多くの人が「年より若く見られたい、年より若くありたい」と願っています。年を取るにつれて老化の個人差が大きくなってしまうことも事実で、それも見かけだけでとどまっているのであれば化粧や服装でカバーできるかもしれませんが、同じ年齢の人よりも老けている、健康状態が悪いとなるとこれは問題です。では、どうすればいいのでしょうか。李昌一先生は、「年相応以上に若くあるためには口の中に気を遣うことが重要です。体が老化のサインを出す前の若い世代から気をつけてください」と述べられています。 監修:李昌一先生(神奈川歯科大学歯学部歯学科 健康科学講座 災害歯科学 分野長/教授) 目次 老け方に個人差があるのはなぜ? 「フレイル」の段階であれば健康な状態に戻せる オーラルフレイルの兆候 唾液からオーラルフレイルの状態を知る オーラルフレイルを改善するには 3ヵ月を目安にチェックしよう 老け方に個人差があるのはなぜ? 人は誰でも年を取り、老化していきます。老化は外見にも健康にも現れますが、その程度の個人差は年を取るほど大きくなっていきます。では、どうして個人差が出てきてしまうのでしょうか。その大きな原因が「活性酸素」と「抗酸化システム」のバランスの乱れの差です。 活性酸素は、ウイルスや細菌などの外敵から体を守るために白血球などの免疫細胞が備えている重要な武器ですが、同時に正常な細胞まで攻撃してしまい、その結果、全身の筋肉や血管の細胞がダメージを受けることになります。そのため、人の体には活性酸素が過剰にならないようにする抗酸化システムというものが用意されています。 若いうちはこの2つのバランスがうまく取られていますが、年を取るにつれて抗酸化システムがはたらきづらくなり、活性酸素をうまく処理できなくなります。このような変化は生理的なものであり誰にも起こりますが、バランスの乱れの程度には個人差があり、高齢になるほどそれが大きくなります。逆に言えば、活性酸素と抗酸化システムのバランスの乱れを小さくすれば、生理的な範囲内に老化をとどめることができるということになります。 「フレイル」の段階であれば健康な状態に戻せる 人は誰でも年を取ればさまざまな病気にかかりやすくなり、体の機能が衰え、サルコペニア*1やロコモティブシンドローム*2などを発症し、やがて要介護状態になる可能性も高まります。できるだけそうならないようにするための対策のひとつが「フレイル」という考え方です。 「フレイル(虚弱)」は身体的機能や認知機能の低下がみられる状態のことですが、「生活習慣の改善などで年相応の機能を取り戻せるかどうかの境目」を意味している点で重要です。フレイルは年齢の高い方が注意をしていただくことはもちろん重要ですが、昨今の新型コロナウィルス感染予防対策で外出を控えることにより、活動量の低下や人との交流が減り若い世代もフレイルのリスクがあることが問題視されています。 年相応の機能を取り戻すうえで重要な対策のひとつが「食事で十分な栄養を摂る」ことです。十分な栄養を摂るときに問題となるのが、食事にとって欠かせない「口」です。実は、フレイルの最初の兆候が現れるのが口の機能の低下になります。そこで「オーラルフレイル(口の虚弱)」という考え方が提案されました。 つまり、口の健康が衰えているのを発見し、早くから対策することで、要介護状態になるのを防止しようということです。 *1:サルコペニア:加齢に伴い、筋力や筋肉量が低下していく現象。 *2:ロコモティブシンドローム:骨や関節、筋肉などの運動器の障害によって、自力での歩行などが難しくなり、要支援・要介護の状態になっている、あるいはそうなる危険性が高い状態 オーラルフレイルの兆候 口には、食べ物を咀嚼する、咀嚼したものを飲み込むという食事に関係する機能のほかに、言葉を発する、これらを行うときに唾液を分泌するという機能があります。 ところが、オーラルフレイルの状態になるとこれらの機能が衰えて、食べこぼす、うまく飲み込めずむせる、滑舌が悪くなる、口の中が乾く、やわらかい食べ物を好むといった兆候が現れます。 次のような兆候を頻繁に自覚するようであれば、オーラルフレイルの状態を疑ってみましょう。 オーラルフレイルの兆候 ・ 食べこぼす ・ うまく呑み込めずむせる ・ 活舌が悪くなる ・ 口の中が乾く ・ 流動食を好む 唾液からオーラルフレイルの状態を知る オーラルフレイルの程度は唾液で簡単に調べることができます。 唾液には強力な抗菌作用があり、虫歯や歯周病の発症を防いでいます。同時に、抗酸化作用もあることから、口の中の過剰な活性酸素から正常な細胞を守る役割も果たしています。 健康な人であれば、1日に1.0~1.5Lの唾液が分泌されていますが、何かの原因により唾液の量が減るとたちまち口の中の活性酸素が過剰になり、正常な細胞がダメージを受けてしまいます。困ったことに、唾液を分泌する唾液腺の細胞は活性酸素に対してもとても弱いので、唾液量の減少は悪循環を起こしてしまいます。 また、活性酸素は筋肉の細胞にもダメージを与えますので、口の中で増えれば咀嚼や食物を飲み込む力が衰え、オーラルフレイルの兆候が現れます。さらに、口の中の血管も活性酸素によりダメージを受け、歯や周りの組織に栄養が行き渡らなくなるため、菌の増殖とは別のメカニズムで歯周病が悪化してしまいます。 唾液の量と唾液に含まれる活性酸素の割合を調べることで、オーラルフレイルの程度や自身の今の状態を知ることができます。 例えば、唾液の量が正常よりも少なくなっていれば、オーラルフレイルの可能性が考えられます。 また、唾液中の活性酸素の状態は、歯周病や生活習慣の乱れによる全身への影響を知る手がかりになります。唾液に含まれるスーパーオキシドとヒドロキシルラジカルの割合によって、活性酸素の状態を知ることができるのです。 スーパーオキシドは活性酸素の一種で、健康であればSOD(スーパーオキシド不均化酵素)と呼ばれる酵素の働き(抗酸化作用)によって消去されるので唾液中に多く含まれる割合は低くなります。それに対して、唾液中のスーパーオキシドの割合が高ければ抗酸化作用が弱まっていることを意味しますので、オーラルフレイルの状態にあると考えられます。そして、唾液中のスーパーオキシドの割合が高くなるほど歯周病や生活習慣病が進んでいる可能性があると考えられます。 もうひとつのヒドロキシルラジカルは、スーパーオキシドが還元されてできる活性酸素の一種です。残念ながら、人の体内にはヒドロキシルラジカルを消し去る酵素がありませんので、唾液中のヒドロキシルラジカルの割合が高いということは、口の中にとどまらず全身の筋肉や血管の細胞がダメージを受けて歯周病や生活習慣病が進行している可能性を意味します。 ●唾液量が少ない …オーラルフレイルの可能性 ●唾液中の活性酸素の状態: ・スーパーオキシドの割合が高い …歯周病や生活習慣病が潜んでいる可能性 ・ヒドロキシルラジカルの割合が高い …口の中にとどまらず全身の筋肉や血管の細胞がダメージを受けて歯周病や生活習慣病が進行している可能性 このように、唾液の量とその中に含まれる活性酸素の割合を測ることで、オーラルフレイルの状態と歯周病や生活習慣病の進み具合を知ることができます。検査キットもありますので、調べてみるといいでしょう。 オーラルフレイルを改善するには オーラルフレイルの段階であれば、健康な状態に戻すことができます。では、それを実現するにはどのようにすればよいのでしょうか。 唾液の分泌を促す 唾液は過剰なストレスがかかることで出づらくなります。十分な栄養と睡眠や休息を取って、できるだけストレスのかからない生活を送るようにするとともに、楽しい時間を増やすようにします。親しい人たちと会う機会を増やし、楽しい食事で咀嚼することや、会話を楽しむのは唾液の分泌を促す上でよい方法です。 また、唾液が出づらくなる原因のひとつに薬の副作用が挙げられます。副作用についても検討しながら、服用薬について主治医と相談してみましょう。 日常の適度な運動を心がけ、バランスのよい食事を摂る 適度な運動は活性酸素を減らす、抗酸化効果がありますが、激しすぎるとかえって活性酸素が増えてしまいますので注意しましょう。最も望ましいのは、普段の生活の中で体を動かすことです。掃除や洗濯などの家事をする、通勤で歩く、なるべく階段を使う、散歩をするなどの活動を習慣づけるとよいと思います。 食事は、筋肉を落とさないために栄養を摂ることや唾液の分泌を促すことも含めて、フレイル対策において最も重要です。一般に、体の中では合成できない抗酸化物質にはポリフェノールとカロテノイドが挙げられ、ポリフェノールはブルーベリー、大豆、ごま、そば、緑茶などに、カロテノイドは食黄色野菜、果物、エビやカニ、鮭や鱒などに含まれるとされています(厚生労働省 e-ヘルスネット)。 もちろん、このような食材に拘るものいいのですが、これらの多くは日本の伝統食に使われてきたものばかりです。仮に、西洋的な食事ばかりしているとか、偏ったものばかり食べているということであれば、それを日本の伝統的な食事に戻すということでよいと思います。例えば、高齢になると若い頃は食べなかった山菜を好むようになるというのは、年を取って抗酸化システムの機能が低下してきた体が自然に欲しているからだと考えられます。 なお、加工食品はそれ自体が活性酸素を増やす原因にもなりますので、可能な範囲で天然の食材を選ぶようにしましょう。スイーツは一般によくありませんが、チョコレートはカカオが材料ですので、高い抗酸化作用があるので、例外的によい加工食材と言えます。できるだけ高カカオと呼ばれるカカオポリフェノールの配分量が多いものを選ぶとよいでしょう。 口の中に気を遣う おそらく、歯医者に行くのが好きだという方は多くないと思います。理由は明白で、痛い思いをした経験があるからです。口の健康は全身の健康に大きくかかわっています。痛くならないうちに、全身の健康増進、健康寿命を延ばすためにも口腔ケア、歯医者を定期的に受診し健康を維持するよう意識しましょう。 歯医者は痛い治療を受けるところではなく、そうなる前に定期的に通って診てもらうところです。現在、全国民に毎年の歯科健診を受けてもらう「国民皆歯科健診」の導入検討が進んでいます。虫歯や歯周病にならないように予防診療をし、オーラルフレイルを未然に防ぎ、発見した場合は健康な状態に戻すためのサポートをするというのがこれからの歯科診療だと思います。このような診療を実現するには、診てもらう側も歯医者の側も考え方を変えなくてはなりません。他の診療科にはない歯医者のいいところは、子どもの頃から年を取るまでずっと診続けることができる点ですので、これを活かさない手はないと思います。 3ヵ月を目安にチェックしよう さて、老化の始まりはオーラルフレイルであること、オーラルフレイルを見つけて対策を行えば、体を年相応に健康な状態に戻すことができる可能性のあることをご理解いただけたと思います。まずは検査キットなどを使い自分の唾液の状態を知りましょう。もしオーラルフレイルの可能性があれば、年相応に健康な状態に戻せるように、対策を実行していただきたいです。大事なことは対策を続け、チェックすることです。そのためにも大体3ヵ月を目安に検査を行い、それまでに行ってきた対策の成果を実感することをおすすめします。 その際、改善が見られることを期待するのはもちろんですが、現状維持にとどまっていたとしても及第点をあげましょう。悪くならないことが続くことも、とても大事なことです。体にとって活性酸素を消す、抗酸化となる良い習慣の継続こそが、健康寿命を延ばす秘訣です。 公開日:2022/09/14 監修:李昌一先生(神奈川歯科大学歯学部歯学科 健康科学講座 災害歯科学 分野長/教授)
メタボ予防や肥満対策のために過剰なダイエットや運動をすることはよくありません。栄養バランスを考えた食事管理と筋力・体力の増強を図る運動を習慣化することを心がけましょう。キャンサーフィットネス主催の健康管理を学ぶヘルスケアアカデミー*1において筑波大学名誉教授・田中喜代次先生が講演した「がん患者のための体力増進法」のメディカルフィットネス=体力増進講座は、みなさんに役立つので紹介します。 目次 健康に良かれと思っていた運動が体を壊すことも 運動を習慣化すると活力年齢が若返り10年維持する研究結果も がん患者さんも活力年齢が若返って生きがいある人生につながる! 筑波大学発のスマートダイエットとスマートエクササイズで健幸華齢を目指そう 健康に良かれと思っていた運動が体を壊すことも 講演では、筑波大学と㈱THFで開発されたスマートダイエットとスマートエクササイズを参考にして、栄養バランスの良い食事をとりながら、適度な運動により筋力や体力をつける「メディカルフィットネス=個人の医学的情報を勘案して取り組む体力増進活動」の重要性が強調されていました。 というのは、太ったまま運動するとケガしやすく、栄養バランスを考えないダイエットと運動は、自分の筋肉を壊してエネルギーを消費するだけです。 一方、運動のやりすぎはバーンアウト(燃え尽き)やケガの後遺症などに悩まされることがあります。田中先生の書籍「その運動、体を壊します」(SB新書、2019年発行)では、健康に良かれと思っていた運動が実は間違っていたケースを指摘しています 。 出典:「その運動、体を壊します」(SB新書、2019年発行) また、高齢になると、転倒・骨折リスクのロコモティブシンドロームや筋肉が少なくなるサルコペニア(筋肉減弱症)のリスク、認知症やうつ病などのリスクが高くなっていきます。 たとえば、サルコペニア(筋肉減弱症)の人ではほぼ全員が著しくやせていて、骨折リスクが高くなり、活動性が低くなっていきます。そうすると、精神的に悪影響を及ぼし、それぞれが関わりあって負のスパイラルに陥ります。 そこで、栄養バランスの良い食事管理に努め、そして適度な運動を楽しみながら習慣化することが大事です。筑波大学発のスマートダイエットとスマートエクササイズが役立ちます。 運動を習慣化すると活力年齢が若返り10年維持する研究結果も 運動習慣のエビデンスとして、田中先生らの研究を見てみましょう。運動習慣の有無で体内をMRI画像で分析した結果では、運動習慣がある人はない人に比べて筋内・筋間脂肪の面積が少なく、運動習慣なしだと肝臓の脂肪も増えることが明らかになりました。 また、自分の体力情報から算出する生活体力年齢や、血圧・血液・肺機能・骨量・酸素摂取量・俊敏性などから算出する活力年齢*2を指標として、1990~2000年に心血管系の病気や糖尿病などがある中年女性を対象に運動による若返り効果を10年間追跡しました。 結果を見ると、開始時は暦年齢より7歳老けていましたが、3カ月後には暦年齢と同じ、1年後以降は活力年齢のほうが暦年齢よりも若返り、10年間にわたり維持していました。 また、虚血性心疾患や高血圧などの循環器系疾患,耐糖能異常や脂質異常症などの患者さんが長期にわたり運動を習慣化した場合の最大酸素摂取量(全身持久力に関わる指標です)の経年的変化を検討した研究結果を見てみましょう。 それによると、運動開始時の高年齢にかかわらず,10年以上にわたって低下はみられず、高齢になるほど健康な人との差は縮まったとの結果があります*3。 田中先生は、週に何回かの運動を続けて習慣化していると、ダイエットで見られるようなリバウンド(より正しい表記はリゲイン*4)は起きないことと関係しているのではないかと推察しています。 がん患者さんも活力年齢が若返って生きがいある人生につながる! がん経験者さんでは、どうでしょうか。田中先生らは2015年に筑波大学で乳がん女性を対象に運動習慣があるかどうかで体力年齢と活力年齢について調べた研究があります。 それによると、運動習慣がある乳がん女性10人の暦年齢51.8歳に対し活力年齢は平均46.0歳、体力年齢は49.1歳でした。さらに、運動習慣の有無で活力年齢を見ると、運動習慣があると、習慣がない人に比べて約7歳ほど若がえる効果が見られました(図)。 図:乳がん女性の運動習慣の有無で比較した活力年齢の比較 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料 また、田中先生らが開催する乳がん女性向け健康づくり教室でBMIが25以上の6人、BMI21~24の17人に運動を習慣づけると、就寝時の満足度、朝に起床時の意欲度、労働や家事に対する意欲度が、運動していない人に比べて高いとの結果が得られました。 筑波大学発のスマートダイエットとスマートエクササイズで健幸華齢を目指そう 最後になりますが、スマートダイエットとスマートエクササイズなどを参考にして、まず栄養バランスを考えた食事管理の徹底、そして減量効果が現れてきたら適正な食習慣を維持したうえで適度な運動で体力の増強を図っていくことが推奨されます。 田中先生は、運動を習慣化すると(継続的に実践していくと)、ストレス緩和にもなり、楽しみながら没頭(エンジョイ)できれば、脳の神経細胞が活発に働くようになります。つまり、楽しさを感じられる運動を各自で習得することが重要としています。 田中先生と㈱THFは日本健康応援サイトで、世の中にない健康体操づくりを通じて、健康な街(まち)づくり、活力ある職場づくりに貢献するプロジェクトに取り組んでいます。 そのなかで、人手不足が深刻でかつ安全運転が求められる運輸業種(特にドライバー)のために、オリジナルの“健康・安全体操”の試験動画(Youtube)を制作しました。 ドライバー体操(1)車内編(Youtube) ドライバー体操(2)車外編(Youtube) 田中先生は「人生100年時代といわれているので、病気にはなっていない未病の段階なら、『継続するチカラ』をもとに、元気長寿、健幸華齢といったサクセスフル・エイジングを目指していくべき」としています。 *1:一般社団法人キャンサーフィットネス(http://cancerfitness.jp/)は健康講座のヘルスケアアカデミーやリンパ浮腫患者スクールを定期的に開催しています〔リンパ浮腫患者スクールは年間12回・専門医15人による20講座、2020年度スケジュール(PDF)〕。 2020年2月18日のヘルスケアアカデミーは、筑波大学名誉教授/日本介護予防・健康づくり学会会長/筑波大学発研究成果活用企業株式会社THF代表取締役・田中喜代次先生が、「がん患者のための体力増進法」のテーマで講演しました(参考書籍:日本スポーツ協会 スポーツ医・科学研究プロジェクト「健幸華齢のためのスマートライフ」)。 *:2:活力年齢に関する論文:人間福祉学研究第2巻第1号2009;11:8-17 *:3:体力科学2008;57:82-83 *:4:リバウントとリゲインの違い リバウンド(rebound)には、痩せの人が太った後に再び痩せた場合も該当します。減量をweight loss、増量をweight gainと言うので、いったん減った体重が再び増える場合はweight regainというのが正しい表記です。リバウンドは日本式の表記です。 公開日:2020/08/26 監修:筑波大学名誉教授/日本介護予防・健康づくり学会会長/筑波大学発研究成果活用企業株式会社THF代表取締役 田中喜代次先生、 一般社団法人キャンサーフィットネス
人生100年時代、年をとっても要介護になりたくない。そのためには、栄養バランスを考えた食事管理にプラスして、運動を習慣化することが重要です。継続するのはなかなか難しいといわれますが、キャンサーフィットネスの健康講座・ヘルスケアアカデミー*1において筑波大学名誉教授・田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」で紹介されたスマートダイエットとスマートエクササイズは役立つものです。 目次 まず栄養バランスを考えた食事管理、次に減量効果が現れてから運動することが重要 スマートダイエットは目標カロリーに応じて4つのカテゴリから栄養バランスよく食品を選ぶ 楽しんでスマートエクササイズを習慣化しよう まず栄養バランスを考えた食事管理、次に減量効果が現れてから運動することが重要 田中先生の講演では、まず栄養バランスを考えた食事管理、そして減量効果が現れてから筋力・体力の増強を図る運動を習慣化することが推奨されていました。 エビデンスについては、まず田中先生らが中年の肥満女性を対象に栄養バランスを確保したダイエットに運動をプラスする健康づくり教室を開催すると、開催前は459人のうちメタボ該当は67人(約15%)でしたが、3ヵ月後には442人中8人と2%に減少していました。 また、1983年に教室に参加した肥満の1014人を3グループ(運動のみ、ダイエットのみ、スマートダイエット+運動)に分け、3ヵ月後の体重や血圧、脂質の変化を比べました。 その結果、体重と血圧(血圧)、悪玉のLDLコレステロールはダイエット+運動のグループで低下度が最も大きく、次いでダイエット単独のグループでした。 体重は、ダイエット単独のグループでは7.2 kgの減少、ダイエット+運動のグループでは9.3 kgの減少、そしてHDLコレステロールには運動効果が出ました(図1)。 図1:肥満者1014人への3ヵ月間の運動、ダイエットによる介入効果(体重、血圧、HDL・LDLコレステロール) 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料 上記の結果から、体重や血圧、血液検査の結果はダイエット単独でも一定の効果は見られます。しかし、中年から高齢になると転倒・骨折リスクのロコモティブシンドロームや筋肉が少なくなるサルコペニア、認知症やうつ病などのリスクが高くなっていきます。 2020年4月からフレイル健診(フレイルは「虚弱な」という意味)が開始されたように、フレイルを予防する、あるいはフレイルから健康回復することが重要視されています。 健康診断の検査値を下回っても、全身の筋肉、骨、血管系、脳(心)まで良くならないと意味がありません。だから、食事管理にプラスして運動することが大事なのです。 スマートダイエットは目標カロリーに応じて4つのカテゴリから栄養バランスよく食品を選ぶ 筑波大学発のスマートダイエットとスマートエクササイズを以下に紹介します。 スマートダイエットは、BMI>40の人は30前後、BMI>30なら25前後、BMI<27なら22~24前後を目標にするといった、無理のない食事管理(食習慣改善)法です。 食品を4群に分けて、食品は1品目を1点80 kcalとし、1日の目標カロリー数にあわせて各群からバランスよく食品を選ぶ四群点数法(女子栄養大学方式)を取り入れています。 図2:スマートダイエット(四群点数法) 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料 楽しんでスマートエクササイズを習慣化しよう スマートエクササイズに関しては、まず多数の運動のなかから、自分に合ったものを選択し、4つの運動カテゴリに分けて日ごろのエクササイズメニューを考えます(図4)。 図4:スマートエクササイズの4つのカテゴリ(田中ら、2018*) 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料〔*:健康づくり(公益財団法人健康体力づくり事業財団)2018;486:18-19,健康づくり2018;487:40-41、「健幸華齢のためのスマートライフ」(サンライフ企画、2019)、予防医学2019;60:35-40〕 スマートエクササイズの4つのカテゴリは、食事の献立にするとわかりやすいです。 主食は4群の有酸素運動、主菜は2群のレジスタンス系、副菜①は3群のストレッチ・リラクセーション系、副菜②は1群のコーディネーション系と考えて、週当たりで献立として組み立てると、バランスよい運動習慣につながります。 スマートエクササイズを習慣化する鍵は「楽しめること」です。好きな運動を楽しみとして取り組むことは脳の神経細胞が活発に働くのでストレス緩和にもつながります。 ただし、やりすぎはご法度です。膝痛、半月板損傷、疲労骨折、運動性貧血、不整脈などが現れることがあるので、食事管理も運動もほどほどにしましょう。 次回は、過剰なダイエットや運動はかえって体に良くないこと、栄養バランスの良い食事管理にプラスして適度な運動を継続するだけで、暦上の年齢(満年齢)に比べて活力年齢や体力年齢のほうが若返る可能性があること、がん患者さんにおけるエビデンスなどを紹介します。 *1:一般社団法人キャンサーフィットネスは健康講座のヘルスケアアカデミーやリンパ浮腫患者スクールを定期的に開催しています〔リンパ浮腫患者スクールは年間12回・専門医15人による20講座、2020年度スケジュール(PDF)〕。 2020年2月18日のヘルスケアアカデミーは、筑波大学名誉教授/日本介護予防・健康づくり学会会長/筑波大学発研究成果活用企業株式会社THF代表取締役・田中喜代次先生が、「がん患者のための体力増進法」のテーマで講演しました(参考書籍:日本スポーツ協会 スポーツ医・科学研究プロジェクト「健幸華齢のためのスマートライフ」)。 公開日:2020/08/19 監修:筑波大学名誉教授/日本介護予防・健康づくり学会会長/筑波大学発研究成果活用企業株式会社THF代表取締役 田中喜代次先生、 一般社団法人キャンサーフィットネス
