飽食がもたらした代償-生活習慣病 私たちは飽食の時代に生きているといわれる。周囲には飲食店が軒をつらね、スーパーやコンビニエンスストアには食材が年中あふれており、なに不自由なく空腹を満たすことができる。 一方、移動などの交通手段が便利になったため、慢性的な運動不足。あえてカラダを動かさない限り、日本人はたいていがカロリーオーバーだ。 昔は栄養失調が原因で、結核や肺炎にかかり死亡することが多かった。現代はむしろ食べ過ぎによる弊害がさまざまな疾患をひきおこしている。脳、心臓などの循環器系疾患や糖尿病が、食事などの生活習慣が原因となってひきおこされる病気だということは、もう誰も疑う余地のない事実である。 日本人は「部分的栄養失調症」に ところが私たち日本人はいま、部分的栄養失調の状態にあるという。 厚生労働省が実施する「国民栄養調査」の最新版によると、日本人は食生活において全般的に必要な栄養素を満たしているものの、食物繊維とカルシウムはマイナスの摂取状況だという。 食物繊維にいたっては1日摂取目安量の20~25gに対し、じっさいに摂れている量は14.3gと、かなり少ない。 私たちは昔、穀類や豆類、海藻などから食物繊維をたくさん摂っていたのが、食事の欧米化によって減ってしまったらしい。しかもこの50年で60%近くまで減ったというからオドロキだ。 同じ期間に生活習慣病の患者数、なかでも糖尿病患者が爆発的に増加していて、食物繊維の摂取量と反比例しているのがよくわかる。食物繊維の不足が、私たちのカラダにどのような影響をもたらしてきたのだろうか? 注目!「第6の栄養素」で生活習慣病予防 食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がある。 食物繊維といえば以前は、摂取してもエネルギー源にならず、ほかの栄養素の吸収をさまたげることからやっかいもの扱いされていた。ところが最近になって、私たちの健康、とくに生活習慣病の予防に貢献していることがわかってきた。 例えば水に溶けやすい水溶性食物繊維は、水に溶けるとネバネバの粘性をもつゲル状に変化する。私たちが食事をすると、食物に含まれる炭水化物が消化吸収されて血液に入り、血中のブドウ糖の量(血糖)が増えるが、水溶性食物繊維はそのネバネバによって、ブドウ糖が血液に吸収されるのを遅らせてくれる。つまり水溶性食物繊維は、食後に血糖値が上がるスピードを抑えてくれるというわけだ。 水溶性食物繊維 おもな食品:海藻、こんにゃくなど 効用:カラダの中でゲル状になり、糖の吸収速度を遅らせる。食後の急激な血糖値の上昇を抑制。 不溶性食物繊維 おもな食品:豆類、ごぼう、穀類など 効用:水を吸収し数倍にふくらむ。これが腸を刺激してぜん動運動を活発にし、便秘を予防。 また食物繊維を多く含む食品はカロリーが少なく肥満を防止するなど、いいことずくめ。 食生活の中に積極的に食物繊維をとりいれることで、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防に役立つことは間違いない。 やっかいもの扱いは過去の話。食物繊維はたんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルにつづく「第6の栄養素」として、生活習慣病に悩む現代人には不可欠な栄養素。意識して毎日の食事にとり入れ、健康なカラダづくりをめざそう! 公開日:2006年1月30日
糖尿病は症状のでにくい病気。血糖値が正常範囲内という結果が出ても、安心するにはまだ早いようです。空腹時血糖値が正常でも、食後血糖値をはかると糖尿病に該当してしまうことも…。まずは自分の血糖値を知って、かくれ糖尿病患者でないかチェックしておきましょう。 目次 糖尿病の典型的な自覚症状、合併症とは 糖尿病と診断するには 見逃される糖尿病もある 糖尿病の典型的な自覚症状、合併症とは その病名から「尿のニオイが甘い」と連想されることの多い糖尿病。古代インド史にも「蜜尿」と記述されるなど、大昔から尿の状態が糖尿病のサインとして注目されていたようです。糖尿病の自覚症状は通常、「痛い」「高熱が出る」といった苦痛をともなうことはありません。しかも初期の段階ではほとんど症状に気づかないため、病気と認識できず、見過ごしてしまいがちです。 糖尿病の典型的な自覚症状 ●異常にノドが渇く。水をよく飲む ●尿量が多い。夜中に何度もトイレに行く ●疲れやすい。体がだるい ●食べてもやせる。急激に体重が減る これらの症状を放置すると、しだいに次のような症状があらわれます。 糖尿病の合併症 ●視力が低下する。目が疲れやすい。モノが二重に見える(網膜症) ●手足がしびれる、痛む。下痢や便秘をおこす。顔面神経麻痺がおこる(神経障害) ●尿たんぱくが出る。体がむくむ(腎症) ※網膜症・神経障害・腎症は糖尿病の3大合併症 じつはこれらの症状が出るのは、糖尿病がかなり進行している証拠。自覚症状というより、もはや合併症の段階です。失明したり、腎臓のはたらきが悪くなって人工透析が必要になるなど、不自由な生活を余儀なくされることになります。 このように、気づかないうちに病気が進行し、いつのまにか手遅れになってしまうことから、欧米では糖尿病をサイレント・キラー(静かなる殺し屋)とも呼ばれています。 糖尿病と診断するには では、自覚症状の出にくい糖尿病を診断するには、どのような方法があるのでしょうか?糖尿病は、次のような状況で発見されるケースが多いようです。 ●地域や職場の健康診断、人間ドックを受診したとき ●別の病気で病院や診療所を受診したとき 糖尿病は、慢性的に血糖値の高い状態が続く病気です。したがって、血液中に含まれる血糖の量を調べることで、糖尿病であるかどうかが診断できます。 空腹時血糖値とは、糖尿病かどうかを調べる上で最も基本的なデータです。126mg/dLを超えると糖尿病と診断されます。 一方、食後血糖値とは、食事から2時間後の血糖値をはかるもので、食事でとりこんだブドウ糖がうまく利用されているかどうかを知る目安となります。200mg/dLを超えると糖尿病と診断されます。 コラム:血糖と糖尿病の関係 血糖とは、血液中にふくまれるブドウ糖のこと。私たちが主食として食べている米、パン、めん類などに含まれている炭水化物の多くは、ブドウ糖になる。腸から吸収されて血液中に溶けこんだブドウ糖(=血糖)は、インスリンというホルモンのはたらきにより脳や筋肉などに送りこまれ、全身を動かすエネルギー源となります。ところが、糖尿病になるとインスリンの量が不足するため、ブドウ糖が必要なところに送られず、血液中にたまって高血糖となります。 見逃される糖尿病もある 血糖値が正常範囲内という結果が出ても、安心するにはまだ早いようです。現在、地域や職場の健康診断で調べるのはおもに「空腹時血糖値」です。