望月吉彦先生
更新日:2023/11/13
以下は2022年6月に記した文章です。
ようやく、COVID-19が収まってきました。COVID-19という呼び方もあまり使われなくなり、現在は「新型コロナウイルス感染症」を使う媒体が多くなっています。オミクロンが主流となり、これで変異は「打ち止め」となって欲しいですね。メジャーリーグやヨーロッパのサッカー、F1などのTVを見るとほとんどの観客はマスクをしていません。EUは各国の往来が「ほぼ自由」です。日本も「観光立国」を掲げるなら早期に「完全開国」して海外からの観光客を呼び入れるべきです。
もし重症化率の高い亜種が出てきたら対策を変えれば良いと思います。感染力は強いけれど重症化率の低いオミクロンが主流となっている今こそ「平常運転」に戻すべきです。
下に示す図は、現時点(2022-06-22)での世界COVID-19累積死亡者数(人口100万対)です。
東アジアは少ないですね。日本、台湾、ニュージーランド、豪州は同じくらいですね。豪州、ニュージーランドは「厳格なロックダウン」を行いました。台湾はPCRを広く実施し、封じ込めを行いました。日本は、ナンチャッテロックダウン(強制力は無い)、ナンチャッテPCR(簡単には受けられなかった)+ワクチン接種(それも強制ではありません)で対処。UK、USA、France、Germany、Sweden、Israelは軒並み日本より死亡者数が多いですね。日本が少ない理由が話題になっています。はっきりとした要因は解りません。数十年後に色々と解るかもしれないし、解らないかもしれないです。
「重症化率の低いオミクロンが主流となっている今こそ「平常運転」に戻すべきです。」と当時書きました。当たっていたと思います。しかし、COVID-19に関する色々なことは、まだ、断定できないことが多いです。
さて、本論です。
日本でお亡くなりになった“子アイントホーフェン”さんのお孫さんの「Ineke van der Wal」さんが、“子アイントホーフェン”の奥様(一緒に日本に抑留されていた)が日本抑留中に書き残した「日記や手紙」を元に日本滞在中のことを本にして出版していたのです。オランダ語版だけかと思ったら英語版も出版されていることがわかりました。
私が読んだのはもちろん英語版です。英語版「The Temple with the Chrysanthemums: Dutch Prisoners of War in Tokyo」を翻訳するなら「菊のある寺:東京のオランダ人俘虜収容所」でしょう。少し変です。“子アイントホーフェン”一行が東京で抑留されていたのは元チリ公館です。東京での空襲が激しくなってから彼らは愛知県豊田市の広済寺と広澤寺に移送され終戦を迎えています。広済寺と広澤寺こそ「菊のある寺」です。「菊」がたくさん植えられていたのです。
著者のIneke van der Walさんはなぜ「Chrysanthemums(菊)」をタイトルに入れたのでしょう。これは私の愚考ですが、ルース・ベネディクト著「The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture(邦題:菊と刀)」(1946年刊行)を念頭に置いてタイトルを考えたのだと思います。「菊と刀」はアメリカ人が書いた日本文化論です。
他にも「Chrysanthemum (菊)」をタイトルに入れた日本文化論があります。
Robert Whiting著「The Chrysanthemum and the Bat(邦題:菊とバット)」: The Game Japanese Play(English Edition)」(1977年刊)。
この「菊とバット」は実に面白い本です。「野球」と「Baseball」を対比して日米の文化の違いを浮かび上がらせています。色々と考えるとIneke van der Walさんがタイトルに、抑留体験とはあまり関係の無い「Chrysanthemum(菊)」を入れたのも何となくわかよう様な気がします。
前置きはさておき……
“子アイントホーフェン”が日本に滞在したなら、日本人医師の診察を受けたことが予想されます。診療を受けたなら「アイントホーフェン」の名前に気づいた医師がいなかったかどうか、そういう描写があるかないか、その一点に興味がありました。1924年、“父アイントホーフェン”は心電計の発明でノーベル生理学・医学賞を受賞し一躍有名人となっていました。
ノーベル賞受賞から21年経った1945年の東京で「アイントホーフェン」の名前に気づいた医師がいただろうと、私は、予想したのです。後述しますが、その予想は的中しました。小説を思わせる様な劇的な形での「的中」でした。
この本は358頁もあります。最初に手に取ったとき、読み切れないだろうと思いましたが、あに図らんや、結局最後まで読んでしまいました。それほど面白かったのです。心臓外科、血管外科の英語の教科書は多数読み通しましたが、普通の英文書物を読み通したのは人生初でした。
内容は多岐にわたります。単なる“子アイントホーフェン”の日本滞在記ではありません。
Etc. etc.を紹介します。以下次回に続く……
いつかお読みください(再掲)。
心電計の発明者アイントホーフェン医師の共同研究者だった同医師の子息が太平洋戦争下の東京で亡くなっていたことに関する考察
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jse/41/1/41_30/_article/-char/ja/
望月吉彦先生
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