2020年4月から75歳以上を対象にフレイル健診が実施されています。フレイルとは、加齢により筋力や体力が衰え、認知症やうつ病といったリスクがある要介護手前の状態のことです。フレイルは予防できますし、フレイルを進行させずに「元気長寿」、「健幸華齢」を達成することも可能です。人生100年時代を満喫するために、キャンサーフィットネス・体力増進スマートライフ講座から筑波大学名誉教授/株式会社THF代表の田中喜代次先生の講演を紹介します。 目次 人生100年時代を満喫するために栄養バランス良い食事にプラスして運動が重要 身体的・精神的・社会的フレイルによる負のスパイラルに陥ることが問題 運動していないフレイルの人では運動している健康な人に比べて高い死亡率 人生100年時代を満喫するために栄養バランス良い食事にプラスして運動が重要 一般社団法人キャンサーフィットネスは、健康増進につながるセミナーとして、ヘルスケアアカデミーを定期的に開催しています*1。 ヘルスケアアカデミーは、がん経験者さんと専門医などが患者さんの闘病経験を振り返ったうえでセミナー内容を考えているので、つらい思いをしている人、治療終了後の生活に悩んでいる人に役立ちます。もちろん、健康な人がより健康になる耳寄り情報も満載です。 2020年2月18日のヘルスケアアカデミーでは、筑波大学名誉教授/株式会社THF代表の田中喜代次先生が「がん患者のための体力増進法」のテーマで講演されました。 講演から、フレイルの判定基準や対策として健幸華齢を目指す意義について紹介します。 身体的・精神的・社会的フレイルによる負のスパイラルに陥ることが問題 フレイルとは「frailty(フレイルティ、日本語で老衰や虚弱といった意味)」が語源です。ただ、frailtyは「虚弱、衰弱」と言い切ってしまう断定的な強い表現になります。 そこで日本老年医学会は、要介護の手前の状態だと適切な介入により予防が十分にでき、健康回復も十分に可能なことを強調するために「Frail(フレイル)=虚弱な」を提唱しています(日本老年医学会雑誌2014;51:497―501)。 ■フレイルの判定指標:簡易フレイル・インデックス 1 6ヵ月間で2~3 ㎏以上の体重減少がありましたか? はい:1点 2 以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか? はい:1点 3 ウォーキングなどの運動を週に1回以上していますか? いいえ:1点 4 5分前のことを思い出せますか? いいえ:1点 5 (ここ2 週間)わけもなく疲れたような感じがしましたか? はい:1点 3点以上⇒フレイル 1~2点⇒プレフレイル 0点⇒健康 出典:J Am Med Dir Assoc. 2015;16:1002.e7-11 フレイルの中核は、転倒・骨折リスクのロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)で、筋肉量が少ないサルコペニアはロコモに含まれ、身体的フレイルといわれます。 また、認知症やうつ病のリスクがある精神的フレイル、独居や社交がなく経済的弱者や老老介護などの劣悪環境で生活する社会的フレイルがあります。メタボリックシンドローム・糖尿病・肥満に関しては、高齢者でもサルコペニア肥満は少ないのです(図1)。 図1:フレイルとは 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料 身体的フレイル、精神的フレイル、社会的フレイルがお互いに関わりあっていくので、負のスパイラルに陥ることが超高齢社会の課題となっています(図2)。 図2:身体的フレイル・精神的フレイル・社会的フレイル 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料〔*:フレイルハンドブックポケット版(編集:荒井秀典、ライフ・サイエンス、東京、2016)、フレイル診療ガイド2018年版(編集主幹:荒井秀典、ライフ・サイエンス、東京、2018)〕 運動していないフレイルの人では運動している健康な人に比べて高い死亡率 田中先生によると、中高年の50歳から70歳くらいまでは糖尿病など生活習慣病予防としてメタボや肥満への対策が重要ですが、高齢になると対策を転換・ギアチェンジして、筋肉量の減少により落ちてきた体力を回復するフレイル対策(食事・栄養+運動)が重要です(図3)。ギアチェンジの年齢には個人差が大きく、50歳から80歳くらいでしょう。 図3:メタボ対策とフレイル対策の転換期(ギアチェンジ)とは? 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料〔*:2019年度健康づくり指導者研修会第2回保健事業推進研修会「メタボ予防・フレイル予防とその転換期」(2019年7月11日に茨城県立健康プラザで開催)〕 フレイル対策としては、田中先生が掲げる以下の7つの心得があります(表)。また、自分で川柳や俳句をつくって、自分を励ますのも手です。 表:フレイル対策7つの心得(田中、2015) 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料 重要なのは、栄養改善と運動実践です。運動に関しては、健康づくり教室に参加している健康な高齢者、フレイルの前段階とされるプレフレイル(予備軍)、フレイルと判定された人を対象とした研究があります。 それによると、3年以内の死亡率は健康なグループでは0.7%、それに対しプレフレイルのグループでは2.9%、フレイルのグループでは7.8%と高くなることが指摘されています(J Am Med Dir Assoc. 2015;16:1002.e7-11)。 運動とともに栄養改善が欠かせません。なぜなら、運動をするとエネルギーを使いますが、栄養状態がよくないと自分の筋肉を壊してエネルギーを消費することになります。 全身の筋肉、骨、血管系、脳(心)まで良い状態にするには、栄養バランスを改善したうえで運動することが必要になります。 田中先生は、人生100年時代を満喫して元気長寿、達老人生、健幸華齢(下記の図4)などサクセスフル・エイジングの達成のために、栄養バランスを改善するスマートダイエット、運動を習慣化するスマートエクササイズのどちらも重要だと声を大にしています。同時に、メンタルタフネスを落とさないことも重要と指摘しています。 図4:健幸華齢とは 出典:キャンサーフィットネス・ヘルスケアケアアカデミー(2020年2月18日開催)での田中喜代次先生の講演「がん患者のための体力増進法」の講演資料(*:田中喜代次、大藏倫博、藪下典子(編集):公益財団法人日本体育協会(監修)、Successful aging(健幸華齢)のためのエクササイズ、サンライフ企画、2013) *1:一般社団法人キャンサーフィットネスは健康講座のヘルスケアアカデミーやリンパ浮腫患者スクールを定期的に開催しています〔リンパ浮腫患者スクールは年間12回・専門医15人による20講座、2020年度スケジュール(PDF)〕。 公開日:2020/08/12 監修:筑波大学名誉教授/日本介護予防・健康づくり学会会長/筑波大学発研究成果活用企業株式会社THF代表取締役 田中喜代次先生、 一般社団法人キャンサーフィットネス
年齢の割には若く見える人、老けて見える人がいますが、どうしてでしょうか。最近の研究から、糖尿病や骨粗しょう症、がんや肝硬変などに関わる終末糖化産物(AGEs)という物質が体内にたまると、老化が進む、つまり老けやすくなることが指摘されています。アンチエイジングを推進する日本抗加齢医学会*1が2019年11月25日に開催したメディアセミナーで、昭和大学医学部教授の山岸昌一先生が講演した内容から紹介します。 目次 AGEsが糖尿病やがん、老化や寿命に関わる AGEsは体内で作られるだけではなく、タバコや食事から取り込まれるので注意 皮膚にたまったAGEsを測定すると 実際の年齢よりも老けて見える人ほど、早死にしやすい可能性あり AGEsレス食品やAGEsをやっつける食品を食べることで対策を AGEsが糖尿病やがん、老化や寿命に関わる 山岸先生の講演によると、AGEs(終末糖化産物)とは、たんぱく質に糖がくっついた最終産物。体内のたんぱく質に糖がくっつくと、糖尿病をはじめさまざまな病気に関わり、老化が進むといわれています。 つまり、糖化によって体内でつくられるAGEsは、老化の悪玉物質。糖化は、血管、脳、筋肉、皮膚、髪、骨など、体のいたるところで起こるので、いろんな病気や老化に関わっていくのです。 ■AGEsと病気、老化との関連 メタボリックシンドローム、糖尿病 血管が硬くなる(動脈硬化症) 骨がもろくなる(骨粗鬆症)。筋肉がやせ細る(サルコペニア) 卵子の老化、男性更年期 しわ、たるみ、薄毛、しみ 認知症(老人斑:脳のシミ) がん メタボ、脂肪性肝炎、肝硬変 出典:抗加齢医学会2019年度第2回メディアセミナー・山岸昌一先生の講演資料から AGEsは体内で作られるだけではなく、タバコや食事から取り込まれるので注意 AGEsは体内でつくられるだけではありません。食事やタバコからも取り込まれます。これまでの研究から、糖尿病の有無に関係なく血中のAGEs濃度が高いと直腸がんリスクが上昇することや、赤肉の摂取量増加に伴ってAGEsも体内にたまってしまい、その結果として膵臓がんの発症リスクが高くなることが報告されています*2,3。また、米国の研究では、体内にAGEsが多い人は、握力が低下し、歩行スピードが遅く、心筋梗塞や死亡のリスクが高いことが指摘されています*4。 皮膚にたまったAGEsを測定すると 皮膚に蓄積しているAGEsを検査する機器(AGEsリーダー mu、セリスタ、東京)が開発されています。 機器を用いて日本人1万人以上を対象にした検討では、喫煙や運動不足、精神的ストレス、睡眠不足、朝食抜き、甘いものの過食など、生活習慣が歪んだ人ほど、皮膚にAGEsが蓄積していることがわかりました*5。 また、オランダの73,000人を対象にした追跡調査では、皮膚のAGEs蓄積が高いほど、将来、糖尿病や心臓病にかかりやすく、死亡のリスクが高くなることが観察されています*6。 実際の年齢よりも老けて見える人ほど、早死にしやすい可能性あり 実年齢より老けた人ほど老化が進行しやすいうえ、早死にしやすいといわれます。 皮膚のAGEsが蓄積しているヒトほど、見た目が老けていることや、握力が低下していることも報告されています*7。 タバコを吸うとAGEsも取り込んでしまうといわれていますが、双子を対象にした研究では、喫煙者のほうが非喫煙者に比べて老けているとの指摘もあります*8。 AGEsは、しわやたるみ、シミ、黄ぐすみなど、お肌の大敵。老化や寿命にもつながるので、若い時期からAGEs対策をすることが重要です。 AGEsレス食品やAGEsをやっつける食品を食べることで対策を 以上の研究結果から、いくらカロリー制限やダイエットをしても、AGEs制限をしないと健康長寿を全うできない可能性があります。食生活習慣の対策としては、以下が挙げられます。 ■AGEsを抑える食事・生活習慣 1:食品由来のAGEsを抑える 揚げもの、焼きものを避けて、煮たり、茹でたりしたスローフードを食べる ファストフードと清涼飲料水は× 2:食後の血糖値を抑える 早食いやまとめ食いは×、ゆっくりとよく噛む 野菜、繊維質のものから先に食べる 低GI食品を取り入れる NEAT(non exercise activity thermogenesis: ニート)のススメ 3:食事に由来するAGEsを吸着したり、体内でのAGEs生成を抑える素材を摂取する キチン・キトサン(きのこ、雪国まいたけ、桜エビ) 食物繊維(雪国まいたけ、きのこ、セロリ) 純炭(セルロース炭)・クレメジン(医療用) スルフォラファン(ブロッコリーススーパープラウト) ケルセチン(タマネギの皮) 出典:抗加齢医学会2019年度第2回メディアセミナー・山岸昌一先生の講演資料*9 山岸先生は、AGEsを包み込んで無毒化する新薬を現在、開発中です。 最後になりますが、人生100年時代といわれていますが、キーワードは「年をとっても、いつまでも若々しく」です。 アンチエイジングを達成するために、AGEsレスの食品を食べるようにする、食べかたや喫煙など食生活習慣を改める、自分の体のなかにAGEsが多いかどうかセルフチェックする、など、早めの対策が大切ではないでしょうか。 *1:抗加齢医学会のホームページ:https://www.anti-aging.gr.jp/ *2:N Engl J Med.2011;364:829-41(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21366474)、Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.2015;24:1855-63(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26404963)、J Clin Endocrinol Metab.2015;100:E739-47(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25695885)、Mol Med.2015;21:S32-40(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26605646)、Int J Cardiology.2015;185:263-8(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25814214) *3:Am J Clin Nutr.2015;101:126-34(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25527756)、Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.2015;24:1855-63(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26404963)、Rejuvenation Res.2015;18:48-56(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25472493) *4:Rejuvenation Res.2012;15:564-72(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22950433) *5:J Int Med Res.2018;46:1043-1051(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29322837) *6:Diabetologia.2019;62:269-80(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30460578)、Atherosclerosis.2018;274:47-53(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29751284) *7:Pharma Medica.2015;33:91-95 *8:Plast Reconstr Surg.2009;123:1321-31(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19337100) *9:1と2は、Nutrition.2006;32:157-65 3は、Mol Med.2006;12:180-4(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17088950)、Nutrition.2016;32:157-65、Pharm Biol.2016;54:2329-39(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26841240)、Curr Pharm Des.2017;23:1135-41(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27774900-phytochemicals-against-advanced-glycation-end-products-ages-and-the-receptor-system/)、Evid Based Complement Alternat Med.2018;9823141(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30174716)、Diabetes Frontier.2018;5:e1-008 公開日:2020/02/19
高齢になるのに伴い、筋肉の量が減少していく症候群、サルコペニア。青信号の間に渡りきれず、車道の真ん中で立ち往生してしまう状態であれば、サルコペニアが疑われます。この記事ではサルコペニアの進行を抑えるための食事・運動の方法を紹介します。 目次 高齢者に起きる、「筋肉の喪失」を意味するサルコペニアとは? 高齢者の変化を、筋肉という視点から着目したのがサルコぺニア 食事と運動で、サルコペニアの進行を抑えよう! 高齢者に起きる、「筋肉の喪失」を意味するサルコペニアとは? 年齢を重ねることによる体の変化は誰にでもみられますが、健康的な生活を送るうえで見逃せないものもあります。その一つに「サルコペニア」があります。サルコペニアとは、高齢になるのに伴い、筋肉の量が減少していく症候群です。広い意味では高齢だけではなく、栄養不足、手術、多発性筋炎などの病気による筋肉の減少や、筋力の低下もサルコペニアとみなされます。ギリシア語で「肉」を表す「サルコ」と、「喪失」を意味する「ペニア」を組み合わせた「筋肉の喪失」を意味する造語から名付けられ、「加齢性筋肉減弱現象症」と呼ばれることもあります。 筋肉量の減少や筋力の低下は、主に活動量の低下によって引き起こされると考えられていますが、はっきりとしたメカニズムはまだ分かっていません。この現象自体は高齢者に限らず、25~30歳頃から生涯を通して起こるものであり、ごく自然なことです。しかし、サルコペニアの進行を放置した高齢者は、歩くのがだんだんつらくなり、やがて歩けなくなったり、転倒しやすくなったりします。また、サルコペニアにより筋肉に脂肪が浸潤して、牛肉の霜降りのような状態になるのに伴って肥満化する「サルコペニア肥満」になることもあります。 サルコペニアの診断は、65歳以上という年齢のほかに、秒速0.8m以上で歩けるかどうかが基準の一つとなります。秒速0.8m以上とは、目安として「横断歩道を青信号の間に渡りきれる速さ」と考えられます。健康な成人の歩行速度は秒速1.5mほどであり、一般的に横断歩道は秒速1mであれば渡りきれるように設計されています。そのため、青信号の間に渡りきれず、車道の真ん中で立ち往生してしまう状態であれば、サルコペニアが疑われます。このほかに、握力や筋肉量が正常かどうかも測定して、サルコペニアと診断されます。 高齢者の変化を、筋肉という視点から着目したのがサルコぺニア 要支援・要介護の状態になっている、あるいはそうなる危険性が高いとして、高齢者が気を付けるよう呼びかけられている状態に「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群:通称ロコモ)があります。バランス能力の低下や骨・関節の病気のほかに、筋力の低下もロコモの要因の一つとして数えられますが、これはまさにサルコペニアのことです。そのため、サルコペニアはロコモと重複した状態だと言えます。 高齢者が注意すべき状態として、ほかにも「フレイル」(虚弱)があります。これは、加齢に伴う認知機能や栄養状態、持久力などのほかに、バランス能力や筋力の低下なども含まれていて、やはりサルコペニアやロコモと重複していると考えられます。 食事と運動で、サルコペニアの進行を抑えよう! 筋肉の減少や筋力の低下は加齢とともに進行するため、サルコペニアの予防や進行の抑制は、意識的に行う必要があります。その方法としてまず挙げられるのが、食事の見直しです。筋肉をつくるのには、肉や魚、卵、牛乳などに含まれるたんぱく質が必要となります。高齢になると、これらをあまり食べなくなる人が多くなりますが、バランスの良い食事をすることが大切です。たんぱく質を構成する、アミノ酸のサプリメントなどを利用しても良いでしょう。 食事とともに、運動も欠かせません。高齢者の運動といえば、かつてはウォーキングや体操など、心肺機能や柔軟性を高めることを目的としたものが中心でした。しかし、これらの運動だけでは筋肉の増強は望めないため、筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動を取り入れる必要があります。レジスタンス運動は、下表のように大きく2つの方法に分類され、それぞれ長所と短所があります。医療施設や自治体のコミュニティセンターなどには、トレーニングマシンの使用が可能なところもあるので、問い合わせてみると良いでしょう。自宅で手軽に始めるのであれば、ロコモ予防の運動としても推奨されているスクワットなどがおすすめです。 レジスタンス運動は、いずれも10~15回程度の回数を1セットとして、それを無理のない範囲内で1~3セット行います。筋肉には疲労から回復する時間が必要なので、毎日ではなく2~3日に一回程度の頻度が適切だとされています。継続することがもっとも大切なので、無理のないペースで行いましょう レジスタンス運動の分類 方法 具体例 長所 短所 器具を用いる ・ダンベル ・トレーニングマシン …など 負荷の大きさを調整しやすい 器具が必要 自分の体重を利用する ・スクワット ・もも上げ ・つま先立ち …など 手軽に始められる 負荷の大きさを調整しにくい 公開日:2014/12/22
白内障は、高齢者の病気だと思われがちだが、実際には40代でもかかる病気。白内障は老化現象のひとつなので、避けられない病気なのだ。 目次 白内障は目の「老化現象」? 白内障ってどんな病気? こんな自覚症状を感じたら… 白内障は目の「老化現象」? 「白内障」という目の病気をご存知だろうか。白内障は、歳をとると髪が白くなったり、シワができるのを避けられないのと同じように、40歳を過ぎた頃から誰にでも起こりうる、目の老化現象のひとつなのである。 60歳代で約7割、70歳代で約9割の人が白内障にかかっているとも言われている。しかし、最近では手術などの治療も進んでおり、恐い病気ではなくなってきたのだ。 白内障ってどんな病気? 白内障はレンズにあたる水晶体が濁る病気。 「赤ちゃんの目ってきれいだね~」って思うことがあるが、実際その通りで赤ちゃんの水晶体は限りなく透明なのだ。しかし、10歳前後で目の成長は止まってしまい、あとは老化するだけ。徐々に透明度が低くなり、ある程度の年齢になると濁りが出てくる。 この濁りは、歳を重ねると白髪やシワが出てくるのと同じようにごく自然な目の老化現象のひとつ。 白内障の場合の見え方 初期段階では視力の低下や見えにくいといった自覚症状はない。しかし、水晶体に濁りが出てくるようになると、これまではっきりと見えていたものが、かすみがかかったようにぼやけて見え、まるですりガラスを通したような視界になってしまう。ちなみに、老眼はピントが合わなくなるという目の老化現象だ。 さて、水晶体が濁るとはどういう現象なのだろう?水晶体の主成分はたんぱく質。濁りのない水晶体では大きさの整ったたんぱく質の粒子が整然とならんいる。しかし、加齢とともにたんぱく質の粒子に不ぞろいが生じ、光を通しにくくなる。 これが「レンズが濁る」という現象だと指摘されている。 水晶体が白く濁る原因は糖尿病性やアトピー性のものなどいろいろあるようだが、最も多いのは老人性によるものだ。 白内障の濁り方 ●皮質白内障 最も多いタイプ。周りから混濁してくるため、症状が進むまで自覚はない。 ●後のう下白内障 水晶体の後ろにある後のうが濁るため、初期段階からまぶしさやかすみを感じる。 ●核白内障 水晶体の核が硬くなり濁ってくるが、濁り方の割に自覚症状が乏しい。 目は「カメラ」と同じ 目の仕組みはよくカメラにたとえられる。カメラは、外からの光をレンズが集めて、絞りやピントを調整し、フィルムに写すという仕組みになっている。目でいうとレンズが角膜や水晶体、絞りやピントの調整は虹彩や毛様体、フィルムは網膜に当てはまる。 外からの光はまず角膜を通り、その光を屈折させて水晶体と呼ばれる血管も神経もない凸レンズへ送り込んでピントを合わせる。そして、眼底にある網膜に像を結び、その情報が脳へ送られて初めて「見えて」いるのだ。 水晶体は、直径約9~9.5ミリ、前後径約4~4.5ミリの凸レンズで、チン小帯(チン氏帯ともいう)と呼ばれる細い繊維で毛様体に固定されている。例えば、近くのものをみる時には毛様体が収縮して盛りあがり、チン小帯が緩む。そのため、弾力性のある水晶体が厚みを増して屈折率を強くし、近くのものに焦点を合わせている。 また、光の量を調整しているのが虹彩。明るい所では瞳孔を小さくし、暗い所では瞳孔を大きくする役目を虹彩は果たしている。 こんな自覚症状を感じたら… 痛みや充血といった分かりやすい症状は初期段階では起こらない。そのため、定期的に検診でもしていない限り、早期発見は難しい。 「白内障って言われたら、すぐに手術なんでしょ!?」という人もいるが、そんなことはない。眼科の検査は意外と手軽なものなので、次のような症状を感じたら一度受診し、進行段階によって治療方法を検討するとよいだろう。 こんな症状を感じたら眼科へ ●昼間の日差しや、夜の車のライトがまぶしくてつらい 水晶体に濁りが出ると、光が乱反射するためまぶしく感じるようになる。 ●メガネをかけても新聞の文字が読みにくい、景色がぼやける 白内障になると、視力が低下してくる。また、角膜や眼底の病気でも視力が低下することがある。 ●暗い所では見えにくく、明るい所だと見える ひとみは暗い場所では光を多く取り入れるため大きくなるが、水晶体の広い範囲に濁りがある場合、入ってくる光が少なくなるため見えにくくなる。 ●明るい所より、暗い所のほうが見やすい 水晶体の中央部分にだけ濁りがある場合には、暗い所でのほうが見やすくなる。それは、暗い所で大きくなったひとみの濁りのない部分から光が入ってくるから。逆に、明るい所ではひとみが小さくなるため、濁りのある部分から物を見なければならず、かすんで見えにくくなる。 ●物が二重に見える 水晶体の濁り方によっては、外からの光の屈折が原因で物が二つに見えることがある。 公開日:2003年6月2日
