ED(勃起機能障害)に関する記事をご紹介します。ED(勃起機能障害)の正しい知識を身につけることで、予防や改善にお役立てください。
若い頃は精力的で体力十分、仕事も家庭も順調だったのに、40代を過ぎると体のあちこちに変化が…。女性同様、男性にも更年期障害の症状が現れます。男性の更年期障害「LOH症候群」(加齢男性性腺機能低下症候群)について詳しく解説します。 目次 40代以上の男性は注意!専門医による治療が必要な更年期障害 男性の更年期障害(LOH症候群)の主な症状 年齢のせいだと思い込んだり、うつ病と診断されていたりすることも… 「もしかして…」と思ったら、男性更年期外来やメンズヘルス外来へ 40代以上の男性は注意!専門医による治療が必要な更年期障害 若い頃は精力的で、気力がみなぎり体力も十分。落ち着きがあって、仕事も家庭も順調そのもの。そんな理想の男性像のような人でも、40代を過ぎると性機能が落ちたり、体のあちこちが痛くなったりします。楽々とこなしていたハードワークも昔のようにはできなくなり、まわりからは「怒りっぽくなった」と言われ、なんだか体調も悪く、自分の衰えを感じざるをえません。それらの原因となる病気が思い当たらない場合、加齢やストレスなどで男性ホルモン(テストステロン)が低下することによって引き起こされる男性の更年期障害「LOH症候群」(加齢男性性腺機能低下症候群)かもしれません。女性の更年期障害と同様、男性のLOH症候群でもさまざまな症状が現れます。 男性の更年期障害(LOH症候群)の主な症状 性機能の症状体の症状心の症状 ●性的活動の頻度や意欲の低下 ●ED(勃起機能障害) ●関節痛 ●筋肉痛 ●筋力の低下 ●疲れやすい ●突然の発汗 ●ひげの伸びが遅い ●認知力(判断・記憶など)の低下 ●イライラ・怒りっぽい ●憂うつ ●不眠 個人差はあるものの、男性ホルモンは20代でピークに達し、年齢とともに徐々に低下していきます。40代以上の方は特に、職場でのプレッシャーや雇用の不安、親の介護などに直面することがあります。これらの問題によるストレスと加齢によって、テストステロンが低下し、LOH症候群が引き起こされると考えられます。それぞれの症状に対処するだけでなく、LOH症候群の原因となっている男性ホルモンの低下に対処するには、専門医による診断が必要です。 年齢のせいだと思い込んだり、うつ病と診断されていたりすることも… 年齢を重ねると、多くの人が疲れやすくなり、腰や背中などに痛みを感じるようになります。自分では、年齢によるものなのか、病気の症状なのかという見分けはつきません。そのため、LOH症候群の症状が現れたとしても、年齢によるものだと思い込んでしまい、発見が遅れることが多くあります。 抑うつと呼ばれる憂うつな状態になる、やる気が出ない、不安感が増すといった、うつ病とよく似た症状が現れることもあります。そのため、実際にはLOH症候群でありながら、精神科などを受診してうつ病だと診断されているケースもあります。一般的にうつ病は、抗うつ薬などによる治療が行われます。心の症状がそれで軽減されたとしても、男性ホルモンが低下した状態はそのままであり、ほかの症状は抑えられません。LOH症候群の治療でも、症状に応じて抗うつ薬などが用いられることはありますが、基本となるのは男性ホルモン補充療法です。 男性ホルモン補充療法は、筋肉注射や軟膏のテストステロン製剤で低下したテストステロンを補充して、症状を抑える治療法です。副作用として、赤血球が増える多血症や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の悪化、まれに肝障害などが起きることがあります。 「もしかして…」と思ったら、男性更年期外来やメンズヘルス外来へ LOH症候群の診断までには、血液中のテストステロンの濃度を測る検査や、問診などが行われます。LOH症候群の方を専門的に診ているのは、男性更年期外来や、メンズヘルス外来などです。ただし、これらを掲げている医療施設は限られているため、お住まいの近くでは見つからないこともあります。その場合は、泌尿器科で相談すると良いでしょう。 公開日:2015/01/26
