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138:泥棒に説教された日(望月吉彦先生) - ドクターズコラム

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望月吉彦先生

更新日:2020/09/07

今回は、医学には関係無いことを書きます。泥棒に関することです。
ドロボウに関する成句には色々とあります。

  • 盗人猛々しい
  • 盗人に追い銭
  • 盗人にも三分の理
  • 盗人の隙はあれども守り手の隙がない
  • 人を見たら泥棒と思え
  • 嘘つきは泥棒の始まり

などです。
さて、皆さんは泥棒に何かを盗まれたことがあるでしょうか?
あるいは、家に泥棒に入られた経験がありますでしょうか?

2020年東京オリンピックのプレゼンテーション(2013年、ブエノスアイレス)で「日本ではお金の入った財布を落としても、それはきっと戻ってくる」と滝川クリステルさんが話したのを覚えている方も多いと思います。
日本は、落とした財布やスマホが戻ってくる確率がとても高い国だと思います。

あらゆる落とし物が戻ってくる国・日本 “地球最後の文明社会”と海外が感嘆(NewSphere)
https://newsphere.jp/national/20150222-1/

東京では、年間33億円のお金が拾われ(落としたり、置き忘れたり)、そのうち24億円が落とし主に戻るそうです。
泥棒も他国に比して極めて少ないです。

出所:社会実情データ図録
上記の出所:社会実情データ図録より引用
http://honkawa2.sakura.ne.jp/2788g.html

そんな盗難の少ない日本にも泥棒はいます。私は3回泥棒にあっています。
泥棒にモノを盗まれないためにはどうしたら良いか、泥棒にあったらどうしたら良いか、本稿を読めば多少役立つかもしれません。

私の経験を紹介します。どれも教訓的なドロボウ事象です。

  • 学生時代、下宿で財布から現金が無くなっていました。盗んだ人もわかっています。
  • 10数年前のことです。病院の駐車場に置いていた車の中から鞄を盗まれました。犯人は不明です。
  • 20数年前新橋の料理屋さんで鞄を盗まれました。この事件?が一番、教訓的です。ぜひ、お読みください。

泥棒事象を紹介しましょう。

1.学生時代に財布から現金を盗まれたのはとても悲しい出来事でした。
大学2年生の夏休みのほぼ全て(30数日)を日本で2番目に高い北岳の山頂近くにある「北岳山荘」でアルバイトをして過ごしました。「北岳山荘」は建築家の黒川紀章先生がデザインしたおしゃれな山小屋です。1978年に建てられたときは、そのことでも話題を呼びました。その年に働いたのです。良い経験でした。
山小屋でアルバイトをするとお金を使う場所がないので、丸々アルバイト代が残りました。その山小屋アルバイトで知り合った、今で言うフリーターのT君と仲良くなりました(同い年でした)。T君とは山を下りた後もやりとりを続けていました。
翌年の秋に、T君は関東地方から車を運転して鳥取まで来てくれました。そして車にシュラフなどを積んで九州を2人で旅行しました。泊まるのは車の中でした。今、流行の「車中泊」をしたのです。 九州一円をまわり鳥取まで帰り、私の下宿で一泊して、 T君は関東地方まで帰っていきました。
彼を見送って下宿に帰ったら、 財布に入っていたお金が無くなっていました。九州旅行から帰り、色々と精算をしました。財布の中に1万数千円入っていました。しかし、お財布の中のお札だけ無くなっていたのです。下宿にいたのは、私とT君しかいません。「やられた」のです。
それ以降、T君とは音信不通になってしまいました。帰るガソリン代に事欠いたのでしょうか?とても悲しい話でした。

2.車上荒らしにあったのは、緊急手術の為に呼ばれ、車を病院の駐車場に止めていた時のことです。
病院職員駐車場は、患者さんの駐車場よりも病院から離れた場所にありました。照明も無い暗い駐車場でした。すぐに手術が始まるので、鞄を車の中に置いてそのまま手術室に向かいました。日曜日の夜中でした。
無事、手術が終わりそのまま月曜日の診療が始まるので、車の中に置いてあった鞄を取りに行ったら車のドアが変です。壊れています。あれれ?と思ったら車の中に置いてあったモノが全てなくなっていました。多少の現金の入った財布も鞄に入れていましたが、鞄ごと無くなっていました。「泥棒」です。すぐに近所の交番に行き、被害届を出す相談をしたら交番では届け出ができないとのことです。仕方なく、やや離れたところにある警察署に行って詳しい被害届を書きました。
手術明けで疲れていたのですが、そんなことを言っている場合ではありません。色々と調べられました。私の指紋も採られました。車を調べてくれると思ったら、壊された鍵などを見るだけでした。犯人を捜査してくれると思ったのですが、被害金額が少額でしたので、捜査などしてくれません。
それから数日後、車の中にあった金目の物(と言っても現金と切手だけですが)以外は全て近所の道路にぶちまけてあったと交番から報告がありました。鞄も返ってきましたが、道路上にあったのでボロボロになっていました。
これ以降、車の中には金目の物は絶対に置かないようにしています。

