プロバイオティクス(体にとってよいはたらきをする細菌)、乳酸菌サプリメントなどのコマーシャルを目にします。このところ、その機会が増えたように感じるのですが、みなさんはいかがでしょう。規制もあるので、TVなどのコマーシャルでは「腸の調子を整える」とか、「健康にいい」という宣伝しかしませんが、実は、うつ病などの心の病と大腸に棲みついているプロバイオティクスとの間には深い関係があることがわかっています。ここでは、健康な人とうつ病患者さんの腸内に棲みついている細菌の組成の違いに注目して行われた研究と、プロバイオティクスサプリメントを摂取するとどのような変化が起こるのかをみた研究を紹介します。 目次 健康な人とうつ病患者さんでは大腸に棲みついている細菌の組成が違う プロバイオティクスサプリメントを摂り続けると、うつ病の症状が軽くなる? 板倉先生ワンポイントアドバイス 健康な人とうつ病患者さんでは大腸に棲みついている細菌の組成が違う うつ病にかかっている人の全人口に占める割合は、少し前のデータですが4.4%だと言われています*1。世界の人口を80億人として計算すると、うつ病の患者数は1億8千万人という大変な数になります。 うつ病は、慢性的なストレスがきっかけになって起こる病気で、気分が落ち込み、何もする気がなくなって、眠れなくなるなどの症状が出現します。うつ病は心の風邪という言葉が一時よく使われたように、誰もがかかる可能性のある病気なのですが、実は、女性の患者さん方が多くて、その数は男性の2倍だそうです*1。 人の体にはストレスを弱めるための仕組みが備わっていて、その中で腸内細菌も重要な役割を担っています*2。では、慢性的なストレスをきっかけにうつ病になってしまった人の腸内細菌は一体どうなっているのでしょうか。 日本で行われたうつ病患者さんと健康な人の腸内細菌を比べた研究では、うつ病患者さんの腸では、ビフィズス菌と乳酸菌が健康な人よりも明らかに少ないことがわかったと報告されています*3。 プロバイオティクスサプリメントを摂り続けると、うつ病の症状が軽くなる? この日本の研究では、同じうつ病患者さんの中でも、ヨーグルトや乳酸菌飲料をよく飲むグループは飲まないグループよりも腸内のビフィズス菌の数が多いことも報告されていますので*3、プロバイオティクスを多く摂って腸内の細菌を増やせばうつ病の症状を軽くできるかもしれません。 この考えについて、実際に、確かめようとした研究があります。うつ病の患者さん40人を、抗うつ薬とプロバイオティクス(乳酸菌とビフィズス菌含有)サプリメントを飲む20人グループと抗うつ薬とプラセボ(プロバイオティクスサプリメントの偽薬)を飲む20人のグループに分け、研究開始から8週間後までのうつ病症状の変化を比べるという方法が採られました。その結果、抗うつ薬とプロバイオティクスサプリメントを飲んだグループは、抗うつ薬とプラセボを飲んだグループに比べて、うつ病症状の重さを現すスコアの減り方が明らかに大きかったことがわかりました*4。 この研究を行った医師たちは、プロバイオティクスサプリメントにはうつ病の症状を軽くする効果がありそうだけれども、研究に参加した人の数が少ないこともあって、もっと多くのデータを積み重ねる必要があるとしています。 腸内細菌と生活習慣病との間に関連のあることが多くの研究からわかってきました。なかでも、うつ病の人では健康の人と腸内細菌数が違うことから、プロバイオティクスやプレバイオティクスによってうつ病が改善できないか研究がすすめられています。プロバイオティクスやプレバイオティクスは炎症を緩和させるはたらきがあることから、精神・神経系の病気にも良い効果が期待されています。 ■参考文献 *1:Ferrari AJ, et al. Plos One 2013; 8: e69637 *2:Kunugi H, et al. Neuropsychopharmacology 2006; 31: 212-220 *3:Aizawa E, et al. J Affect Disord 2016; 202: 254-257 *4:Akkasheh G, et al. Nutrition 2016; 32: 315-320 公開日:2021/04/06 監修:芝浦スリーワンクリニック名誉院長 板倉弘重先生
食生活や栄養のバランスが崩れることがうつ病の発症や悪化に関わりやすいとの指摘があります(参考:うつ病に良い栄養は葉酸や鉄分)。最近では、腸内細菌との関わりや、過敏性腸症候群についても研究論文で指摘されています。国立精神・神経医療研究センターの功刀浩先生が第22回病態栄養学会学術集会*1で講演した内容を紹介します。 目次 日本で腸内細菌とうつ病との関係や過敏性腸症候群の合併率を検討 ビフィズス菌や乳酸桿菌が体内で少ないとうつ病のリスクが高い可能性 過敏性腸症候群の合併率は健康な人に比べて高い 乳酸菌飲料やヨーグルト摂取が少ないとうつ病リスク 善玉菌のプロバイオティクスを摂取するとうつ病リスクが低くなるエビデンス 日本で腸内細菌とうつ病との関係や過敏性腸症候群の合併率を検討 過敏性腸症候群は、明確な原因がないのに下痢や便秘などの便通異常を伴う腹痛や腹部不快感が慢性的にくり返され、不安やストレスを感じると症状が強くなるもので、腸内細菌が関わっている可能性が指摘されています。 功刀先生らの研究グループは、43人の大うつ病患者さんのグループ(以下、うつ病グループ)と、57人の健康な人のグループ(以下、健康グループ)で、腸内細菌とうつ病との関わりや、過敏性腸症候群の合併率を検討しています*2。以下、紹介します。 ビフィズス菌や乳酸桿菌が体内で少ないとうつ病のリスクが高い可能性 まず、腸内細菌に関する検討結果です。便を採取して善玉菌のビフィズス菌と乳酸桿菌(ラクトバチルス)の菌数を、うつ病グループ、健康グループで比較しました。 その結果、うつ病グループでは健康グループに比べてビフィズス菌の総菌数が統計学的検討で有意*3に少なく、ラクトバチルスの総菌数も低下傾向にありました。 また、うつ病グループと健康グループとを区別する便1g当たりの菌数(カットオフ値)を算出し、それぞれの菌のカットオフ値以下であった割合を比較しました。 その結果、ビフィズス菌がカットオフ値以下であった人の割合は、うつ病グループでは49%で、健康グループの23%に比べて高いことがわかりました。 統計学的に分析した結果、便1g当たりのビフィズス菌の数がカットオフ値以下だと、うつ病を発症するリスクが約3倍になることが示唆されました(図1)。 ラクトバチルスがカットオフ値以下の割合は、うつ病グループでは65%と健康グループの42%に比べて高く、便1g当たりのラクトバチルスの菌数がカットオフ値以下だと、うつ病を発症するリスクがおよそ2.5倍になることが示唆されました(図2)。 図1:大うつ病患者さんと健康な人のビフィズス菌の比較 図2:大うつ病患者さんと健康な人の乳酸桿菌(ラクトバチルス)の比較 出典:J Affect Disord. 2016;202:254-7、国立精神・神経医療研究センタープレスリリース(2018年6月9日)*2 過敏性腸症候群の合併率は健康な人に比べて高い 過敏性腸症候群を合併している人の割合を検討すると、健康グループでは12%、それに対しうつ病グループでは33%でした。 上記の割合を統計学的に分析した結果、うつ病の人では健康な人に比べて過敏性腸症候群を3倍合併しやすくなることが示唆されました。 さらに、ビフィズス菌やラクトバチルスの数が上記のカットオフ値より低い人は、過敏性腸症候群症状をもつリスクが高くなることがわかりました。 