むずむず脚症候群は、大人だけでなく子供が発症することもある病気です。大人と子供のむずむず脚症候群では、何か違いがあるのでしょうか。子供のむずむず脚症候群について詳しく説明します。 目次 子供と大人では違いがあるの? 子供のむずむず脚症候群 子供のむずむず脚症候群の原因 子供の症状に注意を払うことが大切 子供と大人では違いがあるの? むずむず脚症候群は、大人だけでなく子供が発症することもある病気です。 大人と子供のむずむず脚症候群では、何か違いがあるのでしょうか。子供のむずむず脚症候群について詳しく説明します。 脚がむずむずして眠れない!「むずむず脚症候群」とは? 子供のむずむず脚症候群 子供のむずむず脚症候群の発症年齢は、幼児期から小児期や思春期まで幅広い年齢層でみられます。 子供の場合、じっとしていられない状況から、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と間違われることがあります。昼間に症状が現れると、学校の授業などにも集中しにくいので、生活に支障がみられる恐れがあります。 そのほか、成長痛と間違われることもあります。成長痛は、痛みが伴い症状が出やすい時間帯が、むずむず脚症候群と同じように夕方から夜間にかけてが多いため、間違われやすいとされています。 このように、大人のむずむず脚症候群との大きな違いは、別の病気や症状と間違われて見過ごされがちになることです。 子供のむずむず脚症候群の原因 子供のむずむず脚症候群の原因として、脳内の神経伝達物質の一つでもあるドパミンの機能低下が有力とされています。また、ドパミンの機能低下を引き起こす原因として、鉄分の不足があげられます。 ドパミンを合成する上で、チロシンヒドロキシラーゼという酵素が重要な役目を果たすのですが、その酵素の活性には鉄分が欠かせないためです。 子供の症状に注意を払うことが大切 子供のむずむず脚症候群は、見分け方が難しいため、子供に異常がみられたら、保護者の方が症状をしっかりと把握する必要があります。 子供による症状の表現としては、「足が気持ち悪い」「虫がはっているみたい」「もにゃもにゃする」「こそばゆい」「足が痛い」などがあげられます。 行動としては、足を絶えず動かし続けることや、足をかく、就寝時に布団などに足をこすりつけることなどがみられます。また、不機嫌になることや、足のマッサージを要求してくる場合もあるでしょう。 むずむず脚症候群の特徴として、これらの症状は夕方から夜中にかけてみられることが多いです。また、じっとしている時ほど症状が現れやすいとされています。 子供の様子がおかしいなと思ったら、話を注意深く聞いてあげることや、しっかりと様子をみてあげることが望ましいでしょう。 公開日:2016/06/06
じっとしているのが我慢できないほど脚の不快感が強い「むずむず脚症候群」。特に夕方や夜間に症状が強く現れるため、眠れずに睡眠障害に移行してしまう人も多いようです。むずむず脚症候群を予防するには、どのような方法があるのでしょうか? 目次 むずむず脚症候群の予防に取り入れたい成分とは 生活習慣の見直しを行う むずむず脚症候群の予防に取り入れたい成分とは じっとしているのが我慢できないほど脚の不快感が強い、「むずむず脚症候群」。特に夕方や夜間に症状が強く現れるため、眠れずに睡眠障害に移行してしまう人も多いようです。 むずむず脚症候群を予防するには、どのような方法があるのでしょうか? むずむず脚症候群の原因はまだ明らかにはなっていませんが、有力な説として、脳内の神経伝達物質のひとつ「ドパミン」の機能障害が関与しているといわれています。 このドパミンの生成に欠かせない成分が「鉄」です。そのため、むずむず脚症候群の予防には毎日の食事で鉄分を摂ることが有効な可能性があります。鉄分が豊富な食材として、レバーやほうれん草のほか、あさり、いわしなどが挙げられます。 また、葉酸が不足するとドパミンの発生を阻害するため、葉酸も予防には大切な成分となり得ます。葉酸を多く含む食品には、レバー、うなぎ、うに、えだまめ、モロヘイヤといったものがあります。 欠乏すると神経伝達に影響を与えるビタミンB(特にビタミンB12)も取り入れたい成分です。しじみ、赤貝、すじこ、あさりなどに多く含まれています。 これらの成分を食事で摂ることが難しい場合は、サプリメントを利用するのもよいでしょう。 生活習慣の見直しを行う ここまでに、むずむず脚症候群の予防のために取り入れたい成分をご紹介しましたが、反対に摂取を控えた方がよいのは、カフェイン、アルコール、ニコチンです。 カフェインやアルコールなどは交感神経を刺激する作用があり、血管の収縮や興奮を引き起こすため、脚の不快感が強くなってしまうのです。またそれだけではなく、これらの成分は眠りを浅くすることもありますので、コーヒーや紅茶、緑茶などは飲み過ぎない方がよいでしょう。 また、適度な運動(短時間のウォーキング、簡単なストレッチなど)や、規則正しい就寝時間と起床時間を心がける、といったことも大切です。ただし、過度の運動はかえって症状を誘発する場合もありますので、様子をみながら自分にあった運動をすることがおすすめです。 ほかにも、暖かい時期には冷たいシャワー、寒い時期には熱めのシャワーを脚にあてると、症状が和らぐ場合もあります。 公開日:2016/06/13