朝食抜きで採血した覚えのある人は、この「空腹時血糖値」を調べたことになります。 ところが糖尿病になりはじめの人は、この「空腹時血糖値」が正常でも、「食後血糖値」をはかると糖尿病に該当してしまうことがあります。 健康な人なら食事をするとただちにインスリンが分泌され、食後30分前後をピークに血糖値は下がります。糖尿病になりはじめの人は、食後にインスリンが分泌されにくくなっているため、血糖値が上がってしまいます。しかし時間がたつと正常値に戻るため、空腹時の検査では異常が見つからないのです。 実際に、日本で多くの人々を対象に行われた調査でも、「空腹時血糖値」だけでは糖尿病患者の約半数が見逃されているという結果が出ています。つまり、かくれ糖尿病がたくさん存在するというわけです。 糖尿病はとくに症状の出にくい病気です。まずは自分の血糖値を知って、かくれ糖尿病患者でないかチェックしましょう。自分の体に関心をもつことは、あらゆる生活習慣病予防の第一歩です。 ■関連記事 BMIチェック 糖尿病足病変のサインはふくらはぎの張りや痛みを呈する「閉塞性動脈硬化症」 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ おいしく食べて糖尿病を改善するコツ 患者さん自身が糖尿病を治す!(1)
甘くておいしいお菓子に炭酸飲料…。ついつい摂りすぎた糖分によって、低血糖症になることが。低血糖症のメカニズムとその症状について紹介。 目次 食事がわりにお菓子やジュース… 低血糖症のメカニズム 低血糖症はエネルギー不足状態 食事がわりにお菓子やジュース… コンビニやスーパーに並ぶポテトチップスやクッキー、チョコレート…。思わず手が伸びてしまうシロモノだが、あなたは一体、普段どのくらいお菓子を食べているだろう!? 総務庁の家計調査によると、お菓子類の購入金額は一世帯あたり年間で65,790円(平成14年)。なんとお米やパン、麺類といった穀物の購入金額70,541円に匹敵する金額にものぼっている。まさに、ご飯を食べるように、お菓子を食べているといった感じだ。しかも、この金額は菓子類のみ。炭酸飲料などの飲み物類を入れると…! こうした食生活の変化が、いま、問題を招きがちになっている。そのひとつが「低血糖症」。特に冷たいアイスや飲み物が欲しくなるこの季節、低血糖症をよく知って、よ~く注意してもらいたい。 低血糖症のメカニズム お菓子やアイスクリーム、炭酸飲料などの摂り過ぎによって引き起こされる血糖値の異常、それが低血糖症、あるいは反応性低血糖症と呼ばれる病気だ。名前の通り、血液中の糖分(ブドウ糖)濃度=血糖値が正常の範囲を超えて下がるため、カラダは常にエネルギー不足の状態に陥ってしまう。この影響を最も受けるのが、私たちのカラダの司令塔「脳」だ。脳は、血液中のブドウ糖を唯一のエネルギー源に活動する器官。血糖値が下がった状態のままでは、脳は正常にはたらくことができず、頭がボーッとし、集中力がなくなり、さらには無気力になっていく。 では、なぜお菓子類の摂り過ぎが、こんな深刻な事態を招くのだろうか。低血糖症になってしまうそもそもの原因は、糖分の性質にある。菓子類に含まれる糖分はカラダへ吸収されるのが速いため、急激に血糖値が上昇する。このため危険を感じたカラダは、血糖値を平常範囲へ戻そうと、すい臓からインスリンを分泌し、血糖値をこれまた急激に下げていく。ここまではカラダの正常な機能で、何も問題はない。 だが、菓子類を多く摂る生活が長く続くと、すい臓が疲れてうまく機能しなくなり、必要がなくてもインスリンを分泌し続けたり、少しお菓子を食べただけで過剰に反応し、必要量以上のインスリンを分泌するなどして、常に血糖値が下がり過ぎた状態が続くことになる。これが低血糖症なのだ。 低血糖症はエネルギー不足状態 低血糖の状態になると、脳がエネルギー不足となり、思うように活動できなくなるため、頭がボーッとしてきて、気力もなくなってくる。そこで脳は、低血糖の状態から脱しようと、アドレナリンというホルモンの分泌を促し、体内に蓄積されている糖分を血液中に出して正常な血糖値にするよう指令を出す。 このとき分泌されるアドレナリンというホルモンは、別名「攻撃ホルモン」とも呼ばれ、気分が高揚し、ときに攻撃的になってしまうという特徴がある。あなたも、お腹が空いたときに、イライラしたり、怒りっぽくなることはないだろうか。そう、あれは血液中の糖分が足りなくなり、アドレナリンがはたらきはじめた証拠なのだ。 低血糖症の場合、この状態が長く続くことになるのだから、精神的にも肉体的にも最悪の状態といえるだろう。 なかには、子どもたちがちょっとしたことでキレやすくなった原因のひとつとして低血糖症をあげる学者もいるほどだ。 ■低血糖状態になると ボーッとする 集中力がなくなる 落ち着きがなくなる 無気力になる ■アドレナリンが分泌されると 精神的:気分が高揚する、攻撃的になる 身体的:何かを食べたくなる 体内では:蓄積された糖分などが血液中へ 公開日:2003年7月14日
糖尿病予防と改善のため、欠かしてはならないのが運動です。運動のはたらきとおすすめの運動、また運動する際の注意について紹介します。 目次 食後には運動を どんな運動をすればよい? 運動中に気をつけること 食後には運動を 糖尿病予防と改善のため、欠かしてはならないのが運動です。適度な運動は代謝を高め、余分なエネルギーの燃焼に役立ちます。また、血液循環をよくしたり新陳代謝を高めるばかりでなく、心身のストレス発散にもよいようです。それでは、どんなときに運動するのが最も効果的なのでしょうか。 おすすめは食事の後です。糖尿病の人は食後の血糖値が下がるスピードが遅く、高血糖状態が続きます。しかし、食後に運動を行うことで、より速やかに血糖値を下げることができるのです。ただし、食事の直後は血液が胃に集まっており、心臓の血液量が少なくなっています。いきなり運動をすると、心筋梗塞リスクを高めてしまうので要注意です。30分~1時間経った頃に行うのがベストです。 朝は、必ず水分を摂ってから行いましょう。起きたばかりのときは、血液がドロドロになっているので、心筋梗塞を起こす危険があります。血糖値を下げる薬を飲んでいる人は、食前に体を動かすと低血糖になりやすいので気をつけましょう。 どんな運動をすればよい? 少しでもたくさんエネルギーを消費したい、という気持ちはわかりますが、あまりハードな運動はおすすめできません。 最も効果的なのは、ウォーキングやスイミング、軽いジョギングといった「有酸素運動」です。運動中に話ができる程度の、比較的楽なものです。こうしたスポーツは、体内に大量の酸素を取り込むため、長時間続けることができます。また、脂肪が最も燃焼するのは、最大運動量の40~60パーセント程度のとき。それより重すぎても軽すぎても効果的ではありません。高齢者など、膝の関節が痛くて歩けないという人は、水中歩行やエアロバイクなどがよいでしょう。頻度は週に3日~5日。時間のめやすは30分~1時間くらいです。 運動中に気をつけること とはいっても、今までまったく運動していなかった人がいきなり体を動かすのは危険。「若いときにやっていたから大丈夫」などとたかをくくらず、軽いものからじょじょに始めるようにしよう。 運動の前後には、必ずウォーミングアップとクーリングダウンを。また、長時間運動する場合には、甘いものを携帯し、低血糖を起こした場合に備えたいもの。 健康のための運動は、人に勝つために行うものではない。楽しみながら、長く続けるようにしよう。 ■関連記事 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ おいしく食べて糖尿病を改善するコツ 患者さん自身が糖尿病を治す!(1)