30代も後半を迎えると、徐々に白髪が生えてきます。見た目にも老けて見えるため、なるべくなら白髪は減らしておきたいところ。でも実は、今までなぜ白髪が生えてくるか、よく分かっていませんでした。しかし、最近は研究が進み、白髪のメカニズムが徐々に解明されてきました。「年齢が年齢だからしょうがない」と諦めずに、白髪が生えてくる原因を知って、しっかりとした白髪対策をしましょう。 目次 ぞくぞくと話題を提供する白髪の「今」 ヘアサイクルと白髪の原因 病気によって白髪になる場合もある ぞくぞくと話題を提供する白髪の「今」 白髪は、薄毛、男性型脱毛症とともに、遺伝的な要素が強いとされるものの、その原因は、いまだ藪の中。医学的な研究がなかなか進まず、解明されていなかった。ところがここへきて、さまざまな角度からの研究が効果をあげてきている。 その成果のひとつに、京大グループが発見した色素幹細胞毛がある。色素幹細胞とは、毛髪に色をつける色素細胞(メラノサイト)のモトとなるもので、これまでは理論的には存在するといわれてきたものの、実際は存在や場所の確認ができていなかった。今回の発見によって、白髪のできる仕組みの解明がさらに一歩進むものと期待されている。 もうひとつは、花王の研究グループが発表した白髪の発生と特定遺伝子の量との関係。毛髪の根元にあるたんぱく質FGF(繊維芽細胞増殖因子)をつくる遺伝子の量が減ってはたらきが悪くなると、髪に色をつける色素細胞(メラノサイト)の増殖力や毛髪細胞の自然死を回避する能力が低下して白髪になるというもので、花王はこの成果を元に、白髪の予防剤などの開発をめざすという。 白髪がなくなる日はそう遠くないのかもしれない。だからといってその日まで白髪を放っておくわけにもいかない。そこで、現在までにわかっている白髪のできるメカニズムと、その対策をまとめてご紹介しよう。 ヘアサイクルと白髪の原因 そもそも毛髪はどのようにして色がつくのだろうか。 1本1本の毛髪が生み出される頭皮内の「毛包」と呼ばれる内部には、毛乳頭という突起があり、毛細血管で運ばれてきた養分をたくわえている。 この毛乳頭を取り囲んでいるのが、毛髪をつくる毛母細胞。毛母細胞は、毛乳頭から養分を得て、次々に細胞分裂し、毛髪をつくり出していく。 こうしてつくり出された毛髪が少しずつ上に押し上げられ、頭皮の上に出たのが、いわゆる髪の毛だ。 日本人ならだいたい黒色、世界的にみれば金色あり、茶色あり。こうした頭髪の色は、毛髪が頭皮内で成長する過程のどこかで、色素細胞(メラノサイト)がつくり出したメラニン色素が毛髪内に取り込まれることで決まる。 つまり、毛母細胞そのものがつくり出す毛髪は、もともとは白髪なのだ。それを黒く見せているのは、色素細胞(メラノサイト)がつくり出すメラニン色素のはたらき。 白髪ができるのは、色素細胞(メラノサイト)のはたらきが、何らかの原因で弱まったり消失したりして、髪を黒くするメラニン色素がつくれなかったためと考えられる。 次に、色素細胞(メラノサイト)は毛髪の成長でどうなるのか、髪のライフサイクルから見てみよう。 毛髪は生えたらずっと伸び続けるものではない。きちんと寿命というものがあるのだ。この寿命は、図にもある通り、男性で3~5年、女性の場合は4~6年といわれる。 頭皮には、日本人の場合、10~15万本の毛髪が生えているといわれているので、1日に約50本程度の抜け毛は、髪の寿命による自然な脱毛とされている。 問題となるのは、この脱毛の際に、色素細胞(メラノサイト)までもが毛髪とともに失われること。健康な頭皮内であれば、こうして色素細胞(メラノサイト)が激減しても、次の毛髪が生えるときに再配置され、メラニン色素がつくられる。しかし、何らかの原因で再配置が起こらないと、白髪となってしまうのだ。 つまり、白髪にとって最も重要なのは、毛髪の生え変わりの時期ということができる。色素細胞(メラノサイト)を活性化し、新しい髪のために再配置をスムーズに行わせる必要があるのだ。 病気によって白髪になる場合もある 自然な脱毛の後に、色素細胞(メラノサイト)がスムーズに再配置されない原因とは何だろう。現在のところ考えられているのは、次の5種類である。 (1)遺伝 男性型脱毛症にも共通する原因のひとつ。だが、どの程度、関連があるかは解明されていない。 (2)加齢 体の老化によって、当然、色素細胞(メラノサイト)も弱ってくるため。 (3)生活環境 気温などの外的なものはもちろん、食生活や頭皮のケアの状態によっても大きく左右される。 (4)病気 慢性の胃腸疾患やマラリア、貧血症、甲状腺疾患などの病気があると、急に白髪が増えることがある。また、尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)ができるとその部分が白髪になったり、円形脱毛症が治るときに白髪になるケースも。これらは、病気が完治すると、元の黒髪に戻る場合もある。 (5)ストレス 誰もが納得することだろうが、毛髪とストレスの関係は深い。「苦労すると白髪が増える」といわれるのも、ウソではない。ただし、フランス革命の際、投獄されたマリー・アントワネットの髪が一夜にして真っ白になったという逸話があるが、そういったことは現在解明されているところではあり得ない。毛髪は上記の通り、毛先ではなく、毛根から伸びていく。そして毛髪の色は、頭皮の外へ出たときには、すでに決まっており、出てから色が変わることは今のところ考えられないのだ。 これらの原因が、ひとつ、あるいは複数重なって白髪が進行すると考えられている。ここで、遺伝や加齢による白髪だからといって諦めてはいけない。適切なケアや健やかな生活習慣によって、ある程度は発生を遅らせたり、減らすことはできるのだ。 公開日:2002年10月28日
脳はいくつになっても、使いつづけたほうがいいようです。ど忘れを防止する方法として脳に刺激を与える方法をご紹介します。ど忘れは脳の病気を伴っていることもあります。気になる症状があれば、専門医に相談しましょう。 目次 記憶の基本は「繰り返し」 脳にいいことをしよう! 脳の異常はない? 記憶の基本は「繰り返し」 ど忘れを防止するために、まず必要なのは、脳を正しくはたらかせること。 脳の機能は、 ・ 正確に ・ 適度なスピードで ・ 持続力を持って はたらかなければならない。例えば、「えーっと、あれは誰だっけ…。そうそう、○○さんだ!」と適度なスピードで正確に思い出せれば、問題はない。が、ど忘れというのは、たいてい思い出すためのスピードが遅く、記憶システムがエラーを起こしているのだ。 そして、脳を正しくはたらかせるために必要なのが「繰り返す」こと。まれに、一度聞いただけでしっかり覚えていられる人もいるが、たいていはメモを取ったり、そのメモを繰り返し見て確認することで記憶しているのだ。 ど忘れを防ぐには、記憶を確実にすること。これが、基本中の基本である。 脳にいいことをしよう! 脳は刺激を与えて活性化させなければ、どんどん脳活動も減少してしまう。 脳はいくつになっても、使いつづけたほうがいいのだ。ど忘れを防止する方法として、こんな方法もぜひお試しあれ! ●脳によい食事 カルシウム・ビタミンが不足したり、脂肪分の多い食事を続けていると脳にダメージを与えやすい。ファーストフードやインスタント食品を避け、バランスの取れた食生活を送ろう。 ●文字を書く いくらパソコンを使っていても、それは文字を変換しているだけで自分で書けるとは限らない。実際、書いてみると、自分がいかに文字を忘れているかに気がつくだろう。手紙や日記を書いたり、今年は年賀状を手書きにするなど、手で文字を書いてみよう。 ●会話をする 会社で人と接することのない部署だったり、子供が成長するなどして家庭にも人がいなくなり、会話が減少すると、脳活動が減少していく。人としゃべることも活発な脳にする大事な要素。 ●香りで刺激を与える ラベンダーにはリラックス効果があり、脳を休めてくれる。また、セージには記憶力向上の効果、バジル、ペパーミント、レモン、ローズマリーなどには、集中の効果がある、と言われている。 ●運動で脳を活性化 車や電車ばかりで歩行能力が減退すれば、脳への刺激も弱くなる。脳を退化させないために、ウォーキングなどの運動をしよう。 脳の異常はない? ど忘れは、記憶システムがエラーして起こる。それは、脳の病気を伴っていることもある。「単なるど忘れだから」とか、「歳をとったから、忘れてもしょうがない」などと放っておくと、取り返しがつかないことにもなりかねない。 「最近、よく忘れるなあ」と思うのと同時に、次のような症状がある場合には、専門医に相談しよう。 アナタの脳になんらかの異常が起きているのかもしれない。 こんな症状、ありませんか? ろれつが回らないことがある ひどい頭痛が、最近あった めまいがすることがある 足元がふらつくことがある 手がしびれることがある 忘れる事が多くなってきた 公開日:2001年11月26日
誰でも経験のある「ど忘れ」。初めのうちは「なんだっけ…、そうそう!あれだよ」なんて思い出せていたのに、だんだん思い出せなくなってきていませんか?ど忘れを「歳のせい」なんて思っていると、取り返しがつかなくなるかもしれません。 目次 ど忘れとは? 記憶のメカニズム なぜ、忘れるの? ど忘れとは? ど忘れとは、辞書によれば「当然知っているはずのことなのに、どうかした拍子に思い出せなくなる」こと。つまり、脳の記憶にエラーが起こった、ということだ。 誰にでも、「えーっと、あれなんだっけ…」という経験はあるはず。それがたまになら誰も気にしないが、あまりに続くと「最近、物忘れが激しい」となり、「どこか悪いんじゃないか」と気になってくる。本人は、「忘れるはずじゃない」と思っていたことなだけに、「ど忘れ」するとショックを受けてしまうのだ。 あなたは、こんな経験がないだろうか? 1. 以前にも話したことを同じ人に話したとき A:言われれば、前にも話したことを思い出す(「そう言えば、前にも話したっけ…」) B:言われても、覚えていない(「えっ?もう話したっけ?」) 2. 約束していたのを忘れてしまったとき A:約束は覚えていたけど、その時は忘れてしまった(「あーっ、約束してたんだった…」) B:約束したこと自体覚えていない(「そんな約束したっけ?」) 3. 何かやろうとしたことを忘れてしまったとき A:よく考えてみれば、思い出す(「あれをするんだった!」) B:まったく忘れてほかのことをしてしまう(「何かしようとしてたかしら?」) こんな場面で、Aのような回答なら、そう心配はない。でも、もしBのようなことがあなたに起こっているなら、それは注意が必要など忘れなのだ。 記憶のメカニズム さて、人はどのように物事を記憶しているのだろうか。 人の記憶にとって大切なのは、五感。これが、脳への情報の入り口になっているからだ。 五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のこと。そのなかでも、視覚、聴覚からの情報は膨大であり、それを処理する脳の部分も容積的に大きな量を持っている。 記憶には、「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の3種類ある。 記憶のメカニズム ●感覚記憶 脳の感覚中枢(視覚中枢や聴覚中枢、体性感覚中枢など)が正常にはたらき、外部からの情報を処理したときに得られる記憶。年齢が高くなると、視覚、聴覚の反応が鈍るため脳が得られる情報が減り、脳も鈍くなった、と言われる。 ●短期記憶 短期的な記憶。昨日言われたことを覚えている、など。脳の海馬という場所に短期記憶の中枢がある。これ(海馬を含む側頭葉)がダメージを受けると、外から来た新しい情報が処理されないため、繰り返し同じことを言ったり、すぐ前のことを記憶できなかったりする。が、ほかの部分がダメージを受けていなければ、長期的な記憶は残っている。 ●長期記憶 長期的な記憶。つまり、昔から長く残っている記憶のこと。ただし、短期記憶を繰り返し、繰り返し貯蔵することで、長期記憶になる。 この3つには関係がある。外部からの情報をまず、感覚中枢がキャッチし、感覚記憶となってとらえられ、それが短期記憶になる。これを繰り返すことで長期記憶になる、と言うわけだ。 なぜ、忘れるの? 脳に入ってくる情報には、大きく分けて2種類ある。 ひとつは、能動的な情報。自分が見たい、聞きたいと思って、積極的に受信しようとするものだ。もうひとつは受動的な情報。例えば、学校の授業など、それほど興味がない(?)ものがそうかもしれない。 このうち、受動的な情報は、あまり覚えていない。興味のないことは、いくら耳で聞いて目で見ても、なかなか記憶としては残らないのだ。さらに、覚えているためには、「努力」が必要である。どんなに関心があることでも、努力しなければずっと覚えていることはできない。 つまり、「感覚記憶」を「短期記憶」にするためには、まず五感を有効にはたらかせ、情報に対し能動的である必要があり、さらに「短期記憶」を「長期記憶」にするためには、繰り返し行動することが必要なのである。 公開日:2001年11月26日
太陽の光は人が生命を営むために必要なものです。でも、最近、必ずしも太陽の光が身体にとっていいものばかりとは限らないようになってきました。その理由は紫外線にあります。紫外線がシミ、シワをつくる仕組みはどうなっているのでしょうか。 目次 紫外線とは? 5月は要注意!紫外線が多い時期 紫外線がシミやシワをつくる仕組み 紫外線とは? 紫外線とは、太陽光に含まれる光成分で、人の目には見えないものだ。可視光線(目に見える光線)よりも波長の短いもので、地球に届く太陽光のうちの6%程度に過ぎない。さらに、紫外線は、その波長によって3つに分けられる。 紫外線の種類は? 長波長(UVA) 321~400nmの波長を持つもの。 紫外線のうち、約9割を占める。UVAを浴びた後の日焼けはそれほど皮膚が赤くならず、 あとで黒っぽい色素沈着が起こり、その状態をサンタンと呼ぶ。シミやシワの原因をつくる。 中波長(UVB) 291~320nmの波長を持つもの。UVAの線量の10分の1程度。 UVBは浴びた直後から赤くなり、皮がむけたり水泡ができたりするほどの日焼けになる。 その状態をサンバーンと呼ぶ。また、皮膚がんの原因になる。 短波長(UVC) 290nm以下の波長のもの。 現時点では、オゾン層が破壊されない限り、地表には届いていない。人工的にUVCを 放出させて利用しているのが殺菌灯。 5月は要注意!紫外線が多い時期 実は、紫外線は日がサンサンと照る暑い時期だけではなく、5月のようなさわやかな時期でも多い。 紫外線の特徴 春先の3、4月ごろからだんだん強くなり、5月から8月ごろまで多く、特に5月は多い 夏に強く、冬に弱い 1日のうちもっとも強いのは午前10時から午後2時の間。この時間に外出するなら、しっかりと紫外線対策をしよう。 紫外線から身を守れ!外出時の紫外線対策 紫外線がシミやシワをつくる仕組み 紫外線によって肌は急速に老化する。シミやシワがつくられる仕組みは以下のとおり。 紫外線による「シミ」はこうしてできる 1. 紫外線を浴びる。 2. それに対する防衛反応としてメラニン色素がたくさんつくられ、肌は黒くなる。 3. メラニン色素はふつう28日周期の表皮の角化にともなって抜け落ち、肌色ももとに戻る。 4. しかし、日焼けの程度がひどい場合、表皮が壊れてメラニン色素が真皮に落ち込み、色素沈着を起こしてシミになる。 軽い日焼けでも、人によっては色素沈着を起こすこともある。 紫外線による「シワ」はこうしてできる 1. 紫外線を浴びる。 2. 肌の弾力とハリを司るコラーゲンが断裂・変性する。コラーゲン産生量も低下する。 3. 真皮が萎縮し、深いシワができる。 公開日:2001年5月14日
恵みの多い太陽の光ではあるが、太陽光の中に人に都合の悪い光成分が含まれていることが明らかになってきました。それが「紫外線」です。なぜ人にとって都合の悪いものなのでしょうか。 目次 とかく悪者にされがちな紫外線 なぜ「太陽紫外線」は悪者? とかく悪者にされがちな紫外線 太陽の光がまぶしい季節がやってきた。スポーツ、散歩、昼寝など、日光の下にいるだけで、安心したりすがすがしい気分になって思わず伸びをしたくなったりするもの。もちろん、それだけではなく、人は太陽の光を浴びることでビタミンDの合成を促進し、カルシウムの吸収を助けるため、骨が強くなるのだ。また、太陽の光がなければ作物や草花は育たないし、動物や鳥たちも生きることはできない。 これほど恵みの多い太陽の光ではあるが、太陽光の中に人に都合の悪い光成分が含まれていることが明らかになってきた。それが「太陽紫外線」なのである。 なぜ「太陽紫外線」は悪者? なぜ太陽紫外線は人にとって都合の悪いものなのだろうか。 シミ・シワをつくり、老化を早める! 特に女性が嫌うシミやシワはほとんどが紫外線によるもの。外で働く機会が多い人ほどシミやシワができやすい。また、日本でも北と南では、年間の紫外線量が1.5~2倍ほど違っているので、例えば、鹿児島に住む女性は秋田の女性よりシミで約20歳、シワで約6歳ほど早く発症すると言われているのだ。 表面化させない、濃くしない、シミ対策 過度の日焼けはヤケドと同じ!? こんがり焼けた肌は魅力的。でも、過度の日焼けは、水泡ができたり赤くはれ上がったりする。こうなると日焼けとは言えず、ヤケドになってしまっているのだ。これは、急性日光皮膚炎ともいい、ひりひりと痛くてじっとしていられず、病院に行くことになる。もちろん、水泡や赤くはれた部分は、そのままシミの原因にもなるのだ。 甘く見るとヤケドする!日焼け「基本のき」 皮膚がんのもと! 紫外線は皮膚がんのもとになることが最近の研究で分かってきている。もともとがんとは、遺伝子の異常によって起こるもの。日焼けを繰り返すことで、たびたび遺伝子が傷つき、免疫力が低下すると細胞に突然変異が起こってがん細胞を発生させてしまうのだ。 ひとことで皮膚がんと言っても、そのできる部分によってがんの種類は異なる。皮膚がんのうち、起こりやすいものを順にあげると、有棘細胞がん、基底細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫ともいい、極めて転移しやすい「ほくろのがん」)、表皮内がん、などである。 白内障も引き起こす! 紫外線による障害は、皮膚だけでなく目の水晶体にも害を及ぼすと言われている。特に、白内障の発生頻度がかなり高い。 目の水晶体は、レンズとしてはたらくと同時に紫外線を吸収するフィルターとしても作用するが、長年紫外線を浴びつづけると角結膜炎を起こし、激痛を伴うことになる。そのひとつが雪面反射による雪目だ。また、殺菌灯に直接目をさらす時にも起こるので注意。 目の紫外線対策で、白内障を予防しよう! 公開日:2001年5月14日
これからの時期、注意しなければならない紫外線。できることなら正午をはさんで前後2時間は外出を避けたいものですが、なかなかそうはいきません。外出するならこんな対策をしましょう。 目次 紫外線から身を守れ! これで完璧!紫外線対策 帽子、サングラス、肌をあまり出さない服を着用しよう 「SPF」「PA」を知って、日焼け止めを使おう 紫外線から身を守れ! 皮膚の色は、色素物質メラニンで決まる。メラニンの量が多いほど、肌の色は黒くなるし、日光に対する抵抗力があると言われている。 白色人種はメラニンの量が少なく、黒色人種は多く、日本人のような黄色人種はその中間であるといわれている。 また、同じ日本人でも紫外線に対する抵抗力は人によって違う。大きく分けると、以下のように分けられる。 日焼けのタイプは? A:日光にあたるとすぐ赤くなるが、黒くはならずもとに戻るタイプ B:日光にあたるとそれなりに赤くなって、その後黒くなるタイプ C:日光にあたるとあまり赤くならずに黒くなるタイプ 紫外線の影響を最も受けやすいのは、A のタイプ。このタイプは、サンバーンを起こしやすく皮膚がんにかかる可能性が高いと言われている。また、C のタイプは、サンタンを起こしやすく、シミやシワができやすい。B のタイプはその中間だ。 「赤くならないから肌が丈夫」なのではなく、それなりに老化を早めているので、紫外線に強い人も弱い人もこれからの時期はしっかり対策しよう。 これで完璧!紫外線対策 これからの時期、注意しなければならない紫外線。できることなら、正午をはさんで前後2時間は外出を避けたいものだ。でも、そうはなかなかいかないので、外出するならこんな対策をしよう。 帽子、サングラス、肌をあまり出さない服を着用しよう 紫外線を避けるための常套手段としては、帽子をかぶること。今さら…という気もしないではないが、帽子は直射日光を避けることができるため、顔の肌を守るだけではなく、白内障や熱射病の予防にもつながる。 帽子は、つばが7cm以上のものがよい。約7cmのつばの帽子は、顔が浴びる紫外線の約60%をカットできるという。ただし、100%完全にカットすることは帽子だけでは難しい。 また、サングラスをかければそれだけ目が保護される。特に真夏の外出や冬のスキーなどの時には、UVカットされた安全規格のサングラスを使用しよう。また、肌をあまり出さないような服を着ることももちろん必要。 「SPF」「PA」を知って、日焼け止めを使おう 最近は、日焼け止めも幼児用から男性用、女性用などバラエティー豊富で、しかも種類もたくさんある。どんなものを選んだらいいのか、その目安となるのが「SPF」や「PA」という値だ。紫外線のUVA、UVBは波長が違うため、それぞれをブロックするための成分も違ってくる。 SPFとは? UVBを防御するレベルを表わす指標で「Sun Protection Factor」の略。 SPF=(サンスクリーン剤を使用した皮膚でのMED)/(素肌のMED)で表わされる。 ※MEDとは、個人差はあるが、真夏の快晴の時20~25分間日光を浴び、翌日その部分がほんのり赤く日焼けする程度(最少紅斑量)のこと。 つまり、サンスクリーン剤にSPF20とあれば、塗らなかった部分より日焼けするのに20倍時間がかかるということ。使用する場合は、次のことに注意しよう。 一度にたくさん塗ってもあまり効果はない。こまめに塗りなおすのがベスト。 肌に合わないものもあるので、腕などに塗ってみてかぶれないかどうかを確かめておくこと。 外国産のものは、一般にSPF値が高いが、そのまま日本人に当てはまるワケではなく、白色人種のSPFが60なら、日本人は20くらいだと考えるのがいいとも言われている。 PAとは? UVAを防御するレベルを表わす指標。「Proteciton Grade of UVA」の略。 PA+ :UVA防止効果がある PA++ :UVA防止効果がかなりある PA+++:UVA防止効果が非常にある。これが最高ランク PA値 SPFはほぼ世界共通の指標だが、PAは日本だけの基準と表示である。SPFと併せて表示されることが多いので、サンスクリーン剤や化粧品を選ぶ時の参考にしよう。 公開日:2001年5月14日
女性が加齢を実感するポイントといえば、肌の健康や体型。男性よりも少し早い30代前半から、シワ、シミ、肌のたるみ、化粧ののりの悪さ、体型・体重の変化、ダイエット効果などで、加齢を実感する人が多い。また主婦の場合、育児、子供の独立、結婚など、家族環境の変化に悩まされることも多く、そういった精神的ストレスが体におよぼす影響も見落とせない。いつまでもイキイキと輝いていたい人の体に、CoQ10はどうはたらきかけてくれるのだろうか? 素肌に、ボディに、笑顔に力!「CoQ10は、オンナの体にこうはたらく」 「シワやシミ、肌荒れが気になりだした」あなたへ 美肌を作る! 体全体を覆い、常に体外から肉体を保護している皮膚。CoQ10が不足すると、肌細胞におけるエネルギーの力が減ってしまい、紫外線によって発生する活性酸素への抗力も弱まるなど、ダメージを受けやすくなる。CoQ10の日常的な補給は、それらのダメージを防ぐだけでなく、既に生じてしまっているシミ、シワ、肌荒れなどの回復力向上にも役立ち、あきらめかけていたイキイキとした肌を、取り戻す手伝いをしてくれる。 「ストレスを感じることが多い」あなたへ 気持ちの元気も応援する! 毎日の忙しさや、人間関係のトラブルなどによって生じる精神的ストレス。 精神的ストレスを受けているときは、肉体疲労時と同様に、体内ではCoQ10量が不足する。精神的ストレスも、酸化作用の促進に拍車をかけているといえる。気持ちが疲れたな、と思ったらCoQ10を補うことで、体へのダメージを最小限に留め、精神的な回復も早めることができる。 「太りやすく、やせにくくなった」あなたへ ダイエットを味方する! 頑張っているのにダイエットがうまくいかない、という人にも、CoQ10は心強い味方。糖や脂肪をエネルギーに変えて、ダイエットをサポートしてくれる。 さらにCoQ10の効果をアップしたいなら、体脂肪を燃やしやすくするカルチニンなどの成分を一緒に摂るのもおすすめ。また、ヨガストレッチや、ピラティスなど、体力に自身がない人でも毎日の習慣にしやすい運動と組み合わせることも大切。 「足がむくみやすい」あなたへ 下半身の血流を促す! むくみや冷え性、低血圧など、女性の悩みのタネにもCoQ10は活躍。こうしたトラブルは血流が悪くなっていることに一因があるが、CoQ10は心臓機能を高める作用があり、全身血流がUPするため、下半身にたまっていた血液が心臓に戻りやすくなって、むくみ改善をしたり、冷え性や低血圧を軽減すると言われている。 コラム)優良なCoQ10を選ぶなら 認知度が高まり、さまざまな製品が市場に出回るようになったCoQ10。しかしサプリメントなどの商品の中には、含有量が表示よりも少ない商品や、体内吸収性が疑われるもの、さらには偽製品などが出回り、問題となっている。そこで「日本コエンザイムQ協会」が、検査基準を満たした適正な商品に対してのみ掲載を認可する「日本コエンザイムQ協会品質認定マーク(協会ロゴマーク)」を制定。目や舌では確かめることができない品質を証明してくれる。 CoQ10を摂るタイミングは!?
