白癬菌が潜んでいることもあるので、靴下を履くこと。裸足では履かないようにしよう。 ●どうしても気になるなら、携帯スリッパを持参 そこまで神経質になる必要はないが、どうしても外での感染が気になる人は携帯スリッパを持参しよう。ここまですれば完璧だ! 公開日:2003年5月26日
足に起こる代表的なトラブル、水虫。梅雨が近づくと、毎年頭を抱える人も多いだろう。水虫は、「昨年は大丈夫だった」というあなたも、ほっとするのはまだ早い!水虫にかかってしまった人も、そうでない人も、水虫を知って損はナシ! 水虫は立派な病気です 目次 水虫の正体は「カビ」だった! 水虫は働き者の勲章!? 水虫にかからないためのポイント 水虫の正体は「カビ」だった! 一般的に水虫と呼ばれているものは、「白癬菌(はくせんきん)」と呼ばれるカビが足の皮膚に寄生して起こる病気のこと。医学的には水虫のように白癬菌によって起こる病気は「白癬」と呼ばれている。 この白癬菌は、皮膚の角質を構成する成分のケラチンというたんぱく質が大好物。つまり水虫は、ケラチンがあれば足や手だけでなく、皮膚の一部である爪や毛髪まで体のどこにでも寄生する可能性がある、とても身近な感染症なのだ。 水虫は働き者の勲章!? カビの一種である白癬菌は、当然高温多湿の環境が大好き。温度15℃、湿度70%以上になると活発に増殖する性質がある。まさにこれからの梅雨から夏場にかけての季節は、白癬菌にとって絶好の季節なのだ。ただ、最近では冬場でも室内は暖房が行き届いているので、冬でも水虫は発症するようになった。 ところで「水虫」というとこれまで働き盛りのサラリーマンなどお父さん世代に多いといわれていた。これは1日中履いている靴の中が蒸れ、白癬菌が最も活動しやすい環境にさらされているため。しかし最近では、ストッキングにパンプスやブーツなど通気性の悪い靴を履いて働く女性の増加に伴い、女性の感染率も上がっているという。 水虫にかからないためのポイント 水虫は感染症。といっても、まわりに水虫の人がいても簡単にうつるほど感染力は強くないので必要以上に怖がる心配は無用だ。しかし白癬菌の手ゴワイところは、生命力が強いこと!剥がれ落ちた皮膚の中でも長期間生きることができるのだ。ほとんどの場合、この剥がれ落ちた皮膚が感染源となっている。家族に水虫患者がいる場合はもちろんだが、銭湯やプール、スポーツジムなど裸足で利用する場所では感染の危険性大。 とはいえ生活環境から白癬菌を完全に取り除くことは、はっきりいって不可能だ。それゆえ常に足を清潔にし、しっかり乾燥させて白癬菌が住みつきにくい環境にしておくことが最大の予防ポイントといえそうだ。 水虫予防のポイント ●毎日、石鹸でていねいに足を洗おう 白癬菌が皮膚の角質層に住みつくまでには1日くらいかかるといわれているので、仮に白癬菌が皮膚についても足の裏から指の間まできれいに洗い流せば問題ない。洗ったあとは指の間までよく乾燥させるのをお忘れなく。 ●同じ靴を続けて履かない できれば数足をローテーションで履くようにしよう。通気性の良い靴や靴下を選び、脱いだ靴はよく乾燥させよう。 ●足拭きマットやスリッパは別々に 暖かくて湿気の多い足拭きマットやスリッパは白癬菌の格好の住処。特に家族に水虫患者がいる場合、供用は禁物。 ●家族に複数水虫患者がいる場合は、家族全員で治療を ひとりが治っても、他に患者がいれば家中に白癬菌をバラ撒かれ続け、再感染の危険性大。 ●床掃除はこまめにしよう 足が清潔でも床や畳、カーペットが汚くては意味がない。最大の感染源は剥がれ落ちた皮膚なのだから…。 公開日:2004年6月14日
