世界一健康だったはずの日本人が… 男女とも世界一の平均寿命を誇り、「健康大国」といわれて久しい日本。ところが今、その実態に黄色信号が点滅中だ。 厚生労働省は2000年に国民の健康づくり計画「健康日本21」を設け、日本人の食生活や運動量、がん患者の数などを改善しようと70項目について目標値を決め、2010年までの達成を目指した。 しかし、厚生労働省で発足当初の数値と昨年5月までにわかった数値を比較したところ、20~60歳代男性の肥満の割合や、多量に飲酒する人の割合などの項目で、目標値に近づくどころか逆に悪化しているケースがみられた。この結果を受けて、厚生労働省では目標値の見直しも含めた計画の再検討を迫られている。 健康日本21のおもな目標と実数値 項目 目標値 2000年(策定時) 2003年(暫定値) 肥満者の割合(20~60歳代男性) 15%以下24.3%29.5% 日常生活での歩数 【男性】 9200歩以上 8202歩 7575歩 【女性】 8300歩以上7282歩6821歩 多量に飲酒する人の割合 【男性】 3.2%以下4.1%5.3% 【女性】 0.2%以下0.3%0.8% ストレスを感じた人の割合 49%以下54.6%62.2% 自分の体に無頓着だったり、忙しさのあまり健康管理が後回しになったりしている私たち。このままいくと、「不健康大国」に転落してしまう日が来るかもしれない。 数値&セルフモニタリングで、あなたのカラダがわかる 健康診断の結果には、あなたの体の真実がぎっしりつまっている。再度じっくりとチェックし、問題点がないか確認してみよう。その際、生活習慣などについて簡単なセルフモニタリングを行うと、より改善点を発見しやすい。 カラダチェック! 1 空腹時血糖が110mg/dL以上 (基準値109mg/dL以下) 2ヘモグロビンA1Cが5.9%以上(基準値5.8%以下) 3収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上(基準値90~139mmHg) 4拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上(基準値89mmHg以下) 5総コレステロールが220mg/dL以上(基準値140~219mg/dL) 6LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上(基準値70~139mg/dL) 7HDLコレステロール(善玉コレステロール)が39mg/dL以下(基準値40~99mg/dL) 8中性脂肪が150mg/dL以上(基準値30~149mg/dL) 9塩辛い食べものが好き 10喫煙している 11毎日がストレスでいっぱいだ 12BMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が25以上ある 13肉類中心の食生活で、野菜はほとんど食べない 14外食が多く、食事の時間も不規則 15アルコールを飲む機会が多い 16定期的に運動していない。運動が嫌い 1740代以降である 18(男性の場合)以前に比べ、尿の出が悪くなった。トイレが近くなった 19(女性の場合)イライラしたり、急にのぼせたりすることがある 20(女性の場合)閉経している 結果はこちら! ●1~11にチェックが入ったあなたは… 高血糖、高血圧、高脂血の疑いアリ。血液が流れにくくなり、血管を傷めつけている可能性も…。さっそく食事内容や生活習慣の見直しが必要だ。ドロドロ血対策&ボロボロ血管対策へGO! ドロドロ血&ボロボロ血管対策は、お早めに ●12~16にチェックが入ったあなたは… 肥満の疑いアリ。特に内臓型肥満は生活習慣病と関係が深いことから、「メタボリックシンドローム」という新しい診断基準も設けられた。この春こそダイエット成功を目指すなら、肥満対策へ。 これでスッキリ!肥満&ホルモン系のトラブル ●17~20にチェックが入ったあなたは… 男性も女性も、中高年になるとそれぞれ特有のトラブルが見られることもある。鍵を握っているのは、ホルモンバランスの乱れだ。心当たりのある人は、男性&女性特有の悩み対策へどうぞ。 これでスッキリ!肥満&ホルモン系のトラブル