働き盛りなどといわれる30代後半~40代前半になると、「ちょっと走っただけで息切れがする」、「一晩寝ても疲れがとれない」「お酒に弱くなった」といった症状などで加齢を実感する人も多いだろう。さらに、生活習慣病の恐怖が迫ってくるのも、この時期だ。CoQ10は、働き盛りの体を、どう応援してくれるだろう? 「バテバテ」「グッタリ」の体に喝!「CoQ10は、オトコの体にこうはたらく」 「階段を上ると息切れを起こしやすい」あなたへ 心臓機能を強くする! エネルギーの産生効率を左右するCoQ10。よく使う器官や臓器ほど、その影響は現れやすい。心臓は、その代表的な器官。現在のようにサプリメントとして一般的に知れわたる以前から、うっ血性心不全、狭心症、心筋症といった心臓病の治療・改善薬のひとつとしてCoQ10が投与されていたことからも、CoQ10の心臓機能へ影響をおよぼすことがわかる。「年のせい…」とあきらめていた動悸、息切れ、血圧異常などは、心臓のポンプ機能の低下によるものであれば、CoQ10を補給することで、復活させることもできる。 「最近、疲れやすいと感じる」あなたへ 疲労回復力をUPする! 疲れがとれない、眠れない、体がだるい…このような症状が起きるのは、体内で十分にエネルギーが作れないことが、ひとつの原因。前述したように、CoQ10は体のエネルギー源をつくるのにとても重要な物質。日々のちょっとした疲労から、なかなかすっきりしない慢性的な疲労にいたるまで、体力回復に役立ってくれる。 「二日酔いしやすくなった」あなたへ アルコール分解能力を高める! 「二日酔いしやすくなった」「飲めなくなった」という症状は、加齢を含めるいろいろな原因から肝機能が低下している証拠。臓器のエネルギーを高めてくれるCoQ10は肝臓ではアルコール分解能力の向上にも役立つ。習慣的に飲酒をする人なら、CoQ10を補給することで「二日酔いしなくなった」と実感するだろう。また、「二日酔い」状態の体は、全身的にエネルギー産生が低下し、酸化しやすい、弱り目体質になっている。お酒が好きな人は、二日酔い防止だけでなく、飲んだ後の体をケアする意味でもCoQ10を味方につけたい。 「風邪をひきやすい」「風邪が治りにくい」あなたへ 免疫力UPにも貢献する! CoQ10は、細胞膜を酸化から保護したり、免疫細胞や白血球のはたらきを活性化する作用があると言われている。免疫力が低下し、風邪をひきやすかったり、治りにくかったりするとき利用してみては? コラム)CoQ10を摂るタイミングは!? CoQ10は、水に溶けず、油に溶けやすい物質。吸収率を高めるためには、油を使った食事の最中または食後に摂る方が効率がよい。さらに、CoQ10を飲料で摂取した場合、通常のサプリメントで摂取するのに比べ、吸収が早いと言われている。ちなみに、本来体内に存在する物質のため、過剰に摂取しても副作用の心配はないといわれている。 優良なCoQ10を選ぶなら
「コエンザイムQ10」不足の注意信号は、こんな体調に現れる 「コエンザイムQ10(以下CoQ10)」って何?それを知る前に、CoQ10が不足傾向かどうかをチェックしてみよう。以下のチェック項目は、CoQ10の不足を招く原因や、不足している時に出やすい症状の例。あなたの体はどうだろうか? CoQ10不足度チェック □ 30歳以上だ □ 階段を昇ると息切れを起こしやすい □ 最近、疲れやすいと感じる □ 二日酔いしやすくなった □ 風邪をひきやすい、あるいは治りにくい □ 歯周病が気になる □ シワやシミ、肌荒れが気になりだした □ ストレスを感じることが多い □ 太りやすく、やせにくくなった □ 足がむくみやすい チェックの結果はどうだっただろうか。ひとつでも当てはまるようなら、あなたの体のCoQ10をつくり出す能力は衰えている可能性がある。また、あてはまる項目が多いほど、CoQ10不足傾向が強いともいえる。 CoQ10とはいったい何?足りなくなったらどうなるの?そして、補充すると、体にどう良いの?知ってるつもりでよくわからないCoQ10についての基礎知識をおさらいしてみよう。 体のエネルギー作りに欠かせない、CoQ10 CoQ10は、わたしたち人間が生きていくエネルギー源をつくるために、とても重要な物質。エネルギーをつくりだす「酵素」のはたらきを助ける役割をしているため、「補酵素(コエンザイム)」と呼ばれる。コはCo(補う)、エンザイムはenzyme(酵素)だ。ちなみにコエンザイムはCoQ6~CoQ10まであり、ちょっと難しいが数字は化学構造式の鎖の数を表している。 CoQ10の第1のはたらきは、栄養素からエネルギーを作り出すこと。私たちのエネルギーは各細胞の中にあるミトコンドリアで作られているが、CoQ10が減るとミトコンドリアがうまくはたらかなくなりエネルギー不足になりやすいといわれている。 CoQ10の第2のはたらきは抗酸化作用! わたしたちはふだん、呼吸によって「酸素」を体内にとりいれている。ところがこの「酸素」のうち約2%は、体内で「活性酸素」と呼ばれる物質に変化して、わたしたちのからだを攻撃し、ダメージをもたらす。「活性酸素」は、紫外線や大気汚染などのストレス源があると攻撃力を増し、体内の脂質やたんぱく質などを酸化させてしまう。活性酸素によって生じるこのようなダメージを「酸化ストレス」という。この「酸化ストレス」が蓄積すると、動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、がんなど、さまざまな病気が発症するとも考えられてる。 そのような恐ろしい「酸化ストレス」に対抗する物質として注目を集めているのが、CoQ10をはじめ、ビタミンE、ビタミンC、カロテノイド、ポリフェノールなどの「抗酸化物質」だ。 またCoQ10は、自身の抗酸化力に加え、ビタミンEの抗酸化力をも強化する作用もをもっており、体内のサビに対して、ダブルの抗酸化作用があるといわれている。 加齢により減少するコエンザイムQ10 出典:A.Kalen et al.,Lipids,24.579-584,1989 CoQ10が不足する第1の原因といわれているのは「加齢」。CoQ10は体の中で生合成できる物質だが、作り出せる能力は、20~25歳をピークに低下することがわかっている。 CoQ10は、イワシや牛肉、豆製品などの食品からも補うことができるが、食物から摂取できる量は、一日当たりおよそ4.2~7.2mg。成人の摂取量のめやすとされている約30~60mgには遠く及ばない。手軽に摂取でき効率面でも優秀なサプリメントで、できるだけ積極的に補給を心がけたい。
山口武兼先生 2003/5/12~25にhealthクリックで行った「認知症に関するアンケート」に寄せられたたくさんの意見や質問の中から、いくつかをピックアップ。少しでも皆さんの声に応えられればと、専門医である東京都立豊島病院・脳神経外科部長の山口武兼先生に協力してもらい、「治る認知症」を知ることの大切さや、認知症を家庭や社会の中で受け入れ、ともに生きることの意義について、暖かいアドバイスをいただいた。 ※お寄せいただいた質問は紙面の関係上、一部編集しております。ご了承ください。 目次 Q 認知症は治らないと言いますが、本当に治すことができない病気なのでしょうか? Q 認知症は遺伝すると聞いたんですが、本当なんですか? Q 認知症の初期症状というのはどのようなものなのでしょうか? Q 認知症の予防策は本当ですか? Q 父が初期の認知症のようなのですが、病院が嫌いで診察を受けることができず困っています。 Q 介護する人がまわりにあまりいないので、どのようにしたらよいか今からとても心配です。 山口先生とのお話を終えて Q 認知症は治らないと言いますが、本当に治すことができない病気なのでしょうか?(40代・男性) 「認知症」とは、正常に発達した知能が何かの原因で低下した状態のこと。その原因にはさまざまなものがありますが、なかには適切な治療によって治るものもあります。 そのひとつが特発性正常圧水頭症。これは脳や脊髄の表面を循環している脳脊髄液の流れが悪くなって溜まり、脳室が広がってしまうもので、外科手術によって治療することができます。 手術で治療できる認知症!?特発性正常圧水頭症 ほかには、脳腫瘍による認知症や代謝障害による認知症も治療の余地があります。 残念ながら、患者数の比較的多い、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症については、今のところ治すために有効な治療法はありません。ただ最近では、せん妄(とくに夜間に多く、急に興奮したり訳のわからないことを言ったりする)や徘徊などを落ち着かせる効果がある薬がたくさんできています。薬で認知症の症状を上手にコントロールして、それなりに落ち着いた日常生活を送っているご家族も増えてきました。 Q 認知症は遺伝すると聞いたんですが、本当なんですか?(40代・女性) アルツハイマー病の場合は遺伝する可能性があります。ただしこれは、解剖の結果、脳に特有の所見が認められて「アルツハイマー病」と確定された場合にだけ言えることです。「アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病のような認知症)」の場合は、遺伝するかどうか、はっきりしたことはわかりません。 脳血管性認知症は、その根本に生活習慣病があります。この生活習慣病が、糖尿病など遺伝傾向があるとされているものであれば、結果的に「認知症は遺伝と無関係ではない」と言えるかもしれませんね。 特発性正常圧水頭症は遺伝とは関係ありません。 なぜ認知症になるの? Q 母親がアルツハイマーと水頭症の混合の認知症ですが、同居している父が気が付かず病院に行くのが遅れたため手術もできなくなってしまい毎日の介護が大変です。認知症の初期症状というのはどのようなものなのでしょうか?(30代・女性) 認知症は、早期に発見してできるだけ早く適切な医療やサービスを受けることが大切ですね。認知症の症状やその進行の度合いはさまざまですが、とくに特徴的な症状を挙げてみましょう。 アルツハイマー型認知症の場合は、活発に動き回る傾向があります。 特発性正常圧水頭症の場合は、なんとなくいつも「ぼーっとしている」ようになり、活動性が低下します。転びやすい、小刻みに歩くなどの歩行障害や、尿失禁があり、これら三つの症状が比較的短い期間に現れてくることがあります。 医者などに相談する場合は、これらの症状にあわせて、本人や家族にとって日常生活をする上でどんなことに困っているのか、何が問題なのかを整理しておくとよいでしょう。 認知症の進行 ■軽度 記憶障害 昔のことは覚えていても現在のことは忘れてしまう。 食事がすんだことや物を片付けたことを忘れて騒ぐ。 見当識障害 「今がいつなのか」「ここはどこなのか」「自分は誰なのか」がわからなくなる。 見当識障害があるかどうかは認知症の重要な判断材料。迷子になったり家族がわからなくなったりする。本人の不安は強い。 ■中程度 思考・判断力障害 思考力や判断力の低下。 計算ができない、料理ができない、道具が使えないなどの症状が現れる。日常生活にも介護が必要な状態。 ■高度 言語障害・失行・感覚障害 失行とは体は動かせるのに今までできていた行為ができなくなること。さらに味覚、嗅覚、痛覚などの知覚にも障害が現れる。 食事やトイレなど、生活全般に介護が必要な状態。動作が鈍くなり、体も弱ってくる。 Q 認知症の予防策として「手や脚を動かすようにする」「魚を食べる」「ある種の金属の食器などを避ける」などが有効だと聞いたことがありますが、本当ですか?(70代・男性ほか多数) アルツハイマー病については、予防できるかどうかは未知数と言わざるを得ません。 脳血管性認知症の予防は、生活習慣病の予防とコントロールが基本になります。肥満や運動不足、ストレスを避け、高血圧や糖尿病、高脂血症があれば適切にコントロールしましょう。ご質問の中の「魚を食べる」というのは、生活習慣病予防のために有効な手段と言えますよね。 特発性正常圧水頭症は原因がわからないので、予防策もわかりません。 一般に「脳に刺激を与えると認知症にならない」と言われることがあります。でも脳を刺激すれば認知症にならないとは言い切れません。ただし、脳を使うこと自体は悪いことではありませんし、高齢になってからも充実した人生を送るために、趣味を持ったり体を動かしたりするのはむしろよいことですから、積極的に楽しんでください。 Q 父が初期の認知症のようなのですが、病院が嫌いで診察を受けることができず困っています。どうすればよいのでしょうか?(50代・女性) とにかく「かかりつけ医」を持つことが大切です。高齢者になると、高血圧や高脂血症など何らかの問題を持っていて通院している方も多いはずです。そういう所があるなら、まずはその医師に相談してみてください。いつも通院している所なら相談しやすいのではないでしょうか。 かかりつけ医がいない方は、近所で在宅医療に積極的に取り組んでいる診療所を探すとよいでしょう。在宅医療に積極的に取り組んでいる地域の医師なら、往診もしてくれます。かかりつけ医は、地域の医師会でも紹介してくれますので利用してください。 外科治療などでは治らない認知症の場合は、病院に入院させておくのではなく、いずれは外来で薬などで治療を受けながら自宅で生活することになります。そのためにも、遠方の有名大病院ではなく、地域に密着した医院や診療所、クリニックなどがよいのではないでしょうか?かかりつけ医と相談し、CTやMRIなどの基本的な検査を受け、必要があれば大きい病院を紹介してもらいましょう。 Q 将来、夫婦のどちらかが認知症になった場合、子どももなく、介護する人がまわりにあまりいないので、どのようにしたらよいか今からとても心配です。(40代・女性) たとえ家族が認知症になっても、家族だけで抱え込む必要はありません。反対に認知症で困るから病院や施設に閉じ込めておけばいいというのも間違っていると思います。 認知症は、治療可能なものを除けば「病気」というより「状態」です。その状態を受け入れつつ、社会の中でみんなとともに暮らすという考え方が大切なのです。社会は健常者だけのものではありません。いろいろな人が混在して生活できる社会こそが望ましい社会のあり方なのではないでしょうか。介護保険も、認知症などの問題を抱えている人や家庭を、地域全体でみていこうというのが基本になっています。 かかりつけ医と相談しながら、適切な医療を受けつつ、訪問看護やホームヘルプ、デイケアやグループホームなど、介護保険を始めとした地域のさまざまなシステムをフル活用してください。 介護保険制度はまだ発展途上です。よりよい制度にするためには、利用者がどんどん希望やアイディアを出すことも大切だと思いますよ。 山口先生とのお話を終えて 認知症全体に占める割合は少ないとはいえ、「認知症の中には、特発性正常圧水頭症などの治るものもある」という知識を持つことで、皆さんの認知症へのイメージも少し違ったものになったのではないでしょうか? 過去には見落とされていた可能性もある病気はたくさんあるでしょう。特発性正常圧水頭症もそのひとつかもしれません。今、日本は超高齢社会を迎え、さまざまな制度が見直されると同時に、自分たち自身でもさまざまな選択をしていかなくてはいけません。 そして、山口先生が最も強調されていたのは「いろいろな人が混在して生活できる社会」の実現です。私たちも、認知症や病と上手に付きあっていけるようになりたいものです。 公開日:2003年8月18日
認知症は、自分だけでなく家族にとっても毎日の生活に大きな影響を及ぼすもの。不安ばかりが先立ってしまいがちだが、みんなは「認知症」をどのように考えているのだろう?healthクリック「認知症に関するアンケート」より、結果を紹介する。 アンケートに寄せられた疑問・質問を専門医にインタビュー:「どうすればいいの?認知症Q&A」 目次 認知症に関するアンケート Q あなたは「認知症」に対する不安がありますか? Q あなたはご家族や身近な方が「認知症」になられたら、まずどうされると思いますか? Q あなたは「手術により治る可能性のある認知症」をご存知ですか? アンケート結果まとめ 認知症に関するアンケート 2009年7月に厚生労働省が発表した日本人の平均寿命。女性は86.05歳、男性は79.29歳と過去最高となった。長生きになった一方で、その分、何かの病気にかかる高齢者が増加しているのも事実。中でも認知症は、自分だけでなく家族にとっても毎日の生活に大きな影響を及ぼすもの。不安ばかりが先立ってしまいがちだが、実際、みんなは「認知症」をどのように考えているのだろう? 今回は「認知症に正しい理解を」の第2弾として、2003/5/12~25にhealthクリックで行った「認知症に関するアンケート」結果(一部抜粋)を紹介。みんなで一緒に認知症と向き合っていこう! ■認知症アンケートについて 実施期間 2003年5月12日~5月25日 回答数 2,038 性別 男性40%、女性58%、不明2% 年代 10代3%、20代19%、30代37%、40代26%、50代9%、60代以上5%、不明1% 「認知症に関するアンケート」には、多くの方々にご回答をいただきました。ご協力いただきました皆様には、心より御礼申し上げます。 healthクリック スタッフ一同 Q あなたは「認知症」に対する不安がありますか? 認知症に対する不安が「すごくある」または「ある」と答えた方が全体のおよそ60%。回答者の意見をみると、実際に自分の親や祖父母などの肉親に認知症の方がいる人は「認知症が遺伝するなら自分も?」「介護する家族は大変」など、具体的なことを心配しているようだ。また実体験はないという人たちからも「他人事ではない」「高齢化社会の今、誰にでも起こりうること」といった意見が多く寄せられた。 その一方で、残りの40%は「不安はない・あまりない」と答えている。「まだ認知症になる年代ではないから」「実感がない」「身近でない」「考えないようにしている」という意見も少なくなかった。回答者の大半が30代~40代であることを考えると、「認知症は直接的、間接的に自分自身のことでもある」とは考えられないのも無理もないことかもしれない。 Q あなたはご家族や身近な方が「認知症」になられたら、まずどうされると思いますか? ●かかりつけの医院で受診…609人 ●専門の病院で受診…………1,081人 【内訳】 ・地域の精神科……………98人 ・地域の神経内科…………115人 ・地域の脳神経外科………148人 ・総合病院の精神科………111人 ・総合病院の神経内科……170人 ・総合病院の脳神経外科…296人 ・大学病院の精神科………25人 ・大学病院の神経内科……34人 ・大学病院の脳神経外科…84人 ●受診せずに、家族で在宅看護する…41人 ●受診せずに、老人介護施設などを利用する…23人 ●分からない…239人 ●無回答………45人 計…2,038人 最も多かったのは「かかりつけの医院で受診(30%)」、次いで「総合病院の脳神経外科で受診(15%)」、さらに「総合病院の神経内科で受診(8%)」と続いている。しかしよく見ると、受診する科は何であれ「総合病院や大学病院で受診」と答えた人の合計が35%(720人)にのぼることがわかる。 病気の始まりを見逃さず、できるだけ早く病院を受診することは、他の病気同様、認知症でも重要なこと。「特発性正常圧水頭症」などの治療可能な認知症もあるだけに、「受診せずに家庭などで対処する」のではなく、必ず医療機関を訪れたい。しかしながら、いざというとき、どんな病院のどの科を受診すればよいのかとなると、判断が難しいのも現実だ。 Q あなたは「手術により治る可能性のある認知症」をご存知ですか? 「前から知っていた」という人はわずかに10%、半数が「今回初めて知った」、37%が「知らない」と答えている。healthクリックや今回のアンケートを通じて、多くの人が「手術で治る認知症がある」ことを知ってくれたことは、とてもうれしいことだ。 認知症の原因となる病気のうち、手術で治る可能性があるものは決して多くはない。しかしその可能性が多少なりともある以上、認知症かなと思ってもそのまま放置したり、「少し様子を見よう」と受診を長引かせては、みすみす治療や改善の機会を逃す結果になってしまうかもしれない。 回答者の意見にもあったように、認知症は「いずれ直面する可能性がある身近な問題」だ。何も知らないままでただ漫然と不安に過ごすよりも、認知症について情報を集め、理解を深めることで、心身の準備をしておいた方がよいのではないだろうか? アンケート結果まとめ アンケートに寄せられた意見はさまざま。最も多かったのは「自分や家族が認知症になる可能性も捨てられない」「家族も自分も認知症になりたくない」「介護や経済的な負担、生活がどうなるか心配でならない」といった漠然としたものだった。 さらに、「認知症は予防できるか」「何をしたら認知症にならないで済むか」といった質問も多く、「手を使う、趣味を持つ、魚を食べるなどの対策は認知症の予防に有効?」といった具体的な対策にも関心が高かった。また、「物忘れと認知症は違う?」「認知症の初期症状とは?」といった質問も。「認知症の始まりだったとしても、家族が病気と気づかず、結果として対応が遅れるようなことがあったら困る」というのは、私たちにとって現実的な問題だ。 「認知症になったら生きている意味がない」「延命拒否や尊厳死、安楽死などについて考えさせられる」などの意見もあり、認知症が“人の尊厳”という難しい問題に直面しなければならない病気であることを再認識させられる。これに似た意見として「認知症は、家族のあり方を考えさせられる病気である」というものもあった。高齢化が進む現在、「認知症」は、家族だけではなく、「社会のあり方」をも考えさせられる病気と言えるだろう。 「認知症」という言葉自体の知名度は、今やかなり高いものになったが、認知症を起こす病気や症状、予防や治療のこととなると、案外知らないことも多いもの。これを機に、認知症について正しい知識を身につけておこう! 公開日:2003年8月18日