乳酸菌飲料やヨーグルト摂取が少ないとうつ病リスク 体内の腸内細菌の構成には日常の食生活が深く関係しているので、ビフィズス菌や乳酸菌を多く含む飲料やヨーグルトなどの摂取頻度と腸内細菌の関係を調べました。 その結果、うつ病グループでは摂取習慣が週に1回未満の人では、週1回以上の人に比べて腸内のビフィズス菌の菌数が有意に低いことが確認されました(図3)。 図3 うつ病患者さんにおけるヨーグルトや乳酸菌飲料の摂取頻度と腸内のビフィズス菌の比較 出典:J Affect Disord. 2016;202:254-7、国立精神・神経医療研究センタープレスリリース(2018年6月9日)*2 善玉菌のプロバイオティクスを摂取するとうつ病リスクが低くなるエビデンス また、海外では乳酸菌飲料やヨーグルトなどのプロバイオティクス(生きた善玉菌を含む食品などのことです)を8週間摂取したうつ病患者さんのグループと、プロバイオティクスそっくりのプラセボを摂取した患者さんのグループで比較した研究があります*4。 結果を見ると、うつ病の症状や糖尿病に関連する評価指標、症状に関わる指標の体内物質のC反応性タンパクなどからみた病気の改善度は、プロバイオティクスを摂取したグループのほうが高いことが明らかになりました。 以上から、うつ病患者さんは善玉菌が少ない人が多く、乳酸菌飲料やヨーグルトなどのプロバイオティクスを摂取すると、うつ病の予防や治療に有効となる可能性があります。 最後になりますが、功刀先生は日常の食生活がうつ病に深く関係しているので、栄養素(葉酸や鉄分、腸内細菌など)に気をつけることが重要になるとのことです。 *1:第22回日本病態栄養学会年次学術集会(会長=横浜市立大学・寺内康夫先生)は2019年1月に開催されました。学術集会では、医師や管理栄養士、薬剤師など医療従事者が最新の研究成果や臨床上の課題について報告されました。 *2:Journal of Affective Disorder 2016,;15 :254-257 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27288567 国立精神・神経医療研究センタープレスリリース https://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=105 *3:有意とは統計学的検討によりグループ間で大きな差が認められたことをいいます。 *4:Nutrition 2016 Mar;32(3):315-20. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26706022 ■関連記事 子供が「うつ病」になったら…大人はどうする? 増え続ける不登校、うつ病も増加? うつ病と糖尿病は合併しやすい うつ病チェックで糖尿病悪化を防ぐ うつ病、統合失調症など精神疾患も生活習慣病のひとつ? うつ病 公開日:2019/07/22 監修:国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長 功刀浩先生
スギ花粉症は、アレルギーの病気で国民病といわれており、最近は子供の花粉症が増加していることが問題となっています。腸内環境を改善することがアレルギー対策になるため、薬以外に食事を工夫することも一つの手です。赤坂ファミリークリニックの伊藤明子先生は、腸内環境を改善するヨーグルトとアレルギーを抑える成分を多く含む柑橘類を組み合わせたレシピ「じゃばらヨーグルト」をおすすめしています。作り方を含めて紹介します。 目次 子供や思春期でスギ花粉症が増加傾向 清潔にしすぎると腸内細菌の環境が悪くアレルギーになりやすい じゃばらは花粉症に関わるヒスタミンを抑えるナリルチンを多く含む柑橘類 じゃばらヨーグルトの作り方(10人分) 子供や思春期でスギ花粉症が増加傾向 伊藤先生によると、スギ花粉症は、4人に1人が発症する国民病です。鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版によると、1998年と2008年に実施された全国調査の結果*1では、スギ花粉症の人数が1998年に比べて2008年のほうが増加しているとのことでした。 その傾向のなかで、5歳以降の学童期の子供たちの花粉症が増えていることが問題となっています。 スギは樹齢30年前後から花粉の生産が盛んになりますが、国内のスギの大半が樹齢30年未満のため、今後しばらくは花粉がさらに多くなる予想で、子供の花粉症も増えていく可能性があります。 子供の花粉症への対策としては、医療機関で抗アレルギーの薬が処方されます。また、舌下療法という根治を目指す治療法もありますが、12歳以降しか受けられませんし、花粉が飛散するかなり前から服用を開始し、数年間にわたり毎日続ける治療法です。 近年、アレルギーへの対策として腸からアプローチすることが注目されています。伊藤先生は親が子供のために作ることができるレシピを考案しました。 清潔にしすぎると腸内細菌の環境が悪くアレルギーになりやすい 伊藤先生によると、腸内には多種多様な善玉菌(乳酸菌など)、悪玉菌、日和見菌が住み着き、それぞれのバランスがよい状況が望まれますし、腸内に生息している細菌の種類の多様性が健康な腸を作ることがわかっています。 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息といったアレルギーの病気になりやすい原因の一つとして、清潔過剰仮説あるいは衛生仮説が指摘されています。清潔を求めるあまり、幼少期に細菌や寄生虫と接触する機会が少ないと、腸内に生息する細菌の種類が多様でなくなることが原因といわれています。 たとえば、田舎や自然のなかで育った子供は、都会で育った子供に比べて腸アレルギーになりにくいとの研究報告*2があります。 じゃばらは花粉症に関わるヒスタミンを抑えるナリルチンを多く含む柑橘類 腸内環境を整えるために食べ物でアレルギーを予防できる可能性があるものとして、伊藤先生は「じゃばら」に着目しました。 じゃばらは、和歌山県北山村の柑橘類で、語源は「邪(じゃ)気を払(はら)う」です。じゃばらには、アレルギーに抑制効果があることが研究で示されているナリルチンという物質が、ゆずやほかの柑橘類と比べて多く含まれています。 ナリルチンに関しては、花粉症をはじめとしたアレルギー症状を起こす際に関わるヒスタミンという物質を抑制するはたらきがあることが研究で示されています。 なお、みかんにはナリルチンはほとんどありません。また、じゃばらの果汁を食べるとかなりすっぱいので、そのまま食べるのは難しいです。 そこで、伊藤先生は、和歌山県北山村産のじゃばら果汁と、善玉菌である乳酸菌が多く含まれるヨーグルトを組み合わせた「じゃばらヨーグルト」が花粉対策レシピとして有用として、調理法を紹介してくれました。 じゃばらヨーグルトの作り方(10人分) ■材料(4人分) じゃばらソース:じゃばら果汁 大さじ7、キビ砂糖 大さじ1、くず粉 大さじ1、メイプルシロップ 適宜 プレーンヨーグルト100g×10人分 ■作り方 じゃばら果汁とキビ砂糖を小鍋で沸かして煮詰める 上記に、水溶きくず粉を入れてとろみをつける メイプルシロップを適宜いれて調整する プレーンヨーグルト100g程度にじゃばらソースを適宜かける 伊藤先生は、2017年に赤坂ファミリークリニックを開業しました。 「子供のときからの病気予防」をテーマにトータルヘルスプロモーション(食と栄養、運動、睡眠、生活習慣、ストレス管理など包括的な取り組み)としてさまざまな活動に従事しています。例えば、子供が0歳のときから予防できる食事療法をお母さんたちに伝えています。 今回、花粉症に着目しました。子供の治療法は限られているので、腸内環境を整えることが花粉症やアレルギーの対策になることを考え、親が子供のために食生活を見直して体によいレシピを作ってあげることが有用としています。 *1:Progress in Medicine2008;28(8):145-156. *2:Thorax. 2017;72(3):236-244. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27672121 公開日:2019/01/23 監修:赤坂ファミリークリニック 伊藤明子先生