生活習慣病は自覚症状のない病気がほとんどで、「おかしいなあ」と思う時には手遅れということも。そうならないためにも、早期発見できる健康診断は重要です。 目次 痛くなってからでは遅すぎる? こんなに違う生存率! 検査では、こんな病気を発見できる! 痛くなってからでは遅すぎる? 健康診断というと、どんな気持ちで受けているでしょうか? 現在日本人にとって深刻ながん、心臓病、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、ほとんど自覚症状がありません。本人の気がつかないうちに病気が始まってしまいます。しかし、こうした病気こそ「病気」に陥ってしまう前に生活改善で修正していくことが重要です。自覚症状が出てからでは手遅れなのです。 実際、健康診断を行うと、日本人の約3人に1人は数値になんらかの異常が見つかります。悪い芽は早いうちに摘みとってしまうためにもぜひ、自分の体のことを把握しておきましょう。 こんなに違う生存率! 生活習慣病は本人の自覚が出るところまで進むと、その病気の種類によっては、生活習慣の改善や治療で健康な体に戻すことが難しくなってしまうようです。例えば日本人の死亡原因1位・がんも健康診断で本人も自覚症状のない程度の早期発見をした場合と、「ちょっとおかしいかな?」と思ってから病院へ行き発見される場合ではこのグラフの通り、手術後5年の生存率はかなり違ってしまいます。元気に長生きするためには、本人に自覚のない早期の段階で、兆候を見つけられる定期的な健康診断が重要なのです。 検査では、こんな病気を発見できる! 検査の種類、医師などによって、実際に健康診断で発見される病気の種類、発見率は異なってきますが、これはある病院で発見された異常のワーストランキングです。いずれも、生活習慣病。本人が気がつかないうちに進行してしまう病です。しかもそのパーセンテージは加齢とともに上がっていきます。 ほかに低血圧、慢性胃炎、胃潰瘍の疑い、糖尿病、胆のうポリープ、貧血、高脂血症、十二指腸球部変形、子宮筋腫などが発見されています。 生活習慣病の治療というと、とにかくキチンとしたストイックな生活を送らなければならない気がして、それならいっそ知りたくない!という人もいるかもしれません。しかし、自分の体のどこに異常が出て、具体的に何に注意をすれば良いのか?を早い段階でしっかり把握すれば、むやみに何でも禁止!ということも、「短い人生だった」という事ことも無くなるはずです。
さまざまな病気の発見につながる血液の検査。血糖や中性脂肪は糖尿病、GOT、GPT、γ-GTPでは肝臓の病気を調べられます。血液は、自分の弱い場所を教えてくれます。血液検査の結果の見方として、肝機能、腎機能、代謝など血液の検査による正常値と、異常値の時に考えられる病気について紹介します。日常生活での注意点も知っておきましょう。 目次 血液検査とは 生活習慣の最も典型的な病は血糖(BS)と中性脂肪(TG) 沈黙の臓器・肝臓のささやきを聞こう 血液検査の結果からわかること 健康な血液を作ろう 血液検査とは ちょっと痛い思いをして、血をとられて、一体それで何を調べているのでしょうか?血液の検査は1回で、数10項目にわたる測定が可能な幅の広いものです。同じ血液でも、主に3つの方法で検査し、それぞれ以下のような病気の発見に役立ちます。 ■血液一般検査 検査方法赤血球や白血球の数や形など血液そのもののチェック 見つかる異常・病気貧血、腎不全、心筋梗塞、肝硬変、リウマチ、白血病、肺炎、胆のう、免疫不全、感染症など ■血清学的検査 検査方法病気により発生した抗原抗体反応のようすをさぐる 見つかる異常・病気肝炎、肝臓がん、肝硬変、心筋梗塞、悪性腫瘍、胆石、リウマチ、エイズ、感染症など ■生化学的検査 検査方法血液中にまじる、たんぱく質、糖質、酵素などの成分を検査 見つかる異常・病気肝炎、脂肪肝、肝臓・胆道の病気、糖尿病、各種のがん、心筋梗塞、心不全、高脂血症、脳血栓、甲状腺の病気、肺梗塞など 生活習慣の最も典型的な病は血糖(BS)と中性脂肪(TG) 血糖や中性脂肪は、糖尿病診断の決め手ともなる検査です。診断結果をもらって一番にこの項目を見る人も多いかもしれません。 血糖・中性脂肪の両方の値が高ければ、糖尿病が疑われます。飽食の現代、糖尿病はあまりにも一般化してしまい、特別重い病というイメージが無くなりつつあります。しかし糖尿病の人の平均寿命は日本人全体から見ると約10年は短いと言われています。 「糖尿病そのものでは、そうそう死なないよ」と思われるかもしれませんが、糖尿病は「病気の母」と言われるほど、多くの合併症を起こすものです。はたらき盛りの心筋梗塞による突然死の影には糖尿病が潜んでいます。 日本人の場合、コレステロールの値が高くなくても、中性脂肪が高い場合、特に危険です。また糖尿病の薬は少なからず副作用があり、インシュリンの投与は低血糖を起こす危険もあります。そうなる前に、気づいたら何とかしておきましょう。 沈黙の臓器・肝臓のささやきを聞こう 昨夜の飲みすぎ、ストレス、肥満…となると気になるのは肝臓です。肝臓は割合タフな臓器ですが、ウイルスや酒、薬、脂肪の摂りすぎ、糖尿病などによって大きな痛手を受けることもあります。 「沈黙の臓器」と呼ばれ、タフなだけにダメージを受けても自覚症状がほとんどなく、治療が遅れ困難になってしまうことがしばしばあります。だからこそ定期的に検査を受け、大切な肝臓の健康を見守る必要があります。 特に注目されるのは、GOTやGPT、γ-GTPといった数値です。GOTやGPTは肝臓の異常に敏感に反応する酵素で、臓器や組織にトラブルがあると高値になります。肝炎や肝がんはもちろん、心筋梗塞などでも異常を示します。