メタボリック・シンドロームの行き着く先として、その恐ろしさが知られ始めている「動脈硬化」。心臓や脳の病気を引き起こす原因ですが、じつは足の病気にも関連していることをご存知ですか?今回は、足のメタボとも言うべき「PAD」についてご紹介します。 目次 手足の動脈硬化が引き起こすPAD どうやって見つける?PAD PADの治療法 手足の動脈硬化が引き起こすPAD 最近、なにかと話題のメタボリック・シンドローム。 メタボリック・シンドロームが怖いのは、高血圧、高血糖、高脂血症、肥満といった症状が、それ自体は重症にはいたらないものの、放置すると血管の内側が狭くなって動脈硬化を引き起こします。そして動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞といった死に至る病気を発症することがあるからです。 動脈硬化になるとどんな病気に? ●心臓に症状が出ると…心筋梗塞、狭心症 ●脳に症状が出ると…脳出血、脳梗塞 ●足に出ると…PAD PADの進行度合い I度 足が冷たい、足がしびれる、足の皮膚が青白い II度 少し歩くと足が痛くなって歩けなくなる。しばらく休憩するとまた歩けるようになる III度 じっとした状態でも足が痛むようになる IV度 足の皮膚がただれる、壊死する ※日本では「閉塞性動脈硬化症」と呼ばれることが多いのですが、海外では一般にPADと呼ばれます。 どうやって見つける?PAD 足に動脈硬化の出る病気、PAD。症状が進行して足の皮膚がただれたり、壊死する前に発見する方法はあるのでしょうか? 足の動脈硬化を調べるには、まずは脈拍を調べる方法があります。というのも、足の動脈に詰まったりしている部分があると脈が弱くなるのです。このほか、血管から雑音が聞こえることもあります。 そこで血管にトラブルが起きていることがわかったら、次は血流を調べます。ドップラー血流計や脈波計といった機器を使って、腕と足首の血圧を測定します。健康な人では腕と足の血圧はほぼ同じですが、足の動脈が狭くなっていると、その部分の血圧が下がるからです。腕に比べて足の血圧が低ければ低いほど、PADの症状が重症であることがわかります。 さらに、超音波検、CTスキャン、MRIなどの検査をすることによって、血管の狭くなっているところや詰まっている部分、また全身の血管や血流の状態を調べていきます。 PADの治療法 PADと診断されたら、最も基本的な治療法となるのは薬物療法です。動脈の詰まりの原因となる血小板のはたらきを防ぎ、血流を良くしてくれる抗血小板薬や、血液が固まってしまうのを防ぐ抗凝固薬がおもに使用されます。 ほかにも医師の監視のもと、ウォーキングやジョギングなどを実践するのも効果があるとされています。これらは筋肉を使う運動であるため、運動により血流を迂回させる別の道を発達させ、足への血流を増加させることが可能といいます。PADはいわば生活習慣病のひとつでもあるだけに、日常生活に運動を取り入れることは意義があります。 さらに、狭くなった血管に風船のついたカテーテルを入れて膨らませ、血管を広げる治療法など、PADを治すための最新治療法が次々に開発されています。 足にPADがあると、壊死などの恐ろしい結末の危険性があるほか、心筋梗塞や脳梗塞など、ほかの動脈硬化性疾患を発症する恐れがあります。PADを発見したら、全身の健康に危険信号が出ているサイン。たかが足の動脈硬化と見過ごすことなく、早めに治療を行いましょう。 公開日:2008/01/21
厚生労働省は、2008年4月から生活習慣病の原因となるメタボリックシンドロームを予防・改善するための新しい健診「特定健康診断」を始めることにしました。この特定健康診断は、これまでと何が違うのかをご紹介します。 目次 メタボ健診って何? これまでと、どう違うの? 自分の健康は、自分でまもる時代 メタボ健診って何? 私たちの健康をおびやかす高血圧、高脂血症などの生活習慣病。いまや国民医療費にも大きな負担を与えるようになっています。 そこで厚生労働省は、2008年4月から医療保険者のうち40歳から74歳までの被保険者および被扶養者を対象に、生活習慣病の原因となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防・改善するための新しい健診と保健指導を始めることにしました。 