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アサギマダラには確率を超えた「何か」がある 蝶も人の心を「忖度」できるのか?(2)(望月吉彦先生) - ドクターズコラム

大人の健康情報

望月吉彦先生

更新日:2019/7/1

「昆虫学者ではないただのおじさん」元東京大学附属病院 栗田昌裕先生

前回に続き、蝶々のことから「心」のことなどを考えてみたいと思います。
ここで2人目のご紹介です。
元東京大学附属病院で内科医として働いていた栗田昌裕先生(現 群馬パース大学 学長:1951-)も、そういうアサギマダラをマーキングしている方々の一人です。
栗田先生は10数年にわたって、このアサギマダラのマーキングを「昆虫学者ではないただのおじさん(本人の言)」として続けています。

栗田先生が本格的にマーキングを開始したのは、2003年からです。暑い夏にアサギマダラは東北地方に飛来します。特に有名なのが、福島県の裏磐梯にあるグランデコスキー場です。アサギマダラが多数飛来します。ここに群生するヨツバヒヨドリ(四葉鵯: キク科)の蜜がアサギマダラの好物なのです。
栗田先生は、この裏磐梯で「マーキングしたアサギマダラがどこにどれくらい飛んでいくのだろうか?」とか、「再会できるだろうか?」とか考えつつマーキングをしているのだそうです。
そしてなんと、栗田先生は10年で約13万頭のアサギマダラにマーキングしているのです。年間13,000頭です。特に裏磐梯では一夏に1万頭にマーキングすることを目標として、それを苦しみつつ達成(?)しています。単純に一夏=30-40日として、1日300頭くらいのアサギマダラを捕獲してはマーキングすることが必要です。12時間ぶっ続けにマーキング作業をしたとして、1時間に25頭、約2分に一度はアサギマダラを捕獲してはマーキングを繰り返していたことになります。え?え?え?という話です。
栗田先生によると、アサギマダラには24個の魅力があるとのことです。
文献1から一部引用します。アサギマダラには、

  • 旅をする
  • 飛び方が多様(24種の飛び方があり、分類しています)
  • 酔う(スナビキソウを吸蜜中は酔うのだそうです)
  • 強い
  • 賢い
  • 恐れない
  • 速い(2日で740kmの海上移動の記録有り)

etc.ほかに17個の「魅力」があると書いています。
書き写していると、頭がクラクラしてきます。栗田先生は、そんな24個の魅力をもったアサギマダラにマーキングしていると、色々と不思議な現象に出会うのだそうです。
夏に裏磐梯でマーキングしたアサギマダラが他所で他人の手で再捕獲されています。全国31箇所で再捕獲されています。遠くは沖縄で再捕獲されています。それは裏磐梯から沖縄まで少なく見積もっても、2000kmも移動していることが確かめられています。
凄いのは栗田先生ご自身で、秋~冬にかけて、休日を最大限に利用して全国各地に赴き、自分でアサギマダラの調査をしていることです。父島、与那国島、台湾、香港、喜界島等々で調査しています。そして、福島県からは遠く離れた土地で、福島県裏磐梯で栗田先生自身がマーキングしたアサギマダラに再会もしているのです。
1回や2回なら、そういうこともあるでしょう。しかし、何回もそういうことが続いているのです。例えば8月にマーキングした個体に9月末に奄美大島で再会、愛知県の三ヶ根山でも2頭に再会、この時は両手に一頭ずつ自分がマーキングしたアサギマダラがいるという「確率を超えた現象」に何回も出会うようになるのです。

元は東大の数学科を出た「数学者」でもある栗田先生にも確率を超えた「何か」が、アサギマダラにはあるのだろうと記しています。以下参考文献1に栗田先生が書いていることです。

“アサギマダラは不思議な能力を持っていると思う。周辺を飛び回るときにそれを感じる。何かを発しているのではないか。私が考えたことをその通りにアサギマダラが実行してくれるように感じる”

今風に言えば、アサギマダラは栗田先生の考えたことを「忖度」しているのかもしれません。なんだかよくわからないですが、奄美大島で再会したい、愛知県で再会したいと思ったら、福島裏磐梯で自身がマーキングした蝶々が飛んでくるのですから、…ま、あり得ないです。忖度しているとしか思えないですね。

“私がアサギマダラを見る時は、一頭一頭見ているのではありません。アサギマダラをくるんでいる雲のようなものを見ています。だからある場所でアサギマダラをマーキングするとその雲がどのように変化しどのような経路を辿り、いつどこに行くのかが見えてきます”