γ-GTPは特にアルコールなどによる肝臓障害に敏感な酵素で、肝臓や胆道の病気があるとほかの酵素より早く異常を示します。 血液検査の結果からわかること さて、あなたの血液は何を語っているのでしょうか?特に生活習慣病に関係する生化学的検査の数値をみてみましょう。 ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。自分の結果が正常値になかったからといって、すぐにその病気であるとは限りません。正常値自体も医療機関によりバラつきがあります。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 主に肝機能の検査 項目 正常 異常で疑われる病気 GOTGPT 10~405~45肝炎、肝硬変、肝がん、心筋梗塞 γ-GTP 50以下アルコールによる肝臓障害 ZTT 2~14肝炎、肝硬変、高脂血症、悪性腫瘍 A/G比 1.1~2.0肝臓障害、ネフローゼ、悪性腫瘍 主に腎機能の検査 項目 正常 異常で疑われる病気 尿素窒素(BUN) 8~20腎不全、閉塞性尿路疾患、糖尿病、肝硬変 血糖(BS) 空腹時70~110糖尿病 クレアチニン(CRNN) 0.5~1.2腎不全、心不全、尿路閉塞、尿毒症 主に代謝系の検査 項目 正常 異常で疑われる病気 総コレステロール(TC) 130~220(高値)動脈硬化、糖尿病、高脂血症、高血圧症、脂肪肝(低値)肝硬変 HDLコレステロール 40~75低いとき心筋梗塞、狭心症、脳動脈硬化症、脳血栓糖尿病、脂質異常症 中性脂肪(TG) 30~140肥満、脂肪肝、動脈硬化症、糖尿病、アルコール性肝障害 血液の検査は、色々な要素を調べることができます。しかし残念ながら、簡単な検査では「確実に何の病気なのか?」あるいは「数値に異常がなければ本当に問題がないのか?」は断定できません。それでも、あなたの体のどこかが弱っていた場合、それが数値に反映されることは多いようです。GOT、GPTとγ-GTPの数値が境界線にあれば、肝臓に問題が起きているなどの想像がつきます。いくつかの検査結果を組み合わせることで、自分の弱い場所がわかってきます。正常値はあくまで「参考」ですが、ぜひ自分のデータと比較してみましょう。 健康な血液を作ろう 自分の弱い場所がわかったら、今日から気を付けましょう。もちろん明らかに異常値が出ており心配な場合は、精密検査を受け、医師の指示をあおぎましょう。 ●肝臓が弱っているかな?と感じたら 魚、肉、卵、大豆製品など、良質のたんぱく質を十分にとる ビタミンを多く含む野菜などを十分にとる 脂質の多い食品を控えめに お酒は適量。連日は控え、最低週2日の休肝日を むやみに薬を飲まない 食休みをゆっくりとる ●腎臓が弱っているかな?と感じたら 適正なエネルギー量を摂取する。無理な食事制限はしない 薄味に慣れよう。濃い味では食べすぎてしまう おかず中心でバランスのとれた食事をする 1日3食、決まった時間にとる 外食・単品を避ける ●代謝系に問題が?と感じたら 肥満に注意する 青背の魚を意識してとる(血栓予防) 肉の脂身は食べない(動物性油1 対 植物油2に) 卵は1日1個までに 動物のレバーなどを食べない 適度な運動をたしなむ たばこは控える
血圧検査は、高血圧だけではなく脳卒中や心臓病、腎臓病などのいろいろな生活習慣病の疑いを発見するものです。血圧検査による高血圧、低血圧の基準と、それぞれの場合の改善方法を考えます。 目次 血圧検査とは 血圧検査は生活習慣病チェックのNO.1 血圧検査の結果からわかること 健康な血圧をつくろう 血圧検査とは いまや日常的な検査・血圧。高血圧=悪いことというイメージは定着しています。しかし、問題は高血圧だけではありません。それによって引き起こされる病気、あるいは高血圧を引き起こしている病気があるのです。 ●高血圧が引き起こす病気 →脳・心臓・腎臓の病気 ●血圧異常を作り出していると思われる病気 →本態性高血圧、老人性高血圧、動脈硬化、大動脈閉鎖不全症、バセドウ病 こんな症状があったら… ●拡張期血圧(最低血圧)が上昇している →脳卒中や心臓病、腎臓病などのいろいろな生活習慣病 ●収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の差がありすぎる、もしくは、無さすぎる →大動脈の硬化など ●収縮期血圧(最高血圧)が低すぎる →低血圧症など 血圧検査は生活習慣病チェックのNO.1 血液は血管内を満たし、その時一定範囲内の力で血管の壁を外に向かって押しています。心臓が収縮し、血液が送り出されるときが、その圧力がもっとも高くなる最高血圧です。心臓が拡張し血液をその中にため込むときが、その圧力がもっとも低くなる最低血圧です。考えてみると、高い血圧の方が、より力強く血液をすみずみに押し出すのだから、良いようにも思えます。しかし実際には常に「ほどほど」であることが健康な証拠なのです。 