女性の更年期障害は有名ですが、じつは男性も無縁ではありません。おもな症状は、うつや性機能減退など。でもこれらの症状が起こっているにもかかわらず「ちょっと疲れただけかも」などと見過ごされていることも多いようです。早ければ30代で発症することもある「男性更年期障害」。なにかとストレスの多い人は要注意です。 目次 原因は男性ホルモンの低下だった! ストレス時代に広がる男の更年期 こんな症状に覚えがあれば要注意! どうする?男性更年期障害の克服法 原因は男性ホルモンの低下だった! 「更年期障害は閉経期の女性に起こるもの」と思いこんではいませんか?でも、男性にも更年期障害は起こりうるものです。引き金となるのは、男性ホルモン(テストステロン)の減少です。そもそもこのホルモンの分泌量がピークとなるのは20~30歳。その後、加齢とともに低下していきます。量には個人差がありますが、減り方も人によってまちまちです。通常は女性のように急激に減ることはありません。ですが、ときどき減少のスピードが速い人がおり、こうした場合に更年期障害の症状が見られるとされます。発症時期は40代半ば~50代半ば。早ければなんと30代で発症することもあるようです。 ストレス時代に広がる男の更年期 では、男性ホルモンが低下するのは、どのような原因によるものなのでしょうか?最も大きな原因は、もちろん加齢です。年とともに性ホルモンが減っていくのはしかたのないことです。でも、もうひとつ重大な原因があります。ストレスです。 ストレスと男性ホルモンの分泌量には密接な関係があります。性ホルモンの分泌に関わっているのは、本能をつかさどる大脳辺縁系です。大脳辺縁系は、理性や思考をつかさどる大脳新皮質がはたらいている時には、活動を止めてしまいます。ストレスがかかると、大脳新皮質が酷使されるため、大脳辺縁系は休止状態となります。おかげで、性ホルモンの分泌が妨げられてしまうのです。 男性の場合、仕事で失敗したり、上司に叱られたりして「オレはダメなヤツだ」などと落ちこむと、大きなストレスにつながりやすいようです。ほかにもリストラへの不安、住宅ローンや教育費など金銭面の問題、身内の介護など、あらゆる要素がストレスの原因となります。 こんな症状に覚えがあれば要注意! 当てはまる項目をチェック! (1)性欲(セックスをしたいという気持ち)の低下があるか? (2)元気がなくなってきたか? (3)体力あるいは持続力の低下があるか? (4)身長が低くなったか? (5)「日々の愉しみ」が少なくなったと感じているか? (6)物悲しい気分・怒りっぽいか? (7)勃起力は弱くなったか? (8)最近、運動をする能力が低下したと感じているか? (9)夕食後うたた寝をすることがあるか? (10)最近、仕事の能力が低下したと感じているか? 男性更年期障害の疑いがある人はこんな人! ●(1)または (7)が「はい」 ●(2)~(6)、 (8)~ (10)の8問中、「はい」が3つ以上 出典:米国・セントルイス大学のモーリー医学博士が作成、札幌医科大学医学部泌尿器科 伊藤直樹助教授の訳による 上記の症状のほか、血液検査での男性ホルモン(テストステロン)量も診断の目安となります。セルフチェックで男性更年期障害の疑いがあった人は、医療機関を受診して調べてみましょう。 どうする?男性更年期障害の克服法 その1・ホルモン補充療法 男性更年期障害の治療法として有名なのが「ホルモン補充療法」。男性ホルモンを注射などで補い、症状をやわらげようというものです。ただし、テストステロンなど強力なホルモン療法の長期使用は、前立腺がんや前立腺疾患、心疾患リスクを高めるという説もあります。 その2・薬物療法 抗うつ薬や抗不安薬、バイアグラなどを服用し、うつ症状や勃起障害などを改善します。もちろん、薬で根本治療ができるわけではありませんが、困った症状はある程度解決できるはずです。 その3・スローセラピー 薬物療法とあわせ、カウンセリングをおこないながら症状の改善を目指す医院もあります。名づけて「スローセラピー」。バランスの崩れた自律神経を整える「自律神経訓練法」や考え方、感じ方の癖を直していく「認知行動療法」も実施します。