食物繊維は糖尿病予防の上でも欠かすことのできない栄養素です。食物繊維のはたらきや摂取のコツを紹介します。 目次 食物繊維が血糖値の上昇をゆるやかにする 難消化性デキストリンって? 上手に食物繊維を摂ろう 食物繊維が血糖値の上昇をゆるやかにする 便秘解消ばかりではありません。食物繊維は、糖尿病予防の上でも欠かすことのできない栄養素です。食物繊維には水溶性のものと不溶性のものがありますが、とくに水溶性食物繊維にはブドウ糖の吸収をゆるやかにするはたらきがあります。そのため、血糖値の上昇をゆるやかにします。また、食物繊維は小腸におけるコレステロールの吸収もガードするので、合併症予防も期待できるでしょう。おもな水溶性食物繊維は、熟した果物に含まれるペクチン、こんにゃくやヤマイモのマンナン、海藻類に豊富なアルギン酸、果樹や樹皮が持つグアーガムなどが挙げられます。 ■水溶性食物繊維 ペクチン…熟した果物 マンナン…こんにゃく、ヤマイモ アルギン酸…海藻類 グアーガム…果樹、樹皮 食物繊維のもうひとつの特徴は、低カロリーなことです。ということは、たくさん摂取しても太りにくく、満腹感も得られるので、肥満防止にも一役買うに違いありません。 難消化性デキストリンって? 難消化性デキストリンは、ジャガイモのデンプン質から作られた水溶性食物繊維です。体内に取り込まれると小腸からの糖分の吸収をゆるやかにし、結果的に血糖値の上昇をゆるやかにします。 これらの効果については、厚生労働省が一定の機能表示を許可しており、特定保健用食品として利用されています。 上手に食物繊維を摂ろう 食物繊維を豊富に含む食べ物には、大豆食品や海藻、きのこ類のほか、明日葉などの青菜、枝豆やグリーンピース、ごぼう、かぼちゃ、メキャベツ、エシャロットなどがあります。 おかずにはぜひ野菜を豊富に取り入れたいものです。忙しくて手の込んだ料理をする時間がない、という人は習慣的に食物繊維を食事に取り入れる工夫をしましょう。例えば、煮豆の常備菜を作りおきしたり、白米に麦を混ぜたりしてはどうでしょうか。手軽な乾燥わかめを頻繁に使ってもよいでしょう。 ■食物繊維の豊富な食品 大豆食品、海藻、きのこ類、こんにゃく、明日葉、枝豆、グリーンピース、ごぼう、かぼちゃ、メキャベツ、エシャロット
糖尿病を防ぐためには、血糖値を上げないようにすることが大切です。炭水化物による血糖値の上がり具合を相対的な比率で数字に表したグリセミック指数について紹介します。 目次 急増する糖尿病人口 血糖値を上げる食品を知る グリセミック指数(GI値)チェック GI値の変わる食べ合わせ 急増する糖尿病人口 糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)はいずれも約1,000万人と推計されています(厚生労働省 平成28年国民健康・栄養調査報告)。そのうち、ほとんど治療を受けたことがない人が2割以上でした。 ある研究によると、日本人の糖尿病患者は、欧米の患者に比べて肥満が少ない一方、合併症が多いことが明らかになりました。つまり、さほど太っていないにもかかわらず、糖尿病が進行しているケースが多々あるということです。 自分は糖尿病などとは無縁――そんな思い込みから、危険な食生活に陥ってはいませんか?普段口にしている食品のリスク度をチェックしてみましょう。 血糖値を上げる食品を知る グリセミック指数(GI値)チェック 糖尿病を防ぐためには、血糖値を上げないようにすることが大切です。あらかじめ、どの食品がどれくらい血糖値を上げるか知っておけば、健康的な食生活を送ることも可能になります。 そこで、考え出されたのがグリセミック指数(Glycemic Index:通称GI値)です。炭水化物による血糖値の上がり具合を、相対的な比率で数字に表したもので、食品中の糖質量や、消化のスピードによって決定されます。グリセミック指数が低い食べ物は吸収も穏やかで、腹持ちもよいです。逆に、高指数食品を摂り過ぎると、糖尿病リスクを高めることとなります。 グリセミック指数の例 100:ブドウ糖 90~100:食パン(目の細かいもの)、ベークドポテト、蜂蜜 80~90:にんじん、コーンフレーク 70~80:食パン、じゃがいも、白米ご飯 60~70:胚芽の混じったパン、ぶどう、バナナ 50~60:ジャム、グリーンピース、そば、玄米ご飯 40~50:ライ麦パン、うずら豆、煮豆 30~40:アイスクリーム、ヨーグルト、りんご、インゲン豆 20~30:平豆 10~20:大豆、緑黄色野菜、きのこ、海藻 GI値の変わる食べ合わせ 困ったことに、GI値(グリセミック指数)の高い食品には日常的に口にする食品も含まれています。米や麦などもそのひとつです。では、こうした食べ物は極力、避けなくてはいけないのでしょうか。 この問題を解消する方法がひとつあります。それは、食べ物を上手に組み合わせることです。実は、牛乳や酢、大豆を初めとする食物繊維の豊富な野菜などは、ほかの食品のGI値を下げるはたらきを持っています。したがって、砂糖と牛乳、米・麦と、大豆といった組み合わせでメニューを構成すると、GI値を低めに抑えることができます。食卓には野菜のおかずを豊富に。酢のものや、チーズを使った料理を取り入れてもよいでしょう。 コラム:GI値の低い食品とは? 口当たりのよい白米や、ふわふわの食パンはおいしいもの。だが裏に意外な落とし穴もあります。精白・精製されたこれらの食品からは、各種栄養素や食物繊維の多くがすでに取り除かれています。それに比べ、人の手のあまり加わっていない玄米や全粒粉パンのほうがGI値は低いようです。これは、新陳代謝を活発にするビタミンやミネラル、コレステロールを低下させる食物繊維を豊富に含むため。毎日、白米や食パンを食べているという人は、たまには玄米、全粒粉パンを食事に取り入れてはいかがでしょうか。 ■関連記事 線維筋痛症患者の低血糖対策として間食も有効 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ おいしく食べて糖尿病を改善するコツ 患者さん自身が糖尿病を治す!(1) 公開日:2014年9月29日