自分の血管壁にかかる健康な時の血圧を知っておくと、その数値からズレた時、高血圧症、動脈硬化、大動脈瘤、心筋梗塞、脳出血などのいわゆる生活習慣病の発見・診断に有効となります。 血圧検査の結果でわかること ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。自分の結果が正常値になかったからといって、すぐにその病気であるとは限りません。正常値自体も医療機関によりバラつきがあります。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 分類 収縮期血圧(最高血圧) - 拡張期血圧(最低血圧) 低血圧100以下かつ60以下 至適血圧120未満かつ/または80未満 正常血圧120~129かつ/または80~84 正常高値血圧130~139かつ/または85~89 高血圧140以上かつ/または90未満 単位:mmHg 参考:高血圧治療ガイドライン2014より作成 ※低血圧についてはWHO世界共通基準より作成 健康な血圧をつくろう ●高血圧 動物性脂肪、塩分など食生活に十分注意します。体を動かし、よく眠ります。熱い風呂は避けましょう。医師の指示に従い生活改善をします。 ●正常高値血圧 不摂生がすぐ高血圧に移行する危険ゾーンです。肥満、たばこ、ストレス、塩分の摂りすぎなどに十分に注意します。 ●正常 血管は年齢とともに老化するものです。今は大丈夫でも今後を考え、栄養・運動・休養に留意します。 ●低血圧 本人に症状がなければ特に問題はありませんが、あれば受診し、医師の指示に従います。体をなるべく動かしましょう。
尿の検査では腎臓や膀胱の異常のほか、糖尿病、肝臓病、膠原病、骨髄腫、悪性腫瘍などを発見できます。尿検査の結果とその異常により疑われる病気について紹介します。また、その改善のための注意点も紹介します。 目次 尿検査とは 尿検査は2400年前からあった!? 尿検査の結果からわかること 健康な尿を作ろう 尿検査とは 尿検査は一般検査の中心で、尿中の各種細胞、たんぱく、糖などによって体の基本情報をさぐります。腎臓が、血液によって体中から運ばれてきた不用物を余分な水分とともに排泄するのが尿です。従って、体のどこかに異常があると、排泄されるべきものがされていなかったり、排泄してはいけないものが尿にまじってしまったりします。 尿の検査は、腎や尿路の疾患を発見するのが第一目標ですが、こうしたことからそのほかの器官の機能を知ることもできるのです。具体的には、腎臓や膀胱の異常、糖尿病、肝臓病、膠原病(こうげんびょう)、骨髄腫、悪性腫瘍などを発見する手がかりとなります。 尿の検査は2400年前からあった!? 尿の検査は約2400年もの昔、ヒポクラテスの時代から病気を知る手がかりとして、その色や臭い、量の異常が観察されてきました。 今も尿の観察・分析の重要性は変わっていません。では現代の尿検査はどのようにしているのでしょうか? ■尿量、尿比重など 検査方法尿の量や色、臭い、比重など、尿そのものについての観察 見つかる異常・病気腎不全、慢性腎炎、悪性腫瘍、糖尿病、心不全など ■尿沈渣 検査方法尿を遠心分離器にかけて採取した沈殿物を顕微鏡で観察 見つかる異常・病気尿路結石、尿路腫瘍、尿路感染症など ■尿自動分析装置 検査方法pH、たんぱく、糖などの12項目を分析器で検査 見つかる異常・病気腎臓の異常、糖尿病、腎性糖尿、ネフローゼ症候群など 尿検査の結果からわかること さて、あなたの尿は何を語っているのでしょうか?尿にも生活習慣病をチェックできる数値がたくさんあります。 ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。自分の結果が正常値になかったからといって、すぐにその病気であるとは限りません。正常値自体も医療機関によりバラつきがあります。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 項目 - - 異常で疑われる病気 尿たんぱく - 正常 腎炎、腎硬化症、尿路結石など尿路系の異常 ± + 異常 尿潜血 - 正常 腎臓・尿路系の炎症や腫瘍 ± + 異常 尿糖 - 正常 糖尿病、腎性糖尿、内分泌疾患、肝疾患、神経疾患 ± + 異常 尿ウロビリノーゲン + 正常 肝臓障害、溶血性黄疸、閉塞性黄疸 ± - 異常 たんぱく質は人間の生命活動には欠かせない大切な栄養で、正常であれば腎臓できちんと吸収され、尿に出る量はほんのわずかです。しかし、腎臓に何らかの問題が発生している場合、もれ出してしまいます。 尿糖もまた、エネルギー源として血液中に再吸収されるものですが、体に異常が起き、血糖値が限度を越えると腎臓からもれ出してしまいます。 尿に含まれ運ばれる体の内部の情報。尿は健康メッセンジャーです。しっかり、その教えをキャッチしましょう。 健康な尿を作ろう ●尿にたんぱくが出ていたら まずは再検査を受け、たんぱくの出た原因をさぐる 腎障害であった場合、医師の指示のもと適切な食事療法をとる 1日にとる塩分、たんぱく質の量を制限する カラダを冷やさない 激しい運動を避ける 疲労を防ぐ ●尿に糖が出ていたら まずは精密に検査をし、尿の出た原因や病名をさぐる 医師の指示のもと適切な食事療法をとる 飲みすぎない、食べすぎない 適度な運動をする 肥満に気をつけ、栄養バランスの良い食事に お酒、甘いもの、脂肪を控える 規則正しい生活をする ストレスをためない