お酢やヨーグルトが体にいいのは知っていても、どうして体にいいのかご存知ですか?また、とうがらしには体脂肪を減らす効果があると言われますが、本当でしょうか?今回は、これら気になる食材の健康パワーについてご紹介します。 目次 お酢が体にいいのは知っているけど、実際に体にどう効くの? ヨーグルトは体に良いといわれるけど、どのように良いの? とうがらしに体脂肪を減らす効果があるというのは本当? お酢が体にいいのは知っているけど、実際に体にどう効くの? 酢の主な成分は酢酸。ほかにグルコン酸、クエン酸などの各種有機酸が含まれている。食酢の起源は古く、古代からアルコールの副産物として製造され、主に薬用として使用されていた。酢の種類はアルコールとも深い関係があり、イタリア・スペイン・フランスなどのワイン生産国ではワインビネガー、イギリスではウイスキーモルトからモルトビネガーが作られる。また、アメリカではアップルビネガーが一般的。日本では米などの穀物や果汁から作られている。 お酢の健康パワー 食欲増進、消化促進、殺菌効果、疲労回復 酢の物やマリネなどいわゆる前菜には、酢を使ったものが多いが、これは酢のきいた料理を最初に食べることで唾液がたくさん分泌されることや、酢の酸味が味覚や嗅覚を刺激し、脳の摂食中枢(食欲をコントロールしているところ)にはたらきかけて食欲が増すためと考えられている。同時に胃液の分泌も盛んになり、消化吸収を助ける作用もある。 また、酢には殺菌効果と細菌の増殖を抑える効果もあるのでまな板やスポンジなどの除菌に利用してみるのもいいだろう。 さらに酢に含まれる「クエン酸」には疲労回復の効果も期待できる。人間の体にはクエン酸などを中心とする物質代謝の機能があり、たんぱく質・炭水化物・脂質が燃えてカロリーになる際に、クエン酸がはたらく。このクエン酸による物質代謝のサイクルが活発なほど脂肪や乳酸が分解され、エネルギーに変換されることがわかっている。 クエン酸の健康パワーとは?黒酢・もろみ酢の効果いろいろ ヨーグルトは体に良いといわれるけど、どのように良いの? ヨーグルトは牛乳を原材料とし、乳酸菌で発酵させたもの。乳酸菌にはビフィズス菌、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、アシドフィルス菌などがある。ヨーグルトの容器には「はっこう乳」と表記がしてあるが、これは厚生労働省が定めたヨーグルトの呼び名。無脂固形分の割合で発酵乳と乳酸菌飲料に分けられるが、ヨーグルトは無脂固形分8%以上であることが条件。 ヨーグルトには甘味料などが含まれていない「プレーン」、プレーンタイプをかき混ぜて滑らかにして甘味料やフルーツなどを混ぜた「ソフト」、ゼラチンや寒天でプレーンを固めた「ハード」、プレーンタイプをかき混ぜてジュース状にした「ドリンク」、アイスクリーム状にした「フローズン」の5つのタイプがある。 ヨーグルトの健康パワー 腸内環境を整える、便通改善 ヨーグルトに含まれる乳酸菌のはたらきで腸内の善玉菌が殖え、乳酸菌が作り出す乳酸が悪玉菌の増殖を抑えてくれる。また乳酸などの有機酸は腸を活発に動かして便通の改善に一役買ってくれる。年齢とともに腸が老化すると、ビフィズス菌などの善玉菌が減り、悪玉菌が増えることが知られているが、ヨーグルトを毎日食べることで腸内の環境の悪化を防ぐ効果があるといわれている。また、ヨーグルトに含まれる様々な乳酸菌には、腸の免疫細胞や腸や胃の細菌にはたらきかけ、免疫力を高めたりアレルギーや潰瘍を抑える効果があり、研究が進められている。 最近のヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌といった菌の名前だけではなく、株の名前も記載されている。それぞれの乳酸菌や株の特徴を知って、目的別に選んでみては? ヨーグルトの主な乳酸菌と株 乳酸菌 ブルガリア菌・サーモフィルス菌ふたつ一緒にはたらいておいしいヨーグルトを作る乳酸菌。腸内には定着しない ビフィズス菌大腸にすむ善玉菌。ビフィズス菌、ブレーベ菌、ロンガム菌などを含むビフィドバクテリウム属の通称 アシドフィルス菌・ガセリ菌小腸に多くすむ乳酸菌。プロバイオティクス効果が高い ロイテリ菌母乳にも多く含まれる乳酸菌のため、赤ちゃんのお腹にも多い。抗生物質を作って免疫向上に寄与する 株 LGGアトピーや免疫を改善する効果があるとされる乳酸菌の株 LC1生きたまま腸に届き、腸に付着しやすい乳酸菌の株 BE80生きたまま腸に届き、腸に付着しやすいビフィズス菌の株 LG21胃潰瘍の原因菌・ピロリ菌を減らす効果が高い乳酸菌(ガセリ菌)の株 とうがらしに体脂肪を減らす効果があるというのは本当? とうがらしはナス科トウガラシ属で、ピーマンやししとうがらしの仲間。原産国は南アメリカ。日本への渡来については諸説あるが、江戸時代にはすでに盛んに栽培されていたことがわかっている。辛味種と甘味種の2種類があり、辛味種の一種、鷹の爪を粉末にしたものが一味とうがらしで、ほかの香辛料と合わせたものが七味とうがらし。 とうがらしの健康パワー 抵抗力を高める、エネルギー代謝を活発にする とうがらしの辛さはとうがらしに含まれるカプサイシンによって生じるもの。カプサイシンには体内の白血球の中の細胞のひとつ、好中球を活発にはたらかせる作用があるといわれている。好中球は体内に侵入してくる病原菌などを食べてくれる役割を持っている。つまり、とうがらしには体の抵抗力を高める効果を期待できるのだ。 またカプサイシンには脂肪をエネルギー源として燃やすのを手助けする作用もある。そのためとうがらしを定期的に食べることで体にたまっている脂肪が使われ、その結果、内臓脂肪を減少させることも期待できる。 ただし、内臓脂肪を燃やす反面、食欲増進効果もあるので、ダイエット目的でとうがらしばかりを食べるのは考えもの。とうがらしを大量に食べると辛い刺激で胃腸を痛めることもある。くれぐれもご注意を。 公開日:2002年12月2日
