脳血管疾患である脳卒中は大きく分けて2種類あります。ひとつは、血管が破れて出血するタイプで、主な病気の種類として 脳出血、くも膜下出血があげられます。もうひとつは、血管が詰まるタイプで、脳梗塞や脳血栓や脳塞栓が挙げられます。脳卒中の患者数は約120万人といわれており、日本においては死亡原因の第三位にもなっています。
脳梗塞は、元気な人が突然たおれたり、後遺症として麻痺(まひ)やしびれなどが残ってしまい、寝たきりや要介護になってしまうことが問題です。いきなり発症してしまうことも多いですが、時には前兆のような症状があることもあります。特に、薬を飲んでいる人は前ぶれ症状に気を付けましょう。(公財)心臓血管研究所所長の山下武志先生に解説していただきました。 目次 脳梗塞は血管がつまって突然おこる怖い病気、不整脈からおこるケースあり 一時的なふらつきやめまい、ろれつが回らなくなると脳梗塞の前ぶれ症状 脳梗塞を再発させないために患者さんは薬を継続することが不可欠 脳梗塞は血管がつまって突然おこる怖い病気、不整脈からおこるケースあり 脳梗塞には、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、不整脈などが原因の心原性脳塞栓症と3タイプあります(血栓は、血のかたまりという意味です)。 まず、ラクナ梗塞は脳の細い動脈で起こり、パーキンソン症候群や認知症の原因になります。 次に、アテローム血栓性梗塞は、脳に向かう太い動脈が動脈硬化でつまってしまうことでおこります。動脈硬化の原因疾患の高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などに注意すべきです。心筋梗塞や下肢閉塞性動脈硬化症も合併しやすいと言われます。 そして、心原性脳塞栓症は不整脈のひとつである心房細動がきっかけで心臓がふるえて、血液がよどみやすくなった結果、心臓内に血栓がつくられ、血流にのって流れて脳の血管をつまらせることでおこります。 長嶋茂雄さんや、サッカー・元日本代表監督のオシムさんなどが突然たおれたことが報道されたことで注目されています。 一時的なふらつきやめまい、ろれつが回らなくなると脳梗塞の前ぶれ症状 脳梗塞は、元気な人がある日突然、発症する印象がありますが、脳梗塞を発症する前に一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ、以下TIA:Transient Ischemic Attack)という、一時的な運動障害(麻痺:まひ)や言語障害 (ろれつが回らなくなる)、感覚障害(手足のしびれなど)、ふらつき、めまい、痙攣といった、前ぶれのような症状が現れることがあります。 1999年に全国156施設、約1万7000人の脳梗塞やTIAの患者さんを対象にした調査から、TIAをおこした1091人の症状として、多いものから以下が挙げられています。 脳梗塞を発症する前におこりやすい一過性脳虚血発作のおもな症状 ・運動障害 ・言語障害 ・感覚障害 ・意識障害 ・歩行障害 ・めまい ・吐き気、嘔吐 ・視野障害 ・頭痛 ・痙攣 出典:脳卒中2010;32:719–724、Cerebrovasc Dis 2004;18: 47–56 これらの前ぶれのような症状の多くは、早ければ30分ほどでなくなります(TIAの定義は24時間以内)。前ぶれ症状があるのに医療機関を受診せずに放置すると、いきなり脳梗塞がおこって倒れるような事態になりかねません。 脳梗塞を再発させないために患者さんは薬を継続することが不可欠 脳梗塞の再発の予防、要介護の予防のために、血管のつまりを防いで血の流れをよくする薬が欠かせません。 不整脈などが原因の脳梗塞に対しては、血のかたまりをできにくくするための抗凝固薬(凝固は血液が固まるという意味)があります(表)。 表:脳梗塞に対する抗凝固薬 製品名 一般名 ワーファリンワルファリン プラザキサダビガトラン イグザレルトリバーロキサバン エリキュースアピキサバン リクシアナエドキサバン 一度脳梗塞を起こしている人や、抗凝固薬を飲んでいる人は、自分の判断で薬をやめるようなことはせず、毎日継続することが不可欠です。 最後になりますが、一時的に手足に力が入らないやしびれといったTIAのような症状、不整脈(脈が速い、動悸、胸が苦しい、呼吸困難など)に注意しましょう。特に、薬を飲んでいる人は継続するよう工夫することが大切です。 ■関連記事 夜間に血圧が上がってしまう隠れ高血圧は脳卒中に注意しよう 脳血管疾患 公開日:2020/12/01 監修:(公財)心臓血管研究所 所長 山下武志先生
脳梗塞は再発しやすく、後遺症の影響で寝たきりや要介護の原因になりやすいので、治療を受けている人は自分の判断で薬をやめず、毎日飲み続けましょう。最近は、不整脈のひとつである心房細動になる人が増えていますが、脳梗塞リスクも高まっている可能性があります。心房細動と脳梗塞との関わりも含めて、(公財)心臓血管研究所 所長の山下武志先生に解説していただきました。 目次 心房細動から血のかたまりが脳血管をつまらせる脳梗塞になるケースあり 寝たきりや要介護になると医療費や家族の負担も増大 心房細動は100万人と推定される身近な病気、脳梗塞の予防のために要チェック 薬を飲んでいる患者さんは自分の判断で薬をやめないで 心房細動から血のかたまりが脳血管をつまらせる脳梗塞になるケースあり 冬は脳梗塞に注意すべきといわれます。寒くなると、血管を収縮させるなどして体温調節が行われますが、一方で血の流れが悪くなって動脈硬化により血液がつまりやすくなります。 血のかたまりができやすい動脈硬化や心房細動などが原因で起こる脳梗塞に注意が必要になります。 長嶋茂雄さんやサッカー・元日本代表監督のオシムさんは、心房細動を起こして不整脈により心臓がふるえて血液がよどみやすくなった結果、心臓内に血のかたまり(血栓といいます)が作られ、血流にのって流れて脳の血管をつまらせたことで心原性脳塞栓症(脳梗塞のひとつです)を発症しました。一命をとりとめても、いまだに後遺症と闘っています。 寝たきりや要介護になると医療費や家族の負担も増大 1970年代は脳卒中(脳梗塞は脳卒中の一種です)が死亡原因の第1位でしたが、最近は低くなっています。とはいえ超高齢社会なので、「麻痺やしびれで動けなくなった」、「会話できていたのに、ろれつが回らない」といった後遺症により、介護が必要な人が増えている可能性があります*1。 厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」によると、要介護度別の介護が必要となった原因で、脳卒中が第2位(18.4%)ですが、 寝たきりと考えられる要介護度5を見ると、脳卒中は第1位で3割を占めていました(表1)。 