脚がむずむずして動かしたくなる、虫が這うような不快感を覚えて眠れない…それは「むずむず脚症候群」かもしれません。むずむず脚症候群の原因や症状について詳しく解説します。 目次 脚がむずむずして眠れない!?もしかしたら… 発症と関連するのは、ドパミンの調整機能や鉄分の不足など 治療のカギは、専門医への相談と生活習慣の改善 脚がむずむずして眠れない!?もしかしたら… 脚がむずむずして動かしたくなる、脚の内部に虫が這うような不快感を覚えて眠れない…。それは、もしかしたら「むずむず脚症候群」かもしれません。 むずむず脚症候群は、医学的には「レストレスレッグス症候群」(RLS)と呼ばれます。不快感を覚えるのは主にふくらはぎや太ももなどですが、腹部や臀部(でんぶ:お尻)、肩、腕、顔などの場合もあります。 症状が現れるのは夕方から夜が多く、なかなか寝つけないため、部屋の中を歩き回ってしまうこともあります。睡眠障害と過度のストレスから「脚を切ってしまいたい」と訴える患者さんもいるといいます。 日本における、むずむず脚症候群の患者数は、推定200万人以上と考えられています。40歳以上に多く、男性より女性のほうが1.5倍ほど多いと言われています。 むずむず脚症候群の主な特徴 ●脚などに不快感を覚え、動かしたくて、じっとしていられない ●横になるなどの安静時に、不快感が現れたり強くなったりする ●軽い運動で不快感がおさまる ●特に夕方から夜間にかけて、不快感が強くなる 発症と関連するのは、ドパミンの調整機能や鉄分の不足など むずむず脚症候群のはっきりした原因は不明ですが、「脳内におけるドパミンの調整機能障害」と「鉄分の不足」が、発症に大きく影響していると考えられています。 ドパミンは神経伝達物質のひとつで、この調整機能が正常にはたらかないと、脚に触れている衣服や寝具などの刺激が脳に過剰に伝わります。その結果、脳は不快感として受け取ってしまいます。夜間に症状が強くなるのは、ドパミンが作用する強さや体温が、時間帯によって変動することと関連しています。 鉄分の不足が関連するのは、脳内でのドパミンの生成には鉄分が欠かせないことによります。男性より女性の患者さんが多いのは、食生活や月経サイクルなどにより、鉄分が不足しやすいためだと考えられます。 さらに、腎機能障害や末梢神経障害などの病気のほか、吐き気止めや抗精神病薬、抗うつ薬などの薬によっても引き起こされます。女性の場合、妊娠を機に発症することもあります。 治療のカギは、専門医への相談と生活習慣の改善 前述の症状によって、日常生活に支障が出るようであれば、治療が必要となります。その際は、整形外科や皮膚科より、睡眠障害の専門医を受診するほうが望ましいです。 むずむず脚症候群だと診断された場合、症状が起こりやすい状況を避けることも、治療のひとつとなります。カフェインやアルコールの過度な摂取は控える、禁煙する、鉄分が不足しないような食事を心がけるなど、生活習慣を見直しましょう。日中に軽い運動をする、疲労をためすぎない、寝る前に脚のマッサージをするということなども、症状の軽減につながります。 公開日:2012/04/23
中高年のひざの痛みとして知られる「変形性膝関節症」は、関節軟骨や関節液中に含まれるヒアルロン酸が減少することで引き起こされると言われます。 目次 「ひざが痛い!」それは変形性膝関節症かも! 変形性膝関節症は、どのように治療するの? 痛みを和らげる生活を心がけよう! こんな症状があったら、ほかの病気の可能性も… 「ひざが痛い!」それは変形性膝関節症かも! 年齢を重ねて中高年になると、階段の上り下りなどでひざの痛みを感じる人が増えます。この多くが「変形性膝関節症」といい、立ったり座ったりという日常動作でひざに痛みを感じ、そのまま放置すると膝関節が変形して、歩きにくくなる病気です。 ひざは、長い期間負担をかけられることで、関節軟骨や関節液中に含まれるヒアルロン酸が減少し、軟骨の弾力性がなくなったり、膝関節内のうるおいが少なくなったりしてしまいます。その結果、軟骨がすり減って変形し、関節部分に炎症が起こって痛みを感じると考えられています。 この病気は中高年、なかでも女性に起こりやすく、またO脚の人、足の筋力が低下している人、太っている人、スポーツやけがでひざに負担をかけた人にも起こりやすい傾向があります。心当たりのある人は、症状をチェックしてみましょう。 変形性ひざ関節症の主な症状 歩き始めるときに、ひざに違和感や痛みがある 階段の上り下りのときに、ひざに痛みがある 立ち上がるときに、ひざに痛みがある 正座がしづらい ひざに水がたまって腫れる 朝起きたときに、ひざがこわばる ひざの内側を押すと痛みがある 変形性膝関節症は、どのように治療するの? 症状に心当たりがあれば、早めに整形外科を受診して検査を受けることが大事です。病気の進行は、エックス線検査によって、次の4段階に分けられています。 段階 状態 症状 1度:ほぼ健康 上下の関節軟骨が少しすり減っているものの、表面はまだなめらかな状態 自覚症状は、ほとんどない 2度:軽度 関節軟骨のすり減りや、けば立ちが目立ち、骨の間のすきまが狭くなる 動き始めるときに、痛みを感じる 3度:中等度 関節軟骨のすり減りが激しく、骨の一部がむき出しになっている ひざを完全に曲げられない 4度:重度 関節軟骨はほとんどなくなり、上下の骨がぶつかり合う 動かなくても痛みを感じる歩きにくくなる 治療では、主に生活指導、理学療法、薬物療法という3つの「保存療法」が行われます。 まず、生活指導では、減量の指導や杖の使用によって、ひざに負担をかけない生活を促します。 また、理学療法では、ひざを伸ばす筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」の筋力を鍛える体操を指導します。たとえば、下のような体操です。 「理学療法」の体操 足を伸ばして仰向けに寝た状態で、片方の足首の上に男性で3~4kg、女性で2kg程度の重り(辞書など)を乗せる。 その状態でひざを伸ばしたまま、10度くらい足を上げる、数秒間保った後に下ろす。 