最近、注目を集めているのがトマトに含まれるリコピン。リコピンの健康効果とリコピンが凝縮されたトマトジュースの機能性のよさを紹介。トマトジュースをさらに楽しむレシピも掲載。 目次 トマトの赤は「リコピン」の赤 加工用トマトは生食用に比べてリコピンが豊富 栄養がぎゅっとつまったトマトジュース トマトジュースをアレンジしてみよう! サワースウィート レッドアイ お手軽ツナリゾット トマトの赤は「リコピン」の赤 毎日の食卓でおなじみのトマト。みずみずしく鮮やかな赤は、見た目にも食欲をそそる色だ。この赤色は、カロテノイドと呼ばれる色素の一種「リコピン」が発する色なのだ。 カロテノイド系の色素のなかで栄養効果の高い物質としては、ベータカロテンが最もよく知られている。これは、ベータカロテンに体内でビタミンAに変わるプロビタミンA活性があるため。ビタミンAには、粘膜を健康に保ったり、体の抵抗力を高めてがんを予防してくれるという特長がある。 一方、リコピンには、ベータカロテンのようなプロビタミンA活性がないため、栄養効果的な観点からはあまり注目されてこなかった。しかし、最近になってリコピン自身にがんなどの活性を抑える抗酸化作用があることが明らかになり、子宮がん、乳がん、肺がんの抑制効果はベータカロテンを上回るという実験データも発表された。 また、前骨髄性白血病細胞の成長や悪玉コレステロールを抑制する効果もわかっており、さらには抗アレルギー効果も期待されるなど、リコピンの知られざる機能が次々に明らかになってきているのだ。 加工用トマトは生食用に比べてリコピンが豊富 生食用のトマトを搾ってもうすピンク色にしかならないのに、市販のトマトジュースは鮮烈なまでの赤色をしていることに驚いた人も多いだろう。「トマトジュースには着色料が入っているのでは?」と思う人もいるようだが、実はこの鮮やかな赤こそ、まぎれもないリコピンの色なのだ。 トマトジュースに使われるトマトは、加工用に栽培されている赤系トマトと呼ばれるもので、生食用のピンク系トマトに比べると、リコピンの量が断然豊富だ。 ■加工用トマトはリコピン量が生食用のおよそ3倍 出典:カゴメ(株)総合研究所分析データ 栄養がぎゅっとつまったトマトジュース トマトに含まれる栄養はリコピンに限らない。胃を丈夫にするビタミンUや血圧を下げるガンマアミノ酪酸(GABA)、抗がん作用をもつとされるクロロゲン酸やケルセチン、また血清コレステロール濃度を下げる食物繊維も含まれている。もちろん生で食べるのもよいが、ジュースなら、効率よく手軽にトマトの栄養を摂りいれることができるのでオススメだ。 ちなみに、トマトジュースはカロリーも低いので、夏のこまめな水分補給にも適している。また、トマトの独特な酸味には胃酸の出過ぎによるむかつきをやわらげる効果があるため、二日酔いに試してみたい飲み物なのだ。 トマトジュースをアレンジしてみよう! トマトジュースはそのまま飲んでもおいしいけれど、ちょっと手を加えるだけで、おしゃれなカクテルやちょっとした料理に早変わり。いつものトマトジュースとはちょっと違った味になるので、トマトやトマトジュースは苦手という人も、ぜひ試してみて欲しい。 サワースウィート ■材料 トマトジュース(食塩無添加)160g 1缶、バーモント酢(5倍希釈) 大さじ2杯 ※りんご酢で代用する場合は大さじ1杯程度 ■作り方 よく冷えたグラスにトマトジュースを注ぐ バーモント酢(もしくはりんご酢)を加え、軽くかき混ぜる お好みでタイムの葉などのハーブを加えてできあがり ■試してみました 口元にもってきた瞬間に、バーモント酢の甘酸っぱい酸味がほわ~んと鼻先に。トマトと酢のダブル健康効果で、夏バテ気味のときに飲むとよさそうですね。少し甘くなるので、味に変化を加えたいときにもオススメです。 レッドアイ ■材料 トマトジュース190g 1/2缶、ビールまたは発泡酒 100ml ■作り方 よく冷えたグラスにトマトジュースとビール(または発泡酒)を同時に注ぐ マドラーなどで軽くかき混ぜる お好みでカットしたレモンやタバスコを加えてできあがり ■試してみました ビア・カクテルとして定番のレッドアイですが、ビールとトマトジュースなんて本当においしいの?と思っていました。これが意外においしかったのでちょっとびっくり。ビールの苦味がトマトジュースの酸味とマッチして、まろやかな味わいでした。ちなみに、「レッドアイ」は二日酔いの時の赤い目を指し、迎え酒として開発されたカクテルだという話も。 お手軽ツナリゾット ■材料 トマトジュース190g 1缶、ツナ缶 80g、マッシュルーム缶(スライス) 小1缶、ご飯 200g、にんにくみじん切り 1/2片、オリーブオイル 大さじ1、塩、こしょう 適量 ■作り方 オリーブオイルとにんにくみじん切りを弱火にかける 香りが出たら軽く油を切ったツナを加える マッシュルームとトマトジュースを加える ひと煮立ちしたらご飯を加え、塩・こしょうで味を調える お好みでパルメザンチーズ、パセリをふりかけてできあがり ■試してみました トマトジュースでこんなに簡単にリゾットができるとは!トマトの味がしっかり生きていて、本格的なイタリアンリゾットになりました。ご飯を除いてトマトスープにしても楽しめそうですね。しかも材料費が安いので、家計にもヘルシーなのがうれしいです。 出典:レシピ提供:カゴメ(株) 公開日:2003年8月4日
コエンザイムQ10(CoQ10)には、老化防止、体力向上、美容などの効果が期待できる。また、コエンザイムQ10を補給すると心臓ポンプのはたらきがよくなり、心疾患の改善にも効果が期待できたという。そのほか、アルツハイマーやパーキンソン病、がんなどの予防・改善にも期待大。 目次 コエンザイムQ10で老化を防止! 抗酸化作用にも頼もしい存在 まだある!コエンザイムQ10のメリット 世界で初めてコエンザイムQ10の原料供給に成功したのは日本の会社だった! コエンザイムQ10で老化を防止! 心臓は血液を全身に送るポンプのようなはたらきを持っており、1日24時間休みなくはたらき続けている。コエンザイムQ10は特に心臓で必要とされる補酵素であり、コエンザイムQ10が不足すると心臓の機能が低下してしまう。その結果、足のむくみ、動悸、息切れ、疲労感、低血圧、心疾患の悪化などさまざまな疾病を引き起こすと考えられている。 心臓を強くすることは老化防止にもつながる。これから日本が迎える高齢化社会に対応するためにもしっかりコエンザイムQ10を摂取しよう。 抗酸化作用にも頼もしい存在 ■ビタミンEの酸化を防ぐCoQ10 資料提供:日清ファルマ株式会社 「活性酸素」が体にダメージを与える存在であることはご存知の方も多いだろう。 ストレスや喫煙、過度の飲酒などによって体内で生成される活性酸素は不安定で攻撃的。これが体内で適切に処理されないと、それが引き金となって心筋梗塞や脳卒中、がんなどの生活習慣病を引き起こしてしまう。この活性酸素によって体が傷つけられるのを防ぐ作用を抗酸化作用と呼ぶ。 抗酸化作用のある物質としてはビタミンEやビタミンCなどが有名だが、実は、コエンザイムQ10も強力な抗酸化物質。ちなみに、体のサビの原因でもある脂質過酸化物の生成が、コエンザイムQ10が存在する間は抑えられるという研究結果も報告されている。病気の予防や老化防止にも役に立つとの期待大である。 まだある!コエンザイムQ10のメリット エネルギーを作り出すのに必要なコエンザイムQ10。ほかにもまだまだメリットがたくさん! 肌の老化をストップ コエンザイムQ10は特に女性には嬉しい美容効果がある。 皮脂などの皮膚のオイル成分が老化や紫外線などの影響により酸化すると「過酸化脂質」になり、シミやシワ、乾燥肌などの皮膚の老化現象が起こる。コエンザイムQ10には、この過酸化脂質をもとの物質に還元し、さらにビタミンEとともに過酸化脂質の発生を抑えてくれるはたらきがあるのだ。 また、アメリカでは脚のむくみの解消や脚の部分やせができるとして、女性に非常に人気がある。コエンザイムQ10は脚の動脈を広げて血流をよくすることで、脚の水分代謝をよくしむくみを解消し、下半身の脂肪を燃焼させると言われている。 コエンザイムQ10はお肌がきれいになってさらにダイエットもできる、スグレモノなのだ。 体力向上!疲れ知らずになれる 前述の通り、コエンザイムQ10は、体内でエネルギー産生に大きく関わっている。と言うことは、コエンザイムQ10が不足すれば、当然エネルギーも減り、疲れやすい体になってしまう。また、摂取した食物はきちんと代謝し、エネルギーに変換することが必要なのだ。 慢性的な疲労でお悩みなら、コエンザイムQ10を摂取してみてはどうだろうか。 病気の改善・予防に期待 もとは心疾患患者のための医薬品でもあったコエンザイムQ10。補給すると、心臓ポンプのはたらきが高まり、心不全や高血圧、脚のむくみなどの症状が予防・改善すると考えられている。 また、パーキンソン病やアルツハイマーなど脳と関連した疾患は、活性酸素が神経組織にダメージを与えることが原因と考えられるため、コエンザイムQ10の補給で脳疾患を予防するとも考えられている。 そのほか、がんの予防や改善、肥満の改善、免疫系の強化など、さまざまな疾病の予防や改善に期待されている。 世界で初めてコエンザイムQ10の原料供給に成功したのは日本の会社だった! 1957年にアメリカの研究者たちによってコエンザイムQ10がはじめて発見され、翌年から本格的な研究が始まった。その研究のために、大量のコエンザイムQ10が必要となり、その要望にこたえて世界初の量産化に成功したのは日本の会社だ。それが、日清製粉株式会社の医薬部門(現在の日清ファルマ)だった。製粉会社と医療品原料、ちょっと遠いようだが、実は同社の創業者が健康増進に強い関心を持ち、ビタミンの研究を続けていたのだとか。またエーザイ株式会社との共同研究を重ねた結果、世界初のうっ血性心不全の医療用医薬品を発売。 このように、コエンザイムQ10の研究と開発には日本の企業が深く関わっていたのだ。 公開日:2003年3月3日
「最近どうも忘れっぽくて」…もしかしてこれって認知症の始まり?加齢による物忘れと認知症、似ているようで違います。認知症は段階的に進行し、記憶障害から始まって知的能力が全体的に低下してしまう、脳の病気なのです。 (監修:多摩南部地域病院・副院長 和智明彦先生) 目次 物忘れ=認知症? 増え続ける認知症 認知症の進行 認知症に伴う症状 物忘れ=認知症? 「最近、なんだか忘れっぽくなった」「新しいことを覚えにくくなった」…もしかしてこのまま呆けてしまうのでは!?と自分自身や家族について一瞬ヒヤリとすることはないだろうか? 人間、誰でも歳をとると多少の物忘れが出てくるし、新しいことを覚えるのも昔のように簡単にはいかなくなるもの。これは加齢に伴う生理的な変化による物忘れで、いわゆる「認知症」とは違う。脳そのものの老化は40歳を過ぎた頃から始まると言われているが、老化の速度や程度にはかなり個人差がみられる。一般的には50歳前後で物覚えが悪くなったり、一度会った人の名前を思い出しにくくなったり、物を取りに行って何を取りに来たのかわからなくなったりすることがあるが、なかには80歳をすぎても好奇心がいっぱいで物忘れをしにくい、脳の老化の目立たない人もいる。 一方認知症は、一度獲得した知的能力が脳の後天的な変化により著しく低下した状態のこと。病状が進行するにつれて判断力なども低下し、日常生活に支障をきたすようになるが、一番大事なポイントは認知症は脳の障害によって生じる「病気」であるということだ。もちろん歳をとれば誰にでも起こりうることだし、一般的な病気と同様、適切な治療を受ければ改善される症状も多い。いたずらに認知症を怖がらず、まずはきちんとした知識をもつことが大切だ。 老化にともなう物忘れ 認知症による物忘れ 原因加齢による生理的な脳の変化による脳の病気による 物忘れの範囲体験の一部分を忘れる体験したことの全体を忘れる 判断力判断力の低下は見られない判断力の低下を伴う 自覚症状忘れっぽいことを自覚し、思い出そうとする忘れたことを自覚しなくなる 学習能力新しいことを学習する能力は残っている新しいことは覚えられない 日常生活ほぼ差し支えない支障をきたすようになる 進行状況少しずつしか進行しないどんどん悪くなってゆく 増え続ける認知症 2009年時点で65歳以上の高齢者は総人口の22.7%を占め、そのうちのほぼ7~8%の約220万人が認知症の患者にあたるという。総人口に占める高齢者の割合が年々増加していくのと共に、認知症の患者の割合も増加し、2010年には226万人、2020年には292万人にまで増えることが予想されている。 本格的な超高齢社会を生きるにあたり、親の、あるいは自分自身の問題として、認知症という病気について是非知っておきたい。 認知症の患者さんの推移総人口・構成割合推計 出典:特発性正常圧水頭症iNPH website 認知症の進行 認知症は記憶障害から始まって知的能力が全体的に低下する病気。病気によって違いがあるが、大体次のように進行する。 軽度 ●記憶障害 昔のことは覚えていても現在のことは忘れてしまう。 食事がすんだことや物を片付けたことを忘れて騒ぐ。 ●見当識障害 「今がいつなのか」「ここはどこなのか」「自分は誰なのか」がわからなくなる。 見当識障害があるかどうかは認知症の重要な判断材料。迷子になったり家族がわからなくなったりする。本人の不安は強い。 中程度 ●思考・判断力障害 思考力や判断力の低下。 計算ができない、料理ができない、道具が使えないなどの症状が現れる。日常生活にも介護が必要な状態。 高度 ●言語障害・失行・感覚障害 失行とは体は動かせるのに今までできていた行為ができなくなること。さらに味覚、嗅覚、痛覚などの知覚にも障害が現れる。 食事やトイレなど、生活全般に介護が必要な状態。動作が鈍くなり、体も弱ってくる。 認知症に伴う症状 また、認知症は介護の大変さから徘徊、過食、作話などばかりが強調され、必要以上に恐れられているが、中心となる症状は、あくまでも物忘れから始まる知的能力の低下。認知症に伴いやすい問題行動や精神状態は本質的な症状ではなく、随伴症状に過ぎない。こうした随伴症状が出ることをあらかじめ知っておけば、認知症の患者のケアが少し楽になるのではないだろうか。 徘徊 作話 過食・異食 不安・焦燥 失禁・不潔行為 抑うつ・意欲低下 攻撃的行動 夜間不眠 性的異常行動 覚醒リズム障害 夜間せん妄 妄想・幻覚・錯覚 せん妄とは意識がぼんやりした状態で話したり行動したりすることで、周囲からは奇妙な言動に見える。急に大声を上げて騒いだり、徘徊したりすることも、せん妄が原因である場合が多い。妄想は現実にありえないことを確信している状態のことで、「物を盗られた」「浮気をしている」など、認知症の初期段階に見られることが多い。 公開日:2003年1月20日
和智明彦先生 認知症や特発性正常圧水頭症についての素朴な疑問を、多摩南部地域病院・副院長・和智明彦先生にうかがってきた。和智先生は実際に現場で治療にあたっているお医者さん。認知症の患者を抱えたとき、きっと役立つアドバイスをしてくれた。 目次 Q. 認知症は予防できるのですか? Q. 年々認知症が増加していることの原因について、寿命が延びたこと以外に何か理由があるとお考えですか? Q. 身近に認知症の患者が出た場合、何科を受診すればいいのでしょうか? Q. 特発性正常圧水頭症かどうかの見極めが難しいと聞きますが…? Q. 水頭症のシャント術について、髄液を腹腔や心房に流してもなぜ大丈夫なのですか? Q. 水頭症のシャント術について、1度手術をすれば、再手術の必要はないのですか? Q. 実際に認知症の診察を受ける際、どんなことを伝えたらいいのですか?また、心構えなどを教えてください。 Q. 認知症は予防できるのですか? A. 難しい質問です。ただ、認知症という病気の根本に「気力がなくなってくること」があるのだとしたら、新しいものにいつも挑戦してみたいという旺盛な好奇心や、これだけは続けるぞ!といったある種の頑固さみたいなものが必要なのかもしれませんね。また、脳血管性認知症は生活習慣病を回避することでリスクを軽減することができます。 Q. 年々認知症が増加していることの原因について、寿命が延びたこと以外に何か理由があるとお考えですか? A. 認知症は日常生活を普通に送っていく能力が全体的に低下してしまう病気です。この能力は人間関係をきちんと築くことや、社会環境に適応できるかといったことも含まれますが、日常生活を普通に送ることができる範囲は時代や環境と共に微妙に変化していくものです。例えば現在、コンピュータがどんどん日常生活にもなだれこんできていて、うまく操れない高齢者は次第に取り残されていってしまう…。現在の日本は昔に比べて社会環境の変化がとても急激な時代。変化に対応しきれない高齢者にとっては厳しい環境です。こうしたことも認知症が増える原因のひとつと考えられます。 Q. 身近に認知症の患者が出た場合、何科を受診すればいいのでしょうか? A. 多くの場合はまず内科を訪れるようです。CTスキャン検査は最初の段階ですませておきましょう。脳梗塞などの診断に必須です。ほとんどのケースはこの段階で止まってしまうのですが、さらに神経外科も一度は受診されてみてはどうでしょうか?例えば、初診でCTを見ながら「加齢による脳萎縮です」「脳萎縮や脳梗塞があります」などと診断されても、患者さんの状態がぼーっとした気力のない感じで話し方もゆっくりだったり、最初の一歩を踏み出しにくいといった歩行障害が見られるようでしたら外科の対象となる場合も考えられます。実際、外科に移して改善される患者さんも多いのです。 Q. 特発性正常圧水頭症かどうかの見極めが難しいと聞きますが…? A. 特発性正常圧水頭症に現れる歩行障害、認知症、尿失禁といった症状は、脳梗塞やパーキンソン病でも見られます。CTの画像診断で脳室が拡大しているかどうか、髄液循環の障害があるかどうか、腰椎から髄液を30ml採取し、翌日に歩くのがラクになるかどうかなどが特発性正常圧水頭症診断の決め手と考えられます。 Q. 水頭症のシャント術について、髄液を腹腔や心房に流してもなぜ大丈夫なのですか? A. 脳が浸されている脳脊髄液は、もともとは血液の一部からできたもので体の中で一番きれいな液体(99%は水:無菌)です。髄液は脳表や脊髄周囲を通って最終的には静脈から心臓に戻っていきます。従って、シャント術で腹腔に流してもそこから髄液は間接的に血管内に吸収されますし、もちろん直接心房に流しても問題ないわけです。 Q. 水頭症のシャント術について、1度手術をすれば、再手術の必要はないのですか? A. バイパスに使う管は直径2-3mmの細いものなので、まれに髄液の浮遊物によって詰まることもありますが、特発性正常圧水頭症の場合であればほとんど1回で大丈夫でしょう。また、バルブの性能やチューブの耐久性も向上していますので、それらの劣化についてはそれほど心配はないと考えられます。 シャント術の難しいところは、どれだけの髄液を流出させるかが個人によって微妙に違う点です。最近では一人一人に適した流量に微調整できる圧可変式シャントシステムが主流で、これにより合併症が減少し治療成績が良くなりました。近い将来、こうした問題もマイクロチップセンサーなどの開発でさらに簡単に調節できるようになるかもしれません。 Q. 実際に認知症の診察を受ける際、どんなことを伝えたらいいのですか?また、心構えなどを教えてください。 A. 患者さんのご家族の方は、やはり細々とした日常生活の変化について訴えられる場合が多いのですが、診察では以下のことを整理してお医者さんに伝えることがスムーズな診療の第一歩となると思います。 ●いつ頃から「おかしいな」と思い始めたか ●そのきっかけは、どんな事件だったのか(風邪をひいた、転倒した、歩行困難が始まったなど) ●症状に進行が見られるのか。進行がある場合、そのスピードは?(何ヵ月単位で悪化しているか?) ●身体的な活動性についてはどうか(徘徊があるかどうか、だんだん動けなくなってきているのかなど) 認知症もいろいろな原因が重なって起こる病気で、治療方法も少しずつ悪い原因を外していくというほかの病気の治療と同じです。シャント術はいくつかある認知症の原因のひとつの解決策。認知症の様々な症状のすべてが一気に治ると考えるより、例えば歩行障害が改善されれば患者さんの生活の質(QOL)が向上するかもしれない。介護が楽になるかもしれない。そんなふうに捉えてみてはどうでしょうか。 「認知症と外科という結びつきはなかなか出てこないものですが、例えばセカンドオピニオンとして外科を選ぶという考え方もありますよ」と和智先生。認知症とひとくちに言ってもその原因・症状はさまざま。治療できる認知症として特発性正常圧水頭症の可能性もあることを、是非心に留めておきたい。 公開日:2003年1月20日