牛乳はカルシウムが豊富な優れた健康食品です。また、料理にも多様できるその性質を生かせば、そのまま飲むことが苦手な人でも、牛乳からのカルシウムを摂取することができます。その用途や、夏にピッタリなひんやりデザートをご紹介します。 目次 牛乳の利点を料理に生かす! 牛乳を温めるとできる、あの膜は何? 牛乳の食中毒が心配。家庭で見分けるポイントは? 牛乳の簡単レシピ 牛乳の利点を料理に生かす! 牛乳のいいところは、なんといってもその栄養の高さにある。これらを料理に生かさない手はない!? ●料理の舌触りがと~っても滑らか! ホワイトソースや、ベシャメルソース、シチュー、チャウダーなど ●生臭さをなくしてくれる! レバーや魚介類の臭み取り、ムニエルなど ●風味がよくなる! ほとんどの料理に適用される ●よい焦げ目をつけてくれる! ホットケーキ、スポンジケーキ、クッキー、バターロールなど ●料理を白くしてくれる! ミルクコーヒー、ババロア、ムース、ブラマンジェなど 牛乳を温めるとできる、あの膜は何? あの膜は、ラムスデン現象と呼ばれるもので、牛乳を温めるとその表面で牛乳の水分が蒸発してタンパク質の不可逆的沈殿が生じて起こる現象である。膜の成分を調べてみると、乳固形分中70%以上が脂肪であり、タンパク質が20~25%程度。味は濃厚で栄養があるものなので、食べてOK! 牛乳の食中毒が心配。家庭で見分けるポイントは? まずは、目で見て分離やかたまりがないかを調べる。そして、臭いを嗅ぐ。いつも通りの臭いならまず大丈夫。それから、一気に飲まないで、少しだけ口に含んで味を確かめること。もし、おかしかったらすぐに吐き出そう。 それでも心配な場合は、加熱する。鍋に牛乳を入れて沸騰させ、固まってくるようであれば変質している。固まってこないようなら大丈夫だろう。ただし、鍋の底に少しかたまりができることもあるが、これはタンパク質の一種なので、問題はない。 牛乳の簡単レシピ 料理をするのは、ちょっと手間がかかるから…なんて尻込みしている人は必見!簡単にできる牛乳を使ったデザートをご紹介。ぜひ、お試しあれ。 夏のデザートにミルクゼリー ■材料(4個分) 牛乳1カップ、粉ゼラチン10g、砂糖1/3カップ、好みの果物(缶詰でもOK) ■作り方 粉ゼラチンに大さじ3の水を加えてふやかしておく。 鍋に牛乳、砂糖、水1カップを入れて温める。沸騰直前で火を止めて1のゼラチンを溶かす。 2のあら熱が取れたら、水でぬらしたゼリーの型に入れて、冷蔵庫で冷やし固める。 10秒でできる!ストロベリーシェイク ■材料(1人分) 牛乳1カップ、いちご7~8粒、砂糖大さじ2、水カップ1/3、(好みで)レモン汁少々 ■作り方 ミキサーにいちご、砂糖、水、牛乳を入れて混ぜるだけ。 好みでレモン汁を加えても。また、暑い日は、水の代わりに氷を入れてもオイシイ! 公開日:2001年6月25日
子供の頃からおなじみの牛乳。ところで、あなたはどれくらい牛乳のことを知っていますか?牛乳クイズにチャレンジしましょう。 Q1 牛乳は、牛から絞った乳にクリームやバターなどを加え、味をよくしている。 ホント ウソ Q2 乳等省令で決められた成分規格では、牛乳の乳脂肪分は3.0%以上であるが、3.0%未満のものは低脂肪乳と呼ばれる。 ホント ウソ Q3 カルシウムが豊富として知られる牛乳としらすぼし。同じ100gなら、牛乳の方がカルシウムは多い。 ホント ウソ Q4 必ず殺菌されている牛乳。高温殺菌と低温殺菌では、低温で殺菌したほうが長持ちする。 ホント ウソ Q5 牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう。そんな人は、乳製品は一切受け付けない。 ホント ウソ Q1 というわけで、正解は「ウソ」 Q2 牛から絞った乳(生乳といいます)を飲用として販売するために、決められた温度で加熱・殺菌してパックやガラスビンに詰めて販売するものを牛乳といいます。つまり、牛乳には余分なものは加えられていません。 一方、何かを加えたりして加工したものは、加工乳と呼ばれます。例えば、生乳や牛乳に、全脂粉乳、脱脂粉乳、クリーム、無塩バター、バターオイルなどの乳製品を加えて、牛乳より乳成分を濃く調整したものや乳脂肪分を低くしたものがあります。 また、コーヒー、フルーツ、チョコレートを加えたり、ビタミン、カルシウムなどを強化した飲料は乳飲料と呼ばれます。 というわけで、正解は「ホント」 Q3 乳脂肪分が0.5%~3.0%未満の加工乳は、商品名に「低脂肪乳」「ローファットミルク」と表示でき、0.5%以下のものは「無脂肪」「ノンファットミルク」と表示できます。とくに、3%未満の低脂肪乳が増えてきています。 ちなみに、牛乳に含まれる固形分のすべてを乳固形分とし、乳脂肪分と無脂乳固形分に分けられてそれぞれの含有率が表示されています。例えば、加工乳でも無脂乳固形分が8.5%以上、乳脂肪分が3.8%以上であれば、「濃厚」「優良」「リッチ」「特選」などの表示をすることができます。 というわけで、正解は「ウソ」 Q4 牛乳100gには、100mgのカルシウム。しらすぼし100gには、530mgのカルシウムが含まれています。よって、しらすぼしの方が多いです。しかし、1回に口にする量を考えると、牛乳はコップ1杯が約200mlなのに対し、しらすぼしは10g程度となります。また、牛乳の吸収率は約53%なのに対し、小魚は約38%です。これは、カゼインと呼ばれる、牛乳中に含まれるタンパク質が、カルシウムと結合して消化管内で分解し、リンを含んだペプチドができてカルシウムの溶解度を高め、吸収率を高めているからです。 つまり、総合的に考えると、牛乳のほうがカルシウムが摂りやすい、ということになるでしょう。かといって、牛乳だけに偏ってはいけません。ほかの食品からもカルシウムを摂るようにしましょう。 牛乳を殺菌する方法は主に3種類あります。 日本では、ほとんどUHT法が採用されており、120~130℃で2秒加熱しています。これだけ高温だと、完全に細菌や微生物を死滅させることができます。また、これだけ高温だと牛乳の成分が変わってしまわないかと心配になりますが、短時間なので牛乳がもつ栄養成分にはそれほど影響がないと言われています。 牛乳の主な殺菌法 殺菌方法 条件 特徴 低温長時間殺菌法(LTLT法) 62~65℃で30分加熱やや濃厚な味になります 高温短時間殺菌法(HTST法) 72~85℃で2~15秒加熱加熱による牛乳の変化が少ないです 超高温殺菌法(UHT法) 120~150℃で0.5~4秒加熱保存性がよく、ほとんどがこの殺菌法です。 というわけで、正解は「ウソ」 Q5 牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう人は、乳糖不耐症(または低ラクターゼ症)と呼ばれています。 牛乳に含まれる乳糖は、消化管内のラクターゼのはたらきによって、グルコースとガラクトースに分解されて吸収されます。ですが、このラクターゼのはたらきが悪いと、乳糖が分解されないまま消化管内を通り、その結果、下痢や腹痛などの症状を起こします。 乳幼児は、ラクターゼ活性が高く、成長するに従って低下する傾向があります。低ラクターゼ症の場合でも、適当量は飲むことができるし、ほかの食べ物と一緒に摂ったり、ヨーグルトなら大丈夫だったりします。 また、日本人はラクターゼ活性が低いと言われていますが、幼少期に学校給食などを通して毎日飲むことで、ラクターゼ活性を高めることができるといいます。小さいうちからぜひ牛乳を飲みましょう! というわけで、正解は「ウソ」