表1:介護が必要になった原因(要介護度別、単位:%) 要介護度 第1位 第2位 第3位 総数 認知症 18 脳血管疾患(脳卒中) 16.6 高齢による衰弱 13.3 要支援者 関節疾患 17.2 高齢による衰弱 16.2 骨折・転倒 15.2 要支援1 関節疾患 20 高齢による衰弱 18.4 脳血管疾患(脳卒中) 11.5 要支援2 骨折・転倒 18.4 関節疾患 14.7 脳血管疾患(脳卒中) 14.6 要介護者 認知症 24.8 脳血管疾患(脳卒中) 18.4 高齢による衰弱 12.1 要介護1 認知症 24.8 高齢による衰弱 13.6 脳血管疾患(脳卒中) 11.9 要介護2 認知症 22.8 脳血管疾患(脳卒中) 17.9 高齢による衰弱 13.3 要介護3 認知症 30.3 脳血管疾患(脳卒中) 19.8 高齢による衰弱 12.8 要介護4 認知症 25.4 脳血管疾患(脳卒中) 23.1 骨折・転倒 12 要介護5 脳血管疾患(脳卒中) 30.8 認知症 20.4 骨折・転倒 10.2 出典:厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査の概況」(注:熊本県を除く) さらに、厚生労働省平成29年患者調査によると、脳卒中患者さんの入院期間が平均80日弱と他の病気に比べて長いことが指摘されています(図1)。患者さんの医療費負担だけでなく、家族が介護する負担が大きくなることも問題です。 図1:病気別に見た入院日数の平均 出典:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」 心房細動は100万人と推定される身近な病気、脳梗塞の予防のために要チェック 不整脈のひとつ、心房細動がある人では、そうでない人に比べて脳梗塞になるリスクが約5倍になるとの研究結果があるので、脳梗塞になる前に心房細動と診断されていた患者さんは多いともいわれています*2。 心房細動の患者数は推定100万人で、最近は増加傾向といわれています*3。 普段から、下記のような症状をチェックしましょう。 不整脈(心房細動)チェック 手首の脈を測ると不規則ででたらめ 動悸がする 胸が苦しくなる 息苦しい めまいがする 薬を飲んでいる患者さんは自分の判断で薬をやめないで 脳梗塞は、血の固まりが脳の血管をつまらせる病気です。心房細動による脳梗塞予防に関しては、血のかたまりをできにくくするための抗凝固薬(凝固は血液が固まるという意味)があります(表2)。 表2:脳梗塞に対する抗凝固薬 製品名 一般名 ワーファリンワルファリン プラザキサダビガトラン イグザレルトリバーロキサバン エリキュースアピキサバン リクシアナエドキサバン 脳梗塞は血のかたまりが脳の血管をつまらせる病気です。だからこそ、治療を受けていて血のかたまりをできにくくする薬を飲んでいる人は、自分の体調がよい、あるいは症状や後遺症が改善しないからといって、自分の判断で薬をやめてはいけません。毎日飲み続けましょう。 *1:滋賀医科大学を中心とした滋賀県脳卒中発症登録事業の報告では、脳卒中の患者さんの大半が脳梗塞で、脳卒中を発症した人のうち半数以上が死亡あるいは介護が必要な状態になっているといわれています。 https://www.shiga-med.ac.jp/sites/default/files/2017-10/H290613.pdf *2:Stroke. 1991;22:983-988 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1866765/ *3:J Epidemiol 2005;15:194-196 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16195640/ ■関連記事 夜間に血圧が上がってしまう隠れ高血圧は脳卒中に注意しよう 脳血管疾患 公開日:2020/12/01 監修:(公財)心臓血管研究所 所長 山下武志先生
発症すると後遺症をもたらすこともある脳卒中ですが、再発の危険も高いことで知られています。再発すると最初のときよりも後遺症が重症になったり、新たな後遺症が加わったりすることもあります。一度脳卒中を発症した方は、十分な注意とケアが必要です。 目次 再発の危険が高い脳卒中。後遺症にも関係? 再発の危険因子をしっかり治療 再発の危険が高い脳卒中。後遺症にも関係? 元気に生活していた人が突然倒れ、後遺症が残ることのある脳卒中。この言葉の意味は「卒然として邪風に中(あた)る」というところからきており、突然に起こることを示しています。 発症すると後遺症をもたらすこともある脳卒中ですが、再発の危険が高いことでも知られています。さらに、再発すると最初のときよりも後遺症が重症になったり、新たな後遺症が加わったりすることもあります。 脳卒中の後遺症には、「高次脳機能障害」「運動機能障害」「感覚障害」などがみられます。 「高次脳機能障害」では、認知症、失語、状況把握機能の低下、動作を行う機能の低下などの症状が現れます。「運動機能障害」では、体の左右片側の麻痺(片麻痺)、関節の可動域が狭くなる関節拘縮、肩関節亜脱臼などの症状がみられます。「感覚障害」では、体の半身の感覚が鈍くなったり、しびれや痛みを感じたりなど、感覚に関する症状が起こります。ほかにも、視野障害、うつ状態といった症状もみられます。 では、再発を防ぐにはどのようにしたらいいのでしょうか。 再発の危険因子をしっかり治療 脳卒中の再発予防の基本は4つ、「原因となった病気の治療」「生活習慣の改善」「薬物療法」「手術」です。 脳卒中を起こした人には、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの危険因子を持っている方が多くなっています。このなかでも、高血圧は脳卒中の最大の危険因子ともいえるため、血圧のコントロールは再発の予防にとても重要です。 また、動脈硬化も脳卒中の原因になります。動脈硬化とは、前述の危険因子である高血圧や糖尿病により、血管が硬くもろくなってしまう病気です。これにより、血液の固まりができやすくなり、脳の血管に詰まってしまいます。脳の血管が詰まると、脳梗塞になります。 また、たばこやお酒を控える、ストレスや疲労をためない、適度な運動をする、といった生活習慣の改善も大切です。そのほか、水分が足りない状態になると、血液が濃くなって固まりやすくなり、脳血栓の原因ともなりますので、夏場はもちろん、冬でも暖かい部屋にいるときなどには注意が必要です。 脳血栓を防ぐための治療方法として、薬を飲んで血栓を防ぐ薬物療法もあります。この治療を受けているときは、自己判断で薬の服用をやめたりすることのないように、周りの人の注意も大切です。 これらの予防法でも不十分な場合は、「頸動脈内膜剥離術」という手術を行う場合もあります。 このように、脳卒中の予防には家庭でも気をつけて行えるものから、病院での治療が必要となるものまであります。一度脳卒中を発症した方は、定期的に病院での検査を受け、適切な処置を続けることが大切です。 公開日:2016/07/19
