望月吉彦先生
更新日:2016/02/15
今回は、冠動脈疾患その2です。動脈硬化は生まれた時から始まります。それを加速するのが前回にお伝えした危険因子です。(憶えていますか?)
危険因子が特に複合的にあると動脈硬化は加速します。今回は、動脈硬化が加速するとどうなるか、実際の症例でお示しします。なお、お見せします画像は、すべて動画から静止画像にしています。実際には冠動脈造影は動画で見ます。
正常冠動脈画像は前回提示しました。正常ならどこにも狭窄は認めませんし、冠動脈が瘤状(りゅうじょう=こぶ)変化もしません。
また、動脈硬化は冠動脈だけに生じる訳ではないことも示したいと思います。冠動脈に病変がある方は他の動脈にも強い動脈硬化を認めることが多いのです。具体的には腹部大動脈瘤、胸部大動脈瘤、脳梗塞、脳出血、下肢動脈閉塞などを合併します。逆にこれらの病気が見つかってそれから冠動脈疾患が見つかることも結構あります。血管は三次元構造なので色々な方向から撮影して血管形態を確かめます。同じ血管を左右上下や斜め方向から撮影します。
今回お示しする三人の患者さんは全て冠動脈疾患と動脈瘤を合併する方です。
1番目の患者さんは80歳の男性です。この方の危険因子は高血圧、高脂血症、喫煙です。この方の冠動脈造影と腹部CT画像を示します。図1-1から1-8の画像は全て全てこの患者さんの画像です。
図1-1 右冠動脈造影
図1-2 左冠動脈造影像
図1-3 左冠動脈造影像
図1-4 左冠動脈造影像
図1-5 左冠動脈造影像
図1-6 左冠動脈造影像
図1-7 左冠動脈造影像
図1-8 腹部大動脈CT
よく解らないと思いますが、冠動脈に多数の狭窄があることと冠動脈が「こぶ状変化(医学用語で瘤状変化)」を生じているのが解ると思います。
参考までに、これを医学記号で表すと、下記のようになります。
「#1: 50% #2 :50% #3 #4PD #4AV:75% #5 50% #6 75% #7 75% #8 #9 #10 #11 #12 」
#1 、#2 などの数字は冠動脈の部位を表します。50%というのは正常の50%が狭窄しているという意味です。
2番目の患者さんは62歳の男性です。高血圧、喫煙が危険因子です。この方の冠動脈造影と腹部CT画像を示します。図2-1から図2-5までは全てこの患者さんの画像です。
図2-1
図2-2 左冠動脈造影像
図2-3 左冠動脈造影像
図2-4 腹部大動脈造影
図2-5腹部大動脈CT
3番目の患者さんは70才の男性です。危険因子は高血圧、喫煙です。図3-1から3-5までは全てこの患者さんの画像です。
図3-1
図3-2
図3-3
図3-4
図3-5
色々とお目にかけましたが、動脈の硬化により動脈が狭くなったり(狭窄)、太くなる(瘤状変化:りゅうじょうへんか)のがお解りになられたと思います。
これらの患者さんは別に珍しい患者さんではありません。どの患者さんも冠動脈バイパス術に加えて瘤状変化を生じた血管を人工血管に置換する手術を行い、皆さん元気で生活に復帰されています。
こうした患者さんは、術後は手術前に存在した危険因子に対する治療を行っています。この危険因子を放置すると再発してしまうからです。
歳を重ねれば誰でも動脈硬化が進行します。
動脈硬化危険因子を再度、記します。
これらに心当たりがある方は、早めに相談ください。
望月吉彦先生
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