反対側の足も同じように行う(1セット20回・1日2回)。 そして、薬物療法ですが、鎮痛・抗炎症薬の内服薬や外用薬の使用のほか、「ヒアルロン酸製剤」の注射があります。先に述べたように、変形性膝関節症は関節軟骨や関節液中に含まれるヒアルロン酸が減少することによって起こりますが、この物質を膝関節内に注入することによってひざの痛みや動きを改善させ、病気の進行を抑制することができます。この療法は、病気があまり進行していない中等度までの人に行うと、効果が期待できます。 こうした保存療法で改善されない場合には、手術療法が検討されます。内視鏡を使ってすり減った軟骨などを切除する「関節鏡視下手術」、O脚になった膝関節を矯正する「高位脛骨骨切り術」、人工の膝関節に置き換える「人工膝関節置換術」が代表的な方法です。 痛みを和らげる生活を心がけよう! この病気の改善には、日常でもひざに負担をかけない生活を工夫することが大事になります。特に、次のようなポイントが有効になりますので、ぜひ検討してみましょう。 ●「和式」より「洋式」の生活を 正座や布団の上げ下ろしなどでひざに負担のかかる「和式」の生活より、椅子やベッドなどを利用した「洋式」の生活に変えます。 ●サポーターでひざを保温する ひざが冷えると痛みを感じやすくなるため、エアコンの効く夏場や冬の就寝時などにはサポーターを使用します。 ●室内に手すりをつける 日常動作によるひざの負担を避けるためにも、階段や玄関、トイレなどへの手すりの設置を検討します。 こんな症状があったら、ほかの病気の可能性も… ひざの痛みを主訴とする病気には、次のようなものがあります。変形性膝関節症との違いをチェックしてみましょう。 ●関節リウマチ 免疫異常によって膝関節に炎症がおこり、関節が破壊される病気です。両ひざに痛みを感じ、早朝は関節がこわばります。また、午後には発熱やだるさなどの全身症状も伴います。安静時にも痛み、動かすとさらに強く痛みます。 ●痛風・偽痛風 関節に尿酸の結晶がたまって炎症を起こす「痛風」。尿酸ではなく、ピロリン酸カルシウムの結晶が炎症を引き起こすのが「偽痛風」。突然、激痛に襲われ、特に夜間に激しい痛みを感じます。痛風の場合は慢性化しやすく、痛みの発作を繰り返すことが多くみられます。 ●化膿性関節炎 関節内に細菌が感染して炎症が起こる病気です。腫れや痛み、発熱などの症状が現れ、進行すると軟骨や周りの骨まで破壊されます。 公開日:2009/07/06
水虫といえば中年男性の悩みというイメージがあるが、実は女性にも水虫に悩む人は多い。女性が水虫で悩む原因はストッキングを履く習慣や、パンプスやブーツなど通気性の悪い靴を長時間履くことで、水虫が住み着き増殖する環境を作ってしまいます。 目次 男性だけの悩みではない!実は女性にも多い水虫 水虫にも種類がある 水虫予防はこまめなケアと日常生活での感染に注意 男性だけの悩みではない!実は女性にも多い水虫 水虫といえば中年男性の悩みというイメージがありますが、実は女性にも水虫に悩む人は多くいます。特に近年では若い女性の水虫が増加しているということで、薬局でも女性が水虫薬を手に取りやすいよう工夫している店舗が多いほどです。 若い女性が水虫で悩む原因の多くはそのファッションにあります。まずはストッキングを履く習慣。吸水効果のないストッキングを常に履いていることで、足は常に蒸れている状態になります。そのうえ、パンプスやブーツなど通気性の悪い靴を長時間履いたままの状態でいることは水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)が住み着き増殖する環境を作ってしまうのです。 水虫にも種類がある 一言で水虫といっても症状は一つではありません。水虫には足の指の間の皮膚がむけて赤くなる「趾間型」、透明な液体が入った小さな水泡が足の裏などにできる「小水泡型」、爪に菌が入り込み爪が黄白色になり欠けやすくなる「爪白癬」などがありますが、一般的に多いのは「趾間型」や「小水泡型」のようにジュクジュクしてかゆいというイメージのある水虫です。しかし、かゆみなどの自覚症状がないまま、足裏の角質が厚く硬くなる「角質増殖型水虫」という症状もあります。特に女性は冬場に角質増殖型水虫が増える傾向にあるので、保湿剤やクリームを塗ってもかかとのかさかさ、ごわごわ、ひび割れなどが改善されない時は、足が乾燥しているだけと安易に考えず、角質増殖型水虫の可能性も疑ってみる必要もありそうです。 水虫予防はこまめなケアと日常生活での感染に注意 水虫は感染します。自分が水虫でなくても一緒に生活する家族が水虫の場合、お風呂場やバスマット、スリッパ、じゅうたんや床などを感染経路として白癬菌が足に繁殖してしまう可能性が高く、さらに、温泉や公衆浴場、スポーツジムのロッカールームなど多くの人が利用する場所で湿り気のある場所も要注意です。 しかし、白癬菌の感染力はそれほど強くないため、付着後すぐに水虫になってしまうわけではありません。感染の可能性がある場所を歩いた後は、帰宅後にしっかりと石鹸で足を洗い、きちんと乾かすといったこまめなケアを行うことが感染予防の第一歩となるため、毎日のケアを心がけると感染の可能性は低くなります。 また、水虫の治療は、皮膚科専門医を受診するか、ドラッグストアで販売される治療薬を使用するのが一般的です。殺真菌薬と呼ばれる治療薬を塗ることで水虫の基となる水虫菌を死滅させることが治療の基本となります。温度が低くなると休眠状態になるといわれる水虫菌は、自然に治ったかに見えても活動に適した温度や湿度になると活動がはじまるため、症状が治まったからと自己判断で治療を中止することは危険です。 公開日:2009/01/05