水虫を疑って、薬局で買った薬を試したが結局治らなかった…。そんな苦い経験をした人もいるだろう。しかしテレビCMでも見かけるように、最近ではこれまで病院でしかもらえなかった効き目の強い薬が、薬局でも購入できるようになった。そこで、ここでは水虫治療薬選びのポイントを考えてみよう。 目次 あなたの水虫はどのタイプ!? タイプにあった薬の選び方 水虫薬の効果に違いはあるのか? 「スイッチOTC薬」ってなんだ!? あなたの水虫はどのタイプ!? タイプにあった薬の選び方 水虫治療の中心となる塗り薬。薬局でも数多くの種類が販売されているのでどれにしようか迷うところだが、自分の症状のタイプに合った薬を選ぶのもひとつのポイントになる。 液剤・噴霧剤(スプレー) 乾きやすくサラッとしていて塗ったときの使用感が良い。特にカサカサした乾燥タイプの水虫におすすめ。ただアルコールを含んでいて刺激性があるため、傷口があるなど症状が悪化した場合には適さない。 クリーム剤・軟膏剤 皮膚への浸透力に優れ,水虫治療に最も多く使われている。塗ったときのベトベト感を少々気にする人もいるが、刺激が少ないので特にじゅくじゅくタイプにおすすめ。 これ以外にも、一般には市販されていないが、病院で使用されている内服薬がある。水虫に飲み薬?と思うかもしれないが、角質が硬く厚くなったり、爪にまで感染が広がるなどして重症化してしまうと、塗り薬だけでは奥に入り込んだ菌にまで成分が行き届きにくいのだ。そうなる前に早い段階で塗り薬で治してしまえればよいが、爪にまで症状が見られた場合は早めに医療機関を受診し、内服薬による治療を行うのが適切。 水虫薬の効果に違いはあるのか? 水虫の治療には、抗真菌薬(カビのことを医学的には真菌という)が使われる。この抗真菌薬には、水虫の原因となる白癬菌を殺したり、発育を抑制する効果がある。 ここで注意したいのは、発育を抑制しただけでは症状が良くなっているように見えても、菌はまだ生きているということ。「治った」と思ってここで薬をやめてしまえば、菌はまた再び増殖を始めてしまう可能性が高い。これまでの薬で治らなかったのは、そのせいかもしれないのだ。 だから薬の成分選びも大事なポイント。最近の薬は効果が高いといわれているが、下記のようなポイントで選んでみてはいかが? ●菌の発育が止まるような、少ない濃度でも菌を殺す作用がある。 ●皮膚の角質層への浸透力がよい。 ●薬の成分が長い時間皮膚内にとどまるため、1日1回でも効果がある。 「スイッチOTC薬」ってなんだ!? 薬のCMには、「使用上の注意をよく読み、用法用量を守って正しくお使いください」などのアナウンスや字幕がつきものだ。この多くは「スイッチOTC薬」と呼ばれるもの。これまで医療機関を受診しなければもらえなかった医療用医薬品のうち、副作用が少なく安全性が高いと判断されたものをOTC薬(薬局のカウンターで購入できる薬のこと)として転用(スイッチ)したという意味である。 スイッチOTC薬はもともと医師の診断でしか使用できなかった薬なので、他の一般薬より作用が強いのが特徴。ただ効き目が強い分、使い方を間違えれば良くなるどころか害にだってなりかねない。薬についている注意書の指示をよく読み、わからないことや不安な点があれば、専門家である薬剤師に相談してみよう。 ところでこのスイッチOTC薬、患者側にはわざわざ病院まで行かなくても効き目が強い薬を入手できるというメリットがあるが、それだけではない。国からみれば、健康保険が使われないので医療費削減になるというメリットがあり、奨励される方向にあるようだ。最近スイッチOTC薬が増えている理由には、このような背景があるのかもしれない。 知っておきたいクスリの基本と最新事情 公開日:2004年6月14日
「水虫は治らない」と思い込んでいるあなた、それはもう過去の話。確かに、水虫は再発しやすく治療には根気が必要。しかし、優れた殺菌作用を持つ薬の登場により、完治も夢ではないのだ。あきらめないで、今年こそ水虫を撃退しよう! 目次 水虫治療の落とし穴 効果的に治療を進めるポイント あなたの症状、本当に水虫!? 水虫治療の落とし穴 水虫の原因となる白癬菌は、目には見えない。かゆみやただれなど自覚症状がなくなれば「治った」と思ってすぐに治療をやめたくなるのがホンネだが、これが水虫治療の最大の落とし穴、といえるだろう。症状が治まっても、菌は息を潜めているだけ。治療をやめた上に高温多湿の環境になれば再び菌は活発に動き出し、再発する可能性大!だから、症状が治まっても決して油断してはいけない。その後1ヵ月程度は薬を塗り続け、根気よく治療を続けることが完治につながるのだ。 効果的に治療を進めるポイント ●薬はなるべく広範囲に塗ろう 白癬菌は症状が出ている範囲より広く寄生しているので、広範囲に塗る必要あり。 ●根気よく治療を続けよう 治った、と思っても油断は禁物。症状が治まったあとも1ヵ月程度は治療を続けよう。 ●症状にあった薬を選ぼう カサカサタイプには液剤やスプレー、じゅくじゅくタイプにはクリームや軟膏が効果的。 ●患部はいつも清潔に 菌の増殖を抑えて二次感染を予防するため、患部は刺激の少ない石鹸でていねいに洗い、いつも清潔にしておこう。古くなった角質を軽石などで取り除くのも効果的。 ●薬を塗るなら入浴後 入浴後は皮膚が柔らかくなって薬の浸透性がよく効果的。薬を塗った手には菌がついているのでよく洗うのをお忘れなく。 ●患部の乾燥を心がけよう 入浴後や汗をかいた後はしっかり乾燥させることが大切。特に乾きにくい指の間もしっかり乾燥させて。 ●靴やスリッパもよく乾燥して清潔に 靴やスリッパもよく乾燥して清潔に靴やスリッパが蒸れていては、せっかく治った水虫も自らバラ撒いた白癬菌により再発の危険性大。靴は毎日履き替えて。 あなたの症状、本当に水虫!? 自分は水虫と、思い込んで水虫薬をしばらく試したが症状が良くならないという場合、それはもしかしたら水虫ではないかもしれない。俗に「足に起こる皮膚炎はほとんど水虫」と思われているが、手や足に起こるトラブルのなかには似た症状をもつ病気も多いのだ。素人目で見分けることは困難なので、水虫と自己診断してもまったく別の病気であることも多い。 水虫でないものに水虫の薬を塗ると、治らないどころかかえって悪化するケースもあるから要注意。疑わしい場合は手間を惜しまず、医療機関で受診して水虫かどうか確かめてもらうことも重要だ。間違った治療で損をするのは、他ならぬ自分自身なのだから。 水虫の半分は水虫ではない? 水虫と間違えやすい病気はこちら ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続 公開日:2004年6月14日
とある娘さんが夏になり、足がかゆかったり水泡ができたりどうもミョーな具合と、あわてて皮膚科に駆けつけ事情を説明すると、お医者さんがポツリ。 「お父さんの水虫は、娘さんが好きなのかねえ…。」 感慨深げなお医者さんの言葉に真実はあるのか! 水虫をまき散らす人々 水虫は白癬菌(カビやきのこの仲間)が皮膚にくっつくことから始まる。 菌の成長には当然栄養が必要。 この栄養の元になるのが、皮膚の一番上に位置する角質にあるケラチン。 特に温度が高く、湿気の多いこの季節には水虫の活動が活発になる条件が揃う。 一度とりついて居心地が良くなると、菌は増えて、次々新しいところへはびこっていく。 例えば、自分では右足の親指だけが水虫と思っていたのに、皮膚科で足全体を調べてもらうと、自覚症状はないのにすでに左足のかかとにまで水虫の菌がしっかりついてることもしばしば。 自分の足だけならまだいいが、菌がばらまかれ、ほかの人にうつることも意外に多い。 皮膚の角質層は約1ヵ月ではがれ落ちて新陳代謝を繰り返す。 この皮膚のくずについて菌も一緒に落ち、ほかの人に感染していくことも多い。 お父さんの菌がわざわざ娘を選んでとりつくわけではないが、お風呂上がりの足ふきマットや、トイレのスリッパなどを家族で共有すると、家族にうつる可能性は大だ(菌がついたからといって、即水虫になるわけではない)。 根気よくまじめに治療しよう どうすれば水虫を娘にうつざずにすむか(もちろん奥さん、息子にも)と言えば、自分の水虫を治すこと。 家族の中から水虫菌を追い払うことだ。 以前は「ハゲと水虫を治す薬を発明したらノーベル賞ものだ」などと言われたが、こと水虫に関してはこれは昔の話。 最近の水虫薬は効き目が強く、持続性の高いものも続々登場しているので水虫は”不治の病”ではないのだ。 薬は“最低1ヵ月”は使い続け、姿が見えなくなっても“2、3ヵ月”治療を続け、水虫を徹底的に追放することが肝心だ。 また皮膚と一緒に部屋の中などに落ちた菌も数ヵ月生きるしぶとさを持っているので掃除機をまめにかけ、足ふきマットなどはまめに洗って、日光でしっかり乾かすこと。 自分の足や足指の間を寝る前などによく石鹸で洗い、菌を洗い落とそう。 水虫に関してはさまざまな民間治療を試みている人も多いだろう。 すべての説が間違いではないが、水虫と思い込んでいたものが実は違う皮膚病だったりすると逆効果ということもあるので、一度きちんと診察してもらうのが、解決への結局は早道だ。 ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続