たまに、ではなく毎日食べてこそパワーを発揮するヨーグルト。いわゆる一般的な「ヨーグルト」だけでなく、ドリンクヨーグルトやフローズンヨーグルトなどタイプもさまざまです。そこで、ちょっと選ぶ時の基準をご紹介します。 目次 特定保健用食品(トクホ)を知ってる? 手作りヨーグルトに挑戦! ひんやりヨーグルトレシピ 特定保健用食品(トクホ)を知ってる? おすすめしているのは「特定保健用食品(トクホ)」マークのある食品だ。これは、「身体の調子を整える」はたらきを強化した食品として、効果が実証され、パッケージなどへの表示を厚生労働省に認可されている。選ぶのに悩んだら、マークがついているヨーグルトを試してみよう。 また、とくに「肌荒れに悩んでいる」「便秘を解消したい」などの症状がある場合には、成分表示をチェックしよう! ヨーグルト選びは成分表示で! 手作りヨーグルトに挑戦! 毎日食べるなら、自分でヨーグルトを作ってみるのはどうだろう?とはいっても、それほど難しくはない。普通の牛乳と、乳酸菌の入ったプレーンヨーグルトがあれば簡単にできるので、ぜひお試しあれ。 自家製ヨーグルトの作り方 ■材料 牛乳1リットル、市販のプレーンヨーグルト100g ■作り方 牛乳を80~85度に温めて30分間加熱して殺菌し、その後40~50度に冷ます。 プレーンヨーグルトを入れてよくかき混ぜる。5~10時間保温してできあがり。また、冷蔵庫で2~3日熟成させたほうがまろやかになる。 ■ポイント 乳酸菌のはたらきをよくするため、使用する器具(ボウル、なべ、スプーン、泡だて器など)はすべて煮沸殺菌して、余分な雑菌をなくすこと。 市販のプレーンヨーグルトは、日にちがたつほど乳酸菌が減ってしまうので、新しいものを使用すること。 保温の仕方は、夏なら熱湯を入れて温めておいたポットに入れ、冬ならこたつなどに入れるのがいい。37~38度で保温する。 甘くしたいときには、砂糖やはちみつなどを加え、固くしたいときには少量のスキムミルクを加えるとよい。 ひんやりヨーグルトレシピ ヨーグルトといえば、そのまま食べたりバナナにかけて食べたりするのが定番。でも、いつもとは違うヨーグルトを楽しみたいなら、こんなレシピはいかが?冷たくてこれからの季節にピッタリ! ヨーグルトドリンク 梅酒1/2カップとドリンクヨーグルト2カップを合わせる。たっぷり氷がはいったグラスに注げば、冷たくておいしい健康ドリンクのできあがり! フローズンヨーグルト プレーンヨーグルト2カップに砂糖を大さじ2杯入れ、よくまぜて製氷皿に入れて冷凍する。表面が少し固まったら、イチゴジャムをのせ、再度冷凍する。ジャムは好みのものでOK。 公開日:2001年5月21日
人の腸内には、さまざまな種類の細菌が多くなったり少なくなったり、せめぎあって存在しています。腸内を酸性にし、健康を保つために必要なのが「善玉菌」。これを増やす効果があるのが「ヨーグルト」です。 目次 腸の中には「菌」がいっぱい! 善玉菌を豊富に含んだ「ヨーグルト」 ヨーグルトパワーその1「乳酸菌」 ヨーグルトパワーその2「乳糖」 腸の中には「菌」がいっぱい! 人の腸内には、約100~120種類、約100兆個の細菌が住みついているという。人によって、腸内に持っている細菌の種類は差があるものの、総数にはあまり差がなく一定である。つまり、さまざまな種類の細菌が多くなったり少なくなったり、せめぎあって存在しているのだ。 腸内細菌をそのはたらきによって分けると、2つに分けられる。それが、「善玉菌」と「悪玉菌」である。 善玉菌 腸内を酸性にし、外から襲いかかる有害な菌をやっつけてくれたり、免疫力を高めてくれる。普段は上手く悪玉菌をおさえている。例えば、腸内ビフィズス菌、腸球菌、ユウバクテリウムなど。 悪玉菌 腸内を腐敗したり、発がん物質や毒素のある有害物質を作り出す。体の抵抗力を弱め、下痢や便秘を引き起こす。また、腸内をアルカリ性にするのが好き。例えば、大腸菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌など。 これらの菌が、バランスよく存在しているときには、健康が保たれる。しかし、食習慣などが乱れると悪玉菌の勢力が強くなり、善玉菌が減ってしまい、さまざまな病気になってしまうのだ。 善玉菌を豊富に含んだ「ヨーグルト」 腸内を酸性にし、健康を保つために必要な善玉菌。これを増やす効果があるのが「ヨーグルト」というわけだ。 ヨーグルトとは 牛乳、乳製品を乳酸菌または酵母で発酵させ、独特の風味を出したもの。乳酸菌には、ビフィズス菌、アシドフィルス菌、ブルガリア菌、サーモフィルス菌、ヤクルト菌などがある。 実はビフィズス菌が含まれているヨーグルトを食べれば、単純にそのまま腸内のビフィズス菌が増える、というわけではない。ほとんどは、胃の中などで死んでしまうのだ。しかし、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、確実に健康に効果があり腸内ビフィズス菌を増やす手助けをしている。 ヨーグルトパワーその1「乳酸菌」 生きたまま腸まで届く乳酸菌は少ない。それでも、腸内の乳酸菌と同じ種類のもののうち、いくつかは生きたまま腸に届き、そこで活躍するものもある。それが、ビフィズス菌やアシドフィルス菌である。腸内で永住することはできないものの、比較的長生きしてくれるので、腸内ビフィズス菌とおなじように腸を酸性にしてくれるのだ。 また、残念ながら腸まで届かず死んでしまう乳酸菌も多いが、これらは食物繊維と同じようなはたらきをしてくれる。つまり、じゃまな悪玉菌の死骸を吸着して体外へと連れ去ってくれるのだ。そのおかげで、腸内がきれいになり善玉菌が住みやすい環境が整うというわけ。 ヨーグルトパワーその2「乳糖」 乳製品に含まれる糖分である乳糖は、分解されにくくそのまま腸にまで届きやすい。そして、ビフィズス菌のエサになってくれる。つまり、ビフィズス菌は、乳糖を食べて増殖しているのだ。そして、乳酸、酢酸などの酸性物質をつくり、腸内の悪玉菌をおさえこむはたらきがある。 公開日:2001年5月21日
ヨーグルトの乳酸菌は、腸内の善玉菌にはたらいてお腹に良いものです。なぜ、お腹に良いのでしょうか?ヨーグルトのお腹でのはたらきをまとめました。 目次 腸内ビフィズス菌応援団!ヨーグルト 手助け1「乳糖」のはたらき 手助け2「生きて腸に届いた乳酸菌」のはたらき 手助け3「死んでしまった乳酸菌」のはたらき 腸内ビフィズス菌応援団!ヨーグルト ヨーグルトの乳酸菌は、腸内の善玉菌にはたらいて、お腹に良いとよく聞きますが、具体的にはどんなメカニズムで効くのでしょうか? ヨーグルトを食べると、ビフィズス菌などの乳酸菌が、そのまま住みついて良いはたらきをしてくれるような錯覚をしていませんか?実は残念ながら、ビフィズス菌の多くは胃の中などで死んでしまいます。しかし、それでもヨーグルトを毎日食べることは確実に健康効果があります。それはヨーグルトが、もともとお腹に住んでいる善玉菌の腸内ビフィズス菌などを増やし、勢力を拡大する手助けをしてくれるからなのです。 手助け1「乳糖」のはたらき 善玉菌にも、生きて増殖していくためには「食べ物」が必要です。好物は糖分。なかでも食べ物となりやすいのが、乳製品に含まれている糖分=乳糖です。乳糖は、普通の砂糖より分解されにくいため、そのまま腸まで届き、ビフィズス菌のエサになってくれます。そして乳酸、酢酸などの酸性物質を作り出し、悪玉菌をおさえこむのです。 乳糖は、ヨーグルトはもちろん牛乳、チーズなどさまざまな乳製品に入っています。これを摂っていれば、腸内ビフィズス菌は豊富な食べ物に恵まれ、よくはたらいてくれます。ヨーグルトの良さは、乳酸菌だけではなく、この乳糖にもあるのです。 手助け2「生きて腸に届いた乳酸菌」のはたらき ヨーグルトの乳酸菌の多くは、実は胃酸などで死んでしまいます。それでも腸の中の乳酸菌と同じ種類のもののうち、いくらかは生きたまま腸に届き、比較的長い間そこで活躍してくれるものもいます。ビフィズス菌やアシドフィルス菌などの「定住菌種」と呼ばれるものです。ヨーグルトのビフィズス菌は腸内ビフィズス菌と同じではないため、腸内には永住はできませんが、ゆっくりと通過する間に酸を作り出し、酸性に弱い悪玉菌をおさえます。こうして、腸内ビフィズス菌などの善玉菌が活躍しやすいように手助けしてくれるのです。 手助け3「死んでしまった乳酸菌」のはたらき 残念なことに、生きて腸まで到達できる乳酸菌はわずかです。しかし、実は死んでしまった乳酸菌も、十分役に立ってくれます。 死んだ乳酸菌は、まるで食物繊維と同じようなはたらきをしてくれます。つまり、ジャマな悪玉菌の死骸を吸着して、体外へと連れ去ってくれるのです。おかげでキレイになった腸内は、善玉菌が住みやすく、増えやすい環境になります。