レントゲン検査は身近な画像検査として、肺の病気のほか、心臓肥大、大動脈瘤、甲状腺の異常なども見つけることができます。レントゲン写真は手軽ですが、その一方で精密さに欠けます。多少でも陰影があった人はできるだけ早く精密検査を受けましょう。肺がん予防のためのチェックポイントも紹介します。 目次 レントゲン検査とは レントゲンでもあの手この手 レントゲン検査の結果からわかること 美しい肺を作ろう レントゲンの検査で何を調べるの? 俗に言うレントゲンとは、X線検査のことを差し、手軽で身近な画像検査として、いくつかの病気が疑われるときに、その原因のふるいわけなどに用いられます。 X線は、骨や心臓などは通過しにくく肺などは通過しやすいため、通過した後のX線をフィルムにあて感光させると、骨や心臓は白く、肺は黒く映るなどしてその形がよく判ります。肺がん、肺結核、肺炎、気管支炎、肺気腫など肺の病気のほか、心臓肥大、大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)、甲状腺の異常なども見つかります。 レントゲンでもあの手この手 レントゲンというと、胸のあたりをただ映す、ちょっと古くさいものというイメージではないでしょうか? しかし体にかける負担が比較的少なく、手軽に見られるというメリットを生かし、最近ではさまざまな方法で活用されています。 ●X線断層撮影 通常のレントゲンが体に水平な映像であるのに対し、横切り(断面)の映像を撮るもの。胸部でよく利用されます。 ●X線造影撮影 上部消化管造影 食道・胃・十二指腸などに硫酸バリウムを造影剤として入れ、鮮明な画像を撮るものです。 注腸造影 肛門から造影剤を注入して、大腸の検査をします。 血管造影 細い管(カテーテル)を介し、血管内に造影剤を入れる。血管が白く映り、詳しく観察できます。 レントゲン検査の結果からわかること さて、あなたのレントゲン写真は何を語っているのでしょうか? ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 検査 正常 異常で疑われる病気 胸部X線 陰影なし がん、肺炎、肺気腫、大動脈異常、肺動脈狭搾、慢性気管支炎、心肥大など 胃部X線 専門医による判断 潰瘍、炎症、がん、ポリープ、十二指腸潰瘍、胃拡張、胃下垂など 胃がんと肺がんは、日本人の疾患別死亡者数の上位にあたる病気です。 具体的に画像として、その影を見るにはX線は手軽な方法です。しかし手軽ですが、精密さには欠けています。 レントゲンの異常陰影を含め、各種検査でがんの疑いが多少ともある場合は、すぐに詳しい検査を受けるべきでしょう。特に、肺は、肋骨、多数の血管とX線を通しにくいもので囲まれています。自覚症状が出て病院に行く頃には転移し、手遅れとなっていることもあるのです。 美しい肺を作ろう 喫煙者は、今回のレントゲンが大丈夫だったからといって来年もそうとは限りません。喫煙は、肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となります。現在、吸っている人も禁煙すれば、がんになるリスクを下げることができます。美しいレントゲン写真に撮られるためにも、ぜひ今からがんばりましょう。 もちろん明らかに陰影が出ている場合は、精密検査を受け、医師の指示を受けましょう。 ●チェックしよう!危険な兆候 たばこを1日20本以上は吸う 喫煙指数(1日の本数×喫煙年数)が600以上 40歳以上である 緑黄色野菜をあまり食べない 咳、たんが出る 肺炎や肺膜炎にかかっている 胸、背中、肩などが痛む時がある 空気の悪いところにいる 肺の定期健診を受けていない
