酒好きのぽっこりおなかはビールの飲みすぎ?いえ俗に言う「ビール腹(正式には内臓脂肪性肥満と言います)」はお酒を飲まない人にも見られます。居酒屋の美味しいおつまみにはビール腹の原因になるメニューも!?アウトなおつまみ、セーフなおつまみを紹介します。 目次 気がついたら、みごとなビール腹!それはメタボの危険信号 ビールどころかお酒をまったく飲まない人でもビール腹に! そのおつまみはアウト!ビール腹が気になる人のセーフなおつまみは? 1杯目は大好きなビールで乾杯!2杯目からは焼酎やハイボールで 居酒屋の飲み物、グラス1杯あたりのカロリー・糖質を比べると… 気がついたら、みごとなビール腹!それはメタボの危険信号 中年の男性に多い、ぽっこりと突き出たおなか。ビール腹と呼ばれるこの体型は、どこかコミカルで憎めない印象を与えますが、健康のことを考えると笑ってすませられる話ではありません。ビール腹とはあくまで俗称で、その実態は腸のまわりに脂肪がたまった内臓脂肪型肥満だと考えられます。内臓脂肪型肥満は、腰回りが大きいことから「リンゴ型肥満」、男性に多いことから「男性型肥満」などと呼ばれますが、お腹が出ていても体格指数BMIが肥満の基準である25以上を満たさない場合があることから「隠れ肥満」とも呼ばれます。BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求めることができます。 今すぐ自分のBMIを知りたい方はこちら メタボ(メタボリックシンドローム)の基準となるウエストまわりのサイズは「男性85cm以上、女性90cm以上」です。すでにビール腹が気になっている方はメタボになる前に、まだ大丈夫という方も今後の予防として、早めに手を打つ必要があります。 ビールどころかお酒をまったく飲まない人でもビール腹に! 対策を立てる前に、なぜビール腹になるのかをまずは把握しておきましょう。ビール腹はビールの飲みすぎよりも、おつまみの食べすぎや種類のほうが大きな要因だと考えられています。つまり、必ずしもビールを飲む人だけがビール腹になるのではなく、ビールどころかお酒をまったく飲まなくてもビール腹になってしまうのです。ビール腹という言葉は、一般的にはビールの飲みすぎで太ったと思われる体型を指しますが、一説によれば、おなかを横から見たときの形がビールを貯蔵するビール樽に似ていることから名づけられたとか。 避けたほうが良いおつまみを知って、食べすぎに気をつけながらお酒を楽しみましょう。 そのおつまみはアウト!ビール腹が気になる人のセーフなおつまみは? アウトなおつまみ セーフなおつまみ ・唐揚げ、フライドポテト高カロリーで油っぽく、食べすぎると肥満へ一直線。 ・ポテトサラダじゃがいもは野菜ではありますが、糖質の多い炭水化物に分類されるので、避けるのが正解。 ・焼き鳥(タレ)甘い味付けのタレは糖質が多め。 ・お茶漬け、おにぎりお茶碗1杯のごはんの糖質量は、グラスビール約9杯分。もちろん、シメのラーメンも太るもと。おつまみでもシメでも、炭水化物は避けたほうが良いでしょう。 ・刺身、枝豆、冷奴、冷やしトマト定番のおつまみでは、揚げ物よりこちらがおすすめ。 ・水菜サラダ、大根サラダ糖質の少ない野菜なら、いくら食べても大丈夫。 ・焼き鳥(塩)焼き鳥を食べるなら、糖質の少ない塩で。 ・炭水化物以外野菜や海藻類、ナッツ類のほか、あまり油を使わず調理している魚・肉・大豆製品などの、たんぱく質を中心とした料理でお腹を満たしましょう。 1杯目は大好きなビールで乾杯!2杯目からは焼酎やハイボールで おつまみの食べすぎや種類がビール腹の主な原因ではありますが、飲み物選びで糖質の摂取量を減らすのも、ビール腹対策としては有効です。ビールがやめられない方は最初の1杯はビールを飲み、2杯目からは蒸留酒の焼酎や、ウイスキーを使ったハイボールなどに変えると良いでしょう。ただし、いろいろな種類のお酒を飲む「ちゃんぽん」は味が変わることで飲みすぎてしまう恐れがあるので、注意が必要です。 ビールを避けるためにジュースを飲むと、お酒の飲みすぎは防げても、より多くのカロリーや糖質を摂ってしまう恐れがあります。ノンアルコール飲料なら、ウーロン茶を選ぶのが賢い選択だと言えます。 居酒屋のグラス1杯あたりの飲み物を比べると… 飲み物 [量] エネルギー 糖質 ビール [200ml]80kcal6.2g 焼酎(ロック) [60ml]88kcal0g 日本酒(上撰) [100ml]109kcal4.9g 赤ワイン [100ml]73kcal1.5g 梅酒(ロック) [60ml]94kcal12.4g コーラ [200ml]92kcal22.8g りんごジュース(果汁100%) [200ml]88kcal23.6g ウーロン茶 [200ml]0kcal0.2g 出典:文部科学省ホームページ 食品成分データベース 食事の工夫と定期的な運動を組み合わせれば、ビール腹対策としてさらに効果的です。ここまでご紹介してきた居酒屋の注文テクニックは、どれも簡単なものばかり。次の飲み会から、さっそく試してみましょう。 公開日:2016/01/04
正月の定番料理に欠かせない「みりん」。実は、室町時代末期から江戸時代には栄養ドリンクとして飲まれていたほど、栄養豊富な発酵食品なのです。甘味とおいしさを増すだけではないみりんの効果に注目! 目次 正月料理の陰の主役「みりん」 昔は栄養ドリンクまたは酒として珍重された 本みりんとみりん風調味料の違いは? みりんの原料は「米麹」 正月料理の陰の主役「みりん」 お屠蘇に、煮しめ、田作り(ゴマメ)、数の子…。まもなくやって来るお正月の定番料理に欠かせない「みりん」。洋食、中華にエスニックと、国際色豊かになった現代の食卓では目立たない存在ですが、以前は和食には必要不可欠と言ってもよい調味料でした。 おせちや煮物など なぜなら、冷蔵庫などない時代、アルコール分を含んだみりんは料理の保存料としての役割を持っていたからです。日持ちすることが前提のおせち料理に使われているのも、そうした理由からとなります。 また、みりん独特の甘味と旨み、香りは、魚料理の臭み消し、煮物の照りやツヤ出しに適しています。原料の米に含まれているさまざまな成分が酵素で分解されているため、アミノ酸を含む醤油と組み合せることによって、旨みとコク、ツヤ、香りが料理を引きたてるのです。 昔は栄養ドリンクまたは酒として珍重された みりんが誕生したのは、焼酎が日本に伝わった室町時代末期から江戸時代にかけて。甘い酒が好まれた江戸時代は高級酒として珍重されました。また高級甘味料としても用いられていたようです。この時代、砂糖を入手することは難しく、甘味は不足しがちなものでした。 ところで、俳句では、甘酒が夏の季語とされているのをご存知ですか?かつて、甘酒は夏場の滋養強壮として飲まれていました。そして、みりんも甘酒と同様、スタミナ切れになりやすい夏場の滋養強壮のために、冷用酒として飲まれていたようです。 本みりんとみりん風調味料の違いは? 現在では、みりんを飲用にする習慣はほとんど残っていません。第2次世界大戦後の物不足以降、米麹、もち米を焼酎で仕込む昔ながらの製法がすたれていき、飲用に適したみりんがあまり流通しなくなってしまったからです。 戦後は限られた米でたくさんのみりんを作ろうと、醸造用アルコール、水あめなどを添加したものが「本みりん」として売られました。そして、昭和40年代以降に増えたスーパーマーケットでは、酒類の取扱いができなかったため、でんぷんや水あめなどを混ぜて作るみりん風調味料が誕生したのです。 本みりんとみりん風調味料の違い 種類 アルコール度数 作り方 伝統的な本みりん 約14% 本格焼酎に蒸したもち米、米麹を加え、約40~60日熟成させる。その後、袋に入れてろ過し、タンクに入れて貯蔵します。現在ではほとんど作られていません。 一般的な本みりん 約14% 蒸したもち米と米麹に、アルコールと水あめ、添加物などを加えて味を調整します。40日ぐらいの短期間でできあがります。 みりん風調味料 1%未満 でんぷん、水あめ、化学調味料などを合成して数日ぐらいで作ります。みりんの類似物として、成分をみりんに近づけたものです。 みりんの原料は「米麹」 もともと酒の一種だったみりんは、日本酒や醤油、みそなどと同じく、発酵食品である「麹」を使ったものです。 みりんの原料は米麹 みりんの原料である米麹は、米のたんぱく質はアミノ酸に、でんぷんはブドウ糖や麦芽糖といった吸収されやすい形に分解されています。また、麹菌が米の表面で繁殖するときには、ビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群を大量に生成します。江戸時代の人々が栄養ドリンクとして飲んだのも、なるほどとうなずける栄養豊富な食品なのです。 ほとんどの家庭で常備している「みりん」ですが、みりんほど知られていない調味料もないでしょう。上質なみりんを使えば、健康によいだけでなく、いつものおかずが一段と上品に、料理の腕前を家族から見直されるかもしれません。数は少ないのですが、現在でも飲用のみりんが売られているので、興味のある方はぜひお試しを。 公開日:2003年12月22日
お酒と肝臓は深い関係があります。アルコールを分解するのは肝臓であり、肝臓にあるアルコール分解酵素が多いか少ないかでお酒に強いか弱いかが決まります。ただ、お酒を飲み過ぎると肝臓に脂肪がベッタリついた脂肪肝になり、肝硬変や肝炎に進展する恐れがあるので要注意です。 目次 アルコールを分解するのは肝臓? お酒が脂肪肝をつくる 飲酒習慣の見なおしを! 肝臓のための食事は?食事での注意点 アルコールを分解するのは肝臓? ご存知の通り、お酒を飲むとその成分エチルアルコールは肝臓に運ばれます。そこで、アルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドと水素に分解され、さらにアセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素によって酢酸と水素に分解され、最終的に炭酸ガスと水になって体外に排出されます。 このアセトアルデヒドという物質が血液中に増えると悪酔いの状態になります。つまり、お酒に強いかどうかはアセトアルデヒドを分解する酵素をたくさんもっているかどうかによって決まるのです。 本来、人がこの分解酵素をたくさんもっているかどうかは遺伝的に決まっており、鍛えたからといってお酒に強くなるわけではありません。 そこを無理して飲みつづけていれば、当然アルコールを分解する肝臓に負担がかかってくるのです。 お酒が脂肪肝をつくる アルコールが原因で起こる肝疾患は、脂肪肝やアルコール性肝繊維症、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変など。なかでも、脂肪肝は肝臓に脂肪がたくさん溜まった状態です。 お酒の飲み過ぎだけが脂肪肝をつくるのか、というとそうではありません。お酒と同時にカロリーの高いものを摂取したり、糖分や脂肪分のあるものをたくさん食べても、皮下脂肪と同じように脂肪肝になってしまいます。 またカロリーオーバーや運動不足も肝臓に脂肪を蓄積してしまう大きな原因です。 脂肪肝自体は、比較的良性の病気なのだが、脂肪肝が起こるような体の状態は心臓や血管系の病気、心筋梗塞、動脈硬化などを引き起こす原因になるため、要注意です。 なぜアルコールが脂肪肝の原因に? アルコールを摂取すると、肝臓で中性脂肪が合成されます。中性脂肪合成のピークは、アルコールを飲んで12時間後。合成された中性脂肪は肝臓から体の各部の末しょう組織へ運ばれますが、肝臓から運び去られるまでには、さらにその後12時間かかります。 毎日毎日アルコールを摂取していると、次々に新たな中性脂肪が合成されることになり、肝臓の中性脂肪処理能力を超えてしまうため、脂肪肝になってしまうのです。 これはアルコールだけでなく、糖分や脂肪分など中性脂肪の原因になる食べ物を食べ過ぎても同じことが言えます。 飲酒習慣の見なおしを! お酒はたばこと違って、適量を守って飲めば百薬の長にもなると言われています。でも、どのくらいが「適量」なのかと言うと、アルコールの分解能力は人によって千差万別なので、一概に何杯ならOK、とは言えません。しかし、アルコールを毎日135g(日本酒にして5合)以上飲み続けた大酒家は、10年で5人に1人、15年で過半数が肝硬変になると言われています。 一般的に日本酒を1日3合以上、5年以上飲んでいる場合を常習飲酒家と言い、1日5合以上、10年以上飲んでいる場合を大酒家と言います。常習飲酒家や、さらに大酒家は肝障害が出やすくなることを考えると、1日2合以下程度、2~3日飲んだら1日休む、くらいのペースが適量なのではないでしょうか。 日本酒3合ってどのくらい?~同量のアルコールは? 日本酒3合=ビール大びん3本=ウイスキーダブル3杯=焼酎2合=グラスワイン6杯 このアルコール量を覚えておいて、ほかのアルコールを飲む場合でも、1日の飲酒量がこの量を超えないように心がけましょう。 お酒の適量はどのくらい?適正飲酒量チェック 肝臓のための食事は?食事での注意点 お酒は適量を守り、良質なたんぱく質を摂ること以外にも肝臓のために食事で気をつけたほうがいいことがあります。食事するときに意識してみましょう。 ●ビタミン・ミネラルを摂ること 通常、肝臓は余分なビタミンを貯蔵したり、体に合わせて作り変えたりしています。肝臓病になると、このはたらきが鈍るため、健康な人の2~3倍はビタミンを摂る必要があります。特に、ビタミンEやビタミンB群は肝臓を守ってくれるため、たくさん摂取しましょう。 ●エネルギーを摂り過ぎない 過剰なエネルギー摂取は、肥満につながり脂肪肝のもと。1日の運動量や性別・年齢に合わせたカロリー摂取を心がけてください。目安は2,000kcal前後です。 ●糖分を摂り過ぎない アルコールだけでなく、糖分の摂り過ぎも脂肪肝のもとです。肥満にもつながり、ほかの生活習慣病も合併する可能性が高いので、甘いものを食べるのも控えましょう。 ●規則正しい食事を 今さら言うまでもないが、1日3度の食事をきちんと摂ることです。いくら1日の総カロリーをオーバーしていないからと言って、朝食を抜いて夕食をたくさん食べるというのではダメ。規則正しい食事が強い肝臓をつくる基本です。 公開日:2002年7月8日