血液中に占める割合が小さいが、血糖はまさに、私たちの生命を左右する成分のひとつです。血糖のはたらきと一定の血糖値を守る私たちの体内の防御システムを探りましょう。 目次 血液の中身を探る 血糖は何をしている? 血糖値にはリズムがある 血液中の血糖を一定に保つシステム 血液の中身を探る 血液の中に含まれるものといわれて思い浮かぶのは、どんなものでしょうか?赤血球に白血球、コレステロール…。血液中には、実に約600種類もの成分が含まれているといわれます。 血液中に含まれる成分を大別すると、赤血球などの有形成分が約45%、水分や糖質、脂質などの液体成分が約55%。その液体成分のうち、「糖質」はわずか0.1%程度を占めるに過ぎません。たんぱく質が約7~8%、脂質が約1%含まれることを考えても、驚くほどわずかな含有量です。 血糖は何をしている? 血液中に占める割合が小さいとはいえ、血糖の役割は大きく、まさに、私たちの生命を左右する成分のひとつです。 まず、血糖の体内での作られ方を見てみましょう。血糖の原料となるのは、炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素です。これらの栄養素が食事によって摂られると、消化されて小腸に送り出されます。ここで糖分が肝臓へと吸収され、肝臓で血糖に変換されて血液中に送り出されます。 こうして血液中に送り出された血糖は、私たち人間が生活していくうえで最も大切なエネルギー源となります。とくに、脳にとっては唯一のエネルギー源として、さまざまな活動の源となります。 つまり、私たちが呼吸ひとつするにも、血糖がなければ話にならないということです。そのため人間の体には、たとえ一瞬でも血糖が枯渇することがないように、徹底した防御システムが組み込まれているのです。 血糖値にはリズムがある よく、おなかが空いたことを「胃がカラッポだ」と表現したり、胃のあたりを押さえて「おなかが空いた」といったりしますが、それは誤解です。空腹を感じているのは、実は「脳」。脳が血液中の血糖値が低くなったのを感知して、空腹感を訴えるように指令を出します。 また、すごくおなかが空いていたのに仕事や何かの事情で食事ができないでいる間に、空腹感を忘れてしまった、空腹感がそれほどでもなくなったという経験はありませんか!? 実はここに、血液中の血糖の枯渇を防ぎ、常に一定以上の血糖が血液中を巡るようにしている体の防御システムが隠されています。 血液中の血糖を一定に保つシステム 食事によってたくさんの血糖が血液中に送り出される ↓ すい臓からインスリンというホルモンが分泌され、当面のエネルギー源となる分の血糖を除いた分を蓄える 血糖をグリコーゲンに変換して筋肉や肝臓に蓄える ↓ 筋肉や肝臓の貯蓄スペースがいっぱいになると、血糖を脂肪に変換して脂肪細胞に蓄積 ↓ こうして生命活動に必要な分を残して血糖を処理し、血糖値を下げている その一方で、血糖が残り少なくなってきたのに食事をしないでいると… ↓ 筋肉や肝臓に蓄えたグリコーゲンを血糖に変換して血液中に送り出し、血糖を増やす ↓ さらに足りなければ脂肪細胞に蓄積した脂肪を取り崩し、血糖に再変換して血液中に送り出す つまり、食事をしたときに糖分をしっかり貯め込んでおいて、不足しそうになったら貯蓄を取り崩して補充するシステムが体内にはあります。このシステムのおかげで、体内では常に血糖値が、最高で160mg/dl、最低で70mg/dlの範囲内に保たれるようになっています。 ですが、どんなに精巧なシステムにもときとして狂いが生じてしまうように、体内のシステムも異常をきたすことがあります。血糖コントロールのシステムに異常が発生した場合には、どんな弊害が出てくるのでしょうか!? 公開日:2004年2月23日
血糖をコントロールするために毎日の生活の中でできることは?自分でできる血糖値検査、運動、食材、特定保健用食品まで幅広く紹介します。 目次 自分でも測りやすくなった血糖値 運動で血糖の流れを活性化する 食材で血糖をコントロールする 特定保健用食品(トクホ)を利用する 自分でも測りやすくなった血糖値 血糖値は、食事によってはもちろん、1日のうちでも変動が大きいものです。日頃から定期的に測ってコントロールしていきましょう。最近では、手の中にすっぽり入るようなサイズで簡単にチェックできる家庭用の血糖測定器も市販されているので、血糖値が気になりはじめたら、一家に一台、備えるのもおすすめです。 ただし、手軽に測れるからといって神経質に毎日、朝昼晩とチェックする必要はありません。また、そのときどきの検査値に一喜一憂する必要もありません。ときどき空腹時と食後に測って、メモし、血糖値の変化を見てみましょう。つまり、血糖コントロールを進めていくうえでの参考にするのが、上手な活用法といえるでしょう。 そのほかにも、気軽に血液検査が受けられる郵送健診なども広まってきている昨今。こうしたサービスを利用して、定期的に健康チェックしていくのもおすすめです。 家に居ながら専門機関での検診が受けられる 写真:財団法人愛知診断技術振興財団 血液や尿の検査をはじめ、さまざまな検査ができます。コンビニやインターネットで申込みをすると、問診票と検査キットが送られてきます。それを返送すると、およそ7~10日で結果が届きます。さらに、電話相談や専門医の紹介、食生活の指導などのアフターケアも行われています。 運動で血糖の流れを活性化する 運動による血糖コントロールの効果は2つあります。まずひとつは、運動によって筋肉に蓄えられたグリコーゲン(血糖が筋肉内に取り込まれたもの)とともに、血糖そのものも消費されること。これによって血糖値を下げることができます。 そしてもうひとつ。運動をすると、筋肉細胞に取り込む血糖の量が増えるのです。このため、インスリンにあまり頼ることなく、スムーズに血糖値を下げることができます。 手軽にはじめられる運動としておすすめなのは、やはりウォーキングです。体全体の約2/3の筋肉が集中している脚を使うために、運動効果があがります。もちろん適度なリズムと正しい歩行姿勢で歩くことが大切です。また、ひざや腰への負担を抑えたいなら、水中ウォーキングもおすすめでしょう。 ただし、すでに糖尿病と診断されている人や、血糖値が高いと医師から指摘されている人は、医師に相談してから実行してください。 食材で血糖をコントロールする 私たちがよく食べる食材の中にも、血糖をコントロールするはたらきがあるとされるものが多くあります。例えばタマネギ。糖尿病患者には、ミネラル不足の人が多いといわれますが、タマネギにはミネラル分が豊富に含まれ、インスリンの糖代謝作用をサポートするはたらきがあるといわれています。 