脳卒中の患者数は約120万人といわれており、日本においては死亡原因の第三位にもなっています。脳卒中は、一つの病気ではなくいくつかの病気の総称として呼ばれています。では、脳卒中には一体どんな種類の病気があるのでしょうか。 目次 脳卒中とはどんな病気? 脳卒中の種類 脳卒中にかからないために 脳卒中とはどんな病気? 三大疾病の一つである脳卒中は、私達日本人に多くみられる病気です。 脳卒中の患者数は約120万人(厚生労働省:平成23年 患者調査の結果)といわれており、日本においては死亡原因の第三位にもなっています。脳卒中の正式名称は、脳血管障害と言います。脳血管障害という名前の通り、脳の血管になんらかの障害が起きることによって発病するのが脳卒中です。 脳卒中は、一つの病気ではなくいくつかの病気の総称として呼ばれています。 では、脳卒中には一体どんな種類の病気があるのでしょうか。今回は、脳卒中の種類について詳しくみていきましょう。 脳卒中の種類 脳卒中の種類は大きく分けて2種類あります。ひとつは、血管が破れて出血するタイプで、主な病気の種類として 脳出血、くも膜下出血があげられます。もうひとつは、血管が詰まるタイプで、脳梗塞や脳血栓や脳塞栓が挙げられます。 (1)脳出血 脳の中の細かい血管が破れ、小脳および脳幹に出血した状態です。意識障害や感覚障害、運動麻痺などの症状が現れます。脳出血の最大の危険因子は、高血圧といわれています。 (2)くも膜下出血 脳の表面の大きな血管にできたこぶが破れ、くも膜の下の部分に出血が起こります。くも膜下出血は、働き盛りの40代~50代に多くみられる病気です。 くも膜下出血が起きた人の50%は、初回の出血によって命を落としてしまったり、社会生活が困難になる恐れのある病気です。 (3)脳梗塞 脳の血管が詰まることや、狭くなることで血流が悪くなり、脳の細胞が死んでしまう状態です。 脳梗塞は、高齢者がかかりやすい病気とされています。脳梗塞の原因として、高血圧による血管の障害や心臓病、糖尿病などがあげられます。 (4)脳血栓 動脈硬化を基盤にして、脳の動脈内に血栓という血のかたまりが形成され、血管が閉塞されてしまいます。 血栓によって脳の動脈が詰まってしまった場合を脳血栓と呼び、その結果、脳に血液が流れなくなり、脳梗塞を引き起こします。 (5)脳塞栓 心房細動という不整脈によって、心臓内に血液のかたまりができやすくなり、そのかたまりが脳の血管に流れてきて脳内で詰まります。 最近では、年配の方がかかる確率が高くなってきている病気といわれています。 脳卒中にかからないために 脳卒中は、なんの前触れもなく、ある日突然に起こることが最大の特徴です。 そして、生命に関わるものが多く、また、命を取り留めたとしても、手足の麻痺といった後遺症を残す場合もあります。後遺症を残す場合は、病院などでリハビリを行う必要も出てきます。 脳卒中にかからないためには、普段からの予防が大切です。 バランスの良い食生活を心がけ、飲酒、喫煙の量を減らし、適度な運動を生活に取り入れるように心がけましょう。 公開日:2016/04/18
脳卒中の症状は、今までまったく症状のなかった人に、突然起こります。脳卒中にかかってからでは手遅れである場合も多いため、脳卒中にかからないよう、病気のことを正しく理解し、普段から予防することが大切です。 目次 脳卒中という病気について 脳卒中の病気の分類 脳卒中にかかりやすい人の特徴 脳卒中の予防 脳卒中という病気について 脳卒中は、正確には脳血管障害と呼ばれる病気で、日本人の死因の第3位であることが示すように、私たちにとって身近な病気です。 脳卒中の症状は、今まで全く症状のなかった人に、突然起こります。脳卒中にかかってからでは手遅れである場合も多いため、脳卒中にかからないよう、病気のことを正しく理解し、普段から予防することが大切です。脳卒中の症状の特徴は以下の通りです。 ・片麻痺 顔の右半分もしくは左半分、もしくは手足の片方が突然動かなくなります。 ・言語障害 突然、ろれつが回らなくなったり、相手の言っていることが理解できなくなったりします。 ・失調 それまで麻痺はなかったのにも関わらず、歩いたり立ったりできなくなります。 ・その他の症状 このほかに、視覚的障害が現れることもあります。ものが二重に見えたり、一部が暗くなったりします。 続いて、脳卒中とは一体どんな病気なのかをご紹介していきます。 脳卒中の病気の分類 一口に「脳卒中」といっても、その原因や症状によって種類があります。脳卒中は、脳の血管が詰まるのが原因になる病気と脳の血管が破れて出血するのが原因になるものがあり、3つに分類ができます。 (1)脳梗塞 脳の血管が詰まることや、狭くなることで血流が悪くなります。これによって、酸素やブドウ糖が脳に行き渡りにくくなり、脳の組織の壊死を招きます。片麻痺や言語障害、片目の失明(見えづらくなることも含む)が症状として現れることがあります。 (2)脳出血 脳の中の細かい血管が破れ、小脳および脳幹に出血した状態です。頭痛や吐き気、意識障害などの症状が現れます。 (3)くも膜下出血 脳の表面の大きな血管にできたこぶが破れ、くも膜の下の部分に出血が起こります。経験したことのないような激しい痛みを伴う突発的な頭痛が特徴です。多くの患者は、同時に吐き気も訴えます。 脳卒中にかかりやすい人の特徴 長年の研究により、脳卒中にかかりやすい人の特徴がわかってきました。 脳卒中は、高血圧・糖尿病や、肥満やコレステロール値が高い、脂質異常症などの病気にかかっている人や、大量の飲酒や喫煙によっても引き起こされる可能性が高くなります。 また、先天性の危険因子として年齢を重ねた中高年の方や、遺伝などの家系に脳卒中の人が多いほど危険性は高まります。 脳卒中の予防 脳卒中は一度かかると後遺症となる可能性の高い病気ですので、普段から脳卒中にかからないように予防を心がけることが大切です。 飲酒や喫煙の量が多い方は、やめるように心がけましょう。また、塩分や脂肪や糖分を控えた食生活を送ることも大切です。 そのほかに、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を取り入れて、脂肪が燃焼しやすい体作りを心がけることもおすすめです。ウォーキングなどによる軽い有酸素運動は血流の流れをよくするはたらきがあるためです。 特に糖尿病の合併症として脳卒中(なかでも脳梗塞)のリスクが高いことが知られています。血圧や血糖値が高い人は、専門医に相談の上、治療を続けながら健康管理を意識していきましょう。 公開日:2016/04/11