心電図検査は、心臓の天気予報とも言われ、心臓の動きに関するさまざまな異常を知ることができます。しかし、不整脈や狭心症など、いつ起こるかわからない病気も多いので、一度の検査では安心できません。 目次 心電図検査とは 心電図検査は病気発見の第一の手がかり 24時間休まず見守るホルター心電図 心電図検査の結果からわかること 健康な心臓を作ろう 心電図検査とは 不整脈の有無 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の有無 高血圧をともなう心肥大の有無 心臓病の有無 心電図検査は病気発見の第一の手がかり 心臓の疾患に関わる検査の中でも比較的簡単に行えるので、病気発見の第一の手がかりとしてよく用いられるのが心電図です。 心臓の筋肉が鼓動を打つために発生する微弱な電気信号を、体表面につけた電極から検出し、波形として記録。その乱れから病気の兆候などを読み取ります。 この検査で異常が出たらほかの検査も行い、それにより、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈、心臓肥大、心膜炎、冠動脈不全、高血圧症、動脈硬化症などの発見をします。 24時間休まず見守るホルター心電図 不整脈や狭心症はいつ起こるかわからないため、短時間の心電図検査では異常が発見できないことが多いようです。そこで携帯型の小さな装置・ホルター心電図で24時間連続して心電図を記録します。コンピュータで解析、診断します。 これにより心電図変化をとらえる可能性が飛躍的に高くなりました。 また心臓に何か変化のあった時のみ、作動するイベントホルター心電図も普及しつつあります。 心臓の声をしっかり聞こう!心電図の読み取り方と種類 心電図検査の結果からわかること さて、あなたの心電図は何を語っているのでしょうか? ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 検査 正常 異常で疑われる病気 心電図 正常な波形 不整脈、虚血性心疾患、心筋梗塞、心肥大、冠不全、動脈硬化症など 狭心症や心筋梗塞は、心臓に酸素や栄養を送る冠状動脈が詰まり、血がいかなくなって起こる病気。その原因のほとんどが、血管の壁に脂肪やコレステロールが付着し、血管が狭くなったことによります。そのため、血管を狭くする原因の血中コレステロールもあわせて見る必要があります。心電図だけでなく、そこでも黄色信号が灯っている場合は特に注意が必要です。 健康な心臓を作ろう 心臓をイキイキさせるには血管がキレイになることが大切です。100年以上動いてくれる心臓を作りましょう。 ●心臓が弱っているかな?と感じたら 低カロリーの食事をとるようにする お酒はなるべく控える。特に連日はやめる 少しでも禁煙にチャレンジする 適度な運動を心がける ■関連記事 10年以内の心筋梗塞などを発症する確率を予測 あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! リスク指標が刷新!脂質異常を再確認 重症心不全への再生治療の実際
「見る聴診器」超音波検査は心臓などの動きをモニターで観察でき、簡単に行え、X線などの被曝の心配や苦痛がまったくありません。超音波検査で最もよく見つかるのが胆のうポリープや胆石、腎臓結石です。その予防のための生活改善をアドバイスします。 目次 超音波検査とは 「見る聴診器」超音波検査 超音波検査の結果からわかること 健康な胆のう、腎臓を作ろう 肥満・便秘は検査も難しくする 超音波検査とは 検査名 検査方法 見つかる異常・病気 心臓超音波検査(心エコー) 心臓の形を見る形態的診断、心臓の実際の動きを見る機能的診断 心臓弁膜症、心筋症、狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、心膜炎など 腹部超音波検査(腹部エコー) 腹部の病気の診断、腹腔内の腹水や出血 肝硬変、胆のうの病気、膵臓の病気、大動脈瘤、前立腺肥大など 「見る聴診器」超音波検査 超音波検査はちょうど、魚群探知器と同じ原理です。人間の耳に聞こえないほど高い周波数の超音波は、臓器や組織の境目で反射する性質があります。従って、超音波を体外から発射し、返ってきた反射波を受信して画像として再構成して映し、その状況を見ることができます。 腫瘍など体に異常があると、その反射時間にズレが生じ、発見できます。心臓などの動きをモニターで観察でき、簡単に行え、バリウムなどを飲む必要もなく、X線被曝の心配や苦痛がまったくありません。しびれたりも決してしません。 しかし空気や骨が超音波を通しにくいため、肺・胃腸など、内側が空洞の臓器、および骨の観察には適しません。これらの影になる部分も検査できません。 胎児の診断もOK! 超音波の何よりのメリットは人体にまったく無害で副作用がないことでしょう。その利点を生かし、最近は胎児の診断によく使われています。胎児の性別、奇形や先天的な異常、成長の過程を画像で見守ることができるようになりました。 超音波検査の結果からわかること さて、気になる自分の体の中。あなたの体の中には何か見つかるのでしょうか?特に超音波検査で発見されることの多い病気について見てみましょう。 ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。異常が見つからなかったから一安心、というわけにもいきません。超音波の届かないところは調べられないからです。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 胆のうポリープ 10ミリ以上は手術が必要。