また、納豆もおすすめの食品です。納豆に含まれるナットウキナーゼは、糖質を分解して血糖を下げるばかりでなく、血栓を溶かすはたらきまであるといわれています。 そのほかにも、さまざまな食材が、血糖を下げるはたらきがあるといわれています。ぜひ毎日の食生活に役立てたいものです。 血糖を下げる効果があるとされる食品 タマネギ、納豆、オクラ、ゴボウ、トウガン、ヤマイモ、コンニャク、サツマイモ、バナナ 特定保健用食品(トクホ)を利用する 特定保健用食品、略して「トクホ」とは、健康の維持・推進に役立つことが科学的に証明され、保健の効用を表示することを厚生労働大臣によって認可された食品です。あくまでも食品なので、薬のように劇的な効果は期待できませんが、その分、安心して摂りやすいのが特徴です。 血糖値が気になりはじめたら、運動や食生活を見直すなどに加え、こうした血糖値を調整する食品も上手に活用してみましょう。血糖を意識し、積極的にコントロールしようと心がけることで、血糖はきっと改善していくことができるはずです。 公開日:2004年2月23日
血糖が低いと体にはどんな影響が出るのでしょうか?また、高い場合は?意外に知られていない低血糖状態を引き起こす病気と、糖尿病に代表される高血糖による病気を紹介します。あなたは大丈夫でしょうか!? 目次 血糖値が低くなりすぎる場合 血糖値が高すぎる場合 血糖値が正常の範囲から外れたら? 血糖値が低くなりすぎる場合 血糖値が低くなりすぎるということは、すなわち私たちの体が生命活動を維持するのに必要なエネルギーが不足しているということ。頭痛やめまい、視界がくもって見にくいなどの不調があらわれ、ひどいときには昏睡状態に陥る危険も出てきます。こうした状態が「低血糖」状態です。 インスリノーマ 食事で血糖が増えると、血糖の処理をすみやかに促し、血糖値の上昇を抑えるホルモン「インスリン」は、すい臓のランゲルハンス島という部位から分泌されます。このランゲルハンス島に腫瘍ができ、インスリンが過剰に分泌されるのがインスリノーマという病気です。インスリンが過剰に分泌されると、血糖の処理が進み、ときに低血糖の状態に陥ることになります。10万人に1人の割合という非常に珍しい病気で、治療で改善が望めます。 高インスリン血症 肥満や脂肪分の多い食事などが引き金となって、インスリンのはたらきが弱まり、それをカバーしようと過剰にインスリンが分泌され、ときに低血糖状態に陥ることがあります。 また、インスリンは血糖を処理するばかりでなく、血圧をあげる、血液中の中性脂肪を増やす、HDL(善玉)コレステロールを減らすといったはたらきもあるため、高インスリン血症が長く続くと、動脈硬化が進み、高血圧や脂質異常症、さらには糖尿病を発症する危険性も高くなります。 血糖値が高すぎる場合 体内には、血糖を処理するホルモンはインスリンしかありません。そのためインスリンが何らかの理由で必要分が分泌されなくなったり、作用が弱まったりすると、血糖値は上昇するばかり。 しかし、血糖値が高すぎる状態が長い間続くと、俗に「ドロドロ血」と呼ばれる状態となり、体のさまざまな器官に悪影響を及ぼします。特に深刻なのが血管への障害です。高血糖が血管へ大きなダメージを与えるために、動脈硬化が進んでしまいます。また、尿量が増えて、たんぱく尿が伴うと高血圧に。さらには神経障害招き、四肢のしびれ、感覚異常などが発症する可能性さえあります。 そこで、血糖値が約170mg/dl以上になると、その多すぎる血糖を尿に溶かして排出するシステムがあります。さらに、血糖値があまりに多いと、尿に溶かせる糖分の量に限りがあるため、体内のさまざまなところから強引に水分を調達し、糖分を排出しようとします。これが高血糖症、いわば糖尿病の初期状態です。 糖尿病 日本では藤原道長が第一号だといわれている糖尿病患者は、強く疑われる人と可能性を否定できない人をあわせて、全国で約2,050万人にも達します(厚生労働省 平成24年国民健康・栄養調査報告)。 糖尿病には、おもに2つのタイプがあります。 インスリンを分泌するすい臓の細胞が何らかの原因で機能しなくなり、インスリン不足となって起こるものが「1型糖尿病」です。原因はわかっていませんが、若年層に多く、急に発症するという特徴があります。 それに対して、いま激増が問題視されているのが「2型糖尿病」。遺伝的な要素に加え、過食や肥満、運動不足といった生活習慣が重なって発症します。逆にいえば、遺伝的な要素を持っていたとしても、適正な生活習慣をキープしていれば回避できる病気ともいえます。糖尿病になっているかどうかを判定するには、一般にブドウ糖負荷テストが行われます。また、糖尿病の診断にはHbA1cという指標も用いられます。 ■ブドウ糖負荷テストによる糖尿病の判定基準 血糖値 空腹時 負荷2時間後 正常 110mg/dl未満 かつ 140mg/dl未満 境界型(糖尿病へ移行する可能性の高い予備軍) 110~125mg/dl 140~199mg/dl 糖尿病 126mg/dl以上 または 200mg/dl以上 糖尿病の特徴として顕著にあらわれるのが、「多食・多飲・多尿・体重減少」です。多飲・多尿は余分な糖分を排出するため。多食・体重減少は、インスリンの分泌量が不足する・各細胞の血糖を取り込む力が弱まるなどによって、各細胞に十分な血糖が補給されないことが原因です。各細胞はエネルギー源である血糖の補給を求めて食事を促しますが、食べても細胞への供給ルートがうまく機能しなくなっているため血糖値ばかりが高くなり、体そのものは痩せていくという悪循環に陥ってしまいます。 これだけの症状があれば自分でも気づくはず、と思うかもしれません。しかし、「最近ストレスが多い」「忙しくて疲れているから」「ダイエット中だし…」など、さまざまな理由が頭に浮かび、糖尿病を疑うことは少ないというのが実情でしょう 。 すい炎・肝炎・肝硬変 インスリンを分泌する「すい臓」、小腸から吸収された糖質を血糖に変換して血液中に送り出したり、備蓄したりといったはたらきをする「肝臓」。これらの部位の病気によっても、血糖値が高め安定になってしまうことがあります。もちろん、これらの病気が長引けば、血管への障害や高血圧などが進んでしまう可能性があります。適切な治療によって、早めに改善しておきましょう。 血糖値が正常の範囲から外れたら? 血糖は、人間の最も大切なエネルギー源です。しかし、血液中を流れる血糖の量は、少なすぎては生命を危機に陥れ、多すぎれば体のさまざまな部位へダメージを与えてしまう「両刃の剣」のような性質を持っています。血糖値は、健康状態を見るバロメーターのひとつです。高くても、低くても、正常値の範囲から外れるようなら、病院受診のタイミングと心得ましょう。 その前に、普段から血糖を意識し、血糖値を適切にコントロールするよう努めることが、最も大切だと言えます。