賞味期限切れのヨーグルトは食べても大丈夫?ヨーグルトの上澄みは飲む?毎日食べたいヨーグルトの疑問をまとめました。楽しく健康なヨーグルトライフを送りましょう。 目次 賞味期限切れのヨーグルトは食べても大丈夫? ヨーグルトの上澄み、飲んだ方がいいの? ヨーグルトって、どのくらいの回数・量を食べれば効くの? 一時流行った「ヨーグルトきのこ」って何だったの? 美容パックに使うとキレイになるの? 牛乳でお腹がゴロゴロする人は食べられない? フローズンヨーグルトの乳酸菌は生きてるの? 賞味期限切れのヨーグルトは食べても大丈夫? 食べても大丈夫か?という意味では、ある程度は大丈夫のようです。しかし、もちろん風味と健康効果は劣ります。 ヨーグルトの中の乳酸菌は製造後、お店に並んでいるときも、乳糖を分解して、酸性物質を作り続けています。つまり乳糖が減少し、どんどん酸っぱくなっていくのです。乳糖は、腸内ビフィズス菌の「食べ物」となってくれる大切な栄養です。その栄養が失われず、適度な乳糖が残っている期限を示しているのが「品質保持期限」です。おいしさと健康のため、期限内に食べましょう。 またヨーグルトは開封すると、乳酸菌が空気に触れ死んでしまい、代わりに空気中の雑菌が入って繁殖します。早く食べ切りましょう。 ヨーグルトの上澄み、飲んだ方がいいの? ほんのり黄色い上澄みは乳清またはホエ-というものです。乳酸菌の発酵が進むと分離してくる自然のもの。この中には、水溶性のビタミン、たんぱく質、ミネラルが豊富に含まれています。捨てるなんてもったいないので、一緒に飲んでしまいましょう。ただし酸味が強いので、注意してください。 ヨーグルトって、どのくらいの回数・量を食べれば効くの? ヨーグルトは、腸の中を通り抜けながら酸を作ったり、悪玉菌の死骸を取り去ったりしています。つまり腸内をすぎてしまえば、ほぼ効果は終わりということ。したがって、ヨーグルトはできれば毎日摂りましょう。健康のことを考えると、量は約100g(カップ1杯程度)を目安にどうぞ。 一時流行った「ヨーグルトきのこ」って何だったの? ケフィアまたはケフィール(kefir)といって、アゼルバイジャン、主にコーカサス地方で伝統的に摂られている乳発酵食品です。 ヨーグルトとの違いは、発酵に乳酸菌だけでなく酵母も使用している点にあります。 ヨーグルトきのこの乳酸菌は、ネバネバした物質(多糖)を作り、そこにくっつく形で乳酸菌と酵母の固まりが形成されます。この固まりが「きのこ」に似ていることから、この名前がつきました。牛乳に入れて発酵させた後、発酵乳の液体だけを飲みます。 ヨーグルトと同じ効果が得られますが、家庭で作る場合には、よほど殺菌に気をつけないと、雑菌が繁殖してしまうので注意が必要です。 美容パックに使うとキレイになるの? バリ島のエステなどでも使われているヨーグルトパック。現在、肌への科学的な効果は研究中でありますが、歴史は古いようです。具体的に肌に良いと言われているのが「乳清」で、上で述べたヨーグルトの上澄み液です。乳清は肌に近い成分でできていますので、自然になじみ、保湿力を高めると言われています。ほかに、お肌の老化の原因である酸化の進行を止めて炎症をおさえる、肌本来の防御機能を高める、老廃物や異物を浄化するなどのはたらきがあると言われています。 しかしヨーグルトは酸素に触れると雑菌も増えやすいので、注意しましょう。またパックより先に、食べることもお忘れなく! 牛乳でお腹がゴロゴロする人は食べられない? 牛乳でお腹がゴロゴロするのは乳糖不耐症といって、日本人には割合多くいます。牛乳に含まれる「乳糖」をうまく分解できません。しかしヨーグルトなら大丈夫です。乳酸菌が発酵中に、この乳糖を約50%も分解してくれているからゴロゴロしにくいのです。 フローズンヨーグルトの乳酸菌は生きてるの? フローズンヨーグルトは、液状のヨーグルトを急速に冷凍して作られています。このとき、乳酸菌も凍って活動が一時停止の状態になっています。しかし口の中で溶ければ、再び活動を始めることができます。
体に良い乳酸菌を含んだヨーグルトは、研究によりさまざまな効果が確認されています。便秘や肌荒れの改善、体づくりなど、腸内ビフィズス菌が増えることで、さらにいろいろな健康効果が期待できます。 目次 便秘に効果!ビフィズス菌が増えた! 肌荒れ、ニキビ、吹き出物を解消 体・骨を丈夫に作る 老化を防止! 血中コレステロール値を下げてくれる! 食品添加物から発がん性物質を減らす 体の免疫力を高める 便秘に効果!ビフィズス菌が増えた! 体に良い乳酸菌を含んだヨーグルトは、研究によりさまざまな効果が確認されています。特にすぐに確認できるのが、下のグラフの通り、便秘の解消です。そして、腸内ビフィズス菌が増えることで、さらにいろいろな健康効果が期待できます。 お通じが週6回以下の31名に、1日100gのヨーグルトを7日間食べてもらった結果。 79名の方に、1日100gのヨーグルトを7日間食べてもらった結果。腸内の善玉菌(ビフィズス菌)の数は2倍以上に増加。 ヨーグルトの乳酸菌が作る乳酸や酢酸は腸に刺激を与えて、その動きを活発にします。すると食物の消化吸収がスムーズに進み、便もすみやかに排泄されるようになります。それによって、悪玉菌が食べ物を分解して作る有害物質を腸内に長時間ためず、体外に出すことができます。 しかも便そのものも、悪玉菌の減少で、有害物質の少ない良い便となります。 肌荒れ、ニキビ、吹き出物を解消 腸内の悪玉菌のはたらきがおさえられると、腸から吸収されて血液などとともに体中にまわっていた有害物質が減ります。すると、お肌も健康回復へ。いつまでも「つるつるすべすべ」の肌を保つ「美の秘訣」は、腸内の善玉菌をヨーグルトで増やすことなのです。 体・骨を丈夫に作る ヨーグルトのたんぱく質は、発酵の過程で、なかば消化されたような形になっています。そのため、消化・吸収がとても良く、体づくりに役立ちやすくなっています。また骨を丈夫にするカルシウムや、血液を作る鉄分の消化吸収を良くするはたらきもあります。さらに腸内では、ビタミンB群を合成し、炭水化物の代謝を助けて、体力をつくります。 老化を防止! 「老化」の原因のひとつに、悪玉菌が作る有害物質の「悪さ」が考えられています。データを見てみると、年をとるにつれて腸内の悪玉菌が増えていっている様子。一方でヨーグルトで有名なブルガリアでは、長寿者が多いようです。ヨーグルトが老化を防止しているのです。 血中コレステロール値を下げてくれる! まだメカニズムは解明されていませんが、乳酸菌のアシドフィルス菌とビフィズス菌は、血液中のコレステロール濃度が上がるのをおさえる力を持っており、心筋梗塞などにかかりにくくなる効果が期待できます。 食品添加物から発がん性物質を減らす 私たちが食べている食品に含まれている食品添加物の中には、体の中で発がん物質に変わる変異原性という性質を持っているものがあります。乳酸菌のアシドフィルス菌はこれをおさえるはたらきをしてくれます。 体の免疫力を高める 外から来るウイルスや細菌から体を守るのが免疫の力です。その力が落ちたとき、人は病気に感染します。また免疫の力に変調が起きたときに発病するのが「がん」です。ヨーグルトで元気になる善玉菌の中には、免疫機能を活性化させ、ウイルスや細菌、がんから私たちを守ってくれるインターフェロンの生産を助けるものがあります。また、がん細胞を殺すキラー細胞と呼ばれる免疫細胞を活性化するものもあります。