3.今から、20数年前、新橋駅近くの中華料理店で食事をした時のことです。
食後、小用のため席を外しました。自席に戻ったら置いていたカバンがありません。散々、探したのですが出てきませんでした。
意気消沈してアパートに帰りました。中には手術予定が記してある手帳や手術用のノートが入っていました。カバンは革製で買ったばかりでした。
それはともかく、前述の1. 2. の事象と違って、このカバンの中には「金目のもの」は入っていませんでした。しかし私にとっては、とても大切な手術ノートと手帳が入っていました。

写真:当時盗まれた鞄に入っていた「手術メモ」
写真:当時盗まれた鞄に入っていた「手術メモ」(手術の「勘どころ」が書いてあります)
他人にとっては「無価値」ですが、私にとってはとても大事なメモです。

一応、交番に届け出たのですが「盗まれた」と言ってもまともに取り合ってくれませんでした。大金が入っていたわけではないからです。意気消沈して家に帰りました。そうしたらその晩、

「お前のカバンを“拾った”から取りに来い」

という電話が自宅にかかってきました。
これは「ドロボウ」からの電話だと直感しました。カバンは落としていません。カバンは新橋の中華料理店で私の席に置いていたのです。カバンが勝手に動くわけがありません。「カバンを取りに来い」と言っていますが、ドロボウの家に行くのも怖い話です。それはともかく、ここが一番肝心なのですが、なぜドロボウが私の家の電話番号を知っていたのでしょうか?
実は、私は手帳を開くとすぐに目がつく場所に

「この手帳はわたしにとってとても大切なモノです。拾った方には5000円を差し上げます」

と記し、横に自宅の電話番号を書いておいたのです。
カバンを盗んだ泥棒は、あまり高価では無さそうなカバンを換金するよりも、現金5000円をもらえる方を選んで私のところに電話をかけてきたのだと感づきました。
電話がかかってきたのは、日曜日の夜中でした。誰か一緒に行ってくれる人を探すような時間ではありません。1人で行くのは怖いので、呼ばれた泥棒が住んでいる住居近くにある交番に相談に行きました。しかし、警官は取り合ってくれません。
仕方なしに1人で5000円を持ってドロボウ宅に赴きました。無事、カバンはドロボウ宅に鎮座していました。5000円を渡し(泥棒に追い銭)すんなりとカバンを返してくれるかと思ったら簡単ではありませんでした。「カバンを無くしたのは、お前(望月)に悪いモノが付いているからだ。だから、私(ドロボウ)が信心している宗教に入信しろ、信心したらそういう悪いことは起きない」などと、延々お説教が始まりました。盗人猛々しいとは正にこのことです。
内心「ドロボウがナニヲイウカ」と思っていました。しかしカバンとカバンの中に入っている手帳と手術ノートが大事です。1時間近くドロボウのお説教をおとなしく聞いて無事カバンと共に家に帰りました。お説教を聞いていた1時間本当に長かったです。
仏壇も買えとかなんとかかんとか言われ、話を躱すのに苦労しました。
色々と教訓を得ました。
大切なモノに「この○○はわたしにとってとても大切なモノです。拾った方には5000円を差し上げます」と書いてあると盗まれても返ってくる可能性があることを知ったのは良かったです。それ以降、大切なモノを盗まれたことはありませんが。
なお、こういう場合、警察が頼りにならないことがよくわかりました。皆さんも「他人にとっては無価値でも自分にとってはとても大事なモノ」には、

  • 電話番号(今なら携帯電話の番号)
  • 拾ったら幾ばくかのお金を進呈します(いくらでも良いと思います)

と記すことをお試しください。なお、自宅住所は記さない方が安全です。念のため。

望月吉彦先生

望月吉彦先生

所属学会
日本胸部外科学会
日本外科学会
日本循環器学会
日本心臓血管外科学会
出身大学
鳥取大学医学部
経歴
東京慈恵会医科大学・助手(心臓外科学)
獨協医科大学教授(外科学・胸部)
足利赤十字病院 心臓血管外科部長
エミリオ森口クリニック 診療部長
医療法人社団エミリオ森口 理事長
芝浦スリーワンクリニック 院長

医療法人社団エミリオ森口 芝浦スリーワンクリニック
東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング1階 プラザ 111 内
TEL:03-6779-8181
URL:http://www.emilio-moriguchi.or.jp/

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