いまや日本人男性の2人に1人、日本人女性の3人に1人が「がん」になる時代です。がんによる死亡者数を減少させ、安心して治療が受けられるようにするために「がん検診」が役立ちます。がん検診の中でも個人を対象に行っているのが「人間ドック」です。 目次 2人に1人、3人に1人が「がん」の時代 意外に知らない?人間ドック おすすめの人間ドック施設ってあるの? 2人に1人、3人に1人が「がん」の時代 いまや日本人男性の2人に1人、日本人女性の3人に1人が「がん」になるといわれている時代。このような状況を受け、厚生労働省では、 がんによる死亡者数を減少させる がん患者さんとその家族が、できるだけ苦痛なく安心して治療が受けられる ということを目標にかかげ、さまざまな対策を行っています。 その中のひとつが、がんを早い段階で見つけて治療するために役立つ「がん検診」です。がん検診にはいくつかの種類がありますが、個人を対象に行っているのが「人間ドック」です。人間ドックは、胃や大腸にできるがんを発見することに特に効果があると言われています。近年では健康ブームも手伝い、人間ドックを受診する人が増えてきているそうです。 意外に知らない?人間ドック 人間ドックを受診する人が増えているというものの、その7割~8割は、すでに人間ドックを経験したことのある人が占めています(日本人間ドック学会「2007年人間ドックの現況」より)。 この背景には、人間ドックと地域や職場で受けるがん検診との違いや、人間ドックで行う検査の詳細を知らないなどといった、知識不足や不安があるのかもしれません。 人間ドックと地域や職場で受けるがん検診とでは、目的は同じですが、対象者や検査の対象となる体の臓器が異なっています。また、検査内容や費用なども各施設によって異なるため、まずはそれらの情報や不安に思うことなどを、事前に問い合わせて確認しておくといいでしょう。 人間ドックと地域や職場で受けるがん検診との違い 種類 対策型がん検診(地域や職場で受ける胃がん検診など) 個別型がん検診(人間ドックなど) 対象 地域住民や職場にいる人のある特定の臓器 希望をすれば、個人のすべての臓器 目的 がんの早期発見・早期治療、がんによる死亡者の減少 (日本人間ドック学会「2007年人間ドックの現況」より作成) おすすめの人間ドック施設ってあるの? 日本人間ドック学会のホームページでは、「機能評価認定施設」が紹介されています。「機能評価認定施設」とは、安心して人間ドックの検査を受けられる施設であるかどうかのチェックを受け、その結果認められた施設です。 また、個人の生活スタイルや希望にそった検査を行ってくれる施設も、おすすめできるといえます。例えば、3日以上かけてじっくりと検査できるメニューもあれば、時間の足りない忙しい現代人に人気の、半日や1日で帰れるメニューもあります。 二十歳以上になれば受けることができる人間ドック。さまざま医療が発達し予防医学が注目される中、推奨されている年に一回というペースで挑戦してみてはどうでしょうか。 公開日:2008/12/01
メディカルチェックの代表ともいわれる健康診断と人間ドックの違いを紹介。そして、これからは、ぜひ自宅でもセルフチェックを!体重測定、体温測定だけではなく、血圧測定、体脂肪測定(体組成計)、心電図測定、脈拍測定をプラスしよう。 目次 メディカルチェックを受けよう! 自宅でできるセルフチェックあれこれ メディカルチェックを受けよう! 医療機関で行うメディカルチェックは、日頃自分では気がつかない病気の予兆を発見したり、体のさまざまな器官の健康度を確かめるために定期的に行うもの。「健康には自信があるから必要ない」「若いからまだいいだろう」という人も多いかもしれないが、むしろ自覚症状のないうちから積極的に受け、生活習慣の改善や病気の予防、また病気の早期発見・早期治療に役立てて欲しい。代表的なメディカルチェックには、大きく分けて「健康診断」と「人間ドック」がある。 健康診断 代表的なものには、自治体や職場の健康保険組合などで行われる健康診断がある。健康診断には大きくわけて基本健康診査とがん検診があり、また骨粗しょう症検診、歯周疾患検診などが実施されることもある。年に1回は必ず受診し、健康状態を定期的にチェックしよう。 ●主な基本健康診査 問診、診察、身体計測、尿検査、血液検査、血圧測定、心電図、眼底検査など ●主ながん検診 胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんなど 人間ドック 健康診断より検査項目が多く、体の状態をより総合的にチェックしたい場合に行うのが人間ドック。