これを特定健康診断(特定健診、メタボ健診)、特定保健指導といっています。 これまでと、どう違うの? これまでは、市町村が「病気を早く発見して、早く治療する」ことを目的に健診をおこなっていました。そして健診結果で精密検査や治療が必要な人に対し、病院受診をすすめたり一般的な保健指導をしたりしていましたが、これに対し、今回のメタボ健診と保健指導には【表】のような違いがあります。 表:これまでの健康診断との違い これまでの健診・保健指導 特定健診・特定保健指導 目的 病気の早期発見・早期治療 メタボリックシンドロームの該当者と、その危険性のある者を見つけ出し、指導をして減少させる 指導対象者 健診の結果、精密検査や病気の治療が必要で、健康に関する教育をうけるための事業などに参加した人 健診を受診した人全員 指導内容 1. 健診結果の報告 2. 医療機関の受診を勧める 3. 病気や生活に対する一般的な情報提供と指導 1. 健診結果の報告 2. 生活習慣病になる危険性のレベルに合わせた、メタボリックシンドロームを予防・改善するための情報提供と指導 検査項目 老人保健事業・基本健康検査の項目 老人保健事業・基本健康診査の項目より 追加:腹囲測定、LDLコレステロール 廃止:総コレステロール定量、尿潜血、血清クレアチニン 変更:空腹時血糖またはヘモグロビンA1Cの、どちらかをすればよい 出典:厚生労働省 健康局 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版) まず、実施主体が医療保険者に変わります。また、「メタボリックシンドロームを予防・改善する」ことが目的に加わったため、メタボリックシンドロームを判定する腹囲測定が追加されるなど、検査項目の一部も変わりました。 さらに、保険指導の内容が生活習慣病になる危険性によって、3つのレベルに分けられていて、受診した全ての人が、そのレベルにあわせた指導をうけられるようになります(図)。 さて、あなたはどのレベルに分類されるのでしょうか。 図:特定健康診断と特定保健指導の流れ 出典:厚生労働省 健康局 標準的な健診・保健指導プログラム(確定版) 自分の健康は、自分でまもる時代 厚生労働省はこの制度を実施することで、生活習慣病の該当者とその危険性のある人を、これから7年かけて25%減少させ、医療費を削減しようとしています。これに対し、本当に成果が得られるのだろうかという疑問の声もでてきています。 しかし、健康的に暮らしたいと願う人にとっては、日頃の生活習慣を見直して、健康を自己管理していくためのいいきっかけになるのではないでしょうか。 4月という新しい年度をむかえるにあたり、いちど気持ちもお腹も引き締めてみてはいかがでしょうか。 公開日:2008/03/31
メタボリックシンドロームとは? 最近話題になっている用語なので、健康に関心が高い人の中には、聞いたことがある人もいるのでは?ヘルスクリックでは、以前から糖尿病や高脂血症、高血圧症などの生活習慣病を予防しよう、と伝えてきた。これらの病気は、単独でもやっかい。それなのにこれらの病気は、単独で発症するというより、肥満に伴いそれぞれが重なり合って発症することが分かってきた。その一連の症候群を、「メタボリックシンドローム」と呼ぶのである。 困ったことに、これらの病気はほとんど自覚症状がないうちに進行する。しかも、一つ一つの異常値はさほど高くなくても、複数の要因が複合的に作用することで、血液がドロドロになる動脈硬化を促進し、やがては心筋梗塞、脳梗塞といった死に直結する病を招いてしまうコワイ症候群なのだ。果たして自分は大丈夫なのだろうか?気になる人に、メタボリックシンドロームの目安をお伝えしたい。 お腹の脂肪が黄色信号! 現在、WHO(世界保健機関)やNCEP(米国コレステロール教育プログラム)が、動脈硬化予防を目的に定めた、「メタボリックシンドローム」の診断基準が、ほぼ世界基準となっている。日本でも、これらの基準を元に2005年4月、日本内科学会総会において、日本独自の診断基準が発表された。それが以下の表である。 