梅雨から夏、日本ではこの時期、水虫が風物詩となる。 テレビでは毎年、強力さをアピールする新しい水虫薬のCMが増え、日本での水虫天国ぶりがうかがえる。 そこで海外ではどうなのか、各国水虫事情について外国の人にインタビューしてみた。 日本で水虫が治ったアメリカ人記者 来日8年、某英字新聞の記者の出身はアメリカ・ワシントン州。 彼は大学時代から水虫持ちだった。 アメリカでは水虫はAthlete's footといい、彼曰く「陸上の選手がなりやすいんだ、足に汗をかくからね。」ふむふむ。 「アメリカでは、湿気を外に逃すからウールの靴下をはくといいっていわれてる。 綿?ダメダメ。汗は吸うけど、それを逃がさないから」とのこと。 また夏になると、水虫薬のコマーシャルが日本ほどではないが増えるそうだ。 アメリカの水虫薬の主流はパウダー。 医者に行くというより、パウダーを使って何とかしようとする人が多いらしい。 さて、水虫を温存したまま来日した彼だが、ある時腰痛で訪れた日本の鍼の治療院で「水虫は、体に良くない水分がたまっているからなる」といわれ、その先生の鍼治療で水虫を克服、再発していないという。 「鍼がオススメ」が彼の持論となった。 乾燥地域の水虫事情 ところ変わって、イタリアでは。 「水虫の話も水虫に悩んでいる人の話もほとんど聞いたことがない」と、ミラノに近い町の出身の男性。 彼は「イタリアは乾燥しているし、イタリア人は家に帰ると、すぐに靴を脱いで、スリッパに履き替えるから大丈夫なんだよ」という。 そして「伝統的な薬草を扱っている薬局には、ハーブからできた水虫薬も売っていたような気がするが、みんなあんまり関心ないよ。あっ、でもヨーロッパ全体がそうじゃなくて、例えばフランス人は家に戻っても靴を脱がないから、きっと水虫あるんじゃない?」と独断&偏見に満ちた意見。 じゃあ乾燥している地域には水虫はないの?とアラビア半島・オマーンの人に聞いてみると、「あります」との回答。 民族衣装にあわせた履き物がサンダルだし、降雨量も少ないので、水虫はないと思いきや。 ただし、病院で治療してもらえばきちんと直るらしく、一生水虫とお付き合いとか、足がただれるほどひどくなるといった話は聞いたことがないという。 世界にその名をとどろかせるとは恐るべし、水虫。 そうはいってもやはり乾燥は苦手のようで、乾燥していると、たとえ繁殖に成功してもあまり強力にヒトを悩ませることはないようだ。 職場のサンダル履きは女性には人気がないかもしれないが、やはりここはひとつ 「職場でのサンダル履き」、「替えの靴下用意」で汗を吸ったままの靴下の履きっぱなし追放が、水虫駆逐の手立てのようだ。 ■関連記事 爪の水虫は10人に1人、30歳以降から増加しやすく家族への感染に要注意 水虫の蔵元は爪!医療機関で塗り薬の治療を受けて最低1年は継続
水虫の薬を塗って悪化させることもある 「足にできる皮膚炎の大部分は水虫である」という俗説がありますが、これは根拠のないうそです。 50~60%は水虫ですが、残りの半分近くは全く別の皮膚病らしいのです。 水虫バスターズフォーラムが、水虫ファクス相談を行ったところ、32.9%は水虫ではなく、大部分が湿しん・皮膚炎だったそうです。 水虫と誤って自己診断しているものの中には、手足がかぶれたりする「接触性皮膚炎」や湿しん、赤い水ほうができてうんだりする「掌せきのうほう症」、皮が薄くむける「汗ほう」など、多種多様な皮膚病が含まれています。 水虫でないものに水虫の薬を塗ると、かえって悪化させることがあるので注意が必要です。 どうやって見分けるの? 手や足にできる皮膚炎は、水虫と良く似た症状のものが多いので、判断するのはなかなか難しいものです。夏にできて、冬には自然に軽快するなら、水虫の可能性が高いといえます。 自分では判断しかねると思ったら、恥ずかしがらずに皮膚科の門をたたいてみましょう。本当に水虫であれば、適切な処置をしてもらうべきですし、もしかしたら、水虫ではないかもしれないのですから。