年齢は若くてもお腹の中は老化していませんか?お腹の健康は、腸内ビフィズス菌によって決まってきます。悪玉菌を増やすのは、生活習慣に問題があるようです。 目次 あなたも「ご腸内のお年寄り」? ビフィズス菌が減っていく原因 生活改善+ヨーグルトで若返ろう! あなたも「ご腸内のお年寄り」? ヒトは一生の中で、腸内ビフィズス菌などの善玉菌を失いながら年をとっています。つまり腸内ビフィズス菌の元気さが「お腹年齢」と言うことができるでしょう。お腹の老化をすすめてしまうのが、生活習慣です。下に挙げたような生活習慣のために、年齢は若くてもお腹の中は老化しているという「ご腸内のお年寄り」が増えています。 ビフィズス菌が減っていく原因 赤ちゃんは、母親の体内にいる間、安全な無菌状態です。そして産まれて初めての「オギャー!」から、体の中には細菌がやってきます。初めに入ってきて増えるのが悪玉菌です。しかしその後、善玉菌である腸内ビフィズス菌が、生後3日ほどで腸内で増殖を始め、一気にお腹の中での勢力を伸ばして、悪玉菌から体を守ってくれます。その勢力たるや、ほぼ100%にまでなります。だから赤ちゃんのうんちは、大人ほど強烈な臭いはしないのです。 食生活の乱れ 食事時間のリズムの乱れ、栄養バランスの乱れ。つまり不規則な生活を続け、栄養の偏った食事を続けると、悪玉菌の勢力が拡大します。てきめんにビフィズス菌は減っていきます。 ▼ 肉が多い食事 悪玉菌は肉が大好物です。特に、完全に胃で消化されなかった肉類は、腸で腐敗便となり、悪玉菌の格好のエサになります。たんぱく質やアミノ酸を分解し、悪臭のする有害物質を作り出します。便秘や下痢、肌荒れ、腸炎はもちろん、これらの物質が体中に運ばれ、動脈硬化、高血圧、がんなどの病気の原因にもなります。 ▼ 食物繊維が少ない食事 食物繊維は、お腹の中の腐敗物を吸着し、早く外に出してくれるはたらきをします。それだけではなく、善玉菌が腸内で発酵をおこない、酸を作り出すときの基質となるのです。摂らないでいると善玉菌は減ってきます。 ▼ ストレス さらに影の大敵となるのが、ストレスです。ストレスが自律神経に影響を及ぼすと、胃酸の分泌がおさえられてしまいます。本来、胃はかなりの酸性度で、有害な細菌などを寄せつけないようにしてくれています。また肉などのたんぱく質も消化をよくしてくれます。しかし、それがストレスのせいで阻まれてしまうのです。すると危険な悪玉菌が増えてきます。 人間は年をとってくると、赤ちゃんのような善玉菌いっぱいの腸から、悪玉菌が多い腸になってきます。ビフィズス菌はかなり減少しています。人間の老化と腸内細菌の関係もろいろと研究されていますが、加齢で悪玉菌が増えるのなら、逆に言えば、悪玉菌を増やさないことで腸の老化は遅らせることができるかもしれません。 生活改善+ヨーグルトで若返ろう! 脱・ご腸内のお年寄りの基本が、生活改善なのは言うまでもありませんが、肉食中心など食生活が欧米化した結果なら、欧米風に対処する食品の方も取り入れましょう。それがヨーグルトです。肉だけではなく、善玉菌を増やすはたらきのあるヨーグルトも摂ってこそ、上手な欧米風の食生活と言えます。もちろん、和食中心の人もヨーグルトをプラスすることで、さらに若々しい腸になるでしょう。
あなたのお腹の中では、実はこんな「せめぎあい」が行われています。善玉菌と悪玉菌の戦いについてご紹介します。 目次 ご腸内バトル!善玉菌VS悪玉菌 せまい中での「せめぎあい」 健康なお腹は「善玉菌」が栄える! 健康じゃないお腹は「悪玉菌」が栄える? ご腸内バトル!善玉菌VS悪玉菌 善玉菌 腸内を酸性にし、外から襲いかかる有害な菌をやっつけてくれたり、免疫力を高めてくれます。普段は上手く悪玉菌をおさえています。腸内ビフィズス菌、腸球菌、ユウバクテリウムなど。 悪玉菌 たんぱく質を分解し、インドール、フェノール、アンモニアなどの有害物質を作り出します。腸内をアルカリ性にします。免疫力も低下させます。大腸菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌など。 せまい中での「せめぎあい」 人間の腸の中には、100種類・100~120兆個もの腸内細菌が住んでいます。なんと、合計約1kg以上にもなります。 残念ながら、この細菌の定員が増えたり減ったりすることは、ほとんどありません。つまり片方が増えれば、片方は減ります。そうした「陣取り」を繰り広げているのです。 健康なお腹は「善玉菌」が栄える! ヨーグルトなどの乳酸菌を摂ったり、食事・運動に気をつけていれば、善玉菌が優位となります。体内の善玉菌の割合が多く、腸内も清潔な酸性の状態です。 お腹の中からして若々しく、健康で長生きの秘けつとなります。悪玉菌は少々追いやられて、数もはたらきもおさえられます。 健康じゃないお腹は「悪玉菌」が栄える? 定員が決まっている中で、善玉菌の勢力が弱くなると、悪玉菌の勢力をおさえられなくなり、たちまち悪玉菌の数が増えていき、お腹の中は汚なくなります。すると、しばしば便秘や下痢を起こします。 善玉菌の勢力を衰えさせるのが、良くない生活習慣などです。腸内は悪玉菌の毒でアルカリ性となり、肌荒れなどだけでなく、このまま放っておくと、いろいろな生活習慣病のもとになります。なんとか、善玉菌勢力を回復しなくてはいけません。
お腹の様子は、生活習慣からうかがえます。生活習慣を振り返って、お腹の健康度をチェックしましょう。また、腸の調子は「便」を見るとよくわかります。便を流す前に確認しておきたいポイントをまとめました。 目次 お腹の健康度をチェック 「便」もしっかりチェック! 腸が汚なくなると、どうして全身に影響が出るの? お腹の健康度をチェック 腸ではたらくビフィズス菌などの善玉菌の元気さが、若さと健康のバロメーターとなります。そんなお腹の様子は、生活習慣からうかがえます。あくまで「目安」ですが、まずは自分の生活を振り返ってみましょう。4つ以上あてはまるものがあったら、あなたの腸はかなり汚れているかもしれません。 ニキビ、吹き出ものなど、肌荒れに悩んでいる 便秘などで、便通が不規則だ 肉が大好きで、野菜はあまり食べない ファーストフードをよく利用する 食事の時間が不規則 夜ふかしをすることが多い 運動不足で、すぐバスやタクシーを使ってしまう 最近、オナラや便の臭いが、かなり気になる ストレスがたまっている ゆっくりトイレに入れない、行きそびれることがある 「便」もしっかりチェック! 腸の調子を、よりダイレクトに伝えてくれるのが「便」です。流す前に、ちょっと気をつけて見てみましょう。「便」は体の様子を、よく教えてくれるはずです。 量 一般的な1日の平均量は150~200gくらいと言われています。バナナくらいの大きさが目安です。食物繊維が足りないと、これより少なくなります。 色黄土色が理想です。しかし食事の中で、肉や魚などたんぱく質や油脂の割合が多い人は、胆汁が多く出ているため、濃い茶色となります。 形形もバナナ状が理想です。コロコロした便秘便や、逆に水っぽかったり、粘ったものは、食物繊維やビフィズス菌が足りない証拠です。 臭いオナラや便が強烈に臭い人は、腸内で悪玉菌が活発にはたらいている可能性が高いです。 リズム「朝には必ず」ということではなく、1日のうちのどこかの時間に毎日、定期的にあれば大丈夫です。 腸が汚なくなると、どうして全身に影響が出るの? 善玉菌が多い場合 悪玉菌が多い場合 お腹(腸)にビフィズス菌などの善玉菌が多いときには、便通も良く臭いなども少ないです。 しかし悪玉菌が多くいると、悪玉菌の作る毒が、栄養とともに腸から吸収され、肝臓を通って全身へまわってしまいます。 血液が汚れ、血管は硬くなり、全身の細胞を傷つけるなどの悪影響が出てしまうのです。