冬の乾燥により、体内の水分が減って血液がドロドロになってしまうことが原因で脳梗塞・心筋梗塞が起きることも。湿度50~60%前後を保てるよう、室内の乾燥を防ぐための4ヵ条を紹介します。 目次 冬の乾燥が原因で脳梗塞・心筋梗塞が起きる!? 室内の乾燥によって体内の水分が失われて、血液がドロドロに 湿度50~60%前後を保つための、室内の乾燥対策とは? 冬の乾燥が原因で脳梗塞・心筋梗塞が起きる!? 肌を刺すような冷たい風を感じる季節。防寒もさることながら、乾燥対策に余念がない方も多いでしょう。カサつく肌が白い粉をふき、かゆみに悩まされないようにするための保湿クリーム。鼻やのどの粘膜を乾燥しにくくして、風邪・インフルエンザのウイルスに感染するのを防ぐためのマスク。これらで対策は万全かと思いきや、それだけではまだ十分とは言えません。 乾燥対策は、家の外側だけではなく家の内側、さらには体の内側にまで目を向ける必要があります。というのも、乾燥によって起きやすい病気として乾燥肌や風邪・インフルエンザのほかに、脳梗塞・心筋梗塞も挙げられるからです。脳梗塞・心筋梗塞が冬に起きやすいのは、寒さで血管が縮むことだけではなく、乾燥により体内の水分が減って血液がドロドロになることも、原因のひとつだと考えられています。 室内の乾燥によって体内の水分が失われて、血液がドロドロに エアコンやストーブ、こたつなどの暖房器具が普及し、構造や内装の流行が変化した現代の日本の住居は、ひと昔前の一般的な住居よりも乾燥しやすい環境だと言えます。人間の体は皮膚や粘膜、吐いた息から水分が自然に失われますが、空気が乾燥しているとより多くの水分が失われます。血管内の水分が減ると血液中に含まれる成分の割合が高くなるため、血液はドロドロとした濃い状態になって血液がうまく流れなくなり、脳梗塞・心筋梗塞が起きやすくなります。 現代の住居の室内が乾燥しやすい理由 暖房器具の普及 外気よりも乾燥した空気になり体から失われる水分量が多くなります。 気密性の向上 空気の出入りが少ないので入り込む外気による加湿がされにくくなります。 広々としたリビング・ダイニングの増加 水分を適度に出し入れする壁やふすまなどの仕切りが少なくなります。 天然のイグサが用いられた畳の減少 水分を適度に出し入れする天然イグサの働きを利用できなくなります。 湿度50~60%前後を保つための、室内の乾燥対策とは? 脳梗塞・心筋梗塞の予防として室内の乾燥を防ぐには、まずは湿度計を設置して、現状を把握する必要があります。湿度50~60%前後を保てるように、状況に応じて以下の対策を実践しましょう。 乾燥を防ぐための4ヵ条 ●湿度を高める 加湿器を使うほかに、こまめに換気をする、洗濯物を部屋に干す、室内で植物を育てる、石油ストーブの上に水を入れたやかんを載せるといった方法でも、湿度を高められます。 ●水分補給をする 冷たい水を飲むことによる体の冷えが気になる場合は、常温の水か、沸かしたお湯を冷ました白湯(さゆ)を飲むと良いでしょう。利尿作用のあるコーヒーや緑茶は、飲みすぎると水分が尿として排出されやすくなるので、飲みすぎないように注意が必要です。飲み物だけでなく、緑黄色野菜や果物などを食べることで、食事でも水分補給ができます。 ●鼻呼吸を心がける 口よりも鼻から息を吐いたほうが、失われる水分量が少なくなります。鼻で息を吸うと、空気は加湿されて体内に取り込まれます。また、鼻には風邪・インフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐフィルターとしての役割もあるので、意識して鼻呼吸をするようにしましょう。 ●厚着をする 肌の露出が減ると、皮膚や粘膜から失われる水分量を減らすことができます。暖房器具をきかせすぎるのを避けられるため、室内の乾燥防止にもつながります。 公開日:2015/12/14
高齢者を中心に、入浴中に倒れる人が多くなる冬場。暖房で温められた部屋と、寒い部屋を行き来することで発生しやすくなる、「ヒートショック」と呼ばれる現象が主な原因です。お風呂場で命を落とすことのないよう、ヒートショックの予防法について、紹介します。 目次 脳や心臓の病気が起きたり、風呂場でおぼれたりして命を落とすことも… 高齢者や生活習慣病、肥満の人などは特に注意! ちょっとの工夫で予防できる!ヒートショックから身を守りましょう 脳や心臓の病気が起きたり、風呂場でおぼれたりして命を落とすことも… 高齢者を中心に、入浴中に倒れる人が多くなる冬場。原因は、「ヒートショック」と呼ばれる現象です。ヒートショックとは、大きな温度差にさらされて血圧が激しく上昇または低下し、体がダメージを受けることです。暖房器具で温められた部屋と、寒いままの部屋を行き来することで、ヒートショックが発生しやすくなります。 ヒートショックが特に起きやすいのは、入浴するときです。温かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動し、さらに熱いお風呂に入ることで、血圧は激し変動。それによってめまいがして、倒れる事故が後を絶ちません。最悪の場合は、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などが引き起こされたり、意識を失って風呂でおぼれたりして、命を落とすケースもあります。 高齢者や生活習慣病、肥満の人などは特に注意! ヒートショックのリスクが高いのは、下記の条件が1つでも当てはまる人です。高齢になると血圧が変動しやすく、自分の体調の変化にも気づきにくくなります。高血圧の人は、血圧の急激な低下が起きやすく、糖尿病や脂質異常症の人は、血管の動脈硬化が進行して、血圧を一定に保てないことがあります。 めまいがして倒れるときは、一瞬のことなので対処法はなく、手の施しようがありません。そのため、リスクが高い人は特に、ヒートショックが起きないようにあらかじめ対策をとることが、何よりも重要です。 ヒートショックのリスクが高い人 65歳以上 生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症) 肥満気味 睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの呼吸器官の病気 不整脈 熱い風呂が好き 飲酒後に入浴する ちょっとの工夫で予防できる!ヒートショックから身を守りましょう ヒートショックを防ぐために、高齢者や生活習慣病の人は特に、次のようなことに気を付けて入浴しましょう。 入浴するときのヒートショック対策 ●脱衣所や浴室を暖房器具で温めておく 脱衣所が部屋として仕切られておらず、廊下と続いているような場合は、厚手のカーテンなどで仕切ると断熱性が高まり、熱が逃げにくくなります。暖房器具が濡れることによるトラブルを招かないために、浴室では浴室専用の暖房器具を使いましょう。 ●シャワーで風呂にお湯はりをする 浴槽の近くにある蛇口などよりも、高い位置に設置したシャワーでお湯をはるほうが、浴室全体を温められます。 ●風呂の温度は41度以下にする 寒い日は熱いお湯に入りたくなるものですが、熱いお湯に入ると血圧が急激に下がる恐れがあるため、ヒートショックのリスクが高まります。 ●入浴前に水か白湯を飲む 入浴により汗をかいて脱水症状に陥ると、血圧の急激な低下へとつながりかねません。脱水症状を防ぐために、入浴前にコップ1杯の水か白湯を飲むようにしましょう。 ●食事の直後や飲酒時は入浴しない 食後や飲酒時は季節を問わず、血圧が下がりやすくなります。冬場の入浴は、血圧がさらに下がる恐れがあるため危険です。 ●日中に入浴する 夕方以降と比べて、外気温が比較的高い日中は、脱衣所や浴室が冷え込みにくいため、ヒートショックのリスクも軽減されます。 ●入浴前に家族に声をかける 万が一のときに、対応してもらいやすくなります。家族がいない場合は、公衆浴場や日帰り温泉などを利用することで、一人での入浴を避けることができます。 ●長風呂をしない 適度な温度であっても、お湯につかると血圧は徐々に下がるため、のぼせや失神(ブラックアウト)の恐れがあります。 ●旅先などでの露天風呂に注意する 露天風呂は、脱衣所と外気温との差が大きく、お湯の温度も自分では調節できません。旅先を選ぶ時点から、ヒートショックのリスクが高いと理解しておくことが大切です。 脱衣所や浴室のほかに、トイレやリビングなどでもヒートショックが発生する恐れがあります。暖房や断熱性を改善させるために、家全体を改修できるのが理想的ですが、窓の隙間に目張りをする、窓ガラスに断熱フィルムを貼る、床に断熱シートを敷くという対策でも効果があります。部屋の移動をする際は、厚着をすることが大切です。また、たとえ人がいない部屋でも、「もったいない」「ぜいたくだ」などとは考えずに、暖房で温めておくことが勧められます。これらの対策をしっかりとして、ヒートショックを防ぎましょう。 公開日:2015/02/09
夏は、脱水状態による血流の悪化で、脳や心臓の血管が詰まりやすくなる季節。そのため脳梗塞や心筋梗塞は、夏に起きやすい病気です。脳梗塞は30代でも起こることがあります。あなたは脳梗塞にかかりやすい?ここでチェックしてみましょう! 目次 脳梗塞・心筋梗塞は夏に起きやすい! 若い人も要チェック!脳梗塞のかかりやすさ 血管の詰まりを防ぐには、こまめな水分補給を 脳梗塞・心筋梗塞は夏に起きやすい! 暑くなると、体がだるい、食欲がわかないといった症状が現れる、ご存じ夏バテ。主な原因の一つに、発汗による脱水状態が挙げられますが、同様の原因で夏に起きやすい、意外な病気があります。それは、脳梗塞と心筋梗塞。夏は、脱水状態による血流の悪化で、脳や心臓の血管が詰まりやすい季節なのです。 特に脳梗塞は、ろれつが回らなくなる、倒れて意識を失うなどの発作が起きて、治療を受けた後も、次のような後遺症が残ることがあります。後遺症が残ると、家族などによる介護が必要になったり、仕事や社会生活に支障が出たりして、生活が大きく変化することになります。 脳梗塞の主な後遺症 ●体の左右片側のまひ ●手足のつっぱり ●言語障害 ●感覚障害 …など 若い人も要チェック!脳梗塞のかかりやすさ 脳梗塞は60代以上で多くみられる病気ですが、30代や40代の若年層でも起きることがあります。高齢者の脳梗塞は多くの場合、動脈硬化などによって引き起こされます。それに対して、若年性脳梗塞の原因として多いのが、もやもや病や、奇異性脳塞栓症(心臓の異常によってできた血栓が詰まって起きる脳梗塞)などの脳血管障害です。また、原因不明のケースもみられます。 脳梗塞にかかりやすい人の条件としてまず挙げられるのが、60歳以上であることや、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)にかかっていることです。そのほかに、次の項目も関係すると考えられています。家族や自分自身に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。 脳梗塞のかかりやすさをチェック! あまり運動をしない ストレスを感じることが多い ゆっくりと休むことができていない 何事もきっちりとする完璧主義だ 味付けの濃い料理を好んで食べる 脂っこいものが好きでよく食べる 野菜や果物をあまり食べない たばこを吸う お酒をたくさん飲む …など 血管の詰まりを防ぐには、こまめな水分補給を 夏の脳梗塞を予防するには、血管が詰まりやすくなる脱水状態にならないように、気をつける必要があります。そのために欠かせないのが、こまめな水分の補給。ここで注意したいのが、水を飲んでも、体にすぐに行きわたるわけではないということです。喉がかわききったり、大量の汗をかいたりした後ではなく、前もって水分を補給しておきましょう。 特に気をつけたいのが、お酒を飲んで寝た後。アルコールには利尿作用があり、脱水状態になりやすいので、寝る前に水を飲んでおくのとともに、いつでも水分補給ができるように、枕元に水を置いておくと良いでしょう。 また、体を動かさないと、血流が停滞してしまい、血管が詰まりやすくなります。適度な運動としてお勧めなのが、ウォーキングです。ただし、気温が高い日に出歩くと、熱中症になる恐れがあります。出掛ける前に、帽子や水の用意など、万全の準備が必要です。 脳梗塞は、発作を起こして突然倒れることがありますが、ろれつが回らなくなることや手足のまひが、徐々に進行していく場合もあります。近年は心房細動などの、不整脈による心原性脳塞栓症も増加傾向にあり、日頃から予防に気をつけるとともに、気になる症状がある場合は医師に相談しましょう。 公開日:2014/07/28
近年では40~50代の働きざかりでも発症する脳梗塞。さらには30代以下での発症も報告されています。若いうちからできる、動脈硬化の予防方法を紹介します。 目次 脳梗塞は高齢者だけに起きるとは限らない 検査で異常なし!タバコも吸わない!それでも発症することも 若いうちから、動脈硬化を予防することが大切 脳梗塞は高齢者だけに起きるとは限らない 脳の血管が詰まったり、狭くなったりすることで、脳に十分な栄養が行きわたらなくなる病気、脳梗塞。どの血管に起きるかによって、手足のしびれや言語障害、意識障害など症状は異なり、ときには後遺症となって残ることもあります。60代以上で多くみられ、通常は高齢者の病気として知られています。 では、高齢者にしか起こらないかといえば、決してそうではありません。近年では、40~50代の働きざかりでの発症が増えています。さらには、それよりも若い人で発症する「若年性脳梗塞」もみられます。若年性脳梗塞は、40~45歳以下での発症を指すのが一般的ですが、30代ばかりか、なかには10~20代での発症も報告されています。 検査で異常なし!タバコも吸わない!それでも発症することも 動脈硬化や、血液の固まりによって血管がふさがれることなどが、脳梗塞の主な原因として挙げられます。そのため、たとえ若い人であっても、動脈硬化を引き起こす高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病にかかっている人や、喫煙をしている人は、脳梗塞になる確率が高くなります。 