糖尿病を予防するためには、適度な運動も効果的です。体を動かすことで、食事からとったエネルギーを消費し、また、血糖もエネルギーとして代謝させることができます。ただし、無理な運動を急に行うと、かえっていろいろな弊害に悩まされるので注意しましょう。 目次 一番気軽にできるのはやっぱりウォーキング 余裕のある人はスイミングに挑戦してみよう 趣味のスポーツは楽しむ程度が効果的 一番気軽にできるのはやっぱりウォーキング 肥満を解消し、糖尿病に限らずすべての生活習慣病に効果的なのがウォーキングです。通勤や買い物のときに、意識的に「速歩き」するようにしましょう。歩くときは、両腕をしっかり振って、歩幅も普段より大きくするよう心がけましょう。 1日に運動で消費したいカロリーは100~200kcalです。急ぎ足で歩くと100kcal消費するためには25分くらい歩く必要があります。通勤時には1駅分遠くまで歩いてみる、家庭では少し離れた店まで買い物に行くなどそれなりの工夫が必要です。 最初から毎日行うのがきつい人は、まず、1週間に2回くらい30分~1時間のウォーキングをし、普段はなるべくまめに動くよう心がけるといいでしょう。 余裕のある人はスイミングに挑戦してみよう このほかにおすすめの運動は、スイミングやサイクリングです。スイミングは自分のペースでできる全身スポーツ。腰痛や変形性ひざ関節症などで、歩くのが大変な人でも楽しめます。 サイクリングはゆっくりでもある程度の距離を走るようにしましょう。 趣味のスポーツは楽しむ程度が効果的 テニスなどのスポーツを始めるのもいいですが、血糖のコントロールや肥満解消が目的なら、試合を真剣にやるよりもウォームアップの打ち合いなどを長時間行うほうが効果的です。後者の方が有酸素運動になるからです。 エアロビクスなどに挑戦するときも、最初は初心者向けのリズム体操がおすすめです。何度か行っても息が切れなくなったら、少し激しいものにトライしてみましょう。運動を続けるうちにからだが慣れ、激しい動きも有酸素運動でできるようになるからです。
昼食は外食が多い人のための、毎食ごとの献立パターンを紹介しましょう。ただし、これはあくまでも一つの例です。この献立パターンを参考に自分に合ったパターンを作ってみましょう。 目次 糖尿病予防の朝食メニュー(約500kcal) 糖尿病予防の昼食メニュー(約800kcal前後) 糖尿病予防の夕食メニュー(500~600kcal) 糖尿病予防の朝食メニュー(約500kcal) メニュー例:オニオンオムレツ・ブロッコリー添え・トマトときゅうりのサラダ・トースト・牛乳 献立のコツ ●たんぱく質は卵1個ぐらいが目安 ●朝の野菜は2口×4種類を目安にしよう 昼食を外食にする場合、朝食で120gぐらい野菜を摂りましょう。例えば、トマト1/4切れ、きゅうり1/4切れ、ブロッコリー20g(2房ぐらい)、玉ねぎ約1/4個ぐらいです。男性ならそれぞれ2口ぐらいで食べられそうな量ですので、「朝の野菜は2口×4種類」を目安にします。そのうち1種類以上は、緑黄色野菜から摂ります。忙しい朝は、生食か、レンジですぐに調理できる野菜をおすすめします。かぼちゃ、にんじん、大根などもすぐに使える食材です。 ●朝の主食はトースト1枚、飲み物は牛乳1杯 ●ごはんの場合はお茶わんに軽く1杯(約110g) ●マーガリン・ドレッシングは全部で大さじ半分程度 油脂類は1日大さじ2杯(大さじ1杯で大体80kcal)までが目安です。昼食が外食の場合、朝の油はなるべく控えた方がいいでしょう。上のメニューなら、オムレツにバター(マーガリン)大さじ1/4、サラダのドレッシング大さじ1/4ぐらいにします。味気ないぶんは、塩やしょうゆでプラスしつつ、使い過ぎには十分注意しましょう。 糖尿病予防の昼食メニュー(約800kcal前後) 昼食は外食が多い人は、外食人気メニューのカロリーがわかる携帯用の本などが市販されているので、それを持ち歩くことをおすすめします。何度か目を通しているうちに、だいたいどのくらいのカロリーかわかるようになってきます。 毎日毎日、低カロリーを考えていては気がめいって長続きしないもの。そこで、週3回は好きな食事、4回は低カロリーと決めてみてはいかがでしょうか。ただ、好きなものを食べるときも、野菜の煮物やおひたしなどプラスアルファで注文するよう心がけましょう。 糖尿病予防の夕食メニュー(500~600kcal) メニュー例:焼き魚・根菜類の煮物・ほうれん草のお浸しと冷やっこ・ごはん・みそ汁 献立のコツ ●夕食は1汁3菜を目安にする 栄養バランスのとれた献立の基本は1汁3菜。 おかずも、1.焼き物・炒め物、2.煮物、3.おひたし・酢の物・サラダなど、大体の構成を決めておくとメニューを考えやすくなります。 コンビニ弁当の場合も、このメニューを考えつつ、カロリー表示を見ながら選ぶといいでしょう。 ●肉類、魚類など動物性たんぱく質は50g~60g 1日に摂った方がいい動物性たんぱく質食品の目安は、男性120g、女性100gです。昼食が外食の場合、それだけで1日分摂ってしまっていることもあります。昼食に食べたものを考えながら夕食の量を決めましょう。野菜と一緒に炒めたり煮たりして、見た目ボリュームが出る工夫をしましょう。 ●野菜は、120g~150g。根菜類など食物繊維の多いものも多く摂る 野菜は、朝食の4種類より少し多めにして、「2口×5~6種類」ぐらいを目安にしましょう。きんぴらごぼう、切り干し大根、ヒジキの煮物、筑前煮など、昔ながらのお惣菜は食物繊維がたくさんのおすすめメニューです。 ●調理油やドレッシングなどは、1人大さじ半分~1杯以内で 朝食メニューで述べた通り、調理や調味で使う油の量はなるべく控えめにします。 ●豆製品や芋類も上手に摂ろう 豆腐や油揚げなどの大豆製品は良質なたんぱく質食品です。おみそ汁に使ったり、納豆をプラスすることで、ボリューム感もアップします。芋類もビタミン類、食物繊維などを含んでいます。野菜と一緒に煮たり、サラダに使うなどして上手に摂取しましょう。 ●晩酌は控えめに 晩酌が楽しみという人も多いでしょう。糖尿病の診断を受けた人は原則禁酒ですが、そこまで血糖値が上がっていない人なら適量を守れば大丈夫です。