キンキンに冷えたビールが好きという人も多いようですが、冷やして飲むのはほどほどに。ビールが美味しく飲める適温、注ぎ方、そして美味しいビールを飲むポイントをご紹介します。 目次 冷やして飲むにもほどがある!? 美味しくなる注ぎ方のポイント ビールグラスにも気配りを ビールは鮮度が命です 冷やして飲むにもほどがある!? キンキンに冷えたビールが大好き、という人も少なくありません。しかし、ビールは冷えていればいいというものではなく、ちょうどいい温度があります。「どうしても、凍りそうなほど冷えたのがいい!」という人はもちろんお好みの温度でいいのですが、念のため、美味しく飲める温度はこのくらいです。 ビールはこのくらいの温度に冷やして! 夏季5~8℃ 冬季8~10℃ 冷え過ぎのビールは… ●苦味やうまみなどを感じにくくなります ●泡立ちが悪く、見た目にも美味しそうではありません 美味しくなる注ぎ方のポイント 注ぎ方によって、ビールの美味しさは違ってきます。そこで誰にでも美味しく注げるポイントを挙げてみましょう。 美味しくなる注ぎ方 ●注がれるグラスは手に持たず、テーブルに置いたまま。グラスを傾けない方が、泡立ちがよくなります。 ●泡は全体の20~30%になるように注ぐのが、見た目にも味としても美味しくなるようです。 ●最初は勢いよくグラスに注ぎ、泡が適度に立ったら、ビールを注ぐのをやめます。それから、グラスの縁に沿ってあまり泡立たないように注ぎ入れていきます。最初の泡が、持ち上げられていく感じです。 ●注ぎ足しは絶対しないこと。必ずグラスをカラにしてから注ぐこと。 ●一般に、缶ビールのほうが瓶ビールより泡立ちやすいので、缶ビールのときは、そっと注ぐようにしたほうがいいでしょう。 ビールグラスにも気配りを 本当に美味しいビールを飲みたいのなら、グラスにも気を使いたいものです。 ビールグラスを選ぶポイント ●底が丸くて、縦長のグラス ●5口程度で飲みきれるほどの大きさ ●ピルスナーグラス、ウィスキーグラス、変形グラスは避けます ●あまり重たすぎないもの 底が平たいと、最初に注がれたビールが底にあたって衝撃を受け、グラスの中で踊ってしまいます。丸いとくるりと回転するようにビールが注がれるため、ほかとの衝撃が少なくなるのです。 また、ピルスナーグラスは、ホップをふんだんに使ったドイツやチェコのビールなど香りを楽しむときにはいいのですが、日本のビールはホップをおさえる傾向にあるため、日本のビールを飲むときには適していません。 ビールは鮮度が命です 美味しいビールを飲むポイントはやっぱり鮮度。いくら「賞味期限以内だから」といっても、時間が経てば経つほど味は落ちます。ビール工場でできたてのビールを飲んでみると、その違いにびっくりするほどです。 鮮度を保つためのポイント ●家庭用ビールはコマメに購入します ●よく売れている酒屋さんなどで買います ●家庭で保存するときは、冷暗場所で。ビールは日光によってホップが変色してしまい、美味しくなくなります。だいたい、10~25℃程度のところで保管すること ちなみに、賞味期限が切れたビールはすぐにダメ、ということはありませんが、風味や成分などが変わってくる恐れがあるため、早めに飲んだ方がいいでしょう。ビールは鮮度が命なのです。 公開日:2001年7月23日
「ビールを飲むと太る」とよく言われますが、実は、ビールなどのアルコールのカロリーは「エンプティカロリー」と呼ばれ、体に蓄積されるのは、原料の分だけだと言われています。でも、実際太る人がいるのはなぜでしょうか。それは、おつまみに原因があるようです。 目次 「ビールを飲むと太る」のはホント? おすすめのおつまみ、注意するおつまみ ビールの後にラーメンはつき物!? 「ビールを飲むと太る」のはホント? よく中年の男性が言われる「ビール腹」。これは、本当にビールの飲み過ぎが原因なのでしょうか? 実は、ビールなどのアルコールのカロリーは「エンプティカロリー」と呼ばれ、熱として放出する以外役に立たないエネルギーです。つまり、体に蓄積されるのは、原料の分だけと言われています。 でも、実際ビールをよく飲んでいると太ってくることがあります。その原因は、おつまみにあると言われています。ビールの苦味成分によって食欲を増進させられ、ついついから揚げや焼き鳥、フライドポテトなどに手を伸ばしてしまいます。これらが太る原因だったのです。 事実、アルコールだけしか口にしないようなアルコール中毒の場合、痩せてきた、ということもあるほどです。 アルコールのエネルギーはどのくらい? エネルギー 体に蓄積されるエネルギー ビール(633ml)246kcal89kcal 日本酒(1合)198kcal42kcal ワイングラス1杯(100ml)75kcal11kcal 蒸留酒(ウィスキーダブル)189kcal0kcal おすすめのおつまみ、注意するおつまみ ついつい食べてしまうおつまみ。ビールには塩分がほとんど含まれず、水分やカリウムが多くて尿として排出するため、体がナトリウム不足になります。その結果、塩味のきいた食べ物が恋しくなります。 でも、食べ過ぎは禁物です。ビールにはビタミンB群などは豊富だが、ビタミンA、C、Eなどはほとんど含まれていません。これらが豊富に含まれているおつまみを食べるのがポイントです。 ビール腹をへこませたい!ぽっこりを解消する居酒屋の注文テクニック ■おすすめのおつまみ(一人前当たり) 枝豆…80kcal 冷奴…120kcal いか刺し(70g)…55kcal ししゃも(5匹)…120kcal もずく酢…30kcal ■注意するおつまみ(一人前当たり) から揚げ…400kcal スパゲッティ…710kcal ソースやきそば…580kcal コロッケ…440kcal ミックスピラフ…610kcal ※お店や家庭によって、調理方法・量・材料などが違うため、各数字は絶対的なものではありません。 ビールの後にラーメンはつき物!? ビールに限らず、アルコールを摂取した後にはラーメンやお茶漬けなどが食べたくなりますが、これには理由があります。 アルコールを摂取すると、肝臓のグリコーゲン(糖分)が燃焼されて、体が熱くなってきます。すると、脳は「糖分はもう十分だ!」と判断し、あとはどんどん脂肪に変えていってしまいます。このように、糖分の浪費と脂肪合成により、どんどん血液中の糖分が不足するため、糖分の補給として炭水化物が欲しくなるのです。甘いものが欲しくなるのも同じ理由となります。 ただし、ここでも食べ過ぎに注意をしましょう。できれば、こってりしたラーメンより、お茶漬け程度ですませたいものです。 公開日:2001年7月23日
ビールに含まれるのは、ビタミンB群、葉酸などのビタミンや、カリウム、マグネシウムなどのミネラル。飲む量や飲み方には要注意ですが、適度を守れば体にいいこともありそうです。 目次 ビールの原料は何? ビールは体にいい?悪い? でも、飲み過ぎに注意! ビールの原料は何? ビールは、大麦、ホップ、酵母、水を主原料とする飲み物。これに副原料が入っているものが一般的です。 ●大麦 2列に平らに2粒づつ大麦が並ぶ、二条大麦がよく使われます。この大麦をいったん発芽させ、大麦中の酵素が活性化したところで、初めて原料になります。この発芽させた大麦のことを「麦芽(モルト)」といいます。麦芽になると、栄養学的にビタミンが増え、たくさんの酵素が目覚めます。 ●ホップ 麻科に属す、つる性の多年草植物です。古代から薬用植物として使用され、抗菌、鎮静、健胃、利尿効果などがあると言われています。ホップの役割は、ビール独特の苦味、香りを与え、殺菌の繁殖をおさえ、泡立ちや泡持ちを良くすることです。 ●酵母 麦芽を粉砕して湯を加えて糖化すると、甘い麦汁になり、これにホップを加えて沸騰させて苦味をつけたあと、発酵させるとお酒になります。この発酵に必要なのが酵母。麦汁中の糖分が酵母によって分解され、発酵させることによって炭酸ガスが発生します。 ●副原料 ビールの味(コクやキレ、うまみ)を引き立てるために加えるもの。コーンスターチや米などがあります。日本の酒税法では、麦芽の50%未満と決められています。 ビールは体にいい?悪い? ビールに含まれる栄養は、ビタミンB群、葉酸などのビタミンや、カリウム、マグネシウムなどのミネラルです。特にビタミンB2は、脂肪を燃やしてエネルギーにかえるときの化学反応を進める酵素を助ける補酵素としてのはたらきもあるため、エネルギーの供給や老廃物の代謝に役立っているのです。 さらに、ビールに含まれている適度なアルコールは胃から腸へ流されやすく吸収もされ、炭酸ガスによって胃のはたらきを活発にし、ホップの苦味によって食欲増進効果が得られます。 また、古代のヒポクラテスは、大麦の煎汁を飲ませて排尿量を増やし、腎臓病を予防させていたとか。もちろん、仕事の後の「カァーッ!と一杯!」は、ストレス解消にもなります。 さまざまな健康効果のあるビール。もちろん、飲む量や飲み方には要注意ですが、適度を守れば体にいいこともありそうです。 でも、飲み過ぎに注意! いくらビールに健康効果があるといっても、度を超えた飲み方では、体に害を与えます。では、どのくらいならいいのでしょうか? 体内に吸収されたアルコールは、個人差はあるもののだいたい体重1kg当たり0.15g/時間の速度で消えていくといわれています。これで計算すると、体重60kgの人なら、1時間に9g。350mlの缶ビール1本を約90分かけて飲めば、酔わないということです。 でも、このペースで飲んでもビールが美味しいわけではありません。これはあくまでも計算上のことであって、その日の体調や個人差があるし、また酔ったとしても二日酔いになるほどでなければ問題はなかったりします。 適量を超えれば、酔いがひどくなり、吐気、頭痛、眠気などの症状を引き起こし、さらには次の日まで残る二日酔いとなります。このくらいならまだまだ許せるが、さらに過度の飲酒を続けると、肝臓がやられてしまいます。 日頃からよく飲む人は、自分のペースを考えて、飲み過ぎないように注意しましょう。 間違っても「ビールは体にいいんだからもう1杯!」と大手を振って飲めるわけではないので悪しからず。