1週間ほど入院して内科をはじめさまざまな専門科の検査を行い、医師に健康状態をじっくり相談できる長期ドックや、生活習慣病をメインとした2~3日の短期ドック、検査から判定までの時間を短縮させた1日ドックや半日ドック、また婦人病をメインとしたレディースドック、そのほか、脳ドック、心臓ドックなど専門的なドックもある。 自宅でできるセルフチェックあれこれ 何らかの健康上の不安を抱えている人や、生活習慣病かも、という人は、ぜひ自宅でもセルフチェックを。体重測定や体温測定などはすでに行っている人も多いが、より健康管理を徹底したいなら血圧測定、体脂肪測定、心電図測定、脈拍測定なども必要に応じてプラスしていこう。 体重測定 肥満度をチェックするために行う。一般的にはBMI(ボディー・マス・インデックス)という肥満度を示す指標が使われている。 BMI計算式 BMI=体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)] BMIチェックはこちら 体温測定 38度以上の急な発熱にはウイルスや細菌などによる感染症が、37~38度の微熱がある一定期間続いている場合には、自律神経の失調や甲状腺機能亢進症、うっ血性心不全、膠原(こうげん)病などの可能性が疑われることもある。また、女性の場合は、排卵後~月経開始前までの期間は女性ホルモンの影響で体温が高温となる。 体温はワキの下か口で測るのが一般的だが、ワキの下で測るときには10分間ほど、口で測るときには5分間ほど安静にして測定するとよい。 血圧測定 高血圧や肥満、貧血などを調べるきっかけになるのが血圧測定。1999年にWHO(世界保健機関)が制定した基準を参考に、自分の血圧の状態を見てみよう。 血圧値の見方 体脂肪、体組成測定 身長と体重で肥満度を測定するBMIでは、筋肉量の多いスポーツ選手なども肥満に分類させてしまうこともあるため、体脂肪率も目安にすると肥満度はより把握しやすくなる。 最近では、体脂肪だけではなく、体を構成する骨、筋肉、脂肪、水分などの組成分(体組成)などもいっしょに測れる機器も販売されているので、体のバランスをトータルで確認することができる。 心電図測定 心臓のリズムを測ることで、心臓に異常が生じている可能性がないかどうかをチェックできる。心電図の波形がリズミカルになっていることが大切。波形が不規則に下降・上昇したり、リズムに乱れが生じると、心臓になんらかの異常が生じている可能性がある。波形の微妙な乱れを自分でチェックするのは難しいが、波形を分析してコメントを表示する機能のある装置なども市販されているため、そうしたものを利用するのもカシコイ方法だ。 脈拍測定 誰でもかんたんに測れる脈拍測定。安静時の脈拍が1分間に60~90程度であれば正常だが、90以上になると甲状腺機能亢進症や貧血、心不全などが、60以下では不整脈の疑いがある場合も。運動後や食後、入浴後、起床直後などは避け、リラックスしているときに人さし指、中指、くすり指の3本をそろえて手首などにおいて測るとよい。 公開日:2004年3月1日
人間ドックの3つの利点 船がドックに入るように、短期間入院して前進の精密検査を行い、疾病の早期診断、健康管理を行うことを人間ドックといい、日本病院会によると、毎年約180万人が人間ドックを受診しています。 人間ドックには、病気の早期発見、健康であることの確認、検査データが残り経時的な変化をチェックできる、という3つの利点があると言われてきました。 しかし、最近、民間企業の健康保険組合などから、その効果に対して疑問が出始めました。 健常者が2割切る 人間ドックをめぐっていま一番注目されていることの1つは、健常者 (どの検査項目にも異常がないか、軽度の異常がみとめられても日常生活に支障がないとされる人) の比率が4年間に3分の2に低下し、受診者全体の2割を切ったこと。もう1つは「要再精検」の率が検査機関の間で20~40%とバラツキが大きいことです。 健常者の減少は、健康状態の悪化と連動しており、とりわけ肝機能異常と高コレステロール血症の増加が顕著にみられます。 不健康人間の激増傾向は、人間ドックを受診しても、その後の健康状態の改善にあまり役立っていないことを示唆しています。 また、要再精検率の高さは、人間ドックへの信頼を損ねて、健康管理に逆効果を招く可能性も考えられます。 要再精検率の高さも問題 人間ドックの受診料は、主力の総合健診 (日帰りドック) で10万円弱。これは健康保険の適用外ですが、多くの民間企業の健保組合では、これまで保健事業として受診料を補助して、被保険者の利用を進めてきました。しかし、健康保険組合連合会では、今後、要再精検率の高い機関を補助の対象から除外するとともに、人間ドックの費用/効果の点も見直す必要がある、としています。