妻が同席し、話を聞く場合もあります。 その4・食事療法 ヤマイモには性ホルモンの前駆物質「DHEA」の合成に必要な栄養がたっぷり。週2~3回、半本ずつ食べるようにすると、効果があるという説もあります。 更年期だからと落ちこんだり、自分を否定したりせず、「これも体からのサイン。ここらへんで一休みして、元気を取り戻そう」と前向きにとらえるようにしましょう。 ■関連記事 更年期チェック!汗、ほてり、痛み、息切れなどがありますか? 男性ホルモン&女性ホルモン 素朴な疑問 更年期にやさしいサプリメント
男性の場合は深刻な事態になりやすい!?男性の更年期障害について、なぜ起こるのか、また、その症状を検証します。 目次 男性の更年期障害による症状 ある?ない?男性の更年期障害の歴史 男性の更年期障害は、なぜ起こる?どう影響する? 「婦人科」はあるが「紳士科」はない。さて何科を受診する!? 男性の更年期障害による症状 中高年男性の自殺、その原因のトップにあげられているのが「健康問題」だそうです。もちろん、これが男性の更年期障害とどう関係しているかは、まったくもって不明ですが、女性と違って男性の更年期障害は、いまだその存在すら認められにくいのが現状です。本人も気づかない間に更年期障害となり、周囲にも当然理解されず、苦しんでいる男性が少なくないのかもしれません。男性の更年期障害とは?そして、男性の苦しい状況を理解することから、考えていきましょう。 ※ちなみに、前回触れましたが、「更年期障害」は俗称で、医学的には「更年期不定愁訴症候群」といいます。今回は、わかりやすさを優先させ、あえて俗称で話を進めます。 男女別に見た更年期の症状(Goldzieherによる) 頻度 男性 女性 1神経質(主観的)神経質(主観的) 2疲労のぼせ 3不眠興奮状態 4興奮状態疲労 5抑うつ状態抑うつ状態 6背頸部痛便秘 7頭痛漠然痛 8のぼせ頻脈、心悸亢進 9頻脈、心悸亢進めまい 10記憶力・集中力減退記憶力・集中力減退 11めまい不眠 12便秘頭痛 13漠然痛神経症 14神経症背頸部痛 15視野暗点視野暗点 16知覚異常知覚異常 17寒気寒気 性欲減退 75%ED(勃起不全) 50%月経異常 99%無月経 58% 出典:「更年期障害 これで安心 新しい治療と生活ガイド」ホーム・メディカ安心ガイド 小学館 この表は、ハンガリーのデータなので、そのまま日本人に置き換えることはできないかもしれませんが、男女で微妙に症状が違うのがおわかりいただけるでしょう。男性の場合、身体に影響が出るより先に、神経的な部分に症状があらわれる傾向があるようです。 また、表の下にある通り、性欲の減退、またはED(勃起不全)となる割合が高く、男性はこうした症状が出てはじめて病院へ行くケースが多いといいます。つまり不眠や疲れといった体調の不良は我慢し続けているということです。 ストレスも比重が高まる年代。男性は結構大変な思いをしているといえるかもしれません。これは本人が自覚すると同時に、周囲も理解を深めていく必要があるでしょう。 ある?ない?男性の更年期障害の歴史 著名人が自身の更年期障害を明したことで認知度は高まったとはいうものの、男性の更年期障害は、医学界でも認知があいまいな部分が多いのが現状です。 この、男性における更年期障害の概念が初めて提唱されたのは、1939年。しかし、男性の場合は、女性の閉経のように劇的な変化がないこと、個人差が大きいことが災いして、概念としてはあるものの、認知・治療がはじめられることはほとんどありませんでした。 さらに悪いことに、その後、もうひとつの概念が台頭してきました。それは「中高年の危機」。聞いたことがある人も多いかもしれません。これは、ミッドライフ・クライシスとも呼ばれるもので、35~45歳に起こる転職、離婚、肉親の死などが誘因となって起こる精神的な葛藤です。身体的な変化によってさまざまな症状がもたらされる更年期障害とはまったく違うものですが、更年期障害に見られる精神神経症状と似たところがあるため、誤解された面が少なくありません。 こうして、男性の更年期障害は、あってなきもののごとく扱われてきたのです。 