ついつい飲みすぎてはいませんか?何気なく飲んでいるお酒も消費しようと思うと、かなりの運動が必要になります。 目次 聞いてびっくり!お酒のエネルギー 「ビールは太るが、焼酎は太らない」はホント? 日本酒1合を消費するには60分歩く!? 聞いてびっくり!お酒のエネルギー ここのところ、飲む機会が増えてきたなあ、なんて思っているあなた。気がつけば、ズボンのベルトの穴も増えているのではないでしょうか。 普段、何気なく飲んでいるお酒は、いったいどのくらいのエネルギー(量)なのか、ご存知ですか? アルコールの種類 100ml中のエネルギー量 アルコール飲料1単位 アルコール飲料1単位当たりのエネルギー量 日本酒 100~110kcal1合(180ml)180~200kcal ビール 38~41kcal大びん1本(633ml)240~260kcal グラスワイン 73~75kcalグラス1杯(60ml)150kcal ウィスキー 240kcalダブル(60ml)140kcal ブランデーダブル 70~90kcalグラス1.5杯(240ml)140kcal 焼酎 110~200kcal2/3合(110ml)120~220kcal 出典:「アルコールの健康学」長田敦夫著 紀伊國屋書店 ちなみに、1人前のごはん1杯(約150g)は220kcal。ビール大びん1本飲めば、ごはん1杯食べたのと同じくらいエネルギーを摂取していることになります。ごはんもしっかり食べ、お酒も飲む、なんてことを続けていれば太るのは当たり前かもしれません。 「ビールは太るが、焼酎は太らない」はホント? アルコール1gの熱量は7kcal。糖質、たんぱく質1gはそれぞれ4kcal、脂肪1gは9kcalなので、アルコールは脂肪に近いといっていいほど高エネルギーなのです。 でも、よくビールや日本酒は太るといわれ、とくにビールは「ビール腹」ともいわれて肥満の大敵にされがちですが、これは本当なのでしょうか? たしかにビールはほかのアルコールに比べ、同じ1単位でもエネルギーが高めではありますが、ビールが太るといわれるには別の理由があります。ビールのように薄いお酒ほど胃液の分泌を促すことから食欲を増進させ、ついつい主食やつまみを食べ過ぎてしまうからです。1杯後のラーメンやお茶漬けなども太るもとなので、注意が必要です。 ビールは太る飲み物?〆のラーメンに理由あり 日本酒1合を消費するには60分歩く!? では、摂取したエネルギーを消費するにはどのくらいの運動が必要なのでしょうか。 「健康を保つためには毎日300kcalの運動が必要」と波多野義郎氏(東京学芸大学教授)は著書の中で述べています。300kcalを消費する運動は以下の通りです。 歩くなら 歩く速さ 1分当たりの消費エネルギー 300kcal消費するには? 歩数にすると? 歩行(50~90m/分) 3.3kcal90分9,000歩 速歩(90~110m/分) 5kcal60分7,200歩 ジョギング(120~140m/分) 13kcal23分4,500歩 ランニング(180~220m/分) 16kcal18分3,600歩 そのほかのスポーツなら キャッチボール…50分 テニス球打ち…30分 卓球…45分 ゴルフ…1ラウンド 野球…1.5ゲーム ボウリング…9ゲーム サイクリング…60分 登山…60分 縄跳び…20分 出典:「ウォーキング!」波多野義郎著 スパイク じつは、何気なく飲んでいるお酒も消費しようと思うとかなりの運動が必要です。
飲み過ぎてしまうのを防ぐためにも知っておきたいのが「適正飲酒の10か条」です。自分も周りも楽しいうちに宴会を終えられる「大人の飲み方」を心がけましょう。また、つい飲み過ぎてしまったときに役立つサプリメントもご紹介します。 目次 飲みたいときに覚えておきたい「適正飲酒の10か条」 アルコール好きに捧げるサプリメント 飲みたいときに覚えておきたい「適正飲酒の10か条」 お酒がそれほど好きでなくても「おつきあい」で断りきれない酒席はあるものです。その場の雰囲気や、ススメ上手の隣に座ったり…。ついつい飲み過ぎてしまうのを防ぐためにも、知っておきたいのが「適正飲酒の10か条」です。 適正飲酒の10か条 1. 笑いながらともに、楽しく飲もう 2. 自分のペースでゆっくりと 3. 食べながら飲む習慣を 4. 自分の適量にとどめよう 5. 週に二日は休肝日を 6. 人に酒の無理強いをしない 7. くすりと一緒には飲まない 8. 強いアルコール飲料は薄めて 9. 遅くても夜12時で切り上げよう 10.肝臓などの定期検査を 出典:適正飲酒の10か条 (社)アルコール健康医学協会 これは一見、自分のためだけのことのようですが、周囲への気配りとしても考えてみましょう。例えば、あまりススメ上手になってしまっても、相手に飲み過ぎを強要していることにもなりかねません。 また、その場の雰囲気が良いからと、はしご酒をしていては、相手をも寝不足にしてしまうことになります。 アルコールが入ってしまうと、気分がよくなってついつい時間も量もオーバーしがちです。ぜひ飲む前に一度、この10か条を思い浮かべて、自分も一緒に飲む人も楽しいうちに終わらせられる「大人の飲み方」を心がけましょう。 アルコール好きに捧げるサプリメント とはいえ、お酒が好きという人は多いでしょう。また、つい飲み過ぎてしまうこともあるものです。そんなときにおすすめのサプリメントを紹介します。お酒が好きな人は日頃から節制を心がけるとともに、サプリメントも試してみてはいかがでしょうか。 日頃から積極的に摂りたいサプリメント ●ビタミンB群 お酒を習慣的に飲む人はビタミン不足になりがち。アルコールを分解するときに欠かせないB1やナイアシン、脂肪肝を防ぐとされるB6、血液の産生を助けるB12はぜひ毎日の生活でしっかり摂るようにしましょう。 ●ウコン ウコンの主成分である黄色色素「クルクミン」には、胆汁の分泌を促して身体機能を改善するはたらきがあるといわれています。また、肝臓の機能を助けてアルコールの分解を促進するので、二日酔いのときにもおすすめ。 ●マリアアザミ 肝臓を活性酸素の悪影響から守り、肝細胞を修復・活性化させるはたらきがあるといわれています。 飲んだ後でケアしたいときのサプリメント ●ビタミンC アルコールの分解を促進するはたらきがあります。また、飲む前に摂っておくと二日酔いの予防にも。 ●コエンザイム アルコールの処理中に発生する活性酸素に立ち向かい、酸化(老化)を抑えるといわれています。 ●亜鉛 肝臓でのアルコール分解に関与している「アルコール脱水酵素」という酵素のはたらきを助け、悪酔いを防ぐ効果があります。 二日酔いになってしまったときのサプリメント ●ブドウ糖 アルコールの分解に血液中のブドウ糖が使われてしまうために、二日酔いのときは低血糖状態になりやすくなります。
お酒を飲むと体内では善玉(HDL)コレステロールが増え、心疾患のリスクも減るとか!?でもそれは適量を飲んだ場合の話です。飲み過ぎれば、肝臓だけでなく、体全体にさまざまな障害を招くことになるので要注意です。「Jカーブ」を知っておきましょう。 目次 飲酒で善玉コレステロールが増える!? その一方で、さまざまな病気の原因にも あなたは大丈夫!?適正飲酒チェック 飲酒で善玉コレステロールが増える!? アルコールは、体に大きな影響を与えます。例えば、血中のコレステロールです。アルコールには悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールを増やすはたらきがあるといわれています。 動物性脂肪や卵などの悪玉(LDL)コレステロールが多い食事を摂っていると、動脈の壁にコレステロールがくっついて動脈硬化を起こす原因になります。しかし、飲酒によって善玉(HDL)コレステロールが増えれば、動脈の壁にたまったコレステロールを取り除くことができ、動脈硬化を予防することにつながります。 さらに、米国保健科学協議会(ACSH)によると、日本酒に換算して1日に1、2合程度のお酒を飲む人が、最も心臓血管疾患のリスクが低いという結果が出たといいます。また、病気だけではなく事故や事件を含めた全死亡率と1日の飲酒量をグラフにすると、J型のカーブになります。つまり、適量の飲酒であれば、まったく飲まない人よりも長生きする可能性が高いというのです。まさに「百薬の長」です。 しかし、アルコールにこのような効果を期待するなら「適量」でなければいけません。J型のカーブということは、飲酒量が適量を超えれば、途端に死亡率が高くなるということでもあるのです。 コレステロールにしても同じことがいえます。善玉(HDL)コレステロールを増やすには、ビールなら大瓶1本、清酒なら1合、ウイスキーならダブルで1杯程度で十分なのです。 その一方で、さまざまな病気の原因にも 反対に、飲み過ぎた場合の体への悪影響は数知れません。まず真っ先に思い浮かぶのが、肝臓疾患でしょう。これは肝臓がアルコール処理を一手に引き受けてくれているからです。また、アルコールだけではなく、酒の肴として食べる料理に動物性脂肪が多い傾向があるのも一因です。肝臓へのダメージを高めるといわれています。 さらに、深刻な病気を招くこともあります。 お酒の飲み過ぎによって生ずる障害 ■脳 急性アルコール中毒 アルコール依存症 自律神経失調症 ■消化管 肝臓 脂肪肝 肝炎 肝硬変 食道 食道炎 食道がん 食道静脈りゅう すい臓 すい炎 糖尿病 ■胃 胃炎 胃潰瘍 ■循環器系 心筋症 不整脈 高血圧 ■腸 下痢 吸収障害 痔 ■全身・その他 末梢神経障害 貧血 卵巣機能不全 インポテンツ いかがでしょうか?なかなかにバリエーションが多彩に思うのではないでしょうか。たとえ肝臓が障害から逃れたとしても、ほかの障害をすべてクリアするのは難関そのもの。飲み過ぎは絶対ダメ!と、肝に銘じておきましょう。 あなたは大丈夫!?適正飲酒チェック さて、現在のあなたの飲酒状態は正常ですか。気になる方は、次のテストを試してみてください。そして、少しでも問題がありそうなら、お酒との良い関係づくりをめざして毎日の生活を見直してみましょう。 久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST) 最近6ヵ月間の間に次のようなことがありましたか? 以下の問いにお答えください。右端の得点を各々加えてください。 1 酒が原因で、大切な人(家族や友人)との人間関係にひびがはいったことがある ある +3.7 ない -1.1 2 せめて今日だけは酒を飲むまいと思ってもつい飲んでしまうことが多い あてはまる +3.2 あてはまらない -1.1 3 周囲の人(家族や友人上司など)から大酒飲みと非難されたことがある ある +2.3 ない -0.8 4 適量でやめようと思っても、つい酔いつぶれるまで飲んでしまう あてはまる +2.2 あてはまらない -0.7 5 酒を飲んだ翌朝に前夜のことをところどころ思い出せない あてはまる +2.1 あてはまらない -0.7 6 休日にはほとんどいつも朝から飲む あてはまる +1.7 あてはまらない -0.4 7 二日酔いで仕事を休んだり、大事な約束を守らなかったりしたことがときどきある あてはまる +1.5 あてはまらない -0.5 8 糖尿病、肝臓病または心臓病と診断されたり、その治療を受けたことがある ある +1.2 ない -0.2 9 酒がきれたときに汗が出たり手がふるえたり、いらいらや不眠など苦しいことがある ある +0.8 ない -0.2 10 商売や仕事上に必要で飲む よくある +0.7 ときどきある 0 めったにない・ない -0.2 11 酒を飲まないと寝つけないことが多い あてはまる +0.7 あてはまらない -0.1 12 ほとんど毎日3合以上の晩しゃく(ウイスキーなら1/4本以上、ビールなら大瓶3本以上)をしている あてはまる +0.6 あてはまらない -0.1 13 酒の上の失敗で警察のやっかいになったことがある ある +0.5 ない 0 14 酔うといつも怒りっぽくなる あてはまる +0.1 あてはまらない 0 判定方法 6.0点以上……… アルコール依存症である可能性が高い 2.0~5.9点 …… きわめて問題多い(重篤問題飲酒群) 0~1.9点 ……… 問題有り(問題飲酒群) -5.0~-0.1点 … まあまあ正常(問題飲酒予備群) -5.1点未満 …… まったく正常(正常飲酒群)