ただし、若年性脳梗塞の場合、上記のような生活習慣病や喫煙の習慣がなく、健康診断などで検査値に異常がないにもかかわらず、突然発症することがあります。これは、生まれつきの体質などが関係していると考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。 若いうちから、動脈硬化を予防することが大切 原因不明のものを除けば、年齢を問わず、動脈硬化にならないような生活を送ることが、脳梗塞の予防には有効となります。血管に負担をかけないよう、若いうちから次のようなことに気をつけましょう。 若年性脳梗塞を予防するポイント ●脂肪分や塩分などの摂りすぎにならないよう、バランスのとれた食事をする ●血液の流れをよくするために、適度な水分を摂る ●入浴のため暖かい部屋から寒い脱衣所に入る際など、温度が急激に変化しないようにする ●過度にストレスを感じてしまう状況を、できるだけ避ける ●便がなかなか出にくいときでも、必要以上にいきまない ●高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病にかかっている人は、きちんと治療を受ける ■関連記事 冬の乾燥で血液ドロドロ!脳梗塞・心筋梗塞で突然死を招くことも 10年以内の心筋梗塞などを発症する確率を予測 あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ 公開日:2013/02/18
水分が不足していることで起こる病気として、記憶にも新しい脳梗塞。そのほかに糖尿病、便秘、高血圧、痛風、熱中症などが挙げられます。水分を摂取することは健康に役立つということをご紹介します。 目次 水分不足で脳梗塞に!? まだある!水でこんな病気を予防できる 水分不足で脳梗塞に!? 以前、脳梗塞で倒れた芸能人もいましたが、その原因は、サウナが大好きで長時間水も飲まずに入っていたことなどによる水分不足だったのではないかと言われています。 脳梗塞は、脳の血管が詰まってその先へ血液が流れなくなってしまう病気です。詰まる場所によっては顔面や手足の麻痺、言語障害、歩行障害、意識障害などを起こしてしまいます。昨日まで元気だった人が、突然発作を起こし、重篤な状態になることも少なくありません。 血液中の水分が不足すると、血液がどろっとして血管が詰まりやすくなります。脳梗塞は、午前中に起こりやすいと言われていますが、それは寝ている間に汗をかき、水分が奪われてしまうため、朝起きて水分を摂取しないでいると、どろどろとした血液が詰まって脳梗塞の発作を起こしてしまう可能性が高くなるからです。また、睡眠中にトイレが近くなることを恐れて、寝る前は水分を控える人が多いが、そのために血液が濃くなり詰まらせてしまう原因にもなっています。 まだある!水でこんな病気を予防できる 糖尿病 糖尿病は体内のインスリン作用が悪くなって起こる病気です。血糖値が上がり尿がたくさん出て血液濃度が高くなるため、喉が渇きやすくなります。水を飲むことは糖尿病の予防にもつながるため、摂取したほうがよいでしょう。ただし、カロリーがある飲料水や甘味料、スポーツドリンクなどには糖分が含まれているため、反対に病気を悪化させてしまうこともあります。水分を補給するときには、糖分が含まれていないものを摂りましょう。 便秘 朝起きぬけにコップ1杯の水を飲もう 女性に多い悩みのひとつである便秘。その原因のひとつに、水分が不足するため便が硬くなり腸のはたらきが落ちることが挙げられます。便秘を解消するには、朝起きぬけにコップ1杯の冷たい水を飲むこと。冷たい水が腸を刺激して便秘解消につながります。 高血圧 高血圧は塩分の過剰摂取によっても引き起こされます。余分な塩分を排出するために、水分を補給すると効果的です。 痛風 秋になると意外と多くなるのが、痛風。痛風とは、なんらかの原因で尿酸が過剰になってしまうと、それが針状結晶となって関節などに付着し、激痛を起こす病気です。つまり、尿の量が少なくなれば尿酸が排出されなくなり余計に痛風になりやすくなります。夏は汗を大量にかくため、尿量が減少しがちです。その結果、尿酸が十分に排出されない状態となり秋に痛風発作を起こすことがあります。 これを解消するためにもやはり水分を摂取することは大切です。また、尿量が少ないと尿路結石もできやすくなるため、水分を摂取して尿をどんどん排泄しましょう。 熱中症 水分不足が原因で起こる症状の代表ともいえるのが、熱中症です。炎天下で運動や集会をしているとき、また車の中に置き去りにされた子供などが、熱中症にかかり、命を落とすこともあります。 本来ならば、汗を蒸発させることで人間は体温を調節していますが、体温より気温が高くなったり、湿度が上昇すると、体温をうまくコントロールできなくなり、どんどん上昇させてしまうのです。そうならないためには、こまめに水分を摂取することはとても重要なこと。熱中症の場合、汗とともに体内の塩分も失われているため、スポーツドリンクなどのイオン水を摂取したほうが望ましいです。 ■関連記事 尿酸値が高いと生活習慣病、痛風だけでなく脳梗塞や心筋梗塞、透析に注意 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ 公開日:2003年9月29日
水分をどのくらいの量をどのように摂ればよいのでしょうか?効果的な水分摂取についてまとめました。また、「清涼飲料水」や「水分の摂り過ぎ」など、水分を補給する際の注意点についてもあわせてご紹介します。 目次 効果的に水分を摂取するには、どのくらいの量が必要? どうやって飲むのがベスト? 飲む「水分」にも注意を払って! 水分を「摂り過ぎる」ことはないの? 効果的に水分を摂取するには、どのくらいの量が必要? 1日に人間の体から出る水分は、尿が約1,000~1,500ml、便が約900ml、生理的に失われるものが約100mlといわれています。合計、2,000~2,500mlもの水分が失われています。一方、食事から摂取する水分は約1,000ml、体内での代謝水が約200mlだということを考えると、飲料水として必要なのは1日約800~1,300mlになります。「ちょっと汗をかいたな」というときは、約1,800mlの水分を摂るように心がけましょう。 ただし、腎機能や心機能に異常があって水分を制限されている人は、医師の診断に従うようにしてください。 1日の水分摂取量(ml) 飲料水800~1,300 食物中の水1,000 体内での代謝水200 合計2,000~2,500 1日の水分排出量(ml) 尿1,000~1,500 便900 生理的に失われる水分100 合計2,000~2,500 どうやって飲むのがベスト? 1日1リットルの水を飲むといっても、一度にがぶ飲みしてしまっては意味がありません。