男性の更年期障害は、なぜ起こる?どう影響する? 更年期不定愁訴症候群を引き起こす要因 男性の場合も、女性の場合と同様に、基本はホルモン量の低下が原因です。 男性のホルモンの仕組みを簡単に説明すると、脳の視床下部から出される性腺刺激ホルモン放出ホルモンが、脳下垂体を刺激します。性腺刺激ホルモンが分泌され、それが睾丸に作用して男らしい肉体や性機能を促すテストステロンを分泌させます。 このテストステロンの分泌量は、45歳くらいから緩やかに減少していくのが一般的です。特に、テストステロンの中でも血中のフリーテストステロンが少なくなると、性欲の減退やEDといった症状につながるといわれています。 こうしたホルモンの低下に加え、大きな影響を与えるのが、ストレスです。更年期にあたる45~50歳前後というのは、子供の独立といった家庭的な面はもとより、仕事の上でもストレスの大きな年代です。そうしたストレスが、男性の更年期障害を触発するといわれています。 また、男性に多く見られるのが、うつ的な傾向です。下の項にもある通り、男性の場合は更年期による身体的な変化が、精神的な面に出やすいようです。このため、どうしても精神面、特にうつ状態に陥りやすいとされています。「何もやる気が起きない」「イライラばかりしている」「うつうつとして、仕事をしたくない」…。更年期にあたる年齢になって、こうした症状が出てきたら、早めに病院へ行くのが得策です。 「更年期としてのうつ状態とうつ病」の比較 更年期症状としてのうつ状態 うつ病 誘因 自己愛の傷つき喪失体験、不明のことが多い 顕著な症状 自己不全感、無気力抑うつ感、エネルギーの低下 治療 自己愛の傷つきを癒す、精神療法的アプローチ薬物治療、休養が主体、精神療法は効果が少ない 経過 慢性化、長期化比較的短期、反復性 予後 基本的に健康な人の反応、比較的良好しばしば不良 ※東京慈恵会医科大学精神科の館直彦氏による、更年期うつ状態とうつ病の違い 出典:「明るく乗りきる男と女の更年期」赤塚祝子 講談社現代新書 「婦人科」はあるが「紳士科」はない。さて何科を受診する!? 男性も、更年期の年齢になったら、たとえ「だるい」といった些細な症状でも長引く場合は、病院へ行きましょう。 理由については、女性の場合を参照してもらえればと思いますが、更年期障害はあくまでも「除外診断」という点です。更年期に当たる年齢は糖尿病、高血圧症といった生活習慣病をはじめ、さまざまな病気を発症しやすい年代でもあります。それらの病気による疲労感や倦怠感、だるさである可能性もあるのです。つまり、ほかに病気がないこと、またはほかの病気の治療による作用である可能性が少ないことが、更年期障害と診断される前提なのです。 しかし、ここでひとつ問題が発生します。女性の場合は婦人科があるので、ひとまず何でもこの科を受診してしまう、ということができます。では、男性の場合は?「だるい」だけで、どの科を受診すれば良いのでしょうか。 大別すると、方法はふたつあります。「だるい」「疲れが取れない」といった場合は、まず心療内科もしくは内科へ。そこでさまざまな検査を受け、どこにも異常や病気がないことを確かめてもらいます。その上で、まだ「だるい」などの症状があるなら、今度は心療内科もしくは神経精神科を受診します。慎重を期するのであれば、事前に電話などで男性の更年期障害についても扱っているか問い合わせたり、かかりつけの医師に紹介してもらうのも良いでしょう。 「尿の出が悪い」「性欲はあるのに勃起が維持できない」といった場合は、泌尿器科の出番になります。ちなみにこの年齢の男性が発症しやすい病気のひとつに、精液がつくられる部位の病気・前立腺肥大症があります。50代の男性なら3~4人に1人はその兆候があるといわれるほど多い病気で、症状としては夜間に何度もおしっこに起きる、残尿感があるなどが見られます。これも早期なら薬で治せますが、症状が進むと手術が必要になる厄介な代物です。 まずは病院へ行くことから。男性も無理や我慢は禁物!です。