水頭症とは頭蓋骨の中の脳脊髄液(のうせきずいえき)が何かの理由により流れが悪くなってたまり、脳を圧迫することで起こる病気。高齢者がかかりやすいタイプの水頭症で、歩行障害・認知症・失禁といった症状を伴いますが、近年手術によって症状が改善されると注目されています。 (監修:多摩南部地域病院・副院長 和智明彦先生) 目次 水頭症ってどんな病気? 高齢者がかかりやすい「特発性正常圧水頭症」 進歩し続ける診断技術 認知症を治療する手術「シャント術」とは? 水頭症ってどんな病気? 脳は頭蓋骨の中で脳脊髄液(のうせきずいえき・以下髄液とする)という液体に浸かっている。髄液は脳内の腔(脳室)で毎日400-500ml作られ、脳や脊髄周囲を循環してから主に頭のてっぺんの静脈系へ吸収される。従って、1日に2、3回入れ替わることになる。水頭症とは、何かの原因でこの髄液循環がとどこおることで頭蓋内に髄液が過剰にたまり、脳室が拡大する状態を指す。 正常 水頭症 水頭症には2つのタイプがある。 ●非交通性水頭症 脳脊髄液が生産される脳室系から脳表(くも膜下腔)に至る間のどこかで髄液の流れがブロックされた場合に起きる。脳圧が高くなり、頭痛・嘔吐・意識障害などの症状が見られる。脳腫瘍、脳出血に合併する水頭症や小児水頭症などに多い。 ●交通性水頭症 脳脊髄液が脳室から出た後、くも膜下腔などで髄液の循環・吸収が悪くなり起きる。比較的ゆっくりと髄液が脳室にたまるため、必ずしも脳圧が高くならない場合がある。歩行障害・認知症・尿失禁を主な症状とする。正常圧水頭症はこのタイプで、さらに「特発性正常圧水頭症」と「続発性正常圧水頭症」とに分けられる。 高齢者がかかりやすい「特発性正常圧水頭症」 正常圧水頭症の多くは、くも膜下出血や髄膜炎後に髄液の流れが悪くなって起こる「続発性正常圧水頭症」に分類される。これらは先行する病気が明らか(くも膜下出血・頭部外傷・髄膜炎など)なので、的確に診断され、脳神経外科手術(シャント術)によって劇的に改善する場合が多い。 それに対し、「特発性正常圧水頭症」は原因が特定されないにもかかわらず、脳室が拡大し、余分な髄液が徐々にたまっていく病気を指す。歩行障害・認知症・尿失禁が3大徴候だ。 ●歩行障害 小刻みに歩く、すり足で足が上がらない、最初の一歩が踏み出せない、両足を少し開き気味で歩くなど(パーキンソン病や脊髄の病気と間違われやすい)。 ●認知症 一日中ボーっとしている、集中力がなくなる、呼びかけへの反応が鈍くなる、軽度の物忘れ、表情が乏しくなるなど。 ●尿失禁 トイレが非常に近くなる、我慢できる時間が短くなる、尿失禁がみられるなど。 これらの症状が3~4ヵ月のうちに悪くなる。放置すると寝たきりになる。 特発性正常圧水頭症には男女の差はなく、年齢のピークは60代後半~70代(最近では更に高齢の患者が増加傾向にある)、認知症全体の約5%にあたると推定されている(「特発性正常圧水頭症とはどのような病気ですか」厚生労働省 難治性水頭症調査研究班)。 最近のいくつかの調査では、高齢者人口の1~2%と報告されており、これまでに考えられていたよりもずっと多いことが分かってきている。 進歩し続ける診断技術 特発性正常圧水頭症に見られる歩行障害・認知症・尿失禁といった症状は、脳梗塞やパーキンソン病などの病気でも現れるため区別が難しいとされてきたが、最近では診断の技術も格段に向上し、対象者も比較的見つけやすくなっている。 そもそも特発性正常圧水頭症は1965年に米国で発見され、「手術で治る認知症」と注目された。脳にたまった髄液を腹部に流す手術(シャント術)で症状の改善を図ったのだが、70年代当時は診断方法が十分ではなく、手術の合併症も多数起こり、次第に脳外科医の間でも関心が薄らいでいった。 しかし、診断技術と医療用具の進歩により、今再び注目を集めている。厚生労働省の研究班が1997~98年に行った調査によると、全国14病院で集計された手術120例のうち、改善は約80%。手術による合併症も少なかったという。この流れを受けて、2004年には特発性正常圧水頭症の診断・治療ガイドラインも発行された。 認知症を治療する手術「シャント術」とは? シャント術とは、髄液の流れを良くするためのバイパス手術のこと。脳神経外科で施され、主に3つの方法がある。埋め込むチューブはシリコン製。材質がよくなって癒着などのトラブルも減ってきたため、多くの場合は一生埋め込んだままで問題ない。圧調整のためにバルブを頭皮下につけるが、バルブは圧調整と同時に髄液の脳室内への逆流を防止している。また、どれだけ髄液を流すか各人によって微妙な調節が必要だが、磁石で体の外から圧力を変えることができるバルブも登場。特に歩行障害の症状の改善でめざましい効果をあげている。 脳室-腹腔シャント(V-Pシャント) 脳室から腹腔に髄液を流す。 脳室-心房シャント(V-Aシャント) 脳室から心房に髄液を流す。 腰椎-腹腔シャント(L-Pシャント) 腰椎から腹腔に髄液を流す。 脳室から直接髄液を引かないので、脳に対する負担はない。 公開日:2003年1月20日
認知症は大きく分けて2種類。脳の血管が詰まって起こる脳血管性認知症とアルツハイマーに代表される脳の変性による認知症です。原因は親しい人との死別、引越しなどによる精神的なものや、病気によるケースも。原因を早く突き止め、適切な治療を受けることが大切です。 (監修:多摩南部地域病院・副院長 和智明彦先生) 目次 認知症の7割はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症 認知症のきっかけはさまざま 注目!改善する可能性のある認知症 認知症の7割はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症 実際の認知症患者の7割はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症に分けられる。 変性性認知症…アルツハイマー 脳の実質の変性により、神経細胞が脱落し、脳が萎縮して生じる。代表的な病気がアルツハイマー型認知症。アルツハイマー型認知症の場合、原因についてはまだ明らかではないが、危険因子についてはいくつかわかっている。 脳血管性認知症 脳梗塞や脳出血などによって脳の神経細胞に酸素や栄養が行き届かなくなり、障害が起こる。梗塞や出血の程度が大きければ一度の発作で認知症が生じるが、自覚症状がないような小さな発作を繰り返すうちに神経細胞が広範囲で傷つけられ、やがて認知症がおこる。脳梗塞、脳出血の原因となる脳動脈硬化をまず防ぐことが肝心。そのほか高血圧、高脂血症、糖尿病などいわゆる生活習慣病も危険因子に数えられる。 アルツハイマー病と脳血管性認知症 アルツハイマー病 脳血管性認知症 発症しやすいのは? 女性に多い男性に多い 進行状況は? なだらかに進行する発作などにあわせて階段状に進行する 神経症状は出るのか? 神経症状は少ないしびれやマヒ、動きの低下などを伴う 物忘れの自覚は? 物忘れの自覚は失われる初期は物忘れを自覚している 人格は? 人格が変わることもある人格は保たれやすい 画像診断でわかることは? 画像診断で脳の萎縮がわかる画像診断で梗塞などの病巣がわかる 認知症のきっかけはさまざま 認知症を発症したり悪化させたりする主な理由は、病気によるものと、心理的な動揺や喪失感などが考えられる。 病気が原因と考えられるもの 認知症の症状を招く病気はいくつかあり、なかには原因となる病気を治療することで認知症の症状も改善されるケースがある。先ずは原因を見つけて正しく対処することが肝心。 ●1 脳の変性によって起こる認知症 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症*、パーキンソン病**など ●2 脳血管性認知症 大・中梗塞性認知症、出血性認知症など ●3 混合性認知症 1と2が合わさったもの ●4 感染性の病気による認知症 進行まひ、エイズ脳症、単純ヘルペス脳炎、脳梅毒など ●5 代謝性・内分泌性の病気による認知症 肝性脳症、低血糖性脳症、甲状腺機能低下症、ダウン症など ●6 外傷性の病気による認知症 外傷性脳挫傷・慢性硬膜下血腫、ボクサー脳症など ●7 その他 脳腫瘍、正常圧水頭症、一酸化炭素中毒など ●レビー小体型認知症*:レビー小体という特別の組織が神経細胞の中にたくさんできる。もの忘れで始まり、幻視や妄想を起こしやすく、早期に手足のこわばりや動作の鈍さが見られる。 ●パーキンソン病**:脳神経の障害と考えられ、手足や顔面の筋肉がある日突然、つっぱって硬くなり、手足が震え、動作が極めて鈍くなる。 不安定な心理状態などによるもの 認知症の発病や悪化には心理的な影響も大きく関わっている。親しい人との死別や、退職や引退、住み慣れた土地からの引越しなどによる生活環境の変化に対応しきれず、寂しさがつのったり戸惑いや不安が高じて認知症のきっかけとなるケースもある。そのほか、服用している薬の量が多すぎることで物忘れや注意力散漫、物覚えが悪くなるといった認知症に似た症状が出ることも。 注目!改善する可能性のある認知症 認知症の症状が出てくると「もう治らない」と諦めてしまいがちだが、以下の例のように改善する認知症もある。 ●慢性硬膜下血腫 頭を打った際血管が切れ、1~2週間かけてゆっくりと硬膜とくも膜の間に血液がたまる病気。たまった血液(血腫)が脳を圧迫して頭痛、吐き気、手足のマヒに続いて物忘れなどの認知症状が現れる。たまった血腫を手術で取り除くと認知症の症状が改善される。 ●甲状腺機能低下症 甲状腺疾患が原因で記憶障害や意欲の低下が見られる認知症。甲状腺ホルモンを服用することで改善される。 ●正常圧水頭症 頭蓋骨の中の脳脊髄液(のうせきずいえき)が何かの理由により流れが悪くなってたまり、脳を圧迫することで起こる。歩行障害や認知症の症状を表すが、最近では効果的な手術によって症状を改善させるケースも増え、注目が集まっている。近年、これまで考えられていたよりも、有病率が高いことが分かってきた。 公開日:2003年1月20日
お正月休みの1日は「初詣Day」にしてみませんか。神社を2~3件はしごして健康をお祈りすれば、ご利益も倍増するかも?神社から神社へは、タウンウォッチングを楽しみながらウォーキング。おせち料理で膨らんだお腹もこれでスッキリです。 目次 健康・長寿のご利益がある神社は? おすすめ!初詣ウォーキング 健康・長寿のご利益がある神社は? 年初めの神頼み。多くの神社やお寺が「満願成就」をうたっているが、それぞれにご利益の得意分野があるようだ。ここでは、東京都内にある、無病息災、延命長寿のご利益で有名な神社、お寺を紹介しよう。 名前 住所/ご利益・由来など 浅草寺 台東区 浅草2丁目 まつられている観音さま(観世音菩薩)は、庶民のどんな願いごともかなえてくれるという。本殿の前で炊かれているお香で、患部をなでると治るといわれている。 高願寺 豊島区 巣鴨3丁目 一般には「とげぬき地蔵」の名で有名。昔、誤って飲み込んだ針のために苦しむ女が、本尊(延命地蔵菩薩)のご利益によって助かったなど、ご利益の裏付けとなるエピソードがたくさんある。 題経寺 葛飾区 柴又7丁目 一般には「柴又帝釈天」の名で有名。江戸時代に悪病が流行したとき、この寺の住職が本尊を背中に背負って江戸の町を歩き、病人を救ったという故事がもとで、病気が無事治るというご利益があると広まったよう。 金刀比羅宮 港区 虎の門1丁目 ビル街の中にひっそりたたずむ。江戸時代、讃岐丸亀の藩屋敷があったところに建立されている。交通安全、商売繁盛のほか、禁酒禁煙を誓願する神として有名だ。 牛島神社 墨田区 向島1丁目 境内に撫牛があり、病気持ちの人は、悪いところをなでてから牛の同じところを撫でると治るといわれている。 参考文献:「年中行事を「科学」する」永田久 日本経済新聞社 「ご利益別 神社・仏寺260選」金園社 「願い事がかなうご利益の本」グループT・K 日東書院 おすすめ!初詣ウォーキング 食べては寝てのお正月を避けるため、初詣を活動的にすることをおすすめ。 2~3社はしごして、タウンウォッチングやウォーキングも楽しんでみよう。あまりに込み合い、お参りまで長蛇の列ができるような神社は、運動効果が低いので避けて。 お参りのついでに、訪れた神社の本尊や由来なども調べてみると、楽しさがアップする。 公開日:2000年12月25日
皮膚のしわやシミ、白内障や網膜炎、認知症などの老化現象と活性酸素の関係が注目されています。 目次 活性酸素が体の機能を衰えさせる 老化現象と活性酸素 活性酸素が体の機能を衰えさせる 老化とは一般的に「歳をとるにつれて体の機能が衰えること」とされています。この原因について「活性酸素によって体の細胞や組織が酸化して変質し、機能が衰える」のではないかという「活性酸素説」が注目されるようになってきました。 この説を最初に主張したのはアメリカの研究者です。彼らの研究で、活性酸素が体内に次のような影響を与えることがわかりました。 遺伝子(DNA)を形成する核酸を酸化させて変質させ、がん細胞などを発生させる 細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸を酸化させて、過酸化脂質を作り、細胞や組織を破壊する 老化色素と言われるリボフスチンを作り、細胞の動きを止める 老化現象と活性酸素 老化現象としては具体的に、運動機能や内臓の機能の低下、物忘れ、眼の白内障、皮膚のしわなど、病気とまではいかない衰えのほか、血管が衰えて動脈硬化などにかかりやすくなるといったことが挙げられます。最近では、こういった現象に活性酸素が深く関わっていることがわかってきています。 皮膚のしわ 太陽の紫外線は体の表面を通り抜けます。そして、皮膚細胞内の水分やスーパーオキシド、過酸化 水素などを刺激して、最も有害なヒドロキシラジカルを大量発生させてしまうのです。ヒドロキシラジカルは、皮膚の弾力を保つたんぱく質コラーゲンなどに取り付いて破壊してしまいます。結果、皮膚のハリがなくなって、しわになってしまうのです。 白内障 眼のレンズのはたらきをする水晶体という部分が黄色や灰白色ににごる病気です。レンズがにごるのですから、そのままにしておくと視力を失ってしまいます。 眼も皮膚と同様、常に紫外線にさらされている、活性酸素発生量の多い器官です。この攻撃から自らを守るため、水晶体の表面には活性酸素の影響をおさえる酵素やビタミンCが豊富に含まれています。ところが歳をとるにつれて酵素の量が減り、活性酸素の影響をおさえられなくなるため、白内障になりやすいのではないかと考えられています。 関節炎など ひじやひざの関節が痛むリウマチ性関節炎も老人に多い病気です。この病気は体の免疫機能がおかしくなってしまうのが原因です。白血球が自分の細胞を敵とみなし、活性酸素を撒き散らして攻撃するため、炎症や痛みが起こります。関節には活性酸素に対抗する酵素などが少ないため、集中的にやられてしまうのです。 認知症 認知症には「アルツハイマー性認知症」と「脳血管性認知症」があります。「アルツハイマー性認知症」の原因はまだはっきりとはわかっていません。ただ、活性酸素によって脳の脂質が酸化されてできる「老人斑」が異常に多いため、活性酸素が原因ではないかと疑われています。 「脳血管性認知症」の場合、大元の原因は動脈硬化です。活性酸素などが動脈硬化を促進させた結果、脳の血管がつまって脳梗塞や脳出血になり、後遺症として起こる認知症です。 生活習慣病にかかりやすい 中年以降かかりやすくなる、動脈硬化、糖尿病やがんなどの生活習慣病の発生にも、活性酸素が大きな役割を果たしていることがわかってきています。
老化防止を考えるなら「起床・就寝時間・3食の時間を毎日一定に保つ」という規則的な生活を送ることが大切ですが、仕事などで忙しいとこれほど難しいことはありません。忙しい生活の中でも規則的な習慣をつけるコツをまとめました。 目次 忙しい人でも何とかなる、規則的な生活を送るコツ 栄養バランスのとれた規則的な食生活を考える たばこは少しずつ減らしていこう 忙しい人でも何とかなる、規則的な生活を送るコツ 30代くらいになると「入社当初は平気で徹夜をしていたのに、最近できなくなった」など感じる人が多くなります。これは何ら悲観することではありません。 徹夜をはじめとする不規則な生活習慣は、若い人にとっても潜在的なストレスとなります。ストレスは、内臓に負担をかけるモトとなったり、活性酸素を増やすなど老化促進のファクターのひとつです。したがって、老化防止を考えるなら本来の体のリズムにあった生活を送り、潜在的なストレスを避ける必要があります。 規則的な生活習慣の基本は「起床・就寝時間・3食の時間を毎日一定に保つ」ことです。しかし、仕事などで忙しい人にとってこれほど難しいことはありません。そこで、忙しい生活の中で規則的な習慣をつけるコツをまとめました。 最低睡眠時間を決める 脳の老化を防ぐためには十分な睡眠が必要です。必要な睡眠時間には個人差がありますが、最低でも毎日6時間程度は眠りたいものです。 早起きはメリットがいっぱい フレックスタイムなどが導入されてから、遅く出社して遅く帰宅する人を多く見かけるようになってきました。しかし、この習慣は睡眠不足を招きがちです。また、後に述べる規則的な食生活という面からも、夕食の時間が遅くなり、朝食抜きになりがちなのでおすすめできません。同じ残業なら、夜遅くまで残るよりも早朝出勤の方が能率も上がるようです。また、朝余裕ができて朝食もしっかりとれます。 夕食は寝る2時間以上前にとる 残業の多いサラリーマンの場合、昼食時間は決まっているものの夕食時間がてんでバラバラになってしまいます。夜中まで夕食を我慢し、寝る直前に食べざるを得ないケースも多いかもしれません。しかし、夕食は寝る2時間以上前にはとりたいもの。例えば週2日は6時までに退社するようにして翌朝は早朝出勤にするなど、少しずつでもいいから調整していきましょう。また、寝る直前に食べるときは、あっさりしたものを少量にし、翌朝少しボリュームがあるものを食べるようにしましょう。 栄養バランスのとれた規則的な食生活を考える 老化を防ぐ食事の基本は、栄養バランスにあります。肉類、穀類、アルコールの摂取過剰、野菜の摂取不足を解消するのが第一です。特に、老化防止にはビタミンCなどビタミン・ミネラル類を意識的にとるようにしましょう。 たばこは少しずつ減らしていこう 老化の面からも百害あって一利なしといわれるたばこ。しかし、夜更かしもだめ、食生活も見直して、はたまたたばこまでとなると…。これまでの生活スタイルをいきなり全部変えろと言われてもそれは当然無理なことです。 そこで、突然禁煙が難しいのなら、まず、節煙に挑戦してみましょう。1時間に1本吸う人は、2時間に1本を目指すというように少しずつ調節していきます。また、スポーツクラブに入会したり映画を趣味にするなど、たばこを吸いながらできない趣味を見つけてストレス解消していくのもひとつの方法です。
身近な早期老化症候群である動脈硬化を防ぐためには、「ウォーキング」を続けるだけでも十分効果があります。アクティヴな老後を送りたいなら、体の柔軟性や全体的な筋力の維持を心がけましょう。 目次 動脈硬化を防ぐウォーキング 余裕のある人はスイミングに挑戦してみよう 無理のない筋力トレーニング・ストレッチの習慣も 動脈硬化を防ぐウォーキング 身近な早期老化症候群である動脈硬化を防ぐためには、バランスのとれた食生活や日常的な運動が必要です。といっても、特別なことをすることはありません。1日30分くらい速足で歩く「ウォーキング」を続けるだけでも十分効果があります。通勤や買い物のときに、意識的に「速歩き」するようにしてみましょう。歩くときは、両腕をしっかりふって、歩幅も普段より大きくするよう心がけましょう。 皆さんは、「足は第2の心臓」「老化は足から」などという言葉を聞いたことがあるでしょうか?体内でも最も筋肉が多い部分が、体を支える下半身です。歩くことによって下半身を十分動かし、筋力を保つことができます。また、ウォーキングを継続することで、血液中の余分な糖分や脂肪分を消費するなど高脂血症や糖尿病予防にも効果があります。さらには、体内の血液循環がよくなり、血管を強くすることで動脈硬化の予防にもなるのです。 1日に運動で消費したいカロリーは100~200kcal。急ぎ足で歩いて100kcal消費するためには、25分くらい歩く必要があります。通勤時には1駅分遠くまで歩いてみる、家庭では少し離れた店まで買い物に行くなどそれなりの工夫は必要です。 最初から毎日行うのがきつい人は、まず、1週間に2回くらい30分~1時間のウォーキングをし、普段はなるべくまめに動くよう心がける、というところから始めるといいでしょう。 余裕のある人はスイミングに挑戦してみよう このほかおすすめのスポーツは、スイミングやサイクリングです。スイミングは自分のペースでできる全身スポーツです。腰痛や変形性ひざ関節症などで、歩くのが大変な人でも楽しめます。サイクリングはゆっくりでもある程度の距離を走るようにしましょう。 テニスなどのスポーツを始めるのもいいですが、血糖のコントロールや肥満解消が目的なら、試合を真剣にやるよりもウォームアップの打ち合いなどを長時間行うほうが効果的です。後者の方が有酸素運動になるからです。エアロビクスなどに挑戦するときも、最初は初心者向けのリズム体操がおすすめです。何度か行っても息が切れなくなったら、少し激しいものに挑戦してみましょう。運動を続けるうちに身体が慣れ、激しい動きも有酸素運動でできるようになります。 無理のない筋力トレーニング・ストレッチの習慣も 20~30代に年齢を感じるきっかけとして多いのは、「最近、体が硬くなった、体力がなくなった」など運動能力の衰えでしょう。体の柔軟性や全体的な筋力の衰えが進むと、ちょっとした原因で骨折をしてしまう、腰痛や肩こりなどに悩まされやすい、体がすぐに疲れてしまうため外出をしぶるようになるなど、アクティヴな老後が送りにくくなってしまいます。 したがって、ウォーキングの前後の準備運動もかねて、ストレッチを行うなどして身体の柔軟性を保つよう心がけることも大切です。 筋力トレーニングについては、ダンベル体操などを1日15分程度行うだけでも、筋力の持続に効果があるようです。しかし、これまでほとんど運動していなかった人が、ウォーキング、ダンベル体操と1度に始めてしまうと、結局無理することになって長続きしません。 最初はウォーキングとストレッチだけから始めて、ある程度続いたら筋力トレーニングも少しずつ取り入れるなど、長続きさせることを目標とした計画を立てるのが一番です。