「腐った牛乳」と「ヨーグルト」は何が違うのでしょうか?ヨーグルトといえば乳酸菌ですが、乳酸菌で発酵させた食品は、実は世界各国に古くからあります。材料も、牛乳のほかにいろいろと使われています。 目次 似て非なる「発酵」と「腐敗」 世界各国の「発酵乳」 日本の「発酵乳」 似て非なる「発酵」と「腐敗」 牛乳というと、なんだか「腐りやすいもの」といった印象はありませんか?ところで「腐った牛乳」と「ヨーグルト」は、どう違うのでしょう。その答えは簡単です。牛乳に入り込んで増えた細菌が、乳酸菌なのか、腐敗菌なのかの違いです。 ◆腐敗菌 たんぱく質と窒素化合物を吸収し、分解しながら、増殖していきます。そのとき、アンモニアなどの腐敗臭を作り出し、腐らせ、食品の成分を劣化させます。 ◆乳酸菌 糖類を発酵させ、乳酸を作り出しながら、増殖していきます。この乳酸は私たちの健康に役立つので、有用菌と言えます。食品の成分をさらに良くさせます。 そもそも「ヨーグルト」とは、牛乳に乳酸菌を入れて発酵させたものです。 そして乳酸菌には以下の通り、いろいろな種類があります。 ビフィズス菌 サーモフィルス菌 ブルガリア菌 アシドフィルス菌 ヤクルト菌など 世界各国の「発酵乳」 「乳酸菌」というと、すぐブルガリア・ヨーグルトが思い出されるかもしれませんが、乳酸菌で発酵させたものは、実は世界各国に古くからある「智恵」の食品です。材料も、牛乳のほかにいろいろと使われています。 名前(国・地方) 材料 特徴や食べ方 イメール(スカンジナビア諸国) 牛乳酸味が強く、スプーンですくうと糸を引くようにのびます。コーンフレークにかけて食べるなど。 ヨーグルト(ブルガリアなど) 牛乳「キセロ・ムリヤコ=酸っぱいミルク」という意味を持つヨーグルトです。サラダ、スープ、シチューなど。 レバン(サウジアラビアなど) ラクダの乳水で薄めて、ゆっくりと味わいながら飲みます。 ドゥグ(アフガニスタン) 牛乳そのまま飲む、スープにするなど。また固めたり(チャカ)、干したり(クルート)したものもあります。 ケフィア(コーカサス地方) 牛乳乳酸菌だけではなく、酵母のはたらきも利用したものです。「ヨーグルトきのこ」として一時流行しました。 ダヒ(インド) 水牛や山羊の乳カレーに混ぜたり、添えたりします。「ラッシー」というヨーグルトドリンクで飲むなど。 タラク(モンゴル) 牛・馬・羊・山羊・ラクダの乳モンゴルでは、さまざまな乳を利用し、さまざまな食べ方・飲み方をしてきました。ほかにアルコール発酵させた「乳の酒」などもあります。 日本の「発酵乳」 日本でも、飛鳥時代から奈良時代にかけ、健康を保つ滋養強壮、あるいは美容の「秘薬」として「酪(らく)・酥(そ)・醍醐(だいご)」という発酵乳が朝廷で食べられていました。「酪(らく)」はヨーグルトのようなもの、「酥(そ)」はバターに近い、ヨーグルトを濃縮したようなもの、「醍醐(だいご)」はチーズのようなものと推定されています。 平安時代に書かれた日本最古の医学書「医心方」には、これらの乳製品の効能として「疲労回復」「便秘解消」「美肌」などが書かれており、古くより、その効果が認められていたことがわかります。
どの評価法でも牛乳は高い数値 たんぱく質を評価する方法として、生物価、たんぱく質正味利用率(NPU)、たんぱく質効率(PER)、アミノ酸価などがあります。これらを見てみると、どの評価法においても牛乳はかなり高い数値を示しています。牛乳は鶏卵に次ぐ、優れたたんぱく質補給源といえます。 主な食品のたんぱく質の栄養価 食品 生物価(BV) 正味たんぱく利用率(NPU) 精白米 64 57 小麦(全粒) 65 40 小麦グルテン 58 39 ソバ 77 - トウモロコシ 59 51 大豆 73 61 エンドウ 64 47 ゴマ 62 53 牛肉 74 67 鶏肉 74 - 鶏卵 94 94 魚肉 76 80 牛乳 85 82 出典:拓殖治人ら「食物栄養学」培風館
カルシウム吸収を助けるCPP 骨そしょう症予防には骨の原料になるカルシウムの摂取が大切です。しかし、カルシウムをいくらたくさん摂っても体に吸収されなくては骨をつくることはできません。この吸収を助けるのがCPP(カゼインホスホペプチド)です。 CPPは腸管内でリン酸カルシウムが沈殿するのを防ぎ、カルシウムの吸収が促進されます。 最適の食品は牛乳 CPPが多く含まれているのが牛乳です。しかもカルシウムも多く含まれていますから、牛乳は骨そしょう症予防には最適の食品といえます。
日本人は慢性カルシウム不足 厚生省の決めた日本人の栄養必要量によると、カルシウムは1日600mgが必要とされています。しかし、実際に摂取している量は540mgで、日本人の食生活では慢性的に不足しがちです。 カルシウムを多く含む食品は、牛乳、乳製品、小魚、魚介類、豆類、野菜類、海藻類、穀物などです。牛乳は100g当たり100mg、強化牛乳ではその2~2.5倍もカルシウムが含まれています。チーズもかなりカルシウムが含まれています。 日本人のカルシウム源は魚類からが多く、イワシの煮干し、皮付きエビの干し物、オイルサーディンの缶詰にも多く含まれています。干しヒジキや干しのりなどの海草も、カルシウムの隠れた宝庫です。野菜では、カブの葉や大根の葉などに多く含まれています。 吸収率が良いのは乳製品のカルシウム これらの食品の摂取で大切なのは、吸収率です。カルシウムは腸での吸収率があまり良くないからです。子供の時は食品中のカルシウムの約6割を吸収できますが、大人になるとわずか4割しか吸収できません。 最も吸収の効率が良いのは、乳製品で50%、小魚からの吸収率は30%、野菜からの吸収率は20%ですが、カルシウムを取るには、平均して色々な食品を食べた方が良いのです。
吸収を助けるビタミンD カルシウムの99%は骨と歯に、残りの1%は血液と筋肉に存在しています。 カルシウムの吸収には、ビタミンDが必要です。ビタミンDは、日光にあたると体の中に自然にできます。食品では、レバー、牛乳、シイタケ、カツオ、イワシなどに、多く含まれています。 リンを多く含むスナック菓子や食塩、砂糖、アルコールには要注意 リンが多すぎると、腸内にリン酸カルシウムができて、吸収されずに体外に排出され、カルシウムの吸収率が下がってしまいます。 スナック菓子やインスタント食品、冷凍食品などの加工食品には、リン酸塩として多く含まれているので、要注意です。 また、食物繊維やホウレンソウのようにシュウ酸を多く含む野菜も、カルシウムの吸収を妨げます。食塩、砂糖、アルコールも、カルシウムの吸収率を低下させます。 体内のカルシウムは、たんぱく質の量が増え過ぎると尿の中に排せつされてしまいます。また、マグネシウムが不足するとカルシウムの利用に障害が出るといわれています。 カルシウム不足が続くと、それを補うために骨からカルシウムが溶け出し、血管などに沈着して、動脈硬化や結石の原因になります。