ストレスでいっぱい!ビジネスマンの日常生活 クライアントに叱られ、部下に手を焼き、上司からは責められる…。ビジネスマンの日常はストレスでいっぱいだ。 2005年4月、財団法人社会生産性本部メンタル・ヘルス研究所が発表した調査(*1)によると、回答したうちの68.7%の労組が「組合員のここ3年間の『心の病』が増加している」とし、組合規模が大きいほど増加の割合が多い傾向にあった。 原因は「職場の人間関係」(30.4%)、「仕事の問題」(18.6%)など。メンタルヘルスを低下させる要因として一番多かったのが「コミュニケーションの希薄化」(49.9%)だった。 最も多い年齢層は30代で、2003年に行った同様の調査時の40代から移行していた。このことについて同研究所では、「人員削減で中高年が減り、責任が重くなってきたためではないか」と分析している。 また、こんな報告もある。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の職業意識調査(*2)によると、役職別・ストレスを感じる割合でトップだったのは課長(69.3%)。次いで係長(68.2%)、部長(61.7%)、平社員(57.7%)と続き、役員(54.9%)が最低だった。社員に比べると身分が安定し、報酬も高いという役員の立場を考えれば、まあ、納得の結果といえるかも。サラリーマンはツライよ…そんなタメイキが聞こえてきそうだ。 多くの日本人が「不安遺伝子」を持っている!? ストレスを抑制する脳内物質のひとつに「セロトニン」があり、セロトニンの運搬役を「セロトニントランスポーター」という。このトランスポーターにはいくつかの遺伝子型があり、そのタイプによってセロトニンの運搬量とストレスの受け止め方が違ってくるという説がある。短い遺伝子を持っていると、セロトニンの再取り込み機能が低く、不安傾向との相関関係があるのではないかというのだ。昔から「日本人はプレッシャーに弱い」などといわれてきたが、日本人の多くはストレスに弱い、いわば“不安遺伝子”タイプなのだとか。それに対してラテン系の人種にはストレスに強い“楽天遺伝子”タイプを持っている人が多いそう。 もちろんこれはひとつの仮説であり、ストレスは考え方や、日々の習慣などから上手にかわすことができるようになるもの。どうか、ご安心を!
男性の7割、女性の8割がストレスを感じている現代。ストレスを放っておくと、神経系、内分泌系、免疫系のはたらきに影響し、健康にも影響するという内容について紹介。 目次 7割の男性、8割の女性がストレスを感じている ストレスがあると健康に影響する理由 ストレス反応は受け手の状態によって変わる 7割の男性、8割の女性がストレスを感じている 環境やライフサイクルの変化、仕事・家庭の問題や複雑な人間関係など、私たちの一生はストレスの要因であふれている。厚生労働省の調査によると、ふだんの生活でストレスを感じている人は、なんと男性で76.9%、女性で84.2%にものぼっているのだ(平成14年国民栄養調査結果による)。 科学技術の普及やライフスタイルの変化により、たしかに現代の生活は便利で快適になった。しかしその反面、新しい知識に対応するために精神的・時間的な負担が増えたり、人間関係が希薄になったことにより、ひとりで悩みを抱えてしまう人も増えている。また、不安定な社会や経済も“将来への不安”という新たなストレスの種を撒き散らし、私たちの生活を脅かす要因となっているのだ。 ストレスがあると健康に影響する理由 ところで、ストレスが続いて血圧が上がったり、風邪をひきやすくなったり、女性の場合は月経が止まってしまった、という経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。このように、ストレスは心ばかりでなく体調の悪化にも大きく影響する。 そもそも人間の体は、神経系、内分泌系、免疫系という3つのシステムが互いに連携を取り合うことによって健康が保たれている。しかし、外部からストレスという刺激が加わると、神経系のうちの自律神経は各器官にストレス刺激に対応した反応をはたらきかけ、内分泌系は内分泌腺にはたらきかけてホルモンを血中に分泌させて体のバランスを保とうとする。