エコノミークラス症候群を予防するには、こまめに水分を取ったり、動いたりすること。中高年がなりやすいと思われていたが、若い人にも起こる。また飛行機以外の乗り物でも要注意。 目次 エコノミークラス症候群を防ぐ! 万が一、危険を感じたら…? エコノミークラス症候群の事例 エコノミークラス症候群を防ぐ! せっかくの旅行が台無しにならないよう、エコノミークラス症候群を防ぐポイントをチェックしておこう。 ◆水分を補給しよう 特に女性は、水分を摂るとトイレに行きたくなるため、乗り物に乗ったときに水分を摂らないようにするケースがある。これではかえって血液濃度が濃くなり、血液がどろどろになってしまう。 そこで大切なのが水分補給。長時間乗り物に乗るときは、水やソフトドリンクなどを1時間ごとにコップ1杯程度飲むのがベスト。とはいえ、コーヒーや緑茶などカフェインの入った飲み物は利尿効果があり、飲んだ以上に水分となって体外に出ていってしまう。またビールやワインなどのアルコール類も同じように利尿効果があるため、避けたほうがよい。 ある実験によると、水よりもイオン飲料のほうが尿量が少なく、体内に残っている水分量が多くなるという結果が出ている。 こまめに水分補給するよう、心がけよう。また、搭乗前に軽い食事を摂っておくとよい。 ◆体を動かそう 狭い機内でしかも窓側に座ると、「ちょっとすいません…」と言いながら、席を立つのを遠慮してしまいがち。ついつい座りっぱなし…という結果が血栓をつくる原因になる。 本当は、席を立ってちょっと動いたりできるとよいのだが、なかなかそうもいかない場合には、座ったままでもよいので足を動かすようにしよう。血のかたまりはふくらはぎやひざの裏にできやすいため、足のかかとやつま先を上下させたり、足の指を動かすことでも効果あり。さらに、ふくらはぎをもんだり、足首をぐるぐる回してみよう。 ◆体をしめつけない服装で 窮屈な服は、血液の流れを悪くしてしまう。できるだけゆったりとした服を着よう。 ◆思い当たることがあるなら、主治医に相談を 動脈硬化や高脂血症、糖尿病などを患っていたり、大きな手術をした、足を骨折した、など血が固まりやすい危険因子に思い当たるなら、血を固まりにくくする薬もあるので、一度主治医に相談してみよう。 万が一、危険を感じたら… もし、飛行機を降りるときに太ももより下の足が痛かったり、腫れたり、妙に赤くなっていたりしたら、まず立ちあがらないで乗務員に相談しよう。動くことによって血栓が肺に移動してしまう可能性があるので、おかしいな?と思ったら遠慮せずに伝えること。 また、胸が苦しいとか呼吸困難などの症状があるときも同じだ。 ちなみに、エコノミークラス症候群は着陸直後だけでなく、1週間くらいしてから苦しくなることもあり、我慢していると呼吸困難になってしまうこともあるので、早めに周りの手を借りて医師の診断を受けよう。 エコノミークラス症候群に注意!夏の長距離ドライブ 意外な危険 エコノミークラス症候群の事例 1994年から2000年までに起きたエコノミークラス症候群の事例(成田赤十字病院調べ) ●男性2例、女性19例。平均60.3±9.8歳で、1例を除いて40歳以上 ●平均身長156.8±6.5cm、平均体重59.3±8.2kg ●すべて8時間以上の飛行時間。座席はエコノミークラスだった。発症前に席を立った回数は、14例が0回 ●呼吸困難、胸痛、動悸、意識消失など。機内で起こったのが10例、残りの11例は空港内で起こった。ほとんどの症例は、初めて席を立った直後に発症 この報告によると、女性の19例のうち、15例は身長160cm未満で体格は肥満気味という特徴があった。「背が低い人は座った姿勢の時に足が圧迫され、血液がうっ血しやすくなるのでは?」とみられている。 日本人が肺塞栓症を起こす確率は人口100万人に対し、年間28人とされている。また、厚生労働省によると肺塞栓による死亡はこの10年間に2.8倍に増加している。 公開日:2003年7月7日
両膝がOの字のように外側に湾曲したO脚。実は生まれたときは誰でもO脚だが、成長するとともにほとんどの人が改善される。しかし、成長してもO脚のままだったり、膝を傷めやすい生活習慣を行っていると、高齢になってから「変形膝関節症」を引き起こすことも。膝の痛みに苦しむ前に、O脚は早めに改善しておこう。 目次 3~4歳まではほとんどがO脚 扁平足や外反母趾もO脚・膝のゆがみにつながりやすい O脚や膝のゆがみを放っておくと「変形膝関節症」になることも 3~4歳まではほとんどがO脚 膝痛を引き起こす膝の湾曲には、O脚とX脚がある。 (A)正常な膝の状態。関節がまっすぐになっている (B)関節の軟骨の内側がすり減り、O脚になっている (C)関節の軟骨の外側がすり減り、X脚になっている 正常な膝は、(A)の図のように、脚の骨がまっすぐになっているが、(B)のように、膝をまっすぐ伸ばして直立したときに両膝の間に隙間ができてしまうのがO脚である。また、(C)のように膝が内側に入り、膝下と太ももが外側に湾曲した状態をX脚と呼ぶが、日本人にはほとんどいないといわれている。 人間は生まれたときには自然にO脚となっている。3~4歳頃になると次第にX脚となり、その後成長するにしたがってまっすぐになっていく。しかし、乳幼児期に早く歩かせようとすると膝の内側の骨の発育が鈍り、O脚になったまま成長してしまう例も多い。3~4歳になってもO脚のままの場合は、整形外科で治療をし、悪化する前に改善しておこう。7歳以上になると、手術をしなければ治らない場合もある。 扁平足や外反母趾もO脚・膝のゆがみにつながりやすい 扁平足はこうして起こる 足裏には前後、左右の方向に立体的なアーチがつくられている。