メタボリックシンドローム診断基準 ウエスト周囲径 男性 ≧ 85cm 女性 ≧ 90cm (内臓脂肪の面積は、男女とも100cm2に相当する) これに加え、以下のうち2項目以上が当てはまること ●中性脂肪≧ 150mg/dL かつ/または HDLコレステロール<40mg/dL ●収縮期血圧(最大値)≧ 130mmHg かつ/または 拡張期血圧(最小値)≧85mmHg ●空腹時血糖値≧ 110mg/dL この診断基準では、特に内臓の周りに脂肪が蓄積された内臓脂肪型肥満(隠れ肥満のこと)が、メタボリックシンドロームの鍵と位置づけている。この基準の分かりやすさは、病院などで検査を受けなくても、家庭や職場で簡単に測定できるウエストの長さを目安にしたことだ。これが男性は85cm以上、女性なら90cm以上の人は、隠れ肥満を疑ってみたほうがよいだろう。ちなみに、日本では1000万人以上、つまり国民の約1割近くがこの診断基準に当てはまると推定されている。 まずは予防!動脈硬化への道のりを断とう 最近太ってきたなあ、と気になるあなた!まずは自分でウエストを測ってみよう。男性なら85cm以上、女性は90cm以上だったら、できるだけ早く病院に行って検査を受けることをお勧めする。そこまで行かなくても、あるいは検査を受けて、糖尿病や高脂血症などの病気にはまだ至っていなかったとしても、油断をしていたらいつ脳卒中などへの道を歩みださないとも限らない。 幸い、メタボリックシンドロームから動脈硬化性疾患と診断されるに至るまでは、比較的緩やかで長い道のりを辿る。例えば糖尿病の場合、最初は食後の血糖値だけが急上昇して元に戻りにくい食後高血糖から始まることが多い。その状態から、糖尿病を発症しても動脈硬化が進むまでは、5~10年はかかる。ただし、この間自覚症状のないまま症状が進行するケースもある。会社の健康診断などの検査で異常値が出ている人は、今のうちに手を打とう。 油の多い食品を摂り過ぎない、野菜をしっかり摂るなどバランスの取れた食生活を心がける。たばこをやめる。酒を控える。しっかり睡眠などの休養をとりストレスをためないようにする。歩けるところはできるだけ歩いて運動不足解消につとめる。こういった健康管理は、普段からきちんとできているだろうか。 生活習慣病は、いったんかかってしまえば長い付き合いとなる。治療費もバカにならないことを思えば、少しぐらい面倒でも予防するほうがオトク。生活習慣病予防は国の政策の大きな流れでもある。今日からでも、できることから確実に実行し、メタボリックシンドローム予防を心がけよう! ■関連記事 BMIチェック 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ 公開日:2006年2月27日
肥満や高血糖、高中性脂肪、高コレステロール、高血圧…。これらの危険因子が重なった状態が「メタボリックシンドローム」です。危険度が高まるとさまざまな生活習慣病が発症し、場合によっては死につながることもあります。恐ろしいシンドロームの真相に迫ってみましょう。 目次 数倍にはね上がる生活習慣病リスク メタボリックの診断基準 肥満が生み出す負のスパイラル! タル型肥満の人はご注意を! ライフスタイルを見直そう!メタボリックシンドローム予防の10か条 数倍にはね上がる生活習慣病リスク 高血糖症、高血圧症、脂質異常症――いずれも中高年がかかりやすい生活習慣病です。ところで、これら3つの病気は、共通の根っこから発症すると考えられています。すなわち、脂質代謝異常、糖代謝異常、血圧異常、内臓肥満などです。 こうした根っこがひとつならまだしも、複数持ち合わせている場合は、病気のリスクは高くなります。最悪の場合は、いくつかの病気が同時多発する可能性もあります。メタボリックシンドローム、すなわち「代謝異常症候群」は、まさにこうした複数の危険因子を抱えている状態を指します。 WHO(世界保健機構)によれば、このシンドロームにかかっている人は、現在、世界的に増え続けているといいます。米国では、実に成人の4人に1人が該当するほどとか。食事が欧米化している日本人も、けして無縁ではありません。 診断のめやすは、次のようになります。 メタボリックの診断基準 ■必須項目 ウエスト周り 男性85cm以上、女性90cm以上 ■選択項目 ※次の3項目のうち2項目以上該当 (1)中性脂肪:150mg/dL以上 または HDL(善玉)コレステロール:40mg/dL以下 (2)最高血圧:130mmHg以上 または 最低血圧:85mmHg以上 (3)空腹時血糖:110mg/dL以上 もし該当する場合、糖尿病を発症するリスクは通常の9倍。