お酒を飲んで楽しくなる理由を、脳内物質と脳のはたらきに焦点を当ててご紹介します。酔いの正体に迫ってみましょう。 目次 アルコールがもたらす「楽しさ」の秘密 ストレス解消にも脳内物質のはたらき 楽しさもストレス解消も量次第 アルコール血中濃度と酔いの状態 アルコールがもたらす「楽しさ」の秘密 お酒を飲むと、ふんわり気持ちが軽くなって、それまでの疲れやストレスに凝り固まった心もほぐれていく…。多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。ときには、普段怖い顔ばかりしている人が意外に陽気で話し好きに変身することもあります。 これまでは、アルコールがこうした楽しさを導き出すのは、アルコールによって脳がマヒしてしまうからだと捉えられていました。しかし、現在はもう少し違ったアルコールの作用がわかってきています。 アルコールを飲んで楽しい気分になる理由、それは脳内で楽しさや心地よさといった感情を生み出す「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌が促されるため。ドーパミンは、何か興味のあることをしているときなど「楽しい」と感じるときに分泌される脳内物質ですが、アルコールによっても分泌が促されるというのです。 また、ドーパミンが分泌されると、「楽しい」という感情を抑制し興奮し過ぎるのを防いで、気持ちを平静に保つための脳内物質GABAなども分泌されますが、アルコールは気持ちを平静に保つ脳内物質の分泌を抑えたり、そのはたらきを鈍らせたりしてしまいます。そのため気分は、どんどん盛り上がっていく一方となるのです。 ストレス解消にも脳内物質のはたらき さらに、アルコールは気持ちを高揚させるドーパミンの分泌を促す一方、セロトニンの分泌を促す作用もあります。セロトニンは、過剰な動きや不安、恐怖といった感情を抑え、気持ちを鎮静化させるためにはたらく脳内物質です。そのため、ストレスを抑えるはたらきがあり、うつ病の治療にも利用されています。 また、体を緊張させたり、心拍や血圧を上げるといったはたらきをする副腎皮質ホルモンやノルアドレナリンなどの分泌を抑制することもわかってきています。 つまりアルコールには、楽しい気分を盛り上げると同時に、ストレスにさらされて緊張した心身を解きほぐす、という2つのはたらきがあると考えられるのです。 楽しさもストレス解消も量次第 楽しい気分になって、ストレスも解消できるアルコールなら大歓迎!と思うのは、ちょっと待った。脳内物質には、NMDA受容体というものもあります。このNMDA受容体がアルコールと結びつくと、新しい記憶を作る能力や学習能力が低下します。 また、ストレス解消をアルコールに求めると、ストレスから飲酒に頼るという悪循環が生まれ、ひいてはアルコール依存症へと発展しかねません。さらに怖ろしいことに、二日酔いになるほど飲み過ぎると、通常の3倍もの神経細胞が死滅するという説もあるのです。 アルコールがドーパミンの放出に影響を与えるのは、最初の約20分だけともいわれています。飲酒は、脳のことを考えても適量を守ることが大切です。 アルコール血中濃度と酔いの状態 時期 血中濃度(%) 酒量 酔いの状態 爽快期 0.02~0.04 ビール<大びん>(~1本) 日本酒(~1合) ウイスキー・シングル(~2杯) さわやかな気分になる 皮膚が赤くなる 陽気になる 判断力が少しにぶる ほろ酔い期 0.05~0.10 ビール(1~2本) 日本酒(1~2合) ウイスキー・シングル(3杯) ほろ酔い気分になる 手の動きが活発になる 抑制がとれる(理性が失われる) 体温が上がる 脈が速くなる 酩酊初期 0.11~0.15 ビール(3本) 日本酒(3合) ウイスキー・ダブル(3杯) 気が大きくなる 大声でがなりたてる 怒りっぽくなる 立てばふらつく 酩酊期 0.16~0.30 ビール(4~6本) 日本酒(4~6合) ウイスキー・ダブル(5杯) 千鳥足になる 何度も同じことをしゃべる 呼吸が速くなる 吐き気・おう吐がおこる 泥酔期 0.31~0.40 ビール(7~10本) 日本酒(7合~1升) ウイスキー・ボトル(1本) まともに立てない 意識がはっきりしない 言語がめちゃめちゃになる 昏睡期 0.41~0.50 ビール(10本以上) 日本酒(1升以上) ウイスキー・ボトル(1本以上) ゆり動かしても起きない 大小便はたれ流しになる 呼吸はゆっくりと深い 死亡 出典:資料「アルコール血中濃度と酔いの状態」(社)アルコール健康医学協会
おせち料理以外の食物も、お正月特有の料理となったのには理由があります。昔の人達の願いに心をはせてみませんか。 目次 お屠蘇は昔の風邪予防薬 無病息災を祈りながら、年神さまといただくお雑煮 七草がゆには魔除けの意味が お屠蘇は昔の風邪予防薬 お屠蘇のルーツは中国にアリ。唐時代の医者が、流行風邪予防のために作ったのが、おいしいと 流行になったのが最初らしい。それがなぜ、お正月の飲みものになったのか。 実は、この医者が住んでいた家の名前が「屠蘇庵」といったそう。屠蘇とは「鬼気を屠絶し人魂を蘇生させる」ということで、ここから、1年中の邪気を払い、延命長寿を願うために飲む酒となったらしい。 ちなみに屠蘇は、薬局などで売っている屠蘇散(肉桂、大黄、百じゅつ、山椒、桔梗、乾姜などの薬草を合せたもの)を、5~6時間水にひたしてから取り出し、清酒(みりんを加えることもある)を加えて作る。 無病息災を祈りながら、年神さまといただくお雑煮 お雑煮はもともと、年神さまに供えた食べ物を、新年1番に汲んだ水と、新年の神聖な火で雑多に煮て食したもの。年神さまと一緒にそれをいただき、1年の無病息災を祈ったらしい。 お雑煮が地方によって様々なのは、各地で採れた特産をそれぞれ供物にしていたからなのだ。 水道の水にガスコンロという世の中では、今年1番の水や火にありがたみはないかもしれない。でも、こういうことが当たり前になった現在を年神さまに感謝しつつ、 お雑煮をすするのもいいかも。 七草がゆには魔除けの意味が 七草がゆは、1月7日の人日(じんじつ)の節句に食べる。昔は、6日年取りといって、七日を折り日として新しい年が始まると考えたため、この日に「1年間、外敵が来ないように」と祈ったのだ。 平安時代からの風習であるから、外敵は人間だけではない。魔除けを願う気持ちの方が強かった。したがって、儀式に供する七草粥の作り方も大変だった。例えば包丁で七草を刻むときに、まな板を7回たたいたり、「七草なずな、唐土の鳥が日本の土地にわたらぬ先に、七草なずな」という言葉を7回唱えたりしていたそう。 最近では、こういった意味合いはまったくなくなり、「おせち料理でいっぱいになった胃を休める」ために七草粥を食べるという話が一般的になっている。 七草は、せり、なずな(ぺんぺん草)、ごぎょう、はこべら、仏の座(田平子)、すずな、すずしろ(大根)のこと。お粥は、ごはんと一緒に市販のだし(和風でも中華でも好みに合わせて)で煮るだけでOKだ。 体すっきり!七草粥の7つの効用 参考文献:「華やかな初春 祝・美・膳」白井操 ひかりのくに社 「四訂 食品成分表 こんなときこの食べ物が効く」木下 勤 ブックマン社 「続 こんなときこの食べ物が効く」木下 勤 ブックマン社 公開日:2000年12月25日
今回は、あなたのお酒の飲み方が「百薬の長タイプ」か「万病のもとタイプ」かを診断します。お酒とうまく付き合う道を探りましょう。 目次 酒席での飲み方「危険度」チェック 普段の飲み方「万病のもと」チェック 酒席での飲み方「危険度」チェック 乾杯後、中ジョッキ1杯ぐらいのビールなら一息に飲んでしまう 脂っこいおつまみをあまり食べないようにしている 「一気」や「かけつけ三杯」の掛け声がかかると思わず飲んでしまうお調子者。または、掛け声を一番にかける、宴席の盛り上げ役だ 酒を飲んだ翌朝、前夜のことを一部思い出せない場合がしばしばある 酒を飲むと怒りっぽくなったり暴力をふるうなど、人が変わったようになると言われたことがある 解説 1. 空腹状態でたくさん飲むのは× アルコールは空っぽの胃や腸には刺激が強いものです。また、空腹の状態に入ったお酒は、どんどん吸収されて肝臓に送りこまれ、肝臓の処理能力を超えると脳に直接入りこんで、速いペースで酔っ払ってしまいます。乾杯で飲むのは一口程度にし、後は食べながら飲むようにしましょう。 2. アルコールの吸収を遅らせるには、脂っこいものを 胃の中に食べ物が入っていれば、アルコールが小腸に降りるスピードが遅くなるため、長い時間かけて吸収させることができます。しかし、炭水化物などは胃の中にとどまる時間が短いため、あまり予防効果はないようです。 どちらかと言うと、脂っこいものがおすすめ。もちろんこれは、いつもより多めに飲む酒席での話です。脂っこいものの摂り過ぎは病気の原因にもなるので注意しましょう。 3. 「一気飲み」は絶対にダメ! お酒のアルコールは肝臓で分解されますが、その処理能力を超えて飲んでしまうと分解が追いつかず、血液中にアルコールが残ってしまいます。この血中アルコール濃度が高くなり過ぎると、急性アルコール中毒などで死亡してしまうこともあります。一気飲みでそれこそ一気にアルコールを体内に入れるのは絶対にいけません。 4. 記憶が途切れるようになったら危険! このような記憶障害が起こるときの血中アルコール濃度は0.16~0.30%。急性アルコール中毒の症状(血中アルコール濃度が0.41~0.50%超えると出る)直前までいっているわけです。なるべくならこうなる前に帰宅するよう、ペース配分を考えて飲むようにしましょう。 5. 暴力沙汰を引き起こすようなら、お酒は飲まないように 普段おとなしい人が陽気になる程度であれば大丈夫です。問題なのは、酔いが進むと怒り出したり暴力沙汰を引き起こしたり、わけのわからない行動をとるタイプ。このような状態を異常酩酊といいますが、有効な治療法がないのが現状です。ツラいことですが飲まないのが一番のようです。 普段の飲み方「万病のもと」チェック 1日1合より多くお酒を飲む お酒のつまみは脂っこいものが多い 寝酒を飲む習慣がある ウイスキーはストレートで飲む。または、日本酒なら冷や酒が好き 晩酌をした食後、習慣的に服用している薬がある 解説 1. お酒は1日2合まで 適量を超えて飲酒を続けると、肝臓の病気や高血圧の原因になります。これらの病気予防のためには、日本酒に換算して1日1合以下、週2日はお酒を飲まない日を設けるのがよいと言われています。 お酒の適量はどのくらい?適正飲酒量を計算してみよう 2. 脂っこいものの摂り過ぎには注意 脂っこいものの摂り過ぎは、肥満や高脂血症、動脈硬化などの原因になります。日常的な晩酌であれば、夕食のおかずを食べながらゆっくり飲めば大丈夫。強いお酒なら薄めて飲むように心がけましょう。 3.「酒を飲むとよく眠れる」はウソ! よく眠れるようにと寝酒を飲むのでしょうが逆効果です。少量のアルコールは興奮作用を引き起こし、飲酒初期には利尿を導いてしまいます。少量の酒で眠れるという人は特殊なタイプ。普通の人は、眠れずに酒量ばかりが増えてしまうようです。 4. 強いお酒は薄めて飲もう! ウイスキーや焼酎など30%以上のアルコールは、食道や 胃に強烈な刺激を与え急性胃粘膜病変などで血を吐いたり、慢性的に続けると食道がんなどになる恐れもあります。できれば水割りなどで薄めて、またはチェーサー(追い水)を飲んで消化器官への刺激がないようにしましょう。 冷や酒は飲んだ感じがさっぱりしているので、ついつい量を過ごしがち。燗酒の方はおちょこでチビチビという飲み方なのでゆっくり楽しむことができます。この時期おすすめの飲み方です。 5. 常用している薬の説明書をよく読んで 病院で処方を受けている場合は、お酒と一緒に飲んでいいのかどうか確認しましょう。薬の種類によっては、体内(肝臓)でアルコールと一緒になるとうまく分解されず、高濃度のまま残ったり、作用が強く出過ぎるものがあります。例えば風邪薬に含まれる解熱剤のアセトアミフェノンなどです。 また、睡眠薬や精神安定剤など脳にはたらく薬もアルコールで脳が麻痺している状態で飲むと悪影響をもたらすので要チェックです。
楽しい宴会ですが、苦労が大きいのが幹事さんです。そこで今回は幹事さんの手助けとなるべく、参加者の体を思いやった宴会運営をご紹介します。「言うは易し行うは難し」というのは百も承知ですが、ぜひがんばって! 目次 一次会は、料理や雰囲気を楽しめる店で 手酌が基本の無礼講 二次会過ぎたら、そろそろ「泥酔者チェック」 泥酔者のチェックポイント 幹事の仕事は12時前まで 一次会は、料理や雰囲気を楽しめる店で 空きっ腹への大酒注入は、酒席の雰囲気を破壊する お酒を飲むピッチが速く一次会の段階でベロベロ、女の子にからんだり、大声で騒ぎ始めたりという「即席酔っ払い」。皆さんの周りにいませんか?にぎやかで楽しい存在かもしれませんが、幹事にとっては困りものです。 こうなる原因のひとつは、「空きっ腹への大酒注入」にあります。空腹の状態に入ったお酒は、胃を素通りして小腸に流れ込み、どんどん吸収されて肝臓に送り込まれて行きます。肝臓の処理能力を超えると脳に直接入りこんで、「即席酔っぱらい」ができあがります。 一次会は食事の楽しみを目的に たとえ問題児がいなくても、「お酒は食べながら、ゆっくり楽しむ」のが基本です。酔っ払うほどの酒量でなくても、アルコールが空きっ腹に入るのは危険ですし、「食べながら」であれば、アルコールの吸収を押さえることもできます。 おすすめは、一次会の店は、何か特徴のある料理を出す店を選ぶこと。イタリア料理系でも、土佐のさわち風料理でも、秋田のきりたんぽ鍋でも何でもOKです。その上で、出席者にはあらかじめ、「○○料理をお楽しみください」と伝えて、食事に期待感をもたせるといいでしょう。 居酒屋のコースメニューの場合でも、何か一品、期待をもたせるものをオーダーしておくといいのではないでしょうか。 「即席酔っ払い」には、お酒でなく食べ物をおすすめしよう 「食べるより飲むのが好き」という人には、意識的に食べるようすすめましょう。面倒ではありますが、大皿料理を小皿に取り分けてやるといった心づかいも必要です。 手酌が基本の無礼講 自分のペースで飲むのが一番 「上司や同僚の酒杯が空いたら、ささっとつぐのが気の利くヤツ」。サラリーマン社会の常識かもしれませんが、それほど強くもないのに、勧められると断れない人の体調も気遣いましょう。お酒は、自分のペースで飲むのが一番です。最初の乾杯はともかく、「後はみなさん、手酌の無礼講で…」といきたいものです。 一気・かけつけ三杯は絶対ダメ これで命を落としている人が数多いのにもかかわらず、酒席を盛り上げる唯一の方法のように思われている「一気とかけつけ三杯」。飲ませ上手、掛け声上手をいかに押さえるかは、幹事の最大の課題とも言えます。 あらかじめ飲ませ上手本人に釘をさすか、上司に相談しておくか、一気が始まったら一言注意してもらうよう、お店の人に頼んでおく…。一気ができる雰囲気ではない店を選ぶのも一手です。 二次会過ぎたら、そろそろ「泥酔者チェック」 二次会はカラオケなど、お酒に集中しない店を選ぶ お酒は、楽しい雰囲気で少しずつゆっくり飲むのが基本です。だから、2次会も飲みに集中しないカラオケなどの店を選ぶのがよいでしょう。ウイスキーをボトルで頼む場合、最初は水割りを作って回してしまうのが一番です。 「泥酔者」は責任持って送り届ける ここまで、幹事が気を使っても、必ず出現する「泥酔者」。以下のような人は、急性アルコール中毒の一歩手前にあります。責任を持って家まで送り届けましょう。 泥酔者のチェックポイント ※( )の数字は血中アルコール濃度(%) 急性泥酔状態(0.16~0.30) 足元がかなりふらつく、足が立たないなどの歩行障害・記憶障害、怒ったり泣いたりなど、感情が不安定 ⇒これ以上飲まさない。少し落ち着いたら、家まで送り届けましょう。 アルコール中毒(0.41~0.50) 吐き気・嘔吐・著しい運動失調 ⇒吐いた後、ぐったりしているようなら即病院へ。このまま、麻酔されたような昏睡状態に陥り、最後には呼吸停止してしまう恐れがあります。 幹事の仕事は12時前まで いくらゆっくり飲んでも、長時間飲めばその分酒量は多くなります。また、飲み終わる時間が遅ければ、肝臓でのアルコールの分解が終了する時間も遅くなり、次の日への持ち越し、二日酔いを招くことになってしまいます。幹事が主催する飲み会タイムは遅くとも12時までと決めておきましょう。後は、個人の責任でやってもらうのが無難です。