とも書いています。要するに普通の人には見えない何かが、栗田先生には見えるのです。
「確率を超えた現象」に何回も遭遇すると、それは「超常現象」として済まされてしまうことがほとんどです。しかし、文献1.2.は写真や他の人の採取データなどで裏付けられています。そうでなかったら「トンデモ本」の類に入っていたかも知れません。NHKをはじめとするTVや新聞などでも紹介されています。これもあり得ないような確率の話ですが、テレビ番組の撮影中にアサギマダラとの再会を果たしています。ですから、他人には解らないような「超常現象」ではないことは確かでしょう。

栗田先生がアサギマダラを追っかけているのか、追っかけられているのか、それが「心」を通わせているからか?とか、考えると、訳がわからなくなります。私には、アサギマダラと栗田先生が「心」を通わせているとしか思えないのですが、さて蝶々に「心」があるのでしょうか?凡人の私には解りません。いずれにせよ、蝶々には色々と面白いことがたくさんありそうです。韃靼海峡をわたったのが「アサギマダラ」か、まだ不明です。ロシア大陸にいるアサギマダラをマーキングしてくれる方がいらっしゃれば、わかることだと思います。

私も質は違いますが「確率を超えた現象」に出会ったことが何度もあります。
いずれ、そういうことも記そうと思っています。

【参考文献】

  • 謎の蝶アサギマダラはなぜ海を渡るのか? 栗田昌裕(著) PHP研究所
  • 謎の蝶 アサギマダラはなぜ未来が読めるのか? 栗田昌裕(著) PHP研究所
    両書ともに、極めて興味深いことがたくさんかかれています。お時間あるときに是非、お読みください。なお、本文中の“”内は両書からの引用です。
  • アサギマダラ 海を渡る蝶の謎 佐藤 英治 (著) 山と溪谷社 (2006年)

別記1:

栗田昌裕先生は上述の如く、毎夏 福島県耶麻郡北塩原村の裏磐梯にあるホテルグランデコに滞在し「旅する蝶:アサギマダラ観察会」を催しています。興味のある方は、訪れてみると良いですね(アサギマダラ観察会)。
この会が催されるようになったきっかけは、一夏ホテルに滞在している「おじさん(=栗田先生)」が捕虫網をもって朝から晩まで蝶々を追っているのを見たホテルの支配人が、声を掛けてきたことから始まっているのだそうです。これも「アサギマダラのお蔭」と栗田先生は記していますが、大の大人が朝から晩まで、一心不乱に蝶々を採取しては、ペンでマーキングしていたら「何をしているのですか?」と聞かない方がおかしいですね。

別記2:

栗田昌裕先生の略称はSRSですが、これは栗田先生御考案になる速読法「SRS(Super Reading System)」から来ています。速読法に関する著書も多いのです。100冊以上、本を書いていらっしゃいます。指回し健康法の考案者でもあります。

別記3:

我が家に飛来した蝶々

我が家に飛来した蝶々です。アゲハチョウでしょうか?何度も、私の周囲を旋回していました。夜の蝶には縁がないけれど、昼の蝶々には好かれているのかもしれないと思っていたのですが、違いました。蝶には蝶が好む通り道があり、それを「蝶道」と言います。丁度、私の周りが蝶道になっていたのでしょう。アゲハチョウの仲間は特に蝶道を作る傾向があるのだそうです。

別記4:芝公園とアサギマダラ

私どものクリニックがある浜松町に近い芝公園でアサギマダラ関連の催しが開催されています。
芝公園・生物多様性ガーデンでアサギマダラを見つけよう
芝公園にアサギマダラを呼ぼう!
などが、開催されています。ご興味がある方は是非、参加してみてください。

望月吉彦先生

望月吉彦先生

所属学会
日本胸部外科学会
日本外科学会
日本循環器学会
日本心臓血管外科学会
出身大学
鳥取大学医学部
経歴
東京慈恵会医科大学・助手(心臓外科学)
獨協医科大学教授(外科学・胸部)
足利赤十字病院 心臓血管外科部長
エミリオ森口クリニック 診療部長
医療法人社団エミリオ森口 理事長
芝浦スリーワンクリニック 院長

医療法人社団エミリオ森口 芝浦スリーワンクリニック
東京都港区芝浦1-1-1 浜松町ビルディング1階 プラザ 111 内
TEL:03-6779-8181
URL:http://www.emilio-moriguchi.or.jp/

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