たくさん飲むと、喉の渇きは癒されますが、過剰の水が胃に負担をかけ、胃液を薄めてしまいます。そのため消化不良を起こし、よけいにばててしまいます。飲むなら、1回200ml程度を何度かに分けて摂取するとよいでしょう。 1日のサイクルとしては、朝目覚めたとき、午前10時と午後3時のおやつのとき、入浴前後、寝る前などにコップ1杯ずつの水を飲むこと。これ以外に1日3回の食事のときにも1杯ずつ飲めば、1日1,600ml程度の水分が補給できます。こまめな水分補給が健康のカギを握っているのです。 飲む「水分」にも注意を払って! 最近では、ペットボトルや缶入りの飲み物の種類が豊富です。どれを選んで飲もうかと迷ってしまうこともあるかもしれません。「清涼飲料水なら体によさそうだからよいのでは」とも思いますが、決してそうとは言いきれません。 そもそも清涼飲料水とは、「乳酸菌飲料、及び乳製品を除き、酒精分1容量パーセント未満を含有する飲料」と食品衛生法で定められており、炭酸飲料や果汁飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター、ニアウォーターなどがこれに当たります。特にニアウォーターは、水にミネラルやビタミンを加えた限りなく水に近い飲み物です。水分の補給とともに栄養素も補給でき、なかには「カロリーオフ」というのもあるため、人気を集めています。 しかし、清涼飲料水には、糖分が多く含まれているものもたくさんあります。 水分を摂取するときには、原材料名などをチェックして、糖分が多すぎないかを確認しましょう。ちなみに、糖分は体重1kgあたり1日1g程度に抑えるのが望ましいと言われています。料理やお菓子にも糖分は含まれているので、その分を差し引いて清涼飲料水を選びましょう。 水分を「摂り過ぎる」ことはないの? 人間の体は約60%が水分でできています。これが、わずか5%でも不足すれば頭痛や体温上昇、脈拍上昇などの症状を起こしてしまいます。しかし、いくら飲んでもよいのかというとそうでもありません。水分を摂り過ぎて体内の水分が数%でも増えると、過剰な水を処理するために腎臓に負担がかかり、体内の老廃物を処理しきれなくなってしまうため、体がだるくなったり疲れやすくなったりむくみを起こしたりしてしまいます。 特に注意が必要なのは、1日中エアコンの効いた部屋にいて、あまり汗をかかず尿量も少ない人。こんな人は、冷たい飲み物ではなく温かい飲み物を飲んだり、カフェインの入ったものを飲んで尿量を多くしたり、ときどき外に出たりしてエアコンの中にばかりいないように注意しましょう。 公開日:2003年9月29日
三大生活習慣病とは、「がん」「脳卒中」「心臓病」のこと。この3つの病気が日本人の死因の約6割を占めています。死の四重奏を奏で続けていると、三大生活習慣病を引き起こしてしまうかも…?ここでは、それぞれの病気の原因や症状、また発見方法をまとめてみました。 目次 三大生活習慣病とは? ほかにもある!見逃せない生活習慣病 三大生活習慣病とは? 数ある生活習慣病の中でも、「がん」「脳卒中」「心臓病」は三大生活習慣病と言われている。生活習慣病のなかでも生死に関わるこれらの病気は見逃せない。 がん なんらかの原因によって、人間の正常な細胞が突然変異してがん細胞になり、際限なく急激に増えていく(腫瘍になる)病気。悪性新生物とも言う。 ●原因は? 正常な細胞を突然がん細胞に豹変させてしまう原因には、発がん性物質の存在が確認されている。これらの物質を作り出す原因は、食生活や喫煙などの生活習慣に深く関係している。 ●主な症状は? がんは体のどの部分にも発生する厄介な病気。でも、最近では無症状のうちに定期健診で発見されているものが多い。みぞおちあたりの痛み、吐気なら胃がん、血便、便潜血なら大腸がん、咳、血痰なら肺がん、不正性器出血、ピンクのおりものなら子宮がん、などの疑いがある。 ●どうやって発見される? がんが発生する部位によって異なるが、乳がんの場合は胸のしこりに気がついたり、肺がんの場合は痰の中に血液が混じるようになって気がつくことも。いずれにせよ、早期発見のためには定期健診を欠かさないこと。 心疾患 心臓そのものに栄養・酸素を送る冠状動脈がふさがり、酸素不足になっておこる病気。一部が詰まった場合は狭心症と言われるが、完全に冠動脈の内腔がふさがってしまうと血液が遮断され、そこから先の細胞が壊死してしまう。これが心筋梗塞。 ●原因は? 食生活の乱れ、運動不足、喫煙、ストレスなどによって血管が硬化して塞がりやすくなる。 ●主な症状は? 心臓に激痛が走る。狭心症の発作は体を動かさずじっとしていれば長くても2~3分ほどで痛みが治まってくるが、心筋梗塞の発作の場合は心筋の部分的壊死が起こっているため胸痛が激しく長時間続く。すぐに救急車を呼ぶ必要がある。 ●どうやって発見される? 胸、特に左前胸部やその奥に痛みや圧迫感、締めつけられるような感じがする。さらに、左肩や首筋、顎、のどなども痛み出したら要注意。また、めまいや動悸、息切れが起こることも。 脳血管疾患 最も多い脳疾患は脳卒中。原因により大きく2つに分かれる。脳の動脈が詰まって血液の流れが妨げられる脳梗塞と、脳の動脈が破裂して出血する脳出血である。 ●原因は? 動脈が破裂し、出血してしまう最大の原因は高血圧。血圧が高いと血管にいつも負担がかかるため、傷んでしまうのだ。また、脳梗塞は動脈硬化を湯床に引き起こされることが多い病気である。 ●主な症状は? 重症の場合は、意識不明の昏睡状態、吐気、高熱が続く。また、脳卒中の場合、意識障害や手足の運動機能の障害があるのが特徴。 ●どうやって発見される? 脳梗塞の場合、目の焦点が合わない、手足のしびれ、めまい、ろれつが回らないなどの前ぶれが見られる。また、脳出血の場合、頭が重い、吐気がする、頭が激しく痛むなどの前ぶれが見られる。 ほかにもある!見逃せない生活習慣病 三大生活習慣病は死因の上位になっている重要な病気。その手前段階でなりやすい生活習慣病が、高血圧や高脂血症(脂質異常症)、糖尿病などの病気。自覚症状があまりないだけに、気がつかないうちに症状が進行してしまうことも。 糖尿病 すい臓で作られるインスリンというホルモンのはたらきが慢性的に不十分になる病気。インスリンは、血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用する時にはたらくもので、不足すると血糖値が上がり、高血糖と呼ばれる状態になる。 ●原因は? 糖尿病は遺伝的に受け継いでいる人も少なくない。また、暴飲暴食、動物性たんぱく質の摂り過ぎも影響している。 ●主な症状は? やたらのどが渇く、空腹感、やせてきた、目がかすむ、疲れやすいなどの症状があるが、これらはかなり病気が進行してから出るもの。初期段階では自覚症状はほとんどない。 ●どうやって発見される? 定期健診で発見されることも多い。空腹時の血糖値を測定し、126mg/dl以上なら糖尿病型。