コーヒー・お酒・甘いものは、たばこなど健康のためを思えばスッパリやめたほうがいいものと違い、適量を守れば体によい効果を与えてくれるものです。では、その適量はどのくらいなのでしょうか? 目次 コーヒーとの付きあい方 Q&A アルコールとの付きあい方 Q&A 甘いものとの付きあい方 Q&A コーヒーとの付きあい方 Q&A Q:コーヒーは1日何杯ぐらいまでなら飲んでいいの? 答え:特に制限の必要はないようです。 コーヒーに含まれるカフェインには発がん性があるので、コーヒーはあまり飲まない方がいいなどと言われてきましたが、その説は間違いだったようです。最近では逆に、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」という物質が、有害な活性酸素を抑制したり、発がん性物質の生成を阻止したりすることがわかってきました。 したがって、1日に飲むコーヒーの量自体は、特に制限の必要はないようです。 Q:コーヒーが胃に悪いというのは本当ですか? 答え:半分本当、半分間違いです。 カフェインには、「胃酸の分泌をうながす」というはたらきもあります。このため、食前や空腹時に飲むと空っぽの胃に胃酸が分泌され、胃壁を直接刺激することになります。 ミルクを少し入れてもその効果は変わりません。したがって、食前や空腹時には、コーヒーは避けた方がいいでしょう。 一方、食後のコーヒーはおすすめです。胃酸が多く分泌されて消化がよくなるからです。 Q:コーヒーを飲むと痩せると聞きましたが本当? 答え:飲めば痩せるというわけではありません。 コーヒーに含まれるカフェインには、目の疲労を防ぎ作業効率をあげるはたらきのほか、脂肪を分解させてエネルギーに変えるはたらきがあります。しかし、ただ飲んでいるだけでは効き目がありません。やはりそれなりの運動が必要です。 なお、運動前にコーヒーを一杯飲んで、効率的に脂肪を燃やそうという人は、砂糖抜きの方がよいでしょう。砂糖の糖分がカフェインのはたらきを抑えてしまうからです。 胃に悪い?お肌に悪い?コーヒー7つの誤解を解く アルコールとの付きあい方 Q&A Q:夕食時の晩酌が楽しみですが、これも依存症なのでしょうか。 答え:1日平均1合以下(日本酒の場合)なら、ほぼ大丈夫です。 厚生労働省がおすすめしているお酒の飲み方は、「日本酒の場合、1日1合まで。1週間に最低2日はお酒を飲まない日(休肝日)を作る」というもの。 ただし、アルコールへの強さは人によって違います。自分の限界を知って、無理のない程度の飲酒量に調節しましょう。 お酒の適量はどのくらい?適正飲酒量を計算してみよう Q:私は、お酒に強い体質で、毎晩3合以上飲んでも特に障害はないのですが? 答え:「お酒に強い」という思い込みは危険です。 30代ぐらいまでは、アルコールの吸収や代謝が活発なので、夜に4~5合ぐらい飲んで も翌朝ぐらいには回復できる人もいるようです。 しかし、年齢とともに体力が衰えてくると、回復に時間がかかるようになります。体自体が前より飲めなくなっているわけです。 そうなってから酒量を減らすのは簡単ではありません。4~5合飲んだときの酔った感じ(気持ちよさ)を体が覚えてしまい、少量では満足できなくなっているからです。 だから、若くてたくさん飲める自信があっても、日ごろの飲酒は1合以内にセーブした方がよいでしょう。 Q:お酒がないと眠れないのだが、アルコール依存症でしょうか? 答え:危険な兆候のひとつ。お酒の量のセーブが必要です。 お酒というのは、たまに1回飲む場合は睡眠導入剤になるかもしれません。しかし、連続して飲んだ場合、お酒には睡眠の一部を抑制してしまうという弊害があります。このため、深酒が続くと疲れるのです。 また、寝る前にナイトキャップとして軽く飲む習慣にしている人でも、「熟睡した感じがしない」という人が多いようですが、これも、お酒のせいです。少量でも、寝酒は控えた方がいいようです。 甘いものとの付きあい方 Q&A Q:甘いものは1日にどのくらいまで食べてよいのでしょうか。 答え:成人の1日あたりの砂糖(糖分)摂取量は、だいたい20gまでです。 上の数字は料理に使われている砂糖の量も含めたものとなります。ですから、半分が料理に使われていると考えると、残りは10g。ミルクチョコレート18g、ドーナツ約3分の1、アンパン半分弱に含まれる糖質とほぼ同じです。 1日に食べられる甘いものの量は意外に少ないようです。 Q:甘いものを多くとる分、ごはんなどを減らしてはいけませんか。 答え:甘いものはあくまでも、楽しみ。主食をおびやかさない程度に抑えましょう。 ごはんなどに含まれるのは、炭水化物だけではありません。体を維持するのに必要なミネラルなども含まれています。 それを考えると、ごはんを控えて甘いものを多とるのは体にとって、決してよいことではありません。 せいぜい、朝食にジャムやハチミツつきのパンを食べるぐらいにしておきましょう。 賢く付き合えば糖分も怖くない!
暑さを吹き飛ばす爽快なアルコール、ビール。 仕事の後の冷たい1杯、紙コップ片手にプロ野球観戦、ビアガーデンで仲間とワイワイ…。 夏のあらゆるシーンにビールは欠かせない。 そこで今日は、ビールをもっとおいしく飲む工夫を探ってみたい。 本格ビール党はグラスにも気を使う ビールは酵母のはたらきから作られるとてもデリケートな生き物。 熱や光にとても弱く、でき立てが一番おいしいと言われている。 ビール瓶が茶色なのは、よく知られているとおりできるだけ日光を遮るための工夫。 そのため、保存する場合は日の当たらない涼しい場所に置くのがイチバン。 製造年月日から半年くらいは風味に問題はないが、やはり新しいものほどおいしいと言える。 ビールのイチバンおいしい温度は、夏なら6~8℃、冬なら10~12℃くらい。 好みの問題もあるが、あまり冷やしすぎると微妙な味わいが伝わらず、泡立ちも悪くなる。 生ぬるいビールも同様。 ビールをそそぐグラスは、なにより汚れに注意。 ビールの泡は油分に触れると表面張力を失い、炭酸ガスを逃してしまう。 グラスは流水でよくすすぎ、熱い湯にくぐらせてから布巾の上に伏せて自然乾燥させ、飲む半日くらい前から冷蔵庫で冷やしておけば完璧だ。 キメ細かな泡はビールの命 ビールの栓を開けるときに、栓抜きで王冠をコンコン。 これは意味のないこと。 強くたたいたりすれば、栓を抜いたとたんに泡が吹き出ることもあるので注意したい。 ビールをつぐときは、はじめはゆるやかに、次第に勢いよく、泡が出始めたら静かに満たす。 ビールと泡が7対3くらいの割合になるのが理想的だ。 泡は逃げようとする炭酸ガスにフタをして空気中の酸素とビールの接触を遮り、おいしさを保つ役目をするもの。 「ビールのつぎたしはいけない」と言われるのは、つぎたすことで泡が壊れて炭酸ガスが抜けてしまうためなのだ。 またビールの炭酸ガスやホップには食欲増進作用があるので、ついつい食べ過ぎてしまいがち。 ビール大瓶1本は250キロカロリーでハンバーガー約1個分に相当するので、体重の気になる人はオツマミに工夫を。 さらに言えば、自分のペースを守って飲むことも重要。 他人に無理に飲ませたり、一気飲みをしたりというのはいただけない。 心から楽しく飲むことが、実はビールをおいしく飲む、最も大切な秘訣なのかも知れない。
「ビールとくれば枝豆」とはよく聞きますが、ビールばかり飲んで、食事をしないようでは酒飲み失格です。栄養面のバランスを考えたおつまみには、どんなものが適しているのかを考えてみましょう。 目次 ビールに枝豆の真意はいかに? ビールの相棒には乳製品やビタミンB群 ビールに枝豆の真意はいかに? 仕事の後の1杯のビールは、疲れも吹き飛ぶ爽快さが魅力です。夏なら、屋上のビアガーデンで開放的な気分に浸りつつ、「ぷは~っ」とジョッキを傾けるのもいいでしょう。 さて「ビールとくれば枝豆」とよく聞きますが、一体ビールにはどんなおつまみが合うのでしょうか。 アルコールは空腹時の方がより胃壁に吸収されやすく、お酒を飲むときには基本的にはお腹に何か入れてから飲むといいでしょう。空っぽの胃にどんどんビールを流し込めば、酔いが回りやすく悪酔いの原因にもなりかねません。 先に挙げた枝豆は、黄大豆の未熟果を収穫したもので、タンパク質、脂質、ビタミンB1、B2、C、リン、カルシウムなどの豊富な栄養を含んでいます。 特にビタミンCは、みかんに匹敵するくらい豊富です。ビールと枝豆の相性は、味の面だけでなく、偏りがちな栄養面を補う意味でも抜群なのです。 同じ大豆から作られる豆腐や、納豆を使った料理も好相性といえそうです。 ビールの相棒には乳製品やビタミンB群 お酒を飲む前にはコップ1杯の牛乳を飲むという人がいます。これは、胃壁をアルコールから保護し、急激な吸収を防ぐ効果があります。 「今日はお得意の接待だから、自分は酔っぱらえない」などという日にはお試しを。 同じ意味でチーズなどの乳製品も効果があるようです。 また、造血作用を促して肝機能にはたらくビタミンB類を多く含む食品もおすすめ。 例えばピーマンやニラなどの緑黄色野菜や、しいたけひじきなどが挙げられます。 にんにくやゴマは、動脈硬化予防にも効果的と言われています。 最後に、飲み過ぎて気持ちが悪くなってしまったときの解消法をひとつ。 200ccの水に塩を15グラムほど入れ、よく溶かして飲みましょう。しばらくすると、難なく吐けるようになり、胃もスッキリ。 でもコレはあくまで緊急のお助け方法です。 飲み過ぎることなく適量を守るのが、お酒との最善のつきあい方といえます。
中国では禹の時代から史書に登場 お酒は人類の歴史以前から存在していたといわれていますが、人類との交わりもかなり古いようです。穀物や果物を食料として保存しているうちに、糖分が自然発酵してアルコールができ、古代の人が偶然にお酒の味を覚えていったのでしょう。 そして、積極的にお酒を造り出すようになり、さらに大量に得る方法を考え出していきました。 中国では既に禹王の時代から、お酒が史書に登場します。お酒は百楽の長とよくいわれますが、それは漢の時代の「食貨志(しょくかし)」という本から出てきました。 このように漢の時代から強壮剤としてお酒の効用も認められていました。お酒の強壮作用は聖書にも「パウルはチモシールに告白して曰く、もはや水を飲むことなかれ。汝の胃のために、汝の虚弱のために、少量のワインを用いよ」と記されています。 日本では縄文時代から酒造 日本では縄文時代に既に、お酒が造られていたといわれています。お米の作り方を伝えた人たちが、同時にお米を使うお酒の造り方も伝えたそうです。 また、大昔からお酒は薬であるとともに人類の友でした。ビールは古代エジプトから庶民の間で飲まれていて、ワインがどちらかというと高貴な人のお酒とされていました。