例えば、ストレスがかかると心拍数や血圧が上がるのは、身に迫る危険に対抗するために自律神経が調整した結果であり、また、月経周期に異常があらわれるのはストレスの影響に反応して、女性ホルモンの分泌に乱れが生じたためなのである。 さらに、免疫機能にも乱れが生じる。免疫系はウイルスや細菌をはじめとする異物の侵入から体を守るための防御機能を司るシステムであるため、このシステムが正常にはたらかないと、風邪や食中毒の感染症にかかりやすくなったり、アレルギーやがんなどの病気を引き起こすことにもなりかねない。 ストレス反応は受け手の状態によって変わる さてここまで見てきて、心身の不調を防ぐためにはストレスのない状態をつくることが必要なのでは?と思う方も多いだろう。しかし、人間が生きている以上、ストレスから完全に逃れることはできない。例えば、気温の寒暖差、入学、就職などのライフイベントなどの出来事もストレスの要因となるからだ。 では、生きている以上ストレスから逃れられないのであれば、その影響でほとんどの人が心身を病んでしまうだろうか?もちろん、現実にはそんなことはない。なぜなら、同じ状況でストレスを受けても、その影響を受けやすい人と受けにくい人がいるからである。それはストレスに対する対処の能力があるか否かの違いからくる。生きている以上避けられないのがストレスとのお付き合い。そのため、ストレスに心身が振り回されないよう、毎日の生活を工夫していくことが必要になるのだ。 公開日:2004年5月31日
リビドーの低下を嘆く前に 慢性ストレスが及ぼす性的な影響は少なくありません。 ストレスにさらされると女性では無月経、男性ではリビドーの低下やインポテンツなどの症状が起こりやすくなります。 これは卵巣や精巣といった性せんの機能がストレス反応で障害されるためなのです。性的な能力の低下を年齢的な運命とあきらめる前に、ストレスの影響がないか見直すべきかもしれません。 男らしさ、女らしさが消える ストレス反応の中で視床下部-下垂体系の反応は、副腎皮質からコルチゾールの分泌を促しますが、これが卵巣や精巣に直接作用して、女性ならエストロゲン、プロゲステロン、男性ならテストステロンといった性ホルモンの分泌を抑えます。 また下垂体からの黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモン分泌が低下するために卵胞、精子の形成、発育が低下することも考えられます。 これは、男女の性徴を際立たせる機能全般が低下することを意味します。現代の少子化現象や男女のユニセックス化の背景には、現代社会の過剰なストレスによる男女の性機能の低下が関与している可能性があるのです。
家庭のストレッサー、ワースト3は 名人位を獲得したある棋士は、タイトル戦の準備として子供たちに妻を褒めることから始めたといいます。 その褒め言葉は妻の耳に入り、妻の機嫌の良い家庭環境は、タイトル戦という過度の緊張状態にいる本人を支えてくれる、という理由からです。 家庭の雰囲気が良ければ仕事上のストレスが緩和され、不快ストレスを快ストレスに変換できることを知っている人の必勝の得意手というわけです。 夫婦間のいざこざはそれ自身大きな不快ストレスであり、さらに職務ストレスを家庭で増幅することになってしまいます。 不眠も大きなストレッサーですが、これも家庭の雰囲気によって左右されるデリケートなものです。 また、最近では家族バラバラの食事という光景がテレビなどでもしばしば見かけられますが、家族との夕食のひと時は職務ストレスを緩和するので、この回数が少ないのも好ましくありません。 家族と一緒の夕飯の意義 労働ストレスと高血圧や糖尿病の発症の関連を調べた調査では、家族と一緒に夕食を食べる回数が週1回以下という人は肥満度が高く、高血圧も発症しやすい、という結果が出ています(日本の産業労働者のストレスと健康総合調査報告)。 仕事を家庭に持ち込まない、一家団らんを楽しみたいという姿勢は職務ストレスを慢性的に継続させないためには必要ですが、そのために残業時間が増えて一家そろっての食事が犠牲になるようでは、ストレス軽減のためには歓迎されないものなのです。