糖尿病予防のための食生活の大きなポイントは、1日に食べるカロリー量を決めることです。摂取カロリーの計算方法をご紹介します。 目次 1日に必要なカロリー量を知ろう 栄養と時間のバランスを心がける 1日に必要なカロリー量を知ろう 糖尿病予防のための食生活の大きなポイントは、1日に食べるカロリー量を決めること。その目安は、以下の通りとなります。 あなたの場合、摂取カロリーはどのくらいですか?計算してみましょう。 1日の摂取カロリーの目安= 標準体重{(身長-100)×0.9}×25~30kcal 例えば身長170cmの場合、 {(170-100)×0.9}×25~30kcal=1,575~1,890kcal つまり、 約1,600kcal~1,900kcalになります。 身長150cm以下の人は0.9をかけなくてもよいので、(150-100)×25~30kcal=1,250~1,500kcalになります。 1,600kcalをとるか、1,900kcalをとるかは、日頃どのくらい体を動かしているかで決めるのが一般的です。デスクワーク中心で通勤時間も短いという人なら低い方の値になります。 ただし、突然大幅な食事制限に挑戦すると挫折してしまう場合が多いようです。最初は無理のないところから少しずつ始めてみましょう。 栄養と時間のバランスを心がける 基本その2は「バランス」です。栄養バランスのとれた食事を3食同じくらいの量、規則正しくとりましょう。とはいえ、朝昼晩とまったく同じ量にするのもいきなりでは大変です。ひとまず、3食それぞれ、トータルしたバランスをとるように心がけてみましょう。 糖尿病予防!献立メニュー また、夜寝る前にタップリした食事をとるのはちょっと問題があります。夜遅くに仕事をする人も、仕事を中断して、夜9時前に食事を済ますようにしましょう。
糖尿病を防ぐために気を付けたい食生活のポイントをまとめました。 目次 1日にとるカロリーの量を決める バランスよく栄養をとる 脂肪のとり過ぎに注意 食物繊維をタップリとる お酒を控える 3食を決まった時間にとる 1日にとるカロリーの量を決める 糖分の多い物や脂肪分の多い物など、カロリーの高いものを食べ過ぎると、血糖をコントロールするインスリンがより多く必要になります。近親者に糖尿病の人がいる場合は、自分もインスリンを作りにくい体質である可能性が高いようです。また、周りに糖尿病の人がいないケースでも暴飲暴食でインスリンの分泌が狂ってしまうこともあります。 1日にとるエネルギー量は必要な範囲に抑えるようにしましょう。 血糖値を上げない食生活改善のコツ バランスよく栄養をとる エネルギーを制限しても、栄養がかたよっては、ほかの病気を引き起こすことになりかねません。糖質やたんぱく質、脂質をバランスよくとり、ビタミンやミネラルが不足しないように心がけましょう。 脂肪のとり過ぎに注意 糖尿病予防というと、甘い物などを控えれば大丈夫と誤解している人も多いようですが、脂肪も糖尿病にとって油断ならない食物です。高脂肪の食事はカロリーオーバーにつながりやすくなります。また、糖尿病の深刻な合併症のひとつである血管障害を起こしやすくなってしまうからです。特に、肉類中心の食事をしている人は注意です。魚や野菜も意識的に摂り入れるようにしましょう。 糖尿病予防!献立メニュー 食物繊維をタップリとる 食物繊維には血糖値の上昇をゆるやかにするはたらきや、血中コレステロール量を下げるはたらきがあります。また、食物繊維の多い食品はかみごたえがあるのでよくかんで食べることになり、食べ過ぎも防げます。糖尿病などの生活習慣病予防には救世主的な食材です。食物繊維を多く含む野菜や乾物、海藻などをしっかりとるよう心がけましょう。 お酒を控える お酒を飲むとどうしてもおつまみが欲しくなり、ついついカロリーオーバーになってしまいます。また、お酒の飲み過ぎは脂肪肝や血管障害などを起こしやすくし、糖尿病の深刻な合併症となります。お酒は適量を守り、おつまみなどはなるべく野菜物にするように心がけましょう。 3食を決まった時間にとる 血糖値を安定させるためには、食事を規則正しくとることが大切です。朝、昼、夕の食事量もなるべく均等にし、エネルギー量がかたよらないようにしましょう。
糖尿病はかなり進行しないと自覚症状が出ない病気です。早期発見するためには、検査を行うしかありません。糖尿病の検査はどんなことを行うのでしょうか。 目次 検査の第1歩「尿糖検査」は、自分でもできる 血液検査でわかること 合併症のための定期検査もある 検査の第1歩「尿糖検査」は、自分でもできる 糖尿病の検査の第1は、「尿糖検査」です。尿の中にブドウ糖が混じっているか調べる検査です。 ただし、尿にブドウ糖が出ても、必ずしも糖尿病とは言えないため、次に血糖値を調べる検査が行われます。 自分でもできる「尿糖検査」 自営業や主婦の方のように尿検査を含む健康診断を受ける機会がない場合は、市販の検査薬で自分でチェックすることもできます。試験紙に尿をつけて調べるだけの簡単なものなので、1度試してみてはいかがでしょうか? なお、自分で検査してみて基準以上の場合は、医師に相談して血液検査などをしてもらいましょう。 血液検査でわかること 糖尿病の血液検査を行うことになったら、少なくとも検査の12時間前から何も食べないようにしておきましょう。検査の第1は、空腹時の血糖値を調べる「血糖検査」だからです。 空腹時の血糖値が平常でも食事した後になかなか血糖値が下がらないケースもあるので、食後(検査ではブドウ糖溶液を飲む)1時間、2時間のブドウ糖の量を調べる「ブドウ糖負荷試験」も行われます。 また、一般的な検査ではそれと同時に「血中インスリン検査」も行われます。次のグラフのように、糖尿病の人は正常な人に比べて、食後、インスリンの分泌が遅れる傾向があるからです。 食事後の血糖とインスリンの反応 正常な人 インスリン非依存型糖尿病の人 血液検査の結果、正常とは言えないけれど糖尿病ともいえない「境界型」の人が出てきます。このうち、あとで正常な値に戻る人と、糖尿病に移行する人がそれぞれ3分の1くらいいます。境界型と診断されたら後は心がけ次第となります。生活を改善するだけで血糖値が下がることも多いようです。 合併症のための定期検査もある 糖尿病という診断が下されても、初期の症状であれば特に心配することはありません。治療法は食事の制限やこまめな運動など、日常生活レベルのケースが多いようです。ただ、血糖値の様子は定期的に検査する必要があります。 また、糖尿病の合併症を早期に見つけるための眼底検査なども定期的に行います。 ■関連記事 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ おいしく食べて糖尿病を改善するコツ 患者さん自身が糖尿病を治す!(1) 働く糖尿病患者の治療中断は問題