日本酒やワインは悪酔い お酒の種類によって体に与える影響は違うといわれています。例えば、フレンチ・パラドクスで一躍有名になった赤ワインは、抗酸化作用を持つポリフェノールという物質をたくさん含んでいるので、動脈硬化や心臓病の予防に役立つといわれています。 ところが、同じワインでも白ワインにはどの効果も少ないようです。さらに、ほかのアルコール類よりもしょうちゅうには、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を溶解するはたらきがあるという報告もあります。 また、酔い方もお酒の種類によって違いがあるといわれています。ビールの中にはアセトアルデビドが既に含まれていますから、アセトアルデビド脱水素酵素(ALDH)が強い人でも、ほおがほんのり赤くなることがあります。 また、日本酒やワインなどでは不純物が含まれているために、頭痛や気分が悪くなるなど悪酔いすることもあるといわれています。 同じ量なら蒸留酒が悪酔いしない ですから、肝障害だけを取り上げると、アルコール濃度だけで考えても良いでしょうが、体全体が受けるダメージは違うようです。すっきりと後の気分も良く飲むには、絶対量が同じならばブランデーやウイスキーなど蒸留酒の方が良いかもしれません。 ただ、蒸留酒はアルコール度数が高いものが多いので、飲み過ぎてしまって気分が悪くなるかもしれません。
神の怒りを鎮める「お神酒」 大昔からお酒は神様に捧げるお供え物で、今でも「お神酒」という言葉があります。大昔の人は地震、火山噴火、台風など天変地異をはじめ、超人的な威力を恐ろしい神々の怒りのせいだと考えました。 そして、猛威を振るう神を鎮めるために、お酒を供えたのがお神酒の始まりと考えられています。ですから、大昔からお酒は日常生活における宗教儀式に、無くてはならない物として大切に扱われてきました。 また、お酒の原料の多くは穀物や果実です。これらが豊かに実るとおいしいお酒ができます。古代ギリシャでは、ワインの神様として有名なバッカスは、豊かな神でもありました。古代ドイツでも麦を原料とするビールには、いろいろな守護神が、奉られています。 キリスト教では聖なるワイン 一方、キリスト教でもワインはキリストの血であり、パンがキリストの肉であるというように、聖なる物として位置づけられています。お酒が世界中に広がったのは、キリスト教の影響が大きいともいわれています。 ところが、イスラム教のようにお酒を全く飲まない宗教もあります。
お酒は「独居の友」 昔から日本人は、お酒との上手な付き合い方を考えていたようです。 室町時代の狂言である餅酒では、お酒は「独居の友、万人和合す、位なくして貴人と交わる、推参に便あり、旅行に慈悲あり、延命の効あり、百薬の長、愁いを払う、労を助く、寒気に衣となる」といっています。 また、江戸時代の随筆を集めた百家説林では、柳沢淇園(きえん)が飲酒十徳として、「礼を正し、労をいとい、憂をわすれ、鬱をひらき、気をめぐらし、病をさけ、毒を解し、人と親しみ、縁を結い、人寿を延ぶ」といっています。 どちらの飲酒十徳も、お酒にはストレス解消と抗うつ作用があることをいっています。さらに、お酒は円滑なコミュニケーションを図ることができるなど、心理的な効果があることを強調しているようです。 「酒はうれいの玉箒(たまほうき)」 そして、近松門左衛門の戯曲の中にも、「酒はうれいの玉箒(たまほうき)」という名文句があります。 このように、日本では昔から和を重んじていたために、精神面の効果を特に強調していたのでしょう。日本の昔の人もストレスに悩んでいたのかもしれません。
アルコール健康医学協会が適正飲酒の知識を普及 お酒は楽しい時間をさらに盛り上げてくれます。適量のお酒は心身ともにリラックスさせ、コミュニケーションを円滑にします。ですから、お酒はさまざまな文化を生み出してきたといえるでしょう。ところが、飲み方を間違えると、お酒は凶器となって、人を死に至らしめることさえあります。 社団法人アルコール健康医学協会では、教材などを作ったりして適正飲酒を促進するための知識を普及させています。 適正飲酒10ヵ条 笑いながら共に、楽しく飲もう 自分のペースでゆっくりと 食べながら飲む習慣を 自分の適量にとどめよう 週に2日は休肝日を 人に酒の無理強いをしない 薬と一緒には飲まない(睡眠薬、安定剤、糖尿病薬など)。強いアルコール飲料は薄めて 遅くとも夜12時で切り上げよう 肝臓などの定期検査を 一気飲みなどに注意 さらに、場を盛り上げるために一気飲みをしたり、場に飲まれて飲み過ぎてしまわないように注意しなければいけません。
お酒を断るには理解者を大切に お酒の量はほどほどにして、1週間に2日間は休肝日をおき、バランスがとれた食事を取ることが、正しいお酒との付き合い方です。悪酔いや急性アルコール中毒を起こしては、お酒と楽しく付き合っていくことはできません。お酒と上手に付き合っていくためには、お酒を上手に断ることも必要です。 断り上手になるための基本は、自分自身と自分をよく分かってくれる理解者を大切にすることです。「お酒を断ることくらいで嫌いになるような了見の狭い人に好かれる必要はない」というくらいの思い切りが必要かもしれません。 といっても、義理などが絡んだりすると、なかなか断れません。そういう場合はとにかく断ることが先決ですから、時にはうそも方便です。 ただし、すぐばれるようなうそは墓穴を掘ってしまいますから注意しましょう。そして、断る時には最後にそれを和らげる笑顔や一言があれば、人間関係は壊れないものです。 適正飲酒ということが勧められていますが、適量のお酒は人生の良きパートナーとなります。楽しくお酒と付き合っていきましょう。
法律で定められた節度ある飲酒 あまり知られていませんが、日本には「酒酔い防止法(酒によって公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律)」という法律があります。過度の飲酒が個人や社会に及ぼす危害を防ぐために、昭和36年に施行されました。 第2条には「すべて国民は、飲酒を強要するなどの悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない」と規定されているように、節度ある飲酒は法律で定められているのです。 めいてい者が起こした問題に対するシステム そして、節度ある飲酒が守られず、お酒によって正常な行為ができない恐れがあるめいていによって問題が生じた場合には、主に警察官が色々な任務を負っています。 例えば、公共の場所や乗り物の中にめいてい者がいて、ほかの人に迷惑をかけていたりしたら、警察官はめいてい者を保護することになっています。 また、めいてい者が慢性アルコール中毒やその疑いがある時には、警察官は保健所長に通報しなければなりません。通報を受けた保健所長は必要と認めたら医師の診断を受けるように勧めることになっています。 さらに、めいてい者が公衆に迷惑をかけた場合の罰則等に関する規定もあります。
アルコールを飲み続けた後は、麻酔が効きにくい 体内に入った麻酔は肝臓で代謝されます。その時には、ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)という酵素がはたらきます。ところが、MEOSはアルコールの代謝も行います。そして、ほかの薬剤や毒物よりもアルコールをまず最初に代謝する仕組みになっています。 お酒を飲み続けるとお酒の代謝にMEOSはどんどん使われますから、MEOSの活性は強くなっていきます。MEOSが強くなると、アルコールだけでなく薬剤などに対する代謝能力も高まります。 そして、通常の量の麻酔を投与しても、すぐに分解されてしまうのです。ですから、アルコールを飲み続けた後では、麻酔が効きにくくなってしまいます。 アルコールは麻酔にならない ところで、アルコールを全身麻酔として使おうとして、外科の手術ができるように痛みがなくなるまでアルコールの血中濃度を上げると、急性アルコール中毒になってしまいます。そして、すぐに呼吸が抑制されて生命が危険にさらされてしまいます。ですから、アルコールを飲ませて全身麻酔をかけることは無理なのです。
微量金属が変化すると病気になる 微量金属全体としてみても体重の0.02%にしかなりませんが、最近の研究で生体の維持機能に大変重要な役割をしていることが明らかになってきました。 必須微量金属には、亜鉛、鉄、銅、セレンなどがあります。アルコールは微量金属の体内動態にも変化を与えます。そして、アルコールによる体内の微量金属の変化が、病気に影響することも分かってきました。 アルコールは亜鉛が少なく、鉄が多い 常習飲酒家には低亜鉛血症がしばしばみられます。肝障害がない場合は30~60%、アルコール性肝硬変の場合には70%以上に低亜鉛血症がみられるといわれています。 アルコール性肝障害の人は、摂取カロリーの半分はアルコールで取っているといわれています。しかし、アルコールは全く亜鉛を含まないので、低亜鉛血症になると考えられています。 亜鉛欠乏が起こると皮膚症状、性せん機能障害、成長障害、免疫異常、食欲の低下、たんぱく質合成障害、下痢、抑うつ症状など色々な症状がみられます。 また、お酒を飲むと鉄が過剰になりやすいといわれています。アルコール性肝硬変では血清鉄の増加がみられ、肝臓の組織中の鉄含有量も増加しています。この鉄過剰がお酒を飲むとさらに組織障害を引き起こし、肝硬変を進行させるといわれています。 一方、銅やセレンについては研究者によってまちまちで、まだ一定の見解が得られていないようです。
血液におけるアルコールの影響 アルコールと血液凝固・線溶系の変化については、今までさまざまな研究が行われてきています。その結果はアルコールの種類、飲み方、あるいは測定法の違いによってかなりばらつきがあります。 一般的には血液凝固系である血小板機能に及ぼす影響としては、アルコールが血小板凝集を抑制するため、出血傾向があるといわれています。しかし一方では、お酒を飲むと血液の粘性が増して、脳梗塞、血栓症を起こしやすいというデータもあります。 中間代謝物質アセトアルデヒド ところで、アセトアルデヒドはアルコールの中間代謝物質で、悪酔いの原因であると考えられています。最近の研究でこのアセトアルデヒドそのものが、かなり強力な血小板凝集抑制作用を持つということが明らかにされています。 また、アルコールは線溶を亢進するといわれています。つまり、血栓を溶解するはたらきがあるということです。特に焼酎はほかのアルコール類よりもそのはたらきが大きいといわれています。従って、適量な飲酒は血栓症に対しては、理想的な予防薬といえるかもしれません。 どのくらいが適量なのかはよく分かっていませんが、飲み過ぎは体に良くないことは当然です。
ビタミン代謝に異常を来すアルコール 近ごろでは過剰栄養が問題となっていて、ビタミン不足もなくなったように思われがちです。ところが、アルコールによるビタミン不足は、現在でも大きな問題です。 健康な人ではビール中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブルで1杯くらいなら影響はないと考えられています。しかし、たくさんのお酒を飲むとビタミン代謝にさまざまな異常が起こります。 これは、食事からのビタミン摂取不足や、腸からの吸収障害が主な原因として考えられています。また、アルコールを代謝するためにビタミンが使われるため、必要なビタミンの量も増えることも問題です。 ビタミン不足によるさまざまな障害 代表的なものを幾つか上げますと、アルコール性肝硬変では血液中のビタミンAが低下します。ビタミンA不足になると、疲れやすくなったり、眠れなかったり、食欲がなくなったりします。 そして、アルコールによるビタミンB1欠乏では脚気や、意識までおかしくなるウェルニッケ型脳炎が起こります。さらに、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12の欠乏では貧血を起こします。 なお、どのくらい飲んだらビタミン欠乏が起こるのかは、まだ分かっていません。
測定方法の発展の経緯 アルコール濃度の測定は、1922年(大正11年)にスウェーデンのWidmarkが、エタノールの揮発性と還元能力を応用した拡散法を発表したことから始まりました。 この方法は簡単なのですが、エタノールに特異的なものではなく、アセトンやアンモニアなどの影響を受けました。ですから、糖尿病や尿毒症を患っている人では正確な測定はできませんでした。 その後、蒸留法、酵素法と色々考えられてきました。現在ではガスクロマトグラフィという機器を使った方法が、精度が高いのでよく用いられています。また、酵素法による測定用キットとして、試薬が市販されていて、病院などでも比較的簡単に測定することができます。 血中アルコール濃度を出す算式 また、簡易的に飲んだアルコール量を基に、計算によって血中アルコール濃度を出す算式もあります。 アルコールの血中濃度(%) 飲酒量(ml)×アルコール濃度(%) =─────────────────── 833×体重(kg) 例えば体重60kgの人がビール大瓶1本飲むと、この計算式ではその血中濃度は0.063%というようになります。