まれにがんの場合もある 胆石 年に数回の胆石発作があれば手術が必要 腎臓結石 小さい結石は自然に排泄されることもあるが、外科的に取り除くと楽になる 健康な胆のう、腎臓を作ろう 胆のうポリープ、胆石の予防には脂身の摂りすぎを控える お酒の飲みすぎに十分注意する アルコール性肝炎に注意する 結石予防は水分を多くとって尿を薄くし、結石の発育を防ぐ 肥満・便秘は検査も難しくする 肥満はただでさえ、生活習慣病の敵です。その敵が検査までも邪魔をします。 超音波検査は、体の外側から行うため、太っていると超音波が目的の臓器に十分届かなくなってしまい、きれいな画像が得られなくなるというのです。特に膵臓(すいぞう)は胃の後ろにあるため、太った人では見えないことも。 また便秘ぎみの人は、お腹にガスがたまりやすく空洞ができてしまい、超音波が届かず画像が映りにくくなります。前日に申し出てガスをとる薬をもらいましょう。
眼底の血管は外から見ることができる唯一の血管です。眼底の検査は単に眼の検査にとどまらず、内科的なチェックをすることができます。眼底・眼圧検査の正常値と、異常な場合に考えられる病気について紹介します。 目次 眼底・眼圧検査とは 眼は内臓の窓! 眼底・眼圧検査の結果からわかること 美しい眼になろう 眼底・眼圧検査で何を調べるの? 検査名 見つかる異常・病気 眼底検査 網膜など、眼の病気 頭蓋骨内の病気 動脈硬化の診断 腎臓病、糖尿病による血管の病変 白血病による血管の障害 眼圧検査 緑内障 網膜剥離、脈絡剥離 眼は内臓の窓! 眼底の血管は外から直接見ることのできる唯一の血管です。眼底検査では眼球の奥の、網膜や脈絡膜、血管・視神経の出入り口を観察・撮影することが可能です。そこに現われる症状から網膜剥離、視神経疾患、糖尿病性網膜症、くも膜下出血、硬膜下出血はもちろん、脳腫瘍、動脈硬化、高血圧症なども発見できます。 特殊な検査眼鏡を用いて、眼球の奥をのぞく方法が一般的です。散瞳薬(さんどうやく)を用いずに眼底撮影をする場合などは、どちらかというと眼球の病気だけでなく、内科的なチェックをしていると考えてよいでしょう。 眼底・眼圧検査の結果からわかること さて、あなたの検査結果は何を語っているのでしょうか? ※注:検査の数値はあくまでも「めやす」です。不安があれば必ず、詳しく調べるようにしましょう。 検査 正常 異常で疑われる病気 眼底検査 KW0度以下 高血圧、動脈硬化、糖尿病の合併症の有無、脳腫瘍、くも膜下出血、網膜炎 眼圧検査 10~21 (高値)緑内障、(低値)網膜剥離、脈絡剥離 美しい眼になろう たばこを控える 糖尿病を起こす高い血糖値をおさえる 体にストレスをためない ビタミン豊富なバランスの良い食事を摂る 眼を酷使しすぎない
健康診断の結果を過信したり心配したりしないためは、人間ドック・精密検査などもおすすめです。また自分でも日常的に測定を行い、健康管理をしていきましょう。 目次 検査数値は絶対ではない さらに進んだ検査もおすすめ 自分の内側を見つめてあげよう 高血圧に気を付けて 検査数値は絶対ではない 各正常値、標準値、また検査で出た数値は、検査方法・検査機関・その時の体調などによって異なることが多くあります。そのため、特に異常値との境界あたりの数値が出た人は注意しなくてはいけません。 たった1回の検査で自分の健康を過信したり、逆に「もうダメだ」と投げやりにならないことが大切です。 また検査で異常値が出た時、注意や専門検査を促されるかもしれません。強制されるわけではないので、忙しいとそのままになってしまうことも多いかもしれませんが、健康はあなた自身の問題です。誰もあなたの生活改善をしてくれたり、病院まで引っぱって行ってくれるわけではありません。自分で何とかしましょう。 さらに進んだ検査もおすすめ とにかく検査による早期発見が第一の生活習慣病。健康診断で注意を受けたり、気になることがあれば、より詳しく病院で調べてもらいましょう。 人間ドック 広く浅く網を張って、体中の検査をいっぺんに行います。はっきりした病名がわからないときにおすすめです。各種補助制度を用意しているところもあるので、健康保険組合や会社の総務課などに問い合わせるのもよいでしょう。 精密検査 「心臓が少しおかしい」「肝臓が腫れてる」など、異常のあるところがあらかじめわかっている場合には精密検査を受けます。この場合、保険診療となるので保険証を忘れずに! 自分の内側を見つめてあげよう 健康診断は年に1回か2回です。しかし、35~40歳を過ぎたら、やはりそれでは不十分。特に、検査値で気になるものがある人はなおさらです。 これからの病気は、病院に行けば医師が治してくれるといったものではなく、自分の毎日の健康づくりが最高の医師になります。それにはまず自分が自分専属の看護師さんになって、気になる項目を計ってみましょう。 