このアーチがあることで体重が支えられ、地面を蹴ったり着地するときに、衝撃を和らげることができる。長時間歩いたあとには、足の骨と骨を結ぶ靭帯が伸び、誰でも扁平足気味になるが、安静にしていれば回復する。 しかし、合わない靴を長い期間履いていたり、立ち仕事を続けているとこの靭帯が伸びて戻らなくなってしまい、足裏のアーチが消えて扁平足となり、かかとをまっすぐに支えられなくなる。その結果、次第にかかとの骨が外向きにずれてしまい、O脚を引き起こしやすくなってしまう。 特に、太っている人は靭帯に与える力も大きいため、より扁平足になりやすい傾向がある。また、生まれつき足首からかかとにかけて骨が外側に脱臼している人や、かかとの骨を骨折した人も扁平足になってしまうこともある。 外反母趾・ハンマートゥはこうして起こる 足先のとがったハイヒールなどを履くことで、足の親指のつけ根が外側に曲がってしまう外反母趾。親指の関節が炎症を起こしてしまうため、ひどくなると歩くたびに痛みを感じる。 外反母趾は足裏の筋力が弱って、足の5本の指のつけ根を横に結んでいる靭帯が伸び、親指のつけ根が外側に張り出してしまった状態。痛みを避けるために、外側に重心をおいて歩くようになり、O脚・膝のゆがみを引き起こしやすくなる。 また、同じくハイヒールなどの影響で足の指先が直角に曲がってしまうハンマートゥも膝のゆがみにつながる。この状態のままでいると、足指のつけ根とかかとに負担がかかり、地面に足をついたときの衝撃をこの部分だけで受けることになる。その結果、膝にも大きな衝撃が伝わり、膝がゆがみやすくなってしまうのだ。 O脚や膝のゆがみを放っておくと「変形膝関節症」になることも 膝の関節の軟骨がすり減って、関節が変形することを「変形膝関節症」という。この軟骨がすり減ると、関節が変形し、膝の関節に炎症が起こって痛みを感じる。 変形膝関節症の前期・初期 レントゲンで見ても変化が見られないが、関節軟骨の表面に小さな傷ができている状態が前期。さらに進行し、レントゲンで関節の骨と骨の隙間が狭くなっていることを確認できるころを初期と言う。この時期には、激しい痛みを感じることはほとんどないため、病気の進行に気づかない人が多い。 主な症状 ●前期では、起きたときや歩き始めたときに、膝が重く、鈍痛を感じることがあるが、しばらくすると消える。 ●初期には、正座や階段の昇り降り、しゃがむ姿勢をするときなどでも、前期と同様な違和感や鈍い痛みを感じるようになる。痛みは日を重ねるうちにだんだん強くなり、長引くようになる。 ●膝をまっすぐに伸ばしきれない、完全に曲げきれない症状が起こる。 ●関節の組織や太ももの筋肉の柔軟性がなくなり、可動域が狭くなる。その結果、歩幅が狭くなり、膝を曲げて歩くことが多くなる。 この段階では、痛みを感じても湿布を貼ったり、安静にすることにより、数日で回復する。また、筋力トレーニングなどの運動療法を行うことで、進行を食い止めることができる。 変形膝関節症の中期 中期このころになると、膝の軟骨が磨耗してしまう。そのため膝に痛みを感じ、熱をもったり、腫れたりする。また、もともとまっすぐな膝の人でも、この段階では内側の軟骨がすり減ってO脚に変形してしまう。 主な症状 ●初期のときに感じていた痛みは強くなり、正座やしゃがむ動作ができなくなる。階段の昇り降りのときはさらに痛みが激しく、特に降りるときのほうが痛みが強い。 ●膝が炎症を起こし、特に膝の内側から前側にかけて熱や腫れを感じる。関節液の分泌が促進されて膝に水がたまると、膝が重く、だるく感じられる。 ●関節を包む「関節包」が引っ張られて痛みを感じるため、膝をまっすぐに伸ばすことができなくなる。 ●軟骨が磨耗しているため摩擦が大きくなり、膝を動かしたときにガリガリ、ギシギシと音がする。 中期には、膝の痛みを訴えて受診する人が多くなる。日常生活の動作も苦痛になるほど痛みが強くなることがあるが、運動療法によって改善していく。 変形膝関節症の末期 さらに症状が進むと、軟骨がほとんどなくなるまですり減ってしまい、骨と骨が接するようになる。こうなると、負担を少なくするために大腿骨と軟骨にトゲや土手のようなものがつくられて変形してしまう。日常の動作をすることも困難になり、次第に外出するのがおっくうになる。 主な症状 ●膝が完全に変形してしまい、歩くだけで膝が痛むようになる。スポーツや旅行などに限らず、買い物や散歩などの日常生活の動きも苦痛になる。 ●しだいに家に引きこもりがちになり、気持ちがふさぎ、なかにはうつ状態になる人も。 ●運動が制限されることやうつ状態が長く続くことで、認知症につながることもある。 公開日:2003年4月14日
デザインや価格で選んでしまいがちな靴。でも、本当に履きやすい、自分の足に合ったものを選びたいものですね。靴を選ぶときのポイントをご紹介します。 目次 靴を買う時は、このサイズをはかろう 足に合わない靴はパッドで調整 家に帰ったら足の体操で、外反母趾や変形の予防 靴を買う時は、このサイズをはかろう デザインや価格で選んでしまいがちな靴。でも、本当に履きやすい、自分の足に合ったものを選びたいものだ。そのためのポイントを挙げてみた。 靴選びのポイント ●足は縦幅(足の長さ)と横幅(足の回り)をはかる。縦幅は靴のサイズ、横幅はE、EEなどのアルファベットで表されるサイズのこと。日本と外国では、同じ表示でも大きさが違うことがあるので要注意。 ●履いた時、つま先にゆとりがある。ただし、大きすぎるものは歩くとかかとが脱げてしまい、足の先に力が入りすぎて親指の爪が皮膚に入り込んでしまうこともあるので、大きすぎないようにすること。 ●靴底に適当なクッションがあること ●土踏まずのくぼみが合っていること 靴屋に行く前に、素足を紙の上にのせて型をとり、それを切り取って靴に入れてみてフィットするものを選ぶ、という手もある。 「そこまでするのは、ちょっと恥ずかしい…」という方は、靴の専門店や大きな百貨店の靴売り場には「シューフィッター」という靴選びの専門家がいるはずなので、相談してみよう。 足に合わない靴はパッドで調整 せっかく気に入って買ったのに、足に合わなくなってしまった靴はない? 魚の目やタコなどができたり、外反母趾になったりするのは靴が合っていない証拠だ。かといって、買い直すのももったいない…、というときには中敷やパッドを使って調整しよう。 靴の履き心地をアップさせるだけでなく、靴の欠陥部分を改良し、足の痛みや魚の目、タコなどの病変部を減圧することができるのだ。 パッドにはかなり種類があり、間違ったものを選ぶと足や体の部位を痛める原因になるので、医師やシューフィッターなどの専門家に相談すること。 家に帰ったら足の体操で、外反母趾や変形の予防 軽度の外反母趾の痛みを和らげたり、足の変形を予防するために、家に帰ったら足の体操をしよう。 もちろん、入浴後のリラックスした時でもOK。自分で足の指がほぐれたと感じるまでやってみよう。 ●足の指でものをつかむ タオルやハンカチなどの柔らかいものを足の指でつかみ、拾っては離す。これを左右繰り返す。 ●足ジャンケン ぎゅっと握ってグー、親指と人差し指を開いてチョキ、全部の指を開いてパー。この足ジャンケンを最初はゆっくり、慣れてきたらパッパッとリズミカルに繰り返そう。 ●つま先立ちやかかと立ち まっすぐに立ち、まずつま先立ちをする。足の指の腹で立つようにすると、指がぐっと曲がる。次に、つま先を上げてかかとで立つ。ふらつくようなら壁や椅子につかまって行うこと。足の筋を鍛えれば、健康促進になる。 公開日:2002年1月21日
足の裏や甲にはツボが集まっています。体の悪い部分に対応する反射区をよくもむとその痛みを和らげたり、楽になることがあります。自分がいちばん気持ちがいいと感じる方法でもんでみては?足もみテクニックをご紹介します。 目次 ツボってなに? 足裏の「反射区」にヒミツあり 足もみテクニック この症状ならここを押す!足もみポイント ツボってなに? ツボマッサージや足もみは、誰にでも大人気。東洋医学は、現代医学を追求している大学病院などでも、ツボ療法を科学的に解明しようとする動きがあるほどだ。 その東洋医学では、「気血」というエネルギーが足の先から頭のてっぺんまで人体を縦横に通っており、この道筋を「経絡(けいらく)」と呼んでいる。さらに、その経絡に点在している、エネルギーの流れが集まりやすいところを「ツボ」と呼んでいるのだ。 気血が体内をスムーズに循環していれば健康だが、この流れが滞ってバランスが崩れると病気になると考えられている。ちょうど足の先は気血の折り返し地点。流れがたまり、悪くなりやすい部分なのだ。 足裏の「反射区」にヒミツあり 足の裏をぎゅーっと押すと、「痛いけど、気持ちがいい」と感じることはないだろうか。 足の裏や甲にはツボが集まっている。ちょうど反射区(反射帯ともいう)と呼ばれる、人体と対応した部分があり、足裏や甲を押してみて痛いところは、対応する体の部分が悪いということなのだ。 逆に、肩がこる、お腹が痛い、などの体のトラブルがあるなら、それに対応するツボを押すことで、痛みを和らげて改善する、速効性がある。 足もみテクニック さて、足マッサージにはテクニックがある。いずれも、自分がいちばん気持ちがいい、と感じる方法で構わないのだが、ここではそのやり方を紹介しよう。 「もむ」「押す」に「ねじる」「たたく」「こする」なども 足マッサージといえば、足裏を押す、もむ、などが多いが、それに加えて足指を「ねじる」、足裏全体を「たたく」、「こする」、なども気持ちが良くて効果的。 ●「ねじる」場合は、足指をつまんで左右にねじってみる。あまり強くし過ぎると、爪や指の骨など傷めてしまうので、注意。ねじりついでに足指を「回す」のもいい。 ●「たたく」場合は、空手チョップのように手の側面を使ってたたく。または、手のひらをお碗をつくるように少し曲げ、空気を入れるようにしてポンポンと足裏をたたく方法もある。 ●「こする」場合は、足裏のかかとから足先に向けて手の親指で30回程度こすってみよう。 指の使い方 ●指圧のように、親指のはらでグーっと押す。皮膚が柔らかい部分に有効。もっと強く押したい場合には、両手の親指を重ねて押すといい。 ●こぶしを握り、人差し指か中指の第二関節を突き出して押す。ピンポイントで押せるので、皮膚が固い部分に有効。 ●親指の関節を90度にしっかり曲げて押す方法。強い刺激を加えたい時にいい。 足もみの注意点 ●手指の爪は短く切っておく。 ●足はきれいにし、できれば温めておくこと。 ●手指に力が入らず、押しにくい場合には、刺激棒を用意しておくと便利。刺激棒は、ボールペンなどで代用してもいい。 ●体調の悪い時にはやらない。 ●食後すぐは避ける。できれば、寝る1~2時間前のゆったりしたときが理想的。 この症状ならここを押す!足もみポイント 足裏にある反射区は、それぞれ人体と対応している。体の悪い部分に対応する反射区をよくもむとその痛みを和らげたり、楽になることがある。イラストを参考に、もんでみてはいかが? この症状ならここをもむ! 症状 もむ場所※イラストの部分を押してください 腰痛副腎、腎臓、尿管、膀胱 目の疲れ目、肩、腎臓、肝臓、膀胱 頭痛頭部、側頭、肩、目 イライラ脳下垂体、甲状腺 不眠症頭部、肝臓(右足のみ)、腎臓、生殖器 肉体疲労首、甲状腺、肝臓(右足のみ)、腎臓 めまい、たちくらみ副鼻腔、頭部、甲状腺、すい臓、副腎 胃痛頭部、側頭、肝臓、胃、十二指腸、腎臓、脾臓 便秘胃、直腸、下行結腸、横行結腸 生理不順首、生殖器、子宮、輪卵管 風邪副鼻腔、甲状腺、肺、副腎、気管 公開日:2001年10月29日