心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクは3倍です。また、それぞれの異常度はさほど高くない、という人も含まれるので警戒が必要です。 肥満が生み出す負のスパイラル! それでは、メタボリックシンドロームはどうして起こるのでしょうか。はっきりとはわかっていませんが、大きな要因は主にふたつあります。体質と生活習慣です。 体質については不明な点が多いようです。今のところ有力とされているのは、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの抵抗性や、脂肪細胞の機能異常が関わっているのでは、という説です。 では、肥満がメタボリックシンドロームの原因となるしくみを説明しましょう。まず、肥満になると、脂肪組織や筋組織における糖の取り込み能力が低下してしまいます。このため、糖を代謝するときに必要なインスリンがうまくはたらかなくなるのです。さらに、肥満は筋肉や肝臓でのグリコーゲン合成酵素の活性も低下させます。結果的に、血糖値が高くなり、ますますインスリンのはたらきが阻害されてしまいます。インスリンがうまく機能しないと、糖尿病や高血圧、脂質異常症の危険が高まります。動脈硬化が促進され、冠動脈疾患にかかる可能性も出てきます。 ごく最近まで、人類は太古の昔からずっと飢餓の歴史に耐えてきました。おかげで、エネルギーが枯渇した場合の身体システムは発達しましたが、近代の飽食により、エネルギーがあふれた状態を解消する仕組みができていないのです。 タル型肥満の人はご注意を! 肥満には大きく分けてふたつのタイプがあります。女性に多い洋ナシ型と、男性に多いタル型です。洋ナシ型は、おしりや下腹部など皮下に脂肪がつきますが、タル型では、内臓周りに脂肪が蓄積されます。メタボリックシンドロームになりやすいのは後者のほうです。自分の危険度を知るには、体重やお腹の周りをチェックするとよいでしょう。 ■肥満度チェック BMI (体格指数:body mass index)の算定方法 体重(kg) ÷ {身長(m)}2=25以上 BMI計算ツール ■腹囲チェック 腹囲=男性…85cm以上、女性…90cm以上 ※日本肥満学会1999年ガイドラインによる ライフスタイルを見直そう!メタボリックシンドローム予防の10ヵ条 メタボリックシンドロームの原因は、高カロリー・高脂肪食の摂り過ぎと、運動不足に尽きます。日ごろから規則正しい食事と適切なカロリー摂取を心がけ、こまめに体を動かすようにしたいもの。外食やファーストフードはほどほどに、できれば出勤前にジョギングするなどして、肥満防止に努めましょう。 メタボリックシンドローム予防の10ヵ条 適正体重を維持する 野菜や乳製品や豆類などをしっかり食べ、バランスのとれた食事を 規則正しく食事をし、朝食を抜いたり、寝る直前に夜食を食べたりしない 脂肪の摂り過ぎに気をつける 塩辛い味つけは避ける ジュースやお菓子など、糖分の多い食品を食べ過ぎない ウォーキングやジョギング、水泳など、毎日適度な運動を 睡眠、休養は十分に たばこは百害あって一利なし。思い切って禁煙を お酒はほどほどに。週に2回は休肝日をもうけて 公開日:2004年10月25日
メタボの本当の意味と怖さって? 講師:板倉弘重先生 メタボリック・シンドローム――。 その言葉はよく耳にするし、実際、気にもなっている。でも、そもそもどんな病気なの? そんな方のために、第1部ではまず、易しくメタボを解説することからスタート。 テレビでもおなじみ、栄養・代謝がご専門の板倉弘重先生が、メタボリック・シンドロームの本当の意味、恐ろしさを教えてくれた。 皆さんは、「メタボリック症候群」イコール「太っている人」「ウエストが太い人」「ビール腹の人」と思っていないだろうか? 残念。実はそれはどれも正しくない。 そもそも、メタボリックとは日本語で「代謝」、シンドロームとは「症候群」。「メタボリック・シンドロームとは、内臓脂肪が増えることで血液中の糖や脂肪を分解するはたらきが正常に行われず、肥満、高血圧、高脂血症、高血糖といった様々な症状が重なって出現する病気なのです」と板倉先生。 内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が分泌する悪玉ホルモンが、血圧を上げる、血糖値を上げる、血液をドロドロにするなど、全身で様々な悪さをはたらき、それによって様々な症状が引き起こされるという。 