血糖はなぜ増えてしまうのでしょうか?血糖をコントロールするのはインスリンです。インスリンのはたらきが悪くなると血糖をコントロールできなくなり、高血糖の状態になります。 目次 血糖をコントロールするインスリン 糖尿病には大きく分けて1型、2型と2つのパターンがある 血糖をコントロールするインスリン 炭水化物や糖類が消化吸収されると、血液中でブドウ糖(血糖)となります。血糖はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンのはたらきで体の細胞内に取り込まれ、エネルギーに変わり、人間の活動を支えています。また、インスリンは不要なブドウ糖を中性脂肪に変えたり、細胞組織に送り込むはたらきも担っています。 インスリンは、血糖をコントロールする上でなくてはならないものなのです。 糖尿病には大きく分けて1型、2型と2つのパターンがある インスリンのはたらきが悪くなると、血糖をコントロールすることができなくなり、 高血糖の状態になります。これが「糖尿病」です。糖尿病の原因はさまざまで、大きく分けると次の2つのパターンに分類されています。 1型(インスリン依存型)糖尿病 インスリンを作る細胞がウイルスに感染したり、免疫力がなくなったりするのが原因で発症します。のどが渇きやすい、尿量が増える、急激にやせるなどの症状が出ます。放っておくと糖尿病昏睡を起こし、死亡することもあります。治療にはインスリン注射が必要です。子供や若い人(やせ型の人)に急激に発病するケースが多いようです。日本では糖尿病全体の約3%程度です。 2型(インスリン非依存型)糖尿病 糖尿病の約95%がこのタイプです。成人になってから発症し、近親者に糖尿病患者が多いのが特徴です。ゆっくりと発症するが、重症になる前にわかれば食事療法、運動療法などでの治療で十分です。なお、最近は成人だけでなく、子供や若い人の発症も増えています。遺伝だけでなく、生活因子の影響も強いようです。
「血糖」とは血液中に含まれるブドウ糖のこと。心臓や脳の活動など生きていくために重要なエネルギー源です。しかし、血糖の量(血糖値)が増え過ぎる「高血糖」の状態になると、体のあちこちに支障がおきる原因になってしまいます。 目次 高血糖を引き起こす生活習慣 糖尿病が引き起こす合併症「三大合併症」 そのほかの糖尿病が引き起こす合併症 高血糖を引き起こす生活習慣 朝の空腹時血糖値が126mg/dl以上だと糖尿病が考えられます。 しかし、このくらいでは自覚症状はないようです。 また、すべての生活習慣病の原因といわれる肥満ですが、見た目に太っていなくても油断は禁物です。痩せていても糖尿病ということもあります。 しかし、高血糖によって体の組織の変化や免疫力の低下が起こり、全身いたるところに障害が出てしまいます。つまり、真の恐怖は糖尿病が引き起こす病気(合併症)にあるのです。 糖尿病が引き起こす合併症「三大合併症」 糖尿病性神経障害 症状:下肢疼痛・下痢・便秘・しびれ・吐き気・胃もたれ・筋力低下・こむら返り・失禁・インポテンツ・ 立ちくらみ 熱い冷たいなどの知覚や運動をつかさどる「運動神経」や、臓器や器官の調節をつかさどる「自律神経」がおかされます。糖尿病の比較的早い段階から上のような症状が現われます。早期であれば回復もしやすいです。 糖尿病網膜症 症状:視力低下・網膜剥離・失明・白内障 眼の底にある網膜には細い血管が網の目のように走り、酸素や養分を運んで機能を保っています。高血糖になると、ここに血液が流れにくくなったり出血しやすくなり、最悪、失明してしまいます。成人になってから失明する原因の第1位です。網膜症とは別だが、目の水晶体が白くにごる白内障にかかる可能性も高くなります。 糖尿病性腎症 症状:腎不全、人工透析 腎臓内にも、目の網膜と同じように細い血管が集中する器官があります。糸球体といい、血液中のさまざまな成分をろ過して尿のもとをつくるのが仕事です。高血糖になると、ここの血管にも影響が出て、ろ過機能が衰えてしまいます。尿にタンパクが持続的に出て発見されることが多いようです。 そのほかの糖尿病が引き起こす合併症 糖尿病性昏睡 症状:急激に昏睡状態になり、そのまま死亡することも。 糖尿病改善のための治療を勝手にやめてしまったときに起こることが多いようです。 血管障害 症状:狭心症・心筋梗塞・脳梗塞など。 糖尿病のほかに高脂血症や高血圧の症状もある人が陥る可能性が高い病気です。命が助かったとしても、後遺症の心配があります。 足の壊疽(えそ) 症状:ちょっとした傷の化膿が進み、皮膚組織が腐ってしまう。そのままくずれて潰瘍になったり、骨まで腐ることもあります。 高血糖によって起こる足の神経障害と血管障害が原因です。神経がやられているので、痛みを感じず、発見が遅れてしまうこともあります。フットケアが大切です。 歯肉炎・歯槽膿漏 症状:歯ぐきからの出血、口臭から始まる。症状が進むと歯肉がやられ、歯が抜け落ちてしまいます。 血液の流れが悪くなり、雑菌がつきやすいのが原因です。歯みがきなどで予防できるので、糖尿病になってしまったら、歯のケアも綿密に行なうことが大切です。
血糖を下げるインシュリン 血液中のグルコール(ブドウ糖)を血糖といいます。生命活動を維持するエネルギー源として利用されている血糖は、普通は一定の濃度に保たれています。その濃度を超えるとすい臓からインシュリンが分泌され血糖を下げるようにはたらきます。 糖尿病になると、インシュリンが不足し血糖値が上がります。そのため血糖値は糖尿病の診断に欠かせません。 食後は食前よりも高くなる ただし、血糖値は正常な場合でも食前と食後で異なります。炭水化物が吸収されてブドウ糖になって血中に入りますから、食後の血糖値は食前より高くなります。また、健康人でも1日の血糖値は70~130mg/dlの間を変動しますし、加齢とともに高くなります。 正常値は、空腹時血糖が70~100mg/dl(平均80mg/dl程度)、食後1時間血糖が140mg/dl以下です。60歳以上では空腹時血糖110mg/dl以下、食後2時間血糖160mg/dl以下を正常と考えます。
血糖値の役割 「お腹が空いた」「お腹がいっぱい」という感覚は、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢が刺激されて起こります。その刺激の元になるのが、血糖値です。 血糖値が下がると、摂食中枢がはたらき、「お腹が空いた」という感情が起き、「食べなさい」という指令が出ます。 逆に食事を取って血糖値が上がると、今度は満腹中枢が刺激されて「お腹がいっぱい」となって、「食べるのはおしまい」という合図が出されるのです。 早食いはなぜいけないか 血糖値がピークに達するのは、食べ始めてから15~20分後です。ところが、早食いの人は、食べ始めてから5分もしないうちに、食べ終わってしまいます。 これでは血糖値がピークに達して、満腹中枢が刺激される前に食べてしまうことになり、本当は満腹になっているのに満腹感が持てません。そのため、つい過食になり、肥満の原因になります。 また、かむということは、色々な消化器官に「これから食べ物を送り込むから用意してくれ」と合図をするようなはたらきもあります。その合図なしにいきなり食べ物が送り込まれると、胃はびっくりしてしまいます。 胃腸の弱い人に共通しているのが早食いという調査結果もあるほどです。よくかんで、ゆっくり味わいながら食事を取ることが肝心です。