人気のあるビールや日本酒の場合 アルコール含有量はアルコール飲料の種類によって違いますが、銘柄によっても違い、それぞれ特徴が見られます。一般的によく飲まれている日本酒は、100gあたりのアルコール含有量は15g強ですから、日本酒1合に含まれるアルコールは約28gです。 また、ビールはいろいろな銘柄が発売されて、アルコール度数(容量%)も2.5%から7%くらいまで幅広くあります。大体、一般的に売られているビールはアルコール度数5%なので、その場合のアルコール含有量は大瓶1本(633g)で32g、レギュラー缶1本(350g)で18gです。 ウォッカ、ウイスキー、カクテルのアルコール吟有量 アルコール度数が高いのはウオツカ(50%)、ウイスキー(43%)などですが、1杯の量が少ないのでアルコール含有量としてはそれほど多くありません。ウオツカシングル1杯(30g)で15g、ウイスキーシングル1杯(30g)で13gとなっています。 一方、ビン入りのカクテルや酎ハイは100gあたりのアルコール含有量は大体6gから7gですから、1本あるいは1杯(180~200g)でアルコールは12gから13g含まれることになります。 カクテルや酎ハイは口あたりが良く、飲んでしまいやすく、摂取アルコール量が多くなってしまう可能性があります。ですから、アルコール度数が高いお酒をゆっくり少量飲む方が、結局摂取アルコール量は少ないかもしれません。
女性のアルコール性肝障害は男性よりも死亡率が高く注意が必要です。性別の違いが、なぜ肝障害のなりやすさにまで関係するのでしょうか。 目次 女性はアルコール性肝障害になりやすい! 飲んだお酒の量は同じでも… 男性の乳房が女性化する!? 女性はアルコール性肝障害になりやすい! かつての日本では、飲酒を習慣としているのは格段に男性のほうが多かったのですが、近年その差は縮まってきています。現代は、男女を問わずお酒を楽しむのが自然な時代といえるでしょう。 飲酒によって体内に取り入れられたアルコールは主に肝臓で分解されますが、この肝臓のはたらきが限界に達すると、肝硬変をはじめとするアルコール性肝障害が起きてしまいます。実はこの肝障害、男性と比べて女性のほうが起きやすいことがわかっています。その理由として、アルコールを摂取した際の肝臓にかかる負担が、女性のほうが大きいことが挙げられます。 飲んだお酒の量は同じでも… 同じ量のお酒を飲んでも、女性のほうが血液中のアルコール濃度は高くなる傾向にあります。前述の肝臓への負担を含め、体のつくりの違いにより、アルコールの分解に関して男女で違いがみられるようです。 アルコールの分解に関係する男女の体の違い ●肝臓の大きさ 肝臓の大きさは体格に比例するので、一般的に女性は男性より体格が小さい分だけ肝臓も小さくなります。そのため、男性と同じ量のアルコールを摂取した場合、肝臓が小さい女性のほうが分解できる量も少なくなり、肝臓にかかる負担も大きくなってしまいます。 ●筋肉の量 アルコールは肝臓に続いて筋肉などでも分解されることになります。そのため、筋肉量が多い男性のほうが分解が速く、女性のほうが血液中のアルコール濃度が高くなります。 ●脂肪の量 個人差はありますが、総じて女性のほうが男性より体脂肪率は高いもの。アルコールは脂肪には取り込まれにくいので、同じ量のアルコールを摂取すると、男性より女性のほうが、血液に溶け出すアルコールは多くなります。 ●体重 男性のほうが女性よりも、一般的に体重が重いです。これは、男性のほうが女性より体内の血液の量が多いことを意味します。同じ量のアルコールを摂取しても、アルコールが溶け出る血液が少ない女性のほうが、血液が多い男性よりも、血液中のアルコール濃度が高くなります。 男性の乳房が女性化する!? 肝臓には、アルコールの分解のほかにもさまざまな役割があります。そのひとつとして、女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンを分解する役割も担っています。そのため、大量の飲酒などによる肝障害が起きると、正常に分解されなかったエストロゲンが血液中の多く溶け出すことになります。この影響により、肝障害を起こした男性では、女性のように乳房が大きくなる「女性化乳房」がみられることがあります。 「酒は百薬の長」と呼べるのは、性別は関係なく、あくまでも適度な量を守ったうえでのこと。自分の肝臓を気づかいながら、飲みすぎに注意して楽しむようにしましょう。
周りの大人が罰せられる 日本では「未成年者飲酒禁止法」という法律によって、20歳未満の飲酒が禁じられています。この法律は大正11年に施行されたものです。そして、親権者に対しては、未成年者の飲酒をやめさせる義務と責任があることがはっきり定められてます。 さらに、お酒を扱っている業者に対しては、未成年者にお酒を売ったり与えたりした場合は、罰せられることになっています。ですから、お酒を飲んだ未成年者本人が罰せられるわけではなく、周りの大人が罰せられるのです。 最近は家族の勧めが多い ところが、最近の調査によると中学生の57%、高校生の75%が飲酒経験をもっているそうです。しかも、未成年者が初めてお酒を飲む機会は、家族の勧めが多いようです。 10代ではまだアルコール代謝酵素も未完成で、成長期にお酒を飲むことは体にとってマイナスになるだけでなく、精神的にも悪影響を及ぼします。周囲の大人が子供の飲酒の害をきちんと考えて、未成年者の飲酒を防止することが大切です。
ノルウェーでは一つの県に一つは医療施設がある アルコール問題はその国にとって重大になる可能性があるので、どの国でも真剣に取り組んでいます。アルコールへの対応が進んでいる国では、一般医療システムとは別にアルコール問題に対処する施設があります。 その代表的な国がノルウェーで、19の県がありますが、その一つ一つに少なくとも1施設あります。治療方法も患者によってそれぞれ変えています。オーストラリアやイギリスでも、アルコールで問題を抱える人に対してきめ細やかな対処をしています。 精神病院の一般病棟のケースも多い ところが、ケニアのように精神病院の一般病棟が、アルコール問題の治療の場となっている国も多いようです。また、メキシコなどのように罪悪感の問題として、カトリックの牧師が教会でお説教をするだけという所も見られるようです。 また、アメリカでは1980年代の半ばに依存症の入院治療が急速に伸びて、医療コストに重大な影響をもたらしました。そのため、入院や外来治療期間の短縮化が進む傾向にあります。なお、最近ではアルコール問題を早い段階で発見し、早期治療をしようという考え方が多くの国で取り入れられています。
薬よりアルコールと優先的に代謝 アルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)によって代謝される経路の外に、ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)という酵素によっても代謝されます。このMEOSは、アルコールを代謝するための専門の酵素ではなく、薬やそのほかの毒物も代謝します。 ところが、体内にアルコールが存在すると、アルコールを第一の毒物として考えるようで、アルコールを優先的に代謝してしまいます。ですから、薬をアルコールと一緒に飲むと、薬の代謝は後回しになるので、薬が効き過ぎることになってしまいます。 飲酒中は代謝能力が高い また、お酒を飲み続けていると、酵素がずっと出ていることになりますから、代謝能力が非常に高くなっています。ですから、通常の量の薬を飲んでもすぐに分解されてしまって、薬が効きにくくなります。 一方、最近市販されるようになった胃かいようの治療薬であるH2ブロッカーという薬(ラニチジンやシメチジンなど)は、ADHを使うアルコール代謝を遅らせるといわれています。
妊娠中の飲酒が要因 妊娠中にお酒を飲むと、胎盤を通って直接胎児にまでアルコールが運ばれます。ですから、時には胎児性アルコール症候群(FAS)を引き起こすことがあります。 欧米では1万人に3~4人の割合でFASが起きるといわれていますが、日本では1万人に1人以下です。ただし、アルコールを大量に継続して飲んでいる人では、その割合はかなり高くなります。 症状は発育や知能の障害 FASの赤ちゃんに見られる障害としては、発育障害、知能障害、顔容異常などがあります。一般的には発育障害や知能障害は、学齢期に達しても回復しにくいといわれ、行動上も、情動不安定、落ち着きがなく、注意力散漫などが見られます。 どのくらいお酒を飲むとFASが起こるのか、どのくらいのお酒ならば飲んでいいのかということは、今のところ分かっていません。 しかし、妊娠中に安全なお酒の量はないと考えておくべきでしょう。さらに,妊娠中だけでなく母乳によって、赤ちゃんにアルコールの影響が出ないわけではありません。ですから妊娠から授乳期間中はお酒を控えるべきといえます。
少しのお酒ですぐ顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、頭が痛くなったりすることを「フラッシング」といいます。お酒に弱い人の特徴的な症状です。 目次 日本人は約半数がフラッシング 急性アルコール中毒になりやすい 日本人は約半数がフラッシング 少しのお酒ですぐ顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、頭が痛くなったりすることをフラッシングといい、お酒の弱い人の特徴的な症状です。 これは、エタノールの中間代謝物質であるアセトアルデヒドを分解する2型のアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH2)が、遺伝的な変異によってそのはたらきをしなくなっている(欠損型)ために起こることが分かっています。日本人にはこのフラッシング・タイプの人が約半数いると言われています。 ところが、白人や黒人ではフラッシングが起こる人はほとんどいません。ですから、フラッシングのことは一般的に欧米では知られていませんので、レストランやパーティーなど公の場所で、顔を赤くして飲んでいると、軽べつのまなざしで見られてしまうことがあります。 急性アルコール中毒になりやすい ところで、フラッシングが起こるために、欠損型ALDH2を持っている人は、お酒を飲む機会や1回に飲む量が少なくなります。ですから、欠損型ALDH2は大量飲酒やアルコール依存症になることを抑制することになります。その反面、急性アルコール中毒にはなりやすくなります。
お酒に強い弱いを決めるのは、ALDH2を多く持っているかどうかです。もともと飲めない人が鍛えて強くなった場合は、体にとって危険なことのようです。 目次 日本人は生まれつきお酒に弱い 鍛えて強くなった場合は危険 日本人は生まれつきお酒に弱い アルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドになり、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸になり、最終的には炭酸ガスと水にまで分解されます。 ALDHにはアセトアルデヒドが低濃度の時にはたらくALDH2と、高濃度にならないとはたらかないALDH1があります。このALDH2を多く持っているかどうかが、お酒に強い弱いを決めます。ALDH2は遺伝するものですから、お酒に強い弱いは生まれつきの体質です。 日本人の約半数は生まれつきALDH2が弱いか欠けていますので、外国人に比べてお酒に弱い人が多いのです。 ところが、アセトアルデヒドはミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)という酵素でも分解されます。MEOSは鍛えるとその力が強くなってきますから、飲めない人が練習をしているうちに飲めるようになることもあります。 鍛えて強くなった場合は危険 ただし、MEOSは数週間お酒をやめていればもとの状態に戻ってしまいます。 それに、MEOSを使い過ぎると肝障害を起こしやすくなりますので、もともと飲めない人が飲めるようになったというのは、体にとっては危険なことのようです。
モンゴロイドの中で突然変異 アルコールの中間代謝物質アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)には、アセトアルデヒドが低濃度の時にはたらくALDH2と、高濃度にならないとはたらかないALDH1があります。なかでもALDH2は遺伝する酵素で、お酒に強い弱いを決めます。 このALDH2は人種によっても差があります。はるか昔、人類が黒人、白人、黄色人種という三大人種に分かれた後、なぜか黄色人種であるモンゴロイドの中に、突然変異的にALDH2の活性を無くしてしまった人が出現しました。 そして、時の流れとともにモンゴロイド系にはお酒の弱いALDH2不活性が多くなっていきました。現在でも、モンゴロイドでは失活型を含めるとALDH2不活性型は約半数で見られ、モンゴロイドの特徴となっています。 黒人、白人はALDH2活性型 一方、黒人や白人ではALDH2不活性型はまったく見られず、すべてALDH2活性型です。黒人や白人がたくさんお酒を飲めるのは、日本人よりも体格が大きいからだけではなく、ALDH2という酵素のはたらきの違いによります。