長い間立ち仕事をしていると靴がきつくなることがあると思います。体内でうまく水分が循環されず、足に水分がたまってしまうため、むくんでしまうのです。むくみ解消法をご紹介します。 目次 足のむくみの原因は水分!? むくみを解消!三大原則 それでも足がだるい時は? 足のむくみの原因は水分!? 長い間立ち仕事をしていると靴がきつくなる場合があります。これは、体内でうまく水分が循環されず、足に水分がたまってしまうため。その結果、足が太く見える原因になります。 むくみを解消!三大原則 簡単にできる、むくみ解消法をご紹介しましょう。 こまめに体を動かす(歩く) 基本は体を動かすことです。デスクワークなど、じっとすることが多い人は汗もかきにくく、不要な水分が溜まりやすくなります。会社に行く時や家に帰る時、いつもより少し遠回りして歩いてみることをおすすめします。 足をまわす お風呂に入ったら、湯船のなかで右足をできるだけまっすぐのばし、足首を左右10回ずつまわします。このとき左ひざをたて、両手で右足を支えながら行うとよいでしょう。左も同様に行います。 お風呂上がりのマッサージ お風呂で温まった足を、つま先からふくらはぎのほうへなであげます。ぜひ毎日やりましょう。 それでも足がだるい時は? 足湯や温湿布もむくみが取れてスッキリします。ぜひお試しください。 足湯 43度くらいのちょっと熱めのお湯をバケツに入れ、服を着たままで椅子などに座って足をつけ、指を動かしてみたり、足首をまわしたりします。お湯がぬるくなってきたら、熱めの湯を足しましょう。 温湿布 温めることで細胞が活性化され、毛細血管が拡張し、血液の循環が良くなります。これでだるさがかなり取れるはずです。ただし、かぶれることもあるので、肌が弱い方は要注意です。ちょっとほてりがある場合などは、冷湿布もかなり気持ちいいですよ。
背中や腰が痛い、だるい、肩がこりやすい、頭痛がするなど、日常生活の中で何となく感じる不調。これらの原因は、実はあなたの姿勢にあるのかもしれません。 目次 2本足で立てる歩ける、人間の「姿勢」の仕組み 直立姿勢を支える体の仕組み 現代生活が人の姿勢を退化させる!? 2本足で立てる歩ける、人間の「姿勢」の仕組み 人間の頭脳が、ほかの動物と比べ格段に進化をとげたのは、2本足で立ち上がる「姿勢」をまず手に入れたため、というのが定説です。この進化が脳の発達を促し、現在の生活を築くモトとなりました。 ところが、2本足で直立する姿勢は、地球の重力に対してかなり無理がある状態だといいます。それを何とか支えるために、背骨、骨盤、それを支える筋肉、足部の骨や筋肉などが発達してきました。 直立姿勢を支える体の仕組み 背骨 上半身を支える核となる部分です。専門用語では、「脊椎」または「脊柱」と呼びます。約26個の骨(堆骨:ついこつ)と椎間板という弾力性のある組織が交互に並んでいます。上半身を前後左右に曲げられるのは椎間板がゴムのようなはたらきをするためです。 堆骨や椎間板は中が空洞になっていて、このトンネル中に脳からの指令を体に伝える中枢神経(脊髄)が走っています。 脊椎は、首から胸のあたり(頚椎:けいつい)が前に出っ張り(前彎:ぜんわん)、胸のあたり(胸椎:きょうつい) が後ろに出っ張り(後彎:こうわん)、腰のあたり(腰椎:ようつい)が再び前に出っ張っています(前彎)。横から見るとゆるやかなS字型のカーブを描いているのが自然な姿です。 靭帯、腹筋、背筋など 背骨の堆骨と椎間板は、それ自体は積み木のように重なっているだけなので、そのままでは簡単にバラバラになってしまいます。これをしっかりと留めるテープのはたらきをしているのが、靭帯(じんたい)や腹筋、背筋などの組織です。 腰 一般的に「腰」と呼んでいる部分は、脊椎の下部から骨盤にかけての部分です。上半身にかかる力を骨盤を介して両足に伝えています。また、歩行を始め、立ったり座ったり、物を持ち上げたりなどの運動の要となります。腰の部分も骨を支える臀部(でんぶ)や大腿部の筋肉などが体のバランスを安定させるために重要な役割を果たしています。 足部 言わずと知れた、2足歩行の要。大腿骨と脛(けい)の骨(頚骨)は、新生児のときは膝が外を向くO脚ですが、成長するにつれ、真っ直ぐな形になります。また、足の裏(底)の部分はゆるやかなアーチ状になっていて、歩くときの衝撃を吸収する役割をしています。 現代生活が人の姿勢を退化させる!? 2足歩行の姿勢が人間の頭脳を進化させ、その頭脳が現代の便利な生活をうみました。しかし、この生活はいまや人間の姿勢を支えるシステムに危機的な影響を与えようとしています。生活の便利さゆえに骨や筋肉が衰え、重力に対して無理のない直立姿勢(良い姿勢)がとれない人が増えてきたこと。デスクワークなど、不自然な姿勢を長時間とることによって起こる体のゆがみ…。 悪い姿勢が我々の体にどのような影響を与えるのか例をあげてみましょう。 悪い姿勢の例その1 字を書くとき、食事をするときなど背中を丸めた姿勢をとる、いわゆる猫背です。姿勢の悪い子の多くがこのタイプ。高さが合わないキッチンで仕事をする主婦にも多くみられます。 体が受ける影響(ゆがみ) 胸椎の後彎が極端になったり、本来前彎している腰椎が後彎気味になるなどのゆがみが生じます。また、資料を見ながら文字を書くなどの作業で、常に資料を体の同じ側に置いていると、胸椎や腰椎に横方向のゆがみも生じます。 ゆがみによる体の不調 腰痛や背中の痛み、肩こりのほか、脊髄に負担がかかると、心筋、肺、消化器官のトラブルをもたらすこともあります。歯の噛み合わせが悪くなったり、呼吸が胸式呼吸になり血流量が減少します。 悪い姿勢の例その2 パソコンに文字を打ち込むとき、顔を斜め下の方に向けている人が多いのですが、横からみると背中から腰にかけては真っ直ぐですが、首から上が下を向いている姿勢となります。 体が受ける影響(ゆがみ) 本来後彎している頚椎に前方への力がかかり、頚椎が平らな状態になってしまいます。 ゆがみによる体の不調 真上を見づらくなります。歯が浮くような感じになり、いつもポカンと口をあけています。脳の血管障害や、目の障害などをもたらす恐れもあります。