メタボリック・シンドロームの診断基準はこの通り。 よく、メタボ=おなかがポッコリのイメージをもたれるが、単純にウエストが太いかどうかが大事なのではなく、そこから内臓脂肪の蓄積量をチェックすることができるためにウエストが重視されている。 どうしてメタボは危険性と言われるのだろう。 それは、1つ1つの症状が軽くても重なって起こることで、脳血管障害や心疾患など命に関わる大きな病気の発生率が格段に高くなるといわれているから。 「肥満、高血圧、高血糖、高中性脂肪のうち危険因子が3つ以上重なると、心筋梗塞の発症危険度が36倍以上になることが分かっています」(板倉先生) 打つ手はあるの? メタボリック・シンドロームに該当する人は約960万人。 予備群をあわせると、約1940万人にのぼると推定されている。 「男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック・シンドロームを強く疑われる、または予備群と考えられています」と板倉先生。 防ぐ手立てはまず、日々の生活習慣を見直すこと。特に、運動と食事の2点が大事であると強調された。 ただし、やせすぎの妊婦や妊娠中のダイエットなどにより胎児への栄養が不十分だと、生まれた子どもはメタボになりやすいといわれている。 メタボは遺伝する!? 講演後の板倉先生への質問タイムでは、こんな気になる質問が寄せられた。 「確かに、メタボリック・シンドロームになりやすい体質というのはありますし、以前は遺伝が大きくかかわっているといわれていました。ただ、最近の研究では、遺伝的要素以上に環境的な要因のほうが大きいといわれています」と板倉先生。 例えば同じ遺伝子を持つ双子でも、どういう生活を送るかで、糖尿病になる、ならないに差が現れる場合もあるという。 「過剰に塩分を摂取しない、適度な運動をするなど、自分で守れることをやっていくことで『なりやすい体質』という負の遺産もカバーできると言えます」
必要な量と摂ってる量のバランスはOK? 第1部でメタボリック・シンドロームを正しく理解したところで、第2部はメタボ予防の実践編。 メタボの改善&予防策として、一番よく行われる食事療法にフォーカスして実践のポイントとアンチメタボレシピを紹介した。 アンチメタボな食生活のポイント1つ目は、自分の適正エネルギーと標準体重を知ること。メタボになったり、メタボ予備群の人は1日の摂取エネルギーが必要以上にオーバーしている。 そこで、参加者に実際に自分にとっての1日の適正なエネルギー量を計算してもらった。 もし、減量が必要な場合も、急激にカロリー制限するのではなく、適正エネルギーからマイナス200~300キロカロリーを目安に。体重も1ヶ月1~2キロ程度にゆっくり落としていくのがポイントだという。 食べたい!を叶える魔法のテク“change” カロリーは制限されている。それでも、食べたい。そんな要望に応えるために、ご家庭実践編では、5つのレシピを紹介。 酢豚、パスタ、カレー、ステーキ丼、クレープと、食事制限とは一見かけはなれた人気メニューを実現した工夫とは――。 キーワードは“change” 酢豚 → お肉の種類、部位を変える パスタ → パスタの形状を変える カレー → 盛り付けを変える ステーキ丼 → お肉の種類を変える。具材を変える クレープ → ソースやクリームを変える 食事は毎日のことなので、面倒と感じてしまいがちだが、こうしたちょっとした工夫で簡単&たのしい食生活にしていくことができる、と鶴田管理栄養士。 素材と発想を変えることで、カロリーカットを実現したレシピは女性の参加者から「今晩から早速やってみたい」と好評だった。 どうしても、揚げ物が食べたい時はどうしたらいい? ただ、どうしても好物のから揚げが食べたい。そんな日もある。そんな時は?の質問に「高カロリーの揚げ物は、なるべく避けていただきたいものですが、どうしても食べたいときもありますよね。そんなときはカロリーを抑えるのには、使うパン粉を細かいものにする、などの工夫が考えられます」と鶴田管理栄養士。 会場の熱気ある雰囲気から、健康に関心のある人が多いことをあらためて実感。ヘルスクリックとして今後も情報提供していくことの意義を感じとった。