NADの助けを借りてアルコールを処理 体内でアルコールを処理する酵素の一つです。主に肝臓でアルコールがアセトアルデヒドに変換される時に使われます。この変換の時にはADHの作用を助けるニコチン酸酵素NADが必要です。ADHの作用を手伝ったNADは自分自身がNADHとなります。 すると、細胞内のNADとNADHの割合が変わってしまいます。NADはADHの手伝いをするだけでなく、たくさんはたらく場所があります。ですから、NADが減ってしまうとスムーズに変換が起こらなくなってしまいます。 胃にも存在する ところで、ADHは主に肝臓で働いていますが、本来は胃にも存在しているのです。日本酒2分の1合、ビール小瓶1本、ウイスキーシングル1杯程度をたまに飲んだ場合、7割以上が胃で代謝されます。 ところが、量が多かったり、空腹時に飲むと胃の運動によってすぐに小腸に送り出されてしまい、肝臓で代謝されることになります。そして、お酒を飲み過ぎて胃の粘膜を荒らすと、胃に存在するADHは減ってしまい、さらに肝臓の負担が増えます。 また、ADHの処理能力を超えた過剰のアルコールに対しては、ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)という酵素がはたらき、アルコールを分解します。
心地良いのは血中アルコール濃度が0.1%前後 吸収されたアルコールは血液中に入り大脳にも達し、抵抗力の弱い大脳新皮質といわれる部分から麻酔をかけていきます。ですから、血中アルコール濃度と酔いの症状には関係があります。 心地良く感じられるのは、血中アルコール濃度が0.1%前後ですから、ビール1、2本、ウイスキーダブル1、2杯、日本酒1、2合位となります。この時期はほろ酔い初期といわれ、アルコールが脳の理性や判断をつかさどる部分のはたらきを抑えるので、本能的な活動が出てきます。 さらに、お酒が進むと、アルコールは知覚や運動神経をまひさせてしまいます。ですから、舌がもつれて言葉が分かりにくくなったり、千鳥足になったりして、めいてい期といわれます。めいてい期の血中アルコール濃度は0.16~0.30%で、ビール5本、ウイスキーダブル5杯、日本酒5合位に相当します。 こん睡期には死亡することも そして、こん睡期といわれる時期になると、感覚まひや呼吸まひなどを起こし死亡することもあります。こん睡期では血中アルコール濃度は0.41~0.50%で、ビール10本以上、ウイスキーボトル1本以上、日本酒1升以上です。 ですから、お酒をおいしく、楽しく飲むためには、ほろ酔い初期の段階で切り上げることが望ましいわけです。
欠損型か正常型かを判別 日本人には2型のアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH2)(エタノールの中間代謝物質であるアセトアルデヒドを分解する酵素)が、遺伝的な変異によってその活性を失っている欠損型が約半数に見られます。 そこで、ALDH2が欠損型か、正常型かを見分けられることができれば、アルコール処理能力が分かります。これを見分けるための方法として、エタノールパッチテストがあります。 まず、消毒用アルコール(アルコール度数は70%)をガーゼに湿らせて、ひじの内側や横腹など皮膚の柔らかい場所にテープで貼ります。そして、7分ほど経ったらテープをはがし、さらに約10分ほど経過してから反応を見ます。張った部分が赤くなっていればALDH2欠損型で、皮膚の色が変化していなければALDH2正常型ということになります。 お酒を飲んでいない時に ただし、この試験はお酒を飲んでいない時に行わなければなりません。また、運動直後やお風呂上がりも避けて、安静時に行うようにします。そして、貼ったテープの上を押えないなどの注意点を守って行えば、かなり正確に判定することができます。
二日酔いの有力な犯人 アセトアルデヒドは、血液中のアルコールが肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって分解された中間代謝物質です。このアセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により分解されて酢酸になり、最終的には炭酸ガスと水にまで分解されます。 ところで、アセトアルデヒド自体は、吐き気、呼吸促拍、心き亢進を起こすなど、アルコールよりも数倍も強い生体反応を起こす有害物質です。 ですから、ALDHのはたらきが悪いと、血液中に有害なアセトアルデヒドがいつまでも残りますから、悪酔いを起こすことになります。アセトアルデヒドが引き起こす症状が、二日酔いの症状に大変似ているため、アセトアルデヒドが二日酔いの有力な犯人の一人と考えられています。 顔が赤くなるのはALDHが少ない また、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は、生まれつきALDHが少ないのです。ですから、アセトアルデヒドが血液中にどんどん流れ出てしまい、アセトアルデヒドの作用で血管が拡張し、そして顔が赤くなるのです。 さらに、慢性的にアセトアルデヒドは肝障害を引き起こすともいわれています。
胃と小腸で吸収され、肝臓で分解される アルコールはまず約3割が胃から吸収され、胃内で乳び状になった残りが小腸から吸収されます。 そして、血液中に入ったアルコールは門脈を通って、肝臓に運ばれます。肝臓にはアルコールを分解するアルコール脱水素酵素(ADH)と、ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)があります。 主にADHによってアルコールは分解されアセトアルデヒドになります。アセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により分解されて酢酸になり、最終的には炭酸ガスと水にまで分解されます。 過剰のアルコールはMEOSで代謝 この経路で処理できる量を超えた過剰のアルコールは、MEOSを使った経路で代謝されます。アルコールはMEOSでも同じようにアセトアルデヒドから酢酸になります。アルコールは約8割がADHで分解され、残りはMEOSによって分解されます。 ただし、ADHがアルコール専門の酵素なのに対して、MEOSは一般的な薬剤を代謝する酵素なので、アルコールも代謝できるというわけです。
止まらない日本のアルコール消費量 わが国のアルコール消費量は年々増加の一途をたどっています。国税庁統計年報書によると、1993年度の純アルコール消費量は826,109klです。成人の飲酒者はおよそ6300万人といわれていますので、飲酒人口1人当たりの純アルコール消費量は約8.8Lとなります。 純アルコール消費量は1965年度を100とすると、1993年度では227にもなっています。WHOが1980年にアルコールの消費を減らすための提言を行いましたが、その増加の勢いはとどまりません。 ところで、世界の動向をみると、欧米先進諸国のアルコール消費量は減少傾向、あるいは頭打ちの傾向にあります。わが国の消費量は欧米諸国と比べると少ないのですが、日本人の約半数はアルコール代謝能力の一部が欠けているという人種的特徴を考慮しますと、この消費量はむしろかなり多いものと考えられます。 アルコール関連問題が深刻に こうした近年のアルコール消費量の増加に伴い、アルコール関連疾患、アルコール依存症など、アルコールに起因する健康障害も増加しています。さらに、交通事故、犯罪・非行、家族崩壊などのアルコール関連問題も深刻度を増しています。
訓練で飲めるようになるのもMEOSのはたらき 体内に入ってきたアルコールを処理する酵素の1種です。MEOSとはミクロゾーム・エタノール酸化系の略語です。 MEOSは、肝臓の細胞の中にあるミクロゾームという小さな器官に存在します。幾つかの酵素が集まっており、薬物を解毒する肝臓の酵素・チトクロームP450の一部もかかわっています。 アルコールは通常、ADH(アルコール脱水素酵素)やALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)の経路を通って解毒されますが、大量に飲むと、それだけでは処理しきれません。 この時はたらくのがMEOSです。最初は飲めなかった人が、訓練するうちに飲めるようになるのは、MEOSが関係しているとも考えられています。 MEOSが活躍しない方がいい といっても、MEOSが活発になるのは危険な徴候です。MEOSを駆り出さなくてはならないほど大量の飲酒を続けているからです。肝臓やそのほかの体の障害は、MEOSがはたらく人ほど高度というデータもあります。
酵素ALDHのはたらきは人によって違う 体内に入ってきたアルコールを処理する酵素の一つがアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)です。 アルコール脱水素酵素(ADH)によって、アルコールはアセトアルデヒドになりますが、このアセトアルデヒドを処理します。 ALDHのはたらきには人種差・個人差があります。 これはALDHのタイプによります。 ALDHには、 アセトアルデヒドが増えないとはたらかないタイプ 少量のアセトアルデヒドでもせっせと分解するタイプ があります。 前者はALDH1、後者はALDH2と名付けられています。 ALDH2にはさらに、はたらき者のALDH2*1と、はたらきの弱いALDH2*2の2タイプがあります。 欧米人はすべてALDH2*1を持っているのに、日本人の約半数は、ALDH2*1を持たないか、はたらきの弱いALDH2*2しか持っていません。 日本人には下戸が多い? 仮に、はたらきもののALDH2*1を★、はたらきの弱いALDH2*2を☆にします。 酵素は遺伝子から作られますから、お母さん、お父さんのどちらかのタイプの遺伝子を受け継いでいます。 すると欧米人では★★しかいないのに、日本人は★★、★☆、☆☆の3タイプがいることになります。 ★★はアセトアルデヒドが体内にできたら少量でもせっせと分解します ★☆タイプは分解はするものの、能力はやや劣ります ☆☆はアセトアルデヒドができても処理できないタイプになります お酒を飲んで赤くなったり、気持ち悪くなるのはアセトアルデヒドのせいですから、その処理能力が上戸と下戸を分けます。 ★★はいくらでも飲めるタイプ、★☆はそこそこに飲めるタイプ、☆☆はアルコールを受けつけないタイプです。
つまみには塩分が多い お酒は百薬の長といわれるぐらいですから、適量であれば問題はありません。しかし対象がどんな病気であっても、飲み過ぎは体に良くありません。 お酒を飲む場合、アルコールそのものより、一緒に食べるつまみに問題があります。 お酒のつまみには、塩分を多く含むものが多いからです。 塩辛、さつま揚げ、ししゃも、みそ田楽、もつの煮込み、くんせいなどの乾きもの、バターピーナツ、チーズなどです。 塩をなめながら日本酒を飲むなどという人もいるぐらいです。お酒の量に注意することはもちろんですが、つまみの塩分にもかなり気を付ける必要があります。
3度のメシよりお酒大好き!というあなたでも、何とか肥満体形だけは避けたいというのが人の性というもの。お酒は飲みたい時に飲みたい!でもスリムな体型を保ちたい。そんな欲張りなあなたに送る肥満を予防するお酒の飲み方です。 目次 肥満・肥満症にならないためのお酒の適量とは? 高カロリーなおつまみは肥満の大敵 肥満・肥満症にならないためのお酒の適量とは? 例えば、アルコールを80ml飲用した場合のエネルギー量を考えてみます。 ビールの場合、大瓶3本弱に相当し、エネルギー量は740kcal、日本酒は約3合で574kcal、ウイスキーはダブル3杯で400kcalもあります。 酒類は総じてカロリーが高く、食欲も増進させるので肥満の大敵です。 つまり、太らないためには1日の総エネルギー摂取量からアルコールの摂取量を考えていかなければなりません。1日の摂取エネルギー量が2000kcalの人ならばビール中瓶1本くらいに止めておくのが賢明です。 高カロリーなおつまみは肥満の大敵 さらに、問題なのはおつまみです。酒類は食欲を増進させるうえに、おつまみには油っこく濃い味つけ、高カロリーなものが多いのが特徴です。 つまり、酒類のカロリーよりも、おつまみのカロリーで太ってしまうわけです。 そこで、飲酒の際には、肝臓の保護のためにも高たんぱくで、低カロリーのおつまみを食べたいものです。例えば豆腐などが最適です。