疾患・特集

がんのお子さんを救うためにサポートする「レモネードスタンド」をご存知ですか?

レモンと砂糖と水があれば簡単に作れるレモネード。アメリカでは、子供が家の前や道ばたで「レモネードスタンド」を開いて、お小遣いを集める姿はよく見られる光景ですが、小児がん患児のサポートにつながることをご存知でしょうか。社会貢献のためのレモネードスタンド活動について紹介します。

がん闘病中の女の子がレモネードスタンドを開催して治療研究費を寄付したことが契機

レモネードスタンドは、レモン原液と砂糖、水があれば簡単に開催できます。アメリカでは、子供のお小遣い稼ぎの風物詩となっているので、家の前や道端で子供がレモネードを作って売る光景はよく見られるものです。 そこで、2000年ころに米国で以下の実話があります。小児がんで闘病中の女の子が「自分と同じような病気の子供のために、治療の研究費を病院に寄付したい」との思いから、自宅の庭にスタンドを開き、レモネード売り上げを治療研究のために寄付したのです。 女の子の活動はメディアに取りあげられ、世界中に知られていきます。これが契機となって、現在の小児がん患児を支援するレモネードスタンド活動につながっていったのです。

病気の子供が「将来への見通し」を持ってもらうためには支援活動が必要

国立がん研究センターが2018年に配信したリリースによると、小児がん(0歳~14歳)の罹患率は人口10万人当たり12.3人です。日本全体の人口に当てはめると、1年間にがんと診断される患児数は約2,100例です*1。患者さんの数は少なくありません。 しかし、小児がんの治療法開発のための研究予算は少ないのが現状です。
患児が大人になっても、病気とともに生きていくことになります。大人になると、妊よう性(妊娠する力という意味です)の問題に直面するケースがあります(過去記事:血液情報広場・つばさの記事、グリーンルーペの記事など)。
困難に直面するかたをサポートするために、小児がんの治療法開発の取り組みが遅れてしまわないために、また患児の今後の長い人生において「将来への見通し」を持ってもらうために、支援することが必要なのです。

レモネードスタンドをやってみよう

小児がんの女の子が多額の寄付を集めた活動が契機になって、現在も世界中でレモネードスタンド活動が盛んに行われています。
「レモネードスタンド活動をして何か社会貢献したい」そう思うかたは、「レモネードスタンド」と「小児がん支援」をつなぐ架け橋となって全国へ普及することを目的に設立された団体が多くあるので、ホームページなどを参照してください(一例として下記団体を参照)。

  • レモネードスタンドクラブhttp://nposuccess.jp/lp/
    NPO法人サクセスみらい科学機構SUCCESS(http://nposuccess.jp/)が2007年に設立しました。日本では初めて本格的なレモネードスタンドチャリティを展開した団体です。設立以来、14年ほどにわたって、小児がんの薬の開発事業や、医療相談事業を行なっています。 年間30回ほどのレモネードスタンドの運営・開催に関わっています。開催希望者にはレモネードスタンドのお話を書いたカード(名刺サイズ)、ミニポスター(A3、A4サイズ)、パンフレットなどを提供可能です。
  • レモネードスタンド普及協会https://www.lemonadestand-pa.jp/
    レモネードスタンド普及協会を通じて申し込みをすると、レモネードスタンド活動に必要なレモン果汁と活動を伝えるDVDを無償で提供してくれます。
    レモネードスタンドによって集められた寄付金は、必要な送金手数料を除いて運営費を差し引かれることなく、全額が特定非営利活動法人日本小児がん研究グループ(JCCG)などの小児がん支援団体へ送られ、小児がんの治療開発に役立てられます。
    ホームページに活動のはじめかた(https://www.lemonadestand-pa.jp/try/started.html)、申し込み手続きや開催時に必要なものキットのダウンロード情報(https://www.lemonadestand-pa.jp/try/kit.html)があります。
  • レモネードスタンドジャパン(NPO法人キャンサーネットジャパン)https://www.lemonadestand.jp/
    NPO法人キャンサーネットジャパン(https://www.cancernet.jp/)が運営をしている団体です。開催予定で希望する団体へレモン原液の無償提供をしています。運営マニュアルや開催に必要なディスプレイ用のデータ、リーフレットデータもお送りしています。

小児がんの子供がリーダーとなってレモネードスタンドを開催

レモネードスタンドの実際の活動を見ると、団体イベントでの1セッションとして、また地域文化祭やお祭り行事、学園祭のイベントで、さまざまな形式で開催されています*2。 下記は、レモネードスタンド活動を継続的に実施している団体で、看護師さんの多様性ある生き方を推進する団体「ナースライフバランス」のイベントの活動模様です。

レモネードスタンド活動(2020年1月25日、ナースライフバランス主催のイベント「ナース図鑑vol3」)
写真:レモネードスタンド活動(2020年1月25日、ナースライフバランス主催のイベント「ナース図鑑vol3」) 看護師が多様性のある生き方を実現することや働き方改革を推進する団体「ナースライフバランス」(Facebook:https://www.facebook.com/ナースライフバランス-129062241145965/)は、オンラインサロン「ナースLab(写真右はオリジナルTシャツです)」、イベントとして「ナース図鑑」などを運営しています。

レモネードスタンドクラブから寄せられた情報があります。それによると、2019年8月に10歳の大泉咲穂(さほ)さんがリーダーになってレモネードスタン活動をする企画が実施されました。活動内容の詳細はこちら:http://nposuccess.jp/topics/saho-lemosta

レモネードスタンド普及協会やレモネードスタンドジャパンの開催レポートには、全国の活動内容がわかりやすく解説されています。オリジナルのレモネードレシピを提供することや、クリスマス開催の雰囲気つくりなど、さまざまな工夫を凝らしています。

レモネードスタンド活動で集められた寄付金は、小児がんの病気の原因究明や治療法開発に従事する研究団体に送られるほか、小児がん支援プロジェクト、治療のために入院しながら学習することへの支援、自立するための支援、ウィッグのプレゼントなど、さまざまな生活サポート事業にも使われます。
詳細は、各団体のホームページを参照してください。レモネードスタンドクラブ・お預かりした寄付の使い道(http://nposuccess.jp/lp/#use)、レモネードスタンド普及協会・活動の目的(https://www.lemonadestand-pa.jp/try/purpose.html)、レモネードスタンドジャパン・寄付について(https://www.lemonadestand.jp/donate)などがあります。

試練(すっぱいレモン)があっても、いい方向(甘くておいしいレモネード)に!

レモネードスタンドは、2000年ころにがんの女の子が始めた寄付活動が契機となって、現在は小児がん患児を支援する社会貢献の活動として世界中に支援の輪が広がっています。
最後になりますが、レモネードスタンド普及協会のホームページに記載されている英語のことわざを紹介します。

“If the life gives you lemon, make lemonade”
〔試練(すっぱいレモン)があっても、いい方向(甘くておいしいレモネード)にしていこう!〕

このような前向きな思いを持った仲間と一緒にアイデアを練って、がんのお子さんをサポートするためのレモネードスタンド活動をしてみませんか。

公開日:2020/03/4