正常型は70~110mg/dl未満。また、糖尿病世代と言われる40代に入ったら、尿に糖が出ていないかどうかを調べる習慣を持つことが大切。尿検査で尿糖値が陽性と出たら、一度糖尿病の検査を受けよう。 ●合併症は? 「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」が糖尿病の三大合併症。 高血圧 文字どおり、血管内の圧力がなんらかの原因によって高くなってしまった病気。そのため、血管に負担がかかり、ある日突然血管が破れたり、詰まったりしてしまう結果を招く。 ●原因は? 二次性高血圧と本態性高血圧の2種類があるが、前者は心臓病や腎臓病などの疾患からくるもの。日本人の高血圧は、後者が圧倒的に多く、その主な原因は塩分の摂り過ぎ。また、本態性高血圧は、その体質が遺伝しやすいため、身内に高血圧患者がいる場合には要注意。 ●主な症状は? 高血圧そのものは、自覚症状はほとんどない。ただ、放置すると脳卒中、心臓病、腎臓病などの危険因子になる。収縮期血圧が180mmHg、拡張期血圧が110mmHg以上の高血圧になると、頭痛やめまい、倦怠感、耳鳴り、肩こりなどの症状が出ることもある。 ●どうやって発見される? 医療機関での検査や健診で、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の場合は高血圧。ただし、病院や健診の時だと緊張してしまい、普段の血圧より10~20mmHg高くなることもある。 ●合併症は? 高血圧はさまざまな病気のもと。全身を網羅する血管を傷めるため、動脈硬化を引き起こし、脳卒中、心臓病、腎臓病などを招く。 高脂血症(脂質異常症) 血液中の脂質が何らかの原因によって増え過ぎてしまう病気。血管内腔に脂質が付着し、その結果内腔が狭くなってしまって血液が流れにくくなってしまう。 ●原因は? コレステロールそのものは体に必要な物質だが、過剰摂取することによって血管を詰まらせてしまう原因になる。脂質の多い食品の摂り過ぎ、運動不足などが、コレステロールや中性脂肪の過剰摂取を招く。 ●主な症状は? 糖尿病、高血圧などと同様に、高脂血症だけでは自覚症状はほとんどない。 ●どうやって発見される? 定期健診の血液検査で発見される。 (「リスク指標が刷新!脂質異常を再確認」参照)。 ●合併症は? 高脂血症は、動脈硬化、さらに心臓病、脳梗塞への導火線。 ■関連記事 BMIチェック 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ 10年以内の心筋梗塞などを発症する確率を予測 あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 偏食・肥満や運動不足による酸化ストレスで老け顔や感染症、骨粗しょう症などに注意 更新日:2003年2月3日
日本人の60%以上のかたが3大生活習慣病〔3大疾病:がん・心臓病・脳卒中(脳血管疾患)〕で亡くなっています。 目次 現代日本人の死因トップ3=生活習慣病 3大生活習慣病とは? 現代日本人の死因トップ3=生活習慣病 日本は平均寿命80歳という世界有数の長寿国!でも、誰もが健康的な長寿をまっとうできているわけではありません。健康長寿の最大の敵は、がん・心臓病・脳卒中・肝臓病・腎臓病・糖尿病などの「生活習慣病」たちです。しかもこれらは長期間、患うことが多い病気です。 3大生活習慣病(3大疾病)とは? 3大生活習慣病(3大疾病)とは、先に述べた通り「がん・脳卒中(脳血管疾患)・心臓病」です。それらはどんな原因からくる病気なのか簡単に説明します。 がん(悪性新生物) がんの原因については、いまださまざまな説が考えられています。DNA異常、細胞分裂異常、免疫機能の低下などのほか、運動不足により血液循環が悪化し体の中で酸素不足が起きるためとも考えられています。 心臓病(虚血性心疾患) 狭心症と心筋梗塞が主な病気です。心臓そのものに栄養・酸素を送る冠状動脈が塞がり、酸素不足となり起こります。喫煙や食生活の乱れ・運動不足・ストレスなどによって血管が硬化し塞がりやすくなったところに、さらに無理がかかると心臓を激痛が襲うことになります。 脳卒中(脳血管疾患) 脳に血液を送る動脈が詰まる・破裂するなどにより脳細胞の死滅が起こります。血管を詰まらせる食生活や、たばこ・ストレス・運動不足などによる高血圧が危険です。 ■関連記事 BMIチェック 糖尿病を放置しないで!セルフチェックのコツ 10年以内の心筋梗塞などを発症する確率を予測 あなたの動脈硬化のリスクをチェックしよう! 偏食・肥満や運動不足による酸化ストレスで老け顔や感染症、骨粗しょう症などに注意 更新日:2020/09/17
食物繊維が約34%含まれているココア 食物繊維には吸着力があり、小腸で胆汁酸をくっつけて体外に排出してくれます。胆汁酸が減ると、肝臓は不足した分のコレステロールを血液中から集めます。それを胆のうに送り胆汁酸をつくるのです。その結果、血液中のコレステロールが減少します。 ココアには、リグニンとよばれる食物繊維が約34%も含まれています。他の食品と比べてかなり高い含有量です。また、ココアの場合、お茶やコーヒーのように煮立てて飲むのではなく溶かして全部飲むので、食物繊維を丸ごと摂取できます。 従って、たくさんの食物繊維を摂取することができ、血液中のコレステロールを減少させるので、動脈硬化を予防するといわれています。 精神をリラックスさせ集中力を高めるテオブロミンも含む また、ココアにはテオブロミンという成分も含まれています。テオブロミンは精神のリラックスや集中力を促進させる作用を身体にもたらします。さらにテオブロミンは、「健脳効果」も発揮するという報告もあります。 日本医科大学生理学教室の品川嘉也氏の調査では、女子大生200人を被験者として、チョコレートを食べた場合と食べない場合の英単語の記憶実験をしたところ、チョコレートを食べたグループの方が解答率が高いという結果が出ています。
喫煙すると、動脈硬化の防止作用を妨げる コレステロールには、動脈硬化を促進する方向にはたらくLDLと、予防する方向にはたらくHDLがあります。 1日20本以上の喫煙者はHDLが正常値(40mg/dl以上)を割っていることが多いといわれています。LDLと総コレステロールが正常値でも、HDLが低ければ動脈硬化が進むことになりますから、高脂血症の場合は喫煙が非常に大きな危険因子となります。 また、たばこの煙の中に含まれる物質はLDLの変性を促進し、動脈硬化を進展させるといわれています。 ニコチンの血管収縮作用 さらに、たばこのニコチンが持つ血管収縮作用は、動脈硬化など血管障害を悪化させます。また高血圧の喫煙者が心血管障害で死ぬ確率は、非喫煙者の3、4倍というデータもあります。 たばこが循環器に与える悪影響はHDLを下げてしまうだけではありません。特に高脂血症では、喫煙はできるだけ控えたほうがよさそうです。