「老後の心配はあとですればいい、いまは先のことなんて考えられない」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、何十年も続けてきた生活スタイルを変えるのは年をとればとるほど難しくなります。高齢になった分、精神も老化していくからです。 目次 年とともに低下する「気力」 知っておくと役に立つ「心の老化」傾向 年とともに低下する「気力」 中年期にさしかかり運動不足を自認している人が、「運動をしないと健康に悪いから…」 という気持ちで始める場合、運動への意欲(欲求)ではなく、気力(意思の力)がはたらいています。しかし、運動する習慣がつけば、意欲も戻ってきます。たまに運動を休むと「何となくスッキリしない」「運動したい」と思うのがそれです。 しかし、気力も年齢とともに低下していきます。特に多いのは、老化の自覚症状が増えていくにつれて気力が低下し、前向きな考え方ができなくなる場合です。高齢者はうつ感情に陥いりやすいと言われますが、こういった精神的な老化もその一因ではないかと言われています。 したがって、「検査の結果が悪くなったら運動すればいい」とか「50歳になったら少しずつ運動を始めよう」と生活習慣の変化を先送りにするのはおすすめできません。いざというときには運動する気力もなく、悲観的になる一方なんてこともありうるからです。 適度な運動は体の老化を防ぐだけでなく、ストレスを解消して精神の疲れをいやす効果もあります。精神の老化を防ぐためにも、まだ気力が残っているうちから適度な運動をする習慣をつけることが大切です。 知っておくと役に立つ「心の老化」傾向 精神・心の老化について、心理学的なアプローチはなされているものの、現在にいたっても 科学的に解明されているものは少ないようです。しかし、傾向を知っておけば、年をとるにつれて少しずつ変化していく自分の心をコントロールしやすくなるといえるでしょう。ここでは簡単に、心の老化についてまとめました。 もちろん老化といってもマイナス面だけではありません。例えば若いうちは短気だったのが年をとって丸くなったなど、心の老化がその人にとってはプラスにはたらくことも多いのです。また、精神は個人差の大きいもの。次に挙げる各要素そのものが個人個人でバラバラですし、さらにこれらが複雑に絡みあっています。 ここで紹介するのはあくまでも参考です。自分の心と向き合うひとつのきっかけだと考えてください。老化のプラス効果を活かし、マイナスを抑制することができるように意識しながら年をとっていくことが大切です。 知力(記憶力、知能) 精神のなかで最も老化によって衰えやすいのは記憶力です。特に新しいことを覚える習慣がない人は、記憶力の衰えが早くなります。忘れてもいいから覚えようとすることは、注意を集中させるなどのトレーニングになり、記憶力の老化を防ぐことができます。また、睡眠不足、アルコールの多飲なども記憶力を衰えさせる一因になるようです。 眼や耳などから得た情報をもとに考える力(知能)については、周りへの興味や感心が旺盛で、積極的に知的情報を得ている人ほど衰えが現われにくいという調査報告があります。また、知能の衰えがひどい人は、体も不健康であることが多いとも言われています。 性格 幼児期から培われた性格も、年をとるにつれて少しずつ変化します。しかし、人によって変化の仕方が異なります。例えば、欠点が修正される方向に変わるケース(短気→気が長くなるなど)、ますます目立つようになるケースなど両極端です。 感情 快・不快の感情や情熱、喜びや悲しみなどの情動は、どれも年とともに弱まっていきます。しかし、その一方で忍耐力も弱くなるため、快・不快の感情などについては、外見的に強くなったと見られることもあります。特に痛みや食に関する部分でこの点が目立つようです。
30代は、中年期1年生。「まだ遠い先の話」と老化を促進するような生活をしてはいませんか?来る世の中が不安ばかりであればあるほど、乗り切るためには体が資本となります。今の生活と折り合いのつく部分から少しずつ考えていきましょう。 目次 中年危機度テスト「生活」編 中年危機度テスト「意識」編 中年危機度テスト「生活」編 老化を促進するような生活をしていないかどうかチェックしましょう。以下の項目のうち、あてはまるものの数を数えてください。 1)若いときに比べて、体力などが落ちている 2)健康診断で、生活改善などを指摘されたことがある 3)仕事が忙しく、そのせいで睡眠が十分とれないことが多い 4)運動不足気味である 5)仕事後の一杯(晩酌など)が唯一の楽しみだ 6)喫煙をしている 7)仕事などでストレスを感じることが多い 8)外食が多い 9)寝る直前に夕食を食べたり、朝食を抜くことが多い 10)1日に食べる野菜の量は300gより少ない 判 定 上のチェック項目は、老化を促進する生活スタイルを並べたものです。したがって、あてはまるものが少ない人ほど、中年危機度は低いことになります。ただ、あてはまるものが1つだけでも、例えば1日3箱以上たばこを吸うなんて極端なケースはまた別の話となります。 以下、もう少し具体的に解説します。 ○の数が0 健康な老後&長生きできる可能性が大きいようです。あてはまるものがまったくないというあなたは、年をとっても若々しく長生きできる可能性が高いので、今の生活スタイルをずっと続けるように心がけましょう。 ○の数が4以下 あてはまる項目が少ない分、老化も遅い…と言いたいところですが、先程も述べたようにヘビースモーカーなど極端なケースは話が別となります。いずれにしても、あてはまる点については改善するに越したことはありません。まずは、○をつけた項目について極端になっていないかどうか考え、「やばい」というところを中心に少しずつ改善していきましょう。 ○の数が5以上 あてはまる項目が半分以上の場合、このままの生活を続けていては、早期老化の可能性大です。その一方で、一気に改善するのもなかなか難しいのが現状です。その場合は、「比較的簡単に改善できるもの」「改善が困難なもの」の2つに分けてみましょう。そして、最初1ヵ月は簡単に改善できるものだけに着手、それに慣れたら次の改善に…というように少しずつ取り組んでいくのが長続きのコツです。 老化防止の生活改善もダイエットと基本は同じです。一度に無理をしてリバウンドを起こしてしまうよりも、 2~3年くらいかけるつもりで少しずつ取り組んでいった方がいいでしょう。ただし、「2)健康診断で、生活改善などを指摘されたことがある」に○のついた方は、医師から指導された点から改善するようにしましょう。 中年危機度テスト「意識」編 あなたの意識面はどうでしょう。以下の項目のうち、あてはまるものの数を数えてみましょう。 1)C 年を感じたとき、ぐっと落ち込んでしまう 2)A 定年後のビジョンを何となく考えている 3)B 仕事などが忙しく、先のことなど考えられない 4)A 長生きできるのなら、多少努力してもいいと思っている 5)C 仕事などが中心の現在の生活を、空しく感じている 6)B 寿命にこだわらない。60歳ぐらいで死んでもいいと思っている 7)C ますます高齢化する将来、年金制度や医療制度がどうなるか気になる 8)A 将来のことはわからないが、健康を心がけることは大切だと思う 9)B 体の無理がきくうちに、地位や貯金などを確立させたい 判 定 それぞれの○の数を数えてみてください。 Aの数がもっとも多い…長期目標型 今の生活も大切だけど、老後の人生も充実させたいと考えているあなた。生活面の危機度が低ければバッチリ充実した人生が送れそうです。生活面の危機度が高い人は、今の生活を改善しないと、望み通りの生活が送れないかもしれません。老後は健康が資本となります。将来への投資のひとつに「健康」という項目も加えるようにしましょう。 Bの数がもっとも多い…現状破滅型 仕事、家庭…、30代は周りに対して何かと責任が重く、その責任を果たすだけで精一杯です。「将来のことなんて考えている暇がない!」という方が多いよう。このような30代を取り巻く環境こそ、「中年危機」と言ってもいいでしょう。 ※「Bの項目の数字しかあてはまるものがなかった」という方は、考え方そのものが危機的です。6に○をつけた人も、望み通り高齢になる前にポックリ行ければいいが、半身マヒや認知症の状態で生きなければいけない可能性もあります。取り返しがつかない年齢になる前に、もう一度将来を考え直すことをおすすめしたいところです。 ※「B以外にA、Cの数字もあてはまるものがある」という方は、次に紹介する「現状迷走型」も参考にしてください。 Cの数がもっとも多い…現状迷走型 老後の心配は意識の奥底に常にあるけれど、じっくり考える余裕はないというタイプです。また、考えたとしても今の私たちにとって、思い浮かぶのは老後の暗いことばかり。「たとえ自分は健康でも、親の介護で終わってしまうだろうし…」「健康でも年金がもらえず、収入がなくなるかも…」など。 とはいえ、来る世の中が不安ばかりであればあるほど、乗り切るためには体が資本となります。30代は、まだ「中年期1年生」。小学校1年生が自分の将来設計を考えられないように、私たちだって老後の設計を考えられなくて当然のことです。それでもやはり、小学生と同じように将来のための準備(彼らが体や頭を成長させるのなら、私たちはここまで育ってきた体や頭の機能を維持すること)をしておく必要があるのではないでしょうか。 生活危機のところでも述べましたが、今の生活と折り合いのつく部分から少しずつ考えていきましょう。
早期老化症候群として身近なところでは、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病があげられます。これらの病気がなぜ老化を早めるのかをまとめました。 目次 早期老化症候群が進める老化現象 特に怖い、動脈硬化が認知症の原因になるケース 早期老化症候群が進める老化現象 内因 遺伝的要因 外因(生活スタイル) 運動不足 不規則な生活時間 脂肪や糖分過多の食生活 喫煙による活性酸素の増加 ▼ 肥満 ▼ 脂質異常症:血液中のコレステロール・中性脂肪の量が多い状態 高血圧症:血圧が高い状態 糖尿病:血液中のブドウ糖(血糖)の量が多い状態 ▼ 動脈硬化 動脈の壁にコレステロール(悪玉)や死んだ細胞などがへばりついて、血管が細くなったりもろくなったりする状態 ▼ 虚血状態または破裂 虚血:動脈硬化が起こる位置により異なるが、各臓器への血流が不十分になり、その部分が機能しなくなる。 つまる・破裂:血管が完全につまると血液が行かなくなった臓器などは壊死してしまう。弱くなった血管が破裂してしまい体内で大出血を起こす。心臓や脳などでこれが起こると死亡することが多い。 ▼ 体内の老化が進み寿命も短くなる 脳:脳血管性認知症=脳卒中などが原因で、脳細胞の一部が死滅し、認知症がおこるケースが多いが、脳のあちこちの比較的細い血管に動脈硬化がある場合、脳卒中の目立った症状がないまま認知症を起こすこともある。 眼:網膜症=糖尿病の合併症。網膜の毛細血管が障害され、失明することもある。 心臓:狭心症=心臓をとりまく冠動脈が動脈硬化を起こすと、心筋に血液や酸素が届かなくなり機能低下を起こしてしまう。 下肢動脈など:間歇性跛行(かんけつせいはこう)=下半身の動脈硬化によって、歩くと下肢の痛みやしびれを生じる。50~70歳代の男性に多い。 特に怖い、動脈硬化が認知症の原因になるケース 特に怖いのが、動脈硬化が認知症の原因になるケースが多いことです。日本ではアルツハイマー病よりも、脳血管性認知症の方が多いと言われています。 なお、脂質異常症、高血圧症、糖尿病の前段階が「肥満」です。これは「肥満している人の多くがこれらの病気にかかりやすい」ということで、「肥満していない人はかからない」ということではありません。たとえ太っていなくても、肥満につながるような生活スタイルを送っている人は要注意なのです。
早期老化症候群とは、一般よりも早く老化現象が出現し、早い人は子どものうちに亡くなってしまう病気です。老化を確実に早め、場合によっては寿命をも縮めてしまう、遺伝子の異常による病気は、私たちの身近に存在しています。 目次 10代なのに老衰で死亡!? 身近な「早期老化症候群」は、生活習慣病 早期老化を促進する真犯人は「活性酸素」? 10代なのに老衰で死亡!? 「早期老化症候群」という言葉、耳慣れない方も多いでしょう。これは、一般よりも早く老化現象が出現し、早い人は子どものうちに亡くなってしまう病気です。現在は、3つの病気が確認されていて、主な原因は遺伝子の異常によるものだと考えられています。そのうちのひとつをご紹介します。 ハッチンソン・ギルバート症候群 幼児のときまでは普通の子どもの発育と変わりませんが、しばらくすると発育の遅れが目立ち、成長がまったく止まってしまいます。体が痩せ、皮膚にしわやしみなどが出て、はげてくることもあります。最終的には10~15歳で心筋梗塞や脳卒中で亡くなってしまいます。 ただし、この病気にかかっても、白内障やがん、ぼけなどが起こることはありません。つまり、老化現象すべてが起こるわけではないのです。また、ほかの2つの病気でも、一般的な老化現象がすべて発現することはありません。 つまり、これらの病気は、遺伝子の異常によって老化現象のうちのいくつかが早期に発現し、そのなかの致命的な現象によって若くして命を落としてしまう病気というのが正確なところのようです。 身近な「早期老化症候群」は、生活習慣病 先に紹介した病気は、何十万人、何百万人に1人といった割合で発現する珍しい病気です。しかし、これだけ極端でなくても、老化を確実に早め、場合によっては寿命をも縮めてしまう、遺伝子の異常による病気が私たちの身近に存在します。これらの病気を発表したのはアメリカの遺伝学者で病理学者でもあるマーティン。すでに20年も前のことです。 このなかに含まれているのが、脂質異常症、高血圧症、動脈硬化、糖尿病などのいわゆる生活習慣病です。現在は、これらのどの病気についても遺伝的な要因が大きいことがわかっています。しかし、この場合の遺伝的要因は先程紹介したハッチンソン・ギルバート症候群のような珍しいものではありません。また、遺伝的な要因がなくても食生活の乱れや運動不足でも発病する可能性の高い病気なのは皆さんご存知の通りです。糖尿病にいたっては日本人の10人に1人が予備軍だと言われているほどです。 ここまでくると、中年期の生活次第で20~30年後の生活&寿命が決まるというのがおわかりになるでしょう。 早期老化を促進する真犯人は「活性酸素」? 早期老化症候群のひとつ、動脈硬化を促進する大きな原因として最近注目されているのが 「活性酸素(フリーラジカル)」です。 酸素は、食事で得たブドウ糖などと結びついて燃焼し、私たちの体を動かすエネルギーを発生させています。このように酸素が物質と結びつくはたらきを「酸化」と言いますが、普通の酸素以上に物質の酸化を活発に行う酸素が存在します。これが活性酸素です。この活性酸素は体内に侵入する細菌やウイルス、がん細胞などを撃退するなど、体内で重要な役割を担っています。 その一方で、活性酸素は悪玉コレステロールを酸化させて超悪玉コレステロールとして動脈硬化を促進させたり、細胞膜や細胞内の遺伝子を傷つけるなどのはたらきがあることなども指摘されています。がん細胞の発現にも一役かっているといいます。さらに、アルツハイマー病の原因のひとつである脳の酸化にも、活性酸素が関わっていると考えられています。 活性酸素は体内でも生成されているが、大気汚染、ストレス、喫煙などによる影響も大きいことがわかってきました。特に喫煙が体内の活性酸素を増やし、がん発生を促進するという構図がほぼ確実になっているようです。
体のさまざまな部分で起こる老化現象ですが、ある程度の年齢になると必ず起こるものもあれば、努力次第で防ぐことができるものもあります。老化の原因として外的な要因が大きく、努力すれば防ぐことができるものをご紹介します。 目次 皮膚のシミ・しわを防ぐには 体力・筋力の衰えを防ぐには 歯のぐらつき・抜けを防ぐには 皮膚のシミ・しわを防ぐには お肌の曲がり角は○歳などとよく言われますが、皮膚の老化には個人差と部位による違いがあります。なぜなら、皮膚の老化の80%以上が日光によるものといわれ、日光のあたりやすい皮膚ほど早く老化するからです。 日光の影響下で起こる老化現象には、皮膚の乾燥、発汗の減少、毛の成長速度の低下、しわの出現などがあります。このなかで皮膚の乾燥、しわの出現などは主に40歳ごろから目立つようになります。しかし、日焼け止めや帽子の使用などで日光にさらされないようにすることで、老化を遅らせることは可能です。 また、洗顔方法にも注意をしましょう。スポンジやたわしなどでこすって皮脂を落としすぎると、皮膚が乾燥しやすくなってしまいます。石けんを使ってなで洗いするだけでも十分です。体についても同様ですので、手の届く範囲は赤すりタオルなどを使わずに手と石けんだけで洗うようにしましょう。 体力・筋力の衰えを防ぐには 体を支える元となる筋肉や骨の力は、20歳くらいまでの間に発達し、それ以後はゆるやかに衰えていきます。筋肉などを作る成長ホルモンの分泌がこの年齢を境に激減するからです。しかし、歳をとってもそれなりに運動をしていれば、体力、筋力ともに衰えを遅らせることができます。 逆に、日常最低限しか体を動かしていないと、体力・筋力ともに衰える速度が進んでしまいます。30代後半なのに、50歳代の平均以下しか筋力がないという人も、最近では珍しくありません。 歯のぐらつき・抜けを防ぐには 30代くらいではまだ現実的ではないかもしれませんが、「歯がぐらつき、抜けてしまう」のも老化現象のひとつです。これは歯周病などの病気が直接の原因です。ケア次第で80歳まで入れ歯のお世話にならずにいることもできます。 歯周病とは、歯みがきによって落としきれなかった食べ物のカスや細菌の固まり(歯垢)が歯と歯ぐきの間にたまり、毒素を出して歯ぐきなど歯の土台を弱くしてしまう病気です。そのうち、歯と歯ぐきの間に膿がたまり(歯槽膿漏)、最終的には歯がぐらついて抜けてしまいます。 15歳以上になると、歯の異常の大部分が歯周病によるものとなります。今は異常がなくても、歯を守る生活を怠ると、10年後には入れ歯や差し歯のお世話になる可能性が高くなります。 歯周病を防ぐためには、きちんとした歯みがき(デンタルフロスなどで歯と歯の間もしっかり落とす)を行うのが一番ですが、体そのものの防御力を保つことも大切です。例えば、唾液には殺菌作用のある酵素が含まれています。物をよく噛んで食べ、しっかり唾液を分泌させる習慣も意外と大事なのです。そのほか、お茶にふくまれるフッ素やカテキンも抗菌作用があるので、食後に飲む習慣を心がけたいものです。
体内的な要因が大きくどうしても避けられない老化と、環境的な要因が大きく努力次第で進行を遅らせることができる老化があります。今回は、どうしても避けられない老化についてまとめました。 目次 努力しても避けることのできない体の衰え 更年期障害(女性) 眼の老化(老眼・白内障など) 毛髪の老化(はげ・白髪など) 努力しても避けることのできない体の衰え 老化とは何でしょうか?一般的には「歳をとるにつれて身体機能が衰えること」と理解されています。では、「身体機能の衰え」とは具体的に何を指すのでしょうか。白髪、肌のシミ&シワ、筋力の衰え、老眼…など思い浮かぶことは多くあります。しかし、そのすべてが単純に体や細胞の衰えだけで説明できるわけではありません。 シミやシワが目立たない女性でも、年齢に差はあれ更年期障害は訪れます。このように、人間の体の仕組み上、老化現象は避けられません。しかしそのなかにも、体内的な要因が大きくどうしても避けられない老化と、環境的な要因が大きく努力次第で進行を遅らせることができる老化があります。まずは、どうしても避けられない現象についてまとめました。 更年期障害(女性) 女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌が、閉経時を機に急減するために起こる体の不調です。女性の体内の卵子は、実は産まれる前に生産が終わってしまっています。胎児の時点では、卵巣内に約700万個生産されるのだが、それもたちまち死に始め、出生時には100~200万、月経の開始時(思春期ごろ)には約25万個ほどしか残っていません。思春期以降も卵子は一定率で減ってしまうため、閉経そのものを個人の努力で遅らせることはできません。 眼の老化(老眼・白内障など) 老眼、白内障などは、レンズのはたらきをする水晶体の劣化が原因で起こる現象です。その進行をおさえることはなかなかできないようです(ただし、白内障は手術などで比較的簡単に治療することができます)。 毛髪の老化(はげ・白髪など) 頭皮の下にある毛母細胞が老化して毛髪を作れなくなるとともに、毛髪の根本を包む毛包という組織が破壊されて、髪が抜けてしまいます。年齢が高くなるとともに髪の量が少なくなりますが、進み方は個人差が大きいようです。 白髪は大体35歳ごろから現われます。メラニンという色素を包み込んだ毛髪中の細胞が減ることです。 どちらも、これらの細胞のはたらきを復活させる薬などが開発されているため、老化の防止、抑制ができるようになる日が近いかもしれません。