仕事から帰宅して靴を脱いだとたんに嫌なニオイ。宴会で、靴を脱いで座敷に上がるのがちょっと怖い。朝から晩まで靴をはいて仕事に励む会社員にとって、足のニオイは気になるものです。足のニオイを防ぐ方法を紹介します。 目次 ニオイの元となる雑菌を増やさないために 蒸れない靴、ここがポイント! 靴のニオイを防ぐためのちょっとしたケア ニオイの元となる雑菌を増やさないために 足の裏はエクリン腺という汗腺が密集しているため、とにかく汗っかきです。なんと両足で1日にコップ1杯分以上の汗をかくといいます。 この汗自体はほとんどニオイはありませんが、そのままにしておくと、皮膚の表面に住みついている雑菌が、皮脂や汚れ、汗に含まれる有機物を分解し、悪臭が発生します。 しかも靴や靴下で密閉された足は、まさに雑菌が大好きな高温多湿状態です。雑菌の活動はより活発になり、ますますニオイは発生しやすくなります。 靴の蒸れを防ぐ 通気性のいい靴をはく 靴の選び方は「蒸れない靴、ここがポイント!」をご覧ください。 吸湿性の高い靴下をはく ストッキングは綿の靴下などに比べて汗を吸いませんが、吸湿性の高いストッキングを選んだり、つま先ストッキングやインソールをプラスして使ったりするとよいでしょう。 オフィスではサンダルに履きかえる 通勤用の靴は休ませ、湿気を逃しましょう。 同じ靴を毎日はかず、2~3足をまわして使う こまめに足を洗う 手と違って1日に何度も洗ったりしない足は、とかく不潔になりがちです。外から帰ったら足だけでも洗うようにしましょう。タオルで拭いておくだけでもずいぶん違ってきます。 特に汚れがたまりがちな指の間などもしっかり洗うこと。殺菌効果のある薬用石けんがおすすめです。 脂っこい食事を控える 動物性たんぱく質や脂肪を多く含む肉や乳製品を食べると、脂質の分泌が増えてニオイの元をつくり出します。汗もかきやすくなります。 肉・牛乳・チーズなどは控えめにし、野菜や果物などのビタミン類を多く摂るようにしましょう。これは足に限ったことではありません。 足&靴の消臭製品を使いこなす フットスプレー 足用・靴用の消臭スプレーです。靴下やストッキングの上からでもスプレーできます。小さいものを携帯すると便利です。 フットパウダー お風呂あがりに使います。パウダーが汗を吸着します。 足用防臭ジェル 1日1~2回、足の指や裏にマッサージするようにすりこむように使います。 フットシート・五本指ソックス つま先に装着してから靴下をはくと、汗を吸収してくれます。 制汗シート サッと拭くだけでスッキリ爽快です。ストッキングの上からでも使えます。携帯に便利です。 靴用乾燥剤 脱いだ後、靴の中に入れておくだけです。何度も繰り返して使えるタイプもあります。 蒸れない靴、ここがポイント! 蒸れない靴とは、足にぴったりフィットした靴です。というのも、歩くときには足と靴の形にズレが生じ、わずかな隙間ができます。この隙間から、靴の中の蒸れた空気と外の新鮮な空気がすばやく入れ替わるのですが、足に合った靴ほどこの換気がよく行なわれるのです。 ●甲が圧迫されない 甲を締めつけすぎると、血行が妨げられ足は疲労し、汗がよけいに出ます。 ●つま先に適度なゆとりがある 歩くとき足は靴の中で前後にずれるため、つま先には10~15mmの余裕が必要となります。きゅうくつだと換気がうまく行なわれません。 ●カットが浅め カットが深いものは通気性が悪く、靴の中が高温多湿になりやすいようです。 ●かかとのカーブがフィットしている きついとアキレス腱を圧迫して足を傷つけ、ゆるいとスポスポ抜けて歩きにくくなります。歩きにくいと汗をかきやすいので、適度にフィットするものを選びましょう。 ●靴底に弾力がある 弾力がないと、歩いた時に摩擦熱が出て靴の中の温度が上がります。足の動きに合わせて曲がったり元に戻ったりするような弾力性が必要です。 ●通気性のよい素材 吸収した汗をうまく発散させる天然皮革がベストです。最近は人工皮革でも通気性のよいものが出ています。逆にアウトドアシューズのような防水性の高いものは、通気性が悪いことが多いようです。 靴のニオイを防ぐためのちょっとしたケア いくら蒸れない靴を選んでも、毎日履きつづけていたのでは中が乾くヒマもありません。靴の選び方と同様、はいた後のケアにも気を配り、ニオイを防ぎましょう。 ●はいた次の日は「陰干しの日」 靴の水分は一晩では完全に逃げません。1日はいたら次の日は風通しのいい場所で陰干しして、靴の中の湿気を逃がすようにしましょう。間違っても脱いですぐ下駄箱に入れないように。 ●除湿剤で下駄箱や靴の中の湿気をとる 下駄箱や靴の中にたまった湿気は、ニオイの原因になります。除湿剤を入れたり新聞紙を敷いたりして、湿気がたまらないようにしましょう。お菓子の袋に入っている脱臭剤を使ってもよいでしょう。 ●靴の内側を消毒して雑菌をとる アルコール入りのウエットティッシュで靴の内側を拭いて、ニオイのもとになる雑菌をとりましょう。そのあとベビーパウダーをひとふりしてニオイをパウダーに移らせ、最後に固く絞ったタオルで拭き取れば完璧です。