自分で出来る計測・観察 BMI BMIの計算の仕方は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) 19.8以上24.2未満が理想的。26.4以上は太りすぎ 体温・脈拍 まずは自分の通常を知る。脈拍は成人では60~100/分が正常 血圧 説明書に従い、正しく計ることが大切 尿のチェック 1日数回、淡黄色か黄褐色、合計500~2000mlで正常 便のチェック 1日1回程度、黄褐色か茶褐色で正常。色・臭い・硬さ・血便などをチェック! 高血圧に気を付けて いまや大人の健康を計るNO.1といえば血圧です。しかし、ただ漠然と「気をつけなくちゃ」と思っていても、なかなか改善しないもの。具体的な目標を目に見える形として実現していきましょう。 実は血圧は、初期であれば生活習慣の改善の結果が目に見えて現われます。自分の努力がハッキリと数値に現われるのは楽しいものです。最高血圧が160mmHg位までならば、食事療法と運動で下げることが可能です。血圧の薬は一度飲み始めると、なかなか途中でやめることができなくなってしまいます。そうならないためにも、まずは食習慣・運動習慣改善に取り組んで、血圧の変化を自分でグラフにしてみましょう。 ※注:血圧は大変デリケートな数値なので、できるだけ毎日同じ時間に、暖かい部屋で締め付けない服装をし、10~15分の安静の後、深呼吸をしてから測定します。もちろん、食事の前後や、たばこ・アルコール・コーヒーなどを口にしてからの測定は厳禁です。
糖尿病などで高くなる総コレステロール 脂肪酸と結びついたエステル型、別々に離れた遊離型の2つがあり、合わせて総コレステロールといいます。コレステロールは血管の強化・維持に大切な役割を果たしています。副腎皮質ホルモンや性ホルモン、消化液の胆汁酸を作る材料でもあり、人体には欠かせないものです。 総コレステロールの正常値は120~220mg/dlで、平均は190mg/dlです。動脈硬化、糖尿病、甲状せん機能低下症、ネフローゼなどで高値を示し、肝硬変、甲状せん機能亢進症では低値になります。 肥満でも高くなる中性脂肪 体内のエネルギーのうち使われなかったものは皮下脂肪として蓄えられます。そのほとんどが中性脂肪です。血液の中ではエネルギー源の運搬や貯蔵、臓器や組織の維持に機能しています。 正常値は50~140mg/dlです。糖尿病、甲状せん機能低下症、アルコール性肝障害などのほか肥満でも高値になります。食事の影響も大きいので、検査は1回だけでなく、数回の測定で判定します。
「正常値」と「異常値」 血液や尿・便を採取して行われる一般の臨床検査(検体検査)は、どのような病気が存在するか「推測」するためのものです。正確な診断のためには専門的な検査が必要です。 では、よく耳にする「正常値」「異常値」というのはどういうことなのでしょう。臨床検査では、たくさんの健康人を調べた場合に、そのうちの95%の人が示す一定範囲内の値を正常値(基準値)と決めています。 つまり、あくまで統計的な数値にすぎません。健康人が20項目の検査を受けてすべてが正常値になる確率は、それぞれが独立した検査ならばわずか36%という調査結果もあります。検査には偽陽性がつきものなのです。 正常値はあくまでも目安 例えば、血清中の総コレステロール濃度の値は、年齢・性別・遺伝子・個体差などの先天的身体因子によって違います。気温・運動・食事などの環境因子の影響によっても変動します。健康な体ではその変動範囲は狭く、正常範囲を超えることは少ないのです。ただし、正常範囲を超えていても健康な場合もあるし、逆に正常範囲内でもその人が健康な時の値よりは病的と判断される場合もあります。 「正常値」は「正常/異常」を判断する物差しではなく、あくまでも目安です。また、健康診断などの検査データは保存しておき、自分の健康時の値を知っておくことも大切です。
検査結果がすぐに疾患に結びつくわけではない 多くの臨床検査の結果は、それぞれの生体内の病理生理学的変化の一部を反映しているにすぎません。検査結果が即、特定の疾患に結びつくわけではないのです。 医師は、そうした検査値の変動が示す病気を想定します。さらに問診や病歴、診察所見、精密検査を参考にして診断を決定します。 上昇幅が大きいから重症、とは限らない 例えば、肝機能の状態を表わす血清GOT・GPTの検査値を例にとってみましょう。これらの数字が上がる範囲によって幾つかの疾患が想定されます。ですが、必ずしも上昇幅が大きいからといって重症であるとは限らないのです。 たしかに劇症肝炎など重症な疾患では、GOT・GPTは高度に上昇(500以上)します。しかし、急性肝炎の初期にも同じように高度上昇を示すのです。 逆に、アルコール性肝障害や状態が落ち着いている慢性肝炎などでは軽度上昇(150以下)です。 一方で、肝硬変や肝細胞がんといった肝臓にとっての最終局面という状態でも同様に軽度上昇なのです。 もちろん検査項目によって違いはありますが、検査値の高低などに一喜一憂すべきではありません。