30歳前後は、「意識の上では若いつもりなのに、体がついてこなくなった」など、ジレンマを感じ始める年頃です。30代がどんなときに年齢を感じるのか、アンケート結果をまとめました。当てはまることがありますか? 目次 体の変化に年齢を感じる今日この頃 何だか落ち着いてしまった自分が悲しい!? 体の変化に年齢を感じる今日この頃 年齢が見えてきた、どうしよう 「手の裏」がしわ、しみっぽくなったなと感じて、思わず「手」「首」のケアを考え出した。 赤ちゃんや若い子の肌を、しみじみ見たり、自分と同じ歳の友達の疲れた顔を見た。 白髪が目立つようになった。 近所の子供に当たり前のように「おばさん」と声をかけられたとき(このまえ自転車で走ってきた小学生の男の子が「ババアどけ!」と 吐き捨てるように言ったときはキレた)。 顔のたるみが気になって、「エステでも行こうかな」って思うとき(顔の下あたりを叩くとタプタプ音がするんです)。 自然と髪をいたわっている自分に気付いたとき(髪は長い友達、毛髪は大事ですから)。 お腹まわりが気になって、体型のわかる服を着なくなったとき(同様に、昔の洋服のサイズが合わなかったとき)。 脱いだTシャツが、オヤジくさかったとき(思わず大事な日には、オードトワレや香水をつけてごまかしています)。 体力が落ちてきた 5歳の娘より走るのが遅い気がする。追いつけない。 昔は鉄棒で筋肉まわり(知ってます?)とかバンバンやってたのにこのまえ久しぶりにやってみたら逆上がりもろくにできなかった。 腹筋が全然できない。老いというより体力低下を痛感する。 歩いて片道5分のスーパーで買い物して、荷物を両手に持って帰ってくるのが苦痛になった。足が前に進まない。階段なんてとんでもない。 徹夜すると2、3日は体が元に戻らない。目はくぼみ、吹き出物が出てくる。昔は全然平気だったのに。 長時間寝ていると腰が痛くなる。 営業外出は1日2件までしかできなくなった。 「よいしょ」と声がでてしまうとき。 お酒が弱くなったと感じたとき。 体が硬くて、体を曲げても両手で両足をつかめなかったとき。 100m先でも車に乗る(歩いた方が速いのに…)。 物忘れが激しくなった。 年をとるにつれて、当然外見や体力は衰えていくものの、ここで紹介した皆さんのなかには、老化というよりも日頃の運動不足やケア不足が原因という方もいるようです。ただし、今はまだ○○不足で済んでいるものが、10年後には「老化の引き金」になってしまうケースもあります。 何だか落ち着いてしまった自分が悲しい!? 嗜好&気になることが変わってきた ケーキやパフェが食べられなくなったとき。 外食が続くと悲しくなるとき。 クラブとかディスコとかに興味がなくなった。 合コンとか同窓会に行くのが面倒になった。 携帯電話の通話機能以外の機能をあんまり使わなくなった。 20代はどんなに疲れていても、疲れている時にあえて週末にスキーに行くのが快感であったが、今は寝ていたい。 最近の音楽業界についていけない。グループの名前、グループ内の個人の名前がわからない。 ついNHKのニュースを見てしまう。 ダジャレを言うようになってしまった。 健康診断の結果に一喜一憂するようになってきた。 性格、考え方が変わってきた 若いころに勉強しとけばよかったと、何かと自分から勉強をしたがることに気付いたとき。 「怒り」も「感動」も持続しなくなったなと思ったとき。 無理して自分のプライドのために何かしようとは思わなくなったとき。 無理しない分、バカなこともしなくなったとき。 何かあっても「自分でなんとかできる・なる」と思えるとき。 年をとったと感じさせる体の変化に比べ、精神的な変化は結構歓迎できるものも多いようです。確かに記憶力など衰えるものもありますが、性格が丸くなる、自分に自信が出てくるなど、年齢とともに円熟していくものもあります。「老人力」ならぬ「中年力」は長所として受け入れていったほうがいいようです。
肌の老化を早める要因のうち、「乾燥」「強い刺激」「食生活」について考えます。 目次 あなたの肌、水分を欲しがっている? 偏った食生活も老化を促進する シミやシワは、一度できたら治らないの? あなたの肌、水分を欲しがっている? 紫外線の恐ろしさについては、老化を急ピッチに進める肌の敵「紫外線」で紹介したとおりですが、同様に 乾燥も肌の大敵です。例えば洗顔剤で顔を洗うと、肌がつっぱった感じがするでしょう。これは、洗顔によって皮脂が取られ、角質層の水分を保つ物質(天然保湿因子=NMF、細胞間脂質)も溶け出して、肌の水分が蒸散される状態になるため。このまま放置すると小じわのもとになります。 また、スクラブ洗顔・パック・美顔マッサージのやりすぎ、フェイスブラシの使いすぎなど、強い刺激も肌には迷惑となります。角質層(一番外側にあって皮膚を守っている)を傷め、水分が蒸散してシワができやすくなるうえ、炎症を起こしやすくなりシミや黒ずみの原因にもなります。角質層はセロテープで簡単にはがれてしまうような、デリケートなものなのです。 偏った食生活も老化を促進する 肌の新陳代謝、そして紫外線から体を守ろうとする物質の原料になるのは、各種の栄養素です。バランスの悪い食生活でこうした栄養素が不足すると、紫外線に対する抵抗力が低下し、シミやシワができやすくなります。肌のハリや弾力、みずみずしさも失われてしまいます。糖分や脂肪(特にリノール酸)の摂りすぎも問題です。 シミやシワは、一度できたら治らないの? シミができたら? シミができて慌てて美白化粧品を使い始める人も多いことでしょう。美白化粧品などには確かにシミに効く有効成分が入っています。ただし、シミの種類によって効くもの効かないものがありますし、そもそも化粧品というのは「治す」ものではありません。過度の期待はせず、「少しでも予防・改善できれば」ぐらいに考えたほうがいいようです。 エステも肌を活性化させるにはいいでしょう。結果的にシミが目立たなくなることもあるようです。ただしこれも、根本的に治すという「治療」ではありません。 きちんと治したいなら、皮膚科、美容整形外科などに相談してみるとよいでしょう。飲み薬(ビタミンC・E剤や抗プラスミン剤など)や塗り薬(ビタミンA誘導体など)、レーザー治療など、方法はいろいろあります(飲み薬や塗り薬は限界があります)。 シワができたら? 小ジワ(浅いシワ)ならスキンケアで元に戻すことは可能です。コラーゲンやフルーツ酸入りの美容液・化粧水で試してみるといいでしょう。皮膚科では塗り薬を処方してもらえます。 一方、深いシワとなるとスキンケアやエステでは無理です。どうしても治したい場合は、レーザー治療やシワ取り美容手術に頼ることになります。 いずれにせよ、まずは予防、できてしまったら早めに手を打つことが大切だ。
肌の老化を早める要因のひとつ「紫外線」について知っておきましょう。紫外線は、波長の違いによって、UVA、UVB、UVCの3つに分けられます。 目次 紫外線はほんとうに怖い! 紫外線によるシミはこうしてできる 紫外線によるシワはこうしてできる 紫外線はほんとうに怖い! 肌の大敵NO.1は、紫外線です。シミやシワの80%が紫外線によるものともいわれます。 農業や漁業にたずさわってきたお年寄りの首筋には深いシワがよく見られますが、これは長年にわたって紫外線を浴び続けてきたことによるものです。またシミやシワで皮膚科を訪れる人には、若い頃にスポーツなどで真っ黒に日焼けしていた人や、肌の保護に無頓着だった人が多いといいます。今は大丈夫でも、数年後に必ずしわ寄せがくるということです。 紫外線は、波長の違いによって、UVA、UVB、UVCの3つに分けられます。 UVA 生物に与える影響はUVBの100分の1~1000分の1だが、表皮を通り越して真皮にまで達し、シワをつくります。 窓ガラスを透過するので、室内にいても浴びます(量は1/2に減少)。 曇りの日でも、量は変わりません。 UVB 角化細胞に損傷を与え、急激な日焼け(炎症)や皮膚がんの主な原因となります。 窓ガラスにほとんど吸収されるので、室内には入ってきません。 曇りの日は、量が1/3程度に減ります。 UVC オゾン層で吸収されるので、地上にはほとんど届きません。 日本では、紫外線は3月頃から強さを増し、5月から8月にかけてもっとも強くなります。1日のうちでは正午頃がピークです。 夏はしっかり紫外線対策をするという人でも、秋冬は怠りがちですが、冬の紫外線の量だってあなどれません。特にスキー場は危険地帯です。 最近、老化や成人病の大きな原因として「活性酸素」が注目されていますが、紫外線は体内にこの活性酸素を発生させるもとになります。 紫外線によるシミはこうしてできる 1. 紫外線を浴びます。 2. それに対する防衛反応としてメラニン色素がたくさんつくられ、肌は黒くなります。 3. メラニン色素はふつう28日周期の表皮の角化にともなって抜け落ち、肌色も元に戻ります。 4. しかし、日焼けの程度がひどい場合、表皮が壊れてメラニン色素が真皮に落ち込み、色素沈着を起こしてシミになります。軽い日焼けでも、人によっては色素沈着を起こすこともあります。 紫外線によるシワはこうしてできる 1. 紫外線を浴びます。 2. 肌の弾力とハリを司るコラーゲンが断裂・変性します。コラーゲン産生量も低下します。 3. 真皮が萎縮し、深いシワができます。
進んでいく老化のスピードを少しでもゆるやかにするために、気を付けなくてはいけないポイントを紹介する。 目次 老化を遅らせるための「体」のポイント 老化を遅らせるための「心」のポイント 老化を遅らせるための「生活」のポイント 老化を遅らせるための「体」のポイント なんといっても体が健康であることが若々しさの秘訣。そのためにも運動は欠かせない。 特に、下半身は身体全体の筋肉の2/3が集中しており、その部分が衰えると、いっきに体力が低下したと感じられるものだ。 車に乗ることが多く、ほとんど歩かないという人は、ストレッチやウォーキングなどから始め、少しずつ運動量を増やしていこう。 大切なのは10分でもいいから毎日続けること。月に1度、何時間も激しい運動をするよりも、体力増強には効果がある。 老化を遅らせるための「心」のポイント ストレス社会の日本で働いている以上、まったくストレスを感じない人はほどんどいないだろう。けれども、同じ状況でもストレスを強く感じる人とそうでもない人がいるのも事実。過度なストレスは精神的老化を早めるばかりか、健康を害することもある。 ストレスと上手につきあうためには、あまり思いつめないこと。趣味を持つなどして、気分転換をはかるようにしよう。 老化を遅らせるための「生活」のポイント 人間の体は、意志とは関係なく、昼間は活動的に、夜は休養するというリズムを保っている。この体内のメカニズムを狂わせるような生活を続ければ、体には相当なストレスがたまることになる。このストレスが老化の大きな原因になるのだ。 睡眠時間をきちんととり、食事は毎日決まった時間に3度とるなど、規則正しい生活をすることが大切だ。
人は20~25歳ぐらいまでの青年期を過ぎると、身体機能が衰え始める。これは生理的現象だから、いくら文明や科学が発展しても完全に食い止めることはできない。老化のメカニズムを知れば、急速な老化を防ぐことができるかも? 目次 老化するとはどういうことなの? 老化の悪循環 老化するとはどういうことなの? 人は20~25歳ぐらいまでの青年期を過ぎると、身体機能が衰え始める。これは生理的現象だから、いくら文明や科学が発展しても完全に食い止めることはできない。年齢のわりに若く見える人、年齢よりも老けて見える人がいるのは、老化のスピードに個人差があるため。「若く見える人=老化していない」ではないのだ。 では、具体的にはどんなことが老化なのだろうか?まず挙げられるのは体力の低下。次いで環境への適応能力の低下、ストレスに対する忍耐力の低下などだ。 こういった身体能力は、何かひとつ低下すれば次々といもづる式に低下し、それがさらに身体能力の低下を招いていくという悪循環を起こすのだ。 老化の悪循環 例えば、運動不足による体力低下が起こると、体を動かすのが面倒になり外出をしなくなる。 外出をしなくなれば人間関係が苦手になり、ちょっとしたトラブルでも、以前より大きなストレスを感じるようになる。 それが原因で病気になり、さらに体力の低下を助長することになる。 以上のような悪循環、あなたにも心当たりがないだろうか?もしあるなら、この循環の環を断ち切ることが必要だ。
いまや「人生80年」。定年してからだって、20年ものゆとりの時間が持てるほど、日本人は長生きになった。さて、その長生きの秘密は一体どこにあるのだろうか。また、長生きすることの「弊害」は皆無なのだろうか。 目次 日本一の長寿、金メダルは沖縄県! 沖縄式食生活で長生きしてみる? 世界的に見ても日本は超長生き国家 さて、長生きの先に待っているものは…? 日本一の長寿、金メダルは沖縄県! 1940年頃には男女とも50歳前後(!)だった日本人の平均寿命。ところが、戦後急速に延び始め、ここ30年でも10歳近くも延びている。1995年には男性76.36歳、女性82.84歳。そして、その中でも沖縄は日本一の長寿県として不動の地位を築いている。しかも、「病気だが医療の進歩で長生きしている」という悲しい実態が多いなか、90歳を過ぎても元気で働いている人が多いのも特徴だ。 *カッコ内は、男女別平均の単純平均により算出した県別平均寿命。 沖縄式食生活で長生きしてみる? 出典:厚生省統計要覧、国民の衛生の動向などより 沖縄は昔から豚肉をよく食べ、その消費量は全国一。それも、煮込んで脂肪分を取り除く食べ方をするので、血管を丈夫でしなやかにする動物性たんぱく質がたっぷりとれるのがポイントだ。 また、塩分の摂取量が日本一少なく、海草、豆腐、野菜などをたくさん食べ、温暖な気候のおかげで体もよく動かす。 「いいものを食べてよく動く、これすなわち長生き」という単純な図式が沖縄にはひそんでいるようだ。 世界的に見ても日本は超長生き国家 表を見てもわかるように、日本は世界でもNo.1の長寿国。福祉国家で長寿大国といわれるスウェーデンを上回り、世界最長の平均寿命なのである。 沖縄県の例もそうだが、これはやはり日本人の食生活そのものが「長生きに向いている」ということなのだろうか。 肉より魚、そして野菜好き。 アジアの隣国、韓国の平均寿命が67.66歳ということを考えると、「秘密は塩分?」と想像してみたくもなるものだが…。 さて、長生きの先に待っているものは…? しかし、長生き長生きと喜んでばかりもいられないのも現状だ。 いまや少子化現象は圧倒的に進み、超高齢時代はすぐそこ。厚生省が昨年まとめた推計では、65歳以上の高齢者が人口に占める割合、つまり高齢化率が20%に達するのは2006年。このままいけば、2050年には3人に1人は高齢者、ということになるのだ。 しかも、介護する側の数は減っていく一方で、推計では老人1人を支える人数は1995年の6.6人から、2045年には2.0人。 それじゃあ、自分たちが老人になったら一体誰が面倒をみてくれるんだろう…と、思わず暗くなりそうな話である。 長生きするに越したことはないが、今のうちに介護保険のことなど、しっかり勉強しておくのもテかもしれない。 資料:日本は、総務庁「国勢調査」及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成9年1月推計)」諸外国は、「UN.World.Population Prospects 1996」による
認知症は、脳のはたらきのうちでも、特に、記憶・思考・判断など知的活動が低下した状態です。これは脳の老化による生理的なものと脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症のように病的なものに分けられます。 脳血管性認知症は薬で良くなる? 脳血管性認知症は、脳の血管が詰まったり破れたりしたために脳にえ死部分が生じて認知症状が現れるものです。脳内の酸素や栄養不足により生じるもので、脳卒中発作後に出現しやすくなります。 手足のまひや言語障害など認知症以外の症状も伴うことも少なくありません。 治療薬もある程度開発されており、付随症状が改善されることもあります。 原因が明らかになっていないアルツハイマー型認知症 アルツハイマー型認知症は、脳の記憶・思考・判断など精神機能をつかさどる部分の異常により、認知症状が現れるものです。 原因は明らかになっていませんが、脳の神経細胞そのものの機能低下が原因だとされます。 認知症の進行には神経伝達物質の合成異常が関与すると考えられており、NGF(神経栄養因子)などの物質を中心に研究が進められています。
大脳に司令する緊張筋線維 年を取ると脳への酸素の供給が少なくなり、脳細胞が退化してしまうために起こる現象が「ぼけ」です。 しかし、脳に酸素が効率よく供給されれば、脳細胞の退化はある程度防ぐことができます。脳を老化させないためには、筋肉の中の緊張筋線維を使う運動をすることです。電車の中で立っていたり、朝の散歩を1時間することが脳には効果的なのです。 スポーツを行う時に主役となる脚筋の中の相性筋線維は、大脳からの司令によって動き、自ら大脳へ司令を送ることはあまりしません。一方、緊張筋線維は、立っている時や歩いている時など無意識に動いているような時にも大脳へ姿勢保持の情報などを多く送っています。 緊張筋線維は日常生活の中で常に使われているため、少しでも使わないでいると、機能が低下し、衰えてしまいます。けがや病気でベッドで何日も過ごした後、うまく歩けなかった経験などをお持ちの方も多いことでしょう。 歩くことに意欲がわく 速歩は、通常歩いているより少し速度を上げるため、普段と違った歩き方をしていることになります。すると、姿勢保持や腰、ひざ、足首の使い方に対して筋肉と脳とが、忙しく情報交換をします。意識して速歩を続けていれば、リズミカルにもなり、歩くことが楽しくなって意欲がわいてくるでしょう。
体内で生成されるフリーラジカル 強いストレスを受けたり、あるいはたばこの吸い過ぎ、お酒の飲み過ぎなどによって、人間の体内には不安定で攻撃的なフリーラジカルが生成されます。 フリーラジカルとは、対にならない電子を持つ、原子または分子をいいます。電子の数が余分だったり、また足りなかったりするため、安定しようと脂肪やたんぱく、糖などと容易に反応し、損傷を与えます。 フリーラジカルには、活性酸素や過酸化脂質などがあります。 フリーラジカルは老化を促進する また、フリーラジカルは、細胞膜を破壊し、細胞の老化を促進してしまいます。そして、血管壁を傷付けて動脈硬化の引き金になるなどさまざまな害をもたらします。 これらのフリーラジカルの害を防ぐためには、抗酸化作用のあるビタミンCやEが有効であることが明らかになっています。老化を防ぐためにもビタミンCやEを十分に取りたいものです。
脂肪の酸化は老化の原因 脂肪の酸化によって生じた過酸化脂質や二次的に生じたアルデヒド類は、たんぱく質や核酸を傷つけ、病気や老化の原因になるといわれています。 酸化の原因の一つにフリーラジカルがあります。 フリーラジカルは対になっていない電子を持つ原子、または分子種のことです。余分な電子があったり電子が1個足りなかったりするため不安定で、回りの組織から電子を奪ったり逆に電子を与えたりして組織障害をもたらします。 代表的なフリーラジカルには、スーパーオキサイド、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素、一酸化窒素ラジカルなどがあります。過酸化脂質もこの一種で、血管壁を障害したり、細胞の中に入り込んで遺伝子を傷付けたりします。 ビタミンEには抗酸化作用がある 緑黄色野菜、胡麻・アーモンド・ピーナツなどの種実類、豆類などに多く含まれるビタミンEには、抗酸化作用があり脂肪の酸化を防ぎます。 脂溶性で、脂肪と一緒に取る方が吸収の良いビタミンEですが、動物性食品にはあまり含まれていません。 動物性脂肪とビタミンEを一緒に取ると吸収も良く、脂肪の抗酸化作用を持つビタミンEのはたらきを生かすことができます。
活性酸素によって酸化されやすい不飽和脂肪酸 植物性脂肪に多く含まれる不飽和脂肪酸には、多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸があります。 不飽和脂肪酸はコレステロールを下げるはたらきをします。しかし、特にリノール酸やエイコサペンタエン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸は化学的に不安定で、空気、光、熱などに反応して生体内で生じる活性酸素などによって酸化されやすく、過酸化物質を形成しやすい性質があります。 過酸化物質や二次的に生じたアルデヒド類は、細胞膜を障害し、細胞のたんぱく質や核酸に損傷を与えます。それが動脈硬化を引き起こし、老化の原因にもなります。 脂質の酸化を抑えるビタミンC、Eやβカロチン 緑黄色野菜に多く含まれるビタミンC、ビタミンE、βカロチンにはこのような脂質の酸化を抑えるはたらきがあります。また体内の酸素、スーパーオキシドディスムター(SOD)やグルタチオンも過酸化物質の生成を抑えます。これらを総称して抗酸化物質と呼んでいます。 ビタミンEはアーモンド、ピーナッツ、ごまなどの種実類にも多く含まれています。また大豆に多く含まれるサポニン、お茶のカテキン類、ワインのフラボノイド類にも過酸化物質の生成を抑制するはたらきがあります。
患者によって違う症状の現れ方 室内の空気汚染に起因する化学物質過敏症が増えているといわれます。空気汚染化学物質により、のどの痛みや渇き、発汗異常、手足の冷えなど自律神経系を中心とした多彩な症状が現れます。 やっかいなことに、いったん化学物質にさらされて過敏反応を起こすと、その後も微量の化学物質で色々な症状が現れるのです。 問題は、化学物質そのものが原因となって、一定の症状を起こすわけではなく、要因は患者側にあるという点です。 同じ条件下で発症する人としない人がいる 例えば、Aという化学物質により頭痛が起きるか、発汗異常が現れるかは患者によって決まるのです。 一般的な化学物質中毒なら、原因物質が増えれば100%の人が発症します。しかし、化学物質過敏症では発症する人としない人がいます。これはアレルギーともよく似ています。 発症には個人差が大きく、内分泌の不安定な更年期女性や免疫の低下した高齢者、自律神経系の未熟な小児に起こりやすいといわれています。
寿命だけで保健や医療の良しあしを語る時代の終わり 少しでも長く生きることが最優先の課題だった時代には、ある地域や国の保健・医療状況の良しあしを測る指標として「寿命(=0歳児平均寿命)」が手ごろな指標として用いられてきました。 しかし、わが国をはじめ平均寿命が飛躍的に延びた先進国では、高齢化社会に突入し、寿命が延びた分だけ人々は何らかの病を患い、病床にある期間も長くなりました。 このような状況に変化するなか、保健や医療の良しあしを寿命で測ってみたところで指標になりにくいのではないかという議論が起こってきました。 QOLが問われる時代の幕開け そこで、約10年前から「人々が生前にいかなる質をもって幸せに生きたか」、つまり、クオリティ・オブ・ライフ(QOL=人生の質)が、人生の長さと同様に重視されるべきであるといった意見が広まってきました。 現在では、保健や医療状況の良しあしを測る指標として「QOL」が当たり前の時代になり、保健・医療の現場でも「どうすればQOLを高く保ったまま人生を過ごせるか」という課題に力が注がれています。